JP4143817B2 - 片手持ち教示器とこれを備えた産業用ロボット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば産業用ロボットへの教示操作を行なう手持ち教示器とこれを備えた産業用ロボットに関するもので、特にその手持ち教示器のイネーブルスイッチ(デッドマンスイッチとも言う。)に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、産業用ロボットへの教示操作を行うときは、作業者が手持ち教示器を片手または両手で把持し、両手の親指または把持していない手の指で教示器上のキーを押すようにしている。手持ち教示器にはロボット運転操作上の安全のために、手で触れている間は動作し、手を離したときに停止するいわゆるデッドマンスイッチを組み込んでおり、作業者が手持ち教示器の側方から把持した際に、各指先が同時に当接するように、手持ち教示器の裏面にデッドマンスイッチの押し板を配置し、作業者の手が当たる教示器裏面側縁部には傾斜面を設けたものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、作業者が手持ち教示器を長い時間把持しても疲れないように、手持ち教示器の裏側に指をフィットする形状の指掛部を設けたものが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、デッドマンスイッチを押し板と、押し板に設けたシャフトと、シャフトに嵌合したドッグプレートと、複数個のボスと、シャフトと嵌合するスペーサと、シャフト外周部に設けられたバネと、裏板に取り付けられるとともに、ドッグプレートにドッグが係合して、フリーの状態でOFF、ドッグプレートがドッグを少し押し込むとONになり、ドッグプレートがスペーサと当接しバネに抗してドッグを更に深く押し込むとOFFとなる3点式リミットスイッチとを備えて、ロボットの暴走等によるパニック状態で、作業者が手持ち操作器を強く握り締めても確実にOFF状態となるようにした極めて安全なフェイルセーフのものもある(例えば、特許文献3参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開昭63−207580号公報
【特許文献2】
実開昭63−70893号公報
【特許文献3】
特開平08−90485号公報
【0004】
以上のように、従来のイネーブルスイッチには種々の改良がなされているが、以下の点で共通して不便であった。これについて従来公知の図6に示すイネーブルスイッチに基づいて説明する。図6はイネーブルスイッチ付き片手持ち教示器の3面図で、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は背面図である。
図において、1”はイネーブルスイッチ付き教示器、2”はイネーブルスイッチ操作部、3”はイネーブルスイッチ保持部、4は操作キー、5は非常停止ボタンである。
図から判るように、従来のイネーブルスイッチ付き片手持ち教示器1”のイネーブルスイッチ操作部2”は押し圧方向が教示器筐体側面と垂直となるように配置されている。
イネーブルスイッチは把持圧力により2段階に動作するものであり、1段階目でONとなり、被教示装置が動作可能状態、2段階目でOFFとなり、被教示器が動作不可(停止)状態となる。また、把持圧を加えない状態でOFF状態にあり、イネーブルスイッチはOFF−ON−OFFの3ポジションである。
教示器は手の平に置き、その親指を教示器の側壁に当て、その他4本の指をイネーブルスイッチ操作部2”に当て、押圧した状態で、もう一方の手指で操作キー4を操作する。
また、イネーブルスイッチは筐体と一体となっており、押し圧方向が固定されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来のイネーブルスイッチを有した片手持ち教示器1”では、イネーブルスイッチ操作部2”がイネーブルスイッチ押し圧方向と教示器筐体側面が垂直になるように配置されており、保持手把持幅が保持位置に限らず一定である。このため、個人差による手の大きさの違い(把持幅)で操作性、安定性にバラツキが生じてしまう。
例えば、手の小さい人の場合、教示器1”を保持することを優先すると、イネーブルスイッチ操作部2”に十分手が届かないため、イネーブルスイッチの2段階目まで入れづらく、操作性を損なう。逆にイネーブルスイッチの操作性を優先し、操作部2”に指をしっかり掛けるようにすると、教示器保持の安定性を損ない、無理に保持しようとすると長時間の操作に疲労を感じてしまう。
反対に手の大きい人の場合、教示器1”を保持することを優先すると、イネーブルスイッチ操作部2”を手が完全に覆ってしまい、イネーブルスイッチを操作しづらく操作性を損なう。イネーブルスイッチの操作性を優先すると教示器を握る手に余裕ができ、安定性を損なうという欠点があった。
また、従来の片手持ち教示器1”では、イネーブルスイッチ(2”および3”)と筐体が一体となっているため、イネーブルスイッチの押し圧方向が決定され、左右利き手に関係なく保持する手が決まってしまう。
このため、利き手の違う人は、意志とは異なる操作方向を余儀なくされ、教示器保持の安定性、操作性共に損なわれるという欠点があった。
本発明は上記課題を解決するもので、個人差による手の大きさ、利き手により、教示器保持の安定性を損なうことなく、イネーブルスイッチの操作性も損なわない教示器を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1記載の片手持ち教示器の発明は、被教示装置の教示時、被教示装置の動作状況を制御する操作キースイッチを正面に有し、保持手把持による押し圧力により作動するイネーブルスイッチ操作部を背面のイネーブルスイッチ保持部に収納してなる片手持ち教示器であって、前記イネーブルスイッチ保持部の一辺の面が前記教示器の側壁に対して平行に延び、前記平行に沿った面と対向する他の一辺の面が前記側壁に対して斜めに延び、かつ前記イネーブルスイッチ操作部のキートップが前記イネーブルスイッチ保持部の前記斜めに延びた面に収納されたことを特徴とする。
請求項2記載の片手持ち教示器の発明は、被教示装置の教示時、被教示装置の動作状況を制御する操作キースイッチを正面に有し、保持手把持による押し圧力により作動するイネーブルスイッチ操作部を背面のイネーブルスイッチ保持部に収納してなる片手持ち教示器であって、前記イネーブルスイッチ保持部の一辺の面が前記教示器の側壁に対して平行に延び、前記平行に沿った面と対向する他の一辺の面に前記イネーブルスイッチ操作部のキートップが収納され、かつ前記イネーブルスイッチ保持部の前記平行な面を回転中心として前記イネーブルスイッチ保持部を回転可能にさせたことを特徴とする。
請求項3記載の片手持ち教示器の発明は、請求項1記載の片手持ち教示器において、前記イネーブルスイッチ保持部の前記平行な面を回転中心として前記イネーブルスイッチ保持部を回転可能にさせたことを特徴とする。
請求項4記載の産業用ロボットの発明は、請求項1〜3のいずれか1項記載の片手持ち教示器を備えたことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施形態】
以下、本発明の各実施の形態について図に基づいて詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は本発明の第1の実施の形態に係る片手持ち教示器の背面構想図、図2は図1の片手持ち教示器の3面図で、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は背面図、図3は図1の片手持ち教示器を手に持った状態を示し、(a)は手の大きい人(把持幅の広い人)、(b)は手の小さい人(把持幅の狭い人)が片手持ち教示器を手に持った状態のそれぞれの背面構想図である。
図1において、1は第1の実施形態に係るイネーブルスイッチ付き教示器、2はイネーブルスイッチ操作部、3はイネーブルスイッチ保持部である。
図1のように、イネーブルスイッチ保持部3を教示器側壁よりみて斜めに取り付けると、イネーブルスイッチ操作部2も斜めになり、教示器上部側になるにつれ、教示器1の側面とイネーブルスイッチ操作部2までの距離が短くなる。
図2は図1の片手持ち教示器を3面図で示しており、(a)〜(C)の各図において、図1の符号の他、4は操作キー、5は非常停止ボタンを示している。図2において、教示器1の側面とイネーブルスイッチ操作部2までの距離が下から上へ向かうにしたがって短くなっている様子がよく理解できる。
そして、イネーブルスイッチ操作部2はキートップ片端に圧力をかけるだけでも作動するように作られているため、教示者はキートップに指が掛かる範囲内で把持幅に合わせ筐体保持位置を選択できる。
例として図3に手の大きい人と手の小さい人のそれぞれの筐体保持位置を示す。
図から解るように、発明の第1の実施の形態によれば、イネーブルスイッチ操作部2の保持手把持幅が保持位置により変化しているので、手の大きさにより最適筐体保持位置が随意に選べるため、グローバルな操作感を得ることが出来るようになる。
【0008】
[第2の実施の形態]
図4は本発明の第2の実施の形態に係る片手持ち教示器のイネーブルスイッチ保持部の回転運動時の背面パース図、図5は図4の片手持ち教示器を手に持った状態を示し、(a)は右利き(左手にて保持)の人、(b)は左利き(右手にて保持)の人が手に持った状態のそれぞれの背面構想図である。
図4において、1’は第2の実施形態に係るイネーブルスイッチ付き教示器、2’はイネーブルスイッチ操作部、3’はイネーブルスイッチ保持部である。
図4から解るように、本発明の第2の実施の形態では、イネーブルスイッチ操作部2’とそれを保持する保持部3’が回転運動を行なえ、イネーブルスイッチの押し圧方向を自由に変えられる構造となっている。このようにすることで、教示者の利き手に合わせ、イネーブルスイッチの方向を決定できる。
例として、図5の(a)は右利きの人、(b)は左利きの人が手に持った状態の背面構想図を示している。これによれば、右利きの人が使用するときは図5(a)のように、左手にて第2の実施の形態に係る片手持ち教示器1’を保持し、右手で教示内容を操作キー4を操作することにより入力することができ、左利きの人が使用するときは図5(B)のように、右手にて教示器1’を保持し、左手で教示内容をキー操作することにより入力することができるので便利である。
【0009】
その他、第3の実施の形態としては、図4および図5に示すように、第1の実施の形態と第2の実施の形態とを兼ね備えたイネーブルスイッチ操作部およびイネーブルスイッチ保持部とするのがよい。
すなわち、イネーブルスイッチ保持部3’片手持ち教示器筐体の長さ方向に延びる1軸を回転中心に回転可能とし、かつイネーブルスイッチ操作部2’を教示器側壁側より斜めになるようにイネーブルスイッチ保持部3’に取り付けるようにしている。
このような構成によって、手の大きい人と手の小さい人そして右利きの人と左利きの人を問わず万人が快適に片手持ち教示器1’を使用することができる。
【0010】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、イネーブルスイッチ操作部の保持手把持幅が保持位置により変化するので、手の大きさにより筐体保持位置が選べ、またイネーブルスイッチを保持する保持部のある1軸を回転中心に回転運動を行なえるので、イネーブルスイッチの押し圧方向を自由に変えられるため、利き手に関係なくグローバルな操作感を得ることが出来るようになった。
また、上述した操作性と安定性を有する片手持ち教示器を備えた産業用ロボットを提供することが出来るようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る片手持ち教示器の背面構想図である。
【図2】図1の片手持ち教示器の3面図で、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は背面図である。
【図3】図1の片手持ち教示器を手に持った状態を示し、(a)は手の大きい人(把持幅の広い人)、(b)は手の小さい人(把持幅の狭い人)が片手持ち教示器を手に持った状態のそれぞれの背面構想図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る片手持ち教示器のイネーブルスイッチ保持部の回転運動時の背面パース図である。
【図5】図4の片手持ち教示器を手に持った状態を示し、(a)は右利き(左手にて保持)の人、(b)は左利き(右手にて保持)の人が手に持った状態のそれぞれの背面構想図である。
【図6】従来のイネーブルスイッチ付き片手持ち教示器の3面図で、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は背面図である。
【符号の説明】
1 第1の実施形態に係るイネーブルスイッチ付き教示器
1’ 第2の実施形態に係るイネーブルスイッチ付き教示器
2 第1の実施形態に係るイネーブルスイッチ操作部
2’ 第2の実施形態に係るイネーブルスイッチ操作部
3 第1の実施形態に係るイネーブルスイッチ保持部
3’ 第2の実施形態に係るイネーブルスイッチ保持部
4 操作キー
5 非常停止ボタン
9 教示者の保持している手
Claims (4)
- 被教示装置の教示時、被教示装置の動作状況を制御する操作キースイッチを正面に有し、保持手把持による押し圧力により作動するイネーブルスイッチ操作部を背面のイネーブルスイッチ保持部に収納してなる片手持ち教示器であって、
前記イネーブルスイッチ保持部の一辺の面が前記教示器の側壁に対して平行に延び、前記平行に沿った面と対向する他の一辺の面が前記側壁に対して斜めに延び、かつ前記イネーブルスイッチ操作部のキートップが前記イネーブルスイッチ保持部の前記斜めに延びた面に収納されたことを特徴とする片手持ち教示器。 - 被教示装置の教示時、被教示装置の動作状況を制御する操作キースイッチを正面に有し、保持手把持による押し圧力により作動するイネーブルスイッチ操作部を背面のイネーブルスイッチ保持部に収納してなる片手持ち教示器であって、
前記イネーブルスイッチ保持部の一辺の面が前記教示器の側壁に対して平行に延び、前記平行に沿った面と対向する他の一辺の面に前記イネーブルスイッチ操作部のキートップが収納され、かつ前記イネーブルスイッチ保持部の前記平行な面を回転中心として前記イネーブルスイッチ保持部を回転可能にさせたことを特徴とする片手持ち教示器。 - 前記イネーブルスイッチ保持部の前記平行な面を回転中心として前記イネーブルスイッチ保持部を回転可能にさせたことを特徴とする請求項1記載の片手持ち教示器。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載の片手持ち教示器を備えたことを特徴とする産業用ロボット。
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