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JP4154563B2 - シリカ含有複合酸化物球状微粒子及びその製造方法 - Google Patents

シリカ含有複合酸化物球状微粒子及びその製造方法 Download PDF

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JP4154563B2 JP2002051535A JP2002051535A JP4154563B2 JP 4154563 B2 JP4154563 B2 JP 4154563B2 JP 2002051535 A JP2002051535 A JP 2002051535A JP 2002051535 A JP2002051535 A JP 2002051535A JP 4154563 B2 JP4154563 B2 JP 4154563B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ICエポキシ樹脂封止剤の充填剤、研磨剤、導電剤、光触媒、更には透明フィルムの添加剤、液晶表示装置等の反射防止膜用の光透過性添加剤等としても有用とされる、シリカ含有複合酸化物球状微粒子、その製造方法及びこのシリカ含有複合酸化物球状微粒子からなる屈折率調整用添加剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、シリカ含有複合酸化物微粒子の製造方法としては、クロルシランと金属塩化物を加熱蒸発させ、火炎中で加水分解する方法(特許第2503370号)、シリカ及び金属酸化物の粉末を可燃性液体に分散したスラリーを噴霧燃焼する方法(特開平10−297915号公報)、多孔質球状シリカゲルに金属酸化物の微粒子が分散した水性コロイドゾルを添加し、凝集乾燥する方法(特開平6−127932号公報)、アルカリケイ酸水溶液に二酸化チタン微粒子を分散させた分散液を界面活性剤を含む有機溶媒中で乳化し、エマルジョンを形成したのち、炭酸ガスを導入し、分散液滴をゲル化する方法(特開平11−322324号公報)、四塩化ケイ素を液体状又はガス状で二酸化チタン粉末に接触させ、表面に加水分解物を形成する方法(特開平7−247118号公報)により、シリカ含有複合酸化物微粒子を製造することが知られている。
【0003】
しかし、クロルシランや金属塩化物を火炎加水分解する方法では、クロルシラン及び金属塩化物に含まれる塩素が抜け切らず、また、原料を加熱蒸発するためには大気圧下で加熱蒸発可能な金属塩化物に限定されるという不利があった。更に、シリカ及び金属酸化物の粉末を可燃性液体と共にスラリーにして噴霧燃焼する方法では、シリカ及び金属酸化物の融点が異なり、かつ原料粉末の粒度が不均一であることにより、溶融開始点にずれが生じ、均一な複合酸化物が得られないという不利があった。また、多孔質球状シリカゲルに金属酸化物のコロイドゾルを添加し、乾燥ゲル化する方法では、コロイドゾルを多孔質内に完全に浸透させ、浸透したコロイドゾルを乾燥させるのに時間を要し、また、乾燥時にゾルが体積収縮し、細孔内に空隙が残り易いという不利があった。二酸化チタン微粒子をアルカリケイ酸水溶液に分散し、有機溶媒中でエマルジョン化し、ゲル化させる方法では、二酸化チタンの表層をシリカ膜でコーティングすることは可能であるが、二酸化チタンをシリカ内部に均一に複合化することは難しく、かつアルカリ金属が残存するという不利があった。二酸化チタンと四塩化ケイ素とを接触加水分解する方法では、塩素が残存するという不利があった。
【0004】
一方、従来、粉末の屈折率を調整する方法としては、1)屈折率が異なる異種の酸化物を混合し溶融させ、塊状で冷却固化させたのち、粉砕して粉末にする方法、2)ゾル−ゲル法で得た塊状の複合酸化物を粉砕する方法、3)異種の金属アルコキシドを液相で共加水分解する方法、4)金属アルコキシドを気相加水分解する方法、5)金属塩化物の混合蒸気を火炎中で加水分解する方法が知られている。
【0005】
しかし、1)溶融、粉砕により粉末化する方法では、溶融後の冷却時に組成の偏析を生じ易く、粒子径の微細化に限界があり、また粉砕により、不純物が混入する。2)ゾル−ゲル法で得た塊状の複合酸化物を粉砕する方法も同様に、粒子の微細化に限界があり、また粉砕により、不純物が混入する。3)液相での金属アルコキシド共加水分解法では、滴下反応に時間がかかり、かつ高温での後加熱が必要なことから、高価となり、また加熱時の結晶粒子の成長を防ぐため、複合化組成に制限がある。4)金属アルコキシドを蒸発させ、気相で加水分解する方法では、沸点の高い金属アルコキシドは高い蒸気圧が得られず、複合化組成が制限され、かつ粒子は超微細となり、50nm以上の粒子が得難い。また、5)金属塩化物の混合蒸気を火炎中で加水分解する方法では、沸点が低い金属塩化物に限定され、複合化組成に制限がある。また製品中に塩素が残留する等の問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、シリカとシリカ以外の金属酸化物が均一に複合化されたシリカ含有複合酸化物球状微粒子、その製造方法及び微粒子からなる屈折率調整用添加剤を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、ハロゲンを含まないシロキサンと、ケイ素以外の1種類以上の金属を含む有機金属化合物を原料とし、これを火炎中で同時に噴霧燃焼することにより得られるシリカとシリカ以外の金属酸化物が均一に分散、複合化されたシリカ含有複合酸化物球状微粒子であって、実質的にハロゲンを含まず、ケイ素以外の金属酸化物が適切な濃度で含有され、適切な粒子径をもったシリカ含有複合酸化物球状微粒子が得られることを知見した。またこの場合、屈折率が1.4〜2.5のものは、光半導体用ICエポキシ樹脂封止剤の光透過性充填剤、透明フィルムへの添加剤や屈折率調整剤等として好適であることを見出し、本発明をなすに至った。
【0008】
従って、本発明は、下記シリカ含有複合酸化物球状微粒子及びその製造方法を提供する。
(1)ハロゲンを含まないシロキサンと、ケイ素以外の2種類以上の金属を含む有機金属化合物とを原料とし、これを火炎中で同時に噴霧燃焼することにより得られ、ハロゲンを含まず、シリカ以外の金属酸化物の含有量合計が0.5〜99重量%、粒子径10nm〜3μmであることを特徴とするシリカ含有複合酸化物球状微粒子、
(2)ケイ素以外の金属がTi,Al,Zn,Zr,Sn,Mg,Y,Be,Bから選ばれる2種以上であり、これらの金属を含む有機金属化合物が金属アルコキシド化合物、金属アシレート化合物、金属アルキル化合物又は金属キレート化合物であることを特徴とする(1)記載のシリカ含有複合酸化物球状微粒子、
(3)ハロゲンを含まないシロキサンと、ケイ素以外の金属としてAl,Zn,Zr,Sn,Mg,Y,Be,Bから選ばれる1種類以上の金属を含む有機金属化合物とを原料とし、これを火炎中で同時に噴霧燃焼することにより得られ、ハロゲンを含まず、シリカ以外の金属酸化物の含有量合計が0.5〜99重量%、粒子径10nm〜3μmであることを特徴とするシリカ含有複合酸化物球状微粒子、
(4)ケイ素以外の金属を含む有機金属化合物が金属アルコキシド化合物、金属アシレート化合物、金属アルキル化合物又は金属キレート化合物であることを特徴とする(3)記載のシリカ含有複合酸化物球状微粒子、
(5)前記ケイ素以外の金属を含む有機金属化合物が、室温で液体あるいは溶液状であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項記載のシリカ含有複合酸化物球状微粒子、
(6)ハロゲンを含まないシロキサンと、ケイ素以外の金属としてTiを含む室温で液体の有機金属化合物とを原料とし、これを火炎中で同時に噴霧燃焼することにより得られ、ハロゲンを含まず、シリカ以外の金属酸化物の含有量合計が0.5〜99重量%、粒子径10nm〜3μmであることを特徴とするシリカ含有複合酸化物球状微粒子、
(7)Tiを含む有機金属化合物が金属アルコキシド化合物、金属アシレート化合物、金属アルキル化合物又は金属キレート化合物であることを特徴とする(6)記載のシリカ含有複合酸化物球状微粒子、
(8)ハロゲンを含まないシロキサンが、下記一般式(1),(2),(3)で示されるいずれかのシロキサン又はこれらの混合物である(1)〜(7)のいずれか1項記載のシリカ含有複合酸化物球状微粒子
(R13SiO[SiR23O]mSi(R43 (1)
(式中、R1,R2,R3,R4は互いに同一でも異なっていてもよく、一価炭化水素基、アルコキシ基、又は水素原子であり、m≧0の整数である。)
[SiR23O]n (2)
(式中、R2,R3は上記と同じ意味を示し、n≧3の整数である。)
【化4】
Figure 0004154563
(式中、R5,R6,R7,R8は互いに同一でも異なっていてもよく、一価炭化水素基、アルコキシ基、又は水素原子であり、p,q,r,s≧0の整数であり、p+q+r+sは3〜80である。)、
(9)屈折率が1.4〜2.5の範囲であることを特徴とする(1)〜(8)のいずれか1項記載のシリカ含有複合酸化物球状微粒子、
(10)可視光(400〜760nm)の波長における光透過率が90%以上である(9)記載のシリカ含有複合酸化物球状微粒子、
(11)(9)又は(10)記載のシリカ含有複合酸化物球状微粒子からなる屈折率調整用添加剤、
(12)ハロゲンを含まないシロキサンとケイ素以外の2種類以上の金属を含む有機金属化合物とを原料とし、ケイ素以外の2種類以上の金属を含む有機金属化合物が液体のものはそのまま、固体のものはシロキサン、アルコール又は炭化水素系溶剤に溶解して、上記ハロゲンを含まないシロキサンと同時に火炎中で溶液状として噴霧燃焼させ、得られた微粒子を回収することを特徴とするハロゲンを含まず、シリカ以外の金属酸化物の含有量合計が0.5〜99重量%、粒子径10nm〜3μmであるシリカ含有複合酸化物球状微粒子の製造方法、
(13)ケイ素以外の金属がTi,Al,Zn,Zr,Sn,Mg,Y,Be,Bから選ばれる2種以上であり、これらの金属を含む有機金属化合物が金属アルコキシド化合物、金属アシレート化合物、金属アルキル化合物又は金属キレート化合物であることを特徴とする(12)記載のシリカ含有複合酸化物球状微粒子の製造方法、
(14)ハロゲンを含まないシロキサンとケイ素以外の金属としてAl,Zn,Zr,Sn,Mg,Y,Be,Bから選ばれる1種類以上の金属を含む有機金属化合物とを原料とし、ケイ素以外の1種類以上の金属を含む有機金属化合物が液体のものはそのまま、固体のものはシロキサン、アルコール又は炭化水素系溶剤に溶解して、上記ハロゲンを含まないシロキサンと同時に火炎中で溶液状として噴霧燃焼させ、得られた微粒子を回収することを特徴とするハロゲンを含まず、シリカ以外の金属酸化物の含有量合計が0.5〜99重量%、粒子径10nm〜3μmであるシリカ含有複合酸化物球状微粒子の製造方法、
(15)ケイ素以外の金属を含む有機金属化合物が金属アルコキシド化合物、金属アシレート化合物、金属アルキル化合物又は金属キレート化合物であることを特徴とする(14)記載のシリカ含有複合酸化物球状微粒子の製造方法、
(16)前記ケイ素以外の金属を含む有機金属化合物が、室温で液体あるいは溶液状であることを特徴とする(12)〜(15)のいずれか1項記載のシリカ含有複合酸化物球状微粒子の製造方法、
(17)ハロゲンを含まないシロキサンとケイ素以外の金属としてTiを含む室温で液体の有機金属化合物とを原料とし、この液体の有機金属化合物をそのまま、上記ハロゲンを含まないシロキサンと同時に火炎中で溶液状として噴霧燃焼させ、得られた微粒子を回収することを特徴とするハロゲンを含まず、シリカ以外の金属酸化物の含有量合計が0.5〜99重量%、粒子径10nm〜3μmであることを特徴とするシリカ含有複合酸化物球状微粒子の製造方法、
(18)Tiを含む有機金属化合物が金属アルコキシド化合物、金属アシレート化合物、金属アルキル化合物又は金属キレート化合物であることを特徴とする(17)記載のシリカ含有複合酸化物球状微粒子の製造方法、
(19)ハロゲンを含まないシロキサンが、下記一般式(1),(2),(3)で示されるいずれかのシロキサン又はこれらの混合物である(12)〜(18)のいずれか1項記載のシリカ含有複合酸化物球状微粒子の製造方法
(R13SiO[SiR23O]mSi(R43 (1)
(式中、R1,R2,R3,R4は互いに同一でも異なっていてもよく、一価炭化水素基、アルコキシ基、又は水素原子であり、m≧0の整数である。)
[SiR23O]n (2)
(式中、R2,R3は上記と同じ意味を示し、n≧3の整数である。)
【化5】
Figure 0004154563
(式中、R5,R6,R7,R8は互いに同一でも異なっていてもよく、一価炭化水素基、アルコキシ基、又は水素原子であり、p,q,r,s≧0の整数であり、p+q+r+sは3〜80である。)
【0009】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明のシリカ含有複合酸化物球状微粒子は、ハロゲンを含まないシロキサンと、ケイ素以外の1種類以上の金属を含む有機金属化合物とを原料とし、これを火炎中で同時に噴霧燃焼することにより得られ、実質的にハロゲンを含まず、シリカ以外の金属酸化物の含有量合計が0.5〜99重量%、好ましくは1〜99重量%、より好ましくは5〜99重量%で粒子径10nm〜3μm、好ましくは20nm〜3μmのものである。
【0010】
このような本発明によるシリカ含有複合酸化物球状微粒子は、シロキサンとケイ素以外の1種類以上の金属を含む有機金属化合物を同時に噴霧して火炎中で酸化燃焼して、シリカとシリカ以外の金属酸化物を含有したシリカ含有複合酸化物球状微粒子を得るにあたり、ケイ素以外の金属を含む有機金属化合物として、金属アルコキシド化合物、金属アシレート化合物、金属有機酸化合物、金属アルキル化合物又は金属キレート化合物を用い、好適には室温(例えば25℃)で液体のものはそのまま、固体のものはシロキサン、アルコール又は炭化水素系溶剤に溶解し、液体(即ち溶液状)として、シロキサンと同時に噴霧燃焼することにより製造する方法が有効に採用される。
【0011】
ここに使用されるシロキサン(即ち、オルガノ(ポリ)シロキサン化合物を意味する。以下同様)は、ハロゲンを含まない下記一般式(1)
(R13SiO[SiR23O]mSi(R43 (1)
(式中、R1,R2,R3,R4は互いに同一でも異なっていてもよく、一価炭化水素基、アルコキシ基、又は水素原子であり、m≧0の整数である。)
で表される直鎖状オルガノポリシロキサン、下記一般式(2)
[SiR23O]n (2)
(式中、R2,R3は上記と同様の意味を示し、n≧3の整数である。)
で表される環状オルガノポリシロキサン、下記一般式(3)
【化1】
Figure 0004154563
(式中、R5,R6,R7,R8は互いに同一でも異なっていてもよく、一価炭化水素基、アルコキシ基、又は水素原子であり、p,q,r,s≧0の整数である。)
で表される分岐状、一部分岐を有する直鎖状、三次元網状等のオルガノポリシロキサン又はこれらの混合物が挙げられる。
【0012】
この場合、R1〜R8の一価炭化水素基としては炭素数1〜10、特に1〜8のものが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基等が挙げられるが、中でもメチル基、エチル基、プロピル基等の低級アルキル基、特にメチル基が好ましい。アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のものが挙げられるが、特にメトキシ基が好ましい。
【0013】
なお、m,p,q,r,sは、0以上の整数であるが、好ましくは0〜100の整数である。また、nは3以上の整数であり、好ましくは3〜7の整数である。より好ましくは、mは0〜80、p+q+r+sは3〜80、特に4〜50である。
【0014】
上記オルガノシロキサンとしては、例えばヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。これらのシロキサンは塩素等のハロゲンを含まず、精製して得られたものが好ましく、金属等の不純物を実質的には含まず高純度であることから、シリカ含有複合酸化物球状微粒子用の原料として好適である。
【0015】
一方、原料として使用されるケイ素以外の金属を含む有機金属化合物は下記一般式(4)
M(OR10d (4)
(式中、Mは金属元素を、OR10はアルコキシ基を示し、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペントキシ基等の炭素数1〜6、特に1〜4のものが挙げられる。dは2〜4の整数である。)
で表される金属アルコキシド、下記一般式(5)
M(OCOR11f (5)
(式中、COR11はアシル基を示し、フォルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ヴァレリル基、キャプロイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基等炭素数1〜8、特に1〜7のものが挙げられる。fは2〜4の整数である。)
で表される金属アシレート化合物、下記一般式(6)
M(R12g (6)
(式中、R12はアルキル基を示し、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜8のものが挙げられる。gは2〜4の整数である。)
で表される金属アルキル化合物、下記一般式(7)
Figure 0004154563
(式中、OR13はアルコキシ基を示し、OR10と同様の炭素数1〜6、特に1〜4のものが挙げられ、R14はアルキル基で、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のR12と同様の炭素数1〜8のものが挙げられる。h、kは整数で、h+k=2〜4である。)
で表される金属キレート化合物が用いられる。
【0016】
ここで、金属Mは、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、セリウム、ホウ素、亜鉛、クロム、マンガン、マグネシウム、鉄、インジウム、錫等の金属が挙げられる。この中で、チタン、アルミニウム、亜鉛、ジルコニウム、スズ、マグネシウム、イットリウム、ベリリウム、ホウ素等の金属が好ましい。これらの有機金属化合物はアルコール等の溶媒を含んでいてもよいが、塩素等のハロゲンやイオウを含まず、精製して得られたものが好ましい。これらは複合化を目的とする金属酸化物以外の金属不純物を実質的に含まず高純度であることから、シリカ含有複合酸化物球状微粒子用の原料として好適である。
【0017】
有機金属化合物を完全に酸化燃焼させ、シロキサンを含む複合化原料が均一に燃焼するには液状で微細噴霧できるように有機金属化合物は液状で使用することが好ましく、固体粉末で燃焼させると、燃焼点が不均一になることによる生成微子に組成のばらつきを生じると共に、燃焼が不完全となり、カーボンが多く残留し、好ましくない。このため、室温(例えば5〜35℃)で固体の有機金属化合物はシロキサン、アルコール又は炭化水素系溶媒に溶解させて(即ち、溶液の状態で)用いることが好ましい。ここで、シロキサンは原料として用いる先に例示したヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等の直鎖状シロキサン、環状シロキサンであり、アルコールとしてはメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールが、炭化水素系溶媒としてはヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、灯油等が挙げられる。
【0018】
これらのシロキサン及び有機金属化合物又は有機金属化合物溶液は、あらかじめ液状で混合し供給するか、又は原料供給ラインの途中に設けたスタティックミキサー等のインラインミキサーに個別に定量供給し、混合してもよい。シリカと複合化された金属酸化物の機能を付与するには、シリカ以外の金属酸化物の含有量が0.5〜99重量%、好ましくは1〜99重量%、特に好ましくは5〜95重量%がよく、燃焼酸化物が量論比となるようにシロキサンと有機金属化合物を混合し供給すればよい。
【0019】
これらの原料混合液はバーナーに導入され、バーナーの先端に取付けられたノズルにより噴霧すればよい。液状で噴霧する方法は、噴霧媒体を用いる方法、液体自身の圧力による方法、遠心力による方法のいずれでもよいが、噴霧媒体を用いる方法においては、噴霧媒体として除湿された空気又は窒素を用いることが好ましい。噴霧液滴は完全に蒸発、熱分解して燃焼させるには微細にすることがよく、100μm以下、好ましくは50μm以下がよい。微細な液滴で噴霧するには液の粘度が低い方がよく、シロキサンと有機金属化合物が混合された原料液の粘度は25℃において500cs以下、好ましくは200cs以下がよい。
【0020】
噴霧されたシロキサンと有機金属化合物の液滴は、助燃ガスの補助火炎及び自己燃焼火炎により熱を受け、液滴の蒸発又は熱分解を伴いながら酸化燃焼し、シロキサンからシリカが、有機金属化合物から金属酸化物が同時に気相中で生成し、融合するため、シリカとシリカ以外の金属酸化物が均一に分散し、複合化された、通常は非晶質の、シリカ含有複合酸化物球状微粒子が得られる。
【0021】
燃焼により生成したシリカ及び金属酸化物の核粒子は、火炎の温度とシリカと金属酸化物の濃度、火炎内での滞留時間により合体成長し、最終の粒子径が決定される。特にバーナーから供給する支燃性ガス、助燃性ガスに対する原料液の供給量の割合を変えることにより、火炎温度と共に燃焼ガス中の複合粒子の濃度も変わる。支燃性ガス、助燃ガスに対する原料液の供給割合を多くすると火炎温度が高くなると共に燃焼ガス中の複合粒子の濃度も高くなり、生成する核粒子の衝突頻度確率が高く、合体成長が促進されて大きな粒子が得られる。原料液の供給割合を少なくすると、火炎温度が低く、燃焼ガス中の複合粒子の濃度も低くなり、微細粒子となる。
【0022】
シロキサンと有機金属化合物の燃焼を安定に保ち、完全燃焼させるために、助燃ガスを用いて補助火炎を形成する。ここで、助燃ガスとしては燃焼後に残渣の残らないものであればよく、水素又はメタン、プロパン及びブタン等の炭化水素ガスのいずれでもよく、特に制限はない。但し、助燃ガスが多いと燃焼熱を補うことができるものの、燃焼により副生する二酸化炭素、水蒸気等により燃焼排ガスが増加し、燃焼時の複合酸化物粒子の濃度が減少するため、助燃ガスの使用量は原料のシロキサンと有機金属化合物を合計した原料1モル当り、2モル以下、好ましくは0.1〜1.5モルである。
【0023】
また、燃焼時に添加する支燃性ガスは、酸素又は空気のような酸素含有ガスのいずれでもよい。正味の酸素量が不足すると、シロキサン、有機金属化合物、補助火炎に用いる可燃性ガス(助燃ガス)の燃焼が不完全となり、製品中に炭素分が残留し、一方、支燃性ガスが理論量より多くなると、火炎中のシリカや金属酸化物の濃度が減少すると共に火炎温度が低下し、生成粒子の合体成長が抑制される傾向があり、更に大過剰の支燃性ガスを供給すると、シロキサンや有機金属化合物の燃焼が不完全となり、排気系の粉末捕集設備の負荷が増え、過大となることから好ましくない。また、火炎温度を高くするには、支燃性ガスを酸素とし、理論量の酸素を供給することにより最も高い火炎温度が得られるが、燃焼が不完全となり易く、完全燃焼には少し過剰の酸素が必要である。よって、バーナーから供給する支燃性ガスは、燃焼に必要な理論酸素量の1.0〜4.0倍モル、好ましくは1.1〜3.5倍モルの酸素を含めばよい。また、支燃性ガスはバーナーから供給する以外にバーナーに沿って外気を取り込むことにより、補ってもよい。燃焼により生成するシリカ含有複合酸化物球状微粒子の粒子径は、火炎温度、燃焼ガス中のシリカ及び金属酸化物の濃度により調整でき、特に、本発明においては、バーナーに供給するシロキサン及び有機金属化合物からなる原料液、助燃ガス、支燃性ガスの供給量を調整すればよい。このほか、燃焼炉の壁への粉の付着を防止するため、又は燃焼後の排ガスを冷却するために空気や窒素等の不活性ガスを導入することについての制限はない。
【0024】
炉は排気側に設けられたブロワー等の排風機で吸引排気され、負圧で運転される。燃焼により得られたシリカとシリカ以外の金属酸化物が複合化されたシリカ含有複合酸化物球状微粒子は、排気途中に設けられたサイクロン、気流分級器、バグフィルターにより分離捕集され、回収される。排ガスは排風機で排気される。シロキサン及び有機金属化合物はハロゲンを含まないため、燃焼により塩化水素等の酸性の腐食性ガスが副生せず、炉材及び煙道配管、捕集器、回収器、排風機等に特殊な材質を必要とせず、排ガスの処理設備も不要となる利点がある。
【0025】
このようにして得られたシリカとシリカ以外の金属を含む金属酸化物が複合化されたシリカ含有複合酸化物球状微粒子は、実質的にハロゲンを含まず、シリカ以外の金属酸化物の含有量合計が0.5〜99重量%、粒子径が10nm〜3μmであるシリカ含有複合酸化物球状微粒子となる。
【0026】
本発明のシリカ含有複合酸化物球状微粒子は、上記したことから、ハロゲンを含まないシロキサンとケイ素以外の金属を含む有機金属化合物、特に好ましくは室温で液体又は溶液状の有機金属化合物を原料とし、これを火炎中に噴霧燃焼させて得られる、実質的にハロゲンを含まず、シリカ以外の金属酸化物の含有量合計が0.5〜99重量%、好ましくは1〜99重量%、より好ましくは5〜95重量%、粒子径が10nm〜3μm、好ましくは20nm〜3μmであるシリカ含有複合酸化物球状微粒子となる。
【0027】
更に、本発明のシリカ含有複合酸化物球状微粒子は、屈折率が1.4〜2.5の範囲であることが好ましく、例えば可視光(400〜760nm)の波長における光透過率が、通常90%以上、特に95%以上であるものが好ましい。このものは、シロキサンとケイ素以外の1種類以上の金属を含む有機金属化合物とを原料とし、これを火炎中で同時に噴霧燃焼することにより、屈折率が異なるシリカとシリカ以外の金属酸化物が所定の組成で粒子内に均一に分散されたシリカ含有複合酸化物球状微粒子となることから、複合酸化物球状微粒子の粒子径と屈折率が調整できる。このことより、上記屈折率を有し、特に上記光透過率を有するシリカ含有複合酸化物球状微粒子は、屈折率調整用の添加剤として、例えば、光半導体用光透過性エポキシ樹脂充填剤、光透過フィルムの表面被覆添加剤、液晶表示装置等の反射防止膜添加剤として使用したときに、透明性、反射防止性能に優れた効果が得られる等の有利性が与えられる。
【0028】
また、本発明のシリカ含有複合酸化物球状微粒子は、粒子の短径と長径との比から求めた球形度が0.8以上(即ち0.8〜1)が好ましく、特に0.85以上(0.85〜1)が好ましい。このものは、シリカの特性を保持し、機能性をもった金属酸化物を1種類以上選択し、複合化することによって例えば、IC用エポキシ樹脂封止剤の充填剤として使用したときに流動特性、バリ特性、熱伝導性が優れる、光触媒として抗菌、消臭、防汚、防曇効果が得られるなどの有利性が与えられる。
【0029】
次に、本発明によるシリカ含有複合酸化物球状微粒子の製造方法に使用される反応装置を添付の図面に従い、説明する。図1、2はこの製造装置の模式的縦断面図を示したものであり、図1はシロキサンと有機金属化合物を混合した原料液をバーナーに導入し、噴霧燃焼する方法であり、図2は原料供給ラインの途中に設けたスタティックミキサーにシロキサンと有機金属化合物を個別に供給して混合された液をバーナーに導入し、噴霧燃焼する方法である。
【0030】
図1において、シロキサン1と有機金属化合物A2及び有機金属化合物B3の混合液が、加圧された混合液原料タンク4から導入管12の途中に設けられた流量制御計13で流量制御され、噴霧ノズルが取り付けられたバーナー14に導かれる。シロキサン1と有機金属化合物A2及び有機金属化合物B3の混合液は燃焼炉15の内部に噴霧され、補助火炎により着火し、燃焼火炎16が形成される。燃焼により生成したシリカ含有複合酸化物球状微粒子は排ガスと共に煙道17で冷却され、気流分級器18及びバグフィルター20で分離され、回収器19、21に捕集される。排ガスは排風機22により排気される。図2においてはシロキサン1とは別に、有機金属化合物A2及び有機金属化合物B3が加圧されたタンク5、6及び7から個々に流量制御計8、9及び10を通して導入管12の途中に設けられたスタティックミキサー11に供給・混合され、バーナー14に導入される以外は図1と同様である。
【0031】
なお、図1、2は互いに異なる有機金属化合物A2、B3を用いた例であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、有機金属化合物は1種類のみを用いてもよく、3種類以上用いてもよい。
【0032】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、HRは時間を意味し、wt%は重量%を意味する。
【0033】
[実施例1〜7]
シロキサンとしてヘキサメチルジシロキサン又はオクタメチルシクロテトラシロキサンの1種類を、有機金属化合物としてテトライソプロポキシチタン(無色液体)、トリイソプロポキシアルミニウム(白色固体)の70重量%イソプロピルアルコール溶液、テトラn−ブトキシジルコニウム(淡黄色固体)の70重量%トルエン溶液、ジエトキシ亜鉛(白色固体)の60%トルエン溶液の2又は3種類を選択し、シロキサンと有機金属化合物とを所定の濃度で混合し、原料溶液を調製した。この原料溶液を室温下、図1の竪型燃焼炉15の頂部に設けられたバーナー14に供給し、バーナー先端部に取り付けられた噴霧ノズルにおいて噴霧媒体の窒素により微細液滴に噴霧し、プロパンの燃焼による補助火炎により燃焼させた。支燃性ガスとしてバーナー14から酸素、空気を供給した。このときのシロキサン、有機金属化合物の混合組成と混合原料液、プロパン、酸素、空気、噴霧窒素の供給量を表1に記載する。生成したシリカ含有複合酸化物球状微粒子の粉末は気流分級器18及びバグフィルター20で捕集した。
【0034】
回収した粉末に含まれる塩素分はイオンクロマトグラフィーで測定したが、いずれも0.1ppm未満であった。
【0035】
また、回収した粉末をX線回折分析したが、いずれも結晶相は認められず、非晶質であった。組成は回収粉末5ヵ所より分取し、測定したが、均一であった。粒子径の測定は透過型電子顕微鏡を用い、得られた写真は粒子形状解析装置(ニレコ社、ルーゼックスF)を用いて粒子形状を解析した結果、粒子は全て短径と長径の比で表した球形度が0.85以上の球状であった。粒子径を表1に記す。
【0036】
【表1】
Figure 0004154563
【0037】
[実施例8、9]
ヘキサメチルジシロキサン、テトライソプロポキシチタン及びトリイソプロポキシアルミニウムの70重量%イソプロピルアルコール溶液を室温下、個別に図2のスタティックミキサー11に供給し、混合した液を竪型燃焼炉15の頂部に設けられたバーナー14に供給し、噴霧燃焼させた。このときのヘキサメチルジシロキサン、テトライソプロポキシチタン、トリイソプロポキシアルミニウム溶液、プロパン、酸素、空気及び噴霧窒素の供給量を表2に記す。回収したシリカ、酸化チタン、アルミナの複合酸化物微粒子の粉末を実施例1〜6と同様に分析、評価した結果、塩素分は0.1ppm未満、炭素含有量は0.1重量%未満(痕跡量)であり、球形度は0.85以上であった。また、いずれも非晶質であり、組成も均一であった。粒子径を表2に示す。
【0038】
【表2】
Figure 0004154563
【0039】
[実施例10〜16]
シロキサンとしてヘキサメチルジシロキサン又はオクタメチルシクロテトラシロキサンを、液状の有機金属化合物としてテトライソプロポキシチタン、トリセカンダリーブトキシアルミニウム、テトラプロピルスズの2種類又は3種類を選択し、シロキサンと有機金属化合物を所定の濃度で混合し、原料溶液を調製した。この原料溶液を室温下、図1の竪型燃焼炉15の頂部に設けられたバーナー14に供給し、バーナー先端部に取り付けられた噴霧ノズルにおいて噴霧媒体の窒素により微細液滴に噴霧し、プロパンの燃焼による補助火炎により燃焼させた。支燃性ガスとしてバーナー14から酸素、空気を供給した。このときのシロキサン、有機金属化合物の混合組成と混合原料液、プロパン、酸素、空気、噴霧窒素の供給量を表3に記載する。生成したシリカ含有複合酸化物球状微粒子の粉末は気流分級機18及びバグフィルター20で捕集した。
【0040】
回収した粉末に含まれる塩素分はイオンクロマトグラフィーで測定したが、いずれも0.1ppm未満であった。また、回収した粉末をX線回折分析したが、いずれも結晶相は認められず、非晶質であった。組成は回収粉末5ヵ所より分取し、測定したが均一であった。屈折率は種々の屈折率の液体又は樹脂を準備し、各々の液又は樹脂に試料粉を混合分散し、分光光度計により580nmの波長における光透過度が最も高かった混合液又は混合樹脂の屈折率をアッベ屈折率計で測定した。最高透過率はいずれも90%を超えた。また、粒子径の測定は透過型電子顕微鏡を用い、得られた写真は粒子形状解析装置(ニレコ社、ルーゼックスF)を用いて粒子形状を解析した結果、粒子は全て短径と長径の比で表した球形度が0.85以上の球状であった。生成粒子組成、粒子径、屈折率を表3に記す。
【0041】
【表3】
Figure 0004154563
【0042】
[比較例1]
ヘキサメチルジシロキサンにテトラメトキシチタン(白色粉末)とトリエトキシアルミニウム(白色粉末)を懸濁させたスラリーをバーナー14に供給して噴霧燃焼させた以外は、実施例1と同様に燃焼させ、シリカ、酸化チタン、アルミナの複合酸化物球状微粒子の粉末を捕集し、回収した。ヘキサメチルジシロキサン、トリエトキシアルミニウム、テトラメトキシチタンの混合組成、原料スラリー、プロパン、酸素、空気、噴霧窒素の供給量を表4に記す。
回収粉末は塩素分が0.1ppm未満であったが、燃焼が不安定であったため、球状化が不均一で、球形度が0.65以上となり、金属アルコキシド粉末の不完全燃焼によるカーボンが3.1重量%含まれ、かつ回収粉末の組成に大きなばらつきが見られた。粒子径を表4に記す。
【0043】
【表4】
Figure 0004154563
【0044】
[比較例2]
ヘキサメチルジシロキサンにテトラメトキシチタン(白色粉末)を懸濁させたスラリーをバーナー14に供給して噴霧燃焼させた以外は、実施例1と同様に燃焼させ、シリカ、酸化チタンの複合酸化物球状微粒子の粉末を捕集し、回収した。ヘキサメチルジシロキサン、テトラメトキシチタンの混合組成、原料スラリー、プロパン、酸素、空気、噴霧用窒素の供給量を表5に記す。
回収粉末は塩素分は0.1ppm未満であったが、燃焼が不安定であったため、粒子同士の固着構造が多くみられ、球状化が不十分で球形度が0.73となり、金属アルコキシド粉末の不完全燃焼によるカーボンが3.2重量%含まれ、かつ、回収粉末の組成に大きなばらつきが見られた。また、固着粒子間の空孔により、樹脂に混合して分光光度計で測定したが、白濁しているため、透過率は65〜68%で、明確な最高透過率が得られず、屈折率は測定できなかった。粒子径を表5に記す。
【0045】
【表5】
Figure 0004154563
【0046】
[比較例3]
テトラエトキシシランとテトライソプロポキシチタンの混合溶液をゾル−ゲル法で加水分解し得られたゲルを900℃で加熱し、酸化チタンが12重量%含まれるシリカ、酸化チタンの非晶質複合酸化物を塊状で得た。この塊状物をアルミナ製ボールミルで粉砕し、平均粒子径15μmの粉末とした。得られた粉末は角張った粒子であり、球形度は0.63となった。また、粉砕によりアルミナ粉が0.1重量%混入したことにより、光照射時に散乱を生じ、分光光度計での透過率は最高80%となり、透明性が不良となった。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、ハロゲンを含まない精製されたシロキサンと有機金属化合物とを原料とすることにより、実質的にハロゲン並びに原料の有機金属化合物に由来する炭素を含まない、シリカ以外の金属酸化物の含有量合計が0.5〜99重量%で複合化したシリカ含有複合酸化物球状微粒子が得られ、バーナーに供給するシロキサン及び有機金属化合物からなる原料液、助燃ガス、支燃性ガスの供給量を調整することにより、粒子径が10nm〜3μmのシリカ含有複合酸化物球状微粒子が得られるという有利性が与えられる。本発明は、ICエポキシ樹脂封止剤の充填剤、研磨剤、導電剤、光触媒や、透明フィルムの添加剤、液晶表示装置等の反射防止膜用の光透過性添加剤や屈折率調整剤等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る反応装置の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明に係る反応装置の他の例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 シロキサン
2 有機金属化合物A
3 有機金属化合物B
4 混合原料液タンク
5 シロキサンタンク
6 有機金属化合物タンク
7 有機金属化合物タンク
8 流量制御計
9 流量制御計
10 流量制御計
11 スタティックミキサー
12 導入管
13 流量制御計
14 バーナー
15 燃焼炉
16 燃焼火炎
17 煙道
18 気流分級器
19 回収器
20 バグフィルター
21 回収器
22 排風機

Claims (19)

  1. ハロゲンを含まないシロキサンと、ケイ素以外の2種類以上の金属を含む有機金属化合物とを原料とし、これを火炎中で同時に噴霧燃焼することにより得られ、ハロゲンを含まず、シリカ以外の金属酸化物の含有量合計が0.5〜99重量%、粒子径10nm〜3μmであることを特徴とするシリカ含有複合酸化物球状微粒子。
  2. ケイ素以外の金属がTi,Al,Zn,Zr,Sn,Mg,Y,Be,Bから選ばれる2種以上であり、これらの金属を含む有機金属化合物が金属アルコキシド化合物、金属アシレート化合物、金属アルキル化合物又は金属キレート化合物であることを特徴とする請求項1記載のシリカ含有複合酸化物球状微粒子。
  3. ハロゲンを含まないシロキサンと、ケイ素以外の金属としてAl,Zn,Zr,Sn,Mg,Y,Be,Bから選ばれる1種類以上の金属を含む有機金属化合物とを原料とし、これを火炎中で同時に噴霧燃焼することにより得られ、ハロゲンを含まず、シリカ以外の金属酸化物の含有量合計が0.5〜99重量%、粒子径10nm〜3μmであることを特徴とするシリカ含有複合酸化物球状微粒子。
  4. ケイ素以外の金属を含む有機金属化合物が金属アルコキシド化合物、金属アシレート化合物、金属アルキル化合物又は金属キレート化合物であることを特徴とする請求項3記載のシリカ含有複合酸化物球状微粒子。
  5. 前記ケイ素以外の金属を含む有機金属化合物が、室温で液体あるいは溶液状であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のシリカ含有複合酸化物球状微粒子。
  6. ハロゲンを含まないシロキサンと、ケイ素以外の金属としてTiを含む室温で液体の有機金属化合物とを原料とし、これを火炎中で同時に噴霧燃焼することにより得られ、ハロゲンを含まず、シリカ以外の金属酸化物の含有量合計が0.5〜99重量%、粒子径10nm〜3μmであることを特徴とするシリカ含有複合酸化物球状微粒子。
  7. Tiを含む有機金属化合物が金属アルコキシド化合物、金属アシレート化合物、金属アルキル化合物又は金属キレート化合物であることを特徴とする請求項6記載のシリカ含有複合酸化物球状微粒子。
  8. ハロゲンを含まないシロキサンが、下記一般式(1),(2),(3)で示されるいずれかのシロキサン又はこれらの混合物である請求項1〜7のいずれか1項記載のシリカ含有複合酸化物球状微粒子。
    (R13SiO[SiR23O]mSi(R43 (1)
    (式中、R1,R2,R3,R4は互いに同一でも異なっていてもよく、一価炭化水素基、アルコキシ基、又は水素原子であり、m≧0の整数である。)
    [SiR23O]n (2)
    (式中、R2,R3は上記と同じ意味を示し、n≧3の整数である。)
    Figure 0004154563
    (式中、R5,R6,R7,R8は互いに同一でも異なっていてもよく、一価炭化水素基、アルコキシ基、又は水素原子であり、p,q,r,s≧0の整数であり、p+q+r+sは3〜80である。)
  9. 屈折率が1.4〜2.5の範囲であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載のシリカ含有複合酸化物球状微粒子。
  10. 可視光(400〜760nm)の波長における光透過率が90%以上である請求項9記載のシリカ含有複合酸化物球状微粒子。
  11. 請求項9又は10記載のシリカ含有複合酸化物球状微粒子からなる屈折率調整用添加剤。
  12. ハロゲンを含まないシロキサンとケイ素以外の2種類以上の金属を含む有機金属化合物とを原料とし、ケイ素以外の2種類以上の金属を含む有機金属化合物が液体のものはそのまま、固体のものはシロキサン、アルコール又は炭化水素系溶剤に溶解して、上記ハロゲンを含まないシロキサンと同時に火炎中で溶液状として噴霧燃焼させ、得られた微粒子を回収することを特徴とするハロゲンを含まず、シリカ以外の金属酸化物の含有量合計が0.5〜99重量%、粒子径10nm〜3μmであるシリカ含有複合酸化物球状微粒子の製造方法。
  13. ケイ素以外の金属がTi,Al,Zn,Zr,Sn,Mg,Y,Be,Bから選ばれる2種以上であり、これらの金属を含む有機金属化合物が金属アルコキシド化合物、金属アシレート化合物、金属アルキル化合物又は金属キレート化合物であることを特徴とする請求項12記載のシリカ含有複合酸化物球状微粒子の製造方法。
  14. ハロゲンを含まないシロキサンとケイ素以外の金属としてAl,Zn,Zr,Sn,Mg,Y,Be,Bから選ばれる1種類以上の金属を含む有機金属化合物とを原料とし、ケイ素以外の1種類以上の金属を含む有機金属化合物が液体のものはそのまま、固体のものはシロキサン、アルコール又は炭化水素系溶剤に溶解して、上記ハロゲンを含まないシロキサンと同時に火炎中で溶液状として噴霧燃焼させ、得られた微粒子を回収することを特徴とするハロゲンを含まず、シリカ以外の金属酸化物の含有量合計が0.5〜99重量%、粒子径10nm〜3μmであるシリカ含有複合酸化物球状微粒子の製造方法。
  15. ケイ素以外の金属を含む有機金属化合物が金属アルコキシド化合物、金属アシレート化合物、金属アルキル化合物又は金属キレート化合物であることを特徴とする請求項14記載のシリカ含有複合酸化物球状微粒子の製造方法。
  16. 前記ケイ素以外の金属を含む有機金属化合物が、室温で液体あるいは溶液状であることを特徴とする請求項12〜15のいずれか1項記載のシリカ含有複合酸化物球状微粒子の製造方法。
  17. ハロゲンを含まないシロキサンとケイ素以外の金属としてTiを含む室温で液体の有機金属化合物とを原料とし、この液体の有機金属化合物をそのまま、上記ハロゲンを含まないシロキサンと同時に火炎中で溶液状として噴霧燃焼させ、得られた微粒子を回収することを特徴とするハロゲンを含まず、シリカ以外の金属酸化物の含有量合計が0.5〜99重量%、粒子径10nm〜3μmであることを特徴とするシリカ含有複合酸化物球状微粒子の製造方法。
  18. Tiを含む有機金属化合物が金属アルコキシド化合物、金属アシレート化合物、金属アルキル化合物又は金属キレート化合物であることを特徴とする請求項17記載のシリカ含有複合酸化物球状微粒子の製造方法。
  19. ハロゲンを含まないシロキサンが、下記一般式(1),(2),(3)で示されるいずれかのシロキサン又はこれらの混合物である請求項12〜18のいずれか1項記載のシリカ含有複合酸化物球状微粒子の製造方法。
    (R13SiO[SiR23O]mSi(R43 (1)
    (式中、R1,R2,R3,R4は互いに同一でも異なっていてもよく、一価炭化水素基、アルコキシ基、又は水素原子であり、m≧0の整数である。)
    [SiR23O]n (2)
    (式中、R2,R3は上記と同じ意味を示し、n≧3の整数である。)
    Figure 0004154563
    (式中、R5,R6,R7,R8は互いに同一でも異なっていてもよく、一価炭化水素基、アルコキシ基、又は水素原子であり、p,q,r,s≧0の整数であり、p+q+r+sは3〜80である。)
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