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JP4140687B2 - クランクピン旋盤 - Google Patents

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JP4140687B2
JP4140687B2 JP2002057471A JP2002057471A JP4140687B2 JP 4140687 B2 JP4140687 B2 JP 4140687B2 JP 2002057471 A JP2002057471 A JP 2002057471A JP 2002057471 A JP2002057471 A JP 2002057471A JP 4140687 B2 JP4140687 B2 JP 4140687B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主軸にクランクシャフトをピンが主軸軸線上に位置するようにクランプし、ピンをバイトにより旋削加工するクランクピン旋盤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
4気筒エンジン用のクランクシャフトの未加工のピンを回転駆動される主軸の軸線上に位置決めするために、クランクシャフトを主軸に対して相対的に180度割出し回転する装置を備えたクランクピン旋盤として、ワーク移送機構によりクランクシャフトを把持し、主軸に装備されクランクシャフトのジャーナルを把持するチャックを開放し、主軸を180度だけ割出し回転し、ワーク移送機構をピンの偏心量の2倍だけ主軸半径方向に移動させ、未加工のピンを主軸軸線上に位置決めしてチャックでジャーナルを把持する偏心ワークの加工装置が特開平8−11001号公報に記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のクランクピン旋盤においては、クランクシャフトを主軸に対して割出し回転するために、ワーク移送装置によりクランクシャフトを把持してジャーナルをチャックから抜き出し、主軸を180度回転し、ワーク移送装置をピンの偏心量だけ半径方向に移動し、その後にジャーナルをチャックに挿入してクランプしなければならず、次に加工するピンの主軸軸線上への位置決めに時間がかかるとともに、チャックが一つの位相のピンの加工後に、ジャーナルを一旦開放するので、クランクシャフトと主軸との間に回転方向のズレが生じ、他のピンの主軸軸線上への位置決めに誤差が生じる問題があった。また、ワーク移送装置がクランクシャフトを把持して移送しなければならず、装置が大型化してコスト高になる不具合があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の構成上の特徴は、主軸駆動装置により回転される主軸を軸承する主軸台をベッドに載置し、該主軸にクランクシャフトのジャーナルをピンが主軸軸線上に位置するように偏心してクランプし、バイトが取り付けられた工具台を前記ベッドに装架して工具台送り装置により前記主軸台に対して相対移動して前記ピンを前記バイトによって旋削加工するクランクピン旋盤において、前記主軸に前記ピンの偏心量だけ偏心して前記主軸軸線と平行な軸線回りに回転可能に支承された回転体と、前記回転体と前記主軸との間に介在され係合状態で該回転体と前記主軸との相対回転を規制し開離状態で相対回転を許容する係脱装置と、前記回転体に設けられ前記クランクシャフトのジャーナルを着脱可能にクランプするクランプ装置と、前記ベッドに装架され押動体送り装置により前記主軸軸線に向かって進退移動されて前記ピンを押動するピン押動体と、前記係脱装置を開離状態にし、前記回転体に前記ジャーナルを前記クランプ装置によりクランプした状態で、加工されたピンを前記ピン押動体により押動して前記回転軸線から所定距離だけ離れた位置に位置決めするとともに、前記主軸を前記主軸に対するクランクシャフトの割出し回転角度の半分だけ回転して次に加工するピンを前記主軸軸線上に位置決めし、該位置決めが完了すると前記係脱装置を係合状態にする制御装置を設けたことである。
【0005】
請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請求項1に記載のクランクピン旋盤において、前記制御装置は数値制御装置であり、前記主軸駆動装置、工具台送り装置及び押動体送り装置は、数値制御装置からの指令に基づいて数値制御されるサーボモータを夫々含み、前記数値制御装置は、前記係脱装置を開離状態にし、前記押動体送り装置と前記主軸駆動装置とを同時2軸制御して、加工されたピンを前記ピン押動体により押動して前記回転軸線から所定距離だけ離れた位置に位置決めするとともに、前記主軸を前記主軸に対するクランクシャフトの割出し回転角度の半分だけ回転して次に加工するピンを前記主軸軸線上に位置決めし、該位置決めが完了すると前記係脱装置を係合状態にすることである。
【0006】
請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請求項1又は2に記載のクランクピン旋盤において、前記ベッド上に載置された前記工具台に前記ピン押動体を装架し、前記工具台送り装置は前記押動体送り装置としても機能することを特徴とする請求項1又は2に記載のクランクピン旋盤。
【0008】
請求項4に係る発明の構成上の特徴は、請求項3に記載のクランクピン旋盤において、前記工具台に板状の割出し体を前記主軸軸線と平行な軸線回りに割出し回転可能に装架し、該割出し体の外周部に前記バイト及びピン押動体を取り付け、前記割出し体を割出し装置により割出し回転して前記バイト又は前記ピン押動体を前記主軸軸線上に位置決めされたピンと対向する位置に割出すことである。
請求項5に係る発明の構成上の特徴は、請求項4に記載のクランクピン旋盤において、前記ピン押動体は前記割出し体に外方に向かって進退可能に装架され、シリンダ装置により進退移動されることである。
【0009】
【発明の作用・効果】
上記のように構成した請求項1に係る発明においては、主軸にクランクシャフトのピンの偏心量だけ偏心して主軸軸線と平行な軸線回りに回転可能に支承された回転体にジャーナルをクランプした状態で、主軸と回転体との間に介在された係脱装置を開離し、ピン押動体を主軸軸線に向かって前進し加工されたピンを押動して前記主軸軸線から所定距離だけ離れた位置に位置決めし、主軸をクランクシャフトの割出し回転角度の半分だけ回転して次に加工するピンを主軸軸線上に位置決めし、その後に係脱装置を係合するようにしたので、簡単且つ低コストな機構により、ピンを主軸軸線上に短時間で正確に位置決めして旋削加工することができる。
【0010】
上記のように構成した請求項2に係る発明においては、請求項1に記載のクランクピン旋盤において、ピン押動体を進退移動する押動体送り装置と主軸を回転する主軸駆動装置とを数値制御装置によって同時制御して、加工されたピンをピン押動体により押動して回転軸線から所定距離だけ離れた位置に位置決めするとともに、主軸をクランクシャフトの割出し回転角度の半分だけ回転して次に加工するピンを主軸軸線上に位置決めするので、請求項1に記載の発明の効果に加え、次に加工するピンを簡単な操作で、正確、且つ円滑に主軸軸線上に位置決めすることができる。
【0011】
上記のように構成した請求項3に係る発明においては、請求項1又は2に記載のクランクピン旋盤において、バイトを取り付ける工具台にピン押動体を装架したので、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、機構を更に簡略にして低コスト化することができる。
【0013】
上記のように構成した請求項4に係る発明においては、請求項3に記載のクランクピン旋盤において、工具台に板状の割出し体を主軸軸線と平行な軸線回りに割出し回転可能に装架し、該割出し体の外周部にバイト及びピン押動体を取り付け、割出し体を回転してバイト又はピン押動体を作動位置に割出し、主軸軸線上に位置決めされたピンをバイトで旋削加工した後に、ピン押動体により加工済みピンを押動しながら主軸を回転して次に加工するピンを主軸軸線上に正確且つ迅速に位置決めすることができる。
上記のように構成した請求項5に係る発明においては、請求項4に記載のクランクピン旋盤において、前記ピン押動体をシリンダ装置により外方に向かって突出した状態で工具台を前進し、加工されたピンをピン押動体により押動して回転軸線から所定距離だけ離れた位置に位置決めするようにしたので、請求項4に記載の発明の効果に加え、ピン押動体を不使用時は後退させて他の装置との干渉を防止することができる。
【0014】
【実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1はクランクピン旋盤の全体構成、図2は主軸台の詳細を示し、図3は左右の主軸台に軸承された主軸のチャックにクランクシャフトWを把持し、バイトにより旋削加工する状態を示している。ベッド1上には、左右一対の主軸台2,2が互いに対向して載置され、各主軸台2には主軸駆動装置4により回転駆動される主軸3が軸承されている。クランクシャフトWは、ジャーナルJに対して偏心量L1だけ偏心したピンPが主軸3の主軸軸線上に位置するように位置決めされて両端のジャーナルJ,Jを主軸3,3に設けたクランプ装置5,5によりクランプされている。
【0015】
ベッド1上にはサドル6が主軸軸線Cと平行なZ軸方向に摺動可能に載置され、サーボモータ7によって回転駆動されるボールねじ機構8によりZ軸方向に移動される。サドル6上には、工具台9が主軸軸線Cと直角なX軸方向に摺動可能に載置され、サーボモータ10によって回転駆動されるボールねじ機構11によりX軸方向に移動される。サドル6、サーボモータ7,10及びボールねじ機構8,11等によって工具台9を主軸台2に対して相対移動する工具台送り装置が構成されている。工具台9には、7角形の板状の割出し体13が主軸軸線と平行な軸線回りに回転可能に装架され、割出し装置36により割出し体13が割出し回転され、割出し体13の外周部分に各辺に対応して形成されたバイト取付部14が主軸台2,2と対向する加工位置に割出される。割出し体13の一辺部分には、ピン押動体15が装架され、割出し装置36により割出し体13が割出し回転され、ピン押動体15が主軸軸線C上に位置決めされたピンPと対向する作動位置に割出される。
【0016】
左右の主軸台2,2は同一構成であるので、左主軸台2について詳説し、右主軸台2の説明を省略する。主軸台2には、主軸3が軸受16によって回転可能に軸承され、主軸3の後端部に固着されたタイミングギヤ17と主軸台2に固定されたサーボモータ18の出力軸に嵌着されたタイミングギヤ19とがタイミングベルト20によって回転連結され、サーボモータ18によってC軸回りに回転駆動される。サーボモータ18、タイミングギヤ17,19、タイミングベルト20等によってサーボモータを含む主軸駆動装置4が構成されている。
【0017】
主軸3の先端部には、支持体21がスペーサ22を介在してボルトにより固定されている。支持体21には筒状の回転体23が主軸軸線Cと平行でピンPの偏心量L1だけ主軸軸線Cから偏心した偏心軸線E回りに軸受24によって回転可能に支承されている。ピンPの偏心量がL1と異なるL2であるクランクシャフトWのピンPを旋削加工する場合は、主軸軸線Cと偏心軸線Eとの間隔が偏心量L2となるスペーサ22を介在して支持体21を主軸2の先端部にボルトにより固定する。回転体23の外周部には歯付きカップリング25が固定され、支持体21には歯付きカップリング26が歯付きカップリング25の外周側に並んで固定されている。27は歯付きカップリング25及び26に係脱する歯付きカップリングで、回転体23を取り巻く環状ピストン28に固定されている。環状ピストン28は支持体21に回転体23を取り巻いて形成された環状シリンダ29に嵌合されている。環状ピストン28は、環状シリンダ29の底部との間に介在された複数の圧縮スプリング30によって前方に付勢されて歯付きカップリング27を歯付きカップリング25,26に噛合させ、回転体23を支持体21に対して回転方向に位置決め固定する。環状シリンダ29の前室に圧油が供給されて環状ピストン28が後退されると、歯付きカップリング27が歯付きカップリング25,26から離脱し、回転体23は自由回転可能となる。支持体21は主軸3に固定されているので、歯付きカップリング25〜27及び環状シリンダ装置28〜30等は、回転体23と主軸3との間に介在され、係合状態で回転体23と主軸3との相対回転を規制し、離脱状態で相対回転を許容する係脱装置31を構成する。
【0018】
回転体23には、クランクシャフトWのジャーナルJを着脱可能にクランプするクランプ装置としてコレットチャック32が設けられている。回転体23の内周穴には、ジャーナルJを把持する複数の把持爪33aが先端部に弾性変形可能に形成されたコレット体33が回り止めされて遊嵌されている。把持爪33aの外周には、前方に向かって大径となるテーパが形成され、該テーパが回転体23の前端に固定されたテーパ体34に前方に向かって大径に形成されたテーパ穴と係合している。コレット体33の底部にはジャーナルJの端面に穿設されたセンタ穴と嵌合するセンタ35が偏心軸線E回りに回転可能に軸承されている。支持体21には連結体37が回転体23の後端に対向して偏心軸線E方向に移動可能に嵌合され、連結体37の前端部に内方に形成された突起部がコレット体33の後端外周部に刻設された凹部と係合し、コレット体33を偏心軸線E方向に進退移動して把持爪33aをテーパ係合により開閉するようになっている。連結体37は、回転体23の後端に相対回転を規制されて軸線方向に相対移動可能に係合され、後端部には係合体38が軸線方向の相対移動を規制して回転可能に支承されている。
【0019】
回転体23に固定されたテーパ体34の端面には位置決めピン46が突設され、ローダによって搬入されたクランクシャフトWが左右主軸台2のセンタ35間に挟持された状態で、カウンタバランスに形成された基準面が位置決めピン46に押圧されると、最初に旋削加工される位相のピンPが主軸軸線C上に位置決めされる。位置決めピン46には圧縮エアが噴出される検出穴46aが穿設され、基準面が位置決めピン46に当接して検出穴46aを閉鎖したことによる検出穴46a内の圧力上昇を検知してクランクシャフトWが位置決めされたことを確認している。
【0020】
主軸3には、作動ロッド39が軸線上に相対回転を規制して軸線方向に相対移動可能に嵌合され、先端には大径部40が一体的に固定されている。大径部40には半径溝40aが刻設され、半径溝40aに係入された係合体38の前側段部の前方に位置して係合体38と作動ロッド39との軸線方向の相対移動を規制し、半径方向の相対移動を許容する押え板41が半径溝40aの両縁部に固定されている。作動ロッド39の後端部には主軸3の後端に固定されたシリンダ装置42のピストンが連結され、シリンダ装置42にはインデューサ43を介して圧縮エアが給排され作動ロッド39を進退移動する。作動ロッド39には、環状シリンダ29の前室に圧油を給排するための油路39a、位置決めピン46に穿設された検出穴46aに圧縮エアを供給するエア通路39bが軸線方向に穿設され、油路39aはインデューサ44を介して油圧源に連結され、エア通路39bはインデューサ45を介してエア源に連通されている。
【0021】
図4に示すように、工具台9には割出し軸50が主軸軸線Cと平行な割出し軸線上で割出し回転可能に、且つ割出し軸線方向に移動可能に軸承されている。即ち、工具台9に設けられたシリンダ9aにピストン体51が嵌合され、ピストン体51に割出し軸50が貫通して軸受52により軸承されている。割出し軸50は後端部に嵌着された歯車53等の歯車機構を介して工具台に固定された油圧モータ54の出力軸に回転連結されている。割出し軸50の前端に形成されたフランジ部50aの背面には、歯付きカップリング55が固定され、ピストン体51の往復動による割出し軸50の進退移動によって工具台9に固定された歯付きカップリング56と係脱する。
【0022】
フランジ部50aには、図5に示す7角形の板状の割出し体13が固定され、割出し体13には、6個の辺に対応してバイト取付部14が形成され、1個の辺に対応してピン押動体15が進退可能に装架されている。バイト取付部14には、肉厚がピンP部分の両側ショルダの間隔のほぼ半分の厚さで割出し体13の外周の各辺から内側に向かって円弧状に延在する凹部14aが形成されている。凹部14aの円弧の半径は、バイト取付部14に取り付けられたバイトTによりピンPを旋削加工するとき、回転するクランクシャフトWのカウンタバランスが割出し体13の外周部と干渉しない半径とする。図6に示すように、割出し体13の表面には、5個所のバイト取付部14に対応してバイト嵌合溝14bが半径方向に刻設され、バイト嵌合溝14bの両側にはバイト嵌合溝14bより浅いクランパ係合溝14cが刻設されている。1個所のバイト取付部14においては、図7に示すように、凹部14aの底面にバイト嵌合溝14bが半径方向に刻設され、バイト嵌合溝14bの両側にはバイト嵌合溝14bより浅いクランパ係合溝14cが刻設されている。両側面を下面に向かって幅広に傾斜して形成されたバイトTは、バイト嵌合溝14bに底部を嵌入され、先端部下面に一体的に突設された突出部をバイト取付部14の外周端面に当接して位置決めされ、傾斜した両側面とクランパ係合溝14cの両側壁との間に夫々挿入されたクランパ57をボルト57によって凹部14a方向に締め付けることにより固定されている。
【0023】
バイト取付部14は、かなりの肉厚を有する多角形の板状の割出し体13を主軸軸線と平行な軸線回りに割出し回転可能に工具台9に装架し、割出し体13に外周の各辺から内側に向かって円弧状に凹部14aを形成し、凹部14aの底部の表面側又は裏面側に刻設したバイト嵌合溝14bにバイトTを嵌入し、クランパ係合溝14に挿入されたクランパ57により固定する構成としている。これにより、バイトTを含めたバイト取付部14の厚みを薄くすることができるにも拘わらず、バイト取付部14の凹部14aの薄肉底部は外周への解放面以外は割出し体13の板厚を確保した段壁で囲まれ、且つ旋削抵抗方向に延在しているので、静的にも動的にも剛性が高くなる。従って、クランクシャフトWのピンP又はジャーナルJのように旋削加工する円筒部の両側に長いショルダが形成され、肉厚が両側ショルダの間隔のほぼ半分のバイト取付部14をショルダ間に突き出した状態で円筒部をバイトで旋削加工しても、バイト取付部14は十分な剛性を有し高精度に旋削加工することができ、且つ回転するクランクシャフトのショルダ部は凹部14a内を回転するので、割出し体13と干渉することがない。
【0024】
割出し体13には、ピン押動体15が1個の辺から外方に向かって進退可能に装架されている。60はピン押動体15の後端面から半径方向に突設された一対のロッドで、割出し体13に固定された案内体61に摺動可能に嵌合されている。割出し体13にはシリンダ装置62が一対のロッド60の間で固定され、ピストンロッド63がピン押動体15の高端面に連結されている。割出し軸50及び割出し体13に穿設された油路64a,64bがシリンダ装置62に接続され、油路64a,64bが割出し軸50の後端部に設けられたインデューサ65を介して油圧源に接続されている。ピン押動体15は、サーボモータ10、送りねじ機構11による工具台9のX軸方向の移動により主軸軸線Cに向かって進退移動され、ピン押動体15を主軸軸線Cに向かって進退移動する押動体送り装置は、工具台9、サーボモータ10、送りねじ機構11等により構成される。
【0025】
70は数値制御装置で、サーボモータ7,10,18に接続されてサドル6、工具台9のZ軸、X軸方向の移動及び主軸3の回転を数値制御するとともに、環状シリンダ29への圧油の給排、シリンダ装置42への圧縮エアの給排を制御して係脱装置31の係脱、コレットチャック32の開閉を制御する。さらに、シリンダ9aに圧油を給排し、油圧モータ54を回転制御して選択されたバイトT又はピン押動体15を作動位置に割出し制御する。また、シリンダ装置62への圧油の給排を制御してピン押動体15の進退移動を制御する。
【0026】
次に、本発明に係るクランクピン旋盤の実施形態の作動を説明する。クランクシャフトWがローダにより搬入され、左方にシフトされて左端ジャーナルJが左主軸台2のコレットチャック32に挿入され、センタ穴がセンタ35に係合される。その状態で右主軸台2が左方に移動され、右端ジャーナルJが右主軸台のコレットチャック32に挿入されてセンタ35に嵌合され、クランクシャフトWは両センタ35間に挟持される。数値制御装置70の指令によりサーボモータ10が駆動されて工具台9が所定位置に前進された後、シリンダ装置62によってピン押動体15が前進されてピンPを押動し、カウンタバランスに形成された基準面を位置決めピン46に押圧し、最初に旋削加工するピンPを主軸軸線C上に位置決めする。基準面が位置決めピン46に当接して検出穴46aを閉鎖し、検出穴46a内の圧力上昇が圧力スイッチによって検知され、クランクシャフトWが位置決めされたことが確認されると、シリンダ装置42から圧縮エアが排出されて作動ロッド39がシリンダ装置42に内装された圧縮スプリングのばね力によって後退され、押え板41、係合体38、連結体37を介してコレット体33が引っ張られ、両端のジャーナルJがコレットチャック32に把持される。
【0027】
主軸3がタイミングギヤ19,17、タイミングベルト20を介してサーボモータ18により駆動され、サドル6がボールねじ機構8を介してサーボモータ7によりZ軸方向に移動されるとともに、工具台9がボールねじ機構11を介してサーボモータ10によりX軸方向に進退され、主軸軸線C上に位置決めされたピンPがバイトTによって旋削加工される。他のバイトTによる旋削加工を行なう場合、工具台9がサーボモータ10により後退され、シリンダ9aの後室に油圧が供給され、割出し軸50を軸承するピストン体51が前進されて歯付きカップリング55,56が開離し、割出し軸50延いては割出し体13が歯車機構を介して油圧モータ54により回転され、次に使用されるバイトTがピンPと対向する位置に割出される。その後、シリンダ9aの前室に油圧が供給され、ピストン体51が後退されて歯付きカップリング55,56が係合し、割出し体13が位置決め固定される。そして、サドル6、工具台9がサーボモータ7,10によりZ軸及びX軸方向に移動され、主軸軸線C上で回転されるピンPが新たに割出されたバイトTにより旋削加工される。例えば4気筒エンジン用のクランクシャフトWのピンPを旋削加工する場合、同じ位相の第1,4ピンをこのように旋削加工した後、工具台9は後退端に後退される。加工の一例としては、図8(a)に示す両側にチップが固定されたバイトTを装着したバイト取付部14を作動位置に割出し、工具台9を前進して両側のショルダを旋削加工し、加工後に工具台9を後退し、図8(b)のようにチップが左端に固定されたバイトを凹部14aの底面に装着されたバイト取付部14を作動位置に割出し、サーボモータ7,10を2軸制御してサドル6と工具台9とを関連付けて移動し、ピンPの左半分のR部と円筒部を旋削加工し、加工後に工具台9を後退し、図3のようにチップが右端に固定されたバイトを割出し体13の表面側に装着したバイト取付部14を作動位置に割出し、サーボモータ7,10を2軸制御してサドル6と工具台9とを関連付けて移動し、ピンPの右半分のR部と円筒部を旋削加工する。
【0028】
第1,4ピンPと180度だけ位相が異なる第2,3ピンPを主軸軸線C上に割出すために、数値制御装置70の指令に基づいて環状シリンダ29の前室に圧油がインデューサ44、油路39aを介して供給され、環状ピストン28が圧縮スプリング30のばね力に抗して後退され、歯付きカップリング27が歯付きカップリング25,26から開離し、歯付きカップリング25延いては回転体23が自由回転可能となる。割出し体13が前述と同様に割出し位置決めされてピン押動体15が旋削加工された第4ピンPと対向する作動位置に割出され、ピン押動体15は第4ピンPに接近するためにシリンダ装置62の作動によりピンP方向に突出される。この状態で、ピン押動体15の前端が主軸軸線C上の旋削加工された第4ピンPと当接する位置まで工具台9がサーボモータ10により前進され(図9(a))、続いてサーボモータ10とサーボモータ18とが同時2軸制御されてピン押動体15の前進と主軸3の回転とが関連付けて行なわれ(図9(b))、旋削加工された第4ピンPがピン押動体15により押動されて、ピンPのジャーナルJからの偏心量L1の2倍の距離だけ主軸軸線Cから離れた位置に位置決めされるとともに、主軸3が、クランクシャフトWを主軸3に対して割出し回転する角度(4気筒エンジンの場合180度)の半分だけ回転して次に加工する第2,3ピンPを主軸軸線C上に位置決めする(図9(c))。加工誤差等を吸収するために、ピン押動体15とシリンダ装置62のピストンロッド63とを圧縮スプリングを介在して連結し、過負荷が作用した場合にピン押動体15が圧縮スプリングのばね力に抗して後退できるようにしてもよい。
【0029】
第2,3ピンPの主軸軸線C上への割出しが完了すると、環状シリンダ29の前室の圧油が排出され、環状ピストン28が圧縮スプリング30により前進され、歯付きカップリング27が歯付きカップリング25,26と係合して回転体23が主軸3に対して位置決め固定される。ピン押動体15と主軸3との同期移動による第2,3ピンPの主軸軸線C上への割出し回転に若干誤差があっても歯付きカップリング25〜27の係合により回転体23は主軸3に対して正確に180度割出し回転され、第2,3ピンPは主軸軸線C上に正確に位置決めされる。その後、工具台9がサーボモータ10により後退され、ピン押動体15がシリンダ装置62により後退され、第2ピンPの旋削加工に最初に使用されるバイトTが第2ピンPと対向するように割出し体13が前述と同様に割出し回転され、第2ピンPがバイトTにより旋削加工される。必要なバイトTが順次作動位置に割出されて第2ピンPが旋削加工され、第2ピンPの加工が完了すると、工具台9が第4ピンPと対向するようにサドル6がサーボモータ7により移動され、第4ピンPが同様に旋削加工される。
【0030】
第1乃至4ピンPの加工が完了すると、ローダがクランクシャフトWの下方に移動され、シリンダ装置42にインデューサ43を介して圧縮エアが供給され、ロッド39がシリンダ装置42に内装された圧縮スプリングのばね力に抗して前進され、係合体38、連結体37を介してコレット体33が前進され、両端のジャーナルJがコレットチャック32から解放され、右主軸台2が右方に移動されてチャック32がジャーナルJから開離され、ローダが右方にシフトして左端のジャーナルJを左主軸台2のコレットチャック32から抜き出し、旋回してクランクシャフトWを機外に搬出する。
【0031】
上記実施形態では4気筒エンジン用のクランクシャフトWについて説明したが、6気筒、8気筒のエンジン等のクランクシャフトWについても次に加工するピンを同様に主軸軸線C上に割出すことができる。例えば6気筒エンジン用のクランクシャフトWの場合、次に加工するピンを主軸軸線C上に位置決めするためには、クランクシャフトWを主軸3に対して120度だけ相対回転する必要があるので、旋削加工したピンをピン押動体15により所定位置まで押動するとともに、主軸3を60度だけ割出し回転すれば、次に加工するピンを主軸軸線C上に位置決めすることができる。
【0032】
また、上記実施形態では、サーボモータ10,18を同時2軸制御してピン押動体と主軸3とを同期して移動させているが、4気筒エンジン用のクランクシャフトの場合は、旋削加工したピンを主軸軸線CとジャーナルJの軸線とを結ぶ線分の延長線上に位置決めするので、旋削したピンをピン押動体15により所定圧力で押動し、主軸3の回転に連動してピンをピン押動体15により所定位置まで押動するようにしてもよい。
【0033】
さらに、上記実施形態では、バイトを固定する割出し体13にピン押動体15を取り付けたが、X軸方向に移動する移動体を工具台9と別体にベッド1上に装架し、この移動体にピン押動体15を取り付けて押動体送り装置としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るクランクピン旋盤の実施形態を示す図。
【図2】 主軸台の縦断面図。
【図3】 左右主軸のチャックに把持されたクランクシャフトWをバイトにより旋削加工する状態を示す図。
【図4】 工具台の割出し体部分の断面図。
【図5】 割出し体へのバイト及びピン押動体の取付け状態を示す図。
【図6】 割出し体の表面のバイト取付部を示す図。
【図7】 凹部底面のバイト取付部を示す図。
【図8】 各種バイトによるピン部の旋削加工状態を示す図。
【図9】 ピンの割出し動作を説明する図。
【符号の説明】
1・・・ベッド、2・・・主軸台、3・・・主軸、4・・・主軸駆動装置、5・・・クランプ装置、6・・・サドル、7,10,18・・・サーボモータ、9・・・工具台、13・・・割出し体、14・・・バイト取付部、15・・・ピン押動体、23・・・回転体、25〜27・・・歯付きカップリング、28・・・環状ピストン、29・・・環状シリンダ、31・・・係脱装置、32・・・コレットチャック、36・・・割出し装置、39・・・作動ロッド、42・・・シリンダ装置、46・・・位置決めピン、55,56・・・歯付きカップリング、70・・・数値制御装置、W・・・工作物、P・・・ピン、J・・・ジャーナル。

Claims (5)

  1. 主軸駆動装置により回転される主軸を軸承する主軸台をベッドに載置し、該主軸にクランクシャフトのジャーナルをピンが主軸軸線上に位置するように偏心してクランプし、バイトが取り付けられた工具台を前記ベッドに装架して工具台送り装置により前記主軸台に対して相対移動して前記ピンを前記バイトによって旋削加工するクランクピン旋盤において、前記主軸に前記ピンの偏心量だけ偏心して前記主軸軸線と平行な軸線回りに回転可能に支承された回転体と、前記回転体と前記主軸との間に介在され係合状態で該回転体と前記主軸との相対回転を規制し開離状態で相対回転を許容する係脱装置と、前記回転体に設けられ前記クランクシャフトのジャーナルを着脱可能にクランプするクランプ装置と、前記ベッドに装架され押動体送り装置により前記主軸軸線に向かって進退移動されて前記ピンを押動するピン押動体と、前記係脱装置を開離状態にし、前記回転体に前記ジャーナルを前記クランプ装置によりクランプした状態で、加工されたピンを前記ピン押動体により押動して前記主軸軸線から所定距離だけ離れた位置に位置決めするとともに、前記主軸を前記主軸に対するクランクシャフトの割出し回転角度の半分だけ回転して次に加工するピンを前記主軸軸線上に位置決めし、該位置決めが完了すると前記係脱装置を係合状態にする制御装置を設けたことを特徴とするクランクピン旋盤。
  2. 前記制御装置は数値制御装置であり、前記主軸駆動装置、工具台送り装置及び押動体送り装置は、数値制御装置からの指令に基づいて数値制御されるサーボモータを夫々含み、前記数値制御装置は、前記係脱装置を開離状態にし、前記押動体送り装置と前記主軸駆動装置とを同時2軸制御して、加工されたピンを前記ピン押動体により押動して前記回転軸線から所定距離だけ離れた位置に位置決めするとともに、前記主軸を前記主軸に対するクランクシャフトの割出し回転角度の半分だけ回転して次に加工するピンを前記主軸軸線上に位置決めし、該位置決めが完了すると前記係脱装置を係合状態にすることを特徴とする請求項1に記載のクランクピン旋盤。
  3. 前記ベッド上に載置された前記工具台に前記ピン押動体を装架し、前記工具台送り装置は前記押動体送り装置としても機能することを特徴とする請求項1又は2に記載のクランクピン旋盤。
  4. 前記工具台に板状の割出し体を前記主軸軸線と平行な軸線回りに割出し回転可能に装架し、該割出し体の外周部に前記バイト及びピン押動体を取り付け、前記割出し体を割出し装置により割出し回転して前記バイト又は前記ピン押動体を前記主軸軸線上に位置決めされたピンと対向する位置に割出すことを特徴とする請求項3に記載のクランクピン旋盤。
  5. 前記ピン押動体は前記割出し体に外方に向かって進退可能に装架され、シリンダ装置により進退移動されることを特徴とする請求項4に記載のクランクピン旋盤。
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