JP4031003B2 - 微弱電力によるスペクトル拡散通信方法及びシステム、高周波無線機 - Google Patents
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Description
後者の方法の場合は、周波数ズレ量の検出範囲が非常に狭いので、周波数の精度が非常に高い局部発振器が必要となる。すなわち、複素ベースバンド信号の幾何学的処理から求められる周波数ズレ量は、必然的に広い範囲が検出可能なBPSK変復調方式であっても、シンボルレートの絶対値の1/2の範囲に限定されてしまう。そのため、QPSKやQAMといった多値の変復調方式になればなるほど、その検出範囲は大幅に狭まり、低伝送レートのシステムの場合、より高い局部発振周波数精度が求められる。そのため、微弱電力を用いたスペクトル拡散通信を行う場合、従来の手法を採用することはできない。
この方法は、それぞれ法律の規制を受けない微弱電力でスペクトル拡散通信により通信しあう一対の高周波無線機の一方を親機、他方を子機とし、子機が、予め決められた間欠通信タイミングで、自己に割り当てられた拡散符号を親機に送信する段階と、親機が、子機からの拡散符号を受信したときに受信データに含まれる信号成分の周波数分析を行うことで子機のキャリア周波数と自己のキャリア周波数との差分を検出し、検出した差分が小さくなるように自己のキャリア周波数を補正するとともに、前記子機からの拡散符号の受信タイミングに基づいて決定した間欠通信タイミングで、自己に割り当てられた拡散符号を子機に送信する段階と、親機及び子機が、それぞれ他方からの拡散符号を受信したときの受信データの相関値レベルが予め決められた閾値よりも大きい場合に相関があったと判定して通信の同期を確立する段階とを有し、親機と子機との間で通信の同期が確立するまで拡散符号のみを送信しあう方法である。
このスペクトル拡散通信システムにおいて、子機は、予め決められた間欠通信タイミングで、自己に割り当てられた拡散符号Bを親機に送信するとともに、親機からの拡散符号Aを待ち受ける通信手段を備えている。また、親機は、子機からの拡散符号Bを受信したときに受信データに含まれる信号成分の周波数分析を行うことで子機のキャリア周波数と自己のキャリア周波数との差分を検出する検出手段と、この検出手段で検出した差分が小さくなるように自己のキャリア周波数を補正するキャリア周波数補正手段と、子機からの拡散符号Bの受信タイミングに基づいて決定した間欠通信タイミングで自己に割り当てられた拡散符号Aを前記キャリア周波数補正手段でその周波数が補正されたキャリアを媒介として子機に送信する送信手段とを備えている。さらに、親機及び子機が、それぞれ他方からの拡散符号を受信したときの受信データの相関値レベルが予め決められた閾値よりも大きい場合に相関があったと判定して通信の同期を確立する同期確立手段とを備えている。
まず、親機と子機との間で行われる本実施形態によるスペクトラム拡散通信の概要を図1及び図2を参照して説明する。図1は、子機(あるいは親機)の通信状態遷移図、図2(a)〜(d)は各状態における親機及び子機の送受信タイミング図である。
図2(a)〜(d)において、「IDLE」は送受信に使用しない区間、「送信」は送信区間、「受信」は受信区間である。これらの図から明らかなように、本実施形態の通信システムでは、親機と子機とで、それぞれ所定の間欠通信タイミングで双方向の通信を行う。この場合、親機と子機の拡散符号は、違うものを使用する必要がある。ここでは、便宜上、親機の拡散符号をA、子機の拡散符号をBとする。
親機又は子機が通信範囲内で電源を投入したて若しくは通信範囲外にある、いわゆる「非同期」の状態である。この状態では、親機と子機との間では、通信の同期は未だ確立していない。この非同期ステートST1では、図2(a)に示されるように、子機は、予め決められた間欠通信タイミングで、自己に割り当てられた拡散符号Bを送信するとともに、一定間隔の後、親機に割り当てられている拡散符号Aが送られていないかどうかを待ち受ける。つまり、間欠送受信状態となる。送信区間は、1データ長分、すなわち、拡散符号1周期分の長さである。送信区間と受信区間との間、受信区間と次の送信区間との間の時間は、「ガードタイム」と呼ばれる。このガードタイムの長さは、ランダムに設定することができる。
親機は、また、子機からの拡散符号Bを受信することで間欠通信タイミングを決定し、また、拡散符号Bの受信信号成分から子機のキャリア周波数が自己のキャリア周波数とどの位ずれているかを検出するキャリア周波数ズレの検出処理を行い、検出したズレ量に応じて自己のキャリア周波数を補正する。従って、子機は、周波数精度、温度特性を改善するために周波数シンセサイザ及びTCXOなどの部品を用いなくとも、安価なローカル発振器を用いることができる。
このように、親機と子機との間で通信の同期が確立するまでは、拡散符号A,Bのみを送信することにより、消費電流の低減化を図っている。
親機と子機との間で、それぞれ通信相手の拡散符号の認識が完了している状態である。すなわち、親機は子機の拡散符号Bを認識し、他方、子機は親機の拡散符号Aを認識している。この状態では親機と子機との間で通信の同期が確立し、この同期(間欠通信タイミング)を所定のメモリに保持することにより、親機及び子機は、送受信の間欠通信タイミングを維持することができる。但し、個別の仕様によっては、任意に間欠通信タイミングを変更することも可能である。
親機も引き続き前ステートで検出した間欠通信タイミングで子機からの拡散符号Bを待ち受け、その後、拡散符号Aを送信する。その際、キャリア変復調に使用するキャリア周波数は、前ステートにて算出した子機とのキャリア周波数ズレを補正したものを使用する。同期保持ステート中においても、親機は、子機からの拡散符号Bを受信した際に、そのキャリア周波数のズレ量及び間欠通信タイミングのズレ量を検出し続け、逐次、親機自己で、そのズレ量を補正する。そのため、すべてのステートを通して、子機は、キャリア周波数の補正及びタイミングの補正などの複雑な処理を行わう必要がなくなり、その構成を簡略化することができる。
上記の見極めは、次のような手順により行うことができる。すなわち、同期保持だけのデータであれば、1データ目は相関のピークが得られるが、2データ目は相関のピークが得られない。2データ目の相関ピークが無ければ、同期保持だけと判断し、そこで受信を終了する。もし、2データ目も相関のピークが得られれば、アプリケーション上のデータが来たものとして扱い、その後も、1データづつ受信区間を延ばしていく。(「送受信ステート」ヘ以降)上記で示した+αは、受信データの相関値を確認する処理時間に相当する。このような手順を用いることで、アプリケーション上のデータを待ち受けるために、そのデータ長分だけ受信区間を延ばす必要が無く、消費電流の低減を図ることができる。
「同期保持ステート」であることを条件として、親機若しくは子機からデータの送受信を開始するステートである。このステートは、「同期保持ステート」中に、親機若しくは子機からデータ送受信を行う必要が生じたときに、保持している同期(間欠通信タイミング)に合わせてデータの送受信を行う。親機、子機ともに、上記のように、1データ毎に相関値を確認し、ピーク(閾値以上の値)が得られれば、次のデータ分(+α)、受信区間を延ばす。送信区間は、アプリケーションによって区間の上限を決めても良いし、区間を無制限にしても良い。また、定期的に受け手側からのACK(受け取り確認信号)を受け取るハンドシエイク処理を行っても良い。
親機と子機の片方の送信が終了した場合、「同期保持ステート」に戻り、次の間欠通信タイミングから同期保持用の拡散符号の送受信を再開する。
次に、上記のような通信を可能にする親機又は子機として動作する高周波無線機の構成例を説明する。親機として動作する高周波無線機も、子機として動作する高周波無線機も、共に、同じ構成のものを使用することができるが、動作時に起動する機能ブロックが親機と子機とで多少異なる。また、親機は、同期確立前と同期保持後とで、起動する機能ブロックが異なる。
親機及び子機は、共に、アンテナを含む無線部のほか、送信部と受信部の機能を併有する信号処理部を備えている。以後の説明では、便宜上、高周波無線機又は信号処理部を親機又は子機と称して説明する。
まず、親機及び子機について共通となる送信部の構成について説明する。
送信部は、図3〜図6のうち、主として下部の機能ブロックを構成要素として含む。すなわち、DBPSK変調部211、拡散変調部212、及びD/A変換部213を含んで送信部を構成している。
DBPSK変調部211は、送信データのBPSK変調をデジタル的に行うもので、例えば図7右2段目に示されるように、差動符号化回路2111,BPSK変調回路2112、波形整形回路2113及びキャリア変復調回路(キャリアMOD)2114の機能ブロックを有する。
差動符号化回路2111は、高周波無線機が有する制御部(図示省略)から送られる送信データの差動符号化を行い、その出力を拡散回路212に送出する。拡散回路212は、差動符号化された送信データに対して拡散変調を行う。なお、差動符号化回路2111と拡散回路212とを一つの回路基板上に設ける構成であっても良い。
すなわち、親機の場合は、後述する受信部において、子機からの同期信号を検出できた時点で、次の間欠通信タイミングで同期が確立できた旨を表す同期確立通知信号を子機に送出する。同期確立通知信号としては、拡散符号Aのみを送出する。すなわち、送信信号は’1’となる。使用するキャリアとしては、後述する受信部で検出した子機のキャリア周波数ズレ量を補正したものを使用する。こうすることで、子機側では受信したデータをキャリア復調する際に、子機自己のキャリアデータにて復調することで、ズレ成分のない復調データを取得することが可能となる。親機からの送信タイミングは、子機−親機間で予め決めておいたタイミングとする。
子機は、同期信号を送出した後、一定時間後に親機から拡散符号Aを待ち受けており、親機は、子機が受信するタイミングに合わせて拡散符号Aを送出する。
次に、図3に示される構成の信号処理部において、同期確立前の親機として動作するときの構成、特に受信部の構成を図4及び図7を参照して説明する。
受信部は、主として図3のほぼ上部の機能ブロックが該当する。すなわち、図示しない無線部からの受信IFが、A/D変換部(A/D)201に入力される。受信IFは、受信された信号を例えば48[kHz]の周波数に変換したアナログの中間周波信号である。A/D変換部201は、この受信IFをデジタル変換して、例えば5ビットの受信データとした後、キャリア復調部202へ選択的に送る。
なお、A/D変換部201は、親機と子機とで共通であるが、動作周波数が異なる。
デフォルトのキャリアデータでキャリア復調した受信データは、同期タイミング検出部205に導かれ、ここで同期検出がなされる。
同期検出後は、キャリア周波数ズレ検出部204でキャリア周波数ズレ量を検出し、検出結果をキャリアデータ生成部206に出力する。キャリアデータ生成部206は、上記の補正後のキャリアデータを生成し、これをデフォルトのキャリアデータに代えて、キャリア復調部202に送る。
なお、キャリア周波数ズレ検出部204、同期タイミング検出部205、キャリアデータ生成部206の構成及び動作については、後で詳述する。
バッファ2041のシフトレジスタ長は(拡散符号長×オーバーサンプル数)+αである。そして、同期タイミング検出部205から子機の拡散符号検出時に出力される同期検出信号をトリガとし、バッファ2041のシフトレジスタヘのデータシフト処理を停止することで、その時点でのキャリア復調データをホールドする。従って、上述したシフトレジスタ長の「α」は、相関値のピークを検出し、同期検出信号を出力するのに要する時間分ということになり、ホールド後の最終段から(拡散符号長×オーバーサンプル数)分のデータが当該受信データとなる。この時点での受信データは、まだキャリア周波数ズレ補正されていないため、通信相手(子機)のキャリア周波数ズレ分(差分)が、送信された拡散処理データに対して残っている。
Δf=1/(Δt×N)=62.5[Hz]
1,024個の演算における乗算器数/加算器数は、FFTのアルゴリズムを適用したとしても、理論値でそれぞれ5,120個/10,240個必要となる。そのため、ゲート数低減を図るため、以下の措置を講ずるのが好ましい。
(1)使用するデバイスのスペック(常温偏差や温度偏差)や動作環境等より想定される周波数ズレ量の範囲内のデータに対してのみFFTを施す。
(2)有効データ長から次回データ受信時まで数秒の間隔があるため、乗算器/加算器を繰り返し使用することで、ゲート数を節減させる。節減数は、受信間隔に応じて定める。
キャリア復調部202におけるデフォルトキャリアデータは、図9の4段目のように、子機のキャリアデータと多少周波数が異なっている(図示の例では、子機の方が僅かに高い)。キャリア復調データは、図9の5段目のように、子機と親機とのキャリア周波数ズレ成分が残ったものとなる。なお、図9の6段目における縦軸のデータレベルは、正が’1’、負が’−1’である。
a1=(f1F+fdet)/Acc
D=fs/(T*Acc)
u=log2(fs)−log2(Acc)
a1=25,074
D=1,024
u=17
この除算処理は、Dから求まるビットシフト処理を行うことで容易に演算が可能となる(本例では、D=1、24=1010のため、10ビットのシフト処理となる)。
キャリア周波数補正回路2062で求めたカウント係数a1は、テーブル化した正弦波データを取り出すインデックス値を算出するための係数であり、ズレ補正量の増減にて取り出すインデックスの値も変化する。例えば、上記の例に対して、fdet=0の場合、a1=24,576となる。
この係数にてカウント処理を行うと、取り出されるインデックス値の進みは、fdet=1[kHz]のときよりも遅くなる。従って、取り出すキャリアデータの周波数も低くなる。キャリアデータの範囲は、D/A(デジタル/アナログ)、A/D(アナログ/デジタル)のビット数に応じた範囲となるが、送信時の使用するキャリアデータの場合、実使用上は、フルレンジでの使用は不可能なため、実現可能な範囲内で用意する。
なお、補正後のキャリアデータも、90度位相の違う2種類のデータ、すなわち同相成分(I成分)と直交成分(Q成分)の複素データである。従って、実際の回路構成では、90度位相の異なる正弦波のキャリアデータテーブルを別々に設けるか、若しくはインデックスデコーダ回路で一つのインデックス値に対して90度位相の異なるインデックス値を新たに生成するかして、同相成分、直交成分に対応した2つのキャリアデータを生成する必要がある。また、実際の回路では、後述するキャリア周波数ズレ検出部204及び受信データ復号部207にて別々にキャリア周波数ズレが検出されるため、それぞれの検出値を加筆したものを上記のfdetとして補正処理を行うこととなる。
キャリア復調部202は、周波数ズレ量を検出した後は、上記のキャリア生成部206から送られた周波数のズレが補正されたキャリアデータと受信データとをキャリアMOD部2021で乗算することによりキャリア復調を行う。
同期タイミング検出部205は、親機のみの機能ブロックであり、その詳細な構成例は、図7の最下段に示されている。同期タイミング検出部205では、同期が確立されていない初期受信段階と、同期確立後とで、その動作内容が変わる。すなわち、初期受信段階では、図8(a)のように、キャリア復調部202から出力されるキャリア復調後の受信データが遅延検波回路2051を経て逆拡散回路2052に入力されるが、同期が保持された状態では、図8(b)のように、キャリア復調後の受信データが、遅延検波回路2051をスキップして逆拡散回路2052に入力されるようにする。この入力の切り換えは、同期検出信号を受信した制御部(図示省略)が行う。
=(I*Id+Q*Qd)+j(Q*Id−I*Qd)
遅延検波処理回路2056の具体的な処理方法は、入力された拡散符号(’1’若しくは’0’)と1チップ分シフトした符号とで排他的論理和をとることで遅延検波符号が得られる。但し、この段階では、まだ’1’若しくは’0’の符号のため、逆拡散処理用に’1’若しくは’−1’にレベル変換してから逆拡散用データテーブル2055に記録する必要がある。
なお、同期が確立されていないときのデータの相関値を確認する手法としては、整合フイルタ方式を採用することもできる。これにより、ランダムなタイミングで入力される通信相手からの受信データに対して、瞬時に相関ピーク値の検出が可能となる。
Q成分の相関値出力値についても同様の要領により得られる。これらの相関値出力値についてベクトル和を求めることにより相関ピーク値を検出し、この相関ピーク値の位置より受信データ列(・・・d1〜d128)の先頭を算出する(図11下部参照)。
子機との間で同期が確立したときは、予め決めてある間欠通信タイミングにて送受信動作を繰り返す。但し、間欠通信タイミングは信号処理部のクロックにて生成するため、例えば32.768[kHz]の水晶振動子を原振に使用している場合、一般的な部品の精度は、プラス/マイナス10〜20[ppm]程度となる。そのため、数秒〜数十秒でかなりの時間的なズレが生じる。そこで、同期タイミング検出部2054では、同期保持後も子機からの受信信号の相関値を検出し、時間的なズレが大きくなった時点で、逐次同期検出信号を更新する処理を行う。
同期が保持された状態では、既にキャリア周波数ズレを補正しているため、キャリア復調データに対して遅延検波を行う必要がない。従って、同期保持のときには、図8(b)のように、遅延検波回路2051をスキップする。それに伴い、逆拡散回路2052における拡散符号は、遅延検波処理を行わない正規の拡散符号を用いる。
同期保持後、親機の構成は図5のようになる。このとき、同期タイミング検出部205の詳細構成は、図8(b)のように変化している。
同期保持後は、受信データ復号部207が起動する。
受信データ復号部207の詳細構成は、図7右3段目のようになる。このうち、親機固有の機能となるのは、周波数ズレ検出部2071だけで、それ以外の機能は親機、子機共通の処理となる。
この受信データ復号部207は、親機としては、上述した同期保持ステートST2及び送受信ステートST3のときのみ起動する。上記ステート時では既にキャリア周波数ズレ量及び間欠通信タイミングを親機側で把握しているため、キャリア周波数を補正した上で子機からの当該データを受信することになる。
相関値検出回路2075は、逆拡散処理後のデータと相関値ピーク閾値テーブル210からのデータの相関値を取り、その結果を出力する。
なお、親機として動作するときの相関値の確認処理は、受信データ復号部207の他に、同期タイミング検出部205でも行っているが、判定に使用する閾値は、それぞれに違う値を設定する。その理由は、同期タイミング検出部205では逆拡散処理前に遅延検波処理を行っているため、相関値確認時の受信データが受信データ復号部207とは異なっているためである。よって、それぞれに応じた閾値を予め用意する必要がある。
次に、図6及び図7を参照して子機として動作させるときの信号処理部の構成例、特に、受信部の動作について説明する。
上述したように、子機のキャリア周波数と親機のキャリア周波数との間にズレがあるときは、親機側でそのズレを補正し、補正後のキャリアデータで送信するし、同期確立及び保持、つまり間欠通信タイミングの調整も全て親機側で行うため、子機は、同期確立前か同期保持後かを問わず、簡易な受信処理を行うだけでスペクトラム拡散通信を行うことができる。
子機は、自分に設定されている間欠通信タイミングにて送信した後、一定時間をおいてから受信処理を行うことになる。図6において、A/D変換器201でA/D変換された後のキャリアデータ(A/D出力信号)は、キャリア復調部203に入力される。キャリア復調部203は、例えば図7の左2段目のように構成される。このキャリア復調部203の動作は、図12に示されるとおりとなる。
A/D変換器201でA/D変換する際のサンプリング周波数及びキャリア復調部での処理周波数をfs、受信IF信号のキャリア周波数をfIFとすると、fs=4*fIF/3 となるようにfsを設定する。
こうした場合、キャリア周波数をアンダーサンプリングすることになり、A/D変換後は、図12の2段目のように、キャリア周波数がfs/4となった波形の信号が得られる。このA/D出力信号と、MODデータテーブル2031に記録されている「1、1、−1、−1」(MODデータ:図11の3段目)の4つの値とをキャリアMOD2032で繰り返し乗算し、図11の4段目に示されるデータを得る。
このデータのうち、I,Q成分セレクタ2033にて、図11の5、6段目に示されるように、交互に同相成分(I成分)、直交成分(Q成分)に振り分ける。どちらかの成分が1処理周波数分遅れているため、その遅れ量に応じて振り分けのタイミングを合わせる(図11最下段)。
なお、子機における相関値の判定に使用する閾値は親機とは違う値を設定することが望ましい。
本実施形態の通信システムでは、親機と子機のキャリア周波数にズレがあったとしても、親機側で、自己のキャリア周波数を子機側のものに適応させて通信を行うことができるため、子機側の構成を簡略化することができる。親機は、また、広範囲なキャリア周波数ズレの検出及び補正が可能となるため、子機として、従来方式の高周波無線機の様な高精度な局部発振周波数を得るためにTCXOやPLLといった高価な部品を使用する必要がなく、安価な局部発振器で、スペクトラム拡散通信を実現することが可能となる。
Claims (13)
- スペクトル拡散通信により通信しあう一対の高周波無線機の一方を親機、他方を子機とし、
子機が、予め決められた間欠通信タイミングで、自己に割り当てられた拡散符号を親機に送信する段階と、
親機が、子機からの拡散符号を受信したときに受信データに含まれる信号成分の周波数分析を行うことで子機のキャリア周波数と自己のキャリア周波数との差分を検出し、検出した差分が小さくなるように自己のキャリア周波数を補正するとともに、前記子機からの拡散符号の受信タイミングに基づいて決定した間欠通信タイミングで、自己に割り当てられた拡散符号を子機に送信する段階と、
親機及び子機が、それぞれ他方からの拡散符号を受信したときの受信データの相関値レベルが予め決められた閾値よりも大きい場合に相関があったと判定して通信の同期を確立する段階とを有し、親機と子機との間で通信の同期が確立するまで拡散符号のみを送信しあう、
スペクトル拡散通信方法。 - 前記周波数分析が、拡散符号を逆拡散したデータに対して行う高速フーリエ変換処理である、
請求項1記載のスペクトル拡散通信方法。 - 親機は、子機との間で同期を確立するまでは、受信データに対して補正前のキャリアによりキャリア復調を行うことでキャリア復調データを得、このキャリア復調データに対して遅延検波を行うとともに、遅延検波後のデータと所定の差動符号とに基づく逆拡散処理を行い、同期確立後は前記差動符号の入力を停止するとともに逆拡散処理前の遅延検波をスキップする、
請求項1記載のスペクトル拡散通信方法。 - 親機及び子機は、それぞれ自己に割り当てられた拡散符号を1周期分の区間だけ送信しあうことにより、通信相手側に通信の同期を確立させる、
請求項1、2又は3記載のスペクトル拡散通信方法。 - 親機及び子機は、通信の同期を確立した後は、送信を行うための送信区間は拡散符号の1周期分の区間を維持するとともに、受信するための受信区間は、拡散符号の2周期分+αの区間とすることにより、通信相手側からの受信データが同期保持のためだけのものか、同期保持後に送られたアプリケーションデータかを見極める、
請求項4記載のスペクトル拡散通信方法。 - 親機及び子機は、通信相手側からの受信データに対して拡散符号を周期毎に相関値を検出し、検出した相関値が所定値よりも高いときは、アプリケーションデータであるとの判断のもとで拡散符号の1周期分づつ受信区間を延ばしていき、前の周期との相関が所定値よりも低くなった受信区間で受信を停止する、
請求項5記載のスペクトル拡散通信方法。 - 通信相手機からの信号を受信する受信手段と、
この受信手段で受信した信号のキャリア周波数に対する自己のキャリア周波数の差分を検出する差分検出手段と、
この差分検出手段で検出された差分をもとに自己のキャリア周波数を前記受信した信号のキャリア周波数に近づくように補正するキャリア周波数補正手段と、
このキャリア周波数補正手段により補正されたキャリアを媒介として所定の送信用データを前記通信相手機に送信する送信手段とを有し、
更に、前記差分検出手段は、受信した信号をデフォルトのキャリアデータで復調したキャリア復調データに含まれる同期用信号を検出する同期タイミング検出部を有しており、この同期タイミング検出部で検出した同期用信号の周波数成分を解析することにより前記差分を検出する、
高周波無線機。 - 前記同期用信号が、同期確立及び同期保持用に1周期分だけ送信される、前記通信相手機に固有の拡散符号である、
請求項7記載の高周波無線機。 - 前記同期タイミング検出部は、通信相手機との間で同期を確立するまでは前記キャリア復調データを遅延検波するとともに、逆拡散処理用に予め割り当てられた拡散符号を遅延検波処理により得られた差動符号にて前記遅延検波されたデータを逆拡散する第1の回路と、通信相手機との間で同期が確立された後は前記遅延検波をスキップして前記キャリア復調データを逆拡散する第2の回路とを選択的に形成する、
請求項8記載の高周波無線機。 - 前記差分検出手段は、同期確立動作中、所定の長さ分のキャリア復調データを保存するFIFO形式のメモリと、
前記同期タイミング検出部で通信相手機からの受信データを検出した場合にこのメモリの当該受信データ部分を保持する制御回路と、
保持した当該受信データに対して逆拡散処理を行う逆拡散処理回路と、
この逆拡散処理回路により逆拡散処理されたデータに対して高速フーリエ変換処理を施してそのピーク値を導出し、導出したピーク値に基づいて当該データにおける前記差分を検出する検出回路とを有する、
請求項9記載の高周波無線機。 - 前記送信手段は、前記送信用データの差動符号化を行う差動符号化回路と、
前記自己に割り当てられた拡散符号を前記差動符号化回路で差動符号化された送信データで拡散変調する拡散変調部と、
この拡散変調部で拡散変調されたデータをデジタル変調するデジタル変調回路と、
デジタル変調されたデータをアナログデータに変換するD/A変換回路とを有する、
請求項7記載の高周波無線機。 - 前記デジタル変調回路がBPSK変調を行うものである、
請求項11記載の高周波無線機。 - それぞれスペクトル拡散通信により通信しあう一対の高周波無線機の一方を親機、他方を子機とする通信システムであって、
子機は、予め決められた間欠通信タイミングで、自己に割り当てられた拡散符号Bを親機に送信するとともに、親機からの拡散符号Aを待ち受ける通信手段を備えており、
親機は、子機からの拡散符号Bを受信したときに受信データに含まれる信号成分の周波数分析を行うことで子機のキャリア周波数と自己のキャリア周波数との差分を検出する検出手段と、この検出手段で検出した差分が小さくなるように自己のキャリア周波数を補正するキャリア周波数補正手段と、子機からの拡散符号Bの受信タイミングに基づいて決定した間欠通信タイミングで自己に割り当てられた拡散符号Aを前記キャリア周波数補正手段でその周波数が補正されたキャリアを媒介として子機に送信する送信手段とを備えており、さらに、
親機及び子機が、それぞれ他方からの拡散符号を受信したときの受信データの相関値レベルが予め決められた閾値よりも大きい場合に相関があったと判定して通信の同期を確立する同期確立手段とを有する、
スペクトル拡散通信システム。
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