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JP4031371B2 - 高耐圧半導体素子 - Google Patents

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JP4031371B2
JP4031371B2 JP2003002319A JP2003002319A JP4031371B2 JP 4031371 B2 JP4031371 B2 JP 4031371B2 JP 2003002319 A JP2003002319 A JP 2003002319A JP 2003002319 A JP2003002319 A JP 2003002319A JP 4031371 B2 JP4031371 B2 JP 4031371B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高耐圧ダイオードなどの高耐圧半導体素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
図9は、従来の高耐圧素子の1つである高耐圧ダイオード(第1の従来の高耐圧ダイオード)の要部断面構造、ならびに同素子内の不純物濃度分布およびオン状態のキャリア濃度分布を示している。
【0003】
- 型シリコンからなる高抵抗のN- 型ベース層1の一方の面にはP+ 型アノード層2を介してアノード電極4が形成され、他方の面にはN+ 型カソード層3を介してカソード電極5が形成されている。
【0004】
阻止電圧4500V級の高耐圧ダイオードの場合、各部の不純物濃度および寸法は、N 型ベース層1は不純物濃度1.0×1013〜1.8×1013/cm3、厚み450〜900μm、P+ 型アノード層2およびN+ 型カソード層3は表面濃度1×1019/cm3 、厚み14〜70μmに設定される。
【0005】
このような高耐圧ダイオードにおいては、100A/cm2 程度の電流でオン電圧約2.6Vが得られる。高耐圧特性は接合終端部をベベル構造とすることで達成されている。
【0006】
この種の構造の高耐圧ダイオードでは、高注入状態においてN 型ベース層1内には多量のキャリアが蓄積している。そのキャリア分布は図9に示す通りである。特に電子注入および正孔注入があるN+ 型カソード層3およびP+ 型アノード層2の近傍で高いキャリア濃度を示す。
【0007】
このように多量のキャリアが蓄積している結果、逆バイアスを印加したオフ時には大きい逆回復電流が流れる。例えば、上述した素子パラメータの場合、逆方向印加電圧1000V、電流変化率di/dt=−200A/μs・cm2 でオフした時に、100A/cm2 程度の大きな逆回復電流が流れる。したがって、この逆回復電流により大きい電力を消費し、発熱を生じる。これは、高速スイッチングを妨げる原因となる。
【0008】
高耐圧ダイオードの逆回復特性を改善する方法として、P+ 型アノード層2の表面不純物濃度を下げ、その厚みを薄くすることが有効である(例えば、非特許文献1参照。)。
【0009】
これは、P+ 型アノード層2側の正孔注入効率を下げることによって、逆回復時の初期に空乏層が広がる接合付近のキャリアをオン状態で少なくしておくことができるためといわれる。
【0010】
しかしながら、P+ 型アノード層2の表面濃度を下げることは、アノード電極4とのオーミックコンタクトを十分に低くすることを困難にし、オン特性を悪化させることになる。電力用として必要な良好なオーミックコンタクトをとるためには、P+ 型アノード層2の表面濃度を1×1019/cm3 程度にすることが必要である。
【0011】
また、P+ 型アノード層2の濃度を低くしてしかも厚みを薄くすると、逆バイアス印加時にP+ 型アノード層2内に伸びる空乏層がアノード電極4にまで達する状態になり、十分な高耐圧特性が得られなくなる。
【0012】
このような第1の従来の高耐圧ダイオードの持つ問題を解決するために、他の高耐圧ダイオード(第2の従来の高耐圧ダイオード)が提案された。図10(a)(b)は、第2の従来の高耐圧ダイオードのアノード側平面図とそのA−A´断面図である。
【0013】
高抵抗のN 型ベース層1の一方の面には選択的に高濃度のP型のアノード層(エミッタ層)が拡散形成されている。アノード層は、N 型ベース層1に拡散形成されたP+ 型アノード層(P+ エミッタ層)本体であるP+ 型層21 と、その表面部に拡散形成されたより高濃度のP++型層22 により構成されている。
【0014】
また、P++型層22 の中には、図10(a)に示すように。ストライプパターンを持った複数本の高濃度のN++型層6が拡散形成されている。そして、P++型層22およびN++型層6に同時にコンタクトするようにアノード電極4が形成されている。
【0015】
++型層22は、アノード電極4がアノード層に対して低抵抗のオーミックコンタクトを取るためのコンタクト層である。また、N++型層6は、アノード層2からN 型ベース層1への正孔注入の面積を減少させ、電子を排出するための電流ブロッキング層である。したがって、P++型層22とN++型層6は、低抵抗接触と正孔注入量の兼ね合いで所定の面積比をもって互いに分散した状態で形成される。
【0016】
一方、N 型ベース層1の他方の面には、高濃度のN+ 型カソード層3が全面に形成され、これにカソード電極5が形成されている。N- 型ベース層1のアノード側に露出する面は、酸化膜7で覆われている。
【0017】
より具体的な各部の不純物濃度および形状の例を説明する。
図11は、この第2の従来例のダイオードのアノード側のP++型層22 とこれに隣接するN++型層6からなる基本構成部分の断面と、そのA−A´断面、B−B´断面の不純物濃度分布を示している。
【0018】
型ベース層1は厚さ450μm、不純物濃度1×1013/cm3 であり、P+ 型層21 は拡散深さ1.5μm、表面濃度1×1017/cm3 であり、P++型層22 は拡散深さ0.3μm、表面濃度1×1019/cm3 であり、N++型層6は拡散深さ0.4μm、表面濃度1×1020/cm3 であり、N+ 型カソード層3は拡散深さ15μm、表面濃度1×1019/cm3 である。
【0019】
+ 型層21 のN++型層6下の部分のシート抵抗ρは、
500Ω/□<ρ<20000Ω/□
の範囲に設定することが望ましい。
【0020】
交互にストライプ状に配列されるN++型層6の幅d1 と、P++型層22 の幅d2 とは、d1 ≦d2 に設定されるが、この従来例ではd1 =d2 である。また、逆回復時の電流集中を考慮して、d1 <15μmに設定することが望ましい。これにより、破壊耐量の向上が図られる。
【0021】
図11には、以上のような不純物濃度分布および形状寸法に設定した高耐圧ダイオードのオン状態(高注入状態)でのN 型ベース層1内でのキャリア濃度分布が、第1の従来の高耐圧ダイオードのそれ(破線)と共に示されている。
【0022】
この第2の従来の高耐圧ダイオードによれば、アノード層が、従来に比べると低濃度のP+ 型層21 を主体とし、かつアノード層からの正孔注入を抑制するブロッキング層としてN++型層6を設けたことによって、図11に示すように高注入状態においては、N 型ベース層1内でのキャリア濃度分布が、カソード側で1×1017/cm3 であるのに対して、アノード側ではこれより一桁以上少ない1×1015/cm3 程度になる。このようにN 型ベース層1内でのアノード側でのキャリア濃度が少なくなる結果、逆回復特性が改善される。
【0023】
図12は、この第2の従来の高耐圧ダイオードの逆回復特性を第1の従来の高耐圧ダイオードと比較して示している。これは電流密度100A/cm2 (オン電圧2.6V)で、印加電圧1000V、di/dt=−200A/μs・cm2 での波形である。図12から、第2の従来の高耐圧ダイオードによれば、逆回復電流を小さく保つことができ、逆回復特性を改善できることが分かる。
【0024】
ところで、アノード層内に注入ブロッキング層としてN++型層6を形成したことにより、逆回復時に寄生トランジスタ効果が生じる可能性がある。これは、図13に示すように、逆回復電流がアノード層のP+ 型層21 内を横方向に流れて、P+ 型層21 とN++型層6とから成る接合がビルトイン電圧(0.5V)以上の順方向バイアスとなることにより発生する。したがって、これを抑制することが必要である。
【0025】
++型層6直下のP+ 型層21 中の横方向電圧降下VR の値は、N++型層6直下のP+ 型層21 のシート抵抗ρp+と、そこを流れる電流密度iと、N++型層6の幅d1 を用いて、
VR =ρp+(i/2)(d1 2 /4)
と表すことができる。この電圧VR がビルトイン電圧(0.5V)よりも小さければ、N++++ の寄生トランジスタが動作することはなく、スイッチング損失が低減される。
【0026】
寄生トランジスタの動作を防止するための条件を、N++型層6およびP++型層22 の分散配置のあらゆる場合を想定してより一般化して説明すれば、次のようになる。
【0027】
素子に流れる電流の密度をi〔A/cm2 〕、N++型層6直下のP+ 型層21 のシート抵抗ρp+(Ω/□)、N++型層6の領域の点の集合をA(a)、N++型層6の領域とP++型層22 の領域との境界上の点の集合をB(b)とする。
【0028】
このとき、任意の点aからbまでの距離をdabとして、
D=max.(min dab)
を満たす距離D[cm]、およびN++型層6とP+ 型層21 と間の接合電圧Vj[V]としたとき、
Vj>ρp+(i/2)D2
を満たせばよい。
【0029】
図14は、以上の寄生トランジスタが動作する条件をシート抵抗ρp+とN++型層6の幅d1 との関係で示したものである。アノード層のP+ 型層21 のシート抵抗が20000Ω/□の場合で、電流密度(電流集中がある場合にはその最大電流値と同じ)が100A/cm2 であるとき、d1 =15μmで、Vj=0.5Vとなる。
【0030】
このことから、d1 <15μmとすることが寄生トランジスタ効果を抑制するために必要である。電流密度が200A/cm2 のときは、d1 <7.5μm、さらに電流密度が500A/cm2 のときは、d1 <3μmとする。
【0031】
また、素子面積が小さく、電流集中が少ないときは、d1 を比較的大きく選ぶことができる。一方、素子面積が大きく、電流集中がある場合には、d1 は小さく、例えば、3μm以下に選ぶことが望ましい。
【0032】
このように改善された第2の従来の高耐圧ダイオードにおいては、寄生トランジスタ効果を抑制するために、d1 を3μm以下と非常に小さな値に設定せざるを得なかった。
【0033】
そのため、キャリアの蓄積量はP++型層22 の直下においても、N++型層6の直下よりわずかに多い程度にとどまり、電流密度が高くなると大きなオン電圧が発生するという問題があった。
【0034】
したがって、第2の従来の高耐圧ダイオードでは、オン特性の改善(例えば、オン電圧の低減)と逆回復特性の改善(例えば、逆回復電流の低減)の両立が困難であった。
【0035】
また、図12に示したように、第1の従来の高耐圧ダイオードと同じオン電圧に設定しようとすると、キャリアライフタイムを大きくせざるを得ないので、逆回復の際に逆回復電流は小さいもの、テイル電流が長い間流れて大きな電力損失を発生する問題があった。
【0036】
図15は、第1の従来の高耐圧ダイオードを改良した第3の従来の高耐圧ダイオードの基本構成部分の断面と、そのA−A´断面、B−B´断面の不純物濃度分布を示している。
【0037】
この第3の従来の高耐圧ダイオードでは、第2の従来の高耐圧ダイオードでN++型層6を形成した部分に、表面不純物濃度を下げ、その厚みを薄くしたP 型アノード層23 が拡散形成されている。
【0038】
具体的には、P+ 型アノード層21 は拡散深さ5μm、表面濃度4×1018/cm3 であり、P 型アノード層23 は拡散深さ1μm、表面濃度5×1015/cm3 である。また、P 型アノード層23 のシート抵抗ρは、
500Ω/□<ρ<20000Ω/□
の範囲に設定することが望ましい。
【0039】
交互にストライプ状に配列されるP 型アノード層23 の幅d1 と、P+ 型アノード層21 の幅d2 とはd1 ≦d2 に設定されるが、具体的にこの第3の従来の高耐圧ダイオードではd1 =d2 である。
【0040】
図15には、以上のような不純物濃度分布および形状寸法に設定した高耐圧ダイオードのオン状態(高注入状態)でのA−A´断面、B−B´断面に沿ったN- 型ベース層1内でのキャリア濃度分布も示されている。この第3の従来の高耐圧ダイオードにおいても、アノード側でのキャリア濃度が少なくなっているので、逆回復特性が改善される。
【0041】
ところで、P 型アノード層23 の幅d1 を大きくすると、第1の従来の高耐圧ダイオードで、P 型アノード層2の表面濃度を下げた場合と同様に、P 型アノード層23 内部に空乏層が大きく広がり、逆バイアス印加時にリーク電流が大きくなる。
【0042】
図16は、逆方向印加電圧とリーク電流電流との関係をd1 をパラメータとして示したものである。d1 が小さな場合には、P+ 型アノード層21 から広がる空乏層によりP 型アノード層23 がシールドされるので、リーク電流は小さくなる。しかし、d1 =3μmになるとシールド効果が薄れリーク電流が増大してしまう。
【0043】
このように第3の従来の高耐圧ダイオードにおいても、逆バイアス印加時のリーク電流を減らすために、d1 を3μm以下と非常に小さな値に設定せざるを得なかった。
【0044】
しかしながら、d1 を小さくすると、第1の従来例と同様なキャリアプロファイルとなり、逆回復特性が改善されないという問題が生じる。したがって、第3の従来の高耐圧ダイオードでも、オン特性の改善と逆回復特性の改善の両立が困難であった。
【0045】
図17は、第1の従来の高耐圧ダイオードを改良した第4の従来の高耐圧ダイオードの基本構成部分の断面と、そのA−A´,B−B´断面の不純物濃度分布とオン状態でのキャリア濃度分布を示している。
【0046】
この第4の従来の高耐圧ダイオードでは、第2の従来の高耐圧ダイオードでN++型層6を形成した部分に、拡散層を形成せずにショットキーコンタクト8を形成して電子電流だけが流れるようにしている。
【0047】
この第4の従来の高耐圧ダイオードにおいても、アノード側でのキャリア濃度が少なくなっているので逆回復特性が改善されるが、第3の従来の高耐圧ダイオードと同様に、d1 を大きくすると、逆バイアス印加時にリーク電流が増大するという問題がある。
【0048】
しかしながら、d1 を小さくすると、この場合も、第2の従来の高耐圧ダイオードの場合と同様に、A−A´断面のキャリア蓄積量はB−B´断面よりわずから多い程度にとどまるため、電流密度が高くなると、大きなオン電圧が発生するという問題が生じる。したがって、第4の従来の高耐圧ダイオードでも、オン特性の改善と逆回復特性の改善の両立が困難であった。
【0049】
また、これら第3、第4の従来の高耐圧ダイオードにおいても、第1の従来の高耐圧ダイオードと同じオン電圧に設定しようとすると、第2の従来の高耐圧ダイオードの場合と同様に、キャリアライフタイムを大きくせざるを得ないので、逆回復の際に逆回復電流は小さいもの、テイル電流が長い間流れて大きな電力損失を発生する問題が生じる。
【0050】
図68は、従来の他の高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図である。
【0051】
図中、41は高抵抗のN 型基板を示しており、N 型基板41の表面にはP型エミッタ層42が形成され、このP型エミッタ層42の表面にはアノード電極49が設けられたP+ 型コンタクト層45が形成されている。一方、N 型基板41の裏面にはカソード電極50が設けられたN+ 型エミッタ層43が形成されている。
【0052】
さらに、高耐圧特性を持たせるために、N 型基板41の表面にはP−−型リサーフ層46がP型エミッタ層42に接して形成されている。また、P−−型リサーフ層46の外側にはN+ 型ストッパー層47が設けられ、このN+ 型ストッパー層47にはストッパ電極51が設けられている。なお、図中、48は絶縁膜を示している。
【0053】
しかしながら、このような従来の高耐圧ダイオードには以下のような問題がある。すなわち、順方向通電状態において、急激に逆電圧を印加して阻止状態に回復させようとすると、空乏層が広がる際に最も高電界となるP型エミッタ層42の端部のD点付近に素子周辺部に存在していた残留キャリアが集中する。これにより、局所的にアバランシェ電流が流れて素子が破壊されるなどの問題がある。
【0054】
【非特許文献1】
M. Naito et al.,“High Current Characteristics of Asymmetrical P-i-N Diodes Having Low Forward Voltage Drops”, IEEE TRANSACTIONS OF ELECTRON DEVICES. VOL. 23, NO. 8 pp. 945-949, 1976.
【0055】
【発明が解決しようとする課題】
上述の如く従来の高耐圧ダイオードでは、高抵抗のN 型ベース層でのキャリア蓄積に起因してオフ時に大きな逆回復電流が流れ、逆回復特性が劣化するという問題があった。そこで、このような問題を解決するべく、種々の高耐圧ダイオードが提案され、それなりの効果も期待できたが、いずれの高耐圧ダイオードも逆回復特性およびオン特性の改善の両立は困難であるという問題があった。
【0056】
また、従来の高耐圧ダイオードは、逆回復時に素子周辺部に存在していた残留キャリアが、P型エミッタ層の端部付近に集中し、局所的にアバランシェ電流が流れて素子が破壊されるという問題があった。
【0057】
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、オフ時の素子周辺部の残留キャリアによる破壊を回避できる高耐圧半導体素子を提供することを目的とする。
【0058】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る高耐圧素子の第1は、
第1と第2の主面を有する第1導電型の第1の半導体層と、
前記第1の半導体層の前記第1の主面に選択的に形成された第2導電型の第2の半導体層と、
前記第1の半導体層の前記第1の主面に、前記第2の半導体層を取り囲むように、前記第2の半導体層と分離して形成された第2導電型の第3の半導体層と、
前記第1の半導体層の前記第2の主面に形成された第1導電型の第の半導体層と、
前記第2導電型の第2の半導体層上に選択的に設けられた第1の電極と、
前記第2導電型の第3の半導体層上に選択的に設けられた第2の電極と、
前記第1導電型の第の半導体層上に設けられた第の電極とを具備し、
前記第2の半導体層は不純物濃度が比較的低い第1の領域と、この第1の領域の内部表面に設けられ不純物濃度が比較的高い第2の領域とを含み、前記第1の電極は前記第領域上に設けられこれに接続されており、
前記第3の半導体層は不純物濃度が比較的低い第3の領域と、この第3の領域の内部表面に設けられ不純物濃度が比較的高い第4の領域とを含み、前記第2の電極は前記第4の領域上に設けられこれに接続されていることを特徴とする。
【0059】
また、本発明に係る高耐圧素子の第2は、
第1と第2の主面を有する第1導電型の第1の半導体層と、
前記第1の半導体層の前記第1の主面に選択的に形成された第2導電型の第2の半導体層と、
前記第1の半導体層の前記第1の主面に、前記第2の半導体層を取り囲むように、前記第2の半導体層と分離して形成された第2導電型の第3の半導体層と、
前記第1の半導体層の前記第2の主面に形成された第1導電型の第の半導体層と、
前記第2導電型の第2の半導体層上に設けられた第1の電極と、
前記第2導電型の第3の半導体層上に設けられた第2の電極と、
前記第1導電型の第の半導体層上に設けられた第3の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極を電気的に接続する部材と、
を具備ることを特徴とする。
【0060】
また、本発明に係る高耐圧素子の第3は、
第1と第2の主面を有する第1導電型の第1の半導体層と、
前記第1の半導体層の前記第1の主面に選択的に形成された第2導電型の第2の半導体層と、
前記第1の半導体層の前記第1の主面に、前記第2の半導体層を取り囲むように、前記第2の半導体層と分離して形成された第2導電型の第3の半導体層と、
前記第1の半導体層の前記第2の主面に形成された第1導電型の第の半導体層と、
前記第1の半導体層の前記第1の主面に、前記第2の半導体層と前記第3の半導体層の間を埋め込みこれらを接続するように形成され、前記第2の半導体層と前記第3の半導体層の不純物濃度よりも低い不純物濃度を有する第5の半導体層と、
前記第2導電型の第2の半導体層上に設けられた第1の電極と、
前記第2導電型の第3の半導体層上に設けられた第2の電極と、
前記第1導電型の第の半導体層上に設けられた第の電極とを具備することを特徴とする高耐圧半導体素子。
【0062】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら実施形態を説明する。
【0063】
(第1の参考例
図1は、第1の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す平面図および断面図である。図1(a)はアノード側の平面図、図1(b)はそのA−A´断面図である。また、図2は、同高耐圧ダイオードの要部断面構造とオン状態のキャリア濃度分布を示す図である。
【0064】
参考例の高耐圧ダイオードは、基本素子構造として、第2の従来の高耐圧ダイオードのそれを用いたものであり、図10、図11と対応する部分は同じ符号を付してあり、詳細な説明は省略する。
【0065】
参考例では、図1に示すように、図2(a)の基本構造を持つ高エミッタ注入効率の第1の注入領域9(第1のエミッタ注入領域)と、図2(b)の基本構造が繰り返された低エミッタ注入効率の第2の注入領域10(第2のエミッタ注入領域)とが交互に配置されている。
【0066】
第2の領域10の中では寄生トランジスタが動作しないように、N++層(電流ブロッキング層)6の幅d1 を例えば3μm以下に設定している。第2の領域10の幅W2 は、例えば、高注入状態でのN 型ベース層1内のキャリア拡散長Laが130μmならば、その3倍の390μmより小さく選ぶとオン電圧の増加を効果的に抑制することができる。
【0067】
参考例によれば、第1の領域9および第2の領域10の幅を相当な大きさに設定することができるため、第1の領域9と第2の領域10で蓄積されるキャリア濃度分布に図2(c)で示すような大きな差が生じる。
【0068】
すなわち、第1の領域9では、第1の従来の高耐圧ダイオード(図9)と同様に、N- 型ベース層1内に多量のキャリアが蓄積され、第2の領域10では、第2の従来の高耐圧ダイオード(図11)と同様に、N 型ベース層1内でのアノード側のキャリア濃度が少なくなる。その結果、電流密度が高くなっても、第1の領域9に蓄積されたキャリアにより十分に低いオン電圧が実現できる。
【0069】
図3は、本参考例の高耐圧ダイオードでの逆回復特性を第1の従来の高耐圧ダイオード(第1の従来例)および第2の従来の高耐圧ダイオード(第2の従来例)と比較して示している。
【0070】
図3から、本参考例によれば、第2の従来例よりも逆回復電流(アノード電流)がゼロになるまでの時間が短くなり、また、第1の従来例よりも逆回復電流のピーク値が小さくなることが分かる。これは、参考例のダイオードでは、逆回復時に第1の領域9と第2の領域10との間で電流の2次元的な再分布が起こるからである。
【0071】
また、キャリアライフタイムを小さくしてもオン電圧を低くできるので、逆回復の際にテイル電流が流れる時間を短くすることができ、電力損失を小さくすることができる。
【0072】
図4は、本参考例の高耐圧ダイオードの第2の領域10の幅W2 とN 型ベース層内のキャリア拡散長Laとオン電圧との関係を示す図である。図4に示すように、第2の領域の幅W2 が、高注入状態でのN 型ベース層1内のキャリア拡散長Laの3倍以内であれば、オン電圧の増加は見られない。したがって、オン電圧の増加を抑制するためには、W2 /La≦3に設定するのが望ましい。
【0073】
図5は、本参考例のダイオードの第2の領域10の中のアノード側パターンの例を示す図である。これらのパターンのいずれを選ぶ場合にも、第2の従来例の説明で述べたような条件を考慮して寄生トランジスタの発生を抑制することが重要である。
【0074】
図1では、ストライプ状の第1の領域9と第2の領域10とを交互に配置したが、領域の形状および配置パターンは種々変形することができる。図6では、第2の領域10の中に矩形状の第1の領域9を配置している。この他、これら領域の形は図5と同様にストライプ状でも矩形状でも水玉状でもかまわない。
【0075】
また、図1や図6では接合終端付近の電流密度を低減するために、ダイオード領域の端部には、エミッタ注入効率の低い第2の領域10を配置したが、この配置の仕方も種々変更することができる。領域の寸法、領域を配置する場合の間隔なども、素子特性の要請によって変更することができる。
【0076】
また、これらの例では、第1の領域9には、図2(a)で示すような均一なP+ 型アノード層2を形成したが、第1の領域9でも、図2(b)で示すような基本構造を用いて、第2の領域10よりも注入効率が高くなるように、d1 、d2 の寸法を設定すれば、同様の効果が得られる。
【0077】
その際に、接合終端部付近の電流密度を低減するために、ダイオード領域の端部に配置する第2の領域10の注入効率をダイオード領域の中央部に配置する第2の領域10のそれよりも低く設定すれば、ダイオードの逆回復時の破壊耐量を高くすることができる。
【0078】
その他にも、第2の領域10の基本構造を持ち、d1 2 の寸法を種々変えて3種類以上の注入効率を持つ領域を設定し、これらの領域をそれらの寸法、形状、配置パターンを種々変えて配置しても同様の効果が得られ、さらに微妙な最適化を図ることができる。
【0079】
(第2の参考例
図7は、第2の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図である。本参考例の高耐圧ダイオードが第1の参考例のそれと異なる点は、アノード側のみならず、カソード側にも第1の領域、第2の領域を設けたことにある。
【0080】
すなわち、カソード層は、電子の注入効率が高い第1の領域としてのN+ 型層31 およびこれより高濃度の領域N++型層32 と、N++型層32 と交互に形成され、電子の注入効率が低い第2の注入領域としてのP++型層(電流ブロッキング層)11とから構成されている。
【0081】
参考例によれば、高注入状態でのN 型ベース層1内のキャリア濃度がアノード側、カソード側共に従来より低くなるので、逆回復特性はより改善される。また、本参考例では、図7に示すように、接合終端領域のカソード側(図下側)表面には高エミッタ注入効率の第1の領域はなく、低エミッタ注入効率の第2の領域だけが配置されており、接合終端領域の電流密度を低下させ、ダイオードの逆回復時の破壊耐量を高めている。
【0082】
なお、本参考例では、アノード側の低エミッタ注入効率の第2の領域(正孔の注入効率が低い第2の領域)は、カソード側の高エミッタ注入効率の第2の領域(電子の注入効率が低い第2の領域)と対向するように形成されているが、この位置関係は種々変更することができる。また、一方の面では第2の領域のみを形成してもよいし、ダイオード領域端部に配置する第2の領域10の注入効率をダイオード流域の中央部に配置する第2の領域10のそれよりも低く設定して、ダイオードの逆回復時の破壊耐量を高くすることも可能である。
【0083】
(第3の参考例
図8は、第3の参考例に係る逆導通型IGBTの素子構造を断面図である。本参考例の逆導通型IGBTは、大きく分けて、IGBT領域と、逆導通ダイオード領域とに分かれている。
【0084】
まず、IGBT領域について説明する。N 型ベース層1の表面に選択的にP型層(Pベース層)12が形成され、その表面部にN++型層(ソース層)13が形成されている。
【0085】
このN++型層(ソース層)13とN 型ベース層1に挟まれた領域のP型層(Pベース層)12上にゲート絶縁膜14を介してゲート電極15が形成されている。N++型層(ソース層)13にかかるようにP型層(Pベース層)12の高濃度部分が拡散形成され、IGBTのラッチアップ動作を防止している。P型層(Pベース層)12表面にはP++型層22 が形成され、N++型層(ソース層)13とともにソース電極17にオーミック接続されている。
【0086】
一方、N 型ベース層1の裏面には、N型バッファ層22が形成され、その中に選択的にP+ 型層(ドレイン層)16が形成されている。N型バッファ層22はドレイン電極18にオーミック接続している。
【0087】
参考例では、P+ 型層(ドレイン層)16の内部に第1の参考例の高耐圧ダイオードのアノード側表面に形成したのと同様の構造を採用している。すなわち、P+ 型層(ドレイン層)16内部には、その表面部に ++型層(電流ブロッキング層)6により注入効率を下げた第2の領域10と注入効率の高い第1の領域9が形成されている。
【0088】
参考例では、オン状態で主な電流経路となるゲート電極15の下に注入効率の高い第1の領域9を配置し、それ以外の部分には注入効率の低い第2の領域10を配置することによって、余分なキャリア蓄積を避けている。
【0089】
次に逆導通ダイオード領域について以下に説明する。
型ベース層1の表面に選択的にP型層21 が形成され、その表面部には注入効率を制御するための第1の領域および第2の領域が配置され、そして、これら第1、第2の領域に逆導通ダイオードのアノード電極4がオーミック接続されている。
【0090】
また、N 型ベース層1の裏面に形成されたN型バッファ層22の表面にはP++型層(電流ブロッキング層)11によりエミッタ注入効率を下げた第2の領域とエミッタ注入効率の高い第1の領域とが形成されている。これら第1、第2の領域にはIGBTのドレイン電極18がオーミック接続している。このIGBTのドレイン電極18は逆導通ダイオードのカソード電極として働く。
【0091】
また、IGBT領域と逆導通ダイオード領域との間には、逆導通ダイオード領域の残留キャリアがIGBT領域に拡散しないように、キャリア拡散長に比べて十分に長い隔離領域が設けられている。
【0092】
これにより、逆導通ダイオード電流が流れた直後に、ソース電極17とドレイン電極18との間に印加される電圧の極性が反転しても、IGBTのソース電極17から排出されるリーク電流を十分に低くできる。
【0093】
隔離領域での耐圧低下を防止するために、P 型層(リサーフ層)20を形成して電界を緩和している。また、接合終端領域にも同じ理由でP- 型層(リサーフ)20を形成して高耐圧を実現している。なお、N++型層21は空乏層の伸びを止めるためのチャネルストッパ層である。
【0094】
参考例によれば、IGBT領域ではドレイン層からの正孔の注入が抑えられることにより、ドレイン電極18近傍のキャリア蓄積が低減されてターンオフ特性が改善される。
【0095】
また、逆導通ダイオード領域ではアノード側、カソード側の注入効率を第1の領域および第2の領域により自由に決められるので、ダイオード特性をIGBT特性とは独立して設定することができる。
【0096】
一般に、半導体素子のキャリアライフタイムを制御する電子線照射などの方法では、IGBT領域と逆導通ダイオード領域のキャリアライフタイムを別々に制御することは困難なので、注入効率をパターンで決められる本発明の方法は複合化素子のそれぞれの素子の特性を独立に最適化できるという意味で非常に有効な方法である。
【0097】
第1〜第3の参考例では、第2の領域を構成する基本構造として、図2(b)の構造を用いてきたが、これに代えて図15、図17の構造やそれらを変形した構造を用いても同様の効果が得られる。
【0098】
また、これらの参考例の構造に重金属拡散、電子線照射、プロトンやヘリウム照射などを組み合わせて素子内部のキャリアライフタイムを変化させて、さらに特性を向上させることも可能である。
【0099】
また、逆導通IGBTに適用した参考例で示したように、参考例のエミッタ構造(ダイオードのアノード構造)を種々の半導体素子のエミッタに適用すれば、ターンオフ損失(逆回復特性)とオン電圧のトレードオフを改善することができる。
【0100】
(第4の参考例
図18は、本発明の第4の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図である。なお、図68の高耐圧ダイオードと対応する部分には図68と同一符号を付してあり、詳細な説明は省略する。
【0101】
参考例の特徴は、P型エミッタ層42の端部(破線)よりも内側にN+ 型エミッタ層43の端部が形成されていることにある。また、N+ 型エミッタ層43の端部の外側に形成されているN型バッファ層44は、逆電圧印加時に空乏層がカソード電極50に達する(パンチスルー)のを防いでいる。
【0102】
このような素子構造であれば、電流密度が高い順方向通電時にはカソード側からの電子注入は主にN+ 型エミッタ層43からしかおこらないため、P型エミッタ層42の端部のD点付近のキャリア密度は低くなる。
【0103】
したがって、逆回復時にD点付近が最高電界点となっても、キャリア集中による局所的なアバランシェ電流で素子が破壊されるという問題は生じない。なお、N+ 型エミッタ層43の端部とP型エミッタ層42の端部とが一致していても良い。
【0104】
(第5の参考例
図19は、第5の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図である。本参考例の高耐圧ダイオードが第4の参考例のそれと異なる点は、P−−型リサーフ層46の代わりに、P型ガードリング層52を用いて、高耐圧特性を持たせていることにある。本参考例でも、P型エミッタ層42の端部のD点付近のキャリア密度が低くなるので、先の参考例と同様の効果が得られる。
【0105】
(第6の参考例
図20は、第6の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図である。本参考例の高耐圧ダイオードが第4の参考例のそれと異なる点は、N型バッファ層44がないことにある。パンチスルーの心配のない厚いN 型層(基板)41を用いれば、このような構造の高耐圧ダイオードを問題なく実現できる。
【0106】
(第7の参考例
図21は、第7の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図である。本参考例の高耐圧ダイオードが第6の参考例のそれと異なる点は、P−−型リサーフ層46の代わりに、P型ガードリング層52を用いて、高耐圧特性を持たせていることにある。この参考例でも、P型エミッタ層42の端部D点付近のキャリア密度が低くなるので、先の参考例と同様な効果が得られる。
【0107】
(第8の参考例
図22は、第8の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図である。本参考例の高耐圧ダイオードが第4の実施形態のそれと異なる点は、N型バッファ層44の代わりに、絶縁膜48を用いてパンチスルーを防いでいることである。本参考例でも、P型エミッタ層42の端部のD点付近のキャリア密度が低くなるので、先の参考例と同様な効果が得られる。
【0108】
(第9の参考例
図23は、第9の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図である。本参考例の高耐圧ダイオードが第5の参考例のそれと異なる点は、P−−型リサーフ層46の代わりに、P型ガードリング層52を用いて高耐圧特性を持たせている。本参考例でも、P型エミッタ層42の端部のD点付近のキャリア密度が低くなるので、先の参考例と同様な効果が得られる。
【0109】
(第10の参考例
図24は、第10の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図である。本参考例の特徴は、第1のP型エミッタ層42とP−−型リサーフ層46の間、つまり、第1のP 型エミッタ層42の周りに低濃度の第2のP 型エミッタ層53を設けたことにある。
【0110】
ここで、第2のP 型エミッタ層53は逆電圧印加時に完全空乏化しない範囲で濃度を低く抑えて注入効率を下げている。ここがP−−型リサーフ層46層とは根本的に違う。
【0111】
このような素子構造であれば、P 型エミッタ層53のキャリア注入が小さくなるため、順方向通電時にD点付近のキャリア密度が低くなっている。したがって、逆回復時にD点付近が最高電界点となっても、キャリア集中による局所的なアバランシェ電流で素子が破壊されるという問題は生じない。
【0112】
(第11の参考例
図25は、第11の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図である。本参考例の高耐圧ダイオードが第10の参考例のそれと異なる点は、P−−型リサーフ層46の代わりに、P型ガードリング層52を用いて、高耐圧特性を持たせていることにある。本参考例でも、P型エミッタ層42の端部のD点付近のキャリア密度が低くなるので、先の参考例と同様の効果が得られる。
【0113】
(第12の参考例
図26は、第12の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図である。本参考例の特徴は、P型エミッタ層42内の端部付近に電子排出用のN+ 層54が形成されていることにある。
【0114】
このよう素子構造であれば、順方向通電時にD点付近の電子がN+ 層54から素子外に排出されるため、この端部付近のキャリア密度が低くなる。したがって、逆回復時にD点付近が最高電界点となっても、キャリア集中による局所的なアバランシェ電流で素子が破壊されるという問題は生じない。
【0115】
(第13の参考例
図27は、第13の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図である。本参考例の高耐圧ダイオードが第12の参考例のそれと異なる点は、P−−型リサーフ層46の代わりに、P型ガードリング層52を用いて、高耐圧特性を持たせていることにある。本参考例でも、P型エミッタ層42の端部付近のD点付近のキャリア密度が低くなるので、先の参考例と同様の効果が得られる。
【0116】
(第14の参考例
図28は、第14の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図である。本参考例は第1の参考例と第10の参考例とを組み合わせ例である。すなわち、本参考例の高耐圧ダイオードは、図1の高耐圧ダイオードにおいて、P型エミッタ層21 の周りにそれに接するように低濃度の別のP型エミッタ層53を形成した構成になっている。
【0117】
ここで、第10の参考例と同様に、P 型エミッタ層53は逆電圧印加時に完全空乏化しない範囲で濃度を低く抑えて注入効率を下げている。本参考例によれば、第1の参考例の効果の他に、P 型エミッタ層53を設けたことにより破壊耐量が高くなるという効果が得られる。
【0118】
(第15の参考例
図29は、第15の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図である。本参考例は第1の参考例と第4の参考例とを組み合わせた例である。すなわち、本参考例の高耐圧ダイオードは、図1の高耐圧ダイオードにおいて、P型エミッタ層21 の端部よりも内側にN型エミッタ層3の端部が位置するようにしたものである。なお、上記2つの端部の位置が一致していても良い。
【0119】
参考例によれば、第1の参考例の効果に他に以下の効果が得られる。すなわち、P型エミッタ層21 の端部付近が最高電界点となっても、キャリア集中が起こらないので、破壊耐量が向上するという効果が得られる。
【0120】
(第16の参考例
図30は、第16の参考例に係わる高耐圧ダイオードの断面図である。この例では高耐圧特性を持たせるために、逆電圧印加時に完全空乏化するように設計された電界緩和用のP−−型リサーフ層46を設けている。この構造の特徴は、P型エミッタ層42とP−−型リサーフ層46の間に、低注入効率のP 型エミッタ層53を設け、かつアノード電極49をP型エミッタ層42のみにコンタクトさせて、P 型エミッタ層53にはコンタクトさせていないことである。
【0121】
この構造においては、P 型エミッタ層53の低濃度化によるキャリア注入の低下とともに、このP 型エミッタ層53の横方向抵抗57のためD点付近でのキャリア注入が制限されるという2重の効果によって、順方向通電時にD点付近のキャリア密度が低くなっている。このため逆回復時にD点が最高電界点となってもキャリアの集中が起こらず破壊に対して強い構造となる。
【0122】
以上のようにしてこの参考例によれば、良好な順方向特性を維持しながら、破壊耐量の向上が可能となる。
【0123】
図31は、本参考例の第1の変形例の高耐圧ダイオードの断面図である。この変形例では、P−−型リサーフ層46の代わりに電界緩和のためのP型ガードリング層52が設けられている以外は、上記参考例と同じである。
【0124】
図32は、本参考例の第2の変形例に係わる高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図である。この変形例ではP 型エミッタ層53がP型エミッタ層42を取り囲むように形成してある。この場合でも図30と同じ効果が得られる。
【0125】
図33は、本参考例の第3の変形例の高耐圧ダイオードの断面図である。この変形例では、P−−型リサーフ層46の代わりに電界緩和のためのP型ガードリング層52が設けられている以外は、上記第2の変形例と同じである。
【0126】
(第17の参考例
図34は、第17の参考例に係わる高耐圧ダイオードの断面図である。この例では高耐圧特性を持たせるために、電界緩和用のP−−型リサーフ層46を設けている。この構造の特徴は、P型エミッタ層42内の周辺部表面に注入効率調整用のN型層56を設け、かつアノード電極49をP型エミッタ層42のみにコンタクトさせていることである。
【0127】
この構造においては、注入効率調整用N型層56の拡散深さを調整することにより、N型層56直下のP型エミッタ層42の不純物量を調整できるため、キャリア注入効率の低下が可能となる。
【0128】
またこの場合も、上記効果に加えP型エミッタ層42の横方向抵抗57によりD点付近でのキャリア注入が制限されるという2重の効果により、順方向通電時にD点付近のキャリア密度が低くなっている。このため逆回復時にD点が最高電界点となってもキャリアの集中がおこらず破壊に対して強い構造となる。なお、このN型層56は複数個並べて配置されていても構わない。
【0129】
図35は、本参考例の変形例の高耐圧ダイオードの断面図である。この変形例では、P−−型リサーフ層46の代わりに電界緩和のためのP型ガードリング層52が設けられている以外は、上記参考例と同じである。
【0130】
(第18の参考例
図36は、第18の参考例に係わる高耐圧ダイオードの断面図である。この例では高耐圧特性を持たせるために、電界緩和用のP−−型リサーフ層46を設けている。この構造の特徴は、P型エミッタ層42内の周辺部表面をRIEなどのプロセスにより一定量除去し、かつアノード電極49をP型エミッタ層42のみにコンタクトさせていることである。
【0131】
この構造においては、表面除去部の深さを調整することにより、除去部直下のP型エミッタ層42の不純物量を調整できるため、キャリア注入効率の低下が可能となる。またこの場合も、上記効果に加えP型エミッタ層42の横方向抵抗57によりD点付近でのキャリア注入が制限されるという2重の効果により、順方向通電時にD点付近のキャリア密度が低くなっている。このため逆回復時にD点が最高電界点となってもキャリアの集中がおこらず破壊に対して強い構造となる。
【0132】
図37は、本参考例の変形例の高耐圧ダイオードの断面図である。この変形例では、P−−型リサーフ層46の代わりに電界緩和のためのP型ガードリング層52が設けられている以外は、上記参考例と同じである。
【0133】
第1の実施形態)
図38は、本発明の第1の実施形態に係わる高耐圧ダイオードの断面図である。この例では高耐圧特性を持たせるために、電界緩和用のP−−型リサーフ層46を設けている。この構造の特徴は、素子周辺部のP型エミッタ層421 を分離し、かつアノード電極49も分離してフィールドプレート電極58を設けたことである。この構造においては、分離したことにより素子周辺部のP型エミッタ層421 からはキャリア注入が起こらないため、順方向時にD点付近のキャリア密度が抑えられる。このため逆回復時にD点が最高電界点になってもキャリアの集中が起こらず破壊に対して強い構造となる。なお分離したことによってE点の電界は強くなるが、この分離距離が短ければ影響のない範囲に抑えることができる。
【0134】
図39は、本実施形態の変形例の高耐圧ダイオードの断面図である。この変形例では、P−−型リサーフ層46の代わりに電界緩和のためのP型ガードリング層52が設けられている以外は、上記実施形態と同じである。
【0135】
第2の実施形態)
図40は、本発明の第2の実施形態に係わる高耐圧ダイオードの断面図である。この例では高耐圧特性を持たせるために、電界緩和用のP−−型リサーフ層46を設けている。
この構造の特徴は、図38で分離したアノード電極49とフィールドプレート電極58を高抵抗膜(ポリシリコン膜等)59で接続したことである。この構造においては、高抵抗膜59によってフィールドプレート電極58の電位がアノード電極49と同電位に固定されるためE点での電界強度が低下する。また、高抵抗膜59があることによって素子周辺部のP型エミッタ層421 からはキャリア注入が起こらないため、順方向時にD点付近のキャリア密度が抑えられる。このため逆回復時にD点が最高電界点になってもキャリアの集中が起こらず破壊に対して強い構造となる。
【0136】
この構造の特徴は、図38で分離したアノード電極49とフィールドプレート電極58を高抵抗膜(ポリシリコン膜等)59で接続したことである。この構造においては、高抵抗膜59によってフィールドプレート電極58の電位がアノード電極49と同電位に固定されるためE点での電界強度が低下する。また、高抵抗膜59があることによって素子周辺部のP型エミッタ層421 からはキャリア注入が起こらないため、順方向時にD点付近のキャリア密度が抑えられる。このため逆回復時にD点が最高電界点になってもキャリアの集中が起こらず破壊に対して強い構造となる。
【0137】
図41は、本実施形態の変形例の高耐圧ダイオードの断面図である。この変形例では、P−−型リサーフ層46の代わりに電界緩和のためのP型ガードリング層52が設けられている以外は、上記実施形態と同じである。
【0138】
第19の参考例
図42は、第19の参考例に係わる高耐圧ダイオードの断面図である。この例では高耐圧特性を持たせるために、電界緩和用のP−−型リサーフ層46を設けている。
【0139】
この構造の特徴は、P型エミッタ層42の端部(波線で示す)よりも内側にN+ 型エミッタ層43の端部が形成されていることである。その外側に形成されているN型バッファ層44は逆電圧印加時に空乏層がカソード電極50に達する(パンチスルー)のを防いでいる。またN+ 型エミッタ層43はN型バッファ層43よりも深く形成されている。
【0140】
この構造においては、N+ 型エミッタ層43の端部がP型エミッタ層42の端部よりも内側に設定され、かつ深く形成されている。これにより、主電流がN型基板41を横切って流れる距離および電流広がりを小さくでき、点Dの直下付近のN 型基板41の厚みが大きく採れる。従って点D付近では、逆回復時に空乏層が大きく広がるので電界強度が低くなり、N型バッファ層44によるキャリア注入量の低減との二重の効果により、高い破壊耐量が実現される。
【0141】
図43は、本参考例の第1の変形例に係わる高耐圧ダイオードの断面図である。この変形例では、P−−型リサーフ層46の代わりに電界緩和のためのP型ガードリング層52が設けられている以外は、上記参考例と同じである。
【0142】
図44は、本参考例の第2の変形例に係わる高耐圧ダイオードの構成を示す断面図である。図42と基本的には変わらないが、この例ではN型バッファ層44が省略されている。パンチスルーの心配がない厚い基板であれば、この構造が可能である。
【0143】
図45は、本参考例の第3の変形例に係わる高耐圧ダイオードの右半分の断面図である。この変形例では、第2の変形例のP−−型リサーフ層46の代わりに電界緩和のためのP型ガードリング層52が設けられている以外は、第2の変形例と同じである。
【0144】
上記実施形態1,2、参考例1乃至19は、高耐圧ダイオードの素子構造を改良して逆回復時における破壊を防止するものであった。これから説明する実施形態或いは参考例は、素子内部の周辺で残留キャリアによる破壊が生じる前に、その破壊の前兆を検出できる端子を備えた高耐圧ダイオードに関するものである。本発明の骨子は、高耐圧ダイオードのP型エミッタ層周辺部の電位が電流集中により上昇するのを検出し、これをIGBTなどの主素子のゲート回路にフィードバックすることにより、逆回復の速さを制御し、破壊を防止することにある。このために、素子周辺部のP型エミッタ層上にアノード電極と分離した検出端子が具備される。
【0145】
第20の参考例
図46は、第20の参考例の高耐圧ダイオードの断面図である。この参考例では、高耐圧特性を持たせるために、逆電圧印加時に完全空乏化するように設計された電界緩和用P−−型リサーフ層46が設けられている。
【0146】
この構造における特徴は、P型エミッタ層42の端部にアノード電極49とは独立した検出電極60を設けていることである。この構造においては、逆回復時に電流集中が点D付近で起きると、集中した電流でP型エミッタ層42の横方向抵抗57とで発生する電圧降下を検出端子60で検出することができ、電流集中が起こったことがわかる。この信号を後述する使用法のように利用すれば、電流集中を回避しダイオードの破壊が防止できる。
【0147】
なお通常、静耐圧を向上するためにP−−型リサーフ層46上にある電極(フィールドプレート電極)にはアノード電位を与えるが、この参考例では検出電極60とアノード電極49の電位差が大きくは違わない場合を考えており、検出電極60の電位で代用している。
【0148】
図47は、本参考例のダイオードの使用例を示す回路図である。一般的には、本発明のダイオードはインバータに利用されるが、説明の簡略化のために図示したチョッパ回路で説明する。ダイオード71と負荷インダクタンス69に循環電流74が流れている状態で、主素子70をオンすることによってダイオード71の逆回復が始まる。
【0149】
このときダイオード71のP型エミッタ層42端部で電流集中が起こると、前述のメカニズムで検出端子の電位が上昇する。この電位を検出し、絶縁増幅器72を介して主素子70のゲート回路73にフィードバックして主素子のターンオンを止めてやれば電流集中によるダイオード71の破壊を防止することができる。
【0150】
さらに、電流集中が起きたときには、その程度(検出電極電位)に応じて主素子70のゲート電圧を連続的に変化させるようにシーケンスを組めば、逆回復の速さを制御し、装置の動作は止めずにすませることもできる。
【0151】
図48は、本参考例の変形例の高耐圧ダイオードの断面図である。この例では、電界緩和のためにP型ガードリング層52が設けられている以外は図46と同じである。
【0152】
第21の参考例
図49は、第21の参考例の高耐圧ダイオードの断面図である。この構造における特徴はP型エミッタ層42とP−−型リサーフ層46の間に、逆電圧印加時に完全空乏化しないように設計されたP 型エミッタ層53が設けられていることであり、それ以外は図46と同じである。この構造においては、P 型エミッタ層53の横方向抵抗57が大きいため電流集中の検出が容易に行える。
【0153】
第22の参考例
図50は、第22の参考例の高耐圧ダイオードの断面図である。この構造における特徴はP型エミッタ層42内の周辺部表面に横方向抵抗57調整用のN型層56が設けられていることであり、それ以外は図46と同じである。この構造においては、N型層56の拡散深さを調整することにより、除去部直下のP型エミッタ層42の横方向抵抗57を調整できるため、電流集中の検出感度が調整できる。
【0154】
第23の参考例
図51は、第23の参考例の高耐圧ダイオードの断面図である。この構造における特徴は、P型エミッタ層42内の周辺部表面がRIEなどによりに一定量除去されていることであり、それ以外は図46と同じである。この構造においては、除去部の深さを調整することにより、除去部直下のP型エミッタ層42の横方向抵抗57を調整できるため、電流集中の検出感度が調整できる。
【0155】
第3の実施形態)
図52は、本発明の第3の実施形態の高耐圧ダイオードの断面図である。この構造における特徴は、P型エミッタ層42とP型層65の間に、P 型エミッタ層53が設けられていることであり、それ以外は図46と同じである。この構造においては、このP 型エミッタ層53の横方向抵抗57が大きいため、電流集中の検出が容易に行える。
【0156】
第4の実施形態)
図53は、本発明の第4の実施形態の高耐圧ダイオードの断面図である。この構造における特徴は、P型エミッタ層42とP型層65を完全分離し、抵抗性膜67を介して電気的に接続することであり、それ以外は図46と同じである。この構造においては、この抵抗性膜67の抵抗により、電流集中の検出が容易に行える。
【0157】
実施形態3,4、参考例20から23までは、検出電極60をフィールドプレート電極として用いる場合について述べたが、これ以降は、アノード電極49をフィールドプレート電極として用いる場合について述べる。
【0158】
第24の参考例
図54は、本発明の第24の参考例の高耐圧ダイオードの平面図であり、図中のA−A’線、B−B’線に沿った断面図を図55および図56にそれぞれ示す。この構造における特徴は、第2の絶縁膜63で検出電極60を覆うことによりアノード電極49をフィールドプレート電極として利用し、検出電極60の電位を観測するために第2のアノード電極61を1部開口していることであり、それ以外は図46と同じである。なお、参照番号64は検出電極60の電位を測定するための取り出し電極である。
【0159】
第25の参考例
図57、58は、第25の参考例の高耐圧ダイオードの断面図であり、図54のA−A’線、B−B’線に沿った断面図にそれぞれ相当する。この構造における特徴は、第2の絶縁膜63で検出電極60を覆うことによりアノード電極49をフィールドプレート電極として利用し、検出電極60の電位を観測するために第2のアノード電極61を1部開口していることであり、それ以外は図49と同じである。
【0160】
第26の参考例
図59、60は、第26の参考例の高耐圧ダイオードの断面図であり、図54のA−A’線、B−B’線に沿った断面図にそれぞれ相当する。この構造における特徴は、第2の絶縁膜63で検出電極60を覆うことによりアノード電極49をフィールドプレート電極として利用し、検出電極60の電位を観測するために第2のアノード電極61を1部開口していることであり、それ以外は図50と同じである。
【0161】
第27の参考例
図61、62は、第27の参考例の高耐圧ダイオードの断面図であり、図54のA−A’線、B−B’線に沿った断面図にそれぞれ相当する。この構造における特徴は、第2の絶縁膜63で検出電極60を覆うことによりアノード電極49をフィールドプレート電極として利用し、検出電極60の電位を観測するために第2のアノード電極61を1部開口していることであり、それ以外は図51と同じである。
【0162】
第5の実施形態)
図63、64は、本発明の第5の実施形態の高耐圧ダイオードの断面図であり、図54のA−A’線、B−B’線に沿った断面図にそれぞれ相当する。この構造における特徴は、第2の絶縁膜63で検出電極60を覆うことによりアノード電極49をフィールドプレート電極として利用し、検出電極60の電位を観測するために第2のアノード電極61を1部開口していることであり、それ以外は図52と同じである。
【0163】
第6の実施形態
図65、66は、第6の実施形態の高耐圧ダイオードの断面図であり、図54のA−A’線、B−B’線に沿った断面図にそれぞれ相当する。この構造における特徴は、第2の絶縁膜63で検出電極60を覆うことによりアノード電極49をフィールドプレート電極として利用し、検出電極60の電位を観測するために第2のアノード電極61を1部開口していることであり、それ以外は図53と同じである。
【0164】
第28の参考例
図67は、第28の参考例の高耐圧ダイオードの平面図である。この構造における特徴は検出電極60を分割し、それぞれの電位を測定できるようにしていることである。この構造においては、局所的な電流集中が起きた場合にも感度よく検出できるという利点がある。多くの場合電流集中はコーナー部分で生じるため、実際に検出に使用する箇所はコーナー部の4カ所だけとすることもできる。
【0165】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、主として高耐圧ダイオードの場合について説明したが、本発明は、該素子と同様のダイオード構造を有するサイリスタやバイポーラパワートランジスタやIGBT等の他の高耐圧半導体素子にも適用できる。
【0166】
また、上記実施形態では、第1導電型をN型、第2導電型をP型とした場合の実施形態であるが、第1導電型をP型、第2導電型をN型としても良い。
【0167】
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施できる。
【0168】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、第2導電型エミッタ層を分離したので素子周辺部の第2導電型エミッタ層からはキャリア注入が起こらない。このため、順方向時にエミッタ層外周過度部付近のキャリア密度が抑えられ、逆回復時に前記角部が最高電界点になってもキャリアの集中が起こらず破壊に対して強い構造となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の参考例に係る高耐圧ダイオードの平面図およびそのA−A´断面図
【図2】 図1の高耐圧ダイオードの要部断面構造とオン状態のキャリア濃度分布を示す図
【図3】 図1の高耐圧ダイオードの逆回復特性を第1の従来の高耐圧ダイオードおよび第2の従来の高耐圧ダイオードと比較して示す図
【図4】 図1の高耐圧ダイオードの第2の領域の幅とN 型ベース層内のキャリア拡散長とオン電圧との関係を示す特性図
【図5】 図1の高耐圧ダイオードの第2の領域のアノード側パターンの例を示す平面図
【図6】 図1の高耐圧ダイオードの第1の領域および第2の領域の他の配置パターンを示す平面図
【図7】 第2の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図
【図8】 第3の参考例に係る逆導通型IGBTの素子構造を断面図
【図9】 第1の従来の高耐圧ダイオードの要部構造ならびに同素子内の不純物濃度分布およびオン状態のキャリア濃度分布を示す図
【図10】 第2の従来の高耐圧ダイオードの平面図およびそのA−A´断面図
【図11】 図10の高耐圧ダイオードの基本構成部分ならびに同素子内の不純物濃度分布およびオン状態でのキャリア濃度分布を示す図
【図12】 第2の従来の高耐圧ダイオードの逆回復特性を第1の従来の高耐圧ダイオードと比較して示す図
【図13】 図10の高耐圧ダイオードの寄生トランジスタ効果を説明するための図
【図14】 図10の高耐圧ダイオードの寄生トランジスタ効果を抑制するために望ましいシート抵抗およびN++型層の幅の範囲を説明するための図
【図15】 第3の従来の高耐圧ダイオードの要部断面図と同素子内のオン状態のキャリア濃度分布を示す図
【図16】 図15の高耐圧ダイオードの逆方向印加電圧とリーク電流電流との関係をd1 をパラメータとして示す図
【図17】 第4の従来の高耐圧ダイオードの要部断面図と同素子内のオン状態のキャリア濃度分布を示す図
【図18】 第4の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図
【図19】 第5の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図
【図20】 第6の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図
【図21】 第7の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図
【図22】 第8の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図
【図23】 第9の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図
【図24】 第10の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図
【図25】 第11の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図
【図26】 第12の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図
【図27】 第13の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図
【図28】 第14の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図
【図29】 第15の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図
【図30】 第16の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図
【図31】 第16の参考例の第1の変形例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図
【図32】 第16の参考例の第2の変形例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図
【図33】 第16の参考例の第3の変形例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図
【図34】 第17の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図
【図35】 第17の参考例の変形例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図
【図36】 第18の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図
【図37】 第18の参考例の変形例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図
【図38】 本発明の第1の実施形態に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図
【図39】 本発明の第1の実施形態の変形例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図
【図40】 本発明の第2の実施形態に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図
【図41】 本発明の第2の実施形態の変形例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図
【図42】 第19の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図
【図43】 第19の参考例の第1の変形例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図
【図44】 第19の参考例の第2の変形例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図
【図45】 第19の参考例の第3の変形例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図
【図46】 第20の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図
【図47】 高耐圧ダイオードの使用例を示す回路図
【図48】 第20の参考例の変形例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図
【図49】 第21の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図
【図50】 第22の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図
【図51】 第23の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図
【図52】 本発明の第3の実施形態に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図
【図53】 本発明の第4の実施形態に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図
【図54】 第24の参考例に係る高耐圧ダイオードの平面図
【図55】 図54のA−A’線に沿った断面図
【図56】 図54のB−B’線に沿った断面図
【図57】 第25の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す図で、図54のA−A’線の沿った断面に相当する断面図
【図58】 第25の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す図で、図54のB−B’線の沿った断面に相当する断面図
【図59】 第26の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す図で、図54のA−A’線の沿った断面に相当する断面図
【図60】 第26の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す図で、図54のB−B’線の沿った断面に相当する断面図
【図61】 第27の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す図で、図54のA−A’線の沿った断面に相当する断面図
【図62】 第27の参考例に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す図で、図54のB−B’線の沿った断面に相当する断面図
【図63】 本発明の第5の実施形態に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す図で、図54のA−A’線の沿った断面に相当する断面図
【図64】 本発明の第5の実施形態に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す図で、図54のB−B’線の沿った断面に相当する断面図
【図65】 第6の実施形態に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す図で、図54のA−A’線の沿った断面に相当する断面図
【図66】 第6の実施形態に係る高耐圧ダイオードの素子構造を示す図で、図54のB−B’線の沿った断面に相当する断面図
【図67】 第28の参考例に係る高耐圧ダイオードの平面図
【図68】 従来の他の高耐圧ダイオードの素子構造を示す断面図
【符号の説明】
1…N 型ベース層
2…P+ 型エミッタ層(P+ 型アノード層)
1 …P+ 型層(P+ 型エミッタ層)
2 …P++層(コンタクト層)
3 …P 型エミッタ層(P 型アノード層)
3…N+ 型カソード層
1 …N+ 型層
2 …N++型層(コンタクト層)
4…アノード電極
5…カソード電極
6…N++型層(電流ブロッキング層)
7…酸化膜
8…ショットキーコンタクト
9…第1の領域(第1のエミッタ注入領域)
10…第2の領域(第2のエミッタ注入領域)
11…P++型層(電流ブロッキング層)
12…P型層
13…N++型層(ソース層)
14…ゲート絶縁膜
15…ゲート電極
16…P+ 型層(ドレイン層)
17…ソース電極
18…ドレイン電極
19…電極
20…P 型層(リサーフ層)
21…N++型層(チャネルストッパ層)
22…N型バッファ層
23…N++型層(コンタクト層)
41…N 型基板
42…P型エミッタ層
43…N+ 型エミッタ層
44…N型バッファ層
45…P+ 型コンタクト層
46…P−−型リサーフ層
47…N+ 型ストッパー層
48…絶縁膜
49…アノード電極
50…カソード電極
51…ストッパー電極
52…P型ガードリング層
53…第2のP 型エミッタ層
54…電子排出用N+ 型層
55…キャリア(電子)の流れ

Claims (7)

  1. 第1と第2の主面を有する第1導電型の第1の半導体層と、
    前記第1の半導体層の前記第1の主面に選択的に形成された第2導電型の第2の半導体層と、
    前記第1の半導体層の前記第1の主面に、前記第2の半導体層を取り囲むように、前記第2の半導体層と分離して形成された第2導電型の第3の半導体層と、
    前記第1の半導体層の前記第2の主面に形成された第1導電型の第の半導体層と、
    前記第2導電型の第2の半導体層上に選択的に設けられた第1の電極と、
    前記第2導電型の第3の半導体層上に選択的に設けられた第2の電極と、
    前記第1導電型の第の半導体層上に設けられた第の電極とを具備し、
    前記第2の半導体層は不純物濃度が比較的低い第1の領域と、この第1の領域の内部表面に設けられ不純物濃度が比較的高い第2の領域とを含み、前記第1の電極は前記第領域上に設けられこれに接続されており、
    前記第3の半導体層は不純物濃度が比較的低い第3の領域と、この第3の領域の内部表面に設けられ不純物濃度が比較的高い第4の領域とを含み、前記第2の電極は前記第4の領域上に設けられこれに接続されていることを特徴とする高耐圧半導体素子。
  2. 第1と第2の主面を有する第1導電型の第1の半導体層と、
    前記第1の半導体層の前記第1の主面に選択的に形成された第2導電型の第2の半導体層と、
    前記第1の半導体層の前記第1の主面に、前記第2の半導体層を取り囲むように、前記第2の半導体層と分離して形成された第2導電型の第3の半導体層と、
    前記第1の半導体層の前記第2の主面に形成された第1導電型の第の半導体層と、
    前記第2導電型の第2の半導体層上に設けられた第1の電極と、
    前記第2導電型の第3の半導体層上に設けられた第2の電極と、
    前記第1導電型の第の半導体層上に設けられた第3の電極と、
    前記第1の電極と前記第2の電極を電気的に接続する部材と、
    を具備ることを特徴とする高耐圧半導体素子。
  3. 第1と第2の主面を有する第1導電型の第1の半導体層と、
    前記第1の半導体層の前記第1の主面に選択的に形成された第2導電型の第2の半導体層と、
    前記第1の半導体層の前記第1の主面に、前記第2の半導体層を取り囲むように、前記第2の半導体層と分離して形成された第2導電型の第3の半導体層と、
    前記第1の半導体層の前記第2の主面に形成された第1導電型の第の半導体層と、
    前記第1の半導体層の前記第1の主面に、前記第2の半導体層と前記第3の半導体層の間を埋め込み、これらを接続するように形成され、前記第2の半導体層と前記第3の半導体層の不純物濃度よりも低い不純物濃度を有する第5の半導体層と、
    前記第2導電型の第2の半導体層上に設けられた第1の電極と、
    前記第2導電型の第3の半導体層上に設けられた第2の電極と、
    前記第1導電型の第の半導体層上に設けられた第の電極とを具備することを特徴とする高耐圧半導体素子。
  4. 前記第2導電型の第3の半導体層を取り囲むように、これと離間して形成された第6の半導体層を更に具備することを特徴とする請求項1または2に記載の高耐圧半導体素子。
  5. 前記第の半導体層はガードリング層であることを特徴とする請求項4に記載の高耐圧半導体素子。
  6. 前記第2導電型の第3の半導体層を取り囲むように、これと接続して形成され、前記第3の半導体層の不純物濃度よりも低い不純物濃度を有しリサーフとして機能する第7の半導体層を更に具備することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の高耐圧半導体素子。
  7. 前記第の電極は、フィールドプレート電極であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の高耐圧半導体素子。
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