JP4039089B2 - 自動車のサスペンション装置 - Google Patents
自動車のサスペンション装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4039089B2 JP4039089B2 JP2002066371A JP2002066371A JP4039089B2 JP 4039089 B2 JP4039089 B2 JP 4039089B2 JP 2002066371 A JP2002066371 A JP 2002066371A JP 2002066371 A JP2002066371 A JP 2002066371A JP 4039089 B2 JP4039089 B2 JP 4039089B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- link
- suspension
- support
- cross member
- support bracket
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Body Structure For Vehicles (AREA)
- Vehicle Body Suspensions (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のサスペンション装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のサスペンション装置としては、例えば、図8に示した特開平11−42919に開示されているようなA型のアッパーアームとロアーアームを有するダブルウイッシュボーン形式のもの(図8(A))、複数の独立したI型のリンクを有するダブルウイッシュボーン形式のもの(図8(B))、さらには特に図示しないがトレーリングアーム形式他様々な形式が知られている。
【0003】
そして、これらのサスペンションの形式は、通常、自動車で求められる性能に応じて使い分けられている。例えば、A型アームは主に操縦安定性が求められる場合に、複数の独立したI型のリンクは主に乗り心地が求められる場合に用いられるのが一般的である。
【0004】
ところで、所謂、スポーツカーと言われるタイプの自動車は、その運動性能を向上させるためにA型アームを用いたサスペンション形式を取る場合が多い。その場合、先に説明した乗り心地は複数の独立したI型のリンクを用いた場合よりも劣ったものとならざるを得ない。これを解決するためには細かなチューニングを加えたりするが、基本的にA型アームというリジッドな構造であるために限界がある。
【0005】
一方で、スポーツカーに複数の独立したI型のリンクのサスペンションを採用すると、乗り心地は良いが、リンク夫々の自由度が大きいために逆に操縦安定性が低下する。それを解決するために、ホイール側と車体側を連結するリンクの向きや長さを変更したり、ブッシュのチューニングを行なうことでかなりの改善が可能である。
【0006】
しかしながら、高出力エンジンを備えたスポーツカーにおいて、その運動性能を向上しようとする場合、幅広のタイヤを用いなければその性能を支えることは困難である。そして、幅広のタイヤを用いた場合には、路面との摩擦力が増すために横力が通常の幅のタイヤを用いた場合よりも大きく入力される。その際、A型アームというリジッドな構造である場合には、横力の大きな入力にも十分耐え得るが、複数の独立したI型のリンクの場合、車体側における支持部であるブラケット及びサスペンションクロスメンバに大きな力が入力され、その結果、特にブラケットの変形等が生じて操縦安定性を損なう可能性がある。
【0007】
具体的には、ロアーアームの場合、図9(A)に示したように、ホイール側から横力Fが車両内側方向に向かって加わった場合、サスペンションクロスメンバ100に連結される前側リンク105、及びサスペンションクロスメンバ101に連結される後側リンク110に対しては、夫々、FLf、FLrの力が作用して、前側リンク105が連結されるブラケット115には前方向への分力FLffが、後側リンク110が連結されるブラケット120には後方向への分力FLrrが加わる。その結果、前側リンク105は前方へ、そして後側リンク110は後方へ移動しようとするのでブラケット115の前脚115Fと後脚115R、並びにブラケット120の前脚120Fと後脚120Rに応力が加わって変形する可能性がある。
【0008】
一方、アッパーアームの場合、ロアーアームとは反対方向の力が作用する。これは車両旋回時において車輪がキャンバー方向に倒れようとするので、アッパーアームの前後のリンクにはそのモーメントを打ち消すように車両外側方向にリンクを引っ張る力が作用するためである。即ち、図9(B)に示したように、裾広がり状態で車体側のサスペンションクロスメンバ200に向かって延びるアッパーアームの前側リンク205、後側リンク210に対しては、夫々、FUf、FUrの力が作用して、前側リンク205が連結されるブラケット215には後方向への分力FUfrが、後側リンク210が連結されるブラケット220には前方向への分力FUrfが加わる。その結果、アッパーアームの前側リンク205は後方へ、そして後側リンク210は前方へ移動しようとするのでブラケット215とブラケット220に応力が加わる。
【0009】
そしてアッパーアームの場合、サスペンションクロスメンバ200がアーチ状を成していることによって、ブラケットの脚部215F、215R、220F、220Rの内、各リンク間の内側に配置される脚部215Rと220Fはサスペンションクロスメンバ100との固定面積が小さくならざるを得ないことも相俟って、各リンクに連結されたブラケットにおいて、特に前後両リンクによって挟まれるように内側に配置されるブラケットが変形する可能性がある。
【0010】
以上述べてきたように、高いエンジン出力と運動性能を有する車両において、サスペンションのリンクに連結されたブラケットが変形すると所定のコンプライアンスが確保できなくなる可能性があり、所望の性能が発現されないことも考えられる。
【0011】
このような問題点を解決するには、サスペンションクロスメンバーの幅を広げるとともに、各リンク支持ブラケットをサスペンションクロスメンバの幅の中央部付近に配置、形成して、リンク支持ブラケットとサスペンションクロスメンバの強度、剛性を高めることも考えられるが、これを採用するとサスペンションクロスメンバの大型化、重量増加、さらにはリンク支持ブラケットの取付け性が悪くなる等の問題が新たに生じる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
以上より、本案は、所謂、マルチリンク式と呼ばれるような複数の独立したI型リンクからなるサスペンションにおいて、操縦安定性と乗り心地とを高次元で両立させ、しかも重量の増加を極力抑えつつ、サスペンションの耐久性と組付け性を従来以上に向上させることを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の構成による自動車のサスペンション装置は、1つの車輪を1つのサスペンションアームを介してサスペンションクロスメンバに支持するものであって、上記サスペンションアームが、サスペンションのアッパーアームを構成する前後2本のリンクと上記サスペンションのロアーアームを構成する前後2本のリンクとを有し、これらの独立したリンクが車幅方向に延設され、その一端が、夫々、上記車輪に連結された1つのホイールサポートに連結されているマルチリンク式のサスペンション装置であって、上記リンクの他端が連結支持されたリンク支持ブラケットが、夫々、上記サスペンションクロスメンバに夫々固定されており、上記アッパーアームの両リンク支持ブラケット同士のみ連結する、上記サスペンションクロスメンバとは別の連結部材と、上記ロアーアームの両リンク支持ブラケット同士のみ連結する、上記サスペンションクロスメンバとは別の連結部材とが、夫々配設されているものである。
【0014】
本発明の第1の構成によれば、サスペンションアームは車幅方向に延設される少なくとも複数の独立したリンクで構成されるので乗り心地の良い車両とすることができるとともに、これら複数の独立したリンクは夫々、車体側に夫々固定されるリンク支持ブラケットに支持され、リンク支持ブラケット間は連結部材を介して連結されているので、リンクへ横力が入力してリンクが前、または後へ移動しようとしてブラケットに大きな応力が加わった場合でもブラケットの変形を防止でき、操縦安定性を維持することができる。
【0015】
本発明の第1の構成によれば、サスペンションアームは複数の独立したリンクより構成されているとともにこれらのリンクは一方が車輪側、他方がサスペンションクロスメンバに連結された構造であるため、極めて簡単な構造でありながら車両の運動性能を確保できる。
【0016】
本発明の第1の構成によれば、サスペンションのアッパーアームを構成する前後2本のリンクが車体側にリンク支持ブラケットで支持され、且つこれら2つのリンク支持ブラケット間は連結部材を介して連結されているので、アッパーアームの2本のリンクに横力が作用して夫々のブラケットに大きな応力が加わってもブラケットの変形は発生せず、従って操縦安定性を維持することができる。
【0017】
本発明の第1の構成によれば、サスペンションのロアーアームを構成する前後2本のリンクが車体側にリンク支持ブラケットで支持され、且つこれら2つのリンク支持ブラケット間は連結部材を介して連結されているので、ロアーアームの2本のリンクに横力が作用して夫々のブラケットに大きな応力が加わってもブラケットの変形は発生せず、従って操縦安定性を維持することができる。
【0018】
本発明の第2の構成による自動車のサスペンション装置は、上記サスペンションアームは、車幅方向に延設されて一端が上記ホイールサポートに連結されたコントロールリンクをさらに有しており、上記コントロールリンクの他端が連結支持されたリンク支持ブラケットが、上記サスペンションクロスメンバに固定されており、上記ロアーアームの後側リンクのリンク支持ブラケット及び上記コントロールリンクのリンク支持ブラケット同士のみ連結する、上記サスペンションクロスメンバとは別の連結部材がさらに設けられているものである。
【0019】
本発明の第2の構成によれば、サスペンションの中間的位置に配されるコントロールリンク、並びにロアーアームの一つのリンクが車体側にリンク支持ブラケットで支持され、且つこれら2つのリンク支持ブラケット間は連結部材を介して連結されているので、コントロールリンク、並びにロアーアームの一つのリンクに横力が作用してブラケットに大きな応力が加わってもブラケットの変形は発生せず、従って操縦安定性を維持することができる。
【0020】
本発明の第3の構成による自動車のサスペンション装置は、上記リンク支持ブラケットは、夫々、上記サスペンションクロスメンバーから突出形成された一対の支持部を備え、上記両リンク支持ブラケットのうち、上記2つのリンク間に挟まれる内側の支持部同士が、上記連結部材を介して連結されているものである。
【0021】
本発明の第3の構成によれば、リンク支持ブラケットが、夫々、サスペンションクロスメンバーから突出形成された一対の支持部を備える簡単な構成とされ、アッパーアームの2つのリンク同士、ロアーアームの2つのリンク同士、あるいはコントロールリンクとロアーアームの1つのリンク等における各一対のリンク支持ブラケットのうち、複数のリンク間に挟まれる内側の支持部同士が、連結部材を介して連結されるものであるため、連結部材も短く、軽量な構造とすることができる。
【0022】
本発明の第4の構成による自動車のサスペンション装置は、上記リンク支持ブラケットは、夫々、上記サスペンションクロスメンバーから突出形成された一つの支持部を備え、車体の前方側に位置する前方側リンクにはその前部に、車体の後方側に位置する後方側リンクにはその後部に上記支持部が、夫々、設けられているとともに、上記連結部材は直線状に延びるベース部と該ベース部の前端と後端から屈曲された屈曲部を有する略かすがい形状を成し、上記前方側リンクはその前部に設けられた支持部と上記連結部材の前端側屈曲部とにより支持され、一方、上記後方側リンクはその後部に設けられた支持部と上記連結部材の後端側屈曲部とにより支持されているものである。
【0023】
本発明の第4の構成によれば、各リンクはサスペンションクロスメンバーから突出形成された一つの支持部と連結部材の屈曲部とにより支持されることとなり、従って、夫々のリンク支持ブラケットはサスペンションクロスメンバから一つの支持部を突出形成するだけで良いので、軽量化、低コスト化が可能となる。
【0024】
本発明の第5の構成による自動車のサスペンション装置は、上記連結部材には、リンク固定用のナットが夫々固定して設けられ、上記リンクを挟んで相対する上記リンク支持ブラケットの支持部側から挿通される締結部材により上記支持部、上記リンク、並びに上記連結部材とが連結されるものである。
【0025】
本発明の第5の構成によれば、連結部材には予めリンクを固定するためのナットが設けられているため、極めて組付け作業性が良く、誤組付けの防止とともに製造コストの低減が可能である。
【0026】
本発明の第6の構成による自動車のサスペンション装置は、上記サスペンションクロスメンバは、車幅方向に向かって延設され、上記ロアーアームの後側リンクのリンク支持ブラケットが固定された後側サスペンションクロスメンバと、車両前後方向に延び、上記ロアーアームの後側リンクのリンク支持ブラケット以外のリンク支持ブラケットが夫々固定された側方サスペンションクロスメンバとを有するものである。
【0027】
【発明の効果】
以上より本案は、所謂、マルチリンク式と呼ばれるような複数の独立したI型リンクからなるサスペンションにおいて、操縦安定性と乗り心地とを高次元で両立させ、しかも重量の増加を極力抑えつつ、サスペンションの耐久性と組付け性を従来以上に向上させることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明の第一の実施形態を以下図面に基づいて説明する。まず、本発明に係るドライブトレイン系の全体平面図を示す図1に示している様に、本実施形態における車両は、車両前部にエンジンEが設置され、その回転力は、変速機MS、プロペラシャフトPS、デファレンシャル装置(符号なし)に伝達され、アクスルシャフト(符号なし)を介して後輪を駆動するとともに、リヤデファレンシャルのワインドアップ振動を防止し、発進、加速性能を向上させるパワープラントフレームPFが設けられた、所謂、FR(フロントエンジン・リヤドライブ)方式のスポーツカータイプの車両として構成されている。
【0029】
そして、そのリヤサスペンションは、マルチリンクのダブルウイッシュボーン形式とされ、車幅方向に向かって延設される前側サスペンションクロスメンバ1と後側サスペンションクロスメンバ2、前後方向に延びてアーチ状を成した側方サスペンションクロスメンバ3と、後輪に連結されたホイールサポート5のジョイントJに一端が枢支されて、他端がサスペンションクロスメンバ1、2、3の何れかにブッシュとブラケットを介して揺動可能に支持されるアッパーアームリンク6、7、ロアーアームリンク8、9、及びコントロールリンク10とで構成されている。なお、図中、STはスタビライザ、4は弾性マウント、11はダンパ、12は後側サスペンションクロスメンバ2と側方サスペンションクロスメンバ3とを連結する補強メンバである。
【0030】
本発明は、先に述べてきたように、サスペンションクロスメンバと各リンク間の連結に関するものであり、これについて以下、図2〜4を用いてさらに詳しく説明する。(なお、図2〜4は、紙面の関係でボルト、ナットの図や一部の符号を省略している部分があるが、何れかの図に記載している。)まず、アッパーアームは、図1のサスペンション部分の要部を表す平面図2、底面図3、並びに側面図4に示している様に、夫々独立した一本の前側リンク6と後側リンク7とで構成されて、これらのリンクは夫々、車両外方端がホイールサポート5とボールジョイントJによって隣接した状態で枢支されているとともに、前側リンク6の内方端はやや前方に向かうように、後側リンク7の内方端はやや後方に向かうように傾いて延設され、内側終端部には夫々ブッシュ15が設けられている。
【0031】
これらのブッシュ15は、アーチ状を成す側方サスペンションクロスメンバ3の上面外縁付近に固定されたコ字状のリンク支持ブラケットに連結されている。より詳細には、アッパーアームの前側リンク6に設けられたブッシュ15は、リンク支持ブラケット6Bにおける支持部材である前脚部6Fと後脚部6Rとの間に配置、連結され、アッパーアームの後側リンク7に設けられたブッシュ15は、リンク支持ブラケット7Bにおける支持部材である前脚部7Fと後脚部7Rとの間に配置、連結されている。さらに、これらのリンク支持ブラケット6B、7Bのうち、前側リンク6の後方に位置する後脚部6Rと後側リンク7の前方に位置する前脚部7Fとは、補強部材(パフォーマンスロッド)20によって連結されている。
【0032】
この補強部材20は板成形部材であって、各リンクブラケットに向かって直線状に延びるベース部(符号無し)と、その前後両端部において屈曲形成された屈曲部より成り、詳細には、屈曲部は、夫々、リンク支持ブラケット6Bの後脚部6R、並びにリンク支持ブラケット7Bの前脚部7Fの面に沿うように屈曲部20Fと20Rが形成されているとともに、屈曲部20Fの後方面と屈曲部20Rの前方面にはナットNが溶接固定されており、リンク支持ブラケット6Bの前脚部6F側から、並びにリンク支持ブラケット7Bの後脚部7R側からボルトBを通すことによって簡便にブッシュ15と補強部材20とを組み付けできるようになっている。
【0033】
そして、先に図9を用いて説明したように、横力が車両外方向からリンク6、7の軸に入力された場合に、前側リンク6が後方に、後側リンク7が前方に移動しようとする分力が作用するが、この補強部材20は両リンク内側方向からブラケット6Bの後脚部6Rとブラケット7Bの前脚部7Fを連結支持して、それらの変形を確実に防止することができる。
【0034】
次に、ロアーアームについて、アッパーアームと同じく図2〜4を用いて説明する。ロアーアームは前側リンク8と後側リンク9とで構成され、それらの外方端はホイールサポート5にブラケットとブッシュ(符号なし)を介して連結されている。また、前側リンク8の内方端はやや前方に向かうように、後側リンク9の内方端はやや後方に向かうように傾いて延設され、内側終端部には夫々ブッシュ15が設けられている。
【0035】
前側リンク8のブッシュ15は、アーチ状を成す側方サスペンションクロスメンバ3の下面内縁付近に固定されたコ字状のリンク支持ブラケット8Bに連結され、後側リンク9のブッシュ15は、車幅方向に延びる後側サスペンションクロスメンバ2の下面に固定されたコ字状のリンク支持ブラケット9Bに連結されている。より詳細には、ロアーアームの前側リンク8に設けられたブッシュ15は、リンク支持ブラケット8Bにおける支持部材である前脚部8Fと後脚部8Rとの間に配置、連結され、ロアーアームの後側リンク9に設けられたブッシュ15は、リンク支持ブラケット9Bにおける支持部材である前脚部9Fと後脚部9Rとの間に配置、連結されている。さらに、これらのブラケット8B、9Bのうち、前側リンク8の後方に位置する後脚部8Rと後側リンク9の前方に位置する前脚部9Fとは、これらの変形を防止するための補強部材30によって連結されている。
【0036】
この補強部材30は先に説明した補強部材20と同じく板成形部材であって、その前後両端部は、夫々、リンク支持ブラケット8Bの後脚部8R、並びにリンク支持ブラケット9Bの前脚部9Fの面に沿うように屈曲部30Fと30Rが形成され、且つ、屈曲部30Fの後方面と屈曲部30Rの前方面にはナットNが溶接固定されているので、リンク支持ブラケット8Bの前脚部8F側から、あるいはリンク支持ブラケット9Bの後脚部9R側からボルトBを通すことによって簡便にブッシュ15と補強部材30とを組み付けできるようになっている。
【0037】
そして先に説明した補強部材20と同じく、横力が車両外方向からリンク8、9の軸に入力された場合に、前側リンク8が前方に、後側リンク9が後方に移動しようとする分力が作用するが、この補強部材30は両リンク内側方向からリンク支持ブラケット8Bの後脚部8Rとリンク支持ブラケット9Bの前脚部9Fを連結支持して、それらの変形を確実に防止することができる。
【0038】
ロアーアームの後側リンク9が連結されているリンク支持ブラケット9Bにはさらにもう一つ、コントロールリンク10が連結されたリンク支持ブラケット10Bに組み付けられる補強部材40が連結されている。コントロールリンク10は、その外方端がホイールサポート5に支持され、内方端は略車幅方向内側に向かって延びてブッシュ15が連結されている。そして、このブッシュ15はアーチ状を成す側方サスペンションクロスメンバ3の上面に固定されたリンク支持ブラケット10Bに連結されている。詳細には、コントロールリンク10の内方端に連結されたブッシュ15は、リンク支持ブラケット10Bにおいてコントロールリンク10の前方に位置する支持部材である前脚部10Fと、コントロールリンク10の後方に位置する支持部材である後脚部10Rの間に配置されている。
【0039】
そして、リンク支持ブラケット10Bの後脚部10Fには、補強部材40の前端部に形成された屈曲部40Fが組み付けられている。その組み付けは、屈曲部40Fに溶接固定されたナットNに対して、リンク支持ブラケット10Bの前脚部側よりボルトBにより締結することにより、極めて簡便に実施できる。
【0040】
補強部材40は後方に位置するロアーアームの後側リンク支持ブラケット9Bの方向に向かって延設され、補強部材30の屈曲部30Rを共有するようにその屈曲点付近で溶接、一体化されている。
【0041】
つまり、ロアーアームの後側リンク支持ブラケット9Bからは2つの補強部材30と40が車両前方に向かって延び、補強部材30はロアーアームの前側リンク支持ブラケット8Bに、そして補強部材40はコントロールリンク10のリンク支持ブラケット10Bに連結されていることになる。
【0042】
ここで、補強部材40は、アッパーアームの両リンク支持ブラケット同士のみ連結する補強部材20、ロアーアームの両リンク支持ブラケット同士のみ連結する補強部材30の場合と同様に、コントロールリンク10に連結されているリンク支持ブラケット10Bの後脚部10Rとロアーアーム後側リンク支持ブラケット9Bにおける前脚部9Fの変形を防止するものである。
【0043】
以上、本発明の第一の実施形態を説明してきたが、要は各リンクのレイアウトに応じて変化する横力に対して夫々のリンク支持ブラケットの変形が防止できるようにするのであって、必ずしも3つの補強部材を同時に設ける必要はなく、アッパーアームの両リンク支持ブラケット同士のみ連結する補強部材20にロアーアームの両リンク支持ブラケット同士のみ連結する補強部材30を加えて2つの補強部材で構成したもの等でも良い。さらに、補強部材について、図示していないが、ナットが固定される屈曲部以外の部分は、必ずしも板部材である必要はなく、丸棒材、角棒材等であっても良い。但しこの場合、屈曲部は丸棒材、あるいは角棒材に溶接固定される。
【0044】
次に、本発明の第二の実施形態について説明する。第二の実施形態は、アッパーアームを例にすると、平面図5、底面図6に示しているように、前側リンク6の内方端に連結されているリンク支持ブラケット6Bの支持部材である後脚部6Rと、後側リンク7の内方端に連結されているリンク支持ブラケット7Bの支持部材である前脚部7Fが形成されておらず、補強部材20の屈曲部20F、20Rが各ブッシュに直接連結されている点が、第一の実施の形態と異なっている。
【0045】
これを詳しく説明すると、アッパーアームの前側リンク6に連結されているブッシュ15は、その前方がL字状のリンク支持ブラケットの前脚部6Fに、後方が補強部材20の屈曲部20Fに直接連結されている。その組付けは、第一の実施形態と同じく、リンク支持ブラケットの前脚部6F側からボルトによって補強部材20の屈曲部20Fに溶接固定されたナットで締結されているものである。そして、補強部材20は、後方に向かって延設されて、屈曲部20Rがアッパーアームの後側リンク7に連結されているブッシュ15を挟んでリンク支持ブラケット7Bの後脚部7Rとボルト、ナットで締結されている。
【0046】
次にロアーアームでは、ロアーアームの前側リンク8に連結されているブッシュ15は、その前方がL字状のリンク支持ブラケットの前脚部8Fに、後方が補強部材30の屈曲部30Fに直接連結され、第一の実施形態と同じく、リンク支持ブラケットの前脚部8F側からボルトによって補強部材30の屈曲部30Fに溶接固定されたナットで締結されているものである。そして、補強部材30は、後方に向かって延設されて、屈曲部30Rがロアーアームの後側リンク9に連結されているブッシュ15を挟んでリンク支持ブラケット9Bの後脚部9Rとボルト、ナットで締結されている。
【0047】
さらにコントロールリンク10とロアーアーム後側リンク9の間の補強についても同様である。即ち、コントロールリンク10の内方端に連結されたブッシュ15は、側方サスペンションクロスメンバ3の上面内縁部にL字状のリンク支持ブラケット10Bの前脚部10Fと補強部材40の屈曲部40Fとで直接挟まれた状態で連結されている。そして補強部材40は、後方に向かって延設されて、その後方端は、ロアーアームの前側リンク8と後側リンク9とを連結する補強部材30の屈曲部30Rを共有するようにその屈曲点付近で溶接により一体化されている。
【0048】
以上、第一の実施形態と第二の実施形態を図2〜6に基づいて説明してきたが、これらの図は各リンクや補強部材が交差しているため、別に各リンク、ブッシュ、ブラケット、補強部材、並びにボルト、ナットの組付け状態を簡略図7に示した。図中の(A)は第一の実施形態、(B)は第二の実施形態を示している。そして、リンク50、60は夫々、車両前方側に位置するリンク、即ち、アッパーアーム同士のみの連結の場合はアッパーアーム前側リンク、ロアーアーム同士のみの連結の場合はロアーアーム前側リンク、コントロールリンクとロアーアームとの連結の場合はコントロールリンクを示し、一方、リンク51、61は夫々、車両後方側に位置するリンク、即ち、アッパーアーム同士のみの連結の場合はアッパーアーム後側リンク、ロアーアーム同士のみの連結の場合はロアーアーム後側リンク、コントロールリンクとロアーアームとの連結の場合はロアーアーム後側リンクを示すものとする。
【0049】
以下、アッパーアーム同士のみの連結の場合を代表例として説明すると、第一の実施形態である(A)において、前側リンク50、後側リンク51の車両内方端には夫々ブッシュ15が連結されている。前側リンク50に連結されたブッシュ15にはコ字状のリンク支持ブラケット50Bが、後側リンク51に連結されたブッシュ15にはコ字状のリンク支持ブラケット51Bが連結されている。(これらブラケットは先の図2〜6にあるようにサスペンションクロスメンバ3に固定されているものである。)そして各リンク支持ブラケットは、夫々、支持部材である前脚部50F、51Fと後脚部50R、51Rが形成されているとともに、リンク支持ブラケット50Bの後脚部50Rとリンク支持ブラケット51Bの前脚部51Fとは補強部材55で連結され、前側リンク50、後側リンク51に大きな横力が入力されてもリンク支持ブラケット50Bと51Bに変形が生じない様にしている。
【0050】
そしてこの補強部材55は、その前端部には屈曲部55F、後端部には屈曲部55Rが、夫々、リンク支持ブラケット50Bの後脚部50R、リンク支持ブラケット51Bの前脚部51Fに沿う様に形成されているとともに、屈曲部55F、55Rには、夫々、ナットNが溶接、固定されている。これにより、前側リンク50においては前方側から、そして後側リンク51においては後方側からボルトBを用いて、容易に締結することが可能となっている。
【0051】
第二の実施形態である(B)において、前側リンク60、後側リンク61の車両内方端には夫々ブッシュ15が連結されている。前側リンク60に連結されたブッシュ15にはL字状のリンク支持ブラケット60Bが、後側リンク61に連結されたブッシュ15にはL字状のリンク支持ブラケット61Bが連結されている。(これらブラケットは先の図2〜6にあるようにサスペンションクロスメンバ3に固定されている。)そしてリンク支持ブラケット60Bには前脚部60Fが、リンク支持ブラケット61Bには後脚部61Rが形成されているとともに、前側リンク60に連結されたブッシュ15の後部と後側リンク61に連結されたブッシュ15の前部とは補強部材65で連結されている。つまり、第二の実施形態においては、第一の実施形態にあったリンク支持ブラケット50Bの後脚部50Rとリンク支持ブラケット51Bの前脚部51Fの働きを補強部材65の前端部65Fと後端部65Rが担うとともに、この部分に作用している分力を相殺するように補強部材65が連結されている。
【0052】
そしてこの補強部材65は、その前端部には屈曲部65Fがリンク支持ブラケット60Bの前脚部60Fに略平行に、後端部には屈曲部65Rがリンク支持ブラケット61Bの後脚部61Rに略平行に形成されているとともに、屈曲部65F、65Rには、夫々、ナットNが溶接、固定されている。これにより、前側リンク60においては前方側から、そして後側リンク61においては後方側からボルトBを用いて、容易に締結することが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るドライブトレイン系の全体平面図
【図2】第一の実施形態におけるサスペンション平面図
【図3】第一の実施形態におけるサスペンション底面図
【図4】第一の実施形態におけるサスペンション側面図
【図5】第二の実施形態におけるサスペンション平面図
【図6】第二の実施形態におけるサスペンション底面図
【図7】第一、第二の実施形態を簡潔に表した簡略図
【図8】従来のサスペンションの形式を表した図
【図9】従来例における横力によるリンクの移動方向を説明した図
【符号の説明】
1、2、3…サスペンションクロスメンバ
6…アッパーアーム前側リンク
7…アッパーアーム後側リンク
8…ロアーアーム前側リンク
9…ロアーアーム後側リンク
10…コントロールリンク
15…ブッシュ
6B、7B、8B、9B、10B…リンク支持ブラケット
6F、7F、8F、9F、10F…支持部材(前脚部)
6R、7R、8R、9R、10R…支持部材(後脚部)
50B、51B、60B、61B…リンク支持ブラケット
20、30、40、55、65…補強部材
20F、20R、30F、30R、40F、55F、55R、65F、65R…屈曲部
B…ボルト
N…ナット
Claims (6)
- 1つの車輪を1つのサスペンションアームを介してサスペンションクロスメンバに支持するものであって、上記サスペンションアームが、サスペンションのアッパーアームを構成する前後2本のリンクと上記サスペンションのロアーアームを構成する前後2本のリンクとを有し、これらの独立したリンクが車幅方向に延設され、その一端が、夫々、上記車輪に連結された1つのホイールサポートに連結されているマルチリンク式のサスペンション装置であって、
上記リンクの他端が連結支持されたリンク支持ブラケットが、夫々、上記サスペンションクロスメンバに夫々固定されており、
上記アッパーアームの両リンク支持ブラケット同士のみ連結する、上記サスペンションクロスメンバとは別の連結部材と、上記ロアーアームの両リンク支持ブラケット同士のみ連結する、上記サスペンションクロスメンバとは別の連結部材とが、夫々配設されている自動車のサスペンション装置。 - 上記サスペンションアームは、車幅方向に延設されて一端が上記ホイールサポートに連結されたコントロールリンクをさらに有しており、
上記コントロールリンクの他端が連結支持されたリンク支持ブラケットが、上記サスペンションクロスメンバに固定されており、
上記ロアーアームの後側リンクのリンク支持ブラケット及び上記コントロールリンクのリンク支持ブラケット同士のみ連結する、上記サスペンションクロスメンバとは別の連結部材がさらに設けられている請求項1記載の自動車のサスペンション装置。 - 上記リンク支持ブラケットは、夫々、上記サスペンションクロスメンバーから突出形成された一対の支持部を備え、上記両リンク支持ブラケットのうち、上記2つのリンク間に挟まれる内側の支持部同士が、上記連結部材を介して連結されている請求項1または2記載の自動車のサスペンション装置。
- 上記リンク支持ブラケットは、夫々、上記サスペンションクロスメンバーから突出形成された一つの支持部を備え、車体の前方側に位置する前方側リンクにはその前部に、車体の後方側に位置する後方側リンクにはその後部に上記支持部が、夫々、設けられているとともに、上記連結部材は直線状に延びるベース部と該ベース部の前端と後端から屈曲された屈曲部を有する略かすがい形状を成し、上記前方側リンクはその前部に設けられた支持部と上記連結部材の前端側屈曲部とにより支持され、一方、上記後方側リンクはその後部に設けられた支持部と上記連結部材の後端側屈曲部とにより支持されている請求項1または2記載の自動車のサスペンション装置。
- 上記連結部材には、リンク固定用のナットが夫々固定して設けられ、上記リンクを挟んで相対する上記リンク支持ブラケットの支持部側から挿通される締結部材により上記支持部、上記リンク、並びに上記連結部材とが連結される請求項3または4記載の自動車のサスペンション装置。
- 上記サスペンションクロスメンバは、
車幅方向に向かって延設され、上記ロアーアームの後側リンクのリンク支持ブラケットが固定された後側サスペンションクロスメンバと、
車両前後方向に延び、上記ロアーアームの後側リンクのリンク支持ブラケット以外のリンク支持ブラケットが夫々固定された側方サスペンションクロスメンバとを有する請求項1〜5のいずれか1つに記載の自動車のサスペンション装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002066371A JP4039089B2 (ja) | 2002-03-12 | 2002-03-12 | 自動車のサスペンション装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002066371A JP4039089B2 (ja) | 2002-03-12 | 2002-03-12 | 自動車のサスペンション装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003260914A JP2003260914A (ja) | 2003-09-16 |
JP4039089B2 true JP4039089B2 (ja) | 2008-01-30 |
Family
ID=28671442
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002066371A Expired - Fee Related JP4039089B2 (ja) | 2002-03-12 | 2002-03-12 | 自動車のサスペンション装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4039089B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105620215B (zh) * | 2015-12-28 | 2017-12-19 | 泉州装备制造研究所 | 一种多连杆式汽车后悬挂系统 |
-
2002
- 2002-03-12 JP JP2002066371A patent/JP4039089B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2003260914A (ja) | 2003-09-16 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4142543B2 (ja) | 車両のアンチロールバー装置取付構造 | |
US8025313B2 (en) | Suspension subframe structure of vehicle | |
US6746032B2 (en) | Suspension structure | |
US20030090099A1 (en) | Front body structure for vehicle | |
US6270282B1 (en) | Torque rod apex mount | |
US10556474B2 (en) | Front suspension structure of automotive vehicle | |
US5310212A (en) | Axle beam type suspension arrangement for vehicle | |
JP6547782B2 (ja) | 車両下部構造 | |
JP3931962B2 (ja) | サスペンション支持構造 | |
JP4039089B2 (ja) | 自動車のサスペンション装置 | |
JP5251339B2 (ja) | 車両のサスペンションサブフレーム | |
JP2002347648A (ja) | 自動車のサスペンションクロスメンバ構造 | |
JP3601352B2 (ja) | 車両のサスペンション装置 | |
JP2001310756A (ja) | 自動車の車体前部構造 | |
JP3379373B2 (ja) | 超低床バス用フレーム構造 | |
JP6156649B2 (ja) | 自動車のリヤサブフレーム構造 | |
CN111465519B (zh) | 悬架装置 | |
JP2713421B2 (ja) | 自動車の前部車体構造 | |
JP3654032B2 (ja) | 車両のリジットアクスルサスペンション | |
JP2006192932A (ja) | 自動車のリアサスペンション装置 | |
CN214492430U (zh) | 车辆后悬架系统及车辆 | |
US20230322304A1 (en) | Work Vehicle | |
KR100452203B1 (ko) | 두께 차이를 갖는 현가장치용 로워암 | |
KR20110063122A (ko) | 차량의 프론트 서스펜션용 서브 프레임 | |
JP3340617B2 (ja) | サスペンション装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050126 |
|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20050126 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070612 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070809 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20071016 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20071029 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101116 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111116 Year of fee payment: 4 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |