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JP4145716B2 - 深溝付きスクリュウの転造ダイスと深溝付きスクリュウの製造方法 - Google Patents

深溝付きスクリュウの転造ダイスと深溝付きスクリュウの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、軸部の外周面の雄ネジに深溝を設けた構造を有し、木造建築での木材の結合に使用する深溝付きスクリュウを転造するためのダイスと、このダイスを用いたスクリュウネジの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
木材の結合に使用するスクリュウネジには、ねじ込み時の抵抗の発生が少なく、円滑にねじ込むことができると共に、締結後は外部からの衝撃や振動が加わっても緩むことのない、優れた緩み止め機能が要求される。
【0003】
従来、このようなスクリュウネジとして提案されている深溝付きスクリュウネジ1は、図5(C)と図6のように、一端に頭部2と他端に先端3を有する軸部4の外周面に、頭部2側にブランク部5を残して途中の位置から先端の範囲に雄ネジ6を設け、この雄ネジ6にネジ山と交差するように、ネジ山の谷よりも深い深溝7を設けた構造になっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このような、深溝付きスクリュウネジ1は、雄ネジ6が谷径に等しい孔を穿孔しつつその周囲にネジ山が食い込み、雄ネジ6のネジ山に設けた深溝7が、ねじ込み時に木材の繊維を切りながら進入すると共に、切り屑が深溝7内に収納されるので、ねじ込み操作が円滑に行え、締結後は深溝7に木の繊維が食い込み、緩み止め機能が得られるという効果がある。
【0005】
通常、木材用のスクリュウネジは、対向面に雄ネジ形成用の突条を設けた左右対称となる一対の転造ダイスを用い、このダイス間に送り込まれた図5(A)のようなネジ下のリベット8を挟み付け、一方ダイスの移動により転がして雄ネジを圧造する。
【0006】
雄ネジ形成用の突条は、初めは細く高く、終わりに向かって徐々に幅が広くなり、突条間の溝はこれと逆に終わりに向かって徐々に幅が狭くなり、ネジ下のリベットは、突条で押さえ込まれた部分の肉代の移行部分が溝に入り込んで成形され、ネジ山が徐々に形通りに圧造されて所定のスクリュウネジが完成することになる。
【0007】
なお、スクリュウネジには先端が必要なので、転造ダイスの下部には、先端を圧造するための圧造揉み切り部が設けられている。
【0008】
上記のような転造ダイスを用いたスクリュウネジの製造において、雄ネジに深溝を形成するには、一方の転造ダイスの中間に縦のロレットを設け、このロレットで雄ネジのネジ山にV字状の凹溝を形成する方法や、上記転造ダイスでスクリュウネジを圧造した後、別の工程で雄ネジのネジ山にカッターで切り込みを入れて凹溝を形成する方法が考えられる。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−62934号公報(図1)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前者のような一方の転造ダイスの中間に縦のロレットを設けてV字状の凹溝を形成する方法では、ネジ山のみに凹溝を設けることは可能であったが、雄ネジの谷部よりも深く凹溝を形成しようとした場合、谷部に凹溝を形成することによって発生する肉代の移行を処理しなければならないという問題が生じ、従って、この問題を解決しなければ、雄ネジの谷部よりも深い深溝付きのスクリュウネジを圧造することができないことになる。
【0011】
また、後者の方法は、別に凹溝を形成する工程が必要になり、工程数が増えることで製作能率が低下し、コストアップにつながるという問題がある。
【0012】
そこで、この発明の課題は、雄ネジの谷部に凹溝を形成することによって発生する肉代の移行の問題を解決することができ、1工程で雄ネジのネジ山を変形させることなく雄ネジと、雄ネジの谷部より深い深溝の形成が行え、深溝付きのスクリュウネジを低コストで製作することができる転造ダイスと、この転造ダイスを用いた深溝付きスクリュウの製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記のような課題を解決するため、請求項1の発明は、軸部の外周に雄ネジと、この雄ネジと交差する深溝を設けた深溝付きスクリュウを造るための転造ダイスであり、この転造ダイスが、相対向して配置する固定ダイスと移動ダイスの組み合わせからなり、固定ダイスと移動ダイスの相対向する転造面のそれぞれに、全面にわたって角度のきつい深溝形成用突条を一定間隔の配置で設け、この両転造面を入側の先端から後端に向けて、雄ネジの仮成形部、深溝成形部、雄ネジの主成形部、雄ネジの仕上げ成形部に順次設定し、上記雄ネジの仮成形部は、各深溝形成用突条間の位置に、深溝形成用突条と同じかそれよりも低い高さを有し、緩い角度で傾斜すると共に傾斜方向に延長状となる突条が一定間隔の配置で設けられ、上記深溝成形部は、深溝形成用突条だけを設け、雄ネジの主成形部は、各深溝形成用突条間の位置に、深溝形成用の突条よりも低い高さで上記雄ネジの仮成形部に設けた突条の延長状に傾斜し、幅が後端に向かって漸次広くなり、傾斜方向に延長状となるよう形成された突条が一定間隔の配置で設けられ、上記雄ネジの仕上げ成形部は、各深溝形成用突条間の位置に、深溝形成用突条よりも低い高さで上記主成形部の突条の延長状に傾斜し、幅が後端に向かって漸次広くなり、傾斜方向に延長状となるよう形成された雄ネジ仕上げ用の突条が一定間隔の配置で設けられ、この雄ネジの仕上げ成形部において、上記各雄ネジ仕上げ用の突条間に形成される雄ネジ形成谷溝は、後端に位置するものほど幅が漸次狭くなり、その深さは最初の位置では深く途中の位置のものに向かって徐々に浅くなり、途中位置から終端の間に位置するものが同じ深さになっている構成を採用したものである。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、上記深溝成形部は、深溝形成用突条の間に、雄ネジの仮成形用突条が、上記雄ネジの仮成形部に設けた突条の延長状の配置となり、雄ネジの仮成形部から雄ネジの主成形部に向かって徐々に低くなるように設けられている構成を採用したものである。
【0015】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、上記雄ネジの仮成形部に設けた突条と、深溝成形部に設けた雄ネジの仮成形用突条のそれぞれの幅が、雄ネジの主成形部に設けた突条の深溝成形部側先端の幅と同じ幅に設定されている構成を採用したものである。
【0016】
ここで、上記固定ダイスと移動ダイスの全面に設ける深溝形成用突条は、例えば、ネジ下のリベットに対して二条の深溝を螺旋状に形成するような間隔で転造ダイスの全面にわたって、転造ダイスの上下方向に対して20°程度の角度で設けられている。
【0017】
また、雄ネジの仮成形部の突条は、その先端面が、深溝形成用突条間のフラットな底面に、その先端面が深溝形成用突条と同じかそれよりも低い高さを有する断面V字状の突形に形成され、仮成形部の範囲において同じ高さ条件に設定され、ネジ下のリベットの軸部に対してV字状の溝を形成することにより、その肉代を軸方向の両側に押し出すことになる。
【0018】
雄ネジの主成形部の突条は、深溝成形部に臨む入側の端部が仮成形部の突条と同様の幅を有する条件となり、出側に向けて幅が広くなり、上記V字状の溝を軸方向に押し広げることになる。
【0019】
雄ネジの仕上げ成形部に設けた雄ネジ仕上げ用の突条は、主成形部の突条と同様の高さとなる平坦面を有する断面台形の突起となり、入側の端部が主成形部の突条の後端部と同様の幅となり、後端に位置するものほど幅が漸次広くなることで、仕上げ成形部の突条間に形成されるV字状の雄ネジ形成谷溝は、後端部が雄ネジの仕上がり形状になっている。
【0020】
上記のように、雄ネジの仮成形部において、深溝形成用突条でリベットの軸部に深溝を形成すると同時に、深溝形成用突条間に設けた突条でV字状の溝を形成することにより、雄ネジ形成のために肉代を移行させるための下地となるV字状の溝が同時に形成され、このため、雄ネジの主成形部において、雄ネジ形成のための突条の食い込みには、上記下地となるV字状の溝が予め形成されていることになり、このため、雄ネジの主成形部における突条の食い込み時の抵抗や衝撃の発生を有効に抑えることができ、雄ネジの形成が円滑に行えることになる。
【0021】
また、請求項4の製造方法の発明は、上記した請求項1乃至3の発明の何れかに記載の転造ダイスを用い、固定ダイスと移動ダイスでネジ下のリベットを挟み付け、移動ダイスの移動により、このリベットの円軸部外周に、先ず、雄ネジの仮成形部において、深溝形成用突条を押し込むことで、角度の急な縦方向の深溝を複数形成すると同時に、深溝間に肉代が移行して形成された膨出部に突条で雄ネジの傾斜に見合う溝を形成し、次に、深溝成形部において、角度の急な深溝に深溝形成用突条を押し込むことで深溝の成形を行い、雄ネジの主成形部において、角度の急な深溝に深溝形成用突条を押し込ながら膨出部分に形成された溝を突条で押し広げることで肉代を突条間に移行させ、雄ネジの仕上げ成形部において、深溝形成用の突条で深溝を保形しながら、上記溝を雄ネジ仕上げ用の突条で軸方向に押し広げることで雄ネジ形成用の突条間の谷溝に肉代を移行させることにより、この谷溝によって深溝で分断された雄ネジを形成する構成を採用したものである。
【0022】
上記固定ダイスと移動ダイスの雄ネジの仮成形部で、ネジ下のリベットの軸部に対して深溝形成用突条を押し込むことで、角度の急な複数の割溝を形成すると共に、割溝の形成によって生じた軸部の肉代を割溝間に移行させて膨出部を形成し、この膨出部に突条で雄ネジの傾斜に見合う溝を形成し、膨出部における肉代を突条の両側軸方向に移行させ、雄ネジの主成形部と仕上げ成形部の各突条で肉代を両側軸方向に押し広げることで、雄ネジ形成用の突条間の谷溝で雄ネジを形成することができ、雄ネジを形成している工程中は深溝形成用突条が、割溝を保形しているので、割溝が崩れることなく雄ネジを転造することができ、雄ネジに深溝のあるスクリュウネジを作ることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0024】
この発明の転造ダイス11は、相対向して配置する固定ダイス12と移動ダイス13の組み合わせからなり、固定ダイス12と移動ダイス13の相対向する転造面のそれぞれに、全面にわたって角度のきつい深溝形成用突条14を一定間隔の配置で設け、この両転造面が入側の先端から後端に向けて、雄ネジの仮成形部A、深溝成形部B、雄ネジの主成形部C、雄ネジの仕上げ成形部Dに順次設定され、両ダイス12、13の相対向する転造面のパターンは左右対称状となっている。
【0025】
上記雄ネジの仮成形部Aは、各深溝形成用突条14間のフラットな底面に、その先端が深溝形成用突条14と同じかそれよりも低い高さで幅が狭い断面V字状の突形に形成され、緩い角度で傾斜すると共に傾斜方向に延長状となる突条15が一定間隔の配置で設けられている。
【0026】
上記深溝成形部Bは、深溝形成用突条14だけを設け、この深溝形成用突条14間がネジ下のリベット8の軸部に対して直接作用しない面になっているようにするか、図1のように、深溝形成用突条14の間に、雄ネジの仮成形用突条15aを、上記雄ネジの仮成形部Aに設けた突条15の延長状の配置となり、雄ネジの仮成形部Aから雄ネジの主成形部Cに向かって徐々に低くなるように設けることができる。
【0027】
上記雄ネジの主成形部Cは、各深溝形成用突条14間の平坦面間に、深溝形成用突条14よりも低い高さで上記雄ネジの仮成形部Aに設けた突条15の延長状に傾斜し、入側の端部が仮成形部の突条15と同様の条件となり、出側に向けて幅が漸次広くなる断面V字状の突形に形成された突条16が設けられている。
【0028】
上記した深溝成形部Bの仮成形用突条15aは、図1の場合、雄ネジの仮成形部Aの突条15より広幅としたが、これら雄ネジの仮成形部Aに設けた仮成形用突条15と、深溝成形部Bの仮成形用突条15aの幅は、雄ネジの主成形部Cに設けた突条16の深溝成形部側に位置する入側先端の幅と同じ幅に設定するようにしてもよい。
【0029】
また、雄ネジの仕上げ成形部Dは、各深溝形成用突条14間の位置に、深溝形成用突条14よりも低い高さで上記主成形部Cの突条16の延長状に傾斜し、主成形部Cの突条16と同様の高さとなる平坦面を有する断面台形の突起となり、入側の端部が主成形部Cの突条16の後端部と同様の幅となり、後端に位置するものほど幅が漸次広くなり、傾斜方向に延長状となるよう形成された雄ネジ仕上げ用の突条17が一定間隔の配置で設けられている。
【0030】
図3のように、この雄ネジ仕上げ用の突条17間がV字状の雄ネジ形成谷溝18となり、仕上げ成形部Dの突条17が後端に位置するものほど幅が漸次広くなることで、雄ネジ形成谷溝18は後端に位置するものほど幅が狭くなり、後端部が雄ネジの仕上がり形状になっている。
【0031】
上記雄ネジ形成谷溝18の深さは、図2のように、最初の位置では深く途中の位置のものに向かって徐々に浅くなり、途中位置から終端の間に位置するものが同じ深さになっている。
【0032】
このように、雄ネジの仮成形部A、主成形部C、仕上げ成形部Dに設けた雄ネジ形成用の各突条15、16、17は、一定間隔の配置となるよう、深溝形成用突条14と合成された状態で設けられ、この雄ネジ形成用の各突条15、16、17は、連続した雄ネジ6を形成することができるように傾斜角度と間隔が設定されている。
【0033】
上記転造面に設ける雄ネジの仮成形部A、主成形部C、仕上げ成形部D及び深溝成形部Bの範囲は、例えば、仮成形部Aはネジ下のリベットの軸部が3回転、深溝成形部Bは同1回転、主成形部Cは同4回転、仕上げ成形部Dは同4回転するように設定されている。
【0034】
また、両転造ダイスの対向面における下部には、ネジ下のリベット8の軸部に先鋭状の先端3を転造するための先端形成部19が設けてある。
【0035】
次に、この発明の転造ダイスを用いた深溝付きのスクリュウネジの製造方法を説明する。
【0036】
図4(A)のように、固定ダイス12に対して移動ダイス13が退動位置にある状態で、図5(A)に示すようなネジ下のリベット8の軸部を、雄ネジの仮成形部の間に供給し、図4(B)のように、移動ダイス13を固定ダイス12と平行に移動させると、先ず、雄ネジの仮成形部Aの間において、回転させられたネジ下のリベット8の軸部外周に対して深溝形成用突条14を押し込むことで、図5(B)のように、角度の急な複数の深溝7と深溝7間に肉代を移行させた膨出部9を形成し、この膨出部9に突条が食い込むことで、雄ネジ6の傾斜に見合う螺旋の溝10を形成し、膨出部9における肉代を突条15の両側軸方向に移行させる。
【0037】
次に、リベット8の軸部が深溝成形部Bに臨むと、上記仮成形部Aで形成した深溝7に深溝形成用突条14が嵌まり込むことで、深溝7の形状を修正固定化する。
【0038】
この深溝成形部Bに雄ネジの仮成形用突条15aを設けた場合、仮成形用突条15aで上記した螺旋の溝10を押し広げることになる。
【0039】
続いて、移動ダイス13の移動に伴ってリベット8の軸部が主成形部Cに進入すると、主成形部Cの突条16は出側に向けて漸次広幅になっているので、この突条16が膨出部9に予め形成されたV字状の溝10を押し広げることで、この膨出部9の肉代を突条16の両側軸方向に移行させることになり、この工程中において、深溝形成用突条14が深溝7に嵌まり込むことで、深溝7の形状の崩れ発生を防止する。
【0040】
このように、雄ネジの仮成形部Aにおいて、深溝形成用突条14でリベット8の軸部に深溝7を形成すると同時に、深溝形成用突条14間に設けた突条15でV字状の溝10を形成することにより、雄ネジ形成のために肉代を移行させるための下地となるV字状の溝10が同時に形成され、このため、雄ネジの主成形部Cにおいて、雄ネジ形成のための突条16の食い込み位置には、上記下地となるV字状の溝10が予め形成されていることになり、このため、雄ネジの主成形部Cにおける突条16の食い込み時の抵抗や衝撃の発生を有効に抑えることができ、雄ネジ6の形成が円滑に行えることになる。
【0041】
次に、移動ダイス13の移動に伴ってリベット8の軸部が仕上げ成形部Dに進入すると、この仕上げ成形部Dの突条17で肉代を両側軸方向に押し広げて溝幅を広くする。
【0042】
この仕上げ成形部の突条17は、台形の平坦面になっているので、主成形部Cで形成された溝10を両側軸方向に移行させることにより、肉代を突条17間に押しやり、肉代は両突条17間に形成された溝18内に進入する。
【0043】
上記仕上げ成形部Dの突条17は、台形の平坦面になっているので、平坦面によってリベット8の軸部における深溝形成用突条14間の部分は円軸状に成形され、しかも、この突条17は出側に向けて漸次広幅になり、突条17間の溝18は逆に出側に向けて漸次狭くなっているので、突条17で両側軸方向に押し広げられた肉代はこの突条17間の溝18に進入し、螺旋状の雄ネジ6に成形される。
【0044】
上記した螺旋状の雄ネジ6の成形工程において、深溝形成用突条14は両ダイス12、13の全面に設けられているので、仮成形部Aと主成形部及Cび仕上げ成形部Dによって雄ネジ6を順次形成していくとき、深溝7は深溝形成用突条14によって保持され、従って、深溝7の形状の変化がなく、この深溝形成用突条14間に雄ネジ6が分断された状態で形成され、深溝7は突条17で仕上げられた軸部に対して一部食い込み状となる。
【0045】
従って、深溝7を保形したまま雄ネジ6を形成することができ、図5(C)のように、雄ネジ6が深溝7で分断され、雄ネジ6に対してネジ山と交差するように、ネジ山の谷径よりも深い深溝7が設けられたスクリュウネジ1を1工程で製造することができる。
【0046】
【発明の効果】
以上のように、この発明によると、固定ダイスと移動ダイスの相対向する転造面のそれぞれに、一定間隔の配置で全面にわたって角度のきつい深溝形成用の突条を設け、この両転造面を入側の先端から後端に向けて、雄ネジの仮成形部、深溝成形部、雄ネジの主成形部、雄ネジの仕上げ成形部に順次設定したので、リベットの軸部に対して最初に深溝を形成してこれを最後まで保形することで、雄ネジの圧造時に深溝が潰れるというようなことがなく、また、リベットの軸部に対して雄ネジの仮成形部に設けた突条で深溝間に凹溝を形成することにより、次の雄ネジの主成形部における突条の食い込みが凹溝部分から始まるので、主成形部の突条の食い込み時における抵抗や衝撃の発生を防ぐことができ、リベットの軸部を円滑に転造加工することができ、精度の高い良質の深溝付きスクリュウネジを製造することができる。
【0047】
また、深溝付きスクリュウネジを1工程で製造することができ、製作コストの低減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る転造ダイスにおける固定ダイスを示す正面図
【図2】固定ダイスの縦断正面図
【図3】固定ダイスの要部構造を示す斜視図
【図4】(A)は転造ダイスにネジ下のリベットを供給した横断面図、(B)はネジ下のリベットの加工状態の横断面図、(C)は深溝付きスクリュウネジの加工状態の横断面図
【図5】(A)は深溝付きスクリュウネジの製造に用いるネジ下のリベットの正面図、(B)は同上に深溝を形成した状態の正面図、(C)は深溝付きスクリュウネジの正面図
【図6】深溝付きスクリュウネジの拡大した横断面図
【符号の説明】
1 スクリュウネジ
2 頭部
3 先端
4 軸部
5 ブランク部
6 雄ネジ
7 深溝
8 ネジ下のリベット
9 膨出部
10 溝
11 転造ダイス
12 固定ダイス
13 移動ダイス
14 深溝形成用突条
15 突条
16 突条
17 突条
18 谷溝
A 雄ネジの仮成形部
B 深溝成形部
C 雄ネジの主成形部
D 雄ネジの仕上げ成形部

Claims (4)

  1. 軸部の外周に雄ネジと、この雄ネジと交差する深溝を設けた深溝付きスクリュウを造るための転造ダイスであり、この転造ダイスが、相対向して配置する固定ダイスと移動ダイスの組み合わせからなり、固定ダイスと移動ダイスの相対向する転造面のそれぞれに、全面にわたって角度のきつい深溝形成用突条を一定間隔の配置で設け、この両転造面を入側の先端から後端に向けて、雄ネジの仮成形部、深溝成形部、雄ネジの主成形部、雄ネジの仕上げ成形部に順次設定し、上記雄ネジの仮成形部は、各深溝形成用突条間の位置に、深溝形成用突条と同じかそれよりも低い高さを有し、緩い角度で傾斜すると共に傾斜方向に延長状となる突条が一定間隔の配置で設けられ、上記深溝成形部は、深溝形成用突条だけを設け、雄ネジの主成形部は、各深溝形成用突条間の位置に、深溝形成用の突条よりも低い高さで上記雄ネジの仮成形部に設けた突条の延長状に傾斜し、幅が後端に向かって漸次広くなり、傾斜方向に延長状となるよう形成された突条が一定間隔の配置で設けられ、上記雄ネジの仕上げ成形部は、各深溝形成用突条間の位置に、深溝形成用突条よりも低い高さで上記主成形部の突条の延長状に傾斜し、幅が後端に向かって漸次広くなり、傾斜方向に延長状となるよう形成された雄ネジ仕上げ用の突条が一定間隔の配置で設けられ、この雄ネジの仕上げ成形部において、上記各雄ネジ仕上げ用の突条間に形成される雄ネジ形成谷溝は、後端に位置するものほど幅が漸次狭くなり、その深さは最初の位置では深く途中の位置のものに向かって徐々に浅くなり、途中位置から終端の間に位置するものが同じ深さになっている深溝付きスクリュウの転造ダイス。
  2. 上記深溝成形部は、深溝形成用突条の間に、雄ネジの仮成形用突条が、上記雄ネジの仮成形部に設けた突条の延長状の配置となり、雄ネジの仮成形部から雄ネジの主成形部に向かって徐々に低くなるように設けられている請求項1に記載の深溝付きスクリュウの転造ダイス。
  3. 上記雄ネジの仮成形部に設けた突条と、深溝成形部に設けた雄ネジの仮成形用突条のそれぞれの幅が、雄ネジの主成形部に設けた突条の深溝成形部側先端の幅と同じ幅に設定されている請求項2に記載の深溝付きスクリュウの転造ダイス。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載の転造ダイスを用い、固定ダイスと移動ダイスでネジ下のリベットを挟み付け、移動ダイスの移動により、このリベットの円軸部外周に、先ず、雄ネジの仮成形部において、深溝形成用突条を押し込むことで、角度の急な縦方向の深溝を複数形成すると同時に、深溝間に肉代が移行して形成された膨出部に突条で雄ネジの傾斜に見合う溝を形成し、次に、深溝成形部において、角度の急な深溝に深溝形成用突条を押し込むことで深溝の成形を行い、雄ネジの主成形部において、角度の急な深溝に深溝形成用突条を押し込ながら膨出部分に形成された溝を突条で押し広げることで肉代を突条間に移行させ、雄ネジの仕上げ成形部において、深溝形成用の突条で深溝を保形しながら、上記溝を雄ネジ仕上げ用の突条で軸方向に押し広げることで雄ネジ形成用の突条間の谷溝に肉代を移行させることにより、この谷溝によって深溝で分断された雄ネジを形成する深溝付きスクリュウの製造方法。
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