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JP4140123B2 - 炭化珪素単結晶の製造方法及び単結晶製造装置 - Google Patents

炭化珪素単結晶の製造方法及び単結晶製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体や発光ダイオードなどの素材に利用することができる炭化珪素(SiC)単結晶の製造方法及び製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
昇華法による炭化珪素単結晶の製造方法として、特開平6−333830号公報に示されるように、炭化珪素原料とは別に、種結晶近傍に珪素を配置することにより、珪素ガスが種結晶に供給されるようにし、Siリッチにして炭化珪素単結晶を結晶成長させるものがある。
【0003】
このように、種結晶近傍をSiリッチの雰囲気にすることで、種結晶の炭化を抑制でき、高品位な炭化珪素単結晶が成長可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、種結晶の近傍に珪素を配置した場合、過剰なSiリッチな雰囲気となる場合がある。このような過剰なSiリッチの雰囲気で炭化珪素単結晶を成長させると、成長結晶中にSiドロップレット(成長表面に付着したSiが気化した後、穴として残る状態)が生じ、このSiドロップレットからマイクロパイプを誘発させてしまう。
【0005】
本発明は上記点に鑑みて成され、過剰なSiリッチな雰囲気とならない炭化珪素単結晶の製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決すべく、請求項1に記載の発明においては、炭化珪素原料とは別に、容器内に少なくとも珪素を含む材料(7)を配置すると共に、該珪素を含む材料と炭化珪素単結晶基板との間を、珪素ガスを通過させることができるポーラスカーボンからなる仕切板(6)で仕切り、珪素を含む材料から発生させた珪素ガスが仕切板を通じて炭化珪素単結晶基板に供給されるようにすることを特徴としている。
【0007】
このように、仕切板を介して珪素ガスが供給されるようにすれば、珪素ガスの供給量を制限することができ、過剰なSiリッチな雰囲気とならないようにできる。具体的には、仕切板として、ポーラスカーボンを用いることができる。
【0008】
また、請求項に示すように、珪素を含む材料を炭化珪素原料よりも炭化珪素単結晶基板から遠い位置に配置し、珪素を含む材料から発生させた珪素ガスが仕切板を通じて炭化珪素単結晶基板に供給されるようにするとよい
【0010】
お、請求項に示すように、少なくとも珪素を含む材料として、珪素を用いたり、請求項に示すように、窒化珪素を用いることができる。
【0012】
請求項に記載の発明においては、炭化珪素原料を配置するスペースと、容器内において少なくとも珪素を含む材料(7)を配置するスペースとを仕切るポーラスカーボンからなる仕切板(6)が備えられており、該仕切板が珪素ガスを通過させることができるように構成されていることを特徴としている。このような炭化珪素単結晶の製造装置は、請求項1に記載の発明の実施に適している。
【0013】
なお、上記括弧内の符号は、後述する実施形態に示す図中の符号に対応している。
【0014】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1に、本発明の第1実施形態で用いる結晶成長装置としての黒鉛製るつぼを示す。この黒鉛製るつぼは、黒鉛製るつぼの底部に備えられた炭化珪素原料粉末4を熱処理によって昇華させ、種結晶である炭化珪素単結晶基板3上に炭化珪素単結晶10を結晶成長させるものである。
【0015】
この黒鉛製るつぼは、上面が開口している略円筒形状のるつぼ本体1と、るつぼ本体1の開口部を塞ぐ蓋材2とを備えて構成されている。この黒鉛製るつぼを構成する蓋材2を台座として、台座上に炭化珪素単結晶基板3が接着剤5を介して接合されている。
一方、るつぼ本体1の底部には、仕切板6が配置されており、この仕切板6によって、るつぼ本体1は、炭化珪素単結晶基板3が配置されている側のスペースと配置されていない側のスペースとに仕切られている。そして、炭化珪素単結晶基板3が配置されていない側のスペースには珪素を含む材料としての珪素粉末7が収容され、仕切板6で珪素粉末7が囲まれた状態となっている。また、炭化珪素単結晶基板3が配置されている側には仕切板6を覆うように炭化珪素原料が充填されている。なお、珪素粉末7と炭化珪素原料粉末4は仕切板6によって混合しないようになっている。
【0016】
具体的には、仕切板6はポーラスカーボン(多孔質黒鉛)で構成されており、珪素粉末7の昇華ガスが通過できるようになっている。
なお、図示しないが、黒鉛製るつぼは、アルゴンガスが導入できる真空容器の中でヒータにより加熱できるようになっており、例えば、このヒータのパワーを調節することによって種結晶である炭化珪素単結晶基板3の温度が炭化珪素原料粉末4の温度よりも100℃程度低温に保たれるようにしたり、珪素粉末7と炭化珪素原料との温度に差を設けたりすることができる。
【0017】
このように構成された結晶成長装置を用いた炭化珪素単結晶の製造工程について説明する。
まず、炭化珪素原料粉末4の温度を2000〜2500℃に加熱する。そして、ヒータ調節等により、炭化珪素単結晶基板3の温度が炭化珪素原料粉末4及び珪素粉末7の温度よりも低くなるように、黒鉛製るつぼ内に温度勾配を設ける。
【0018】
次に、黒鉛製るつぼ内の圧力は0. 1〜50Torrとして、昇華法成長を開始すると、炭化珪素粉末4が昇華して昇華ガスとなり、炭化珪素単結晶基板3に到達し、炭化珪素粉末4側よりも相対的に低温となる炭化珪素単結晶基板3の表面上に炭化珪素単結晶10が成長する。
その際、ポーラスカーボンの仕切板6で囲まれている珪素粉末7は融解して蒸気となり、徐々にポーラスカーボンの仕切板6の空孔内を通過し、さらに炭化珪素原料をも通過する。これにより、炭化珪素単結晶基板3に珪素蒸気が供給され、黒鉛製るつぼ内がSiリッチな雰囲気となる。
【0019】
このとき、ポーラスカーボンからなる仕切板6に囲まれた珪素粉末7の珪素蒸気は、仕切板6の空孔内を通過しなければならないため、炭化珪素原料の昇華ガスと比べて供給量が少なくなる。このため、過剰なSiリッチな雰囲気とはならないようにできる。このため、炭化珪素単結晶基板3もしくは炭化珪素単結晶10の成長表面にSiドロップレットが発生することを抑制できる。
【0020】
このように、珪素原料を仕切板6で囲み、仕切板6を通じて珪素蒸気が炭化珪素単結晶基板3に供給されるようにすることで、過剰なSiリッチ雰囲気とならないようにでき、高品質な炭化珪素単結晶10を成長させることができる。
(第2実施形態)
図2に、本発明の第2実施形態で用いる結晶成長装置としての黒鉛製るつぼを示す。以下、図2に基づいて本実施形態における炭化珪素単結晶の製造について説明するが、結晶成長装置の構成については第1実施形態と同様であるため、炭化珪素単結晶の製造工程についてのみ説明する。
【0021】
まず、炭化珪素原料粉末4の温度を2000〜2500℃に加熱する。そして、ヒータ調節等により、炭化珪素単結晶基板3の温度が炭化珪素原料粉末4及び珪素粉末7の温度よりも低くなるように、黒鉛製るつぼ内に温度勾配を設ける。そして、成長初期の温度制御として、珪素粉末7を炭化珪素単結晶基板3よりも低温にする。具体的には、珪素粉末7を1400〜2000℃とする。これにより、珪素の過剰な蒸発を防止することができる。
【0022】
次に、黒鉛製るつぼ内の圧力を0. 1〜50Torrとして、昇華法成長を開始すると、炭化珪素粉末4が昇華して昇華ガスとなり、炭化珪素単結晶基板3に到達し、炭化珪素粉末4側よりも相対的に低温となる炭化珪素単結晶基板3の表面上に炭化珪素単結晶10が成長する。
その際、ポーラスカーボンの仕切板6で囲まれている珪素粉末7は融解して蒸気となり、徐々にポーラスカーボンの仕切板6の空孔内を通過し、さらに炭化珪素原料をも通過する。これにより、炭化珪素単結晶基板3に珪素蒸気が供給され、黒鉛製るつぼ内がSiリッチな雰囲気となる。
【0023】
このとき、ポーラスカーボンからなる仕切板6に囲まれた珪素粉末7の珪素蒸気は、仕切板6の空孔内を通過しなければならず、また蒸発した珪素の量も少ないことから、炭化珪素原料の昇華ガスと比べて供給量が少なくなる。このため、過剰なSiリッチな雰囲気とはならないようにできる。このため、炭化珪素単結晶基板3もしくは炭化珪素単結晶10の成長表面にSiドロップレットが発生することを抑制できる。
【0024】
そして、成長中期から後期、例えば炭化珪素原料粉末4の枯渇が進んだときには、珪素粉末7の温度を上昇させて炭化珪素原料粉末4の温度と略同等にする。これにより、成長初期よりも炭化珪素原料粉末4の蒸発を進める。
つまり、炭化珪素原料粉末4は、珪素の方が炭素よりも昇華しやすいために、残留している炭化珪素原料粉末4内には珪素の残留量が少なくなっていると考えられるので、珪素粉末7からの珪素の蒸発量を増加させることにより、その不足分を補うようにしているのである。
【0025】
このように、成長の経過に伴って炭化珪素原料粉末及び珪素粉末7の加熱温度を制御することによって、黒鉛製るつぼ内が適当なSiリッチな雰囲気となるようにできる。これにより、過剰なSiリッチ雰囲気とならないようにでき、高品質な炭化珪素単結晶10を成長させることができる。
(第3実施形態)
図3に本発明の第3実施形態を示す。以下、図3に基づいて本実施形態の結晶成長装置について説明する。
【0026】
図3に示すように、結晶成長装置は、容器上部21と容器下部22を有している。これら容器上部21と容器下部22はネジ部23によって気密が確保される状態で結合されている。
容器上部21には接着剤5を介して種結晶となる炭化珪素単結晶基板3が接合してある。また、容器上部21にはカーボン板25がネジを介して接合されている。なお、容器21、22の内壁は、成長時に炭化珪素単結晶基板3が炭化しないように、炭化珪素層で覆ってある。
【0027】
容器下部22には、炭化珪素原料粉末4が配置してあり、さらに容器下部22は回転軸24に接合されていて、回転軸24を中心として容器下部22を回転させると、容器下部22が炭化珪素原料粉末4ごと上下に移動する構造となっている。
このように構成された結晶成長装置を用いた炭化珪素単結晶の製造工程について説明する。
【0028】
まず、炭化珪素原料粉末4の上部の温度を2000〜2500℃に加熱する。そして、ヒータ調節等により、炭化珪素単結晶基板3の温度が炭化珪素原料粉末4の温度よりも低くなるように、容器21、22内に温度勾配を設ける。
そして、成長初期の温度制御として、炭化珪素原料粉末4の下部を上部よりも低温にする。具体的には、炭化珪素原料粉末4の下部を2000℃以下とする。これにより、炭化珪素原料粉末4の下部における昇華を抑制する。
【0029】
次に、黒鉛製るつぼ内の圧力を0. 1〜50Torrとして、昇華法成長を開始すると、炭化珪素原料粉末4が昇華して昇華ガスとなり、炭化珪素単結晶基板3に到達し、炭化珪素原料粉末4側よりも相対的に低温となる炭化珪素単結晶基板3の表面上に炭化珪素単結晶10が成長する。
そして、成長中期から後期、例えば炭化珪素原料粉末4の枯渇が進んだときには、回転軸を回転させ容器下部22と共に炭化珪素原料粉末4を上昇させる。これにより、炭化珪素原料粉末4の下部の温度を上昇させる。これにより、炭化珪素原料粉末4の下部も徐々に昇華される。
【0030】
このように、成長の経過に伴って炭化珪素原料粉末4の加熱温度を制御することによって、長期に渡って炭化珪素単結晶基板3に充分な炭化珪素原料の昇華ガスが供給されるようにできる。これにより、炭化珪素単結晶10の長尺化が可能となる。
(他の実施形態)
上記実施形態においては、炭化珪素単結晶10の導電型については触れていないが、珪素粉末7をn型にすれば炭化珪素単結晶10をn型にすることができ、珪素粉末7をp型にすれば炭化珪素単結晶10をp型にすることができる。
【0031】
また、Siリッチ雰囲気を形成するための珪素の供給源として珪素粉末7を用いてるが、珪素基板等の固体の珪素でもよいし、窒化珪素や珪素系化合物を用いることもできる。そして、珪素粉末7に代えて窒化珪素を用いた場合には、炭化珪素単結晶10が4Hの結晶性となりやすいし、炭化珪素単結晶10をn型で形成することができる。
【0032】
また、仕切板6として多孔質のポーラスカーボンを用いるようにしているが、必ずしもこのような材質のものを用いる必要はなく、珪素の蒸気が貫通できる程度の貫通孔が形成されている仕切板6であれば他のものを適用することもできる。
さらに、容器上部21を固定するための固定部を高融点材料で構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に用いる結晶製造装置の全体構成を示す図である。
【図2】本発明の第2実施形態に用いる結晶製造装置の全体構成を示す図である。
【図3】本発明の第3実施形態に用いる結晶製造装置の全体構成を示す図である。
【符号の説明】
1…るつぼ本体、2…蓋材、3…炭化珪素単結晶基板、
4…炭化珪素原料粉末、5…接着剤、6…仕切板、7…珪素粉末、
10…炭化珪素単結晶。

Claims (5)

  1. 容器(1、2)内に、炭化珪素原料(4)と種結晶となる炭化珪素単結晶基板(3)を配置し、前記原料を加熱昇華させて前記炭化珪素単結晶基板上に炭化珪素単結晶(10)を成長させる炭化珪素単結晶の製造方法において、前記炭化珪素原料とは別に、前記容器内に少なくとも珪素を含む材料(7)を配置すると共に、該珪素を含む材料と前記炭化珪素単結晶基板との間を、珪素ガスを通過させることができるポーラスカーボンからなる仕切板(6)で仕切り、前記珪素を含む材料から発生させた珪素ガスが前記仕切板を通じて前記炭化珪素単結晶基板に供給されるようにすることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。
  2. 前記珪素を含む材料を前記炭化珪素原料よりも前記炭化珪素単結晶基板から遠い位置に配置し、前記珪素を含む材料から発生させた珪素ガスが前記仕切板を通じて前記炭化珪素単結晶基板に供給されるようにすることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  3. 前記少なくとも珪素を含む材料として、珪素を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  4. 前記少なくとも珪素を含む材料として、窒化珪素を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  5. 容器(1、2)内に、炭化珪素原料(4)と種結晶となる炭化珪素単結晶基板(3)を配置し、前記原料を加熱昇華させて前記炭化珪素単結晶基板上に炭化珪素単結晶(10)を成長させる炭化珪素単結晶製造装置において、前記炭化珪素原料を配置するスペースと、前記容器内において少なくとも珪素を含む材料(7)を配置するスペースとを仕切るポーラスカーボンからなる仕切板(6)が備えられており、該仕切板が珪素ガスを通過させることができるように構成されていることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造装置。
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