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JP4155386B2 - 自動二輪車のブレーキ制御方法及び装置 - Google Patents

自動二輪車のブレーキ制御方法及び装置 Download PDF

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JP4155386B2 JP2001220504A JP2001220504A JP4155386B2 JP 4155386 B2 JP4155386 B2 JP 4155386B2 JP 2001220504 A JP2001220504 A JP 2001220504A JP 2001220504 A JP2001220504 A JP 2001220504A JP 4155386 B2 JP4155386 B2 JP 4155386B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動二輪車のブレーキ制御方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、特開2000−71962号公報に記載の「自動二輪車用ブレーキ制御装置」においては、前輪マスタシリンダは通常は開なる電磁切替弁を介して前輪ホイールシリンダ及び後輪ホイールシリンダに接続されている。従って、前輪マスタシリンダを作動させた時には、前輪ホイールシリンダ及び後輪ホイールシリンダにブレーキ液を供給するために多量のブレーキ液を必要とする。このためにマスタシリンダの口径を大としなければならず、通常ブレーキ時の前輪マスタシリンダの作動をさせるために、ブレーキレバーへの大きい入力が要求される欠点が生じる。
【0003】
特開2000−71963号公報に記載の「自動二輪車用ブレーキ制御装置」によれば、後輪マスタシリンダのみを作動させると、前輪マスタシリンダから液圧ポンプの駆動によりブレーキ液が排出されて、前輪ホイールシリンダにもブレーキ液が供給される。このような時に、前輪マスタシリンダを作動させるべくブレーキレバーを操作すると、既にブレーキ液が排出されているためにレバーストロークは、前輪マスタシリンダのみを作動させた時よりも小となる。すなわち、ブレーキレバーのストロークのバラツキが大きい。よってブレーキレバーの手に与える感覚が良好でない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、従来より簡単な構成で、また前輪マスタシリンダの口径を小さくして、前輪マスタシリンダを操作するブレーキレバーの操作感覚を常に良好としながら、前輪及び後輪は独立してブレーキをかけることができ、更に前輪又は後輪のマスタシリンダを作動させると他方の後輪又は前輪にもブレーキをかけることができる自動二輪車のブレーキ制御方法及び装置を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
以上の課題は、前輪マスタシリンダと、該前輪マスタシリンダと液接続可能とされる第1の前輪ホイールシリンダと、後輪マスタシリンダと、該後輪マスタシリンダと液接続可能とされる後輪ホイールシリンダ及び第2の前輪ホイールシリンダと、液圧ポンプとを備えた自動二輪車のブレーキ制御方法において、前記前輪マスタシリンダのみを作動させた時には、前記第1の前輪ホイールシリンダにのみブレーキ圧液を供給すると共に、前記液圧ポンプを駆動させて、該液圧ポンプの吐出圧液を前記後輪ホイールシリンダに供給するようにし、前記後輪マスタシリンダのみを作動させた時には、前記後輪ホイールシリンダ及び前記後輪マスタシリンダと前記第2の前輪ホイールシリンダとを結ぶ管路を介して前記第2の前輪ホイールシリンダにブレーキ圧液を供給されるようにしたことを特徴とする自動二輪車のブレーキ制御方法、
又は、前輪マスタシリンダと第1の前輪ホイールシリンダとを結ぶ第1管路に設けられ、通常は前記前輪ホイールシリンダを前記前輪マスタシリンダと連通し、前輪用リザーバと遮断する第1電磁切替弁装置と、後輪マスタシリンダと後輪ホイールシリンダとを結ぶ第2管路に設けられ、通常は前記後輪ホイールシリンダを前記後輪マスタシリンダと連通し、後輪用リザーバと遮断する第2電磁切替弁装置と、前記前輪用及び後輪用リザーバに吸込口を接続し、吐出口を前記前輪マスタシリンダ側及び後輪マスタシリンダ側に接続する液圧ポンプとを備えた自動二輪車のブレーキ制御装置において、前記第2管路内の前記後輪マスタシリンダと前記液圧ポンプの吐出口側との間に設けられ、通常は連通位置を取る第1連動用電磁切替弁と、前記第1連動用電磁切替弁の上流側の前記第2管路と前記液圧ポンプの吸込口側とを接続する第3管路内に設けられ、通常は遮断位置を取る第2連動用電磁切替弁と、前記第1連動用電磁切替弁の上流側の前記第2管路と、前記第1の前輪ホイールシリンダとは別個の第2の前輪ホイールシリンダとを結ぶ第4管路に設けられ、通常は前記第2の前輪ホイールシリンダと前記後輪マスタシリンダとを連通させるが、前記後輪用リザーバとは遮断する第3電磁切替弁装置とを設け、前記前輪マスタシリンダを作動させると、前記第1及び第2連動用電磁切替弁をそれぞれ連通位置から遮断位置へ、及び遮断位置から連通位置へと切り替え、前記液圧ポンプを駆動させるようにしたことを特徴とする自動二輪車のブレーキ制御装置、
又は、前輪マスタシリンダと第1の前輪ホイールシリンダとを結ぶ第1管路に設けられ、通常は前記第1の前輪ホイールシリンダを前記前輪マスタシリンダと連通し、前輪用リザーバと遮断する第1電磁切替弁装置と、後輪マスタシリンダと後輪ホイールシリンダとを結ぶ第2管路に設けられ、通常は前記後輪ホイールシリンダを前記後輪マスタシリンダと連通し、後輪用リザーバと遮断する第2電磁切替弁装置と、前記前輪用及び後輪用リザーバに吸込口を接続し、吐出口を前記前輪マスタシリンダ側及び後輪マスタシリンダ側に接続する液圧ポンプとを備えた自動二輪車のブレーキ制御装置において、前記第2管路内の前記後輪マスタシリンダと前記液圧ポンプの吐出口側との間に設けられ、通常は連通位置を取る第1連動用電磁切替弁と、前記第1連動用電磁切替弁の上流側の前記第2管路と前記液圧ポンプの吸込口側とを接続する第3管路内に設けられ、通常は遮断位置を取る第2連動用電磁切替弁と、前記第1連動用電磁切替弁の上流側の前記第2管路と、前記第1の前輪ホイールシリンダとは別個の第2の前輪ホイールシリンダとを結ぶ第4管路に設けられ、通常は前記第2の前輪ホイールシリンダを前記後輪マスタシリンダと遮断すると共に、前記後輪用リザーバとも遮断する第4電磁切替弁装置とを設け、前記前輪マスタシリンダを作動させると、前記第1及び第2連動用電磁切替弁をそれぞれ連通位置から遮断位置へ、及び遮断位置から連通位置へと切り替え、前記液圧ポンプを駆動させるようにしたことを特徴とする自動二輪車のブレーキ制御装置、によって解決される。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき、図1を参照して説明する。自動二輪車には公知のように手で操作される前輪マスタシリンダ10及び足で操作される後輪マスタシリンダ20が設けられており、これらはそれぞれレバー11及びペダル21を設けている。これらマスタシリンダ10、20からの圧液は、電磁切替弁装置V(一点鎖線で区画される)、管路cを介して第1の前輪ホイールシリンダ12aに圧液を供給し、また管路fを介して後輪ホイールシリンダ22に供給する。電磁切替弁装置Vは、点線で区分けして示されるように左側の前輪用電磁切替弁装置部Vaと、右側の後輪用電磁切替弁装置部Vbとで成っており、前輪用電磁切替弁装置Vaは供給弁13と排出弁14とから成っている。他方、後輪用電磁切替弁装置部Vbは供給弁23、排出弁24及び第1連動用電磁切替弁26及び第2連動用電磁切替弁27から成っている。なお、図示しないが、第1の前輪ホイールシリンダ12aと、第2の前輪ホイールシリンダ12bとの間に、前輪が配設されている。
【0007】
前輪用電磁切替弁装置部Va内に前輪マスタシリンダ10からの管路aから分岐する管路bに供給弁13の入り口が接続されており、この出口は排出弁14の入り口及び第1の前輪ホイールシリンダ12aに接続されている。排出弁14の出口は前輪用リザーバ(低圧リザーバ)15に接続されている。他方、後輪用電磁切替弁装置部Vbでは、管路dに第1連動用電磁切替弁26の入り口側が接続され、この出口側は管路eを介して供給弁23の入り口側及びその出口側は排出弁24の入り口側に接続され、この出口側は後輪用リザーバ(低圧リザーバ)25に接続されている。低圧リザーバ15、25はそれぞれ逆止弁32a及び33a、33bを介して液圧ポンプ30の吸い込み側に接続され、この吐出側はそれぞれ逆止弁32b及び33cを介して管路a、b及び第1連動用電磁切替弁26の出口側及び管路eに接続されている。第2連動用電磁切替弁27の入り口側は管路dに接続され、この出口側は管路g(第3管路…管路dと管路gとで成る)を介して液圧ポンプ30の吸い込み側に接続される逆止弁33a、33bの結合点に接続される。供給弁13、23、排出弁14、24は公知の2ポート、2位置電磁切替弁であり、そのソレノイドSを励磁することにより、連通位置または遮断位置をとる。第1連動用電磁切替弁26は通常は連通位置を取り、ソレノイドSが励磁されると、リリーフ弁位置をとる。その開弁圧力は充分に高いものである。第2連動用電磁切替弁27は、通常は遮断位置を取り、ソレノイドSが励磁すると連通位置をとる。
なお、電磁切替弁13、14、23、24、27は連通位置では絞り連通とされる。またqは逆止弁である。更に排出弁40が後輪ホイールシリンダ22とリザーバ25と間に接続されている。
【0008】
更に、本実施の形態においては、電磁切替弁装置Vの装置部Vbにおいては後輪マスタシリンダ20に接続される管路dに分岐管路として管路h(第4管路)が設けられ、これに2ポート2位置の供給弁41を配設し、この出口側は遅れ弁(ディレーバルブとも言う)42を介して第2の前輪ホイールシリンダ12bに接続される。更に前輪ホイールシリンダ12bから排出されるブレーキ液を通す排出弁40が設けられ、これは一方のリザーバ25に供給される。なお、2ポート2位置の供給弁41と排出弁40とにより第3の電磁切替弁装置を構成する。
【0009】
本実施の形態において、前輪マスタシリンダ10及び後輪マスタシリンダ20を同時に作動させた場合には第1の前輪ホイールシリンダ12aには、前輪マスタシリンダ10からブレーキ圧液を供給され、他方の第2の前輪ホイールシリンダ12bには、後輪マスタシリンダ20からのブレーキ液を管路d、h、供給弁41及び遅れ弁42を介して供給される。遅れ弁42を設けている理由は前輪のブレーキ力のほうが大きく設定されており、ドライバーによっては細い道や一本橋を走行する時には、その車体の姿勢を安定するために後輪のブレーキだけを少しかけたい(いわゆるちょいがけをしたい)場合がある。この場合には前輪にブレーキをかけることなく後輪のみにブレーキをかけたいがためである。
【0010
以上、本発明の実施の形態の構成を説明したが、次にこの作用について説明する。
【0011
まず、通常のブレーキ作用について説明する。今、前輪側マスタシリンダ10のハンドレバー11を操作し、かつ後輪側マスタシリンダ20のフットペダル21を踏み込んだとする。これらのマスタシリンダ10、20で発生した圧液は、管路a、b及び今、電磁切替弁装置Vにおいてそれぞれ図示の状態にある供給弁13を介して、更に供給弁41を介 して前輪ホイールシリンダ12a、12bに圧液を供給して前輪にブレーキをかけると共に第1連動用電磁切替弁26及び第2連動用電磁切替弁27は図示の状態にあり、後輪マスタシリンダ20からの圧液も、第1連動用電磁切替弁26、管路e、供給弁23、管路fを通って後輪ホイールシリンダ22に圧液が供給され、後輪にもブレーキがかけられる。
【0012
次に前輪マスタシリンダ10のブレーキレバー11は操作するが、後輪マスタシリンダ20のフットペダル21は踏み込まない場合について説明する。前輪マスタシリンダ10からの圧液は管路a及び供給弁13及び管路cを通って第1の前輪ホイールシリンダ12aに圧液が供給され、前輪にブレーキがかけられる。一方、前輪マスタシリンダ10にはブレーキスイッチBLS(図示せず)が設けられているので、これがONし、かつ管路b内の圧力を検出する図示しない液圧センサの出力が得られることにより第1連動用電磁切替弁26のソレノイドS及び第2連動用電磁切替弁27のソレノイドSが励磁され、これらはそれぞれ遮断位置(リリーフ弁機能を有するが、本明細書では遮断位置と称する)及び連通位置をとる。そして液圧ポンプ30が駆動される。よって後輪マスタシリンダ20からの吸い込まれたブレーキ圧液は管路d、第2連動用電磁切替弁27、管路gを通って逆止弁33a、33bの結合点に供給される。逆止弁33b、33cを開弁させて液圧ポンプ30の吐出口から発生する圧液を管路e、供給弁23を通って、更に管路fを通って後輪ホイールシリンダ22に圧液を供給する。よって後輪にもブレーキがかけられる。すなわち、前輪のブレーキ作用に連動して後輪にもブレーキがかけられたことになる。なお、この後輪へのブレーキ作用中にブレーキペダル21を踏み込むと、既にこの後輪マスタシリンダ20からブレーキ液が排出されているので、ブレーキペダル21の踏み込みはやや浅くなるが、この操作は履物を履いた足で踏み込むので、手で操作する場合よりも感覚は鈍く、従って多少のブレーキペダルのストロークの変化は何ら感覚的に問題にならない。
【0013
なお、マスタシリンダ液圧又はホイールシリンダ液圧に応じて、前後連動ブレーキ液圧を可変にするのが好ましい。例えば、ドライバーによる少しのブレーキ作動時、連動ブレーキ液圧も小さくする。これは例えば、第2連動用切替弁27の開弁時間を調整することによって達成できる。
【0014
又、本実施の形態ではブレーキスイッチBLSと液圧センサの出力により、前輪ホイールシリンダの作動を検出するようにしたが、液圧センサの出力に代えて前車輪のスリップを検出するようにしてもよい。ブレーキスイッチBLSで確かにドライバがブレーキレバーを操作したことを確認し、これに液圧センサ又はスリップ検出を加えて、確実に前輪にブレーキをかけていることを確認する。
【0015
次に前輪マスタシリンダ10は操作せず、後輪マスタシリンダ20のみを操作する場合について説明する。ブレーキペダル21を踏み込むと、このマスタシリンダ20からのブレーキ液は管路d、第1連動用電磁切替弁26、管路e、供給弁23、管路fを通って、後輪ホイールシリンダ22に圧液が供給されブレーキがかけられる。供給弁41を介して第2の前輪ホイールシリンダ12bにブレーキ圧液が供給される。前輪マスタシリンダ10側には後輪側のように第1、第2連動用電磁切替弁が設けられておらず、よってブレーキ管路を簡素化している。すなわち、前輪マスタシリンダ10からブレーキ液が排出されることはない。従って、ブレーキペダル21を踏み込みながら後で、前輪マスタシリンダ10のブレーキレバー11を操作するとしてもそれまでにマスタシリンダから何らブレーキ液が排出されていないので、手に対する感覚は良好であり、所望のブレーキを違和感なく前輪にかけることができる。
【0016
前輪及び後輪には図示しないが車輪速度センサが設けられており、この出力を受けて図示しないコントロールユニットが公知のロジックによって、ブレーキを弛めるべきか、保持すべきか、増大すべきかを判断し、この判断に応じて電磁切替弁13、14、及び26、27、23、24、40、41のソレノイドSを励磁及び非励磁とする。これにより、ホイールシリンダ12a、12b及び22に供給される液圧は公知のように保持、低下、増大され、公知のアンチスキッド作用を行う。
【0017
更に本発明の実施の形態によれば、後輪に駆動スリップが生じたとコントロールユニットが判断すると、第1連動用電磁切替弁26及び第2連動用電磁切替弁27のソレノイドを励磁し、また液圧ポンプ30を駆動して後輪マスタシリンダ20からブレーキ液を吸い込み、液圧ポンプの吐出圧は管路e、供給弁23を通り、後輪ホイールシリンダ22に供給され、よって駆動スリップを低下させる。もしくは最適化させる(この場合には、供給弁23及び排出弁24も励磁、非励磁とされる)ものである。公知のように自動二輪車においては、後輪が駆動輪である。
【0018
本発明の実施の形態によれば、更に電子制動力配分が行われる。すなわち、図2で示すように、前輪ブレーキ力と後輪ブレーキ力との間には、車体減速度g1 、g2 、・・・に応じて図示するような割合で変化すべく制動力が配分される。すなわち、後輪のホイールシリンダの液圧を制御する電磁切替弁23、24、26及び27のソレノイド部Sがそれぞれアンチスキッド制御時及び駆動スリップ制御時には上述したようにそれぞれ励磁、非励磁とされるのであるが、後輪のブレーキ力は前輪のブレーキ力に対して車体減速度がg3 の値までは45度すなわち同等に変化させられる。g3 を越えるとg4 、g5 、g6 と増大するにしたがって減少し、ついには後輪のブレーキ力はゼロへと減少していくのであるが、このために供給用電磁切替弁23のソレノイド部Sが励磁とされた場合には保持、更に排出用電磁切替弁24のソレノイド部Sが励磁された場合には低下する。よってブレーキ力を増大させる時には図示しない電子制動力配分制御器に記憶されているパターンにしたがって、後輪のブレーキ力を図に示すパターンで減少させる。
【0019
は本発明の第の実施の形態を示すが、上記第の実施の形態と対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
すなわち、本実施の形態では、図における供給弁41の代わりに遮断弁51が設けられ、通常は遮断状態であり、ソレノイド部Sが励磁されると連通状態となる。これは前輪ホイールシリンダ12bの一方の小ポート12bbに接続される。他方の大ポート12baには前輪マスタシリンダ10からの管路cが接続されている。
【0020
また本実施の形態においては、前輪マスタシリンダ10と液圧ポンプ30の吐出側との間の管路に液圧センサFSが接続される。また、後輪マスタシリンダ20側に接続される供給弁23の出口側と後輪ホイールシリンダ22との間の管路に液圧センサRSが接続されている。これらにより、それぞれ前輪マスタシリンダ10の発生液圧及び後輪ホイールシリンダ22に加えられる液圧が測定される。後輪マスタシリンダ20を作動させて供給弁23を介して後輪ホイールシリンダ22に圧液が加えられると、一方の液圧センサRSがこの液圧を検知する。この検知信号により電磁切替弁51のソレノイド部Sが励磁される。よって連通状態となり、後輪マスタシリンダ20の液圧は前輪ホイールシリンダ12の小ポート12bbに加えられる。よって前輪マスタシリンダ10を作動せずとも後輪マスタシリンダ20からブレーキ液圧が供給されて、前車輪にもブレーキがかかる。なお、後輪マスタシリンダ20に設けられている図示しないBLSスイッチにより、同マスタシリンダ20を作動させたことを検知し、該検知信号で切替弁51のソレノイド部Sを励磁するようにしてもよい。
【0021
また本実施の形態では、例えば車輪速度センサに断線が生じたり、電磁切替弁装置のコイル断線が生じたり、装置の電源電圧が低下した時はシステム異常と判断され、これにより全ての電磁切替弁のソレノイドSへの励磁は解かれる。よってアンチスキッド制御や駆動スリップ制御は行われなくなる。上述の第2の実施の形態では、供給弁41は通常は連通状態である。すなわち、ソレノイド部Sが励磁されない時が連通状態であるために、前輪側と後輪側とで独立してブレーキをかけたいのであるが、後輪マスタシリンダ20からのブレーキ圧液が前輪ホイールシリンダ12bに加えられるために、今、アンチスキッド制御を行っていないので前輪側をロックする恐れがある。然るに本実施の形態では、切替弁51は通常は遮断状態であるので、前輪と後輪とは独立してブレーキがかけられ、このような恐れはない。
【0022
上述したように、本発明の実施の形態では、液圧センサFS及びRSが配設されているが、後輪液圧センサRSの出力を前輪液圧センサFSの出力に応じて所定の比例状態を保つように制御することができる。すなわち、第1連動用電磁切替弁26のソレノイド部S及び第2の連動用電磁切替弁27のソレノイド部Sをオン・オフするか、液圧ポンプ30の電動機Mのオン・オフにより後輪マスタシリンダ20から吸込まれるブレーキ液の量を制御することにより、後輪のブレーキ液圧を所望の割合に制御することができる。勿論、前輪液圧センサFSの出力によって第1、第2連動用電磁切替弁26、27のソレノイド部Sを励磁することができる。
【0023
以上、本発明の実施の形態について説明したが、勿論、本発明はこれらに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0024
例えば以上の実施の形態では、前輪マスタシリンダ10に接続される第1の電磁切替弁装置Vaは供給弁13と排出弁14とから成るとしたが、これに代えて1個の3ポート3位置電磁切替弁のみでブレーキ力を増大させたり、保持させたり、減少させるようにしてもよい。後輪マスタシリンダ20に接続される第2の電磁切替弁装置Vbにおいても同様である。またホイールシリンダは図示の形態に限ることなく、例えば特開2000−71962号公報に開示されている「ホイールシリンダ」のように3個の入力ポートを持った前輪ホイールシリンダを用い、これら3個のポートにそれぞれ前輪マスタシリンダ10をブレーキ管路を介して接続するようにしてもよい。この場合、1つのポートを連動用のポート(別個の前輪ホイールシリンダ)として用い、他の2つは前輪マスタシリンダ10とを直接接続させるようにすればよい。
【0025
また以上の第の実施の形態では、前輪マスタシリンダ10は図における上方の前輪ホイールシリンダ12aと下方の前輪ホイールシリンダ12bの両方に接続しているが、第の実施の形態と同様に、図における上方の前輪ホイールシリンダ12aとのみ接続するようにしてもよい。
【0026
また、図の実施の形態において後輪マスタシリンダ20と第2連動用電磁切替弁27との間の管路に液圧センサを追加してもよい。そうすれば、前輪マスタシリンダ10のみを操作し、後輪に連動ブレーキがかけられている場合、すなわち、第1連動用電磁切替弁26が遮断位置、第2連動用電磁切替弁27が連通位置で液圧ポンプ30が駆動中である時に、後輪マスタシリンダ20も操作した場合、後輪マスタシリンダ20と第2連動用電磁切替弁27との間の液圧と、第2電磁切替弁装置(切替弁23、24)と、後輪ホイールシリンダ22との間の液圧(液圧センサRSの出力)を比較し、同圧になった時点、又は同圧に近づいた時点で、第1、第2連動用電磁切替弁を通常の位置(第1連動用電磁切替弁が連通位置、第2連動用切替弁が遮断位置)に切り替えると、後輪マスタシリンダ20の操作が滑らかとなる。
【0027
【発明の効果】
以上述べたように本発明の自動二輪車のブレーキ制御方法及び装置によれば、従来より 簡単な構成で自動二輪車において前輪マスタシリンダを操作するハンドブレーキの操作感覚を従来より大幅に向上させながらマスタシリンダの口径と、必要なブレーキ液量との均衡を設定するのに何ら困難な問題を生じさせない。更に、前輪及び後輪のマスタシリンダの一方を操作させたときでも、他方の後輪及び前輪のホイールシリンダにブレーキ圧液を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図】 本発明の第の実施の形態による自動二輪車のブレーキ液圧制御装置の配管系統図である。
【図】 前輪ブレーキ力と後輪ブレーキ力との間の電子制動配分制御を説明するチャートである。
【図】 本発明の第の実施の形態による自動二輪車のブレーキ制御装置の配管系統図である。
【符号の説明】
10 前輪マスタシリンダ
11 ブレーキレバー
12a、12b 前輪ホイールシリンダ
20 後輪マスタシリンダ
21 ブレーキペダル
22 後輪ホイールシリンダ
26 第1連動用電磁切替弁
27 第2連動用電磁切替弁
30 液圧ポンプ
40 排出弁
41 供給弁
51 遮断弁

Claims (19)

  1. 前輪マスタシリンダと、該前輪マスタシリンダと液接続可能とされる第1の前輪ホイールシリンダと、後輪マスタシリンダと、該後輪マスタシリンダと液接続可能とされる後輪ホイールシリンダ及び第2の前輪ホイールシリンダと、液圧ポンプとを備えた自動二輪車のブレーキ制御方法において、前記前輪マスタシリンダのみを作動させた時には、前記第1の前輪ホイールシリンダにブレーキ圧液を供給すると共に、前記液圧ポンプを駆動させて、該液圧ポンプの吐出圧液を前記後輪ホイールシリンダにのみ供給するようにし、前記後輪マスタシリンダのみを作動させた時には、前記後輪ホイールシリンダ及び前記後輪マスタシリンダと前記第2の前輪ホイールシリンダとを結ぶ管路を介して前記第2の前輪ホイールシリンダにブレーキ圧液を供給されるようにしたことを特徴とする自動二輪車のブレーキ制御方法。
  2. 前記後輪マスタシリンダと前記第2の前輪ホイールシリンダとは遅れ弁を介して接続されることを特徴とする請求項1に記載の自動二輪車のブレーキ制御方法。
  3. 前記前輪マスタシリンダの作動を検出することにより、前記液圧ポンプを駆動させるようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の自動二輪車のブレーキ制御方法。
  4. 前記前輪マスタシリンダ及び前記後輪マスタシリンダと、前記前輪ホイールシリンダ及び前記後輪ホイールシリンダとの間に配設される電磁切替弁装置の制御により前記前輪ホイールシリンダ及び前記後輪ホイールシリンダのブレーキ圧液をアンチスキッド制御するようにしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の自動二輪車のブレーキ制御方法。
  5. 前記電磁切替弁装置の制御により、前記後輪ホイールシリンダのブレーキ圧液の駆動スリップ制御を前記液圧ポンプの駆動により行えるようにしたことを特徴とする請求項4に記載の自動二輪車のブレーキ制御方法。
  6. システム異常時は前記電磁切替弁装置への通電を遮断するようにしたことを特徴とする請求項5に記載の自動二輪車のブレーキ制御方法。
  7. 前輪マスタシリンダと第1の前輪ホイールシリンダとを結ぶ第1管路に設けられ、通常は前記前輪ホイールシリンダを前記前輪マスタシリンダと連通し、前輪用リザーバと遮断する第1電磁切替弁装置と、
    後輪マスタシリンダと後輪ホイールシリンダとを結ぶ第2管路に設けられ、通常は前記後輪ホイールシリンダを前記後輪マスタシリンダと連通し、後輪用リザーバと遮断する第2電磁切替弁装置と、
    前記前輪用及び後輪用リザーバに吸込口を接続し、吐出口を前記前輪マスタシリンダ側及び後輪マスタシリンダ側に接続する液圧ポンプとを備えた自動二輪車のブレーキ制御装置において、
    前記第2管路内の前記後輪マスタシリンダと前記液圧ポンプの吐出口側との間に設けられ、通常は連通位置を取る第1連動用電磁切替弁と、
    前記第1連動用電磁切替弁の上流側の前記第2管路と前記液圧ポンプの吸込口側とを接続する第3管路内に設けられ、通常は遮断位置を取る第2連動用電磁切替弁と、
    前記第1連動用電磁切替弁の上流側の前記第2管路と、前記第1の前輪ホイールシリンダとは別個の第2の前輪ホイールシリンダとを結ぶ第4管路に設けられ、通常は前記第2の前輪ホイールシリンダと前記後輪マスタシリンダとを連通させるが、前記後輪用リザーバとは遮断する第3電磁切替弁装置とを設け、
    前記前輪マスタシリンダを作動させると、前記第1及び第2連動用電磁切替弁をそれぞれ連通位置から遮断位置へ、及び遮断位置から連通位置へと切り替え、前記液圧ポンプを駆動させるようにしたことを特徴とする自動二輪車のブレーキ制御装置。
  8. 前記第3電磁切替弁装置と前記第2の前輪ホイールシリンダとの間に遅れ弁を接続させたことを特徴とする請求項7に記載の自動二輪車のブレーキ制御装置。
  9. 前記前輪マスタシリンダの作動を検出することにより、前記液圧ポンプを駆動させ、かつ前記第1、第2連動用電磁切替弁を制御して前記後輪ホイールシリンダにブレーキ液を供給するようにしたことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の自動二輪車のブレーキ制御装置。
  10. 前記第1、第2電磁切替弁装置の制御により前記第1、第2前輪ホイールシリンダ及び前記後輪ホイールシリンダのブレーキ圧液をアンチスキッド制御するようにしたことを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の自動二輪車のブレーキ制御装置。
  11. 前記第1、第2、第3電磁切替弁装置の制御により前記第1、第2前輪ホイールシリンダ及び前記後輪ホイールシリンダのブレーキ圧液をアンチスキッド制御するようにしたことを特徴とする請求項7乃至10のいずれかに記載の自動二輪車のブレーキ制御装置。
  12. 前記第2電磁切替弁装置の制御と前記液圧ポンプの駆動により、前記後輪ホイールシリンダのブレーキ圧液の駆動スリップ制御を行えるようにしたことを特徴とする請求項7乃至11のいずれかに記載の自動二輪車のブレーキ制御装置。
  13. 前輪マスタシリンダと第1の前輪ホイールシリンダとを結ぶ第1管路に設けられ、通常は前記第1の前輪ホイールシリンダを前記前輪マスタシリンダと連通し、前輪用リザーバと遮断する第1電磁切替弁装置と、
    後輪マスタシリンダと後輪ホイールシリンダとを結ぶ第2管路に設けられ、通常は前記後輪ホイールシリンダを前記後輪マスタシリンダと連通し、後輪用リザーバと遮断する第2電磁切替弁装置と、
    前記前輪用及び後輪用リザーバに吸込口を接続し、吐出口を前記前輪マスタシリンダ側及び後輪マスタシリンダ側に接続する液圧ポンプとを備えた自動二輪車のブレーキ制御装置において、
    前記第2管路内の前記後輪マスタシリンダと前記液圧ポンプの吐出口側との間に設けられ、通常は連通位置を取る第1連動用電磁切替弁と、
    前記第1連動用電磁切替弁の上流側の前記第2管路と前記液圧ポンプの吸込口側とを接続する第3管路内に設けられ、通常は遮断位置を取る第2連動用電磁切替弁と、
    前記第1連動用電磁切替弁の上流側の前記第2管路と、前記第1の前輪ホイールシリンダとは別個の第2の前輪ホイールシリンダとを結ぶ第4管路に設けられ、通常は前記第2の前輪ホイールシリンダを前記後輪マスタシリンダと遮断すると共に、前記後輪用リザーバとも遮断する第4電磁切替弁装置とを設け、
    前記前輪マスタシリンダを作動させると、前記第1及び第2連動用電磁切替弁をそれぞれ連通位置から遮断位置へ、及び遮断位置から連通位置へと切り替え、前記液圧ポンプを駆動させるようにしたことを特徴とする自動二輪車のブレーキ制御装置。
  14. 前記第4電磁切替弁装置と前記第2の前輪ホイールシリンダとの間に遅れ弁を接続させたことを特徴とする請求項13に記載の自動二輪車のブレーキ制御装置。
  15. 前記後輪マスタシリンダを作動させると、前記第4電磁切替弁装置を、前記後輪マスタシリンダと前記第2の前輪ホイールシリンダとが連通する状態に切り替えるようにしたことを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の自動二輪車のブレーキ制御装置。
  16. 前記第1、第2、第4電磁切替弁装置のいずれかの制御により前記前輪及び後輪をアンチスキッド制御するようにしたことを特徴とする請求項13乃至15のいずれかに記載の自動二輪車のブレーキ制御装置。
  17. 前記第2電磁切替弁装置及び前記第1、第2連動用電磁切替弁の制御と前記液圧ポンプの駆動により、前記後輪の駆動スリップ制御をするようにしたことを特徴とする請求項13乃至16のいずれかに記載の自動二輪車のブレーキ制御装置。
  18. 前後制動力配分制御を行うようにしたことを特徴とする請求項7乃至17のいずれかに記載の自動二輪車のブレーキ制御装置。
  19. システム異常時は、前記第1、第2、第4電磁切替弁装置及び前記第1、第2連動用電磁切替弁への通電を遮断するようにしたことを特徴とする請求項13乃至18のいずれかに記載の自動二輪車のブレーキ制御装置。
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