JP4142549B2 - 高周波加熱装置 - Google Patents
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Description
周波数f0がインバータ回路のLC共振回路の共振周波数で、この周波数f0より上の周波数範囲f1〜f3の電流−周波数特性曲線I1を使用している。
共振周波数f0の時が電流I1は最大で、周波数範囲がf1からf3へ高くなってゆくにしたがって電流I1は減少する。周波数範囲f1〜f3のうち、低周波になるほど共振周波数に近づくので電流I1は増加し、したがって、リーケージトランスの2次側に流れる電流は大きくなる。逆に、周波数が高くなるほど共振周波数から遠ざかるので、リーケージトランスの2次側に流れる電流は小さくなる。非線形負荷である電子レンジを動作させるインバータ回路にあっては、この周波数を変えることにより出力を変えている。
マグネトロンの非線形負荷を使用する電子レンジは、後述するように入力される電源が商用電源のような交流の場合、スイッチング周波数を変化させている。
それぞれの高周波出力においても90度および270度付近が最も高い周波数になるが、例えば電子レンジを200Wで使用する場合はf3近傍に、500Wの場合はそれより低く、1000Wの場合はさらに低い周波数になる。当然であるが、入力電力または入力電流制御を行っているので、商用電源電圧、マグネトロン温度等の変化により、この周波数は変化している。
また、前記電源位相の0度および180度付近は、高電圧を印加しないと高周波発振しないマグネトロンの特性に合わせて、共振電流が大きくなる共振周波数f0近傍のf1近傍に設定することで商用電源電圧に対するマグネトロン印加電圧の昇圧比を高め、マグネトロンから電波が発せられる商用電源の位相幅を広くする設定にしている。
直流電源1は商用電源を全波整流して直流電圧VDCを、第2のコンデンサ5とリーケージトランス2の1次巻線3との直列回路に印加する。第1の半導体スイッチング素子6と第2の半導体スイッチング7とは直列に接続され、リーケージトランス2の1次巻線3と第2のコンデンサ5との直列回路は第2の半導体スイッチング素子7に並列に接続されている。
当然であるが、前記第1、第2の半導体スイッチング素子6,7はこの種類に限定されるものではなく、サイリスタ、GTOスイッチング素子等を用いることもできる。
第1および第2の半導体スイッチング素子6,7は交互に、また後述するデッドタイム作成手段により、第1および第2の半導体スイッチング素子6,7が共にオフしている期間、すなわちデッドタイムを設けて駆動される。
このデッドタイムの詳細は後述するが、第1あるいは第2の半導体スイッチング素子6,7の一方がターンオフした直後は、他方の半導体スイッチング素子の両端電圧は高いので、この時点でターンオンさせるとスパイク状の過大電流が流れ、不要な損失、ノイズが発生する。デッドタイムにより、この両端電圧が約0Vに減少するまでターンオンが遅れるので、前記損失、ノイズが防止される。当然、逆の切り換わり時も同様の働きをする。
また、図4は回路中の半導体スイッチング素子等の部品の電圧電流波形図を示している。
図において、(a)モード1は第1の半導体スイツチング素子6に駆動信号が与えられる。このとき電流は直流電源1からリーケージトランス2の1次巻線3と第2のコンデンサ5を通って流れる。
この回路構成によれば第1の半導体スイッチング素子6と第2の半導体スイッチング素子7に印加する電圧の最大値を直流電源電圧VDCとすることができる。
(a)は上記各モード1〜6における第1の半導体スイッチング素子6の電流波形で、t0時点から導通していた(したがって、(b)で半導体スイッチング素子6のエミッタ・コレクタ間電圧はゼロ)半導体スイッチング素子6がモード1の終了時点t1でターンオフ(電流ゼロになる)している。
一方、(d)は第2の半導体スイッチング素子7の電圧波形で、t0時点からオフであった半導体スイッチング素子7は、オン信号が加えられるモード3の開始時点t2までオフが続く。
したがって、t1時点からt2時点までの期間DT1は、第1の半導体スイッチング素子6および第2の半導体スイッチング素子7が共にオフとなっている。
この期間DT1がデッドタイムに要求される最小値であり、最大値はt1時点からt3時点までの期間であり、この範囲内においてデッドタイムが許容される。
同じく、(c)のように、第2の半導体スイッチング素子7がt4時点でターンオフ(電流ゼロとなる)してから、(a)のように第1の半導体スイッチング素子6にオン信号が加えられるモード6の開始時点t5までの期間DT2がデッドタイムに要求される最小値であり、最大値はt4時点からt6時点までの期間であり、この範囲内においてデッドタイムが許容される。
(a)において、半導体スイッチング素子6がt1時点でターンオフ(電流ゼロになる)しても、(d)で他方の半導体スイッチング素子7の両端の電圧(実線)が0に下がるのに時間t1−t2を必要としている。したがって、t2時点で他方の半導体スイッチング素子7にターンオン信号が加えられると、半導体スイッチング素子7のエミッタ−コレクタ間の電圧が0に下がっているので、半導体スイッチング素子7は電圧からオン(導通)することとなり(これを「ゼロボルトスイッチング」と言う。)、熱損失やノイズの問題は生じない。
したがって、通常通り、時点t2で半導体スイッチング素子7にオン信号が加えられると、半導体スイッチング素子7のエミッタ−コレクタ間に所定の電圧Vt2が加わったままでオンするので熱損失が発生した。また、大きなdv/dtの発生による急峻なスパイク電流が流れ、ノイズ源となった。
また、スパイク電流によるノイズは、大きな問題として取り上げられる値ではなかった。
このため、従来のインバータ回路においては、ハードスイッチングの弊害については全く問題とされなかった。
半導体スイッチング素子に熱損失が余分に発生することは、無駄なエネルギーがそこで費やされることであり、省エネルギーの面から好ましくなく、さらに半導体スイッチング素子の寿命に影響すること、また最近のIC、CPUの駆動は微小信号化しているので、ノイズの発生は今後問題となる可能性があることから、そこで本発明はこれらの欠点を解決するためになされたものである。
したがって、本発明の目的は、半導体スイッチング素子に熱損失の発生し難い、したがって無駄なエネルギーが費やされることのない、半導体スイッチング素子の寿命に悪影響を及ぼさない、かつノイズの発生し難いインバータ回路を提供することにある。
共に、それぞれの前記半導体スイッチング素子を交互にオン/オフさせるとともにそれぞれの半導体スイッチング素子が同時にオフする期間をつくる駆動手段と、前記リーケージトランスの2次巻線に接続される整流手段と、前記整流手段に接続されるマグネトロンとから成るマグネトロン駆動用の高周波加熱装置であって、それぞれの半導体スイッチング素子が同時にオフしている期間をスイッチング周波数に応じて可変にする可変デッドタイム作成回路を備え、前記可変デッドタイム作成回路はスイッチング周波数が高くなるにしたがってデッドタイムを増加させることを特徴とする。
請求項2記載の高周波加熱装置の発明は、直流電源と、2個の半導体スイッチング素子からなる直列回路の2組と、リーケージトランスの1次巻線とコンデンサが接続された共振回路とを有し、前記2組の直列回路はそれぞれ前記直流電源に並列に接続し、前記共振回路の一端は前記一方の直列回路の中点に、他端は他方の直列回路の中点に接続されると共に、前記一方の直列回路の中点と前記直流電源の正極側との間に接続される半導体スイッチング素子と、前記他方の直列回路の中点と前記直流電源の負極側との間に接続される半導体スイッチング素子とを対とすることで構成される二つの半導体スイッチング素子の対をそれぞれ同タイミングで交互にオン・オフさせるとともにすべての半導体スイッチング素子が同時にオフする期間をつくる駆動手段と、前記リーケージトランスの2次巻線に接続される整流手段と、前記整流手段に接続されるマグネトロンとから成るマグネトロン駆動用の高周波加熱装置であって、すべての半導体スイッチング素子が同時にオフしている期間をスイッチング周波数に応じて可変にする可変デッドタイム作成回路を備え、前記可変デッドタイム作成回路はスイッチング周波数が高くなるにしたがってデッドタイムを増加させることを特徴とする。
請求項3記載の高周波加熱装置の発明は、直流電源と、2個の半導体スイッチング素子からなる直列回路と、リーケージトランスの1次巻線とコンデンサが接続された共振回路とを有し、前記直列回路は前記直流電源に並列に接続し、前記共振回路は前記半導体スイッチング素子の一方に並列接続されると共に、それぞれの前記半導体スイッチング素子を交互にオン・オフさせる駆動手段と、前記リーケージトランスの2次巻線に接続される整流手段と、前記整流手段に接続されるマグネトロンとから成るマグネトロン駆動用の高周波加熱装置であって、それぞれの半導体スイッチング素子が同時にオフしている期間をスイッチング周波数に応じて可変にする可変デッドタイム作成回路を備え、前記可変デッドタイム作成回路はスイッチング周波数が高くなるにしたがってデッドタイムを増加させることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の高周波加熱装置において、前記可変デッドタイム作成回路が、所定のスイッチング周波数以下の領域において、デッドタイムを一定またはスイッチング周波数が高くなるにしたがってデッドタイムを微増させることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の高周波加熱装置において、前記可変デッドタイム作成回路が、所定のスイッチング周波数以上でデッドタイムを急増させることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項4記載の高周波加熱装置において、所定のスイッチング周波数以下での前記デッドタイムの一定値または微増値が可変であることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項4記載の高周波加熱装置において、所定のスイッチング周波数以上での前記デッドタイムの急増値が可変であることを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項4記載の高周波加熱装置において、所定のスイッチング周波数の値が可変であることを特徴とする。
請求項9記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項記載の高周波加熱装置において、前記可変デッドタイム作成回路がスイッチング周波数が高くなるにしたがってデッドタイムを階段状に増加させるものであることを特徴とする。
図において、この高周波加熱装置は、直流電源1、リーケージトランス2、第1の半導体スイッチング素子6、第1のコンデンサ4、第2のコンデンサ5、第3のコンデンサ(平滑コンデンサ)13、第2の半導体スイッチング素子7、駆動部8、全波倍電圧整流回路10、およびマグネトロン11とで主回路が構成されている。主回路の構成は図2と同じであるので、重複説明は省略する。
そして、半導体スイッチング素子6、7を制御する制御回路は、入力電流Iinと基準電流Refとからその差を求める誤差信号作成回路21と、誤差信号作成回路21と交流全波信号とから周波数変調信号を作成する周波数変調信号作成回路22と、周波数変調信号作成回路22から三角波搬送波を作成する発振回路23と、デッドタイムをスイッチング周波数の大きさによって変化させる本発明によって設けられた可変デッドタイム作成回路24と、発振回路23の三角波出力と可変デッドタイム作成回路24のVQ7CとVQ8Cの各出力から各矩形波を形成する矩形波形成回路25と、矩形波形成回路25の出力によってスイッチング素子をオン/オフさせるパルスを発生するスイッチング素子駆動回路26から構成され、スイッチング素子駆動回路26の各出力がスイッチング素子(IGBT)6、7のゲートに与えられる。
矩形波形成回路25はコンパレータ251,252の2個を有し、コンパレータ251の反転入力端子(−)にトランジスタQ8のコレクタ電圧VQ8Cが、コンパレータ252の非反転入力端子(+)にトランジスタQ7のコレクタ電圧VQ7Cが与えられ、コンパレータ251の非反転入力端子(+)とコンパレータ252の反転入力端子(−)に発振回路23の三角波出力が与えられる。
各コンパレータ251,252は、非反転入力端子(+)の電位が反転入力端子(−)の電位よりも低いときは出力はなく(電位ゼロ)、非反転入力端子(+)の電位が反転入力端子(−)の電位を超えている間は出力を出す(電位ハイ)ようになっている。
図6において、t1時点より前では、コンパレータ252(図5参照)は非反転入力端子(+)の電位VQ7Cが反転入力端子(−)の三角波の電位を超えているので半導体スイッチング素子がオンしている(出力1)。同じ時、コンパレータ251は非反転入力端子(+)の三角波の電位が反転入力端子(−)の電位VQ8Cよりも低いので半導体スイッチング素子はオフである(出力0)。
(2)t1〜t4、コンパレータ252は出力0が続く。
(3)t2時点で、コンパレータ251は非反転入力端子(+)の三角波の電位が反転入力端子(−)の電位VQ8Cよりも高くなるので出力1となる。
(4)t2〜t3、コンパレータ251は出力1が続く。
(5)t3時点で、コンパレータ251は非反転入力端子(+)の三角波の電位が反転入力端子(−)の電位VQ8Cよりも低くなるので出力は0となる。
(6)t4時点で、コンパレータ252は非反転入力端子(+)の電位VQ7Cが反転入力端子(−)の三角波の電位より高くなるので出力1となる。
(7)t4〜t5で、コンパレータ252は出力1が続く。
(8)t5時点で、コンパレータ252は非反転入力端子(+)の電位VQ7Cが反転入力端子(−)の三角波の電位より低くなるので出力0となる。
(9)t3〜t6、コンパレータ251は出力0が続く。
以下、同様に繰り返す。
このようにして、スイッチング素子6、7が同時にオフとなっている期間t1〜t2、t3〜t4、t5〜t6がデッドタイムDTとして得られる。
図で周波数が高い(実線)ときは、図6(a)で先に実線のVQ8CとVQ7Cと三角波を用いて説明したように、VQ8CとVQ7Cと三角波との間で、電位VQ7Cが三角波の電位より低くなるt1時点で出力0となり、三角波の電位が電位VQ8Cより高くなり出力1となるt2時点までの間がデッドタイムDTとして確保される。
そこで周波数が低くなると点線で示す三角波となり、その傾きは緩くなる。そこで本発明では、同じデッドタイムDTが得られるようにするため、t1時点とt2時点からそれぞれ点線で示す三角波に向けて引いた垂線との交点C1、C2を通る電位VQ7C1とVQ8C1となるように、各オフセット電圧を決めている。抵抗R8、R7は一定であるので、このようなオフセット電圧となるような電流I8、I7を各抵抗R8、R7に流すようにしている。
このようにすることにより、周波数が変化して三角波が実線から点線のように変わったとしても、点線で示す三角波が2つの電位VQ7C1とVQ8C1を横切る時点t1、t2は同じ時点となるので、デッドタイムDTは同じになる。
トランジスタQ8のべースにはカレントミラー回路を構成するトランジスタQ05のベース電圧が加えられる。トランジスタQ05、Q8の特性が等しく、各抵抗値も等しければ、I6=I7=I8、I3=I4、となる。
ただし、I1=I2、I3=I4、I6=(I7=I8)
に限定されるものではなく、比例関係にあればよい。
なお、I7=I8 は必要である。
I3が流れていない範囲では、
I1=I2=I5、となり、
また、VQ5E=VQ6E=VQ7E
I5×R5=I6×R6=I7×R9=I1×R5、となる。
トランジスタQ8、Q7に流れる電流I8、I7はそれぞれ次のようになる。
I8=I6=I1×(R5/R6)
I7=I1×(R5/R9)
オフセット電圧VR8、VR7はそれぞれ次のようになる。
VR8=I8×R8={I1×(R5/R6)}×R8
=I1×R5×(R8/R6)
VR7=I1×R5×(R7/R9)
VQ8CとVQ7Cは、6Vに上記オフセット電圧を加減したものであるから、
VQ8C=6V+VR8=6V+I1×R5×(R8/R6)
VQ7C=6V−VR7=6V−I1×R5×(R7/R9) ・・・(1)
図において、I1、I3、I5はそれぞれ図7のトランジスタQ1、Q3、Q5に流れる電流である。I5はI1+I3である。
周波数が低いf1以下においては、電流I1(15)は一定(151)ないし微増(I52)となっているが、周波数がf1以上の高い範囲においては、周波数f1を変曲点としてI3が急峻に流れ始めるので、これとI1との合計であるI5は急激に増加する。
図7において、発振周波数が低い範囲では電流I3=0だったが、発振周波数が高い範囲では電流I3を次のようにして流すようにしている。すなわち、発振周波数制御電圧のトランジスタQ02のエミッタ電位が接点DTADD点の電位よりも低いときは、端子DTADDに接続されているトランジスタQ03はオンしない(したがって、電流I3は流れなかった)が、発振周波数制御電圧のトランジスタQ02のエミッタ電位が端子DTADD点の電位よりも高くなると、端子DTADDに接続されているトランジスタQ03はオンするので、電流I3が流れ出す。図8において、発振周波数がf1より低い領域では電流I51は一定又は電流I52は微増であったが、発振周波数がf1より高い領域では、それまで0であったI3が急激に流れ始めるので、I5=I1+I3となる。
I3が流れている範囲では、
I5=I2+I4=I1+I3
I5×R5=I6×R6=I7×R9=(I1+I3)×R5、となる。
したがって、トランジスタQ8、Q7のコレクタ電圧はそれぞれ式(2)のようになる。
VQ8C=6V+VR8=6V+(I1+I3)×R5×(R8/R6)
VQ7C=6V−VR7=6V−(I1+I3)×R5×(R7/R9)
・・・・・(2)
(a)の回路において、第1のコンデンサ41,第2のコンデンサ42,の容量設定により、第3のコンデンサ5を省略した回路においても同様の効果が得られる。
図9(b)の(イ)は図9(a)の所定のスイッチング周波数f1以下での前記デッドタイムの一定値または微増値L1をL11、L12、L13のように可変とし、および所定のスイッチング周波数f1以上でのデッドタイムDTの急増値L2を、L21、L22、L23のように可変としている。
これは図7の端子DTMULTIの抵抗R5と抵抗R6の比率を変えることで行える。すなわち、I5×R5=I6×R6
であるから、R5とR6の比を変えればI5とI6の比も変わる。I6はI7,I8の値を決めているので、I5とI6の比が変われば、I5に対するI7,I8の値も変わるので、6Vからのオフセット電圧も変わる。よってデッドタイムDTも変わる。このようにすれば、デッドタイムDTは同じ周波数であっても変わることができる。
この勾配は接点DTADDの上下の抵抗R31,R32の合成抵抗値で決まる。合成抵抗値が大きいとVccから流れる電流は余り流れないので、傾きは小さくなり(L26)、逆に合成抵抗値が小さいとVccから流れる電流は多くなり、傾きは大きくなる(L24)。すなわち、電流I3が多く流れると、電流I7,I8も多く増えるので、抵抗R7,R8の電圧降下が多くなり、6Vからのオフセット電圧が増える。したがって、トランジスタQ8、Q7のコレクタ電圧は前記式(2)によって、増加する。
なお、発振周波数が高くなるとデッドタイムDTが狭まる方向に作用するが、オフセット電圧の増加はそれ以上にデッドタイムDTが長くなる方向に働く。
この変曲点は端子DTADD点の上下の抵抗R31,R32の抵抗比によって変えられる。すなわち、トランジスタq02のベースに加えられる発振周波数制御電圧がその抵抗比で決まる電圧を超えたら電流I3が流れ始めるので、この抵抗R31,R32の抵抗比が変曲点となる。抵抗R31>R32であれば抵抗比で決まる電圧は低いので早く電流I3が流れ始める。電流I3が流れると、電流I7、I8も流れるので、抵抗R7,R8の電圧降下が生じ、6Vからのオフセット電圧が増え、したがって、トランジスタQ8、Q7のコレクタ電圧は前記式(2)によって増加し、デッドタイムDTは早く増加を始める(fO)。逆に、抵抗R31<R32であれば抵抗比で決まる電圧は高いので電流I3が流れ始めるまでに時間がかかり、デッドタイムDTの増加は遅く始まる(f2)。
図9(a)では変曲点となる所定のスイッチング周波数f1を境にデッドタイムDTは、スイッチング周波数f1以下ではL1のように一定または微増であり、スイッチング周波数f1以上ではL2のように急増させるものであったが、図10では、スイッチング周波数がf0、f1、f2、f3と高くなるにしたがってデッドタイムDTをそれぞれL3、L4、L5、L6と階段状に増加させるものである。
このような階段状の構成は、図9(b)の(イ)で説明したデッドタイムL11、L12、L13を作成する手法を採用すればよい。すなわち、図7の端子DTMULTIの抵抗R5と抵抗R6をトランジスタ等の可変抵抗素子で構成し、所定の周波数でその比率を変えるようにすればよい。
発振回路23はコンパレータ231,232の2個を有し、コンパレータ231の反転入力端子a(−)に分圧抵抗235の電圧V1が、コンパレータ232の非反転入力端子b(+)に分圧抵抗236の電圧V2(ただし、V1>V2)が、コンパレータ231の非反転入力端子b(+)とコンパレータ232の反転入力端子a(−)にコンデンサ234の電圧が与えられる。
各コンパレータ231,232は、非反転入力端子b(+)の電位が反転入力端子a(−)の電位よりも低いときは出力はゼロ、非反転入力端子b(+)の電位が反転入力端子a(−)の電位を超えている間は出力1を出すようになっている。
そこで、今、図11に示すように、コンデンサ234の充電回路が形成されていると、コンデンサ234の電位が上昇する。このコンデンサ234の電位が出力される。これに伴ってコンパレータ231の非反転入力端子b(+)の電位が上昇し、反転入力端子a(−)の電位V1を超えたとき出力1がS端子に加えられ、非Q端子の出力でコンデンサ234の放電回路が形成される。以後、コンデンサ234の電位が降下し、このコンデンサ234の電位が出力される。これに伴ってコンパレータ232の非反転入力端子b(+)の電位が降下し、反転入力端子a(−)の電位V2以下になったとき出力1がR端子に加えられ、非Q端子の出力でコンデンサ234の充電回路が形成される。
以上のようにして、コンデンサ234の充放電電位が出力され、三角波発振回路23が得られる。また、充電電流Irの大きさで、三角波の勾配が決まる。
図12はこれらのインバータ回路の3種を示すものである。
図12(a)において、直流電源1は商用電源を全波整流して直流電圧VDCを第1のコンデンサ41と第2のコンデンサ42との直列接続回路に、および第1の半導体スイッチング素子6と第2の半導体スイッチング素子7との直列接続回路に印加する。第1のコンデンサ41と第2のコンデンサ42の接続点と第1の半導体スイッチング素子6と第2の半導体スイッチング素子7の接続点との間にリーケージトランス2の1次巻線3と第3のコンデンサ5の直列接続回路が接続されている。第1の半導体スイッチング素子6と第2の半導体スイッチング素子7の各べースには、駆動部8とからの制御信号が与えられる。そして駆動部8の中に、本発明に係る可変デッドタイム作成回路24が組み込まれている。なお、リーケージトランス2の2次側およびマグネトロンは図示省略している。
可変デッドタイム作成回路24により、所定のスイッチング周波数以下でデッドタイムを一定または微増させ、所定のスイッチング周波数以上でデッドタイムを急増させることを行っているので、半導体スイッチング素子に熱損失の発生し難い、かつノイズの発生し難いインバータ回路が得られる。
可変デッドタイム作成回路24により、所定のスイッチング周波数以下でデッドタイムを一定または微増させ、所定のスイッチング周波数以上でデッドタイムを急増させることを行っているので、半導体スイッチング素子に熱損失の発生し難い、かつノイズの発生し難いインバータ回路が得られる。
図において、直流電源1は商用電源を全波整流して直流電圧VDCを第1の半導体スイッチング素子61と第2の半導体スイッチング素子71との直列接続回路におよび第3の半導体スイッチング素子62と第4の半導体スイッチング素子72との直列接続回路にそれぞれ印加する。第1の半導体スイッチング素子61と第2の半導体スイッチング素子71の接続点と第3の半導体スイッチング素子62と第4の半導体スイッチング素子72の接続点との間にリーケージトランス2の1次巻線3と第3のコンデンサ5の直列接続回路が接続されている。第3のコンデンサ5は省略することができる。第1の半導体スイッチング素子61、第2の半導体スイッチング素子71、第3の半導体スイッチング素子62、そして第4の半導体スイッチング素子72の各べースには、駆動部8とからの制御信号が与えられる。そして駆動部8の中に、本発明に係る可変デッドタイム作成回路24が組み込まれている。なお、リーケージトランス2の2次側およびマグネトロンは図示省略している。
可変デッドタイム作成回路24により、所定のスイッチング周波数以下でデッドタイムを一定または微増させ、所定のスイッチング周波数以上でデッドタイムを急増させることを行っているので、半導体スイッチング素子に熱損失の発生し難い、かつノイズの発生し難いインバータ回路が得られる。
2 リーケージトランス
3 1次巻線
4 第1のコンデンサ
5 第2のコンデンサ
6 第1の半導体スイッチング素子
7 第2の半導体スイッチング素子
8 駆動部
9 2次巻線
10 全波倍電圧整流回路
11 マグネトロン
12 3次巻線
13 第3のコンデンサ
21 誤差信号作成回路
22 周波数変調信号作成回路
23 三角波搬送波発振回路
24 可変デッドタイム作成回路
25 矩形波形成回路
26 スイッチング素子駆動回路
Claims (9)
- 直流電源と、2個の半導体スイッチング素子からなる直列回路と、リーケージトランスの1次巻線とコンデンサが接続された共振回路とを有し、前記直列回路は前記直流電源に並列に接続し、かつ前記共振回路の一端は前記直列回路の中点に、他端は前記直流電源の一端に接続されると共に、それぞれの前記半導体スイッチング素子を交互にオン/オフさせるとともにそれぞれの半導体スイッチング素子が同時にオフする期間をつくる駆動手段と、前記リーケージトランスの2次巻線に接続される整流手段と、前記整流手段に接続されるマグネトロンとから成るマグネトロン駆動用の高周波加熱装置であって、それぞれの半導体スイッチング素子が同時にオフしている期間をスイッチング周波数に応じて可変にする可変デッドタイム作成回路を備え、前記可変デッドタイム作成回路はスイッチング周波数が高くなるにしたがってデッドタイムを増加させることを特徴とする高周波加熱装置。
- 直流電源と、2個の半導体スイッチング素子からなる直列回路の2組と、リーケージトランスの1次巻線とコンデンサが接続された共振回路とを有し、前記2組の直列回路はそれぞれ前記直流電源に並列に接続し、前記共振回路の一端は前記一方の直列回路の中点に、他端は他方の直列回路の中点に接続されると共に、前記一方の直列回路の中点と前記直流電源の正極側との間に接続される半導体スイッチング素子と、前記他方の直列回路の中点と前記直流電源の負極側との間に接続される半導体スイッチング素子とを対とすることで構成される二つの半導体スイッチング素子の対をそれぞれ同タイミングで交互にオン/オフさせるとともにすべての半導体スイッチング素子が同時にオフする期間をつくる駆動手段と、前記リーケージトランスの2次巻線に接続される整流手段と、前記整流手段に接続されるマグネトロンとから成るマグネトロン駆動用の高周波加熱装置であって、すべての半導体スイッチング素子が同時にオフしている期間をスイッチング周波数に応じて可変にする可変デッドタイム作成回路を備え、前記可変デッドタイム作成回路はスイッチング周波数が高くなるにしたがってデッドタイムを増加させることを特徴とする高周波加熱装置。
- 直流電源と、2個の半導体スイッチング素子からなる直列回路と、リーケージトランスの1次巻線とコンデンサが接続された共振回路とを有し、前記直列回路は前記直流電源に並列に接続し、前記共振回路は前記半導体スイッチング素子の一方に並列接続されると共に、それぞれの前記半導体スイッチング素子を交互にオン/オフさせるとともにそれぞれの半導体スイッチング素子が同時にオフする期間をつくる駆動手段と、前記リーケージトランスの2次巻線に接続される整流手段と、前記整流手段に接続されるマグネトロンとから成るマグネトロン駆動用の高周波加熱装置であって、それぞれの半導体スイッチング素子が同時にオフしている期間をスイッチング周波数に応じて可変にする可変デッドタイム作成回路を備え、前記可変デッドタイム作成回路はスイッチング周波数が高くなるにしたがってデッドタイムを増加させることを特徴とする高周波加熱装置。
- 前記可変デッドタイム作成回路は、所定のスイッチング周波数以下の領域において、デッドタイムを一定またはスイッチング周波数が高くなるにしたがってデッドタイムを微増させることを特徴とする請求項3記載の高周波加熱装置。
- 前記可変デッドタイム作成回路は、所定のスイッチング周波数以上でデッドタイムを急増させることを特徴とする請求項4記載の高周波加熱装置。
- 所定のスイッチング周波数以下での前記デッドタイムの一定値または微増値が可変であることを特徴とする請求項4記載の高周波加熱装置。
- 所定のスイッチング周波数以上での前記デッドタイムの急増値が可変であることを特徴とする請求項5記載の高周波加熱装置。
- 所定のスイッチング周波数の値が可変であることを特徴とする請求項4又は5記載の高周波加熱装置。
- 前記可変デッドタイム作成回路はスイッチング周波数が高くなるにしたがってデッドタイムを階段状に増加させるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の高周波加熱装置。
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