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JP4141172B2 - 面発光半導体レーザ素子の製造方法および面発光半導体レーザ素子および光伝送システム - Google Patents

面発光半導体レーザ素子の製造方法および面発光半導体レーザ素子および光伝送システム Download PDF

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JP4141172B2 JP2002128813A JP2002128813A JP4141172B2 JP 4141172 B2 JP4141172 B2 JP 4141172B2 JP 2002128813 A JP2002128813 A JP 2002128813A JP 2002128813 A JP2002128813 A JP 2002128813A JP 4141172 B2 JP4141172 B2 JP 4141172B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、面発光半導体レーザ素子の製造方法および面発光半導体レーザ素子および光伝送システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インターネットの普及と情報量の増大に伴い、より大容量で高速の光伝送ネットワークが必要とされている。
【0003】
面発光半導体レーザ素子は、出力光の広がり角が比較的狭い(10度前後)ので、光ファイバとの結合が容易であり、また、しきい値電流を小さくでき電力変換効率が高いため消費電力が小さく、しかも2次元並列集積が容易であり、素子の検査が簡便であるという優れた特徴を有している。そのため,面発光半導体レーザ素子は、今後の大容量光伝送モジュールへの搭載が期待されている。
【0004】
この面発光半導体レーザ素子は、基板面と垂直な方向に積層形成されたレーザ共振器を備え、光が基板面と垂直な方向に出射するように構成されている。より詳しくは、面発光半導体レーザ素子は、基板側と表面側とのそれぞれに、高反射率の半導体多層膜からなる半導体分布ブラッグ反射鏡(半導体DBR)や誘電体多層膜からなる誘電体分布ブラッグ反射鏡(誘電体DBR)や金属反射鏡などの反射鏡(ミラー層)が設けられ、2つの反射鏡の間に活性層が設けられている。また、活性層と2つの反射鏡との間には、それぞれスペーサ層が設けられている。
【0005】
さらに、面発光半導体レーザ素子では、しきい値電流を小さくするため、また、単一モード発振をさせるために、活性層近傍で電流経路を狭める電流狭窄構造がとられている。
【0006】
従来、この電流狭窄構造を形成する方法としては、プロトン注入型、埋め込み再成長型、選択配化層型、トンネル接合消滅型等が知られている。
【0007】
プロトン注入型の形成方法では、例えば、文献[B.Tell et al.,Appl.Phys.Lett.,57(1990)1855]に報告されているように、面発光半導体レーザ素子を構成する素子構成膜の表面からプロトンをイオン注入することで高抵抗部を形成し、電流狭窄構造を形成している。
【0008】
また、埋め込み再成長型の形成方法では、特開平11−112086号公報に示されているように、面発光半導体レーザ素子を構成する素子構成膜の上部をメサ状に加工した後、このメサと逆の導電性をもつ埋め込み層を再成長させてp−n接合を形成し、電流狭窄構造を形成している。
【0009】
また、選択酸化層型の形成方法では、例えば、文献[K.D.Choquette et al.IEEE Photonics Techology Letters.(1995)1237]に報告されているように、AlAs膜を含む素子構成膜の上部をメサ状に加工した後、AlAs膜を水蒸気によりメサ側壁から酸化することにより、高抵抗部を形成し、電流狭窄構造を形成している。
【0010】
さらに、トンネル接合消滅型の形成方法では、特許3020167号公報に示されているように、面発光半導体レーザ素子を構成する素子構成膜の活性層の上部にトンネル接合層を形成し、その上部に、電流経路部に対応する領域を除いて上部電極膜を形成し、次に上部ミラーを形成し、その後、熱処理により上部電極膜の金属元素をトンネル接合層に拡散させることにより、トンネル接合を消滅させて高抵抗部を形成して、電流狭窄構造を形成している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の電流狭窄構造の形成方法には、それぞれ以下のような問題がある。
【0012】
すなわち、プロトン注入型の形成方法では、上部ミラー表面から活性層近傍までの深さが5μm以上であるので、プロトン注入する場合、400keV以上の高エネルギーで注入する必要があり、そのため、形成される高抵抗部の位置制御が困難となり、また、面発光半導体レーザ素子を構成する素子構成膜に欠陥が導入される恐れがある。
【0013】
また、埋め込み再成長型の形成方法では、半導体膜の成長工程が2回以上必要となるので、製造工程が煩雑となり、製造コストの上昇を招くという問題がある。
【0014】
また、選択酸化層型の形成方法においては、メサ部分の放熱を良くするため、および、メサ部分の機械的強度を持たせるために、メサ部分の膜面方向の寸法が30μm程度以上必要となり、この場合には、酸化する距離が長くなるので、選択的酸化により形成する高抵抗部の位置制御性が十分でなくなるという問題がある。
【0015】
また、トンネル接合消滅型の形成方法においても、半導体膜の成長工程が2回以上必要となるので、製造工程が煩雑となり製造コストの上昇を招くという問題がある。
【0016】
本発明は、制御性良く電流狭窄構造を形成でき、放熱性に優れ、安定したレーザ特性が得られる面発光半導体レーザ素子を、低コストで作製することの可能な面発光半導体レーザ素子の製造方法および面発光半導体レーザ素子および光伝送システムを提供することを目的としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、面発光半導体レーザ素子の素子構成膜の共振器領域の周辺に高抵抗部形成用孔を形成し、前記素子構成膜はトンネル接合層を含み、
トンネル接合消滅種となる分子または元素を前記高抵抗部形成用孔を通して前記トンネル接合層に供給し、前記トンネル接合層の一部の接合を消滅させて電流狭窄構造を形成することを特徴としている。
【0021】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の面発光半導体レーザ素子の製造方法において、前記高抵抗部形成用孔は、エッチングにより形成されることを特徴としている。
【0022】
また、請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の面発光半導体レーザ素子の製造方法において、素子構成膜中にエツチングストップ層を形成し、高抵抗部形成用孔をエッチングにより形成する際に、高抵抗部形成用孔の底面をエッチングストップ層により位置制御することを特徴としている。
【0023】
また、請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の面発光半導体レーザ素子の製造方法により作製されたことを特徴としている。
【0024】
また、請求項5記載の発明は、請求項4記載の面発光半導体レーザ素子において、高抵抗部形成用孔の少なくとも内壁面が、前記素子構成膜を形成する材料よりも低い屈折率を有する材料で被覆又は充填されていることを特徴としている。
【0025】
また、請求項6記載の発明は、請求項4記載の面発光半導体レーザ素子において、高抵抗部形成用孔の少なくとも内壁面は、金属材料で被覆されており、該金属材料は電極としての機能を有することを特徴としている。
【0026】
また、請求項7記載の発明は、請求項4乃至請求項6のいずれか一項に記載の面発光半導体レーザ素子において、前記素子構成膜中の活性層には、GaInNAs系膜が含まれていることを特徴としている。
【0027】
また、請求項8記載の発明は、請求項4乃至請求項7のいずれか一項に記載の面発光半導体レーザ素子が発光デバイスとして用いられることを特徴としている。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
第1の実施形態
図1は本発明の面発光半導体レーザ素子の構成例を示す図である。図1を参照すると、この面発光半導体レーザ素子は、基板101上に、下部ミラー層102,下部スペーサ層103,活性層104,上部スペーサ層105,上部ミラー層106が順次積層されて構成されている。また、この面発光半導体レーザ素子は、光が出力される側の上部ミラー層106上に絶縁層107を介して上部電極108が形成され、また、基板101の裏面に下部電極109が形成されている。
【0030】
なお、以下では、上記のように面発光半導体レーザ素子を構成するように順次に積層された膜を素子構成膜という。また、図1の構成例では、ミラー層102,106間の下部スペーサ層103,活性層104,上部スペーサ層105が共振器領域として機能するようになっている。
【0031】
ここで、基板101には、GaAs,InP,GaP,GaNAs,Si,Geなどの半導体基板が用いられる。
【0032】
また、基板101側のミラー層(下部ミラー層)102は、基板101上にエピタキシャル成長でき、良質な膜が得られることから、半導体DBR(分布ブラッグ反射鏡)であるのが好ましい。具体的には、下部ミラー層102は、半導体基板101上に、AlAs/GaAs,AlGaAs/GaAs,GaInP/GaAs,AlGaN/GaN,GaInAsP/InP,AlGaInAs/InPなどの多層膜を設けて形成される。
【0033】
また、面発光半導体レーザ素子の表面側のミラー層(上部ミラー層)106は、半導体DBRや誘電体DBRや金属反射鏡で形成される。
【0034】
ここで、半導体DBRとしては、例えば、AlAs/GaAs,AlGaAs/GaAs,GaInP/GaAs,AlGaN/GaN,GaInAsP/InP,AlGaInAs/InPなどが用いられる。
【0035】
また、誘電体DBRとしては、例えば、ZrO2/SiO2,MgO/SiO2, MgO/Si,Al23/MgF2などが用いられる。
【0036】
また、金属反射鏡としては、例えば、Au,Al,Pt,Pd,Ag,Ni,Cr,Tiやそれらの合金などが用いられる。
【0037】
また、活性層104は、例えば、基板101がInPで構成される場合には、GaInAsPにより形成され(1.3μm帯,1.55μm帯)、また、基板101がGaAsで構成される場合には、GaInNAs(1.3μm帯,1.55μm帯)や、GaInAs(0.98μm帯)や、GaAlAs(0.85μm帯)や、AlGaInP(0.65μm帯)などにより形成される。
【0038】
また、2つのスペーサ層103,105は、キャリアを活性層104まで輸送し共振器長を調節する働きをし、発光する光に透明である必要がある。そのため、スペーサ層103,105は、活性層104の材料によってGaAs,InP,GaInAsP,GaAlAs,AlGaInP,GaInPなどから選択されて形成される。
【0039】
図1の面発光半導体レーザ素子の素子構成膜の成長方法としては、例えば、MOCVD法(metalorganic chemical vapor deposition)や、MOMBE法(metalorganic molecular beam epitaxy)や、CBE法(chemical beam epitaxy)などを用いることができる。
【0040】
また、ミラー層102,106を誘電体膜からなる誘電体DBRや金属膜からなる金属反射鏡で形成する場合、誘電体膜や金属膜の形成方法としては、例えば、電子ビーム蒸着法,スパッタリング法,抵抗加熱法,CVD法(chemical vapor deposition)等を用いることができる。
【0041】
また、上部ミラー層106上には、SiO2などの絶縁膜107が形成されている。また、上部電極108及び下部電極109は、いわゆるオーミック電極であり、通常の半導体レーザの電極として用いられるAl等の金属材料で形成されている。
【0042】
ところで、この図1の面発光半導体レーザ素子では、基板101上の素子構成膜の共振器領域の周辺に、素子構成膜の表面と垂直な方向に少なくとも1つの(図1の例では、2つ)の高抵抗部形成用孔110が穿設され、この孔110の底部が上部ミラー層106の底面付近に達している。このような構成では、この孔110を通して活性層104近傍に高抵抗化する分子または元素を導入することにより、電流経路部104aを狭めるための高抵抗部(電流狭窄構造)111を形成することができる。
【0043】
ここで、高抵抗部形成用孔110は、例えば、次のようにして形成される。すなわち、高抵抗部形成用孔110は、例えば、面発光半導体レーザ素子の素子構成膜の発光領域以外の電流狭窄構造が形成される領域に対応する位置に、素子構成膜の表面から活性層104付近にまで達するように(例えば、素子構成膜の表面に垂直方向に)、エッチングによって形成される。
【0044】
高抵抗部形成用孔110を形成するためのエッチングの方法としては、ドライエッチング又はウェットエッチングをとり得るが、サイドエッチの速度に対して垂直方向のエッチング速度が大きいドライエッチングが好ましい。さらに、ドライエッチングの方式としては、エッチング異方性をより大きくとれるICP(Inductively Coupled Plasma)エッチング法やECR(Electron Cycrotron Resonance)エッチング法などの高密度プラズマ源を用いる方式が好ましい。なお、高抵抗部形成用孔110の個数,断面形状,寸法,配置については、所望のものにすることができ、特定のものに限定はされない。
【0045】
図1の構成例では、電流狭窄構造111は、高抵抗部形成用孔110を介して活性層104近傍の半導体にH2O、O2、H元素、O元素あるいは金属元素を、例えば、イオン注入、熱拡散、酸化等により導入して形成される。
【0046】
なお、特開平11−186657号公報には、多層膜半導体層に垂直に複数の2次元ロッド列や2次元ホール列を設けることにより、発光波長に対して光学的伝播禁止帯(フォトニックバンドギャップ)を形成して、多層膜半導体層の面内方向への漏れ光を抑える構成をとる面発光型半導体レーザが示されている。
【0047】
これに対し、本発明では、高抵抗部形成用孔110は、レーザ素子の素子構成膜中に高抵抗部を形成するための分子または元素を導入するための手段として機能するものであり、前述の2次元ロッド列や2次元ホール列と同様な機能を目的とするものではない。
【0048】
また、本発明では、メサ構造中に高抵抗部形成用孔110を設けることも可能である。
【0049】
次に、第1の実施形態の面発光半導体レーザ素子の具体的な作製工程例を図1を用いて説明する。先ず、n型基板101上に、下部n型半導体DBR(下部ミラー層)102,下部アンドープスペーサ層(下部スペーサ層)103,活性層104,上部アンドープスペーサ層(上部スペーサ層)105,上部p型半導体DBR(上部ミラー層)106を順次エピタキシャル成長する。
【0050】
次に、SiO2膜(図示せず)をマスクとして例えばECRエッチング法により上部ミラー層106の共振器領域の周辺に少なくとも1つの(例えば多数の)高抵抗部形成用孔110を穿設する。このとき、孔110の底部は上部ミラー層106の底面付近とする。
【0051】
次に、孔110を通して高抵抗化する分子または元素を導入して、電流狭窄構造111を形成する。
【0052】
その後、SiO2膜を除去し、上部ミラー層106上および高抵抗部形成用孔110の内壁面上に、絶縁膜107を選択的に形成し、最後に、上部ミラー層106上にp側オーミック電極(上部電極)108を形成し、また、基板101の裏面にn側オーミック電極(下部電極)109を形成して、図1に示す面発光半導体レーザ素子を作製することができる。
【0053】
このように作製された面発光半導体レーザ素子は、各電極108,109に電流を流すことで、レーザ発振させることができる。
【0054】
本発明の第1の実施形態の面発光半導体レーザ素子の製造方法によれば、面発光半導体レーザ素子の素子構成膜の共振器領域の周辺に少なくとも1つの高抵抗部形成用孔110を穿設し、高抵抗部形成用孔110を通して前記素子構成膜中に高抵抗化する分子または元素を導入して素子構成膜中に電流狭窄構造111を形成するので、位置制御性良く(位置精度良く)電流狭窄構造111を形成できる。すなわち、高抵抗化する分子や元素の素子構成膜への導入位置と高抵抗部との距離を短くできるので、制御性良く電流狭窄構造を形成することができる。よって、歩留まりが向上し製造コストを低減できる。また、放熱性の悪いメサ構造をとる必要がなく、素子の温度が上昇しにくくなるため、安定したレーザ特性が得られる。しかも、機械的強度の低いメサ構造ではないので、機械的強度も高いものとなる。
【0055】
また、第1の実施形態の面発光型半導体レーザの製造方法によれば、1回の成長工程により簡単にレーザ素子を構成する素子構成膜を形成できるので、製造工程の簡略化が図れ、製造コストを低減できる。
【0056】
このように、第1の実施形態の面発光半導体レーザ素子の製造方法によれば、制御性良く電流狭窄構造を形成でき、放熱性に優れ、安定したレーザ特性が得られる面発光半導体レーザ素子を、低コストで作製することができる。
【0057】
第2の実施形態
図2は本発明の面発光半導体レーザ素子の他の構成例を示す図である。図2を参照すると、この面発光半導体レーザ素子においても、図1に示した面発光半導体レーザ素子と同様に、基板101上に、下部ミラー層102,下部スペーサ103,活性層104,上部スペーサ層105,上部ミラー層106が順次積層され(すなわち、素子構成膜が形成され)、また、高抵抗部形成用孔110が共振器領域(ミラー層102,106間の下部スペーサ層103,活性層104,上部スペーサ層105が共振器領域として機能するようになっている)の周辺に形成されている。なお、以下、図2において図1と同様な構成については、同じ符号を用いることとし、更にそれらの詳細な説明は省略するものとする。
【0058】
ところで、図2の面発光半導体レーザ素子では、上部スペーサ層105と上部ミラー層106との間に、さらに、Al(Ga)As層201(すなわち、AlAs層又はAlGaAs層)が形成されている。すなわち、素子構成膜として、さらに、Al(Ga)As層201を含んでいる。
【0059】
なお、Al(Ga)As層201は、下部ミラー層102,上部ミラー層106と活性層104との間に設けられていれば良い。但し、Al(Ga)As層201は、屈折率が小さいため、図2のように、上部ミラー層106の最下層の低屈折率層として設けられるのが好ましい。
【0060】
また、高抵抗部形成用孔110は、共振器領域の周辺で、高抵抗部を形成する領域近傍に設けられ、この孔110の深さはAl(Ga)As層201の深さよりも深く形成される。
【0061】
本発明の第2の実施形態の面発光半導体レーザ素子の製造方法では、素子構成膜がさらにAl(Ga)As層201を含み、高抵抗化する分子または元素として酸化種を高抵抗部形成用孔110を通してAl(Ga)As層201に供給することで、Al(Ga)As層201の一部を酸化して電流狭窄構造202を形成することができるようになっている。すなわち、この高抵抗部形成用孔110を通してAl(Ga)As層201中に水蒸気や酸素ガス等の酸化種を導入し、Al(Ga)As層201を酸化して、絶縁性のAlxy層202を電流狭窄構造として形成することができる。
【0062】
次に、第2の実施形態の面発光半導体レーザ素子の具体的な作製工程例を図2を用いて説明する。先ず、p型基板101上に、下部p型半導体DBR(下部ミラー層)102,下部アンドープスペーサ層(下部スペーサ層)103,活性層104,上部アンドープスペーサ層(上部スペーサ層)105,AlAs層201,上部n型半導体DBR(上部ミラー層)106を順次エピタキシャル成長する。
【0063】
次に、SiO2膜(図示せず)をマスクとしてICPエッチング法により上部ミラー層106の共振器領域の周辺に高抵抗部形成用孔110を多数あける。このとき、孔110の底部はAlAs層201よりも深くなるようにする。
【0064】
次に、400℃付近の温度で、この高抵抗部形成用孔110を通して水蒸気や酸素ガスを導入し、電流経路部201aを残してAlAs層201を酸化し、絶縁性のAlxy層として電流狭窄構造202を形成する。
【0065】
その後、SiO2膜のマスクを除去し、上部ミラー層106上および高抵抗部形成用孔110の内壁面上に、絶縁膜107を選択的に形成し、最後に、上部ミラー層106上にn側オーミック電極(上部電極)108を形成し、基板101の裏面にp側オーミック電極(下部電極)109を形成し、図2に示す面発光半導体レーザ素子を作製することができる。
【0066】
このように作製された図2の面発光半導体レーザ素子は、各電極108,109からキャリアを注入してレーザ発振させることができる。
【0067】
第2の実施形態の面発光半導体レーザ素子の製造方法によれば、共振器領域の周辺に設けた高抵抗部形成用孔110から酸化種をAl(Ga)As層201中へ導入し、このAl(Ga)As層201の一部を酸化して電流狭窄構造202を形成するので、メサを形成しその側壁のAl(Ga)As層の端から酸化して電流狭窄構造を形成する従来の製造方法と比較して、酸化する距離を短かくすることができ、制御性良く電流狭窄構造を形成できる。よって、歩留まり良く面発光半導体レーザ素子を作製することができる。
【0068】
また、第2の実施形態の面発光半導体レーザ素子の製造方法では、Al(Ga)As層201の膜内方向へ酸化が進むので、高抵抗部形成用孔110の個数が少なくても、効率良く電流狭窄構造202を形成できる。従って、より放熱性が良く、機械的強度が高い面発光半導体レーザ素子を作製できる。
【0069】
第3の実施形態
図3は、本発明の面発光半導体レーザ素子の他の構成例を示す図である。図3を参照すると、この面発光半導体レーザ素子においても、図1,図2に示した面発光半導体レーザ素子と同様に、基板101上に、下部ミラー層102,下部スペーサ103,活性層104,上部スペーサ層105,上部ミラー層106が順次積層され(すなわち、素子構成膜が形成され)、また、高抵抗部形成用孔110が共振器領域(ミラー層102,106間の下部スペーサ層103,活性層104,上部スペーサ層105が共振器領域として機能するようになっている)の周辺に設けられている。なお、図3においても図1,図2と同様な構成については、同じ符号を用いることとし、更にそれらの詳細な説明は省略するものとする。
【0070】
ところで、図3の面発光半導体レーザ素子では、上部スペーサ層105と上部ミラー層106との間に、トンネル接合層301が形成されている。すなわち、素子構成膜として、さらに、トンネル接合層301を含んでいる。
【0071】
トンネル接合層301は、高濃度にキャリアをドーピングしたp+型半導体層とn+型半導体層とを接合した構成のものとなっている。ここで、キャリアに吸収される発振光を少なくするために、p+型半導体層とn+型半導体層は、膜厚が各々数nm程度が適当であり、トンネル接合層301は、p型半導体VCSEL構成層/p+型半導体層/n+型半導体層/n型半導体VCSEL構成層の構成をとるのが好適である。
【0072】
また、トンネル接合層301を設ける位置は、活性層104と上部ミラー層106との間が好ましく、且つ励起光モードの節の位置であることが好ましい。
【0073】
なお、キャリアの流れをよくするために、トンネル接合層301と他の素子構成層との間に、バンドプロファイルをなだらかにするバッファ層を設けても良い。
【0074】
この第3の実施形態の面発光半導体レーザ素子の製造方法では、次のようにして、電流狭窄構造302を形成できる。すなわち、トンネル接合層301に逆バイアスを印加し、n型領域からp型領域に電流を通過させる。この際、文献「K.Iga et al., IPRM2000,451」等に記載されているように、トンネル接合層301は、この層301中に電極金属が拡散してくると接合が破壊され(トンネル接合が消滅し)、高抵抗化する。第3の実施形態では、これを利用して電流狭窄構造を形成するようにしている。
【0075】
すなわち、本発明の第3の実施形態の面発光半導体レーザ素子の製造方法では、素子構成膜がさらにトンネル接合層301を含み、高抵抗化する分子または元素としてトンネル接合消滅種を高抵抗部形成用孔110を通してトンネル接合層301に供給することで、トンネル接合層301の一部の接合を消滅させて電流狭窄構造302を形成するようになっている。このとき、電流狭窄構造302は、トンネル接合の残った電流経路部301aの周囲に形成される。
【0076】
この第3の実施形態の面発光半導体レーザ素子の製造方法は、より具体的には、次のようにしてなされる。すなわち、トンネル接合層301を含む全ての素子構成膜を形成した後、高抵抗部を形成したい領域に高抵抗部形成用孔110を設ける。このとき、孔110の底面は、トンネル接合層301の近くで、上部ミラー層106内に位置するのが良い。但し、孔110の底面位置は、トンネル接合層301上であれば、任意の位置にすることができる。この後、蒸着やスパッタリング法で高抵抗部形成用孔110の底面に電極膜を形成する。
【0077】
そして、400℃程度の温度環境下で、トンネル接合の近傍に設けた電極膜の金属成分を熱拡散させ、トンネル接合を消滅させて、高抵抗部すなわち電流狭窄構造302を形成することができる。
【0078】
次に、第3の実施形態の面発光半導体レーザ素子の具体的な作製工程例を図3を用いて説明する。先ず、n型基板101上に、下部n型半導体DBR(下部ミラー層)102,下部n型スペーサ層(下部スペーサ層)103,活性層104,上部p型スペーサ層105a,トンネル接合層301,上部n型スペーサ層105b,上部n型半導体DBR(上部ミラー層)106を順次エピタキシャル成長する。
【0079】
次に、SiO2膜(図示せず)をマスクとして、ドライエッチング法により上部ミラー層106の共振器領域の周辺に高抵抗部形成用孔110を多数あける。この高抵抗部形成用孔110の底部は上部ミラー層106中とする。
【0080】
次に、SiO2膜を除去した後、蒸着法により高抵抗部形成用孔110の底面にAu/Ni/Au−Ge膜を形成し、しかる後、400℃付近で熱処理して、高抵抗部形成用孔110の底面付近のトンネル接合を消滅させ、電流狭窄構造302を形成する。
【0081】
次いで、上部ミラー層106上および高抵抗部形成用孔110の内壁面上に、絶縁膜107を選択的に形成し、最後に、上部ミラー層106上に上部オーミック電極108を形成し、基板101の裏面に下部オーミック電極109を形成して、図3に示す面発光半導体レーザ素子を作製することができる。
【0082】
このように作製された図3の面発光半導体レーザ素子は、上部オーミック電極108から下部オーミック電極109の方向に電流を流すことで、レーザ発振する。
【0083】
第3の実施形態の面発光半導体レーザ素子の製造方法によれば、高抵抗部形成用孔110を通してトンネル接合消滅種を供給し、トンネル接合層301の一部の接合を消滅させて電流狭窄構造302を形成するので、従来のトンネル接合を消滅させて電流狭窄構造を形成する方法と比較して、1回の成長工程でレーザ素子の素子構成膜を形成することができ、且つ、エピタキシャル成長させた良質な上部ミラー層106を形成できる。従って、低いコストで高性能の面発光半導体レーザ素子を作製することができる。
【0084】
また、第3の実施形態の面発光半導体レーザ素子の製造方法は、第1,第2の実施形態の面発光半導体レーザ素子の製造方法と異なり、トンネル接合層301の一部の接合を金属元素の拡散により消滅させるので、膜面内方向での金属元素の拡散が小さく、従って、より位置の制御性が良く、高抵抗な電流狭窄構造302を形成できる。これによって、より高性能な面発光半導体レーザ素子を歩留まり良く作製できる。
【0085】
第4の実施形態
本発明の第4の実施形態の面発光半導体レーザ素子の製造方法は、図1の構成において、高抵抗部形成用孔110を通して水素又は酸素を素子構成膜中にイオン注入して電流狭窄構造111を形成するようになっている。
【0086】
この第4の実施形態では、図1において、高抵抗部形成用孔110を通して水素又は酸素を素子構成膜中にイオン注入して、電流狭窄構造111を形成するので(すなわち、高抵抗部形成用孔110を設け、この孔110から素子構成膜中に高抵抗化元素をイオン注入するので)、従来のイオン注入法により高抵抗部すなわち電流狭窄構造を形成する方法と比較して、注入の飛程が小さくなり、電流狭窄構造が形成される領域に高抵抗化元素を低い加速エネルギーで注入できる。
【0087】
これにより、位置精度良く、また、素子構成膜へのダメージを少なくして、電流狭窄構造111を形成できる。また、一般的なイオン注入装置を使用できるので、歩留まり良く、安価に高性能の面発光半導体レーザ素子を作製できる。
【0088】
また、イオン注入法により導入する第4の実施形態の製造方法では、第3の実施形態の場合と同様に、高抵抗部の膜面内方向での金属元素の拡散が小さいので、高抵抗部形成用孔110の位置に対応させて制御性良く高抵抗部(すなわち、電流狭窄構造)111を形成することができる。
【0089】
また、第4の実施形態では、第2,第3の実施形態の方法と異なり、Al(Ga)As層やトンネル接合層等の特別な機能層を設けなくとも電流狭窄構造を形成できるので、より広い材料の素子に電流狭窄構造を形成することができる。これによって、歩留まり良く安価に高性能の面発光半導体レーザ素子を作製できる。
【0090】
第5の実施形態
図4は、本発明の面発光半導体レーザ素子の他の構成例を示す図である。図4を参照すると、この面発光半導体レーザ素子においても、図1に示した面発光半導体レーザ素子と同様に、基板101上に、下部ミラー層102,下部スペーサ103,活性層104,上部スペーサ層105,上部ミラー層106が順次積層され(すなわち、素子構成膜が形成され)、また、高抵抗部形成用孔110が共振器領域(ミラー層102,106間の下部スペーサ層103,活性層104,上部スペーサ層105が共振器領域として機能するようになっている)の周辺に設けられている。なお、図4において、図1と同様な構成については、同じ符号を用いることとし、更にそれらの詳細な説明は省略するものとする。
【0091】
ところで、図4の面発光半導体レーザ素子では、上部スペーサ層105と上部ミラー層106との間に、エッチングストップ層401が設けられており、高抵抗部形成用孔110の底部がこのエッチングストップ層401に達して位置制限されている。
【0092】
ここで、エッチングストップ層401は、Inを含む半導体層からなっている。具体的には、エッチングストップ層401には、GaInP,AlGaInP,GaInAsP,AlGaInAs,AlGaInAsP,InPなどの材料を用いることができる。
【0093】
また、このエッチングストップ層401は、上部ミラー層106または下部ミラー層102の低屈折率層または高屈折率層として設けられるのが好ましい。
【0094】
本発明において、レーザ素子の素子構成膜は、上述したように化合物半導体からなり、素子構成膜は、高抵抗部形成用孔110を形成する際に、多くの場合、Cl2ガスなどのハロゲンガスを導入してドライエッチングされる。Inのハロゲン化物の蒸気圧は、他の元素のハロゲン化物よりも蒸気圧が低く、エッチング速度が著しく小さくなる。このため、前述のInを含む半導体層は、エッチングストップ層401として機能する。
【0095】
従って、素子構成膜中に設けられたこのようなエッチングストップ層401によって、高抵抗部形成用孔110の底面の位置を精度良く制御することが可能となる。
【0096】
この第5の実施形態の面発光半導体レーザ素子の製造方法が、第1,第4の実施形態の面発光半導体レーザ素子の製造方法と異なる点は、上部スペーサ層105上にエッチングストップ層401を介して上部ミラー層106を結晶成長させることと、高抵抗部形成用孔110をエッチングにより形成する際に孔110の底面をこのエッチングストップ層401により位置制御することである。
【0097】
このように、第5の実施形態の面発光半導体レーザ素子の製造方法によれば、素子構成膜中にInを含むエツチングストップ層401を形成するようにしたので(すなわち、レーザ素子の素子構成膜中にエッチングストップ層401を設けているので)、高抵抗部形成用孔110をエッチングにより形成する際に孔110の底面の位置を再現性良く制御できるようになる。これによって、歩留まり良く安価に高性能の面発光半導体レーザ素子を作製できる。
【0098】
上述した第1乃至第5のいずれかの実施形態の製造方法で作製された面発光半導体レーザ素子は、面発光半導体レーザ素子の素子構成膜の共振器領域の周辺に少なくとも1つの高抵抗部形成用孔110が形成され、高抵抗部形成用孔110を通して前記素子構成膜中に高抵抗化する分子または元素が導入されて、素子構成膜中に電流狭窄構造が形成されるので、機械的強度が高く放熱性が良い素子構造をもつ高性能な面発光半導体レーザ素子となる。すなわち、制御性良く電流狭窄構造を形成でき、放熱性に優れ、安定したレーザ特性をもつ面発光半導体レーザ素子を提供することができる。
【0099】
なお、上述した第1乃至第5のいずれかの実施形態の製造方法により作製された面発光半導体レーザ素子(具体的には、例えば図4の面発光半導体レーザ素子)において、高抵抗部形成用孔110の少なくとも内壁面が素子構成膜よりも低い屈折率を有する材料(図4の例では、低屈折率層402)で被覆されていても良いし、あるいは、孔110の内部が上記の低屈折率材料により充填されていても良い。
【0100】
このような孔110を被覆又は充填する低屈折率材料としては、例えば、ポリイミドなどの有機高分子、SiO2,SiON,Al23などの無機物などを用いることができる。そして、これら低屈折率層は、塗布法,蒸着法,スパッタリング法,CVD法などで形成される。
【0101】
面発光半導体レーザ素子では、しきい値電流を下げ、出力効率を高めるため、および、共振モードを制限するため、共振器への光閉じ込めは重要な課題である。
【0102】
上述のように、高抵抗部形成用孔110の少なくとも内壁面が、素子構成膜よりも低い屈折率を有する材料で被覆又は充填されている場合には、高抵抗部形成用孔110の内壁面の欠陥が低減するので、キャリアの非発光再結合が低減する。これによって、低いしきい値電流の、高い発光効率の面発光半導体レーザ素子を得ることができる。
【0103】
また、高抵抗部形成用孔110の少なくとも内壁面が、素子構成膜よりも低い屈折率を有する材料で被覆又は充填されている場合には、光の閉じ込めが良好になり、しきい値電流が低く、発光効率が高く、出力光のモードが制限された面発光半導体レーザ素子を得ることができる。
【0104】
また、上述した第1乃至第5のいずれかの実施形態の製造方法により作製された面発光半導体レーザ素子において、高抵抗部形成用孔110の少なくとも内壁面が、金属材料で被覆され、この金属材料が電極としての機能を有するものとなっていても良い。
【0105】
図5は、本発明の面発光半導体レーザ素子の他の構成例を示す図である。図5の面発光型半導体レーザ素子では、高抵抗部形成用孔110の少なくとも内壁面が金属膜501で被覆されていて、この金属膜501が電極として機能するようになっている。
【0106】
ここで、金属膜501としては、高抵抗部形成用孔110の内壁面がp型材料である場合は、Au/Au−Zn/Cr等のp型オーミック電極用の金属が用いられ、また、高抵抗部形成用孔110の内壁面がn型材料である場合は、Au/Ni/Au−Ge等のn型オーミック電極用の金属が用いられる。そして、このような金属膜501は、蒸着法,スパッタリング法,CVD法などで形成される。
【0107】
図5の面発光半導体レーザ素子では、高抵抗部形成用孔110の内面を電極とすることができるので、活性層104と電極との距離を小さくでき、これによって、漏れ電流が少なくなり、活性層104への効率のよい電流注入が可能となる。また、低いしきい値電流で高い発光効率の面発光半導体レーザ素子を得ることができる。
【0108】
また、上述した第1乃至第5のいずれかの実施形態の製造方法によって作製された面発光半導体レーザ素子において、活性層104にはGaInNAs系膜が含まれることが好ましい。これは、次のような理由に基づく。
【0109】
すなわち、将来の大容量光伝送ネットワークの主要な伝送媒体は、現在と変わらず石英系ファイバであると考えられている。この石英系ファイバは、波長1.3μm帯又は1.5μm帯で伝送損失が最も小さい。現在、これらの波長帯用の半導体レーザには、InP基板上に形成されるGaInAsPを活性層とする端面発光型半導体レーザが用いられているが、このような端面発光型半導体レーザでは、活性層におけるキャリアの閉じ込めが弱く、温度特性が悪い。さらに、このInP基板上にGaInAsPを活性層とする面発光型半導体レーザを形成しようとする場合、InP基板上では、最良の半導体多層膜反射鏡(半導体DBR)をGaInAsP/InPの構成にする必要があるが、GaInAsP/InPの構成では屈折率差が小さく、高い反射率を得るには多くの層数を必要とする。従って、InP基板上に形成するGaInAsPを活性層とする半導体レーザは、今後の光伝送ネットワークへ適用するには課題が多い。
【0110】
これに対して、近年、急速に着目され始めたGaInNAs系の材料を活性層に用いた半導体レーザは、発振波長が長波長帯なので、石英系ファイバとの整合性が高い。
【0111】
さらに、このGaInNAs系材料を用いた活性層は、GaAs基板上に形成できるので、スペーサ層等の活性層周りの層にワイドバンドギャップ材料を選択できて、キャリアの閉じ込めが良好になり、温度特性が良好となる。このため、InP基板上に形成されるGaInAsPを活性層とする半導体レーザの場合と異なり、冷却装置を必要としない。
【0112】
このように、GaInNAs系材料を活性層に用いた面発光半導体レーザ素子は、優れた特性をもつので、光通信システムや、コンピューター間,チップ間,チップ内の光インターコネクションや、光コンピューティングにおいて、キーデバイスになると考えられる。
【0113】
具体的に、このGaInNAs系材料としては、例えば、GaInNAs,GaNAs,AlGaInNAs,GaInNAsP,AlGaInNAsP,AlGaNAs,AlGaNAsP,GaInNAsSbなどが挙げられる。
【0114】
なお、このGaInNAs系材料を活性層に用いた面発光半導体レーザ素子では、GaAs基板上に素子構成膜を形成できるので、半導体DBRとしては、GaAs基板上に形成できる屈折率差の大きいAl(Ga)As/GaAs、より広義にはAlxGa(1-x)As/AlyGa(1-y)As(0≦y<x≦1)を用いることができる。この場合には、少ない層数の半導体DBRをもつ面発光半導体レーザ素子を得ることが可能となる。
【0115】
上述したように、活性層104にGaInNAs系材料を用いることにより、より高性能なレーザ特性をもち、より製造コストが小さい、光伝送に適用性の高い面発光半導体レーザ素子を提供できる。
【0116】
また、上述した第1乃至第5のいずれかの実施形態の製造方法によって作製された面発光半導体発光素子を用いて、光伝送システム(光通信システム)を構成することができる。
【0117】
図6は、上述のように作製された本発明の面発光半導体レーザ素子を用いた並列伝送方式光通信システムの構成例を示す図である。この並列伝送方式光通信システムにおいては、上述のように作製された本発明の面発光半導体レーザ素子を複数用い、これら複数の面発光半導体レーザ素子からの信号をそれぞれ複数の光ファイバを介して同時に複数の受光素子に伝送し、複数の受光素子で受光するように構成されている。
【0118】
また、図7は、上述のように作製された本発明の面発光半導体レーザ素子を用いた多波長伝送方式光通信システムの構成例を示す図である。この多波長伝送方式光通信システムにおいては、上述のように作製された本発明の面発光半導体レーザ素子を複数用い、これら複数の面発光半導体レーザ素子からの発振波長の異なる光信号を、それぞれ複数の光ファイバを介して光合波器に導入し、光合波器において、波長の異なる複数の光信号を合波し、そして、合波された光信号を1本の光ファイバ中を介して伝送先の機器に接続される光分波器に伝送し、光分波器で元の波長の異なる複数の光信号に分離し、複数の光ファイバを介して複数の受光素子に伝送して、複数の受光素子で受光させるように構成されている。
【0119】
このように、第1乃至第5のいずれかの実施形態の製造方法により作製された本発明の面発光半導体レーザ素子(低コストで製造でき、放熱性が良く、しきい値電流が低く、発光効率の高い、光伝送システムへの適用性に優れた面発光半導体レーザ素子)を光源として用いて光伝送システムを構築する場合には、光源部に冷却装置を必要としない簡便な構成をとることができ、高性能な光伝送システムを低コストで提供することができる。特に、活性層にGaInNAs系材料を用いた面発光半導体レーザ素子を用いることによって、より高性能な光伝送システムをより低コストで提供することができる。
【0120】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0121】
実施例1
図8は、本発明の実施例1の面発光半導体レーザ素子を示す図である。また、図9は、本発明の実施例1の面発光半導体レーザ素子のAlAs層201の膜面に沿った断面図である。
【0122】
以下、実施例1の面発光半導体レーザ素子の作製方法を図8及び図9を用いて説明する。先ず、MOCVD装置を使用し、TMG,TMA,AsH3,SeH2を反応室に供給し、HCl水溶液により表面を清浄化したn型GaAs基板101上に、n型Al0.9Ga0.1As/n型Al0.3Ga0.7Asの38ペアからなる下部n型DBR102を成長させる。
【0123】
次いで、TMA,TMG,AsH3,SeH2を導入して、n型AlGaAs下部スペーサ層(厚さλ/2n)103を形成し、また、TMG,TMA、AsH3を導入して、Al0.11Ga0.89As/Al0.3Ga0.7Asからなる4重量子井戸活性層104を形成し、また、TMA,TMG,AsH3,DMZnを導入して、p型AlGaAs上部スペーサ層(厚さλ/2n)105を形成する。次いで、TMA,AsH3,DMZnを導入して、p型AlAs選択酸化層(厚さλ/4n)201を、次に積層する上部p型DBR106の最下層の低屈折率層に相当するように形成する。
【0124】
次いで、TMG,TMA,AsH3,DMZnを導入して、p型Al0.9Ga0.1As/n型Al0.3Ga0.7Asの30ペアからなる上部p型DBR106を形成し、また、TMA,TMG,AsH3,DMZnを導入して、p+型AlGaAsコンタクト層(厚さλ/4n)106aを形成する。このようにして、素子構成多層膜(素子構成膜)を形成する。
【0125】
次に、このように形成された素子構成多層膜の表面にレジストを塗布する。そしてこのレジスト塗布膜から、辺の長さが5μmの正方形の4つの頂点で直径が2.5μmの円形にレジストを除去した単位形を周期的に繰り返した基本パターンにおいて、共振器を設ける位置に対応する場所では1個分の円形のレジスト除去がされていないレジストパターンを形成する(図9を参照)。
【0126】
次に、Cl2ガスを導入するICPエッチング法により、高抵抗部形成用孔110を形成する。このとき、孔110の底面が(孔110の深さが)下部DBR102に達するようにする。
【0127】
次いで、レジストを除去し、しかる後、高抵抗部形成用孔110の内壁面に露出したAlAs選択酸化層201の端面から水蒸気を導入して、AlAs層201を面内方向に酸化し、高抵抗部としてAlxOy層を形成する。そして、近接する孔110から成長したAlxOy層(高抵抗部)がつながり、電流狭窄構造202が形成される。このとき、共振器を設ける領域には対応する位置に断面積が約16μm2のAlAs層(電流経路部)201が酸化されないで残るように、酸化時間を制御して電流狭窄構造202を形成する。
【0128】
次に、プラズマCVD法で高抵抗部形成用孔110の内壁面を含む素子構成膜の表面にSiO2膜107を形成する。
【0129】
そして、素子構成膜上に形成されたSiO2膜107の一部を除去し、しかる後、素子構成膜上にp側電極膜108を形成し、次いで、リフトオフ法により光出射部203上のp側電極膜を除去する。
【0130】
最後に、基板101の裏面にn側電極109を形成して、0.78μm帯の面発光半導体レーザ素子を作製することができる。
【0131】
このように、実施例1では、高抵抗部形成用孔110から酸化種をAlAs層201中に導入しAlAs層201の一部を酸化して電流狭窄構造202を形成するので、制御性良く電流狭窄構造202を形成できる。また、高抵抗部形成用孔110の個数が少なくても、効率良く電流狭窄構造202を形成できる。従って、より放熱性が良く、レーザ特性の安定した面発光半導体レーザ素子を作製できる。
【0132】
また、高抵抗部形成用孔110の内壁面が、素子構成膜よりも低い屈折率を有する材料(SiO2膜107)で被覆されているので、光の閉じ込めが良好になり、また、電流の漏れが少なくなり、しきい値電流が低く、発光効率の高い、単一モード出力光の面発光半導体レーザ素子が得られる。
【0133】
実施例2
図10は、本発明の実施例2の面発光半導体レーザ素子を示す図である。
【0134】
以下、実施例2の面発光半導体レーザ素子の作製方法を図10を用いて説明する。先ず、MOCVD装置を使用し、HCl水溶液により表面を清浄化したn型GaAs基板101をサセプタ上にセットし、次いで、TMG,TMA,AsH3,SeH2を反応室に導入し、n型GaAs基板101上に、n型AlGaAs/n型GaAsの36ペアからなる下部n型DBR102を成長させる。
【0135】
次いで、TMG,TMI,PH3,SeH2を導入し、n型GaInPエッチングストップ層(厚さλ/4n)401を、下部n型DBR102の最上部低屈折率層になるように形成する。
【0136】
さらに、TMG,AsH3,SeH2を導入し、n型GaAs下部スペーサ層(厚さλ/2n)103を形成し、また、TMG,TMA、TMI,AsH3,DMHyを導入し、GaInNAs/GaAsからなる2重量子井戸活性層104を形成し、また、TMG,AsH3,DMZnを導入し、p型GaAs上部スペーサ層(厚さλ/2n)105を形成する。
【0137】
次いで、TMA,AsH3,DMZnを導入し、p型AlAs選択酸化層(厚さλ/4n)201を、次に積層する上部p型DBR106の最下層低屈折率層に相当するように形成する。さらに、TMG,TMA,AsH3,DMZnを導入して、p型AlGaAs/p型GaAsの28ペアからなる上部p型DBR106を形成し、また、TMG,AsH3,DMZnを導入して、p+型GaAsコンタクト層(厚さλ/4n)106aを形成する。このようにして、素子構成多層膜(素子構成膜)を形成する。
【0138】
次に、このように作製された素子構成膜表面にレジストを塗布し、図9に示すような実施例1と同じレジストパターンを形成する。
【0139】
次に、Cl2ガスを導入するICPエッチング法により高抵抗部形成用孔110を形成する。このとき、高抵抗部形成用孔10を形成するための深さ方向のエッチングは、n型GaInPエッチングストップ層401中でとまる。
【0140】
その後の工程は、実施例1と同様のプロセスで行ない、1.3μm帯の面発光半導体レーザ素子を作製することができる。
【0141】
このように実施例2では、高抵抗部形成用孔110から酸化種をAlAs層201中に導入しAlAs層201の一部を酸化して電流狭窄構造202を形成するので、制御性良く、且つ、高抵抗部形成用孔110の個数が少なくても効率良く電流狭窄構造202を形成できる。従って、より放熱性が良くレーザ特性の安定した面発光半導体レーザ素子を作製できる。
【0142】
また、高抵抗部形成用孔110の内壁面が、素子構成膜よりも低い屈折率を有する材料(SiO2膜107)で被覆されているので、光の閉じ込めが良好になり、また、電流の漏れが少なくなり、しきい値電流が低く、発光効率の高い、単一モード出力光の面発光半導体レーザ素子が得られる。
【0143】
また、実施例2では、エッチングストップ層401を設けているので、高抵抗部形成用孔110を位置精度良く形成でき、歩留まり良く安価に高性能の面発光半導体レーザ素子を形成できる。
【0144】
また、活性層104にGaInNAs系材料を用いることによって、より高性能なレーザ特性をもち、より製造コストが小さい、光伝送に適用性の高い面発光半導体レーザ素子が得られる。
【0145】
実施例3
図11は、本発明の実施例3の面発光半導体レーザ素子を示す図である。また、図12は、本発明の実施例3の面発光半導体レーザ素子の上部DBR106の膜面に沿った断面図である。
【0146】
以下、実施例3の面発光半導体レーザ素子の作製方法を図11及び図12を用いて説明する。先ず、MOCVD装置を使用し、HCl水溶液により表面を清浄化したn型GaAs基板101をサセプタ上にセットし、TMG,TMA,AsH3,SeH2を反応室に導入して、n型GaAs基板101上に、n型AlGaAs/n型GaAsの36ペアからなる下部n型DBR102を成長させる。
【0147】
次いで、TMG,AsH3,SeH2を導入して、n型GaAs下部スペーサ層(厚さλ/2n)103を形成し、TMG,TMA,TMI,AsH3,DMHy(ジメチルヒドラジン)を導入して、GaInNAs/GaAsからなる2重量子井戸活性層104を形成し、また、TMG,AsH3,DMZnを導入して、p型GaAs上部スペーサ層(厚さλ/4n)105aを形成する。
【0148】
また、TMA,AsH3,DMZnを導入して、p+型AlAsトンネリング層(厚さ5nm)を形成し、また、TMG,AsH3,SeH2を導入して、n+型GaAsトンネリング層(厚さ5nm)を形成する。ここで、p+型トンネリング層とn+型トンネリング層とが接合していることによって、トンネル接合層301が形成される。
【0149】
次いで、TMG,AsH3,SeH2を導入して、n型GaAs上部スペーサ層(厚さλ/4n)105bを形成する。
【0150】
次いで、TMG,TMI,PH3,SeH2を導入して、n型GaInPエッチングストップ層(厚さλ/4n)401を、次に積層するn型DBR106の最下層の低屈折率層となるように形成する。さらに、TMG,TMA,AsH3,SeH2を導入して、n型AlGaAs/n型GaAsの28ペアからなる上部n型DBR106を形成し、また、TMG,AsH3,SeH2を導入して、n+型GaAsコンタクト層(厚さλ/4n)106aを形成して、素子構成多層膜(素子構成膜)を形成する。
【0151】
次に、このようにして形成した素子構成膜の表面に、レジストを塗布する。そして、このレジスト塗布膜から、辺の長さが5μmの正三方形の3つの頂点で直径が2.5μmの円形にレジストを除去した単位形を周期的に繰り返したパターンで、共振器を設ける位置に対応する場所では1個分の円形のレジスト除去がされていないレジストパターンを形成する(図12を参照)。
【0152】
次に、Cl2ガスを導入するECRエッチング法により高抵抗部形成用孔110を形成する。このとき、高抵抗部形成用孔110の底面は、エッチングストップ層401中になる。
【0153】
次に、EB蒸着法により、高抵抗部形成用孔110の内壁面と素子構成膜上面の共振器周辺とを除いた部分に、絶縁膜(SiO2膜)を形成する。
【0154】
そして、光出射部311以外の表面及び孔110の内壁面にAu/Ni/Au−Ge上部p側電極膜108を試料を回転させながら斜め蒸着法により形成する。
【0155】
次に、この材料を410℃で熱処理し、孔110の内壁面に形成された電極膜108の金属成分をトンネル接合層301の方向に拡散させてトンネル接合層301の所定部分のトンネル接合を破壊し高抵抗部を形成する。そして、電極膜108の金属成分はトンネル接合層301の面内方向にも拡散し、各孔110から生成されるトンネル接合破壊部分(高抵抗部)が連結して、電流狭窄構造302が形成される。このとき、共振器を設ける位置に対応する領域には、断面積が約25μm2の低抵抗のトンネル接合層301が破壊されないで残り、トンネル接合電流経路部301aが形成される。
【0156】
最後に、基板101の裏面に下部n側電極109を形成して、1.3μm帯の面発光半導体レーザ素子を作製することができる。
【0157】
このように実施例3では、高抵抗部形成用孔110を通してトンネル接合層301中にトンネル接合消滅種を供給し、電流狭窄構造302を形成するので、1回の成長工程で半導体レーザの素子構成膜を形成でき、且つ、エピタキシャル成長させた良質な上部ミラー106層を形成できる。
【0158】
また、高抵抗部形成用孔110の内壁面を電極とすることができるので、活性層104への効率のよい電流注入が可能となり、低いしきい値電流で、高い発光効率の面発光半導体レーザ素子が得られる。
【0159】
また、エッチングストップ層401を設けているので、高抵抗部形成用孔110を位置精度良く形成でき、歩留まり良く安価に高性能の面発光半導体レーザ素子を作製できる。
【0160】
また、活性層104にGaInNAs系材料を用いることによって、より高性能なレーザ特性をもち、より製造コストが小さい、光伝送に適用性の高い面発光半導体レーザ素子が得られる。
【0161】
実施例4
図13は、本発明の実施例4の面発光半導体レーザ素子を示す図である。
【0162】
以下、実施例4の面発光半導体レーザ素子の作製方法を図13を用いて説明する。まず、MOCVD装置を使用し、HCl水溶液により表面を清浄化したn型GaAs基板101をサセプタ上にセットし、TMG,TMA,AsH3,SeH2を反応室に導入して、n型GaAs基板101上に、n型AlGaAs/n型GaAsの36ペアからなる下部半導体n型DBR102を成長させる。
【0163】
次いで、TMG,AsH3,SeH2を導入して、n型GaAs下部スペーサ層(厚さλ/2n)103を形成し、また、TMG,TMA、TMI,AsH3,DMHyを導入して、GaInNAs/GaAsからなる2重量子井戸活性層104を形成し、また、TMG,AsH3,DMZnを導入してp型GaAs上部スペーサ層(厚さλ/2n)105を形成し、また、TMG,TMI,PH3,DMZnを導入して、p型GaInPエッチングストップ層(厚さλ/4n)401を形成し、また、TMG,TMA,AsH3,DMZnを導入して、p型AlGaAs/p型GaAsの28ペアからなる上部半導体p型DBR106を形成し、また、TMG,AsH3,DMZnを導入して、p+型GaAsコンタクト層(厚さλ/4n)106aを形成し、これによって、素子構成膜を形成する。
【0164】
次に、EB蒸着法により、素子構成膜上面に絶縁膜(SiO2膜)を形成し、このSiO2膜上に、レジスト塗布を行い、図12に示すような実施例3と同じレジストパターンを形成する。このとき、このレジストパターンでBHF液によって、露出しているSiO2膜をエッチングし、レジスト/SiO2マスクパターンを形成する。
【0165】
次に、Cl2ガスを導入するECRエッチング法で、このマスクパターンにもとづいて、高抵抗部形成用孔110を形成する。このとき、孔110の底面はエッチングストップ層401中になる。
【0166】
次に、イオン注入法により、高抵抗部形成用孔110を通して40keVのエネルギーでドーズ量2.5×1014cm-2のプロトンを打ち込む。
【0167】
しかる後、レジストを除去し、その後に350℃で素子構成膜を熱処理する。このとき、H元素(プロトン)が膜面方向にも拡散し、各孔110から注入されたH元素(プロトン)により形成された高抵抗部が連結し、電流狭窄構造111が形成される。また、孔110のない共振器を設ける位置に対応する領域には、H元素(プロトン)は拡散されず、断面積が約25μm2の低抵抗の素子構成膜が残り、これが電流経路部104aとなる。
【0168】
次に、CVD法で、高抵抗部形成用孔110の内壁面を含む素子構成膜上面にSiO2膜107を形成する。しかる後、素子構成膜上面の共振器周辺に形成されたSiO2膜107をBHF液により除去する。そして、Au/Au−Zn/Cr上部p側電極膜108をSiO2膜107上及びコンタクト層106a上に蒸着法により形成して、光出射部203上のp側電極膜をリフトオフ法により除去する。最後に、基板101の裏面にn側電極109を形成して、1.3μm帯の面発光半導体レーザ素子を作製することができる。
【0169】
このように実施例4では、高抵抗部形成用孔110を設け、この孔110から素子構成膜中に高抵抗化元素をイオン注入するので、高抵抗部が形成される領域に高抵抗化元素を低い加速エネルギーで注入できる。これにより、位置精度良く、また素子構成膜へのダメージが少なく、電流狭窄構造111を形成できる。また、一般的なイオン注入装置を使用できるようになる。さらに、実施例1乃至3の面発光半導体レーザ素子と異なり、Al(Ga)As層やトンネル接合層等の機能層を設けなくとも電流狭窄構造111を形成できる。
【0170】
また、高抵抗部形成用孔110の内壁面が、素子構成膜よりも低い屈折率を有する材料(SiO2膜107)で被覆されているので、光の閉じ込めが良好になり、また、電流の漏れが少なくなり、しきい値電流が低く、発光効率の高い、単一モード出力光の面発光半導体レーザ素子が得られる。
【0171】
また、活性層104にGaInNAs系材料を用いることによって、より高性能なレーザ特性をもち、より製造コストが小さい、光伝送に適用性の高い面発光半導体レーザ素子が得られる。
【0172】
【発明の効果】
以上に説明したように、請求項1乃至請求項3記載の発明によれば、面発光半導体レーザ素子の素子構成膜の共振器領域の周辺に高抵抗部形成用孔を形成し、前記素子構成膜はトンネル接合層を含み、
トンネル接合消滅種となる分子または元素を前記高抵抗部形成用孔を通して前記トンネル接合層に供給し、前記トンネル接合層の一部の接合を消滅させて電流狭窄構造を形成するので、制御性良く電流狭窄構造を形成でき、放熱性に優れ、安定したレーザ特性が得られる面発光半導体レーザ素子を、低コストで作製することができる。
【0173】
また,請求項4乃至請求項7記載の発明によれば、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の面発光型半導体レーザの製造方法により作製された面発光半導体レーザ素子であるので、制御性良く電流狭窄構造を形成でき、放熱性に優れ、安定したレーザ特性をもつ面発光半導体レーザ素子を提供することができる。
【0174】
また、請求項8記載の発明によれば、請求項4乃至請求項7のいずれか一項に記載の面発光型半導体レーザが発光デバイスとして用いられるので、より高性能な光伝送システムをより低コストで提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の面発光半導体レーザ素子の構成例を示す図である。
【図2】本発明の面発光半導体レーザ素子の他の構成例を示す図である。
【図3】本発明の面発光半導体レーザ素子の他の構成例を示す図である
【図4】本発明の面発光半導体レーザ素子の他の構成例を示す図である
【図5】本発明の面発光半導体レーザ素子の他の構成例を示す図である
【図6】本発明の面発光半導体レーザ素子を用いた並列伝送方式光通信システムの構成例を示す図である。
【図7】本発明に係る面発光半導体レーザ素子を用いた多波長伝送方式光通信システムの構成例を示す図である。
【図8】本発明の実施例1の面発光半導体レーザ素子を示す図である。
【図9】本発明の実施例1の面発光半導体レーザ素子の製造工程における一工程を示す図である。
【図10】本発明の実施例2の面発光半導体レーザ素子を示す図である。
【図11】本発明の実施例3の面発光半導体レーザ素子を示す図である。
【図12】本発明の実施例3の面発光半導体レーザ素子の製造工程における一工程を示す図である。
【図13】本発明の実施例4の面発光半導体レーザ素子を示す図である。
【符号の説明】
101 基板
102 下部ミラー層
103 下部スペーサ層
104 活性層
105 上部スペーサ層
106 上部ミラー層
107 絶縁膜
108 上部電極
109 下部電極
110 高抵抗部形成用孔
111 電流狭窄構造
201 Al(Ga)As層
202 電流狭窄構造
301 トンネル接合層
302 電流狭窄構造
401 エッチングストップ層
402 低屈折率層
501 金属膜

Claims (8)

  1. 面発光半導体レーザ素子の素子構成膜の共振器領域の周辺に高抵抗部形成用孔を形成し、前記素子構成膜はトンネル接合層を含み、
    トンネル接合消滅種となる分子または元素を前記高抵抗部形成用孔を通して前記トンネル接合層に供給し、前記トンネル接合層の一部の接合を消滅させて電流狭窄構造を形成することを特徴とする面発光半導体レーザ素子の製造方法。
  2. 請求項1記載の面発光半導体レーザ素子の製造方法において、前記高抵抗部形成用孔は、エッチングにより形成されることを特徴とする面発光半導体レーザ素子の製造方法。
  3. 請求項1または請求項2記載の面発光半導体レーザ素子の製造方法において、素子構成膜中にエツチングストップ層を形成し、高抵抗部形成用孔をエッチングにより形成する際に、高抵抗部形成用孔の底面をエッチングストップ層により位置制御することを特徴とする面発光型半導体レーザの製造方法。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の面発光半導体レーザ素子の製造方法により作製されたことを特徴とする面発光半導体レーザ素子。
  5. 請求項4記載の面発光半導体レーザ素子において、高抵抗部形成用孔の少なくとも内壁面が、前記素子構成膜を形成する材料よりも低い屈折率を有する材料で被覆又は充填されていることを特徴とする面発光半導体レーザ素子。
  6. 請求項4記載の面発光半導体レーザ素子において、高抵抗部形成用孔の少なくとも内壁面は、金属材料で被覆されており、該金属材料は電極としての機能を有することを特徴とする面発光半導体レーザ素子。
  7. 請求項4乃至請求項6のいずれか一項に記載の面発光半導体レーザ素子において、前記素子構成膜中の活性層には、GaInNAs系膜が含まれていることを特徴とする面発光半導体レーザ素子。
  8. 請求項4乃至請求項7のいずれか一項に記載の面発光半導体レーザ素子が発光デバイスとして用いられることを特徴とする光伝送システム。
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