JP4141072B2 - 結合装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、木造軸組住宅の柱と梁のように、材木を組んで躯体を構成する構造物(木造軸組構造物と呼ぶ)の2部材を着脱可能に結合する結合装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
木造軸組住宅を含む木造軸組構造物にあっては、柱と梁など部材間の結合を精度高く、かつ、強固に形成することが重要である。このため、従来、ほぞ組に結合金具を用いる手段が採用されているが、組み付けた構造を解体するのは容易ではなく、解体を予定した構造とはいえない。このため、何らかの事情で木造軸組構造物を取り壊すと、柱と梁など主要な部材は端部が破壊されるなどし、結局、ほとんどの部材は、耐久性や品質の面から見て十分に再利用可能であるにもかかわらず、廃材となってしまう。地球的な森林資源の枯渇、大量のゴミの発生を防止する上からも考慮すべき問題である。
一方、現在の木造軸組構造物は、耐久性を基盤に気密性、断熱性に優れた構造物へと向かっているが、この面からも部材間の結合を精度高く、かつ、強固に形成することが重要である。そして、この結合に力学的な裏付けを与えることが必要である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、木造軸組構造物における主要な部材の結合を精度高く強固に形成できると共に、各主要部材を損傷することなく、これらの結合関係を解除(解体)することができる結合装置の提供を課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
結合装置は、木造軸組構造において2部材を結合するものであり、連結部材とこれに差し込んで用いるピンとで構成する。
連結部材は、結合しようとする一方の部材にボルト等で固定するものであり、間隔を開けて配置された2枚の翼板を有する。通常、連結部材は、厚手(例えば、板厚3.2mm)の金属板をプレス加工によって成形するが、合成樹脂など、金属板と同等の強度を発揮できるものであれば、それでも良い。連結部材には翼板の板面と直交する方向に後述のピンを挿通するための装着孔又は切り欠きを設け、また、全体にカチオン電着塗装などの防錆処理を施す。
装着孔の直径あるいは切り欠きの幅は、ピンにおける軸本体の直径より僅かに大きい。装着孔又は切り欠きは、装着孔又は切り欠きだけであっても良いし、装着孔と切り欠きの組み合わせであっても良い。装着孔は丸孔の他に角孔のことがある。切り欠きの場合、その底部で荷重を受け止める方向に形成する。
【0005】
ピンは、比較的太いもので(例えば、軸本体の直径が13.5mm)、軸本体とその外周面に螺旋状の突条を備えた構造とする。ピンは防錆のためと強度上から素材としてステンレスが好ましいが、鋼製のものに亜鉛メッキを施したものや同等の強度を発揮する合成樹脂であっても良い。
螺旋状の突条は、ボルトなどのねじ溝とは異なって、ピン軸方向の断面において、突条の山同士が隣接して連続した山・谷を形成するのではなく、ピン軸方向において螺旋状突条の山の基部と山の基部との間に間隔を有する。この間隔は、前記の連結部材を構成する板材の厚みよりも広く、かつ、装着孔又は切り欠きの端縁が螺旋状の突条とピン軸方向で係合する配置としてある。すなわち、ピンを回動すると、ピンは、外周面の螺旋状突条を連結板の装着孔又は切り欠きの端縁に係合して前進する。この点をねじに例えると、リング状の雌ねじに雄ねじが螺合した格好である。この出願の発明のものが螺旋状の突条であって、ねじでない点は、前記のようにピン軸方向で螺旋状突条の山と山が隣接して連続しない。
【0006】
連結部材の装着孔又は切り欠きにピンを差し込んだ時の装着孔又は切り欠きの端縁とピンにおける螺旋状突条とのピン軸方向の係合は、それほど厳密でなくても良く、ピンを回動することで一部が係合する状態であってもよい。すなわち、装着孔の直径あるいは切り欠きの幅寸法がピンの外径(軸本体の直径+突条高さ)より大きく、装着孔又は切り欠きの端縁と螺旋状突条との係合が、ピンを正面から見てピン軸が装着孔又は切り欠きの周縁の中心から偏心した位置にあって、偏心側で係合が生じているがその直径方向反対側では螺旋状突条が装着孔又は切り欠きの内側に位置している状態から、装着孔又は切り欠きの直径あるいは幅が軸本体の直径よりは大きいが、螺旋状突条を含めたピンの外径よりも小さく、ピン軸が装着孔又は切り欠きのほぼ中心位置にあり、ピンの軸方向からみて螺旋状突条が装着孔又は切り欠きの内側に入り込むことがない状態のものまで、様々である。
【0007】
ピン軸が装着孔又は切り欠きの周縁の中心から偏心した位置にあるときは、突条の螺旋角度(ピンの正面視において突条がピン軸と交差する角度、90度が最大、0度が最小)が大きくても、自由に係合させることができる。また、螺旋状突条が装着孔又は切り欠きの内側に入り込むことがない状態の場合は、装着孔又は切り欠きのピン軸に対して対称な2カ所で係合を生じさせ、一方では端縁の表面側(ピン軸方向の一方)に、他方では端縁の裏面側(同他方)に螺旋状突条が係合する配置とすると、ピンを正回転してピンを前進させることと、逆回転してピンを後退させることをいずれもスムーズに行えるようになる。
【0008】
ピンの一端は、多角形棒頭を突出するか、多角形凹部、プラス形溝、マイナス形溝等を形成して、回動工具を利用できる構造とする。なお、多角形棒頭を突出する場合は、多角形棒頭に続くピンの先端面を棒頭側が径小となるよう傾斜するテーパー面にするなどして、回転工具によるトルクで棒頭がねじ切れてしまうのを防ぐ必要がある。
【0009】
連結部材には、2枚の翼板の対向する位置に一本のピンを翼板間へ架橋して通すために、それぞれ装着孔又は切り欠きを穿設する。この場合、2枚の翼板における装着孔又は切り欠きの端縁が共にピンに設けた螺旋状突条の山と山の間に位置し、かつ、螺旋状突条とピン軸方向で係合する配置とし、2箇所の端縁と螺旋状突条のいずれの箇所でもこじりが生じないようにする。翼板間に架橋したピンは、2点で支持され、受ける荷重がバランス良く配分されると共に、ピンが翼板を中心に振れるのを抑制することができるので結合される2部材の結合状態をより安定なものにすることができる。
【0010】
この結合装置は、次のように使用する。
一方の部材(例えば、柱)に連結部材をボルトで固定し、他方の部材(例えば、梁)の端部に、端部から翼板の板厚に相当するスリットとこのスリットを横断する方向の挿入孔を形成しておく。挿入孔はピンを嵌挿できる直径であり、また、スリットに挿入される連結部材の装着孔又は切り欠きの位置と対応させておく。ついで、一方の部材に他方の部材の端部を、連結部材をスリットに差し込んで突き当て、他方の部材に設けた挿入孔からピンを差し込んでスリットに嵌め込まれている連結部材と他方の部材を結合する。ピンを差し込む際は、ピンを押すようにして正回転させ、螺旋状突条を連結部材における装着孔又は切り欠きの端縁に係合させ、突条の傾斜によりピンを前進させる。
【0011】
なお、他方の部材にあらかじめ1本のピン(第1のピン)をスリットを横断して装着しておき、一方の部材に他方の部材を突き当て係合させるとき、この第1のピンを連結部材の切り欠きに上方から係合させる構造とすることがある。この構造であると、第1のピンが連結部材の切り欠きに係合するとき、第1の部材に対して第2の部材が位置決めされ、また、第2,第3のピンを挿通するまでの間、一方の部材に対して他方の部材を仮止め状態とできるので作業をしやすい。特に、切り欠きの入り口を広く、底部を狭くしたときは、切り欠きとピンとの係合によって、他方の部材が一方の部材に対して引き寄せられるようにして突き当てられて位置決めされるので、正確な結合を行うことができる。
【0012】
また、他方の部材の挿入孔と連結部材の装着孔又は切り欠きとに多少の位置ずれがあっても、ピンの螺旋状突条が他方の部材に食い込むと共に、連結部材にピンが係合しながら前進することで連結部材に対する他方の部材の位置ずれが修正される。位置ずれの修正作用は連結部材が2枚の翼板を備えピンがこれらに架橋して挿通される構造であるとより強くなる。また、他方の部材に対してピンの螺旋状突条が食い込むと、ピンが回動されることによる前進力が増す。
ピンは回転を停止することにより、その位置で停止して装着状態となるが、連結部材の端縁と螺旋状突条との係合によって簡単に抜け出てくることはない。振動などでピンが逆回転して僅かにでも抜け出るのを防ぐため、螺旋状突条に切り込みを入れて鋸歯状にすることもある。
【0013】
一方の部材と他方の部材の結合を解除するには、ピンを逆回転する。すると、ピンは連結部材と螺旋状突条との係合及び他方の部材に食い込んだ螺旋状突条の傾斜によって後退して抜け出てくるので、連結部材とピンとの係合を解除し、一方の部材に固定された連結部材から他方の部材を抜き取り、両部材の結合を解除することができる。
【0014】
以上のように、この結合装置を用いた木造軸組工法は、いわば、連結部材とピンを用いた分解が容易なジョイント工法ということができる。連結部材は一方の部材にボルトなどで正確にかつ確実に固定されるので、これを用いて接続する他方の部材も一方の部材に対して正確に配置され、また、ピンによって確実に固定される。これによって、耐震性などに関して力学上の裏付けを得られる。
さらに、解体が必要なときは、ピンを抜くことによって結合状態を簡単に解除することができ、木造軸組構造物の主要な部材を傷付けることがないので、耐用年数さえあれば、解体した主要な部材を再利用することができる。このことは現存する住宅などの木造軸組構造物も、破損した部分のみを交換して、可能な限り長期間使用することが可能なことを意味する。
この結果、木造軸組住宅など木造軸組構造物のプレハブ化、規格部品化を促進し、主要部材の共通利用や再利用が可能となるので、木材資源の保護にも寄与する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図5に基づいて詳細に説明する。木造軸組構造物は住宅である。
図1に示すように、本発明の結合装置1は、連結部材2とピン3とから成る。
連結部材2は、亜鉛メッキ鋼板を断面コ字形に曲げ加工して形成し、全体にカチオン電着塗装を施してある。連結部材2は、間隔をおいて配置した2枚の平行な翼板4,5と、これら翼板4,5の一側縁を連結する背部6とを備える。2枚の翼板4,5の対応する位置において、上端縁中間部から中心に向けて深さ方向が背部6と平行な切り欠き7を形成し、切り欠き7の下方に第1、第2の2個の装着孔8,9を穿設してある(図2)。
【0016】
連結部材2の背部6の上部を外方に隆起させて縦長長円形のほぞ隆起部10を形成し、ほぞ隆起部10に2個の第1の固定孔11を穿設してある。また、ほぞ隆起部10の下方において、背部6に2個の第2の固定孔12を穿設してある。
ほぞ隆起部10は従来のほぞに相当するものである。
ピン3は、ステンレスを素材とし、軸本体13とその外周面に形成した螺旋状の突条14を備える。軸本体13は、断面円形で連結部材2が備えた装着孔8,9の直径及び切り欠き7の幅より僅かに径小に形成してある。
図3(イ)、(ロ)に示すように、軸本体13の基端には市販の回動工具と係合する六角棒頭15を突出し、回動操作した時に六角棒頭15がねじ切れないように、六角棒頭15に続くピン3の端面を、棒頭側が径小となるよう傾斜するテーパー面16としてある。軸本体13の先端は先細のテーパー状に形成してある。なお、基端の形状は、市販の回動工具のアタッチメントに合わせ(ハ)(ニ)(ホ)のような形状とすることもある。
【0017】
軸本体13の外周には、テーパー状の先端部と六角棒頭15を除くほぼ全長に亘って螺旋状の突条14を形成してある。突条14の山の基部と山の基部との間隔pは、連結部材2の翼板4,5の厚みqよりやや広くなっている(図1)。また、2枚の翼板4,5の間隔sは突条14の山と山との間隔pの整数倍よりやや広くしてある。
図4,5に示すように、柱17(一方の部材)と梁18(他方の部材)は、結合装置1の連結部材2を柱17に上下2本の第1、第2のボルト19,20で固定し、これに梁18の端部を突き当て、結合装置1のピン3により梁18を連結部材2に係合して結合する。
結合手順は次のようになる。ピン3はこの実施形態では、1個の連結部材2に3本(第1、第2、第3のピン3a、3b、3c)を用いる。なお、これらを区別する必要のないときは、ピン3と称する。
【0018】
図2に示すように、予め、柱17の側面に、連結部材2のほぞ隆起部10と係合する縦長長円形のほぞ凹部21(図2)を形成しておく。ほぞ凹部21は従来のほぞ穴に相当するものである。
また、図4に示すように、梁18の結合側端部に、連結部材2の2枚の翼板4,5を挿入するスリット22,22と、スリット形成部分を貫通して第1、第2、第3の挿入孔23,24,25を形成しておく。第1の挿入孔23は切り欠き7と対応し、第2、第3の挿入孔24,25は翼板4,5の装着孔8,9とそれぞれ対応する。なお、第1、第2、第3の挿入孔23,24,25の径は、翼板4,5における装着孔8,9の径及び切り欠き7における奥端部の幅よりもやや大としてある。また、連結部材2の背部6の内面に、連結部材2を柱17に固定するための今ひとつのボルトである第2ボルト20の頭部が突出するので、これを受け入れる凹溝26を梁18の端面でスリット22,22の間に形成しておく。
【0019】
土台上に立設した柱17のほぞ凹部17に連結部材2のほぞ隆起部10を係合する。これにより、連結部材2の取り付け位置及び角度を正確に位置決めでき、連結部材2の翼板4,5が垂直面に沿って外方に張り出す(図5)。
次いで、ほぞ隆起部10に形成した第1の固定孔11及びほぞ隆起部10の下方に形成した第2の固定孔12と柱17を貫通する第1のボルト19,第2のボルト20によって、連結部材2を柱17に固定する。
連結部材2の背部に形成したほぞ隆起部10は函形となるので、ほぞ機能の他に補強効果を発揮し、連結部材2を柱17の第1のボルト19で強く固定した場合にも、2枚の翼板4,5が内側に寄って第1、第2、第3の挿入孔23,24,25や切り欠き7の位置が大きくずれ、また、翼板4,5を梁18の端部に設けたスリット22,22へ挿入するのが困難になる事態を防ぐことができる。
【0020】
次に、梁18に設けた第1の挿入孔23に第1のピン3aを挿通して梁18を持ち上げ、梁18のスリット22,22に連結部材2の翼板4,5を挿入して、梁18の端面を柱17の側面に突き当て、第1の挿入孔23に予め挿通しておいた第1のピン3aを連結部材2の切り欠き7に上方から係合する。第1のピン3aと切り欠き7との係合により、第1のピン3aは梁18の自重によって切り欠き7の底部に案内されて落ち込み、柱17に対する梁18の位置を決定する。従って、切り欠き7の形状を図のように、上方が広く、底部で位置を決める形態にしておくと、柱17に対して梁18が引き寄せられる方向に位置を調整されながら結合されるので、結合状態が緊密に、かつ、正確になる。第1のピン3aと切り欠き7との係合は、従来の軸組工法の蟻欠き結合の役割をする。
【0021】
ついで、梁18の第2、第3の挿入孔24,25から連結部材2の装着孔8,9に、第2,第3のピン3b,3cを正回動させながら押し込む。この時、梁18の第2、第3の挿入孔24,25と2枚の翼板4,5の装着孔8,9及び第1の挿入孔23と2枚の翼板4,5の切り欠き7に多少のズレがあっても、ピン3の螺旋状突条14が梁18に食い込み、さらに翼板3に係止してピン3は前進する。
ピン3を完全に梁18の第1、第2、第3の挿入孔23,24,25と連結部材2の装着孔8,9及び切り欠き7に挿入して、その回動を停止すると、翼板4,5がピン3の螺旋状の突条14に係合して、ピン3は装着状態となり、柱17と梁18は緊結される。
【0022】
なお、この実施形態において梁18に設けた第1の挿入孔23は、その直径をピン3aの外径よりも少し小さくしてあり、ピン3aを2〜3回転して装着しておくと、簡単には抜けでなくなる。このため、梁18の第1挿入孔23にピン3aを挿入してからクレーンなどで梁18を吊り上げてもピン3が落下するなどの危険がない。また、梁18側の挿入孔23との間にガタが無く、柱17に対する梁18の位置をより正確なものとすることができる。これは、ピン3と第2、第3の挿入孔24,25の場合にも同じで、梁18の挿入孔24,25の直径をピン3の外径よりも小さくし、ピン3を梁18の挿入孔24,25に2〜3回転して仮止めし、そのままつり上げるなどして梁18と共にピン3を移動させることができる。このことは、階上へピン3を投げ上げるなどの危険な作業をなくし、また、重いピンを釘袋に何本も入れて持ち歩くなどのことを無くすることもできる。普通の住宅の場合でもピン3は800本程度を用いることがある。
【0023】
第2、第3のピン3b、3cを逆回転させると、螺旋状突条14に送られてピン3b、3cが梁18の挿入孔24,25と連結部材2の装着孔8,9から抜け出し、切り欠き7に第1のピン3aが係合しているだけの、柱17に対して梁18が仮止めされている状態に戻る。ついで、梁18をクレーンでつり上げるなどして、柱17と梁18の結合を解除できる。
なお、連結部材2を柱17の両側面に装着する場合は、第1、第2の固定ボルト19,20の先端が衝突しないように、第1、第2の固定孔11,12をそれぞれ2段に設けておき、上段同士あるいは下段同士に固定用ボルト19,20を差し込んで固定する。柱17の内部にパイプ材を埋め込み、このパイプ材の側面に穿設したねじ孔にボルト19,20の先端を螺合する構造とすることができる。
なお、連結部材2の上下寸法は梁18の上下寸法によって適宜変更可能であり、翼板4,5を先端寄り上方又は先端寄り下方に傾斜させると、柱17や梁18と登り梁27を結合するのに便利である(図6)。
【0024】
図7は、参考例である結合装置を示し、土台28,29同士を直線的に結合している。
結合装置は、2枚の平板状の連結部材2’とピン3(第1のピン3a、第2のピン3b)からなる。連結部材2’の上下寸法は土台28、29の上下寸法とほぼ同じである。また、連結部材2’には、装着孔8と切り欠き7を形成してある。切り欠き7は連結部材の下縁から上方へ向けて形成してある。
連結部材2’とピン3の素材や防錆処理は、第1の実施形態と同様である。
【0025】
各土台28,29の突き合わせ端部に、それぞれ2枚の連結部材2’,2’の半部を挿入する2個のスリット22,22とこれに直交する方向の第1と第2の挿入孔23,24を形成する。第1、第2の挿入孔23,24は、連結部材2’における切り欠き7及び装着孔8と対応する位置に、貫通させて形成する。
そして、一方の土台28のスリット22,22に2枚の連結部材2’の半部を嵌合して、第1、第2の挿入孔23,24から、第1、第2のピン3a,3bを差し込んで一方の土台28の端部に連結部材2’を固定しておく。他方の土台29は基礎31に固定されており、その端部は2条のスリット22,22と第1、第2の挿入孔23,24を形成してある。この他方の土台29に第1のピン3aを装着しておき、これに一方の土台28側における連結部材2’の切り欠き7を係合して組み合わせた後、第2の挿入孔24からピン3bを連結部材2’の装着孔8に回動させながら、貫通させて取り付ける。これによって、土台28,29が結合される。
【0026】
図8は、螺旋状突条14の形態に関する他の例を示したもので、(イ)は螺旋状突条14に切り込みが入って鋸歯状になっている。装着状態としたピン3が不測に回動するのを阻止する効果がある。(ロ)は、螺旋状突条14の断面を台形としたもので連結部材2との係合は確保しながら、梁18部分での螺旋状突条14の係合が強すぎる場合には滑りを生じさせて、螺旋状突条14による梁18等の損傷をできるだけ少なくしたものである。梁18の部分で滑りが生じてもピン3は係合しておれば良いので格別の支障は無い。(ハ)は、螺旋状突条14の断面を丸くしてこの傾向をさらに強めたものである。(ニ)は、螺旋状突条14の断面を長方形とし、頂面を広く平らにしてある。梁18などへの食い込みを広く平らな頂面で抑制してピン3による結合の安定を図ると共に、連結部材2との係合は確保する構造としたものである。
【0027】
図9(ロ)、(ハ)は、螺旋状突条14の傾斜と間隔p及び連結部材2の配置に関する他の実施例を示している。(イ)は、第1の実施例の場合を比較のために示している。
(イ)は、装着孔8,9の直径(切り欠き7の幅寸法)がピン3の外径(軸本体13の直径+螺旋状突条14の高さ)より大きく、装着孔8,9(切り欠き7)の端縁30と螺旋状突条14との係合が、ピン3を正面から見てピン軸が装着孔8,9(切り欠き7)の周縁の中心から偏心した位置にあって、偏心側で係合が生じているがその直径方向反対側では螺旋状突条14が装着孔8,9(切り欠き7)の内側に位置している状態である。
【0028】
(ロ)、(ハ)は、装着孔8,9の直径(切り欠き7の幅寸法)が軸本体13の直径よりは大きいが、螺旋状突条14を含めたピン3の外径よりも小さく、ピン軸が装着孔8,9(切り欠き7)のほぼ中心位置にあり、螺旋状突条14が装着孔8,9(切り欠き6)の内側に入り込むことがない状態のものである。このように、連結部材2の装着孔8,9(切り欠き7)にピン3を差し込んだ時の装着孔8,9(切り欠き7)の端縁30とピン3における螺旋状突条14とのピン軸方向の係合は、それほど厳密でなくても良く、ピンを回動することで一部が係合する状態であってよい。
【0029】
なお、(イ)、(ロ)、(ハ)を対比すると明らかなように、螺旋状突部13は、ピン軸方向における山の基部と山の基部との間隔(p)が連結部材2を構成する板材の厚み(q)よりも広く、かつ、装着孔8,9(切り欠き7)の端縁が螺旋状突条14とピン軸方向で係合する配置であれば良い。
ピン軸が装着孔8,9(切り欠き7)の周縁の中心から偏心した位置にあるとき(図イ)は、螺旋状突条14の螺旋角度(ピンの正面視において螺旋状突条14がピン軸と交差する角度、90度が最大、0度が最小)が大きくても、自由に係合させることができる。
【0030】
螺旋状突条14が装着孔8,9(切り欠き7)の内側に入り込むことがない状態の場合は(図ロ、図ハ)、装着孔8,9(切り欠き7)のピン軸に対して対称な2カ所で螺旋状突条14と端縁30との係合を生じさせ、その一方は端縁30の表面側(ピン軸方向の一方)に、他方は端縁30の裏面側(同他方)に螺旋状突条14が係合する配置にすると、ピン3を正回転してピン3を前進させることと、逆回転してピン3を後退させることをいずれもスムーズに行えるようになる。
【0031】
【発明の効果】
請求項1に記載の構成によれば、木造軸組構造物における主要な部材の結合を連結部材とこれに差し込むピンとからなる結合装置によって、あたかも、いわゆるジョイント工法のように行うことができ、主要部材の結合を正確にかつ、強固に行うことができる。また、結合されている2つの部材をこれら部材を損傷することなく解体することができるので、解体後の主要な部材を再利用することができる。
ピンの取り付けと取り外しは、ピンを正回転すること、逆回転することにより行うので、たたき込むことによる振動が無いので、他の結合部分に悪影響を与えることが少ない。
ピンは外周に螺旋状突条を有するので、仮止めした状態でも抜け落ちることがなく、現場で柱や梁に仮止めして運搬しても落下する危険がない。このため、柱や梁に予め仮止めして運搬することで、ピンを階上へ投げ上げたり、釘袋に詰めて持ち歩くこともなく、作業が合理化される。
【0032】
連結部材を取り付けている一方の部材へ、他方の部材の荷重を、ピンを通じ2枚の翼板によってバランス良く伝達することができ、安定した結合状態を長く維持することができる。
請求項2に記載の構成によれば、ピンを正回転するときも、逆回転するときも連結部材に設けた装着孔あるいは切り欠きの端縁と螺旋状突条とが常時係合状態にあり、ピンの前進や後退をスムーズに行える。
請求項3に記載の構成によれば、装着状態としたピンが不測に回動するのを阻止する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 連結部材を断面で示した結合装置の平面図(第1の実施形態)。
【図2】 連結部材の斜視図。
【図3】 (イ)はピンの平面図、(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)は基端部に関する他の実施形態。
【図4】 結合の状態を分解して示す斜視図。
【図5】 結合装置の使用状態を透視して示す斜視図。
【図6】 結合の状態を分解して示す斜視図(他の実施形態)。
【図7】 斜視図(参考例)。
【図8】 (イ)(ロ)(ハ)(ニ)は、それぞれ螺旋状突条に関する他の実施形態の一部を示す平面図。
【図9】 (イ)、(ロ)、(ハ)は、それぞれ螺旋状突条と断面で示す連結部材との関係に関する他の実施例の一部を示す平面図。
【符号の説明】
1 結合装置
2,2’ 連結部材
3 ピン
3a 第1のピン
3b 第2のピン
3c 第3のピン
4 翼板
5 翼板
6 背部
7 切り欠き
8 装着孔
9 装着孔
10 ほぞ隆起部
11 第1の固定孔
12 第2の固定孔
13 軸本体
14 螺旋状突条
15 六角棒頭
16 テーパー面
17 柱
18 梁
19 第1ボルト
20 第2ボルト
21 ほぞ凹部
22 スリット
23 第1の挿入孔
24 第2の挿入孔
25 第3の挿入孔
26 凹溝
27 登り梁
28 土台
29 土台
30 端縁
31 基礎
Claims (3)
- 木造軸組構造において2部材を結合する結合装置であって、一方の部材に固定する連結部材と、他方の部材に差し込むピンとからなり、連結部材は間隔を開けて配置された2枚の翼板を有し、2枚の翼板の対向する位置にそれぞれ装着孔及び/又は切り欠きが穿設されており、ピンは、その外周面に螺旋状突条を備え、回動することにより2枚の翼板に形成した装着孔及び/又は切り欠きに抜挿可能であり、螺旋状突条は、山の基部と山の基部との間に翼板の厚さ寸法よりも大きく、装着孔及び/又は切り欠きの端縁がこの螺旋状突条と係合する広さの間隔を有するものであって、2枚の翼板における装着孔及び/又は切り欠きの端縁が共にピンに設けた螺旋状突条の山と山の間に位置し、かつ、螺旋状突条とピン軸方向で係合する配置としてあることを特徴とした結合装置。
- 2枚の翼板における装着孔及び/又は切り欠きの端縁とピンにおける螺旋状突条は、ピン軸の2カ所で係合し、一方では端縁の表側に他方では端縁の裏面側に螺旋状突条が係合する配置となることを特徴とした請求項1に記載の結合装置。
- 螺旋状突条は、切り込みが入った鋸歯状となっていることを特徴とした請求項1又は2に記載の結合装置。
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