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JP4147229B2 - 複合電子部品の製造方法 - Google Patents

複合電子部品の製造方法 Download PDF

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JP4147229B2 JP2005165673A JP2005165673A JP4147229B2 JP 4147229 B2 JP4147229 B2 JP 4147229B2 JP 2005165673 A JP2005165673 A JP 2005165673A JP 2005165673 A JP2005165673 A JP 2005165673A JP 4147229 B2 JP4147229 B2 JP 4147229B2
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Description

本発明は、複数の電子素子が実装された基板などの複合電子部品と、その製造方法に係り、さらに詳しくは、真空吸着ノズルなどで吸着保持しやすく、しかも、自動実装しやすく、さらに、基板上のハンダの噴出やクラックなどの不都合が無い複合電子部品と、その製造方法に関する。
たとえば下記の特許文献1に示すように、基板の表面に実装された複数の電子素子を、基板の表面との間で隙間無く樹脂封止を行い、内部の電子素子を保護する技術は知られている。
ところが、この文献に開示された技術では、電子素子を基板の表面との間で隙間無く樹脂封止することから、樹脂材料を多く必要とし、製造コストが増大する。また、この文献に示す技術では、トランスファーモールディングを用いて樹脂封止を行っているために、製造工程が煩雑であり、この点でも製造コストが増大する。
さらに、この文献に記載してある技術を用いて、基板の表面に実装された複数の電子素子(表面実装型電子素子)を、基板の表面との間で隙間無く樹脂封止し、その基板を、さらに別の基板に搭載する際に、次に示すような課題を有している。すなわち、別の基板に搭載する際の熱(リフローのための熱)で、表面実装型電子素子を固定しているハンダが溶融して移動したり、圧力により外部に噴出するという事故が起こることがある。
さらにまた、複数の電子素子が実装される基板が、低温度で焼成可能なガラスセラミック基板(LTCC基板)であり、封止樹脂がエポキシ樹脂である場合には、これらの熱膨張率が大きく異なるために、封止樹脂にクラックが入るおそれがある。
なお、下記の特許文献2に示すように、基板上に実装された複数の電子素子の頭部に、接着層を介して真空吸着用のカバーを固定した構造は知られている。この文献によれば、吸着のためのカバーを取り付けるスペースを不要とする旨が記載してある。
しかし、この文献に記載の構造では、吸着用のカバー板(吸着板)以外に、カバー板の裏面に接着剤を塗布するなどの工程を必要とし、その作業が煩雑である。また、この文献に記載してある構造では、基板の表面に実装されている電子素子の高さが均一である場合には問題がないが、吸着板が取り付けられる部品の高さが不均一である場合には、吸着板が斜めになるなどの不都合がある。基板に対して吸着板が斜めに取り付けられると、吸着板を吸着ノズルで保持し難いと共に、仮に保持し得たとしても、その基板を、他の位置で自動実装する作業が困難である。
特開2004−55834号公報 特開2003−78299号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、真空吸着ノズルなどで吸着保持しやすく、しかも、自動実装しやすく、さらに、基板上のハンダの噴出やクラックなどの不都合が無い複合電子部品と、その製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る複合電子部品は、
複数の電子素子が平面方向に分散して配置してある基板と、
複数の前記電子素子の頭部を覆う天板とを有する複合電子部品であって、
前記天板の表面の少なくとも一部が平坦面となっており、
前記天板の裏面と前記基板の表面との間に隙間が形成してあり、
前記天板の裏面には、複数の前記電子素子のうちの少なくとも一部の頭部が埋め込まれて一体化されていることを特徴とする。
複数の前記電子素子が、前記基板の表面からの高さが異なる場合に、比較的に高い方の前記電子素子の頭部が、前記天板の裏面に埋め込まれており、低い方の前記電子素子の頭部は、前記天板の裏面に埋め込まれていない。
本発明に係る複合電子部品では、基板上に実装して配置された電子素子の高さが不均一であっても、高い方の電子素子の頭部が天板の裏面に埋め込まれることにより、天板の平坦面を基板の表面および/または裏面と実質的に平行にしやすい。このため、天板の表面に形成された平坦面に対して、真空吸着ノズルなどの部品吸着手段により吸着保持が容易であると共に、この吸着保持された複合電子部品を、他の基板の上に自動実装する作業が容易である。
また、本発明に係る複合電子部品では、天板の裏面と基板の表面との間に隙間が形成してあり、隙間が全て樹脂封止してある構成ではないため、次に示す作用効果を奏する。すなわち、本発明では、その複合電子部品を別の基板に搭載する際の熱(リフローのための熱)で、電子素子を固定しているハンダが溶融して移動したり、圧力により外部に噴出するということはない。
また、本発明では、基板がLTCC基板で構成され、天板がエポキシ樹脂で構成されたとしても、それらの間には隙間があるために、熱膨張率の差異に基づいて天板にクラックが入ることはない。また、本発明では、電子素子を完全に樹脂で封止する構成ではないために、樹脂の使用を必要最小限にすることが可能である。
好ましくは、天板の表面の全面が平坦面である。この天板の表面の平坦面は、真空吸着ノズルなどの部品吸着手段により吸着保持される部分であり、広い方が好ましいが、必要以上に広くする必要もない。
好ましくは、前記天板の裏面と前記基板の表面との間の隙間が100μm以上である。この隙間が小さすぎると、本発明の効果が少なくなる。なお、この隙間の最大値は、基板の上に実装される電子素子の高さ以下である。
この隙間の最大値は、たとえば基板の上に実装される電子素子の最大高さに対して、70%以下の隙間である。この隙間が大きすぎると、電子素子の頭部が埋め込まれる部分が少なくなり、天板と電子素子との一体化強度が低下し、天板が電子素子から剥がれやすくなる傾向にある。
好ましくは、前記天板の平坦面が前記基板の表面および/または裏面と実質的に平行である。このような場合に、真空吸着ノズルなどの部品吸着手段により吸着保持が容易であると共に、この吸着保持された複合電子部品を、他の基板の上に自動実装する作業が容易である。
好ましくは、前記天板の厚みが100μm以上である。この天板の厚みが薄すぎると、天板の強度が低下する傾向にある。天板の厚みの上限は、特に限定されないが、あまりに厚すぎると、材料の無駄であることから、電子素子の最大高さに対して、50%以下であることが好ましい。
好ましくは、平面側から見た前記天板の面積が、前記基板の面積に対して、30〜80%の大きさである。この面積が小さすぎると、吸着ノズルでの吸着保持が困難になる傾向にあり、広すぎる場合には、材料の無駄である。なお、LTCC基板の平面側から見た大きさは、(2〜10)mm×(2〜10)mm程度である。
好ましくは、複数の前記電子素子の実装面積が、前記基板の表面の面積の25%以上、さらに好ましくは30〜80%である。実装面積が小さすぎると、基板の表面に電子素子が疎らに配置され易く、天板と電子素子との一体化強度が低下する傾向にある。なお、電子素子の実装面積の上限は、特に限定されないが、あまり高すぎると、実装自体が困難になる傾向にある。
また、電子素子は、基板の表面に、できる限り均一に分散して配置されることが好ましい。電子素子が基板の表面に偏って配置されると、天板の平坦部を、基板の表面および/または裏面に対して平行にすることが困難になる傾向にある。
好ましくは、前記天板が絶縁性部材で構成してある。絶縁性部材としては、エポキシ、液晶ポリマー、ジアリルフタレート、ポリイミド、セラミック、合成樹脂などが例示されるが、好ましくは、天板が耐熱性樹脂で構成してある。耐熱性樹脂である場合には、リフロー時の熱でも、天板が変形するおそれが少ないため好ましい。なお、合成樹脂が好ましいのは、後述するような方法により、天板の裏面に電子素子の頭部を埋め込ませて一体化しやすいからである。
好ましくは、前記天板には、マークが形成してある。このマークは、たとえばアライメントマークとして用いられ、本発明に係る複合電子部品を吸着保持する際に、複合電子部品の位置などを検出するために用いられる。あるいは、このマークは、基板の裏面に形成してある複数の電極パッドの順番などを特定するためのマークとして用いても良い。さらには、このマークは、ロゴマークや、ピン位置の表示、極性の表示などとして用いても良い。
本発明に係る複合電子部品の製造方法は、
複数の電子素子が平面方向に分散して配置してある基板を準備する工程と、
複数の前記電子素子の頭部を覆うように、天板を形成する工程とを有する複合電子部品の製造方法であって、
前記天板を形成するに際して、
前記天板の表面の少なくとも一部が平坦面となり、
前記天板の裏面と前記基板の表面との間に隙間が形成され、
前記天板の裏面には、複数の前記電子素子のうちの少なくとも一部の頭部が埋め込まれて一体化されるように、前記天板を形成することを特徴とする。
好ましくは、本発明に係る製造方法は、
天板用型に形成された天板用凹部の内部に、溶融樹脂を埋め込み、所定厚みの溶融樹脂層を形成する工程と、
前記基板に配置してある複数の前記電子素子のうちの少なくとも一部の頭部が、前記溶融樹脂層の内部に埋め込まれるように、前記基板を前記溶融樹脂層に近づける工程と、
前記溶融樹脂層を硬化させる工程とを有する。
このような本発明に係る製造方法によれば、本発明に係る複合電子部品を、容易に多量に作ることができる。
本発明において、天板用型の材質としては、特に限定されず、アルミニウム、銅合金、ステンレスなどの金属、あるいは合成樹脂でも良い。ただし、天板用型は、天板を構成することになる樹脂との剥離性が良好な材質であることが好ましい。そのような材質としては、フッ素樹脂、シリコンゴムなどが例示される。特に天板用型を、シリコンゴムで構成する場合には、天板用型に、天板にマークを付けるための転写用マークを形成しやすいからである。
なお、天板を構成することになる樹脂としては、特に限定されず、シリコン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、あるいはその他の樹脂でも良いが、好ましくはエポキシ樹脂である。容易に入手可能で、比較的に安価で取り扱いやすいからである。
また、天板を構成することになる樹脂は、熱硬化性樹脂あるいは紫外線硬化性樹脂であることが好ましい。このような樹脂は、硬化前には溶融しており、溶融樹脂層を形成しやすく、電子部品の頭部が樹脂層の内部に埋め込まれやすく、そのままの状態で硬化させ易い。
あるいは、本発明の方法は、
前記天板となる予定の所定厚みの半硬化樹脂シートを準備する工程と、
前記基板に配置してある複数の前記電子素子のうちの少なくとも一部の頭部を、前記半硬化樹脂シートの内部に埋め込む工程と、
前記半硬化樹脂シートを硬化させる工程とを有しても良い。
半硬化樹脂シートは、たとえばBステージ状態の樹脂組成物、すなわち半硬化状態の樹脂組成物で構成される。Bステージ状態の樹脂組成物は、たとえば熱可塑性樹脂組成物において、完全に硬化する前の段階の樹脂組成物である。このような樹脂組成物としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシフェノール樹脂などが例示される。
あるいは、本発明の製造方法は、
前記天板となる予定の所定厚みの樹脂シートを準備する工程と、
前記樹脂シートを軟化させる工程と、
前記基板に配置してある複数の前記電子素子のうちの少なくとも一部の頭部を、軟化された前記樹脂シートの内部に埋め込む工程と、
前記樹脂シートを硬化させる工程とを有しても良い。
この場合の樹脂シートとしては、たとえば熱可塑性樹脂シートであり、この樹脂シートを軟化させた後に、基板に実装された電子素子のうちの少なくとも一部の頭部を、軟化された前記樹脂シートの内部に埋め込む。
半硬化樹脂シートあるいは軟化された樹脂シートに対して、基板に実装された電子素子のうちの少なくとも一部の頭部を埋め込む際には、これらのシートを、天板用型で保持した状態で行うことが好ましい。これらのシートの表面(電子素子の頭部が埋め込まれる側と反対側)の平坦性を確保し、平坦部を形成するためである。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1(A)は本発明の一実施形態に係る複合電子部品の要部平面図、
図1(B)は図1(A)に示す複合電子部品の断面図、
図2(A)〜図2(D)は図1に示す複合電子部品の製造過程を示す要部断面図、
図3は図1に示す複合電子部品を真空吸着ノズルで搬送する状態を示す一部断面概略図、
図4(A)は本発明の他の実施形態に係る複合電子部品の平面図、
図4(B)は図4(A)に示す複合電子部品の要部断面図である。
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る複合電子部品2は、基板4を有する。本実施形態では、基板4は、ガラス粉末とセラミック粉末の混合物を低温焼成して得られるガラスセラミック基板(LTCC基板)である。ガラスセラミックは、誘電率が低く、高周波用絶縁基板として好適である。また、ガラスセラミックは800〜1000℃程度の低温で焼成することができることから、基板4の内部には、銅、銀、金等の低抵抗金属を内部配線層6として使用できるメリットがある。
基板
ガラスセラミックからなる基板4は、たとえば以下のようにして製造される。まず、ガラスセラミックグリーンシートを準備する。ガラスセラミックグリーンシートは、たとえばガラスセラミックペーストを用いて、ドクターブレード法などによりシート状に成形される。ガラスセラミックペーストとしては、ガラス粉末、セラミック粉末、さらに有機バインダ、可塑剤、有機溶剤等を混合したものを用いることができる。
ガラス粉末としては、特に限定されないが、たとえば、SiO−B系、SiO−B−Al系、SiO−B−Al−MO系、SiO−Al−M1O−M2O系、SiO−B−Al−M1O−M2O系、SiO−B−M3O系、SiO−B−Al−M3O系、Pb系ガラス、Bi系ガラス等が挙げられる。但し、記号MはCa、Sr、Mg、BaまたはZnを示し、記号M1および記号M2はCa、Sr、Mg、BaまたはZnを示し、記号M3はLi、NaまたはKを示す。
セラミック粉末としては、特に限定されないが、たとえば、Al、SiO、ZrOとアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物、TiOとアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物、AlおよびSiOから選ばれる少なくとも1種を含む複合酸化物(たとえばスピネル、ムライト、コージェライト)等が挙げられる。
ガラス粉末とセラミック粉末の混合割合は、特に限定されず、重量比で、たとえば40:60〜99:1とすることができる。
有機バインダとしては、特に限定されず、たとえばアクリル系(アクリル酸、メタクリル酸またはそれらのエステルの単独重合体または共重合体、具体的にはアクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体等)、ポリビニルブチラ−ル系、ポリビニルアルコール系、アクリル−スチレン系、ポリプロピレンカーボネート系、セルロース系等の単独重合体または共重合体が挙げられる。
本発明で用いるガラスセラミックペーストは、ガラス粉末、セラミック粉末、有機バインダに対して、必要に応じて、所定量の可塑剤、溶剤(有機溶剤、水等)を加えてスラリー化される。このペーストは、ドクターブレード、圧延、カレンダーロール、金型プレス等によりシート化され、ガラスセラミックグリーンシートとなる。
ガラスセラミックグリーンシートの表面には、必要に応じて、導体パターン層(図1に示す内部配線層6となる)が形成される。内部配線層6を形成するには、ガラスセラミックグリーンシート表面に、たとえば導体材料粉末をペースト化した導体ペーストをスクリーン印刷法やグラビア印刷法等により印刷するか、あるいは所定パターン形状の金属箔を転写する等の方法が挙げられる。導体材料としては、たとえばAu、Ag、Cu、Pd、Pt等の1種または2種以上が挙げられ、2種以上の場合は混合、合金、コーティング等のいずれの形態であってもよい。
なお、導体パターンには、上下の層間の導体パターン同士を接続するためのビア導体やスルーホール導体等の貫通導体が表面に露出した部分も含まれる。これら貫通導体は、パンチング加工等によりガラスセラミックグリーンシートに形成した貫通孔に、導体材料粉末をペースト化した導体ペーストを印刷により埋め込む等の手段によって形成される。
導体パターン層を介して積層されたガラスセラミックグリーンシートは、切断されて基板形状にされ、その後に焼成される。焼成条件は、グリーンシート積層体の材質にもよるが、たとえば空気中において、700〜1000°Cおよび0.5〜10時間の条件である。焼成は、たとえば電気式連続ベルト炉などの焼成炉で行われる。なお、導体ペーストがCuの場合は還元または中性雰囲気で焼成する。
電子素子
図1(A)および図1(B)に示すように、基板4の表面には、多数の表面実装型の電子素子10a〜10cが実装してあり、それらは、基板4の表面に平面方向に分散して配置されている。また、基板4の裏面には、複数の電極パッド8が形成してある。基板4の表面に実装して配置された電子素子10a〜10cは、基板4の表面に形成してある配線層および内部に形成してある内部配線層6により接続され、所定の電気回路を構成し、電極パッド8を通して、外部回路に対して、信号あるいは電力の入出力を可能にしてある。
基板4の表面に実装してある電子素子10a〜10cは、基板4の表面からの高さが均一ではなく、たとえば電子素子10a,10bは、比較的高く、電子素子10cの高さは低い。電子素子10a〜10cとしては、その種類は、特に限定されず、たとえばセラミックコンデンサ、インダクタ素子、ダイオード、トランジスタ、抵抗素子、測温素子などが例示される。
天板
図1(A)および図1(B)に示すように、本実施形態では、基板4の表面に実装してある全ての電子素子10a〜10cの頭部を覆うように、天板20が装着してある。天板20を構成することになる樹脂としては、特に限定されず、シリコン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、あるいはその他の樹脂でも良いが、好ましくはエポキシ樹脂である。容易に入手可能で、比較的に安価で取り扱いやすいからである。
また、天板20を構成することになる樹脂は、熱硬化性樹脂あるいは紫外線硬化性樹脂であることが好ましい。このような樹脂は、後述するように、硬化前には溶融しており、溶融樹脂層を形成しやすく、電子部品の頭部が樹脂層の内部に埋め込まれやすく、そのままの状態で硬化させ易い。
天板20の表面の少なくとも一部、本実施形態では、天板表面の全てが平坦面となっており、その部分に、真空吸着ノズルが吸着可能になっている。天板20の裏面と基板4の表面との間には、隙間t2が形成してあり、天板20の裏面には、複数の電子素子10a〜10cのうちの少なくとも一部10a,10bの頭部が埋め込まれて一体化されている。
寸法関係
基板4の厚みt1は、特に限定されないが、好ましくは、0.2〜1.0mmである。本実施形態では、平面側から見た天板20の大きさは、基板4の大きさよりも少し小さい程度である。本発明では、平面側から見た天板20の面積は、基板4の面積に対して、30〜80%の大きさであり、基板4よりも多少大きくても小さくても良い。
天板20の裏面と基板4の表面との間の隙間t2は、100μm以上である。この隙間が小さすぎると、リフロー時において、電子素子10a〜10cを実装するためのハンダ11が外部に噴出するおそれがある。ハンダ11の高さt3は、一般に、100〜500μm程度である。なお、隙間t2の最大値は、基板4の上に実装される電子素子10aの最大高さ以下である。
この隙間t2の最大値は、たとえば基板4の上に実装される電子素子10a〜10cの最大高さに対して、70%以下の隙間である。この隙間t2が大きすぎると、電子素子10aの頭部が埋め込まれる部分が少なくなり、天板20と電子素子10aとの一体化強度が低下し、天板20が電子素子10aから剥がれやすくなる傾向にある。
なお、全ての電子素子10a〜10cの頭部が、天板20の裏面に埋め込まれる必要はなく、高さが足りない電子素子10cの頭部は、天板20の裏面に接触しなくても良い。ただし、最も背が高い電子素子10aの頭部は、天板20を突き抜けない程度に、天板20の裏面に埋め込まれる。
複合電子部品の製造方法
図1(A)および図1(B)に示す複合電子部品2を製造する方法の一例として、図2(A)〜図2(D)に示す方法が考えられる。
この実施形態に係る方法では、まず、図2(A)に示すように、天板用型30を準備する。天板用型30の表面には、複数の天板用凹部32が形成してある。天板用凹部32には、スキージ31により、溶融樹脂が埋め込まれ、所定厚みt4の溶融樹脂層20aが形成される。溶融樹脂は、たとえばエポキシ系の熱硬化樹脂または紫外線硬化樹脂である。天板用型30は、特に限定されないが、たとえばフッ素樹脂で構成される。なお、天板用凹部32には、スキージ31以外の手段、たとえばディスペンサーなどを用いて、溶融樹脂を注入しても良い。
溶融樹脂層20aを形成する工程とは別に、図2(B)に示すように、表面に複数の電子素子10a〜10cが実装された基板4を準備し、その基板4の裏面を、剥離可能な粘着層36を介して、プレス板34に仮接着させる。
次に、図2(C)に示すように、プレス板34を、天板用型30に対して、平行を維持したまま相対的に近づけ、各基板4に配置してある複数の電子素子10a〜10cのうちの少なくとも一部の頭部を、溶融樹脂層20aの内部に埋め込ませる。その際に、プレス板34に装着してある位置合わせピン38が、天板用型30に形成してある位置合わせ孔33に入り込み、基板4と溶融樹脂層20aとの位置合わせが行われる。
溶融樹脂層20aの厚みは、図1(B)に示す天板20の厚みt4に設定してあり、溶融樹脂層20aと基板4との間には、隙間t2が形成される。また、プレス板34が天板用型30に対して最も近づいた位置で、基板4の表面に形成してある最も背が高い電子素子10aの頭部は、凹部32の底部に突き当たるので、それが、溶融樹脂層20aを突き抜けることはない。
その状態で、熱を加えたり、あるいは紫外線を照射することにより、溶融樹脂層20aを硬化させ、プレス板34を天板用型30から引き離せば、図2(D)に示すように、図1(A)および図1(B)に示す複数の複合電子部品2が得られる。
複合電子部品2の作用効果
本実施形態に係る複合電子部品2では、天板20が、天板用型30の凹部32に溶融樹脂が注入されて硬化されることにより形成される。そのため、天板20の表面は、凹部32の内周面が転写されて平坦面となる。しかも、本実施形態では、基板4上に実装して配置された電子素子10a〜10cの高さが不均一であっても、高い方の電子素子10aの頭部が天板20の裏面に埋め込まれることにより、天板20の平坦面を基板4の表面および/または裏面と実質的に平行にしやすい。
このため、天板20の表面に形成された平坦面に対して、図3に示す真空吸着ノズル40により吸着保持が容易であると共に、この吸着保持された複合電子部品2を、他の基板42の上に自動実装する作業が容易である。
また、本実施形態に係る複合電子部品2では、天板20の裏面と基板4の表面との間に隙間t2が形成してあり、隙間t2が全て樹脂封止してある構成ではないため、次に示す作用効果を奏する。すなわち、本実施形態では、その複合電子部品2を別の基板42に搭載する際の熱(リフローのための熱)で、電子素子10a〜10cを固定しているハンダ11が溶融して移動したり、圧力により外部に噴出するということはない。
また、本実施形態では、基板4がLTCC基板で構成され、天板20がエポキシ樹脂で構成されたとしても、それらの間には隙間t2があるために、熱膨張率の差異に基づいて天板20にクラックが入ることはない。また、本実施形態では、電子素子10a〜10cを完全に樹脂で封止する構成ではないために、樹脂の使用を必要最小限にすることが可能である。
(第2実施形態)
図4(A)および図4(B)に示す本発明の他の実施形態に係る複合電子部品2は、天板20の一角付近にマーク50が形成してある。マーク50は、たとえば十字状の孔で構成してある。このマーク50は、たとえば図2(A)に示す天板用型30の凹部32に、マーク50を付けるための転写用マーク(たとえば凸型マーク)を形成することにより形成できる。
その場合において、天板用型30は、シリコンゴムで構成することが好ましい。その場合には、天板用型30に、凸状または凹状の転写用マークを形成しやすいからである。
天板20に形成されるマーク50は、たとえばアライメントマークとして用いられ、図3に示すように、複合電子部品2を吸着ノズル40で吸着保持して他の基板42に自動実装する際に、複合電子部品2の回転位置などを確認するためなどに用いられる。あるいは、このマーク50は、基板4の裏面に形成してある複数の電極パッド8の順番などを特定するためのマークとして用いても良い。さらには、このマーク50は、ロゴマークや、ピン位置の表示、極性の表示などとして用いても良い。
図4(A)および図4(B)に示す実施形態に係る複合電子部品のその他の構成および作用効果は、図1〜図3に示す実施形態の場合と同様なので、その重複する説明は省略する。
(第3実施形態)
また、本発明では、複合電子部品2を、図2(A)〜図2(D)に示す方法以外の方法で製造しても良い。たとえば、図2(A)に示す天板用型30の表面に凹部32を形成することなく、その型30の平坦面に、天板となる予定の所定厚みt4の半硬化樹脂シートを設置しても良い。その後、図2(B)および図2(C)に示す工程と同様にして、プレス板34を、天板用型30に対して、平行を維持したまま相対的に近づけ、各基板4に配置してある複数の電子素子10a〜10cのうちの少なくとも一部の頭部を、半硬化樹脂シートの内部に埋め込ませる。
その後の工程は、第1実施形態と同様であり、同様な作用効果を奏する。しかも、本実施形態では、所定厚みの半硬化樹脂シートを準備すれば良く、溶融樹脂を所定厚みにする工程が不要となる。
なお、半硬化樹脂シートは、Bステージ状態の樹脂組成物、すなわち半硬化状態の樹脂組成物で構成される。Bステージ状態の樹脂組成物は、たとえば熱硬化性樹脂組成物において、完全に硬化する前の段階の樹脂組成物である。このような樹脂組成物としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシフェノール樹脂などが例示される。
あるいは、本発明の実施形態に係る製造方法では、第3実施形態における半硬化樹脂シートの代わりに、天板となる予定の所定厚みの樹脂シートを準備し、その樹脂シートを軟化させたものを用いても良い。
その他の工程は、第3実施形態と同様であり、同様な作用効果を奏する。しかも、本実施形態では、所定厚みの樹脂シートを準備すれば良く、溶融樹脂を所定厚みにする工程が不要となる。
なお、この場合の樹脂シートとしては、たとえば熱可塑性樹脂シートであり、この樹脂シートを軟化させた後に、基板に実装された電子素子のうちの少なくとも一部の頭部を、軟化された樹脂シートの内部に埋め込む。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
図1(A)は本発明の一実施形態に係る複合電子部品の要部平面図、図1(B)は図1(A)に示す複合電子部品の断面図である。 図2(A)〜図2(D)は図1に示す複合電子部品の製造過程を示す要部断面図である。 図3は図1に示す複合電子部品を真空吸着ノズルで搬送する状態を示す一部断面概略図である。 図4(A)は本発明の他の実施形態に係る複合電子部品の平面図、図4(B)は図4(A)に示す複合電子部品の要部断面図である。
符号の説明
2… 複合電子部品
4… 基板
10a〜10c… 電子素子
20… 天板
20a… 溶融樹脂層
30… 天板用型
32… 天板用凹部
34… プレス板
40… 真空吸着板
50… マーク

Claims (16)

  1. 複数の電子素子が平面方向に分散して配置してある複数の基板を準備する工程と、
    複数の前記基板の各裏面を、プレス板に仮接着させる工程と、
    複数の前記電子素子の頭部を覆うように、天板を形成する工程とを有する複合電子部品の製造方法であって、
    前記天板を形成するに際して、
    前記天板の表面の少なくとも一部が平坦面となり、
    前記天板の裏面と前記基板の表面との間に隙間が形成され、
    前記天板の裏面には、複数の前記電子素子のうちの少なくとも一部の頭部が埋め込まれて一体化されるように、前記天板を形成することを特徴とする複合電子部品の製造方法。
  2. 複数の前記基板の各裏面が、剥離可能な粘着層を介して、プレス板に仮接着されている請求項1に記載の複合電子部品の製造方法。
  3. 複数の前記電子素子が、前記基板の表面からの高さが異なる場合に、比較的に高い方の前記電子素子の頭部が、前記天板の裏面に埋め込まれており、低い方の前記電子素子の頭部は、前記天板の裏面に埋め込まれていない請求項1または2に記載の複合電子部品の製造方法。
  4. 前記天板の裏面と前記基板の表面との間の隙間が100μm以上である請求項1〜3のいずれかに記載の複合電子部品の製造方法。
  5. 前記天板の平坦面が前記基板の表面および/または裏面と実質的に平行である請求項1〜4のいずれかに記載の複合電子部品の製造方法。
  6. 前記天板の厚みが100μm以上である請求項1〜5のいずれかに記載の複合電子部品の製造方法。
  7. 平面側から見た前記天板の面積が、前記基板の面積に対して、30〜100%の大きさである請求項1〜6のいずれかに記載の複合電子部品の製造方法。
  8. 複数の前記電子素子の実装面積が、前記基板の表面の面積の25%以上である請求項1〜7のいずれかに記載の複合電子部品の製造方法。
  9. 前記天板が絶縁性部材で構成してある請求項1〜8のいずれかに記載の複合電子部品の製造方法。
  10. 前記天板が耐熱性樹脂で構成してある請求項9に記載の複合電子部品の製造方法。
  11. 前記基板が、低温焼成可能なガラスセラミック基板である請求項1〜10のいずれかに記載の複合電子部品の製造方法。
  12. 天板用型に形成された天板用凹部の内部に、溶融樹脂を埋め込み、所定厚みの溶融樹脂層を形成する工程と、
    前記基板に配置してある複数の前記電子素子のうちの少なくとも一部の頭部が、前記溶融樹脂層の内部に埋め込まれるように、前記基板を前記溶融樹脂層に近づける工程と、
    前記溶融樹脂層を硬化し、前記天板を形成する工程とを有する請求項1〜11のいずれかに記載の複合電子部品の製造方法。
  13. 前記天板用型がシリコンゴムで構成してある請求項12に記載の複合電子部品の製造方法。
  14. 前記天板用型には、天板にマークを付けるための転写用マークが形成してある請求項13に記載の複合電子部品の製造方法。
  15. 前記天板となる予定の所定厚みの半硬化樹脂シートを準備する工程と、
    前記基板に配置してある複数の前記電子素子のうちの少なくとも一部の頭部を、前記半硬化樹脂シートの内部に埋め込む工程と、
    前記半硬化樹脂シートを硬化させる工程とを有する請求項1〜11のいずれかに記載の複合電子部品の製造方法。
  16. 前記天板となる予定の所定厚みの樹脂シートを準備する工程と、
    前記樹脂シートを軟化させる工程と、
    前記基板に配置してある複数の前記電子素子のうちの少なくとも一部の頭部を、軟化された前記樹脂シートの内部に埋め込む工程と、
    前記樹脂シートを硬化させる工程とを有する請求項1〜11のいずれかに記載の複合電子部品の製造方法。
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