JP4030129B2 - 回路基板に実装される電気端子用のコンプライアント部 - Google Patents

Description

【技術分野】
本発明は、回路基板のめっきされたスルーホール内に端子を取付けるために使用されるコンプライアント（compliant）部を有する電気端子に関する。
【背景技術】
回路基板のスルーホールと電気係合するようになっているコンプライアント部を有する複数の電気端子を内部に有する電気コネクタは、電子産業全般に用いられている。多くの応用分野では、コネクタは、端子がめっきされたスルーホールと係合するためにスルーホール内に圧入され、付随してコネクタを回路基板上に保持するように、各端子のコンプライアント部によって回路基板に固定することが望ましい。従って、かかる接続は半田付けを要しないので、より低コストでコネクタを製造することができる。
また、半田付けを無くしたことによって、コネクタの頂面に直接に又はハウジング内の個々の端子に力を加える工具を用いて力を加え、回路基板にいくつかのコネクタを取付けることができる。高密度のコネクタを求める産業界の要求に合致させるために、端子の配列は互いにより狭くなっており、端子を製造するために使用される材料の厚さはより薄くなってきた。しかし、より薄い材料から製造されたコンプライアント部を有する端子は、コネクタを回路基板に取付ける際に、より座屈し易い。従って、コネクタの端子が回路基板のスルーホール内に挿入され際に、座屈する力に耐えるに十分な強度を有するコンプライアント部を提供することが望ましい。さらに、挿入力は、挿入の際に端子が曲がらず且つコンプライアント部が引抜きに対して十分に抵抗し基板に対してコネクタをしっかりと保持するようになることが望ましい。
【発明の開示】
本発明は、低挿入力を有する高密度電気コネクタの端子に好適な端子コンプライアント部であって、回路基板への挿入時に座屈に対して抵抗し、コネクタを基板にしっかりと保持する高い保持力を有する端子コンプライアント部を提供することを目的とする。
本発明は、回路基板に接続可能な端子用コンプライアント部であって、低挿入力及び高引抜力を有する改良されたコンプライアント部に関する。本発明のコンプライアント部は、外縁が所定形状を軸方向に形成する脚と、端子を貫通して横断方向に打抜きされた所定形状を有し、脚を分離すると共に内向きの縁間に画定された細長の孔とを有するタイプである。脚の逆向きの外縁は、端子のコンプライアント部をスルーホール内に保持し端子を回路基板に保持するために、スルーホールに入ってスルーホールの側壁と圧入係合し、力を生成するようになっている。脚の外縁の所定形状は、最初に広がり次にコンタクトの挿入端の方に向かって収束する連続した表面であると共に、軸方向の所定の位置で最も広い寸法を有する。孔は、第１端及び第２端の間の内向きの縁で形成され、軸方向に沿った所定位置に横断方向中線を有する。改良されたコンプライアント部においては、孔がコンプライアント部の外縁に対して軸方向に沿ってずれている（offset）ので、孔の横断方向中線（median）は脚の外縁の最も幅広の寸法に対して軸方向に沿ってずれている。孔の第１端における外縁及び内縁間の各脚の幅は、孔の反対側の第２端における各脚の幅より小さい。
好適な実施形態において、孔の第２端は、挿入端から離れた、より幅広の脚で形成されているので、端子本体部の座屈に対する抵抗を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の実施の形態は、添付図面を参照して実施例により詳細に説明される。
本発明の例示目的のために、図３の電気コネクタ５０内の端子コンプライアント部が代表的に示される。コネクタ５０は、端子配列（図示せず）を有するライトアングル型コネクタである。各端子は、回路基板５４のスルーホール５６の側面５８と係合するために、本発明に従って製造されたコンプライアント部３０を有する。かかるコネクタ用の端子は、代表的には約0.15ｍｍから約0.38ｍｍの範囲の板厚を有する金属材料を打抜き加工される。
コンプライアント部及び開口の形及び長さは、スルーホールの寸法、回路基板の板厚、各端予をスルーホールに挿入するのに必要な若しくはコネクタ全体を基板に取付けるのに必要な所望の挿入力、及び端子若しくはコネクタを基板から外すための所望の引抜力により決定される。
図１は、端子に使用される従来のコンプライアント部１０の一般的な形状を例示する。このコンプライアント部は、外縁１４が軸方向に沿って所定形状を形成する脚１２と、端子を貫通して横断方向に打抜かれた所定形状を有すると共に脚１２を分割し、内向きの縁１６間に画定された細長の孔１８とを有するタイプである。脚の逆向きの外縁１４は、端子のコンプライアント部をスルーホール内に保持し端子を回路基板に保持するために、スルーホールに入ってスルーホールの側壁と圧入係合し、力を生成するようになっている。脚の外縁１４の所定形状は、連続しており、最初に広がり次に端子の挿入端２０の方に向かって収束する。コンプライアント部１０は、Ａ線で示される軸方向の所定の位置で最も広い寸法を有する。孔１８は、第１端２２及び第２端２４の間の内向きの縁で形成され、脚１２と同じ軸方向に沿った所定の位置（Ａ線）で横断方向中線を有する。図１にみられる構造の結果、孔１８の第１端２２における外縁１４及び内縁１６の間の脚１２の各部分の幅d1は、孔１８の反対側即ち第２端２４における脚１２の各部分の幅d2と等しい。
改良されたコンプライアント部３０は図２に示される。コンプライアント部３０は、外縁３４が所定形状を軸方向に形成する脚３２と、端子を貫通して横断方向に打抜きされた所定形状を有する細長の孔３８とを有する。孔３８は、脚３２を分離すると共に内向きの縁３６間に画定される。脚の互いに逆向きの外縁３４は、図３に例示されるように、端子のコンプライアント部３０をスルーホール５６内に保持し端子を回路基板５４に保持するために、スルーホール５６に入ってスルーホール５６の側面５８と圧入係合し、力を生成するようになっている。脚の外縁３４の所定形状は、連続しており、最初に広がり次に端子の挿入端４０の方に向かって収束する。コンプライアント部３０は、Ｗ線で示される軸方向の所定の位置で最も広い寸法を有する。本発明の改良されたコンプライアント部３０においては、孔３８は、コンプライアント部３０の外縁３４に対して軸方向に沿ってずれているので、Ｍ線で示される孔３８の横断方向中線は脚３２の外縁３４のＷ線で示される最も幅広の寸法に対して軸方向に沿ってずれている。図２にみられるように、孔３８の第１端４２における外緑３４及び内縁３６間の脚３２の各部の幅d3は、孔３８の反対側の第２端４４における脚３２の各部分の幅d4より小さい。
孔３８の中線Ｍを挿入端４０の方へ軸方向に移動することにより、コネクタ５０の個々の端子又は端子の配列を基板内に挿入する際に、孔の第２端４４近傍の脚の幅広部は、曲げ又は座屈の力に抗するより大きな強度を有する。さらに、コンプライアント部３０の挿入端４０は、低挿入力を有する。というのは、基板孔５６の側面５８により作用する力が、図３に示されるように従来例の挿入端２０よりも容易にコンプライアント部３０を圧縮するからである。コネクタ５０を基板５４に挿入完了すると、孔の第２端４４近傍の脚の幅広部は、圧縮に対して抵抗するので、コネクタを基板から外すのに必要な力は増加する。
本発明の例示の目的のために、細長の孔３８は楕円（又は繭形）で示された。細長の孔は他の形状でもよく、重要な要素は孔の横断方向中線がコンプライアント部の先端に向かって位置ずれしていることであることが理解されよう。
本発明は、挿入力を低下させ、高密度コンタクト配列を一括挿入する際に端子を座屈から保護し、基板からコネクタを外す引抜き力を増加する利点を与える。
【図面の簡単な説明】
【図１】従来例のコンプライアント部の平面図である。
【図２】本発明の端子用コンプライアント部の平面図である。
【図３】コンプライアント部が回路基板に取付けられた状態の端子配列を有する電気コネクタの部分を示す正面図である。

Claims (1)

1. 回路基板（５４）に接続可能な端子用の改良されたコンプライアント部（３０）であって、該コンプライアント部（３０）は、前記端子の本体部から延びると共に、外縁（３４）が所定の形状を軸方向に形成する脚（３２）と、前記端子を貫通して横断方向に打抜きされた所定形状を有し、前記脚（３２）を分離すると共に内向きの縁（３６）間に画定された細長の孔（３８）とを有し、前記脚の逆向きの前記外縁（３４）は、前記端子を前記回路基板に保持するために、スルーホールに入って該スルーホールの側壁と圧入係合するようになっており、前記脚の外縁（３４）の所定の形状は、最初に広がり次に端子の挿入端の方に向かって収束する連続した表面であると共に、軸方向の所定の位置で最も広い寸法を有し、前記孔（３８）は、該孔の前記挿入端側の第１端（４２）及び前記孔の前記第１端とは反対側の第２端（４４）の間の内向きの前記縁（３６）で形成されると共に、軸方向に沿った所定の位置で横断方向中線（Ｍ）を有し、前記孔の前記第１端（４２）における前記外縁（３４）及び前記内縁（３６）間の各脚部分の幅は、前記第２端（４４）における各脚部分の幅より小さいコンプライアント部（３０）において、
   前記孔（３８）は、互いに平行な内向きの前記縁（３６）で形成されると共に、前記コンプライアント部（３０）の前記外縁（３４）に対して軸方向に沿ってずれており、この結果、前記孔（３８）の前記横断方向中線（Ｍ）が前記脚（３２）の前記外縁（３４）の最も幅広の寸法に対して軸方向に沿って前記挿入端に向かってずれており、
   前記挿入端から離れている前記孔の前記第２端（４４）の近傍の前記脚の幅広部は、前記端子本体部の座屈に抗する大きな強度を有することを特徴とする改良されたコンプライアント部（３０）。

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