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JP4142410B2 - 排水処理方法 - Google Patents

排水処理方法 Download PDF

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JP4142410B2
JP4142410B2 JP2002334462A JP2002334462A JP4142410B2 JP 4142410 B2 JP4142410 B2 JP 4142410B2 JP 2002334462 A JP2002334462 A JP 2002334462A JP 2002334462 A JP2002334462 A JP 2002334462A JP 4142410 B2 JP4142410 B2 JP 4142410B2
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aerobic
wastewater
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Landscapes

  • Activated Sludge Processes (AREA)
  • Purification Treatments By Anaerobic Or Anaerobic And Aerobic Bacteria Or Animals (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は排水処理方法に関し、特に濃厚廃液と希薄排水とを処理する排水処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
生産現場、公共施設等で排出される排水の中には特定の汚濁物質の濃度が高い濃厚廃液と、雑排水と称する比較的汚濁物質の濃度が低い希薄排水とが混在している場合が多い。
従来、活性汚泥法による排水処理設備を用いてこれらの排水を処理する場合、濃厚廃液と希薄排水とを直接、あるいは濃厚廃液に対して嫌気性処理などを実施し、その後活性汚泥に対して汚濁物質が一定の負荷になるように濃厚廃液と希薄排水とを混合して処理している。
また、活性汚泥槽に流入する排水の水質変動により活性汚泥の排水処理能力が低下したとき、水質変動によって菌数が激減した汚泥中細菌を、活性汚泥槽の外で完全栄養培地を用いる個別培養により速やかに増殖させ、それを活性汚泥槽に投入することにより馴養に要する日数を短縮するために、あらかじめ、良好な排水処理能力を示している活性汚泥槽から活性汚泥を採取し、採取された活性汚泥から有機物分解に関与している細菌多数を分離し、それらの細菌の特性を確認して保存しておく排水処理方法が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−277686号公報(特許請求の範囲)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、濃厚廃液と希薄排水とを直接混合すると、水質変動が大きくなり、活性汚泥処理の能力が低下するという問題がある。
また、濃厚廃液を嫌気性処理すると、硫化水素ガスやアンモニアガスが多量に生成しやすくなり、このため、嫌気処理後の濃厚廃液を希薄排水に混合すると、バルキング現象や活性汚泥の解体等が発生する頻度が多くなり、排水処理が不安定になるという問題がある。
また、活性汚泥槽の外で完全栄養培地を用いる個別培養により速やかに増殖させた菌体を用いても、濃厚廃液、あるいは希薄排水の種類が多くなると馴養に要する日数を短縮することが困難になるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題に対処するためになされたもので、濃厚廃液と希薄排水とを処理する場合であっても活性汚泥菌体が安定化されるため排水処理能力が向上し、また難分解性の汚濁物質が多い濃厚廃液であっても活性汚泥菌体が馴養されやすい排水処理方法の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、濃厚廃液と希薄排水とを処理することで汚泥削減を図る排水処理方法において、濃厚廃液を処理する活性汚泥処理装置(AR)と、希薄排水を処理する活性汚泥処理装置(BR)とをそれぞれ設け、濃厚廃液を活性汚泥処理装置(AR)において嫌気・好気処理をする工程と、該嫌気・好気処理後、活性汚泥を分離して、活性汚泥処理装置(AR)と活性汚泥処理装置(BR)との両方の活性汚泥処理装置に戻すとともに、活性汚泥を分離した液を活性汚泥処理装置(BR)に戻す工程とを含み、
活性汚泥処理装置(AR)および活性汚泥処理装置(BR)が、窒素含有汚濁物質を含有する原水の硝化反応および脱窒反応を行う内槽と、この内槽上部に設けられた循環率制御装置と、上記内槽の外面に沿って設けられた汚泥を強制沈降させるための円筒状制御板と、上記内槽の外側および内側に設けられた処理水質測定装置とを具備してなる微生物反応槽であって、
上記内槽は、原水供給口を該内槽下部に有し脱窒反応を行う脱窒反応部と、この脱窒反応部の上部に連結部を介して空気取入れ口を該連結部の上部に有し硝化反応を行う硝化反応部とを備え、上記脱窒反応部および上記硝化反応部の横断面構造が円状をしており、上記硝化反応部の容積が上記脱窒反応部の容積より 1 10 倍あり、上記硝化反応部と上記脱窒反応部との連結部にタービン羽が内設され、
上記処理水質測定装置により測定される処理水のpH、酸化還元電位および溶存酸素量から選ばれた少なくとも一つの測定値を検出する手段と、
上記検出された測定値に応じて上記循環率制御装置の制御量および上記空気取入れ口より吹込まれる空気量から選ばれる少なくとも一つの量を制御することにより、反応槽内の処理水循環率を制御する手段とを備え、上記処理水循環率が 2〜 20 であり、反応槽下部に沈降した活性汚泥の沈降層を経て循環する微生物反応槽を用いることを特徴とする。
【0009】
濃厚廃液を活性汚泥処理装置(AR)において嫌気・好気処理をする工程と、該嫌気・好気処理後の濃厚廃液を固液分離することなく活性汚泥処理装置(BR)において希薄希薄排水とともに嫌気・好気処理をする工程とを組み合わせることにより、嫌気性活性汚泥菌体および好気性活性汚泥菌体のそれぞれの増殖過程と栄養代謝過程とが組み合わされて、嫌気性活性汚泥菌体および好気性活性汚泥菌体の増殖が最大となる。
すなわち、嫌気処理工程では、好気性活性汚泥菌体が分泌した高分子多糖類を分解し、好気処理工程では、嫌気性活性汚泥菌体を消化して汚泥減容化と好気性活性汚泥菌体の増殖を促し、固液分離が良くなる沈降性の良好な汚泥が得られ、全体として汚泥が減少し、かつ安定な活性汚泥処理ができる。
【0010】
本発明において、濃厚廃液と希薄排水とは、少なくとも生物学的酸素要求量の値(以下BODと略称)または化学的酸素要求量の値(以下CODと略称)の差が500ppm以上、好ましくは1000ppm以上あることをいう。すなわち希薄排水よりも濃厚廃液のBODまたはCODが500ppm以上大きいことをいう。
また、嫌気処理とは溶存酸素量(以下DOと略称)が0.05ppm未満の状態での処理をいい、好気処理とはDOが0.05ppm以上、好ましくは0.1ppm以上、より好ましくは0.2ppm以上の状態での処理をいう。さらに嫌気処理においては酸化還元電位(以下ORPと略称)が−80mV未満、好気処理においてはORPが−80mV以上、好ましくは正の状態で処理する操作をいう。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に係る排水処理方法のフローシートの一例を図1に示す。
排水処理設備は、相互にパイプなどで連絡された活性汚泥処理装置(AR)と、活性汚泥処理装置(BR)と、沈殿槽3と、液循環ポンプ4と、液切り替え弁5とを含んで構成されている。
活性汚泥処理装置(AR)は、嫌気・好気処理を行なえる装置であればよい。例えば、嫌気処理部1aと好気処理部2aとがポンプなどを介して相互に連結され、嫌気・好気処理を一つの反応槽内で行なえる活性汚泥反応槽が挙げられる。
【0012】
本発明に係る排水処理方法のフローシートの他の一例を図2に示す。
排水処理設備は、相互にパイプなどで連絡された活性汚泥処理装置(AR)と、活性汚泥処理装置(BR)とを含んで構成され、少なくとも活性汚泥処理装置(AR)に沈殿槽7と、液循環ポンプ8と、液切り替え弁9とを含んで構成されている。この排水処理設備は、特に活性汚泥処理装置(BR)容量を大きくできない場合に有効である。
【0013】
活性汚泥処理装置(AR)に供給される濃厚廃液(A)は図中矢印の方向に循環される。なお、活性汚泥処理装置(AR)としては、それぞれ独立した嫌気処理槽および好気処理槽が連結されている活性汚泥処理装置であっても使用できる。
また、活性汚泥処理装置(BR)は上記活性汚泥処理装置(AR)と同一方式の装置を使用することができる。濃厚廃液に比較して、希薄排水は処理量が多量となる場合が多いため、それぞれ独立した嫌気処理槽および好気処理槽が連結されている活性汚泥処理装置が好ましい。活性汚泥処理装置(BR)に供給される希薄排水(B)は図中矢印の方向に循環される。
【0014】
活性汚泥処理装置(ARまたはBR)における嫌気・好気処理後、活性汚泥を分離するための沈殿槽3、9としては、加圧浮上分離、常圧浮上分離などの公知の沈殿分離手段が利用できる。
【0015】
嫌気処理および好気処理を連続して行なうのに適した活性汚泥処理装置(ARまたはBR)として、バイオアルシーシステムがある(日本アルシー株式会社商品名)。バイオアルシーシステムの一例を図3に示す。図3は嫌気・好気処理を連続して行なう微生物反応槽の断面図である。
微生物反応槽11は、内槽12と、この内槽12の上部に設けられた循環率制御装置13と、外側に設けられた円筒状制御板14と、外側および内側に設けられた処理水質測定装置15とから構成されている。
内槽12は、連結部12cで連結され、その横断面構造が円状をしている好気処理部12aと嫌気処理部12bとより構成されている。好気処理部12aの容積は嫌気処理部12bの容積の 1〜10 倍であることが好ましい。この範囲であると濃厚廃液の好気処理および嫌気処理を効率よく行なうことができる。また、嫌気処理部12bの下部には廃液供給口16および活性汚泥菌栄養物供給口17が、好気処理部12aの下部より空気取入れ口18およびアルカリ供給口19が設けられている。
【0016】
廃液供給口17およびアルカリ供給口19は、BOD負荷が小さいにもかかわらず、窒素分濃度が高い濃厚廃液の処理などに好適である。一方、処理される廃液、排水の種類および汚濁の程度等によっては、栄養物供給口17およびアルカリ供給口19を省略することができる。
【0017】
内槽12内には、攪拌機20が内設されタービン羽20a、20bおよび20cが設けられている。タービン羽20cは連結部12cの位置に配置されている。タービン羽20cの配置により、好気処理部12aから嫌気処理部12bへの処理水の逆流を防ぐことができる。
【0018】
この内槽12の外側に円筒状制御板14a、14b、14cが配置されている。円筒状制御板14bおよび14cは所定の傾斜を有している。この傾斜は急速強制沈降を可能とする角度に設定されている。また、処理水質測定装置15a、15b、15cは、内槽12の内外に設けられている。この処理水質測定装置は、処理水の水素イオン濃度(以下pHと略称)、ORP、DOを測定する装置である。なお、21は浄化された処理水の放流口であり、22は余剰汚泥引抜き口である。図3において、反応槽下部の斜線部は活性汚泥の沈降層を示す。また、浮上汚泥を嫌気処理部12bへ戻すポンプ23を設けることが好ましい。
【0019】
微生物反応槽11は、さらに処理水質測定装置により測定される処理水のpH、ORPおよびDOから選ばれた少なくとも一つの測定値を検出する手段を有している。この手段により検出された検出値に応じて、あらかじめ制御装置のメモリ上に電子的に格納された制御プログラムにより循環率制御装置13の制御量および空気取入れ口18より吹込まれる空気量から選ばれる少なくとも一つの量を制御する。循環率制御装置13の制御量は、具体的には液面調節バルブの開閉、あるいは液面調節板の上下動等によりなされる。空気量あるいは上記制御量を調節することにより、処理水の循環率をポンプを用いることなく変動させることができる。処理水は、後述するように、好気処理部12aから内槽12の外側に配置された円筒状制御板を経て嫌気状態の嫌気処理部12bへ、さらに嫌気処理部12bから好気状態の好気処理部12aへと循環することにより、嫌気・好気処理が行なわれる。したがって、処理水の循環率を検出値に応じて所定の制御プログラムに基づき制御することにより、最適な嫌気・好気処理を行なうことができる。
【0020】
内槽を構成する好気処理部の容積は嫌気処理部の容積より 1〜10 倍、より好ましくは 4〜10 倍に設定される。この範囲とすることにより、濃厚汚泥を含有する廃水の最適な嫌気・好気処理を行なうことができる。特に濃厚汚泥を含有する原水における嫌気処理と好気処理とのバランスを保ことができる。
【0021】
上記微生物反応槽内での処理水循環率は 2〜20 、好ましくは 5〜20 である。処理水循環率が 2未満であると、好気処理がより起こりやすくなり、また、20 をこえると好気処理と嫌気処理とのバランスが崩れる。すなわち、処理水循環率をこの範囲とすることにより、好気処理および嫌気処理が十分に行なわれ、活性汚泥菌体が馴養されやすくなる。なお、このような条件下において好気処理部でのpHは 4.5〜8.5、好ましくは 5.5〜7.5 の範囲となる。
【0022】
活性汚泥処理装置(BR)は上記活性汚泥処理装置(AR)と同一方式の装置を使用することができる。濃厚廃液(A)に比較して、希薄排水(B)は処理量が多量となる場合が多いため、それぞれ独立した嫌気処理槽および好気処理槽が連結されている活性汚泥処理装置が好ましい。
また、嫌気処理槽と好気処理槽とをポンプで循環する方法で循環量を調整する方法も処理槽容積を少なくする方法として有効である。
【0023】
活性汚泥処理装置(BR)における嫌気・好気処理後、活性汚泥を分離するための沈殿槽3としては、加圧浮上分離、常圧浮上分離などの公知の沈殿分離手段が利用できる。
特に、ばっ気空気で嫌気処理槽と好気処理槽と沈殿槽の間を自然循環させ、沈殿部に強制沈降を導入した設備で自然循環量を調整できる構造の処理設備が処理槽容積が少なくてすむので好ましい。
【0024】
活性汚泥処理装置(AR)に供給された濃厚廃液は嫌気処理部1aおよび好気処理部2aにおける処理を連続して少なくとも1回以上繰り返すことが好ましい。より好ましくは2〜4回である。
【0025】
図1において、濃厚廃液は活性汚泥処理装置(AR)の嫌気処理部1aに供給されて嫌気処理される。また必要に応じて濃厚廃液が供給される嫌気処理部1aには後述する返送汚泥が供給され、同時に嫌気・好気処理される。嫌気処理時間は0.5〜6時間が好ましく、1〜2時間がより好ましい。嫌気処理時間が0.5時間未満では嫌気菌体の増殖が不十分であり、6時間をこえると好気菌体の活性が低下し、好気菌体の増殖が好気条件下でも不十分となり好気処理に悪影響が現れる。
また、上記嫌気処理後引き続いてなされる好気処理部2aにおける好気処理の時間は1〜10時間が好ましく、2〜6時間がより好ましい。好気処理時間が1時間未満では好気菌体の増殖が不十分であり、10時間をこえると嫌気菌体の数が減少して嫌気処理部での嫌気菌体の増殖に悪影響が現れ処理の安定性が損なわれる。
本発明においては、活性汚泥処理装置(AR)内の嫌気処理部1aおよび好気処理部2aにおいて濃厚廃液は嫌気・好気処理を繰り返すことにより、濃厚廃液が難分解性有機物を含む高濃度の廃液であっても活性汚泥処理菌体が馴養されやすくなる。
【0026】
活性汚泥処理装置(AR)内にて循環処理された濃厚廃液は、固液分離されることなく好気処理部2aから活性汚泥処理装置(BR)の嫌気処理部1bに供給される。この活性汚泥処理装置(BR)の嫌気処理部1bには、同時に希薄排水(B)が供給される。
活性汚泥処理装置(BR)に供給された、希薄排水および嫌気・好気処理された後の濃厚廃液は、嫌気処理部1bおよび好気処理部2bにおける処理を連続して少なくとも1回以上繰り返すことが好ましい。より好ましくは2〜4回である。嫌気処理および好気処理条件は活性汚泥処理装置(AR)と同様に行なうことができる。
【0027】
図2に示す活性汚泥処理装置(AR)に沈殿槽を設けた場合には、活性汚泥処理装置(AR)内にて循環処理された濃厚廃液を沈殿槽7に集め固液分離を行ない、分離された汚泥を液循環ポンプ8と液切り替え弁9とを介して、活性汚泥処理装置(AR)の嫌気処理部1aに返送汚泥10aとして戻すことができる。また、活性汚泥処理装置(AR)と活性汚泥処理装置(BR)との両方の活性汚泥処理装置に返送汚泥10bとして戻すことができる。なお、活性汚泥を分離した上澄みは活性汚泥処理装置(BR)に戻すことができる。
【0028】
活性汚泥処理装置(BR)における嫌気・好気処理後、好気処理部2bより処理液を沈殿槽3に集め、公知の方法で固液分離を行なう。分離された汚泥は液循環ポンプ4と液切り替え弁5とを介して、活性汚泥処理装置(AR)の嫌気処理部1aに返送汚泥6として戻す。または嫌気処理部1aと同時に活性汚泥処理装置(BR)の嫌気処理部1bに戻すことができる。返送汚泥6は濃厚廃液および希薄排水に馴養されているので、難分解性の高分子の汚濁物質を多く含有している廃液を処理する場合でも処理効率が向上し処理水中の汚濁物質濃度の低減が著しく向上するのみならず、バルキングが発生し難くなり、汚泥発生量が大幅に減少するので脱水ケーキの処分費用が著しく削減されるのと、汚泥の自己溶菌で微生物の良好な栄養分が供給されるので、その後の活性汚泥処理がより効率よく行なえる。
【0029】
また、本発明においては、活性汚泥処理装置(AR)と活性汚泥処理装置(BR)とに分離して排水処理を行なうことで、最適条件での嫌気・好気処理ができるため活性汚泥処理装置の微生物反応処理槽の容積を小さくできるので、既設の設備の処理能力向上ならびに排水処理設備建設費用の削減が図れる。また、汚泥の発生量が少ないので脱水設備も従来の能力の半分以下の設備で対応でき、設備投資額ならびにランニングコストを大幅に削減できる。
【0030】
さらに、活性汚泥処理装置(AR)と活性汚泥処理装置(BR)とを組み合わせることで、濃厚廃液を前処理することなく有機物の消化が十分になされ、微生物硝化脱窒が十分になされるので、余剰汚泥を少なくできる。余剰汚泥が完熟汚泥となり臭気が少なくなる。凝集剤の添加がすくなくなるので余剰汚泥の含水率が下がる等の効果である。
なお、活性汚泥処理装置(AR)と活性汚泥処理装置(BR)とはそれぞれ複数段組み合わせることができる。
【0031】
本発明の排水処理方法は、例えば、食品産業、塗装産業、機械産業、製紙産業、化学薬品産業等おいて、特に濃厚廃液と希薄排水とが発生する分野の排水を処理するに適している。
【0032】
【実施例】
実施例1
食鳥処理排水処理場から排出される排水を処理した。
排水は通常放血された血液(COD;20000ppm以上)や砂肝の周囲に付着している脂肪分を剥離した固形分や油分含有廃液(ノルマルヘキサン抽出量(以下n−Hexと略称);500ppm以上、COD;1500ppm以上)は分別回収して場外処分するのが通常であるが、近年産業廃棄物の処分費の高騰により排水処理装置での処理が要望されている。
これらの血液や油分を含有する廃液は濃厚廃液と称し、CODが6500ppm、BODが13500ppm、n−Hexが1500ppm、全窒素(以下、T−Nと略称する)が550ppm含まれる濃厚廃液が15トン/日排出し、その他、希薄排水として、食鳥の中貫洗浄排水(CODが450ppm、BODが1100ppm)が360トン/日排出している。
濃厚廃液処理用装置(AR)は、容積50m3の嫌気処理部1aと、容積120m3の好気処理部2aとを有している。また、希薄排水処理用装置(BR)は、嫌気処理部1bが容積80m3で、好気処理部2bが容積180m3で強制沈殿部3が容積160m3の循環式嫌気・好気処理槽(バイオアルシーシステム:日本アルシー株式会社商品名)を用いた。
【0033】
循環式嫌気・好気処理槽(バイオアルシーシステム)に循環率4倍で希薄排水15トン/Hと濃厚廃液処理用装置(AR)からで処理した好気部の汚泥を630L/Hをそれぞれ連続的に供給して混合し排水処理した。なお、循環式嫌気・好気処理槽の沈殿部から汚泥を濃厚廃液処理用装置(AR)の嫌気部に500L/H、連続的に移送した。
希薄排水処理用装置(BR)からの放流水の水質は、BODが11ppm、CODが18ppm、n−Hexが0.1ppm、T−Nが12ppmであった。また、希薄排水処理用装置(BR)の沈殿部から余剰汚泥を引き抜き脱水した。余剰汚泥の脱水ケーキ処分量は年間13トンであった。
【0034】
比較例1
食鳥処理排水処理場から排出される排水を2段ばっ気法にて処理した。2段ばっ気法は容積180m3のばっ気槽とその後に45m3の沈殿槽があり、次いで容積120m3のばっ気槽とその後に60m3の沈殿槽を備えた設備で活性汚泥処理をした。
食鳥の放血は全量回収して産業廃棄物処理業者に委託処分をしていた。油まじりの原水は硫酸バンドと苛性ソーダならびにアニオン系の高分子凝集剤で前処理を実施し加圧浮上スカムをスクリュープレスで脱水し脱水ケーキを委託処分していた。脱水ケーキを委託処分量は年間960トンであった。また、排水処理後の水質は、BODが12ppm、CODが20ppm、n−Hexが0.1ppm、T−Nが40ppmであった。
【0035】
実施例2
化学薬品製造工場から排出される排水を処理した。
排水は、BODが8400ppm、CODが4500ppm、T−Nが682ppmの濃厚廃液が平均2.4トン/H、BODが260ppm、CODが130ppm、全窒素量が34ppmの希薄排水が平均19トン/Hそれぞれ排出している。
濃厚廃液処理用装置(AR)は、容積100m3と容積70m3との嫌気処理部1aと、容積100m3と容積70m3との好気処理部2aとを有している。
また、希薄排水処理用装置(BR)は、容積200m3の嫌気処理部1bが2つと、容積200m3の好気処理部2bが2つとを有している。
【0036】
濃厚廃液を濃厚廃液処理用装置(AR)に返送汚泥0.2トン/Hとともに嫌気処理部1aに投入して嫌気処理を行ない、次いで好気処理部2aに移し好気処理を行ない、嫌気・好気処理を2回繰り返した。嫌気処理時間はそれぞれ1.2時間、好気処理時間はそれぞれ4時間の割合で行なった。
その後、希薄排水処理用装置(BR)の嫌気処理部1bに希薄排水とともに投入して嫌気処理を行ない、次いで好気処理部2bに移し好気処理を行ない、嫌気・好気処理を2回繰り返した。嫌気処理時間はそれぞれ1.1時間、好気処理時間はそれぞれ3.5時間の割合で行なった。
【0037】
沈殿槽3を使用して活性汚泥から処理水を分離して放流水を取り出し、沈降濃縮された活性汚泥は返送汚泥として循環使用し、一部は余剰汚泥として抜き出して凝集脱水し脱水ケーキとした。
放流水の水質はBODが13ppm、CODが9ppm、T−Nが5ppmであった。また脱水ケーキは0.1トン/Hであった。
【0038】
比較例2
実施例で処理すべき水質および処理量の排水を好気処理のみで排水処理した。
排水処理装置は容積200m3と容積370m3の好気処理槽とを連結した。
濃厚廃液と希薄排水とを排出量に応じて混合して上記好気処理槽で処理した。
処理された放流水の水質はBODが13ppm、CODが10ppm、T−Nが41ppmであった。また脱水ケーキは0.4トン/Hであった。
【0039】
実施例3
味噌醸造工場から排出される排水を処理した。
排水は、濃厚廃液として大豆煮汁廃液が1トン/日および米とぎ汁廃液が50トン/日排出している。この濃厚廃液はBODが3500ppm、CODが1800ppm、T−Nが300ppmである。
また、BODが400ppm、CODが250ppm、T−Nが15ppmの希薄排水が1000トン/日排出している。
濃厚廃液処理用装置(AR)は、容積20m3の嫌気処理部1aと、容積60m3の好気処理部2aとを有している。
また、希薄排水処理用装置(BR)は、容積100m3の嫌気処理部1bと、容積400m3の好気処理部2bとを有している。
【0040】
濃厚廃液を濃厚廃液処理用装置(AR)に返送汚泥8トン/Hとともに嫌気処理部1aに投入して、嫌気処理時間を2時間、好気処理時間を6時間の割合で嫌気・好気処理を2回繰り返して行なった。
その後、希薄排水処理用装置(BR)の嫌気処理部1bに希薄排水とともに投入して嫌気処理を行ない、次いで好気処理部2bに移し好気処理を行ない、嫌気・好気処理を2回繰り返した。嫌気処理時間はそれぞれ2時間、好気処理時間はそれぞれ5時間の割合で行なった。
【0041】
沈殿槽3を使用して活性汚泥から処理水を分離して放流水を取り出し、沈降濃縮された活性汚泥は返送汚泥として循環使用し、一部は余剰汚泥として抜き出して凝集脱水し脱水ケーキとした。
放流水の水質はBODが8ppm、CODが19ppm、T−Nが1ppm以下であった。また脱水ケーキは1トン/日であった。
【0042】
比較例3
実施例3での味噌醸造工場から排出される排水を容積1000m3のばっ気槽で処理した。この場合、処理された放流水の水質はBODが8ppm、CODが20ppm、T−Nが5ppmであった。また脱水ケーキは4トン/日であった。
【0043】
【発明の効果】
本発明の排水処理方法は、濃厚廃液と希薄排水とをそれぞれ処理する活性汚泥処理装置を設け、濃厚廃液を活性汚泥処理した後に希薄排水と混合して活性汚泥処理するので、活性汚泥菌体が馴養し易くなり、バルキングが起こり難くなり排水処理能力が向上する。また、汚泥の発生量を削減することができる。
【0044】
また、上記排水処理方法において、希薄排水処理より発生した汚泥を返送汚泥とするので、活性汚泥菌体がより容易に馴養される。
【0045】
また、上記排水処理方法において、活性汚泥処理装置(AR)における嫌気・好気処理条件は、嫌気処理時間が0.5〜6時間、好気処理時間が1〜10時間の範囲で、嫌気・好気処理を1回または複数回行なうので、排水処理装置全体の装置容積を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】排水処理方法のフローシートである。
【図2】排水処理方法の他のフローシートである。
【図3】微生物反応槽の断面図である。
【符号の説明】
1 嫌気処理部
2 好気処理部
3 沈殿槽
4 液循環ポンプ
5 液切り替え弁
6 返送汚泥

Claims (1)

  1. 濃厚廃液と希薄排水とを処理することで汚泥削減を図る排水処理方法において、
    濃厚廃液を処理する活性汚泥処理装置(AR)と、前記希薄排水を処理する活性汚泥処理装置(BR)とをそれぞれ設け、
    前記濃厚廃液を前記活性汚泥処理装置(AR)において嫌気・好気処理をする工程と、該嫌気・好気処理後、活性汚泥を分離して、
    前記活性汚泥処理装置(AR)と前記活性汚泥処理装置(BR)との両方の活性汚泥処理装置に戻すとともに、活性汚泥を分離した液を前記活性汚泥処理装置(BR)に戻す工程とを含み、
    前記活性汚泥処理装置(AR)および前記活性汚泥処理装置(BR)が、窒素含有汚濁物質を含有する原水の硝化反応および脱窒反応を行う内槽と、この内槽上部に設けられた循環率制御装置と、前記内槽の外面に沿って設けられた汚泥を強制沈降させるための円筒状制御板と、前記内槽の外側および内側に設けられた処理水質測定装置とを具備してなる微生物反応槽であって、
    前記内槽は、原水供給口を該内槽下部に有し前記脱窒反応を行う脱窒反応部と、この脱窒反応部の上部に連結部を介して空気取入れ口を該連結部の上部に有し前記硝化反応を行う硝化反応部とを備え、前記脱窒反応部および前記硝化反応部の横断面構造が円状をしており、前記硝化反応部の容積が前記脱窒反応部の容積より 1 10 倍あり、前記硝化反応部と前記脱窒反応部との連結部にタービン羽が内設され、
    前記処理水質測定装置により測定される処理水のpH、酸化還元電位および溶存酸素量から選ばれた少なくとも一つの測定値を検出する手段と、
    前記検出された測定値に応じて前記循環率制御装置の制御量および前記空気取入れ口より吹込まれる空気量から選ばれる少なくとも一つの量を制御することにより、反応槽内の処理水循環率を制御する手段とを備え、前記処理水循環率が 2 20 であり、反応槽下部に沈降した活性汚泥の沈降層を経て循環する微生物反応槽を用いることを特徴とする排水処理方法。
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