JP4144866B2 - スローアウェイ式穴明け工具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スローアウェイチップ(以下、チップという)を装着するスローアウェイ式穴明け工具(以下、穴明け工具という)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の穴明け工具において、底刃が外周刃と中心刃とから構成されるものがある。この種の第1の従来穴明け工具を図8および図9に示す。図8(a)と(b)はそれぞれこの穴明け工具の先端部正面図と背面図であり、図9は図8に示す穴明け工具の外周刃と中心刃の回転軸線O回りの回転軌跡である。
【0003】
図8に示すように、第1の従来穴明け工具は、工具本体1が棒状をなし、その回転軸線O方向後端には柄部(図示しない)を備え、また、その先端から後端に向かっては、軸中心Pに対してほぼ対称の位置に第1フルート溝3および第2フルート溝4が形成されている。これらの第1および第2フルート溝3、4には、チップ座5が形成され、このチップ座5内には、中心刃7Aおよび外周刃7Bとして使用されるチップ7が中央取付け穴8を利用して、ねじ9により固定されている。
【0004】
チップ7は、図8および図9に示すように、略平行四辺形平板状をなすポジタイプのチップ7であり、中心刃7Aおよび外周刃7Bとして兼用されるものである。チップ7は、2つの対向する回転対称的な端部を有し、一方の長手方向の対向端部は、長辺の辺稜部切れ刃7aと短辺のコーナ部切れ刃7bで形成され、他方の対向端部は、長辺の辺稜部切れ刃7cと短辺のコーナ部切れ刃7dで形成されている。辺稜部切れ刃7a、7cとコーナ部切れ刃7b、7dとは、鈍角の交差するV字状の切れ刃稜線を形成する。隣り合うコーナ部切れ刃7b、7dの交差部には、コーナ刃11が形成されている。
【0005】
中心刃7Aは、長辺の辺稜部切れ刃7cとこの辺稜部切れ刃7cに隣接して内周側に位置する短辺のコーナ部切れ刃7dとを底刃とし、外周刃7Bは、長辺の辺稜部切れ刃7aとこの辺稜部切れ刃7aに隣接してその外周側に位置する短辺のコーナ部切れ刃7bとが底刃とされる。底刃とされたコーナ部切れ刃7bにコーナ刃11を介して隣接するコーナ部切れ刃7dは、バックテーパとしての役割を有するよう工具本体の回転軸線Oに対して逃げ角蛩の角度で傾斜して配置している。さらに、前記中心刃7Aと前記外周刃7Bとは、辺稜部切れ刃7cと辺稜部切れ刃7aが該穴明け工具の回転軸線Oを含む平面上の回転軌跡において互いに交差されるよう配設され、かつ前記交差される点Sは、外周刃7Bによる切削幅が中心刃7Aによる切削幅より短くなるようチップ7が組込まれている。
【0006】
このような構成の穴明け工具は、中心刃7Aが前記交差される点Sより内周側を切削し、外周刃7Bが上記点Sより外周側を切削することにより穿孔していく。そして、前記外周刃7Bのコーナ刃11のみが穿孔する穴の内壁を切削することになる。(例えば、特許文献1参照)
【0007】
また、この種の第2の従来穴明け工具として、特に加工穴の抜け際などにおいて高い直進性を確保するためにガイドパッドが備えられた工具がある。その穴明け工具を図10および図11に示す。図10はこの穴明け工具の先端部正面図であり、図11はこの穴明け工具の先端視側面図である。この従来穴明け工具は、工具本体1が回転軸線Oを中心とした外形略多段円柱状をなし、その後端部には、鍔状に形成されたフランジ部(図示しない)を介して、当該工具本体1を工作機械の主軸に把持するためのシャンク部(図示しない)が形成されるとともに、フランジ部よりも先端側の外周部には、このフランジ部の先端面から当該工具本体1の先端面にかけて、後端側に向かうに従い工具本体1の回転方向Kの後方側に向けて回転軸線O回りに螺旋状に捩れる一対のフルート溝3、4が、回転軸線Oを挟んで互いに反対側に形成されており、特にこれらのフルート溝3、4は、工具本体1の先端部15において回転軸線Oに直交する断面が略L字状を呈するように形成されている。
【0008】
さらに、この工具本体1の先端部15においては、その内周側の先端内周部15Aが、これよりも外周側の先端外周部15Bよりも一段先端側に突出して、回転軸線Oを中心とした略円板状をなすように形成されており、フルート溝3、4は上記先端部15においてその溝深さがこの先端内周部15Aにまで達するように形成されている。そして、これらフルート溝3、4の工具回転方向K側を向く壁面の先端内周部15Aおよび先端外周部15Bにおけるそれぞれの先端部分にはチップ座5が形成されていて、これらのチップ座5にチップ7が、その切れ刃7a、7b、7c、7dを上記先端内周部15Aおよび先端外周部15Bにおける工具本体1の先端面から僅かに突出させて、ねじ9により着脱可能にそれぞれ取付けられている。これらのチップ7は、超硬合金等の硬質材料により互いに同形同大の略菱形平板状に形成されたものであって、その一方の菱形面がすくい面とされるとともに、該すくい面の4つの辺稜部には、鈍角に曲折して外側に凸となる上記切れ刃7a、7b、7c、7dがそれぞれ形成されており、その曲折点が最先端に位置するようにして切れ刃7a、7b、7c、7dを先端側に向け、チップ座5に取付けられている。
【0009】
先端内周部15Aと先端外周部15Bとの双方において、一方のフルート溝3に形成されたチップ座5に取付けられるチップ7は、その辺稜部切れ刃7c、7dが内周側に偏るように配置される一方、逆に他方のフルート溝4のチップ座5に取付けられるチップ7の辺稜部切れ刃7a、7bは、外周側に偏って配置され、しかもこれらの辺稜部切れ刃7a、7b、7c、7dはその回転軸線O回りの回転軌跡が該回転軸線Oに対する径方向に連続するようにされている。なお、最も内周側に位置する上記一方のフルート溝3の先端内周部15Aに取り付けられる中心刃7Aの辺稜部切れ刃7c、7dは、その内周端が回転軸線Oを越えて他方のフルート溝4側に僅かにオーバーセンターとなるようにされ、また最も外周側に位置する他方のフルート溝4の先端外周部15Bに取り付けられた外周刃7Bのコーナ刃11の回転軸線O回りの外径が、この穴明け工具の外径Dとなる。さらに、工具本体1の外周面において、周方向における上記一対のフルート溝3、4間の略中央部に、一対の凹溝20がやはり回転軸線Oを挟んで互いに反対側に該回転軸線Oに平行に形成されていて、これらの凹溝20には真鍮製のガイドパッド21がパッド止めねじ22によって着脱可能に取り付けられており、これらのガイドパッド21は、その外周面が工具本体1の先端部の外周面から僅かに突出して、上記外径Dよりも僅かに小さな外径で回転軸線Oを中心とした円弧面をなすようにされている。なお、上記凹溝20は、回転軸線O方向においては、先端外周部15Bにおける工具本体1の先端面よりも僅かに後退した位置から、回転軸線Oに平行に延びる該凹溝20と螺旋状に捩れるフルート溝3、4が交差する直前まで形成されており、従ってガイドパッド21も回転軸線O方向においてはこの工具本体1先端側の範囲内にのみ配設されることとなる。(例えば、特許文献2参照)
【0010】
【特許文献1】
特開平10−029108号公報(第3頁乃至第5頁、図1乃至図3)
【特許文献2】
特開2002−239822号公報(第3頁乃至第5頁、図1乃至図3)
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述した第1の従来穴明け工具では、外周刃7Bに該工具の径方向の軸中心Pに向く背分力が生じるとともに、この背分力の方向に該工具本体1は撓みを生じる。その結果、コーナ刃11の外径が縮小することになり加工穴径は縮小する。また、穴明け加工を継続するにつれ前記コーナ刃11が摩滅する場合にも前記コーナ刃11の外径が縮小することとなり、加工穴径は縮小していく。さらに、高送り加工のような該穴明け工具への負荷の高い加工においては、該穴明け工具がふれ回り(いわゆる歩行運動)が生じ、加工穴径が不安定となり、場合によっては中心刃7A、外周刃7Bがチッピングしたり欠損したりするおそれがあった。
【0012】
上述した第2の従来穴明け工具は、加工穴の抜け際において、該工具本体1の直進性を確保することが可能であるものの、前記外周刃7Bの背分力方向の工具本体1の撓みを効果的に抑制するものとはいえなかった。また、前記コーナ刃11の摩滅による加工穴径の縮小を抑制する有効な対策もなされているとはいえなかった。
【0013】
本発明は、上述した問題に鑑みなされたものであり、その目的は、穴明け加工における加工穴径の縮小を改善した穴明け工具を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の穴明け工具は、回転軸線(O)回りに回転される略円柱状の工具本体の先端部に、中心刃を有するスローアウェイチップと外周刃を有するスローアウェイチップとが前記回転軸線を互いに反対側に配設され、前記中心刃および前記外周刃の前記回転軸線(O)回りの回転軌跡が径方向に連続するように該径方向にずらされて着脱可能に取り付けられてなるスローアウェイ式穴明け工具において、前記外周刃の最外周部に形成されたコーナ刃の位置を基準として該穴明け工具の円周方向に−10°〜10°の範囲、および回転軸線中心(P)を基準として前記コーナ刃と対称な位置から該穴明け工具の円周方向に−10°〜10°の範囲に、少なくとも1対のガイドパッドが該工具本体の外周面から突出して設けられ、少なくとも前記外周刃の位置を基準にして該穴明け工具の円周方向に−10゜〜10゜の範囲に設けられるガイドパッドが前記コーナ刃よりも該工具本体の回転軸線(O)方向後方側に設けられていることを特徴とするスローアウェイ式穴明け工具である。
【0015】
上述した構成の穴明け工具において、該工具本体の先端部外周に、該工具本体の回転軸線(O)方向に沿って設けられたガイドパッドは、加工穴内壁に摺接することによって該工具本体を支持し直進性を向上させる。さらに、前記ガイドパッドは、コーナ刃の位置を基準として該穴明け工具の円周方向に−10°〜10°の範囲、および回転軸線中心(P )を基準として前記コーナ刃と対称な位置から該穴明け工具の円周方向に−10°〜10°の範囲に、少なくとも一対に設けられるので、該工具本体を前記コーナ刃の背分力の作用方向に支持することになり、該工具本体の撓みを効果的に抑制し、この撓みによるコーナ刃の外径の縮小を効果的に抑制できる。よって、加工穴径の縮小が大幅に抑制されることになる。また、高送り加工したとき高い切削抵抗が生じることにより該穴明け工具のふれ回りを抑制し、加工穴径の拡大、中心刃や外周刃の損傷を改善する。
【0016】
前記穴明け工具において、前記ガイドパッドは、該工具本体の径方向に移動可能に装着され、前記ガイドパッドの最外周部の前記コーナ刃の最外周部に対する半径の差が−0.2mm〜0mmの範囲に調整可能とされるのが好ましい。そうすれば、前記半径の差が−0.2mm以上であれば、前記ガイドパッドは、加工穴内壁と摺接し工具本体の撓みを抑制するので、前記加工穴径の縮小を抑制する。前記半径の差の絶対値が0mmに近づけば、前記ガイドパッドの工具本体の撓みを抑制する作用はより高くなり、さらに、前記ガイドパッドは、前記コーナ刃が摩滅したときには、前記コーナ刃を径方向外側に突出させるように作用し、加工穴径の縮小を抑制する。しかし、前記半径の差は、0mmを越えると加工穴径が拡大するので、0mm以下とするのが望ましい。
【0017】
また、前記穴明け工具において、前記ガイドパッドは前記コーナ刃よりも該工具本体の回転軸線(O)方向後方側に設けられるのが好ましい。前記ガイドパッドをコーナ刃よりも該工具本体の回転軸線(O)方向後方側に設けたときには、前記ガイドパッドはコーナ刃が加工穴から抜ける際にも該工具本体の撓みを抑制する効果を持続する。よって、加工穴の抜け際における前記加工穴径の縮小を抑制し、且つ、該工具本体のふれ回りを抑制し外周刃と中心刃の欠損を防止する。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明に係る穴明け工具の第1実施例を図1乃至図7を参照しながら説明する。図1はガイドパッドを設けた穴明け工具の先端部の正面図である。図2は図1に示す工具の先端視側面図である。図3(a)は図1に示す穴明け工具の背面図であり、図3(b)および(c)は図1に示す穴明け工具の(フルート溝3側に設けられた)ガイドパッドの詳細図である。図4は図1に示す工具の上側面図、図5は図1に示す工具の下側面図である。図6(a)は図1のA−A断面図、図6(b)は図1のB−B断面図である。図7(a)および(b)は図1に示す工具の一部分解斜視図である。
【0019】
第1実施例において工具本体1は、回転軸線Oを中心とする丸棒状をなし、図示しない後端側(図1では右側)にはフランジ部を介して、該工具本体1を工作機械の主軸に把持するためのシャンク部が形成される。前記フランジ部より先端側の外周部には、該工具本体1の先端面から前記フランジ部に向かうにしたがって該工具本体1の回転方向K後方側に向けて回転軸線O回りにねじれる一対のフルート溝3、4が形成される。前記フルート溝3、4は、図2に示すように断面形状が略L字状をなし、お互いに回転軸線Oを中心として反対側に形成され、該工具本体1の回転方向Kを向く壁面がチップ座5の形成されるチップ座形成面とされ、前記回転方向K後方に向く壁面をヒール形成面とされる。
【0020】
該工具本体1の先端部には、フルート溝3、4のチップ座形成面に、前記回転方向K後方側に凹状をなすチップ座5が形成され、前記チップ座5に切れ刃を有するチップ7がねじ9によって固着される。図1および図3に示すように前記チップ7は、略平行四辺形平板状をなすチップ7であり、2つの対向する回転対称な端部を有し、一方の長手方向の対向端部は、長辺の辺稜部切れ刃7aと短辺のコーナ部切れ刃7bで形成され、他方の対向端部は、長辺の辺稜部切れ刃7cと短辺のコーナ部切れ刃7dで形成されている。
【0021】
中心刃7Aは、長辺の辺稜部切れ刃7cとこの辺稜部切れ刃7cに隣接して内周側に位置する短辺のコーナ部切れ刃7dとを底刃とし、外周刃7Bは、長辺の辺稜部切れ刃7aとこの辺稜部切れ刃7aに隣接してその外周側に位置する短辺のコーナ部切れ刃7bとが底刃とされる。底刃とされたコーナ部切れ刃7bにコーナ刃11を介して隣接するコーナ部切れ刃7dは、バックテーパとしての役割を有するよう工具本体の回転軸線Oに対して逃げ角を付与するように傾斜して配置している。さらに、前記中心刃7Aと前記外周刃7Bとは、辺稜部切れ刃7cと辺稜部切れ刃7aが該穴明け工具の回転軸線Oを含む平面上の回転軌跡において互いに交差されるよう配設されている。
【0022】
該工具本体1の先端部には、図2および図3に示すように回転軸線Oを中心として前記外周刃7Bの最外周部に形成されるコーナ刃11と対称な位置から該工具の回転方向Kに−10゜〜10゜の円周方向の範囲に少なくとも1つのガイドパッド21Aが回転軸線O方向に沿い、且つ、該工具本体1の外周面から突出して設けられる。この実施例では前記対称な位置に第1のフルート溝3が形成されているため、前記ガイドパッド21Aは、前記対称な位置に対して前記回転方向Kに負の角度(前記回転方向Kと逆方向)ずれた位置に設けられるとともに、図3に示すように前記コーナ刃11よりも回転軸線O方向後方側に設けられている。また、前記ガイドパッド21Aは、図7に示すように該工具本体1の外周面に凹設されたガイドパッド取付溝20Aへねじ22によって着脱自在に固着され、例えば前記ガイドパッド21Aと前記取付溝20Aとの間にスペーサ23Aが狭着され、前記スペーサ23Aの厚みを変えることにより前記ガイドパッド21Aの外周面21aの外径が調整自在とされる。また、前記ガイドパッド21Aは、回転軸線Oに直交する断面において、図6(b)に示すようにその外周面21aが該穴明け工具のコーナ刃11の外径より小さな外径の円弧面をなすように形成され、回転軸線O方向では長さL1の直線状をなすように形成される。
【0023】
このような穴明け工具では、コーナ刃の位置を基準として該穴明け工具の円周方向に−10°〜10°の範囲、および回転軸線中心(P)を基準として前記コーナ刃と対称な位置から該穴明け工具の円周方向に−10°〜10°の範囲に、少なくとも一対設けられたガイドパッド21Aは、前記外周刃7Bの背分力に対向して該工具本体1を支持するため、該工具本体1の撓みを効果的に抑制することができる。よって、前記撓みによる前記コーナ刃11の外径の縮小を効果的に抑制し、加工穴径の縮小を大幅に抑制することができる。そして、前記ガイドパッド21Aの外周面21aの最外周部の前記コーナ刃11の最外周部に対する半径の差は、−0.2mm〜0mmの範囲で適宜調整可能とされる。前記半径の差が−0.2mm未満ではガイドパッド21Aが加工穴内壁と摺接しなくなり、加工穴径の縮小を抑制する効果が得られなくなる場合があり、前記半径の差が0mmより大きくなると加工穴径が拡大するという問題が生じる。また、前記ガイドパッド21Aは、コーナ刃11よりも該工具本体1の回転軸線O方向後方側に設けられるので、コーナ刃11が加工穴から抜ける際にも該工具本体1の撓みを抑制する効果が持続し、前記加工穴径の縮小を抑制するとともに該工具本体1の直進性を維持し外周刃7Bと中心刃7Aの欠損を防止する。
【0024】
前記ガイドパッド21Aの外周面21aの回転軸線O回りの回転形状は、図3(b)に示すように回転軸線O方向の長さL1の直線状をなし、前記L1は1.5mm〜5.0mmの範囲に設定されるのが好ましい。この理由は、前記L1が1.5mm未満では前記外周面21aと加工穴内壁との回転軸線O方向の摺接範囲が狭くなることから該工具本体1を支持する効果が充分得られなくなるからであり、前記L1が5.0mmを越えると前記外周面21aと加工穴内壁との摺接が強まり該穴明け工具への負荷(抵抗)が高くなるからである。なお、ガイドパッド21Aの外周面21aの回転軸線O回りの回転形状は、図3(c)に示すように、例えば曲率半径R1の円弧状であってもよい。そうすれば、該工具本体1に撓みが生じ前記外周面21aが回転軸線Oに対して傾斜した場合にも、前記外周面21aを形成する円弧が加工穴内壁と接するので、前記加工穴内壁の仕上げ面あらさを劣化させることがない。また、前記外周面21aを加工穴内壁へ押圧する力の大きさに応じて、前記外周面21aは前記加工穴内壁と摺接する領域が変動するので、前記ガイドパッド21Aは前記押圧する力と略均衡する力を該工具本体1へ作用し、該工具本体1を支持する。なお、前記外周面21aの前記回転形状の前記曲率半径が50mm未満では、前記外周面21aは加工穴内壁と摺接する領域が狭くなり該工具本体1を支持する効果が不十分となり、前記曲率半径R1が1000mmを越えると、前記外周面21aの回転軸線Oに対する傾きの影響を排除できず、加工穴内壁の仕上げ面あらさを劣化させるので、前記曲率半径R1は50mm〜1000mmの範囲とするのが好ましい。特に好ましくは、前記曲率半径R1が50mm〜500mmの範囲である。そうすれば、ガイドパッド21Aの外周面21aの回転軸線Oに対する傾きの管理が簡易なうえ加工穴内壁の仕上げ面あらさが安定する。
【0025】
ガイドパッド21Aは、図2に示すように外周刃7Bの該工具本体1の回転軸線Oを基準とし略対称な円周方向の位置に1つのガイドパッド21Aが設けられるとともに、外周刃7Bの位置を基準にして該穴明け工具の円周方向に−10゜〜10゜の範囲に(前記1つのガイドパッド21Aに略対称な円周方向の位置に)もう1つのガイドパッド21Aが設けられてもよい。そうすれば、2つのガイドパッド21Aにより、該工具本体1は前記外周刃7Bの背分力の作用する方向によりいっそう支持され撓みが抑制されることになり、加工穴径の縮小が大幅に改善される。さらに、図2に示すように、ガイドパッド21Bが外周刃7Bおよび中心刃7Aの法線方向(図2の横方向)後方の該工具本体1外周に設けられてもよい。そうすれば、前記ガイドパッド21Bは、外周刃7Bおよび中心刃7Aの主分力方向に該工具本体1を支持し、前記主分力方向の撓みを抑制する。これは、上述したガイドパッド21Aによる外周刃7Bの背分力方向の撓みを抑制する効果と相まって加工穴径の縮小をより効果的に抑制できる。よって、高送り加工したときに該穴明け工具のふれ回りを抑制し、加工穴径を安定させ、中心刃7A、外周刃7Bの切れ刃損傷を改善する効果が得られる。
【0026】
本発明に係る穴明け工具は、上述した実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で実施可能であり、ドリルに限らず、例えばボーリングカッタ、BTA工具、トレパニングツール等に適用することができ、外周刃、中心刃等の切れ刃をなすチップは、工具本体に一体的に形成されたチップ座に固着されるものに限らず、カートリッジ等を介して工具本体に固着されるものであってもよい。また、前記チップの工具本体への固着形式は、ねじ止め形式に限定されず例えばクランプオン形式、楔止め形式のような従来公知の形式全てに適用可能であり、チップが例えば鋼製のカートリッジにろう付けされてなるいわゆるブレード形式であってもよい。
【0027】
【発明の効果】
本発明の穴明け工具は、前記外周刃の最外周部に形成されたコーナ刃の位置を基準として該穴明け工具の円周方向に−10°〜10°の範囲、および回転軸線中心(P)を基準として前記コーナ刃と対称な位置から該穴明け工具の円周方向に−10°〜10°の範囲に、少なくとも1対のガイドパッドが該工具本体の外周面から突出して設けられ、少なくとも前記外周刃の位置を基準にして該穴明け工具の円周方向に−10゜〜10゜の範囲に設けられるガイドパッドが前記コーナ刃よりも該工具本体の回転軸線(O)方向後方側に設けられている。そうすれば、前記ガイドパッドは、前記外周刃の背分力方向に対向して該工具本体を支持し撓みを抑制するので、該穴明け工具は、前記外周刃の外径の縮小を抑え、加工穴径の縮小を改善する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施例の穴明け工具の先端部の正面図である。
【図2】図1に示す穴明け工具の先端視側面図である。
【図3】(a) 図1に示す穴明け工具の背面側側面図である
(b) 図3(a)に示す穴明け工具のガイドパッドの詳細図である。
(c) 図3(a)に示す穴明け工具における他のガイドパッドの詳細図である。
【図4】図1に示す穴明け工具の上側面図である。
【図5】図1に示す穴明け工具の下側面図である。
【図6】(a) 図1に示す穴明け工具のA−A断面図である。
(b) 図1に示す穴明け工具のB−B断面図である。
【図7】(a) 図1に示す穴明け工具の一部分解斜視図である。
(b) 図1に示す穴明け工具の一部分解斜視図である。
【図8】(a) 第1の従来穴明け工具の先端部の背面側側面図である。
(b) 第1の従来穴明け工具の先端部の正面図である。
【図9】図8に示す穴明け工具の切れ刃詳細図である。
【図10】第2の従来穴明け工具の先端部の正面図である。
【図11】図10に示す穴明け工具の先端視側面図である。
【符号の説明】
1 工具本体
3、4 フルート溝
7 チップ
7A 中心刃
7B 外周刃
7a、7b 外周刃辺稜部
7c、7d 中心刃辺稜部
11 コーナ刃
21、21A、21B ガイドパッド
21a、21b ガイドパッド外周面
22 ねじ
23A、23B スペーサ
Claims (2)
- 回転軸線(O)回りに回転される略円柱状の工具本体の先端部に、中心刃を有するスローアウェイチップと外周刃を有するスローアウェイチップとが前記回転軸線を互いに反対側に配設され、前記中心刃および前記外周刃の前記回転軸線(O)回りの回転軌跡が径方向に連続するように該径方向にずらされて着脱可能に取り付けられてなるスローアウェイ式穴明け工具において、
前記外周刃の最外周部に形成されたコーナ刃の位置を基準として該穴明け工具の円周方向に−10°〜10°の範囲、および回転軸線中心(P)を基準として前記コーナ刃と対称な位置から該穴明け工具の円周方向に−10°〜10°の範囲に、少なくとも1対のガイドパッドが該工具本体の外周面から突出して設けられ、少なくとも前記外周刃の位置を基準にして該穴明け工具の円周方向に−10゜〜10゜の範囲に設けられるガイドパッドが前記コーナ刃よりも該工具本体の回転軸線(O)方向後方側に設けられていることを特徴とするスローアウェイ式穴明け工具。 - 前記ガイドパッドは、該工具本体の径方向に移動可能に装着され、前記ガイドパッドの最外周部の前記コーナ刃の最外周部に対する半径の差が−0.2mm〜0mmの範囲に調整可能とされることを特徴とする請求項1に記載のスローアウェイ式穴明け工具。
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