以下、本発明の冷蔵庫の実施の形態を図面とともに説明する。
図1は本発明の第1実施形態の冷蔵庫を示す側面断面図、図2は図1の冷蔵庫の冷蔵室の正面図、図3は図1の冷蔵庫の要部詳細図、図4は図1の冷蔵庫の上面断面図、図5は部材を示す斜視図、図6は他の部材を示す斜視図、図7は図5の部材付近の要部断面図、図8は図5の部材付近の要部断面図、図9は本発明の第2実施形態の冷蔵庫の側面断面図、図10は図9の冷蔵庫の冷蔵室の正面図である。
図1において、冷蔵庫1は外部を覆う外箱2aの内側に内箱2bが配され、外箱2aと内箱2bとの隙間には発泡ポリウレタン等の断熱材2cが充填されている。そして、1aは前記冷蔵庫1の運転を制御する制御装置1bを含む電装ボックスであり、前記制御装置1bは冷蔵庫1の後述する各々の電気部品と電気的に接続されている。また、冷蔵庫1の内部は上から冷蔵室11、野菜室12、冷凍室13の順に区分けされている。
野菜室12と冷凍室13は断熱部材から成る仕切枠17及び断熱部材から成る仕切板19に仕切られており、冷凍室13は更に断熱部材から成る仕切枠18により上部と下部に仕切られている。冷蔵室11と野菜室12は断熱部材から成る仕切枠16及び樹脂成形品から成る仕切板31、32によって仕切られている。仕切板32には貫通口32aが設けられている。
冷蔵室11の下部には仕切板46で仕切られる隔離室である氷温室14が設けられている。冷蔵室11には複数の棚45が設けられ、棚45、仕切板46で冷蔵室11は複数個に区画されている。冷蔵室11の前面は回動式の断熱扉3により開閉可能になっている。野菜室12、冷凍室13の上部及び冷凍室13の下部は前面が各々スライド式の断熱扉4、5、6により開閉可能になっており、収納容器54、55、56を引出せるようになっている。
冷凍室13の後部には圧縮機20が配されている。圧縮機20には吐出パイプ20aを介して凝縮器(不図示)が連結されており、吸込パイプ20bを介して冷却器21、25が直列に連結されている。凝縮器と冷却器25は第1キャピラリーチューブ(不図示)を介して連結されている。冷却器21、25の間には第2キャピラリーチューブ(不図示)が配されている。
これにより冷凍サイクルが構成され、冷凍サイクル運転が行われると冷却器21、25が冷却されるようになっている。冷却器21、25の下方には冷却器21、25の除霜を行う除霜ヒータ61、62が設けられている。63、64はドレン受け部材である。
また、凝縮器と第1キャピラリーチューブとの間には冷媒流の切換手段が設けられ、切換手段と冷却器21とが第3キャピラリーチューブ(不図示)を介して連結されている。そして、切換手段を切り替えることにより、冷却器21のみの冷却を可能にしている。
冷却器21は冷気通路23内に配されており、冷気通路23は内箱2bと樹脂成形品から成るエバカバー33とにより形成されている。冷気通路23内の冷却器21の上方には送風機22が配されている。冷気通路23は背面板33aに設けられた冷凍室13への吐出口13a及び戻り口13bにより冷凍室13と連通している。
冷却器25は冷気通路27内に配されている。冷気通路27の下部は内箱2bと野菜室12の背面板34とにより形成されている。背面板34は断熱部材から成り、冷却器25に近設される野菜室12の過冷却を防止している。冷気通路27内の冷却器25の上方には送風機26が配されている。冷気通路27は戻り口12bにより野菜室12と連通している。
冷気通路27の上部は氷温室14の背面板35に固着される断熱部材36と内箱2bとにより形成されている。断熱部材36には吐出口36aが設けられている。冷蔵室11の正面図を図2に示すと、背面板35には吐出口36aと同じ位置に吐出口35aが設けられている。吐出口35a、36aにより冷蔵室11は冷気通路27と連通している。
冷気通路27は冷蔵室11の背面部分の冷気通路28と連通している。図2において、冷気通路28は略中央に配される中央通路28a(第2通路)と、中央通路28aの両側部に設けられる側方通路28b(第1通路)とにリブ28dにより分岐されている。リブ28dは後述する背面板70と一体に形成されている。また、冷気通路27も冷気通路28に対応して分岐通路27a、27bに分岐されている。
中央通路28aの下端には送風機29が配されている。送風機29の前面には冷蔵室11に臨む送風機カバー41が取り付けられている。送風機カバー41には複数の開口部41aが形成されている。
送風機29部分の詳細図を図3に示すと、中央通路28aは、送風機29により開口部41aを介して冷蔵室11から取入れられる空気と、送風機26(図1参照)により冷気通路27を流通する冷気とが混流するようになっている。冷気通路27を流通する冷気は送風機カバー41の壁面41bに衝突し、案内部41cにより送風機29の方向に導かれる。案内部41cは、送風機カバー41が金属の場合には切り起して一体に形成してもよい。
この時、送風機カバー41の内面には相応の断熱部材を冷気通路27からの冷気の流域に設け、結露対策としてもよい。また、送風機カバー41を金属等により形成すると、中央通路28aを通る冷気の冷熱が送風機カバー41から冷蔵室11内に放出されることになる。
開口部41aは案内部41cよりも上方に形成され、冷気通路27を流通する冷気の進路外に配されている。これにより、冷気通路27を流通する冷気が開口部41aから冷蔵室11内へ侵入することを防止している。その結果、冷気漏れによる冷蔵室11の局部の過冷却を防止できるようになっている。
冷気通路28は冷蔵室11の内壁を形成する部材42と内箱2b上に設けられた背面板70とにより形成されている。背面板70は前記の背面板35と一体に形成されている。部材42は図5に示すような形状の熱伝導性を有する熱伝導部材(例えば、加工性が良く防錆効果の高いアルミニウムやその合金やステンレス等)から形成されている。
これにより蓄冷及び冷熱の放出を可能にしている。なお、前記熱伝導部材の厚みが厚い場合は蓄冷能力が上がり、強度も増加する。厚みが薄い場合は冷熱の放出効率が上がり、軽量化にも有利である。そのため、目的に応じて薄板材や厚板材を適時適所に選び設ければよい。
部材42の表面に凹凸形状をプレス加工等により設けると、表面積を増加させることができる。これにより蓄冷や冷熱の放出量が増加して冷却効率の向上を図ることができる。更に、線状に連続する凹部または凸部を設けることにより、部材42の強度を補強することができる。
また、部材42の上端と下端部分の断面詳細図を図7、図8に示す。これらの図によると、部材42は背面板70に設けられた上取付部71及び背面板35に設けられた下取付部72により係止される。上取付部71のレバー部71aを手指で押上げると爪部71bの係合が解除される。
この状態で部材42の上部を手前に倒して、上方に引上げることにより部材42は下取付部72からはずすことができ、部材42は着脱自在になっている。これにより冷気通路28や部材42の冷気通路28側の清掃等を容易に行うことができるようになっている。なお、部材42の下部は断熱部材36に固着されるシール材73により密閉されている。
また、前記制御装置1bと電気的に接続されている後述する温度検知手段75は、前記部材42上にはなく、その周辺に設けられているため、さらに、前記部材42は着脱しやすくなっている。
冷蔵室11の上面断面図を図4に示すと、側方通路28bを覆う部材42の側方通路28b側の面には、側方通路28bを通る冷気の冷熱の多くを部材42に伝達させないように断熱部材28cが配されている。側方通路28bの側壁は背面板70により形成されており、側壁には複数の開口部70aが設けられている。
背面板70には部材42の外側周辺を覆う壁面部70cが形成されている。壁面部70cには開口部70aと連通する複数の吐出部70bが凹設されている。従って、吐出部70b及び開口部70aを介して、側方通路28bは冷蔵室11と連通し、冷気を冷蔵室11に吐出できるようになっている。
図2において、壁面部70cは載置部74に載置される棚45と同じ高さ付近に形成され、棚45上に載置される食品等が吐出部70bに落下しないようになっている。そして、開口部70aは貯蔵物が側方通路28bに落込まないようにスリット状になっている。また、背面板70には冷気を吐出部70bに導くリブ70dが形成されている。なお、本図においては棚45と仕切板46は、それらの後方をわかりやすくするため、2点鎖線で描いている。
そして、冷蔵室11は棚45にて複数に区画され、そのうちの上下方向で中央よりの区画内の吐出部70b上方に温度検知手段75は設けられている。なお、前記温度検知手段75は例えばサーミスターからなり、背面板70の壁面部70cやその付近の一部を冷蔵室11側に突出させ、その部をスリット状に開口させた開口部70eの裏側(内箱2b側)付近に温度検知手段75は取り付けられている。
そのため、開口部70aを通り吐出部70bから吐出された冷気は、温度検知手段75には直接当たることなく、前記棚45、45で区画された空間の庫内空気と混ざりながら、前記棚45に収められた貯蔵物を冷却した後、冷蔵室11の下方にある貫通口32aに導かれ、前記棚45の前方から下方へ流れる。
このとき、棚45、45で区画された空間の吐出部70bから吐出された冷気と混ざった庫内空気が、前記温度検知手段75周辺にも充満し、前記部材42の冷熱の直接の影響もなく冷蔵室11の庫内温度として検出される。なお、前記開口部70eの冷蔵室11側周辺には、吐出部70bから吐出された冷気が温度検知手段75に直接当たらないように、必要に応じて遮蔽リブ70fが設けられている。
また、前記温度検知手段75はその中心部が前記吐出部70bの上方約50mmの位置にあり、棚45の水平面裏面の下方約40mmの位置にあり、冷蔵室11のほぼ平均室温に相当する庫内温度を検出する。
なお、前記温度検知手段75は、棚45、45で区画された同一区画内の吐出部70bの上方10mm以上、前記棚45で上側にある棚45の水平面裏面の下方20mm以上離れていれば、前記吐出部70bからの冷気流や上側の前記棚45の裏面に漂う比較的暖かい冷気等の影響もなく、冷蔵室11のほぼ平均室温に相当する庫内温度を検出する。
そして、部材42の冷熱で冷却された庫内の冷気は、前記部材42の冷蔵室11側付近を下方へおりるとともに、吐出部70bから吐出された冷気と混ざりあいながら庫内の空間を流れるため、前記冷熱による冷気が直接前記温度検知手段75に当たることもなく、さらに適正な温度に庫内を保つことができる。
なお、開口部70aと連通する前記吐出部70bは、場合によっては、棚45にて複数に区画された全ての空間に各々設ける必要はなく、前記冷蔵室11の下方の空間には前記吐出部70bを設けずにしておき、上方の棚45、45の2段のみに左右に開口部70aと連通する前記吐出部70bを設け、前記棚45の後端と冷蔵室11の背面(部材42の面も含む)部とに隙間を設けておくと、冷蔵室11の前後の上方から冷気が下がり、下方の空間をも冷却し、送風機29による庫内空気の撹拌効果と同時に、部材42の冷熱効果も働き、前記冷蔵室11は均一に冷却されることになる。
また、前記温度検知手段75は左右方向を長手方向としたため、温度検知手段75の上下方向の領域が少なくてすみ、吐出口の位置する領域を広くとれ、条件にあわせて開口部70aや吐出部70bが設けられ、さらに庫内温度の均一化がはかれる。
また、前記吐出部70bの前記開口部70aに通じる上側壁面部を、吐出部70b側へ行くほど下方になるように若干傾斜させて形成しておくと、吐出される冷気が下方へ流出するようになり、さらに、上方に設けられた温度検知手段75への前記冷気の影響はなくなり、さらに適正な温度に庫内を保つことができる。なお、前記吐出部70bの上部に前記遮蔽板70fに相当する突出部を前方に行くほど下方に傾斜するように設けても前記同様の効果が得られる。
冷蔵室11の天井部分には樹脂成形品から成る上面板43と内箱2bにより天井ダクト54が形成されている。天井ダクト54は左右に並設されており、中央通路28aと連通している。中央通路28aを通る冷気は背面板70に形成されるリブ70gにより左右に拡散されて天井ダクト54に導かれる。
そして、上面板43の前後方向に複数設けられた天井吐出口43aにより左右に分散して冷気を吐出できるようになっている。中央通路28aを通る冷気は天井ダクト54に流入する前に左右に拡散されているため、冷蔵室11の背面板70に近い位置に設けられた天井吐出口43aからも充分冷気が吐出される。
そのため、冷蔵室11の天井部の全域から冷気が降りることになり庫内温度の均一化に役立つ。なお、左右の天井ダクト54の間には透明な照明カバー53で覆われる照明灯51が設けられている。
また、前記部材42は冷蔵室11の背面の多くの領域をしめており、前記照明灯51の反射板の役目をもはたしており、前記部材42による照明灯51の反射光は冷蔵室11の多くの領域を照らす。そして、前記温度検知手段75は前記部材42以外の所に位置するため、部材42は欠ける所なく充分広くとれ、前記反射板としての効果は充分得られる。
そして、前記天井ダクト54を部材42と同様のもの(例えば、熱伝導部材)にて形成されていると、天井ダクト54の冷蔵室11側全域からも冷熱効果による庫内への冷却が行われ、より庫内温度の均一化に役立ち、また、光の反射板としての効果も得られることは明白である。
前記構成の冷蔵庫1において、冷凍室13の庫内温度が上昇し、前記冷凍室13に設けられた温度検知手段(不図示)で検出された温度が所定の温度(例えば−18℃)を越えたとき、圧縮機20および送風機22が制御装置1bにて駆動されると、冷凍室13内の空気は戻り口13bから冷気通路23に導かれる。該空気は冷却器21と熱交換して冷却され、吐出口13aから冷凍室13に流入する。これにより冷凍室13内が所定の温度に冷却される。
また、冷蔵室11の庫内温度が上昇し、冷蔵室11の背面に設けられた前記温度検知手段75で検出された温度が所定の温度(例えば5℃)を越えたとき、圧縮機20および送風機26、29が制御装置1bにて駆動されると、野菜室12内の空気は戻り口12bから冷気通路27に導かれる。
該空気は冷却器25と熱交換して冷却され冷気が生成される。該冷気の一部は開口部35a、36aから氷温室14に流入する。これにより氷温室14内が例えば−1℃に冷却される。
他の冷気は中央通路28a及び側方通路28bに分岐して進行する。側方通路28bを通る冷気はリブ70dに案内されて吐出部70bから冷蔵室11内に吐出される。中央通路28aを通る冷気は、開口部41aから中央通路28aに導かれる冷蔵室11内の空気と混流される。そして、天井ダクト54を通り、天井吐出口43aから吐出される。
また、中央通路28a内を流通する冷気による冷熱の一部は部材42に伝えられ、側方通路28bの前面を含む全面から冷蔵室11に冷熱として放出される。従って、部材42からの冷熱と、吐出部70b及び天井吐出口43aから分散して吐出される冷気とにより、冷蔵室11内が効率良く均一に冷却される。
冷蔵室11内の空気は棚45の間や棚45の前面を通り氷温室14の下方から開口部32aを介して冷気通路30を流通し、野菜室12内の前方に流入する。更に収納容器54の前面から下方を通り、野菜室12内が冷却される。そして、戻り口12bから冷却器25の下部に導かれて冷気が循環する。
そして、前記温度検知手段75の検出結果に基づいて圧縮機20及び送風機26が運転及び停止するよう制御装置1bで制御され、冷蔵室11及び野菜室12の温度は例えば3℃前後の温度に維持されるようになっている。
また、前記温度検知手段75で検出された温度が所定の温度(例えば5℃)を越えたとき、前記圧縮機20及び送風機26、29が運転され、冷却器25にて冷却された冷気により、冷蔵室11及び野菜室12が冷却され、温度検知手段75で所定の検出温度(例えば1℃)になったとき、前記圧縮機20及び送風機26、29が停止される。
その後、温度検知手段75で所定の検出温度(例えば3℃)になったとき、冷却器25による冷却を停止したままで送風機26、29の一方または両方を運転するように制御装置1bで制御すると、部材42に蓄積された冷熱により中央通路28aを通る冷気が冷却され、該冷気によって冷蔵室11内の冷却が行われるため、長時間冷蔵室11を低温に保て、圧縮機20のON−OFFのサイクル数が削減され、圧縮機20の起動時の多量な消費電力が削減でき、エネルギーの省力化につながる。
さらには、前記送風機29の運転により、冷蔵室11内の空気は撹拌され、貯蔵物への冷気送風が増し冷却効率も良好になり、また、庫内の冷気温度はさらに均一になる。なお、圧縮機20を停止して送風機26を運転する場合は、さらに冷却器25の除霜をして冷蔵室11内の加湿を行うこともできる。
なお、本実施形態によると、前記冷媒流の切換手段(不図示)により冷却器21のみの冷却にて前記冷凍室13のみを冷却することが可能であり、冷蔵室11を冷却する場合は、前記切換手段にて冷却器25、21の冷却にて、冷蔵室11、野菜室12、冷凍室13を冷却するようになっている。
また、本実施形態によると、中央通路28aを通る冷気の冷熱の一部は熱伝導板として機能する部材42を熱伝導し、全面から冷蔵室11内に放出される。従って、冷蔵室11は中央通路28aと側方通路28bを覆う広い面積から一様に放出される冷熱により均一に冷却される。そして、前記部材42内に前記温度検知手段75が位置しないため、温度検知手段75は前記冷熱による影響をうけにくく、より正確な冷蔵室11の庫内温度を検出する。
この時、断熱部材28cにより、側方通路28bを通る冷気から部材42に多くの冷熱は伝達されない。このため、冷気通路27に多くの冷気を流した際に部材42や吐出部70bの結露を防止し、冷蔵室11内の乾燥を防止することができる。そして、断熱部材28cを設置する面積を可変することにより、所望の温度や流量の冷気を流通させることができる。
また、冷気通路28を通る冷気の温度を低くするか冷気の流量を増やして冷却能力を上げることにより、中央通路28a付近の部材42の冷蔵室11側に結露が生じる恐れのある場合や、部材42の冷気による冷却を和らげるために、薄い断熱部材を中央通路28aの部材42側に設けてもよい。
また、吐出部70b及び天井吐出口43aは冷蔵室11の背面及び上面に複数設けられるため、冷気が分散して冷蔵室11に流入する。このため、冷蔵室11は均一且つ迅速に冷却される。
吐出部70bは、部材42を開口して形成してもよいが、本実施形態のように部材42の外側周辺に設ける方が望ましい。即ち、正面側に開口しないため、第1に、冷気通路28が覆われて美観が向上する。第2に、前面へ直接冷気が吐出されないので、側方通路28b内の騒音や開口部70aでの吐出風の音が正面へ直接出ず、それらの騒音の低減がなされる。
第3に、部材42に冷気吐出や温度検出等のための開口部がないため部材42の全面が均一な冷熱の放出に寄与して更に庫内温度が均一となるとともに、照明灯51等の光反射面としてもムラなく広範囲に利用できる。等の効果を得ることができる。
また、中央通路28aに面した部材42は冷気による冷熱が直接伝えられるが、側方通路28bに面した部材42は中央通路28a部分から冷熱が伝えられる。このため、放出される冷熱は側方通路28b部分で若干減少し、冷蔵室11内の温度ばらつきが生じる。
そして、吐出部70bを例えば中央通路28a上に配するとこの温度ばらつきがより大きくなるが、本実施形態では吐出部70bを中央通路28aの側壁を成すリブ28dと冷蔵室11の側壁との間の略中央に配している。これにより、側方通路28b部分の前方や冷蔵室11の側壁付近を含めた領域を前記吐出部70bからの冷気で冷却するので、前記温度ばらつきが低減されてより均一な冷熱放出による冷却を行うことができる。さらに、部材42も吐出部70bの配置を考慮した上で最大限の広さが採れ、双方の吐出部70bの冷気吐出しと部材42の冷熱放出とで冷蔵室11内をより均一に冷却できる。
また、部材42は図6に示すようなゼリー状や液状の保冷材42aを包装材42b、42cにより封入した蓄冷部材にしてもよい。このようにすると、部材42は冷気通路28内を流通する冷気の冷熱でより蓄冷され、冷蔵室11内の温度分布に応じて冷熱として放出する。従って、冷蔵室11が均一に冷却される。
さらに、蓄冷部材により圧縮機20の停止中や冷気通路28内の冷気温度の変動に対して吸熱や放熱を行い、冷気通路28内の冷気温度を維持することができるようになる。この時、蓄冷部材が冷蔵室11の内壁を形成しているので冷蔵室11のスペースを広くすることができ、冷蔵庫1の省スペース化を図ることができる。包装材42b、42cを熱伝導性を有するアルミニウム合金やステンレスにするとより望ましい。
また、冷却器25により低温に生成された冷気は、冷蔵室11内の空気と混合することにより若干昇温される。これにより、部材42や天井吐出口43a付近に生じる結露や氷結をより防止することができ、冷蔵室11及び野菜室12の乾燥を防止することができる。
さらに、冷蔵室11及び野菜室12を冷却する冷却器25と冷凍室13を冷却する冷却器21を設けることにより、冷気通路27、28を流通する冷気の温度を冷気通路23内の冷気の温度より高く設定することができる。これにより、部材42に生じる結露や氷結をより防止することができる。
また、部材42は冷蔵室11の背面に立設されて上下方向に延在している。このため、断熱扉3の開閉回数が多く冷蔵室11内の温度や湿度が非常に上昇した際に、部材42に結露して水滴が生じても貯蔵物上に直接滴下することがない。従って、貯蔵物を傷めず、良好な保存状態を維持できる。
この時、冷却器25で冷却された冷気通路28内の冷気の送風を停止すると、部材42が冷蔵室11内の温度に近づくとともに温度上昇により冷蔵室11内が乾燥する。これにより、該水滴は部材42や背面板35を流下する間に一部が蒸発する。従って、再び冷蔵室11内の湿度を上昇させることができる。さらに、部材42の前方に空気流通可能な多孔性(例えば、小判穴、丸穴等)のフェンス状の防護壁を設けると、部材42をさらに薄くできるので、冷熱の放出効果が向上し、キズ付防止や破損防止にもなる。
次に、図9は第2実施形態の冷蔵庫を示す側面断面図である。説明の便宜上図1〜図4の第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付している。冷蔵庫1は外部を覆う外箱2aの内側に内箱2bが配され、外箱2aと内箱2bとの隙間には発泡ウレタン等の断熱材2cが充填されている。
そして、1aは前記冷蔵庫1の運転を制御する制御装置1bを含む電装ボックスであり、前記制御装置1bは冷蔵庫1の後述する各々の電気部品と電気的に接続されている。また、冷蔵庫1の内部は上から冷蔵室11、野菜室12、冷凍室13の順に区分けされている。
野菜室12と冷凍室13は断熱部材から成る仕切枠17及び断熱部材から成る仕切板19に仕切られており、冷凍室13はさらに断熱部材から成る仕切枠18により上部と下部に仕切られている。冷蔵室11と野菜室12は断熱部材から成る仕切枠16及び樹脂成形品から成る仕切板31、32によって仕切られている。仕切板32には貫通口32aが設けられている。
冷蔵室11の下部には仕切板46で仕切られる隔離室である氷温室14が設けられている。冷蔵室11には複数の棚45が設けられている。冷蔵室11の前面は回動式の断熱扉3により開閉可能になっている。野菜室12、冷凍室13の上部及び冷凍室13の下部は前面が夫々スライド式の断熱扉4、5、6により開閉可能になっており、収納容器54、55、56を引出せるようになっている。
冷凍室13の後部には圧縮機20が配されている。圧縮機20には吐出パイプ20aを介して凝縮器(不図示)が連結されており、吸込パイプ20bを介して冷却器21が連結されている。凝縮器と冷却器21はキャピラリーチューブ(不図示)を介して連結されている。
これにより冷凍サイクルが構成され、冷凍サイクル運転が行われると冷却器21が冷却されるようになっている。冷却器21の下方には冷却器21の除霜を行う除霜ヒータ62が設けられている。64はドレン受け部材である。
冷却器21は冷気通路23内に配されており、冷気通路23の下部は内箱2bと樹脂成形品から成るエバカバー33とにより形成されている。冷気通路23内の冷却器21の上方には送風機22が配されている。冷気通路23は背面板33aに設けられた吐出口13a、13cおよび戻り口カバー33bに設けられた戻り口13bにより冷凍室13と連通している。
野菜室12の背面は前述の仕切板19に覆われており、冷気通路23の上部の圧力室23aはエバカバー33と仕切板19とにより形成されている。断熱部材から成る仕切板19により、冷却器21に近設される野菜室12の過冷却を防止している。
冷気通路23は送風機22の上方に配される冷気通路28とダンパー65を介して連通している。冷気通路28の下部は氷温室14の背面板35に固着される断熱部材36と内箱2bとにより形成されている。図10に示すように、背面板35と断熱部材36には同じ位置に開口部35a、36aが設けられている。開口部35a、36aにより氷温室14は冷気通路28と連通している。
冷気通路28は略中央に配される中央通路28aと、中央通路28aの両側部に設けられる側方通路28bとにリブ28dにより分岐されている。リブ28dは後述する背面板70と一体に形成されている。
冷気通路28の上部は冷蔵室11の内壁を形成する部材42と内箱2b上に設けられた背面板70とにより形成されている。部材42は第1実施形態と同様に、アルミニウム合金やステンレス等の熱伝導性を有する熱伝導部材から形成されている。
冷蔵室11は前述の図4と同様に、側方通路28bを覆う部材42の内面には、側方通路28bを通る冷気の冷熱の多くを部材42に伝達させないように断熱部材28cが配されている。側方通路28bの側壁は背面板70により形成されており、側壁には複数の開口部70aが設けられている。
背面板70には部材42の外側周辺を覆う壁面部70cが形成されている。壁面部70cには開口部70aと連通する複数の吐出部70bが凹設されている。従って、吐出部70b及び開口部70aにより、側方通路28bは冷蔵室11と連通し、冷気を冷蔵室11に吐出できるようになっている。
壁面部70cは載置部74に載置される棚45と同じ高さ付近に形成され、棚45に載置される食品等が吐出部70bに落下しないようになっている。また、背面板70には冷気を吐出部70bに導くリブ70dが形成されている。そして、開口部70aは貯蔵物が側方通路28bに落込まないようにスリット状になっている。なお、図10においては棚45と仕切板46は、それらの後方をわかりやすくするため、2点鎖線で描いている。
そして、冷蔵室11は棚45にて複数に区画され、そのうちの上下方向で中央よりの区画内の吐出部70b上方に温度検知手段75は設けられている。なお、前記温度検知手段75は例えばサーミスターからなり、背面板70の壁面部70cやその付近の一部を冷蔵室11側に突出させ、その部をスリット状に開口させた開口部70eの裏側(内箱2b側)付近に温度検知手段75は取り付けられている。
冷蔵室11の天井部分には樹脂成形品から成る上面板43と内箱2bにより天井ダクト54が形成されている。天井ダクト54は左右に並設されており、中央通路28aと連通している。中央通路28aを通る冷気は背面板70に形成されるリブ70gにより左右に拡散されて天井ダクト54に導かれる。
そして、上面板43に設けられた天井吐出口43aにより左右に分散して冷気を吐出できるようになっている。左右の天井ダクト54の間には透明な照明カバー53で覆われる照明灯51が設けられている。
前記構成の冷蔵庫1において、冷凍室13の庫内温度が上昇し、前記冷凍室13に設けられた温度検知手段(不図示)で検出された温度が所定の温度(例えば−18℃)を越えたとき、圧縮機20および送風機22が制御装置1bにて駆動されると、冷凍室13内の空気は戻り口13bから冷気通路23に導かれる。該空気は冷却器21と熱交換して冷却され、吐出口13a、13cから冷凍室13に流入する。これにより冷凍室13内が所定の温度に冷却される。
また、冷蔵室11の庫内温度が上昇し、冷蔵室11の背面に設けられた前記温度検知手段75で検出された温度が所定の温度(例えば5℃)を越えたとき、制御装置1bにて圧縮機20および送風機22が駆動されダンパー65を開くことにより、冷却器21と熱交換した冷気はダンパー65を介して冷却通路28内を流通するようになり、該冷気の一部は開口部35a、36aから氷温室14に流入する。これにより氷温室14内が例えば−1℃に冷却される。
他の冷気は中央通路28a及び側方通路28bに分岐して進行する。側方通路28bを通る冷気はリブ70dに案内されて吐出部70bから冷蔵室内に吐出される。中央通路28aを通る冷気は、天井ダクト54を通り、天井吐出口43aから吐出される。
また、中央通路28a内を流通する冷気による冷熱の一部は部材42に伝えられ、側方通路28bの前面を含む全面から冷蔵室11に冷熱として放出される。従って、部材42からの冷熱と、吐出部70b及び天井吐出口43aから分散して吐出される冷気とにより冷蔵室11内が効率良く均一に冷却される。
冷蔵室11内の空気は棚45の間や棚45の前面を通り氷温室14の下方から開口部32aを介して冷気通路30を流通し、野菜室12内の前方に流入する。更に収納容器54の前面から下方を通り、野菜室12内が冷却される。そして、流出口(不図示)からダクト(不図示)を通り冷却器21の下部に導かれて冷気が循環する。図2と同様の温度検知手段75で検出された(冷蔵室11の)温度に応じてダンパー65が開閉し、冷蔵室11及び野菜室12の温度を例えば3℃に維持するようになっている。
本実施形態によると、第1実施形態と同様に、部材42は中央通路28aを通る冷気の冷熱の一部を熱伝導させて冷蔵室11内に放出する熱伝導板として機能している。従って、冷蔵室11は広い面積から一様に放出される冷熱により均一に冷却される。
この時、断熱部材28cにより側方通路28bを通る冷気から部材42に冷熱の多くは伝達されない。このため、冷気通路27に多くの冷気を流しても部材42や吐出部70bに結露が生じることがない。断熱部材28cを設置する面積を可変することにより、所望の温度や流量の冷気を流通させることができる。
また、吐出部70bを部材42の外側周辺に設けることにより、美観の向上、騒音を防止、全面から均一な冷熱の放出、及び光反射面として広範囲の利用を図ることができる。そして、吐出部70bを中央通路28aの側壁を成すリブ28dと冷蔵室11の側壁との間の略中央に配しているので、温度ばらつきが低減され、より均一な冷却を行うことができる。部材42は前記と同様に図6に示すような蓄冷部材にしてもよい。
本実施形態の中央通路28aに前述の図3に示す送風機29を設けると、冷蔵室11内の冷気と中央通路28aを通る冷気とが混合され、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
そして、温度検知手段75および遮蔽リブ70fを部材42周辺の吐出部70b上方に設けてあるため、冷気吐出や温度検出等のための開口部もなく、広い領域に前記部材42を設けることができ部材42全面が均一な冷熱の放出に役立ち、庫内温度が均一となるとともに、光反射面としてもむらなく広範囲に利用でき、さらに、温度検知手段75に関しては、前記部材42の冷熱や庫内に吐出された冷気の影響もうけにくく、正確な庫内温度の検出ができ、庫内をより適正な温度に保てる冷蔵庫が得られる。
また、前記温度検知手段75は左右方向を長手方向としたため、温度検知手段75の上下方向の領域が少なくてすみ、吐出口の位置する領域を広くとれ、条件にあわせて開口部70aや吐出部70bが設けられ、さらに庫内温度の均一化がはかれ、前記吐出部70bの前記開口部70aに通じる上側壁面部を、吐出部70b側へ行くほど下方になるように若干傾斜させて形成しておくと、吐出される冷気が下方へ流出するようになり、さらに、上方に設けられた温度検知手段75への前記冷気の影響はなくなり、さらに適正な温度に庫内を保つことができる。
また、第1、第2実施形態は、冷気通路28を中央通路28aと2つの側方通路28bとの3分割に分岐した実施例であるが、冷気通路28を4個以上の分岐通路に分岐して冷気供給量に合わせて適所に断熱材を設けた場合であっても同様の効果を得ることができる。例えば、冷気通路28を5分割とし、中央部以外に断熱部材を上記と同様に設ける。そして、左右の各2通路の内、中央側の通路を通って上昇する冷気を外側の通路を通って下降させて冷蔵室11内に吐出するようにしてもよい。
また、前記氷温室14は冷気量の調整にて他の温度帯の隔離室(例えば:パーシャル室=−3℃、野菜室=3℃)となるようにしてもよい。
なお、本発明において、冷気通路を通る冷気による冷熱の一部が部材を介して貯蔵室内に放出されるとは、冷気通路を通る冷気の一部が部材から吸熱して該部材を冷却し、部材が貯蔵室内から吸熱して貯蔵室内を冷却することを意味する。
また、前記で左右方向とは、冷蔵庫を正面から見て左右の方向を意味し、前後方向とは、冷蔵庫を正面から見て前後の方向を意味する。