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JP4158745B2 - 導波管・伝送線路変換器 - Google Patents

導波管・伝送線路変換器 Download PDF

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JP4158745B2 JP2004181085A JP2004181085A JP4158745B2 JP 4158745 B2 JP4158745 B2 JP 4158745B2 JP 2004181085 A JP2004181085 A JP 2004181085A JP 2004181085 A JP2004181085 A JP 2004181085A JP 4158745 B2 JP4158745 B2 JP 4158745B2
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Description

本発明は、マイクロ波、ミリ波帯などの電力を変換する導波管・伝送線路変換器に関するものである。
従来、導波管・伝送線路変換機として、特許文献1や特許文献2に示されるものが知られている。図9および図10を参照して、特許文献1および特許文献2に示される導波管・伝送線路変換器について説明する。
図9は、特許文献1に示されるパッチ共振型の導波管・伝送線路変換器の模式図であり、(a)は斜視図、(b)は断面図、(c)は上面図、(d)は誘導体基板J1を裏面側から見たときの図である。
図9に示されるように、誘電体基板J1の一方の面には、ストリップ線路J2が設けられ、その反対側の面には、導波管J3の側壁の厚さとほぼ同じ幅の長方形の接地金属層J4が設けられている。
短絡板J5は、誘電体基板J1の平面形状(長方形)と略同等の外形を有しており、誘電体基板J1に固定されている。この短絡板J5には、その中央位置においてストリップ線路J2よりも若干大きな切り込みが設けられており、短絡板J5を誘電体基板J1に固定したときに、ストリップ線路J2が切り込みから露出するようになっている。
誘電体基板J1の裏面、つまりストリップ線路J2とは反対側の面の中央位置には、略正方形の金属層からなる整合素子J6が備えられている。この整合素子J6は、ストリップ線路J2から所定距離離間して設けられており、整合素子J6とストリップ線路J2とが互いに電磁的に結合されている。
図10は、特許文献2に示されるバックショート型の導波管・伝送線路変換器の模式図であり、(a)は斜視分解図、(b)は断面図、(c)は上面図、(d)は誘導体基板J11を裏面側から見たときの図である。
図10に示されるように、誘電体基板J11の一方の面にはストリップ線路J12が備えられている。また、誘電体基板J11の他方の面には導波管J13の開口部と接続される接地金属層J14が設けられている。
誘電体基板J11は、短絡導波管ブロックJ15と導波管J13との間において、これらに挟み込まれるような状態で固定されている。
これら特許文献1および特許文献2に示される導波管・伝送線路変換器により、導波管J3、J13により伝送される電力とストリップ線路J2、J12により伝送される電力とが相互に交換することが可能となっている。
特開2002−359508号公報 特開平10−126114号公報
導波管・伝送線路変換器においては、導波管により伝送される電力とストリップ線路により伝送される電力との交換が低損失で行われるように、電力が高通過かつ低反射、つまり伝送電力が大きくなり、かつ、反射電力が小さくなることが望まれる。
一方、導波管・伝送線路変換器における電力の通過・反射特性は、導波管・伝送線路変換器が使用される電磁波の周波数によって変動する。導波管・伝送線路変換器をミリ波帯の電力を変換するものとして適用した場合、例えば76〜77GHz程度の周波数が用いられることから、この使用周波数帯域において電力が高通過かつ低反射であることが望まれる。
しかしながら、上記特許文献1および特許文献2に示される導波管・伝送線路変換器では、組み付け誤差により、電力が高通過かつ低反射とならなくなるという問題があることが確認された。これについて、図11および図12を参照して説明する。
図11(a)は、特許文献1に示される導波管・伝送線路変換器に組み付け誤差が発生した場合の断面図である。この図に示されるように、整合素子J6と接地金属層J4との間は、所定距離となるように設定される。このため、誘電体基板J1が上記した図9(b)に示されるように、組み付けの際に導波管J3に対してズレがなく貼り合わされた場合には、整合素子J6の端部から一番距離が短い場所が接地金属層J4の端部となるため問題ないが、ズレが生じた場合には、図11(a)に示されるように、整合素子J6の端部J6aから一番距離が短い場所が接地金属層J4の端部J4aではなく導波管J3の内壁コーナー部J3aとなる。このため、図11(a)中に丸で囲んだ位置、つまり、整合素子J6と導波管J3との間の距離が短くなった部分において電界集中が発生し、電力の通過・反射特性が変化するのである。
また、図11(b)は、特許文献2に示される導波管・伝送線路変換器に組み付け誤差が発生した場合の断面図である。この図に示されるように、ストリップ線路J12と短絡導波管ブロックJ15との間は、所定距離となるように設定される。このため、誘電体基板J11が上記した図10(b)に示されるように、組み付けの際に導波管J13に対してズレがなく貼り合わされた場合には、ストリップ線路J12の端部から一番距離が短い場所が短絡導波管ブロックJ15の内壁となるため問題ないが、ズレが生じた場合には、図11(b)に示されるように、ストリップ線路J12の端部J12aから一番距離が短い場所が短絡導波管ブロックJ15の端部J15aではなく導波管J13の内壁のコーナー部J13aとなる。このため、図11(b)中に丸で囲んだ位置、つまり、ストリップ線路J12と導波管J13との間の距離が短くなった部分において電界集中が発生し、電力の通過・反射特性が変化するのである。
図12は、特許文献1に示されるパッチ共振型の導波管・伝送線路変換器の組み付け誤差と電力の通過・反射特性の変動について数値計算により調べた結果を示したものであり、△がストリップ線路J2から導波管J3に向けて電力を送ったときの反射の大きさ、○が導波管J3からストリップ線路J2に向けて電力を送ったときの反射の大きさ、□が通過の大きさを示したものである。また、図中、a0〜a3は、ズレ量を示したものであり、a0がズレが無い場合、a1〜a3に関しては、順にズレ量が大きくなった場合を示している。
この図より、ズレがない場合、使用周波数帯域の近傍では低反射となっているが、使用周波数帯域以外では反射の大きさが大きく変動していることが判る。また、ズレがない場合と比較して、ズレがある場合では、低反射となる周波数が変化することが判る。このため、ズレ量がa1になると、ズレ量がない場合(a0のとき)と比べて、ミリ波帯となる76〜77GHzでの反射の大きさがかなり大きくなるのである。
本発明は上記点に鑑みて、組み付け誤差があっても、電力が高通過かつ低反射にできる導波管・伝送線路変換器を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、中空部を有する中空形状の導波管(3)と、導波管(3)の開口端において誘電体基板(1)が接地金属層(4)を介して導波管(3)に取り付けられ、導波管(3)により伝送される電力と、ストリップ線路(2)により伝送される電力とを相互に変換可能なパッチ共振型の導波管・伝送線路変換器において、導波管(3)は、開口端における導波管(3)の内壁面側のコーナー部であって、ストリップ線路(2)が設けられた辺とこの辺に対向する辺とが面取りされて凹まされており、該導波管(3)のうち面取りがされている部位が面取りがされていない部位に対して、中空部のサイズが大きくされていることを特徴としている。
このように、パッチ共振型の導波管・伝送線路変換器について、導波管(3)に対して面取りを行うことで、組み付けの際のズレが生じても、接地金属層(4)の端部(4a)が導波管(3)の開口端のコーナー部から露出することになる。したがって、整合素子(6)と導波管(3)との距離が短くなることで電界集中が発生してしまうことを防止することができる。これにより、電力の通過・反射特性が変化してしまうことを防止することができる。
なくとも、ストリップ線路(2)が設けられた辺とこの辺に対向する辺とに面取りが行われていれば、上記効果を得ることが可能である。
請求項に記載の発明では、整合素子(6)の先端部を中心として、整合素子(6)の端部から接地金属層(4)の端部までの距離を半径とする円を描いたとすると、導波管(3)におけるコーナー部の凹んだ部分の壁面は、該円よりも該円の中心から離れたところに位置していることを特徴としている。
このように、導波管(3)におけるコーナー部の凹んだ部分の壁面が、該円よりも該円の中心から離れたところに位置しているようにすれば、必ず、整合素子(6)の端部(6a)と導波管(3)のコーナー部との間の距離が整合素子(6)と短絡金属層(4)との間の距離よりも長くなる。これにより、より確実に、請求項1に記載の効果を得ることが可能となる。
請求項に記載の発明では、バックショート型の導波管・伝送線路変換器において、導波管(3)は、開口端において、導波管(3)の内壁面側であって、ストリップ線路(2)が設けられた辺とこの辺に対向する辺とが面取りされて凹まされており、該導波管(3)のうち面取りがされている部位が面取りがされていない部位に対して、中空部のサイズが大きくされていることを特徴としている。
このように、バックショート型の導波管・伝送線路変換器についても、導波管(3)に対して面取りを行うことで、請求項1と同様の効果を得ることができる。
このようなバックショート型の導波管・伝送線路変換器の場合、少なくとも、導波管(3)の開口端のうち、ストリップ線路(2)が設けられた辺に対向する辺に、面取りがなされていれば、上記効果を得ることができる。
また、この場合、請求項と同様、請求項に示されるように、ストリップ線路(12)の先端部を中心として、ストリップ線路(12)の先端部から短絡導波管ブロック(15)におけるストリップ線路(12)から最も近い壁面(15a)までの距離を半径とする円を描いたとすると、導波管(13)におけるコーナー部の凹んだ部分の壁面が、該円よりも該円の中心から離れたところに位置するようにするのが好ましい。
これら各請求項に示されるような効果が得られる具体的な形状としては、例えば、請求項に示されるように、導波管(3、13)の内壁面側のコーナー部が断面テーパ状に凹んだものが挙げられる。請求項に示されるように、導波管(3、13)の内壁面側のコーナー部が断面四角形状に凹んだものであっても良い。また、請求項に示されるように、導波管(3、13)の内壁面側のコーナー部が断面丸形状に凹んだものであっても良い。さらに、請求項に示されるように、導波管(3、13)の内壁面側のコーナー部が断面任意形状に凹んだものであっても良い。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
本発明の一実施形態を適用したパッチ共振型の導波管・伝送線路変換器の断面構成を図1に示す。なお、導波管・伝送線路変換器におけるその他の図、具体的には斜視図、上面図および誘電体基板1を裏面側から見たときの図に関しては、図9(a)、(c)、(d)と同様であるため、ここでは省略する。
図1に示されるように、本実施形態のパッチ共振型の導波管・伝送線路変換器には、誘電体基板1、ストリップ線路2、導波管3、接地金属層4、短絡板5および整合素子6が備えられている。
誘電体基板1は、長方形状で構成されている。この誘電体基板1の一方の面(表面)に、ストリップ線路2が設けられている。ストリップ線路2は、誘電体基板1の長辺の一辺に対して垂直に延設された構成、言い換えれば、後述するように中空形状で構成された導波管3の一方の開口端の一辺から開口部の内側に向かって延設された構成となっている。
導波管3は、中空部を有する中空形状をなしており、その長手方向の断面形状が誘電体基板1と同等の大きさの長方形状をなしている。この導波管3の一方の開口端に誘電体基板1が固定されている。
この導波管3は、基本的にはほぼ同等の厚みとされているが、誘電体基板1が固定された側の開口端において、厚みが他の部位よりも薄くされており、導波管3における中空部のサイズが他の部位よりと比べて大きくなるように設定されている。具体的には、導波管3の開口端のうち、ストリップ線路2が設けられた辺とこの辺に対向する辺とに、面取りが行われていて凹まされており、導波管3の開口端におけるコーナー部が断面テーパ形状とされている。
また、接地金属層4は、導波管3のうち、上記面取りがなされた部分以外の側壁の厚さとほぼ同じ幅で構成されている。この接地金属層4は、誘電体基板1におけるストリップ線路2が設けられた面とは反対側の面に、長方形状の外縁を囲むように形成されており、この接地金属層4を介して誘電体基板1が導波管3に貼り合わされることで取り付けられ、固定されている。
短絡板5は、誘電体基板1の平面形状(長方形)と略同等の外形を有しており、誘電体基板1に溶接などにより固定されている。この短絡板5には、その中央位置においてストリップ線路2よりも若干大きな切り込みが設けられており、短絡板5を誘電体基板1に固定したときに、ストリップ線路2が切り込みから露出するようになっている。また、短絡板5には、複数のスルーホール7が形成されており、このスルーホール7を通じて接地金属層4と電気的に接続された構成となっている。
整合素子6は、導波管3の裏面のうち、該導波管3の中空部の内部の中央位置に形成されており、略正方形の金属層で構成されている。この整合素子6は、ストリップ線路2から所定距離離間して設けられている。そして、整合素子6は、ストリップ線路2と互いに電磁的に結合されている。
以上のように構成された導波管・伝送線路変換器において、誘電体基板1が導波管3に対してずれて組み付けられた場合の様子を図2に示す。この図に示されるように、誘電体基板1を導波管3に貼り付けた際に、組み付け誤差により、これらがずれる場合がある。
このとき、上述したように、本実施形態の導波管・伝送線路変換器においては、導波管3の開口端においてコーナー部に面取りを施していることから、組み付けの際のズレが生じても、接地金属層4の端部4aが導波管3の開口端のコーナー部から露出することになる。したがって、整合素子6と導波管3との距離が短くなることで電界集中が発生してしまうことを防止することができる。これにより、電力の通過・反射特性が変化してしまうことを緩和することができる。
参考として、本実施形態のように、導波管3の開口端のコーナー部に面取りを施した場合において、数値計算により、導波管・伝送線路変換器の組み付け誤差と電力の通過・反射特性の変動について調べた結果を図3に示す。この図中、△がストリップ線路2から導波管3に向けて電力を送ったときの反射の大きさ、○が導波管3からストリップ線路2に向けて電力を送ったときの反射の大きさ、□が通過の大きさを示したものである。また、図中、a0〜a3は、ズレ量を示したものであり、a0がズレが無い場合、a1〜a3に関しては、順にズレ量が大きくなった場合を示している。
図3を図12と比較すると判るように、本実施形態の導波管・伝送線路変換器の場合、従来のものと比べて、ズレ量が同じであった場合に対する電力の通過・反射特性の変化量、具体的には、最も反射が低くなるピーク位置の位置変化が小さくなっている。そして、電力の通過・反射特性が最も反射が低くなるピーク位置を基準としてほぼ決まることから、このピーク位置の位置変化が小さくなることにより、目標とする周波数帯(76〜77GHz)での反射も小さくすることが可能となる。
また、図4に、断面テーパ状の面取りがなされている場合となされていない場合におけるズレ量と反射量および通過量の関係を示す。この図からも、ズレ量に対する反射量の上昇および通過量の低下が抑えられることが判る。
以上説明したように、本実施形態の導波管・伝送線路変換器によれば、組み付け誤差があっても、電力が高通過かつ低反射を実現することが可能となる。
なお、本実施形態では、導波管3の開口端の面取りを断面テーパ状にしたものとしており、このような断面テーパ状にすればコーナー部の鋭い角がなくなることから、それだけでも電界集中を緩和することが可能となる。しかしながら、以下のことを満たすように導波管3の開口端の面取りを行うのが好ましい。
図5は、導波管3の開口端の面取りと整合素子6の先端位置との関係を示したものである。この図に示されるように、整合素子6の端部6aを中心として、整合素子6の端部6aから接地金属層4の端部4aまでの距離を半径rとする円を描いたとすると、導波管3におけるコーナー部の凹んだ部分の壁面が、この円よりも外側(円の中心から離れたところ)に位置すれば、必ず、整合素子6の端部6aと導波管3のコーナー部との間の距離が整合素子6と短絡金属層4との間の距離よりも長くなる。このような条件を、組み付け誤差によるズレ量の最大値を見込んで、整合素子6の端部6aが最も導波管3の壁面に近づいたときにも満たすように、面取りを行う。これにより、より確実に、組み付け誤差があっても、電力が高通過かつ低反射を実現することが可能となる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、本発明の一実施形態をバックショート型の導波管・伝送線路変換器に適用したものである。この導波管・伝送線路変換器の断面構成を図6に示す。なお、導波管・伝送線路変換器におけるその他の図、具体的には斜視図、上面図および誘電体基板11を裏面側から見たときの図に関しては、図10(a)、(c)、(d)と同様であるため、ここでは省略する。
図6に示されるように、本実施形態のバックショート型の導波管・伝送線路変換器には、誘電体基板11、ストリップ線路12、導波管13、接地金属層14および短絡導波管ブロック15が備えられている。
誘電体基板11は、長方形状で構成されている。この誘電体基板11の一方の面(表面)に、ストリップ線路12が設けられている。ストリップ線路12は、誘電体基板11の一辺に対して垂直に延設された構成、言い換えれば、後述するように中空形状で構成された導波管13の一方の開口端の一辺から開口部の内側に向かって延設された構成となっている。
導波管13は、中空部を有する中空形状をなしており、その長手方向の断面形状が長方形状をなしている。この導波管3の一方の開口端において、導波管13および短絡導波管ブロック15に挟み込まれるように誘電体基板11が固定されている。
この導波管13は、基本的にはほぼ同等の厚みとされているが、誘電体基板11が固定された側の開口端のうち、誘電体基板11が配置される辺と対向する辺において、厚みが他の部位よりも薄くされており、導波管13における中空部のサイズが他の部位よりと比べて大きくなるように設定されている。具体的には、導波管13の開口端のうち、ストリップ線路12が設けられた辺と対向する辺に、面取りが行われていて凹まされており、導波管13の開口端におけるコーナー部が断面テーパ形状とされている。
また、接地金属層14は、導波管13のうち、上記面取りがなされた部分以外の側壁の厚さとほぼ同じ幅で構成されている。この接地金属層14は、誘電体基板11におけるストリップ線路12が設けられた面とは反対側の面に形成されており、この接地金属層14を介して誘電体基板11が導波管13に貼り合わされることで取り付けられ、固定されている。
短絡導波管ブロック15は、導波管13と等しい断面形状を有するコップ状部材で構成され、導波管13に溶接などにより固定されている。この短絡導波管ブロック15のうちストリップ線路12が配置される部位には、ストリップ線路12と同等程度の大きさの切り込みが設けられており、短絡導波管ブロック15を導波管13に固定したときに、ストリップ線路12が切り込みに嵌入されるようになっている。
以上のように構成された導波管・伝送線路変換器において、短絡導波管ブロック15および誘電体基板11が導波管13に対してずれて組みつけられた場合の様子を図7に示す。この図に示されるように、組み付け誤差により、短絡導波管ブロック15および誘電体基板11を導波管13に固定した際に、これらがずれる場合がある。
このとき、本実施形態の導波管・伝送線路変換器においては、導波管13の開口端においてコーナー部に面取りを施していることから、組み付けの際のズレが生じても、ストリップ線路12の端部12aと導波管13の開口端のコーナー部との間にある程度の距離に確保される。したがって、ストリップ線路12と導波管13との距離が短くなることで電界集中が発生してしまうことを防止することができる。これにより、電力の通過・反射特性が変化してしまうことを緩和することができる。
なお、本実施形態に関しても、上記第1実施形態で説明したように、導波管13の開口端のコーナー部の面取りを行うことで、コーナー部の鋭い角がなくなることから、それだけでも電界集中を緩和することが可能となる。しかしながら、ストリップ線路12の先端12aから短絡導波管ブロック15のうち最も近い壁面15aまでの距離を半径とする円を描いたときに、導波管13におけるコーナー部の凹んだ部分の壁面が、この円よりも外側(円の中心から離れたところ)に位置するように、面取りを行うのが好ましい。
(他の実施形態)
第1、第2実施形態では、上記のような面取りを行う構成の一例として、導波管3、13の開口端におけるコーナー部をテーパ状としたが、これは単なる一例である。例えば、断面テーパ状とするときのテーパ面の角度に関して言えば、図8(a)、(b)に示されるように、緩やかにしても急峻にしても良い。また、断面テーパ状以外の形状で言えば、図8(c)、(d)、(e)に示されるように、断面四角形状としても良いし、断面円形状としても良いし、断面任意形状としても良い。
また、上記各実施形態では、導波管3、13の断面形状が長方形のものを例に挙げて説明したが、必ずしも長方形である必要はない。例えば、正方形でも良く、長方形の各角部が丸められたような形状であっても構わない。
さらに、上記第1実施形態では、導波管3のうちストリップ線路2が延設された辺およびこの辺に対向する辺の2辺において導波管3の開口端を面取りし、上記第2実施形態では、導波管3のうちストリップ線路12が延設された辺に対向する辺の1辺において導波管13の開口端を面取りした場合について説明した。しかしながら、これらは単なる例示であり、例えば、導波管3、13の開口端のすべての辺に対して面取りを行っても良い。
本発明の第1実施形態におけるパッチ共振型の導波管・伝送線路変換器の断面構成を示す図である。 図1に示す導波管・伝送線路変換器の誘電体基板が導波管に対してずれて組み付けられた場合の様子を示した断面図である。 導波管・伝送線路変換器の組み付け誤差と電力の通過・反射特性の変動について調べた結果を示した図である。 断面テーパ状の面取りがなされている場合となされていない場合におけるズレ量と反射量および通過量の関係を示した図である。 導波管の開口端の面取りと整合素子の先端位置との関係を示した図である。 本発明の第2実施形態におけるバックショート型の導波管・伝送線路変換器の断面構成を示す図である。 図6に示す導波管・伝送線路変換器の誘電体基板が導波管に対してずれて組み付けられた場合の様子を示した断面図である。 他の実施形態において説明する導波管の形状を示す断面図である。 従来のパッチ共振型の導波管・伝送線路変換器の模式図であり、(a)は斜視図、(b)は断面図、(c)は上面図、(d)は誘導体基板を裏面側から見たときの図である。 従来のバックショート型の導波管・伝送線路変換器の模式図であり、(a)は斜視分解図、(b)は断面図、(c)は上面図、(d)は誘導体基板を裏面側から見たときの図である。 (a)、(b)は、それぞれ、図9および図10に示す導波管・伝送線路変換器に組み付け誤差が発生した場合の断面図である。 図9に示す導波管・伝送線路変換器の組み付け誤差と電力の通過・反射特性の変動について実験により調べた結果を示した図である。
符号の説明
1…誘電体基板、2…ストリップ線路、3…導波管、4…接地金属層、4a…端部、
5…短絡板、6…整合素子、6a…端部、7…スルーホール、11…誘電体基板、
12…ストリップ線路、12a…端部、13…導波管、14…接地金属層、
15…短絡導波管ブロック。

Claims (8)

  1. 中空部を有する中空形状の導波管(3)と、
    前記導波管(3)の開口端に配置された誘電体基板(1)と、
    前記誘電体基板(1)における前記導波管(3)とは反対側の面に設けられ、前記導波管(3)を構成する任意の辺から前記導波管(3)の中空内側方向に向けて延設されたストリップ線路(2)と、
    前記誘電体基板(1)における前記ストリップ線路(2)が設けられた面とは反対側の面に備えられ、前記誘電体基板(1)の外縁に沿って形成された接地金属層(4)と、
    前記誘電体基板(1)における前記接地金属層(4)が形成された面側に設けられ、前記接地金属層(4)よりも内側において、該接地金属層(4)から所定距離離間して形成された整合素子(6)とを備え、
    前記導波管(3)の開口端において前記誘電体基板(1)が前記接地金属層(4)を介して前記導波管(3)に取り付けられ、前記導波管(3)により伝送される電力と、前記ストリップ線路(2)により伝送される電力とを相互に変換可能な導波管・伝送線路変換器であって、
    前記導波管(3)は、前記開口端における前記導波管(3)の内壁面側のコーナー部であって、前記ストリップ線路(2)が設けられた辺とこの辺に対向する辺とが面取りされて凹まされており、該導波管(3)のうち前記面取りがされている部位が前記面取りがされていない部位に対して、前記中空部のサイズが大きくされていることを特徴とする導波管・伝送線路変換器。
  2. 前記整合素子(6)の先端部を中心として、前記整合素子(6)の端部から前記接地金属層(4)の端部までの距離を半径とする円を描いたとすると、前記導波管(3)における前記コーナー部の凹んだ部分の壁面は、該円よりも該円の中心から離れたところに位置していることを特徴とする請求項1に記載の導波管・伝送線路変換器。
  3. 中空部を有する中空形状の導波管(13)と、
    前記導波管(13)における一方の開口端側に配置される短絡導波管ブロック(15)と、
    前記導波管(13)の前記開口端と前記短絡導波管ブロック(15)との間において、これら前記導波管(13)および前記短絡導波管ブロック(15)に挟まれるような状態で固定された誘電体基板(11)と、
    前記誘電体基板(11)における前記導波管(13)とは反対側の面に設けられ、前記導波管(13)を構成する任意の辺から前記導波管(13)の中空内側方向に向けて延設されたストリップ線路(12)と、
    前記誘電体基板(11)における前記ストリップ線路(12)が設けられた面とは反対側の面に備えられ、前記誘電体基板(11)の外縁に沿って形成された接地金属層(14)とを備え、
    前記導波管(13)の開口端において前記誘電体基板(11)が前記接地金属層(14)を介して前記導波管(13)に取り付けられ、前記導波管(13)により伝送される電力と、前記ストリップ線路(12)により伝送される電力とを相互に変換可能な導波管・伝送線路変換器であって、
    前記導波管(13)は、前記開口端において、前記導波管(13)の内壁面側であって、前記ストリップ線路(2)が設けられた辺とこの辺に対向する辺とが面取りされて凹まされており、該導波管(13)のうち前記面取りがされている部位が前記面取りがされていない部位に対して、前記中空部のサイズが大きくされていることを特徴とする導波管・伝送線路変換器。
  4. 前記ストリップ線路(12)の先端部を中心として、前記ストリップ線路(12)の先端部から前記短絡導波管ブロック(15)における前記ストリップ線路(12)から最も近い壁面(15a)までの距離を半径とする円を描いたとすると、前記導波管(13)における前記コーナー部の凹んだ部分の壁面は、該円よりも該円の中心から離れたところに位置していることを特徴とする請求項3に記載の導波管・伝送線路変換器。
  5. 前記導波管(3、13)は、前記開口端において、前記導波管(3、13)の内壁面側のコーナー部が断面テーパ状に凹んでいることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の導波管・伝送線路変換器。
  6. 前記導波管(3、13)は、前記開口端において、前記導波管(3、13)の内壁面側のコーナー部が断面四角形状に凹んでいることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の導波管・伝送線路変換器。
  7. 前記導波管(3、13)は、前記開口端において、前記導波管(3、13)の内壁面側のコーナー部が断面丸形状に凹んでいることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の導波管・伝送線路変換器。
  8. 前記導波管(3、13)は、前記開口端において、前記導波管(3、13)の内壁面側のコーナー部が断面任意形状に凹んでいることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の導波管・伝送線路変換器。
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