JP4029640B2 - 光走査装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式のカラープリンタやカラー複写機などに用いられる光走査装置に関する。更に詳しくは、タンデム方式のフルカラー画像形成装置に用いられ、単一の偏向器で複数のレーザビームを走査し、複数の感光体を露光する光走査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
オフィスにおいて電子写真方式のカラープリンタやカラー複写機が広く使用されている。電子写真方式によりフルカラー画像を形成する場合、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーを用いて4回の画像形成サイクルを実行したのちに画像出力する方式、所謂4サイクル方式の画像形成装置が用いられることが多い。4サイクル方式は、従来の白黒(単色)用の画像形成プロセスを巧み利用してカラー化を実現しているが、白黒の画像形成装置に対し画像出力スピードが1/4以下に低下するという問題を抱えている。
【0003】
この問題を解決するため、帯電、露光、現像、転写機能を備えた画像形成部を4色分並列に配置し、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成を1パスで行い、フルカラ一画像を白黒(単色)とほぼ同じスピードで形成するタンデム方式と呼ばれる画像形成装置が開発されている。しかし、初期に開発されたタンデム方式のフルカラー画像形成装置は、大型であり、また高価なため、スピードを優先する一部の特定市場への普及にとどまっていた。
【0004】
ところが、インターネットを中心とするネット環境の整備、普及によって、カラービジネス文書が広く配布、交換されるようになり、また、デジタルカメラが瞬く間に普及した結果、カラー文書、カラー画像が一般オフィスで通常に取扱われるようになった。この結果、カラー原稿の占有率がアップし、4サイクル方式カラー画像形成装置の出力スピードの遅さがオフィスの日常業務におけるストレスとなりつつある。そして、白黒画像形成装置並の設置スペースとオフィスのワークグループ単位に設置可能な価格のフルカラー画像形成装置が強く望まれようになった。
【0005】
このような要求に応える装置構成として、本出願人による特開2001−264655号公報の画像形成装置がある。この画像形成装置は、4つの感光体を水平方向に並列に配置し、その下方に光走査装置を、その上方に中間転写ベルトを配置している。
【0006】
各感光体の周囲には帯電ロールおよび現像器が設けられ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像信号に応じて変調されたレーザビームの露光により形成された静電潜像が各色に対応したトナーにより現像される。中間転写ベルトが移動すると、現像像はイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順に中間転写ベルト上に一次転写される。さらに、二次転写ポイントで用紙トレイから送られた用紙上に一括転写され、最後に定着器によって熱定着されてフルカラー画像として排出される。
【0007】
上記画像形成装置は、従来の白黒画像形成装置並の小型化を実現するために、画像形成装置を構成する各ユニットを小型化するほか、単なるスケールダウンではない方式の変更が行われている。
【0008】
このうち光走査装置の小型化について説明する。
【0009】
従来のタンデム型画像形成装置では、複数の感光体に対応して複数の光走査装置を配設していたが、上述した画像形成装置は、1つの偏向器で4本のレーザビームを偏向し、1つの筐体から4本レーザビームを射出する方式を採用している。
【0010】
これにより、偏向器そのもののスペースが削減されるだけでなく、筐体内部の空間を複数のレーザビームが共有することで光走査装置が小型となり、画像形成装置内の占有スペースを大幅に削減することができる。
【0011】
ここで複数のレーザビームを単一の偏向器で走査する光路レイアウトについて説明する。
【0012】
レーザビーム光路の基点(光源)および終点(感光体)では、各色に対応するものがそれぞれ距離を隔てて配置されるため、光路レイアウトは各光源からの射出されたレーザビームを合成して単一の偏向器近傍に集め、偏向後は各感光体へ振り分けるべく分離しなければならない。
【0013】
この合成と分離を実現するため、上述した光走査装置は、2本のレーザビームを副走査方向に角度差をもたせて偏向器へ入射させている。そして、2本のレーザビームを偏向器の近傍で交差させ、2本のレーザビーム間隙が大きくなる偏向器前後の位置で、折返しミラーを使った選択反射により光路の合成と分離を行っている。
【0014】
また、筐体中央部に配置した偏向器から上方に煽って偏向されたレーザビームを共通の折返しミラーで偏向器方向に戻したあと、それぞれのレーザビームに対応して配設された折返しミラーにより1本づつ折返すことで光路を分離し、異なる感光体へレーザビームを導いている。
【0015】
2本のレーザビームに角度差をもたせる光路レイアウトのもうひとつの目的は、光学部品の共通使用である。分離に必要なビーム間隙は光路レイアウトによらずに決まる寸法であるから、合成、分離の中間でビーム光路を交差させれば、偏向器付近での2ビーム間隔を最小化し、偏向器の厚さ低減とfθレンズの2ビーム共用が可能となる。
【0016】
図8は、副走査方向に角度差を持たせた2本のレーザビームを単一の偏向器の偏向面に入射させたときの光路レイアウトを説明するための副走査断面図である。
【0017】
A、Bはそれぞれ2本のレーザビームの主光線を表している。Oは光学系の光路光軸(光学系基準面)を表し、偏向器75の回転軸は偏向面の光路光軸Oと直交している。2本のレーザビームA、Bは、光路光軸Oに対して、αおよびβの角度をなして入射している(|β|>|α|>0)。|α|>0となるのは、偏向器75への入射ビームと偏向ビームがともにfθレンズ77を透過するダブルパス方式を想定しているためである。
【0018】
なお、図8は副走査方向で光路を展開して表現しているが、2本のレーザビームが実際にとる光路は、破線で示したa、b方向からfθレンズ77を透過して偏向面P4に入射し、分離折返しミラー79へ到るものとなる。
【0019】
レーザビームの進行順に従って、光路レイアウトを説明する。
【0020】
図示せぬ光源から射出されたレーザビームA,Bは、光路合成位置P1において、レーザビームBのみが合成折返しミラー81により反射され、レーザビームAと副走査方向に近接するように合成される。
【0021】
合成された2本のレーザビームA、Bは、偏向面P4の手前の位置Ρ3で交差する。偏向面P4上で僅かに間隙をもつレーザビームA、Bは、再び間隙を増しながら進み、光路分離位置P5においてレーザビームAのみが分離折返しミラー79により反射されて、図示せぬ感光体へ向かうレーザビームAとレーザービームBに光路分離される。
【0022】
なお、PlからΡ5までの間に2ビームの相互関係を変えない別の光学部品が存在することがある。
【0023】
また、2本のレーザビームの交差位置を偏向器の偏向面よりも光源側とするのは、2本のレーザビームの角度差を最小にし結像特性を均一化するためである。例えば、図8に示した構成では、α=1.2°、β=2.4°で光学特性の均一性と光路合成分離可能なレイアウトを両立できる。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
このように、図8に示した、副走査方向に角度差をもたせた2本のレーザビームを双方向に走査する光走査装置は、光走査装置の小型化と、部品共通使用による低コスト化、4本のレーザビームの光学特性の均一化を実現しているが、fθレンズが2セット必要であり、同期検知は最低2ビーム行う必要があるなど、更なる低コスト化には限界がある。
【0025】
さらに、偏向器の対向する2面で双方向に走査するため、偏向器を挟んだ2本づつのレーザビームが逆方向走査となり、画像データの反転処理が必要となる。また、フルカラー画像形成装置として重要なカラーレジストレーションを考えた場合、温度変動によるずれ、制御誤差、各種ばらつきの影響などが2本づつ逆方向に現れ、同方向走査では同一挙動のため無視できたレジストレーションずれを考慮しなければならず構成が複雑になるという問題がある。
【0026】
これらを解決するために、同一の偏向面で全てのレーザビームを偏向し、複数の感光体を露光することで、同一性、共通性を向上することが考えられる。しかし、前述した通り、複数ビームの合成と分離、および光学特性均一化の両立に関してはより問題が複雑化する。
【0027】
同一の偏向面で全てのレーザビームを偏向して、複数の感光体を走査するものとしては、特開2000−347116号公報、特開平7−256926号公報、特開2001−4948号公報、特開2001−281575号公報などがある。
【0028】
図9は、特開2000−347116号公報に記載された光走査装置の構成図である。4つの独立した光源60から射出したレーザビームがポリゴンミラー62の反射面62Aの近傍に集められて偏向される。偏向されたレーザビームは、シリンドリカルレシズ64で平行とされたのち、fθレンズ66を透過し、独立の折返しミラー68でそれぞれの感光体70へ導かれる。
【0029】
この構成では、ポリゴンミラー62の反射面上で4本のレーザビームが集まるため、ポリゴンミラー62の反射面62Aの副走査方向有効径は最小幅となり、ポリゴンミラーの薄型化によるポリゴンモータへの負荷軽減では優れるが、図10の模式図に示すように、4本のレーザビームが副走査方向になす角度差は大きくなり、4本のレーザビームの結像特性を均一化することは,非常に難しい。
【0030】
図11は、特開平7−256926号公報に記載された光走査装置の光路展開図を示した図である。結像光学系の光軸に対し副走査方向にそれぞれ異なる角度をなす4本のレーザビームを、主光線が収束する状態で偏向器の偏向面72に入射させる。4本のレーザビームは偏向器を通過したあとで交差するため、レンズに入射するレーザビームの副走査方向の入射角差が大きくなり、4本のレーザビームの結像特性を均一化するために、大型の非球面レンズ74を使用するなどの対応が必要となる。
【0031】
図12は、特開2001−4948号公報に記載された光走査装置の副走査断面を示す図である。独立した4つの光源から射出したレーザビームをプリズムにより4本の平行なレーザビームに光路合成し、副走査方向に平行な状態でポリゴンミラー76へ入射させる。4本のレーザビームを相互に角度差なく結像レンズ78へ入射できるので、光学特性の均一性を確保するには有利であるが、図13に示すように、ビーム間隙がポリゴンミラー上と光路分離位置(ミラー80、82、84の位置)とで同じであるため、ポリゴンミラー76の反射面76Aの副走査方向有効径が大きくなり非常に厚肉なポリゴンミラーが必要となる。
【0032】
この構成では、ポリゴンモータへの負荷を増大するとともに、反射面全域の平面度を確保するため加工が難しくなるという問題がある。ポリゴンモータへの負荷増大は、振動、騒音、発熱などの信頼性に問題を及ぼすばかりでなく、高速化(回転数アップ)適用性に限界を与えてしまう。
【0033】
図14に示すように、特開2001−281575号公報に記載の光走査装置では、半導体レーザアレイから射出した4本レーザビームを伝達光学系により平行化した状態でポリゴンミラー86へ入射させる。4本の偏向ビームは、第一の分離手段88で2本ずつに分離された後、折返しミラー90、94で更に分離されて4つの感光体92へ導かれる。この構成も特開2001−4948号公報に記載された光走査装置と同じく、ポリゴンモータへの負荷を増大するとともに、反射面全域の平面度を確保するため加工が難しくなるという問題がある。また、半導体レーザアレイを使用することで、4ビームの変動が揃って起きるという相対的な維持性は向上するが、高価になるという問題がある。
【0034】
本発明は、上記事情を鑑み、偏向器への負荷を軽減でき、高速適用性に優れるとともに、複数ビームの光学性能が均一な同一面による複数ビーム偏向型のフルカラー画像形成装置用の光走査装置を提供することを目的とする。
【0035】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の光走査装置は、複数の独立した光源から射出された4本以上のレーザビームを、偏向器の同一の偏向面で偏向し、複数の感光体を露光走査する光走査装置において、前記偏向面へ入射する平行となる2本のレーザビームを2組とした4本のレーザビームの副走査方向の主光線間隔が最小となる位置を、前記光源と前記偏向面の間にし、且つ前記偏向面へ入射する前記4本のレーザビームのうち、2本のレーザビームが該偏向面上における副走査断面上で交差せず、該偏向面で偏向された後に副走査断面上で交差することを特徴としている。
【0036】
上記構成は、光学特性を均一化するための条件である。複数のレーザビームがもっとも集まる位置を偏向面よりも光源側とすることで、fθレンズへ入射するレーザビームが副走査方向において相互になす角度差を小さくして、感光体上での結像特性を均一にすることができる。
【0038】
また、偏向面へ入射する複数のレーザビームのうち、2本のレーザビームを偏向面上における副走査断面上で交差させず、偏向面で偏向された後に副走査断面上で交差させることにより、複数のレーザビームが副走査方向において相互になす角度差を小さくし、光路の合成分離を容易にすることができる。従来のように、4本のレーザビームを交差させた上で合成分離を行おうとすると、どうしてもレーザビーム相互のなす角度差が大きくなり、光学特性の均一化を図ることが困難となる。
【0039】
そこで、合成分離の間隙を確保する方法として、レーザビーム間の入射角度差とレーザビーム間の隔たりを利用する。すなわち、光路を交差させないことで、角度差を増大させずに合成分離に必要なレーザビーム間の間隙を作りだすことができる。
【0041】
更に、2本のレーザビームで光路レイアウトの最適なパラメータを維持した上で、その2本のレーザビームにそれぞれに平行となるレーザビームを2本追加することで、同一の偏向面で4本のレーザビームを走査可能としながらレーザビーム相互の角度差は2本のレーザビームと同等として、結像特性の均一化を実現することができる。
【0042】
請求項2は、前記偏向器の同一の偏向面で偏向されたレーザビームは、副走査方向における主光線間隔がほぼ均一となる位置で、反射鏡により光路分割されることを特徴としている。
【0043】
上記構成では、複数のレーザビーム間の入射角度差とレーザビーム間の隔たりにより形成した主光線間隙がほぼ均等になった位置に反射鏡を配置して、選択的に反射することで容易に光路分割を行うことができる。
【0044】
請求項3に記載の光走査装置は、前記複数の独立した光源から射出されたレーザビームは、第一の合成手段により前記光源の数より少ないレーザビーム群とされたのち、第二の合成手段によりー束のレーザビームとされて、前記偏向器の同一の偏向面へ入射することを特徴としている。
【0045】
上記構成は、光路合成に係わる内容である。複数の独立した光源から射出されたレーザビームの主光線を偏向器近傍に収束させるとき、第一の合成手段と第二の合成手段で二段階の合成を行うことで、それぞれの合成位置での光路合成を容易にすることができる。
【0046】
請求項4に記載の光走査装置は、前記第一の合成手段が副走査方向の主光線間隙を利用した光路合成であり、前記第二の合成手段が主走査方向の入射角度差を利用した光路合成であり、前記複数ビームの副走査方向の主光線間隔が最小となる位置が、前記第二の合成手段の位置にほぼ一致することを特徴としている。
【0047】
上記構成は、光路合成のためのレイアウトを最適化するための条件である。第一の光路合成を副走査方向の主光線間隙により、第二の光路合成を主走査方向の入射角度差により行うことで、必要なスペースを拡大させずに光源と合成光学系を実装可能とすることができる。
【0048】
請求項5に記載の光走査装置は、前記第一の合成手段と前記第二の合成手段がともに平面ミラーであることを特徴としている。
【0049】
上記構成では、平面ミラーによる選択反射により光路合成することで、構成を簡素化し、低コスト化を実現することができる。
【0050】
請求項6に記載の光走査装置は、前記偏向器へ入射する一束のレーザビームは、fθレンズを透過して前記偏向器の同一の偏向面へ入射し、偏向されたのち再びfθレンズを透過することを特徴としている。
【0051】
上記構成は、偏向器への入射方式に関わる内容であり、fθレンズを2回透過するダブルパス入射としている。ダブルパスとすることで、走査中心に対する光学特性の対称性を確保しやすく、また偏向器(ポリゴンミラー)の小径化も可能となり、ポリゴンモータへの負荷を軽減できる。さらに、ポリゴンミラーとfθレンズに近接配置することも可能となり、光学系設計の自由度を増すことができる。
【0052】
請求項7に記載の光走査装置は、前記第二の合成手段は、前記偏向面から光源側へ戻る位置にあり、偏向面から最初の光路分割位置までの距離の0.6倍から0.9倍の距離、偏向面から離れていることを特徴としている。
【0053】
上記構成は、ダブルパス入射における折返しミラーの配置に関わる。ダブルバスにおける入射光学系(第二の合成手段)が、偏向されたレーザビームおよび光路分離ミラーと干渉するのを回避し、且つ偏向器の回転軸に直交する面に対して入射するレーザビームが副走査方向になす角度を最小化して、光学特性を最適化するための条件である。
【0057】
請求項8記載の光走査装置は、前記偏向器の同一の偏向面へ入射する複数のレーザビームは、主走査方向のレーザビーム幅が、偏向面の面幅よりも広いことを特徴としている。
上記構成では、オーバーフィルド光学系により、ポリゴンミラーを小径化、多面化することで、ポリゴンモータの負荷を軽減でき、高速適用性に優れた光走査装置を提供できる。
【0058】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明における第一の実施の形態を示す斜視図である。図2は、本発明における第一の実施形態の展開した光路の副走査断面図である。
【0059】
図1に示すように、独立した4つの光源10A1、10A2、10B1、10B2から射出したレーザビームは、第一の合成手段である平面ミラー12、14により光路合成され、光源の数(本実施例では4つ)よりも少ない2組のレーザビーム群A1A2、B1B2となる。
【0060】
レーザービームA1とA2の第一の合成は、レーザービームA1が平面ミラー14の上方を通過し、レーザービームA2が平面ミラー14により折返されることにより行われる。レーザービームB1とB2の第一の合成は、レーザービームB1が平面ミラー12の上方を通過し、レーザービームB2が平面ミラー12により折返されることにより行われる。そして、合成されて2組となったレーザビーム群A1A2、B1B2は、共通の折返しミラー16により主走査方向に折返される。
【0061】
平面ミラー16の反射面上では、ポリゴンミラー18で偏向されるレーザビームからの離れ量が大きいレーザビーム群B1B2を(偏向面の光路光軸Oから離れ量が大きいレーザビーム群B1B2)、平面ミラー16上のポリゴンミラー18に近い側(幅の狭い方)へ入射させ、レーザービーム群A1A2を平面ミラー16上のポリゴンミラー18から遠い側(幅の広い方)へ入射させる。
【0062】
これにより、入射するレーザビーム群がポリゴンミラー18の回転軸と直交する平面となす角度を抑制できるので、入射するレーザービームと偏向されるレーザービームの干渉を回避して光学特性を安定化できる。
【0063】
また、図1に示すように、第2の合成手段として共通の折返しミラー16を台形形状とし、偏向したレーザビームと干渉することを防いでいる。また、折返しミラー16の機能としては、2組のレーザビーム群A1A2、B1B2を確実にポリゴンミラー18側に折り返すことが求められているため、入射するレーザービーム群からミラーエッジまでの距離が十分確保されていれば、ミラーの形状はどのようなものであってもよい。通常使用される矩形形状のミラーを使い、ミラーを実装する筐体(図示せず)に斜めの基準面を設けて取り付けても良い。
【0064】
折返しミラー16で折返された2組のレーザビーム群A1A2、B1B2は、2枚組のfθレンズ20を透過してポリゴンミラー18の反射面18Aに入射する。
【0065】
共通の折り返しミラー16からポリゴンミラー18の反射面18Aに至る光路上では、主走査方向における2組のレーザビーム群A1A2、B2B1の間隙が徐々に狭まり、ポリゴンミラー18の反射面18A上ではレーザービームの主光線が反射面18Aのほぼ中央に位置し、副走査方向に並んだ4つのレーザービームとなる。
【0066】
なお、図1では、光路の合成の様子を説明するため、光学素子を省略しているが、光源からポリゴンミラーへ至る光路上には、光源からの発散光を収束させるコリメータレンズ、レーザビームを副走査方向にのみ収束させるシリンドリカルレンズを含んでおり、ポリゴンミラー18の反射面18A上では、レーザービームは主走査方向に伸びた線状結像となっている。2枚組のfθレンズ20は、主走査方向にのみパワーを持ち、それぞれ、凹シリンドリカル面と平面、平面と凸シリンドリカル面で構成されている。
【0067】
上記の構成により、独立した4つの光源10A1、10A2、10B1、10B2から射出されたレーザビームA1、A2、B1、B2は、平面ミラー12、14、折り返しミラー16によりポリゴンミラー18の反射面18A上に集められる。
【0068】
ポリゴンミラー18が回転することで、4本のレーザビームA1、A2、B1、B2は偏向されて同一方向に走査される。偏向された4本のレーザビームA1、A2、B1、B2は、再びfθレンズ20を透過し、共通の折返しミラー16の上方を通過して、平面ミラー22の位置に到達する。平面ミラー22に到達した時点では、4本のレーザビームA1、A2、B1、B2は、ほぼ等間隔を成しており、一番下側のレーザビームB1のみが平面ミラー22で折返されて、感光体へ向かうレーザビームB1となり、光路分離が行われる。
【0069】
図1では、レーザビーム間隙の説明のため4本のレーザビームを主走査方向で揃えて描いているが、2組のレーザビームはポリゴンミラー18の反射面18Aに対して主走査面内で角度をなして入射するため、同一タイミングでは、主走査方向に距離を隔てた2組のレーザビームとして走査されるが、そのディレイ量に応じて画像データを制御すればレジずれのないフルカラ―画像を形成できる。
【0070】
なお、図4(A)に示す、複数のレーザビームがポリゴンミラー18で偏向された後の光走査装置24内の光路レイアウト例では、折返しミラー22で分離させた後、1つの折返しミラー26で感光体32上で結像させるようになっているが、図4(B)に示す光走査装置34のように、2つの折返しミラー28、30で感光体32上に結像させてもよく、適宜選択できる。
【0071】
ここで、図2及び図3を参照して光路レイアウトについて詳細に説明する。
4本のレーザビームA1、A2、B1、B2は、第二の合成手段としての折返しミラー16以降(設定位置P3以降)、レーザビームA2とレーザビームB2、レーザビームA1とレーザビームB1がそれぞれ平行な光路となっている。また、レーザビームA2とレーザビームA1、レーザビームB2とレーザビームB1のなす角度差は、それぞれ1.6°である。
【0072】
光路分離位置P5における(折返しミラー22における)光路分離に必要なビーム間隙(主光線間隔)を4mmとし、第二の合成手段の中心の位置Ρ3(折返しミラー16の中心)を、偏向面P4(反射面18A)から光源側に戻る方向で、偏向面P4から光路分離位置P5までの距離Lの0.8倍(128mm)に設定すると、偏向面P4への入射するレーザービームと偏向されるレーザービームを分離するのに必要な副走査方向の角度は2.7°となる。
【0073】
そして、図2に示す光路光軸Oに対するα、βは、それぞれ2.7°、4.3°となる。
【0074】
図8に示した2本のレーザビームを偏向するケースのα=1.2°、β=2.4°に比べると大きくなるが、角度差の増加分は僅かなため、4本のレーザビームの光学特性の均一性は確保できる。
【0075】
また、前述のように2枚組のfθレンズ20は、主走査方向にのみパワーをもつため、副走査方向に関しては、レーザビームの入射高さによらず同一の結像特性を示すため、光学特性の均一性は確保できる。
【0076】
なお、αの値が大きくなると、走査線湾曲の増大や走査エリアの両端でのビーム径の太りに影響するが、走査湾曲の増大は光路分離後に湾曲調整手段を設けることで、ビーム径の太りはfθレンズを主走査方向に平行な軸周りに回転させることで、均一化することができる。また、折り返しミラー16の中に図示されている黒丸は、図示せぬ平面ミラーにより第一の合成が行われたレーザービーム群が平面ミラー16により折り返される反射位置を表し、その左側の楕円は、レーザービーム群の組合わせを明示的に示したものである。
【0077】
次に、第二の合成手段の設定位置P3とポリゴンミラー18の厚さ、光学特性の均一化について説明する。
【0078】
第一の実施の形態では、2組の平行レーザビームを偏向面P4(反射面18A)から光路分離位置P5まで距離Lの0.8倍,偏向面P4から戻った位置でレーザービームを交差させている。この位置を4本のレーザビームの副走査方向の主光線間隔が最小となる位置に一致させている。
【0079】
すなわち、平行なレーザビームA1、B1ともう一方の平行なレーザービームA2、B2の交差位置と第二の合成手段の位置を一致させることで、光路合成の光学系レイアウトを最適化している。この時、偏向面P3の位置では、2組の平行なレーザビームの副走査方向の間隙が広がり始めており、偏向面P3上の主光線間隔は、7.6mmとなる。
【0080】
これは、図8に示したような、2本のレーザビームが偏向面の上で交差する場合にくらべ広くなるが、4本の平行なレーザビームを偏向する場合に必要な12mm(分離に必要な距離=間隔4mm×3)に比べれば、十分薄くなっている。
【0081】
さらに、オーバーフィルド走査方式とすれば、ポリゴンミラーを小径化できるので、ポリゴンモータへの負荷を軽減することができ、高速適用性を確保できる。
【0082】
次に、比較のためポリゴンミラーの厚さを軽減することを優先した光路レイアウトについて説明する。
【0083】
図5は、2組の平行なレーザビームA1、B1とレーザビームA2、B2を偏向面Ρ4で交差させた光路レイアウトを示した図である。なお、図中の黒楕円は、レーザービーム群が平面ミラー16により折り返される反射位置を表したものである。
【0084】
光路分離位置P5での光路間隙は、光路レイアウトによらず一定量(4mm)必要であるから、2組の平行なレーザビームの交差点から光路分離位置P5までの距離が短くなると2組の平行なレーザビームがなす角度差が大きくなる。
【0085】
図5に示した例では、副走査方向の角度差が2.9°となる。この時、偏向面P4から光路上を戻ったビーム合成位置P3でもレーザビームの主光線距離が大きくなり、図1に示した合成光学系を構成しようとすると、共通の折返しミラー16が副走査方向に大きなものとなる。更に,第一の合成手段を配置する位置での主光線間隔は更に広がり、光源や合成手段の実装に大きなスペースが必要となり、光走査装置の小型化という本来の目的にそぐわない構成となってしまう。
【0086】
このように、光路合成系の構成とポリゴンミラーの厚さ、さらに光学特性の均一性を総合的に考慮すると、副走査方向の主光線間隔を最小とする位置は、偏向面から光源側に戻った位置に設定するのが望ましく、特にダブルパス入射方式を用いる場合は、偏向面P4から光路分離位置P5までの距離Lの0.6から0.9倍の位置に設定するのが望ましい。
【0087】
また、図2及び図5では、2組の平行なレーザビームの場合について説明したが、完全に平行である必要はないが、2組のそれぞれは交差しないレーザビームであることが望ましい。
【0088】
ここで、完全に平行である必要がない理由について説明する。
【0089】
光路分離を平面ミラーで行う場合、走査光学系全体のレイアウトは、図4に示したものが使用できる。図4を見てわかるように、また従来の例を見ても、光路分離は1本づつ繰り返して行うことになる。従って、光路分離に必要な距離(例えば4mm)は、レーザビームの進行方向にずれた位置で確保すればよく、4本のレーザビームの副走査方向の主光線関係には若干の自由度がある。
【0090】
しかし、平行関係から大きく逸脱すると、光路分離位置から溯った位置で全てのレーザビームが交差することになり、複数のレーザビームのなす角度差が大きくなって光学特性の均一性が損なわれたり、光路合成が困難になって、大きなスペースを必要とすることになる。したがって、複数のレーザビームは、交差しない2組のレーザビームで構成されていることが望ましい。
【0091】
ここで、2組の平行なレーザビームを用いる方法とは別の方法との比較により、この方式の有用性を説明する。
【0092】
図6は、1組の平行なレーザービームA1、B1と角度差を有する1組のレーザビームA2、B2を用いた光路レイアウトを示したものである。平行なレーザビームA1、B1と角度差を有するレーザビームA2、B2の交差点を偏向面P4から光路分離位置P5までの距離Lの0.8倍だけ、偏向面P4から溯った位置に設置すると、複数のレーザビームが副走査方向になす角度は、2組の平行なビームを組合わせた場合と同じ大きさになる。また、必要なポリゴンミラーの副走査方の反射面幅も同じ大きさとなる。従って、光学特性の均一性に関しては、同じ性能を得られる。
【0093】
しかし、光路合成を行うための光源近傍の主光線関係は、近接した関係となっており、平面ミラーを用いた簡素な構成によるビーム合成が困難となる。このように、複数の独立した光源から射出されたレーザビームを合成して単一のポリゴンミラー近傍に集め、偏向後は各感光体へ振り分けて分離するという光路レイアウトの課題に関しては、本発明が有効である。
【0094】
次に、本発明における第二の実施の形態について説明する。
【0095】
図7は、主走査平面の走査範囲外側からポリゴンミラーに入射する場合の光路レイアウトを副走査断面で示した図である。ダブルパス入射としないため、複数のレーザビームの中心線Oは、ポリゴンミラーの回転軸と直交する平面内にあり、図2に示したαが0となる。
【0096】
光路分離に必要な距離、第二の合成手段の位置P3は第一の実施の形態と同一のため、4本のレーザービームの相対関係は変わらず、2組のレーザビームがなす相互の角度差は1.6°、偏向面上の主光線距離は7.6mmとなる。ダブルパス入射と異なる点は、fθレンズ20の高さを最小にできることであるが、主走査方向の光学特性は、光軸に対称とならないため、偏向したレーザビームの光量が偏向角に依存して変化するオーバーフィルド走査系との組み合わせには適さない。走査範囲外から入射する場合も、合成位置での構成を簡略化するために、副走査方向と主走査方向の二段階の光路合成が有効である。
【0097】
【発明の効果】
本発明は上記構成としたので、偏向器への負荷を軽減でき、高速化に適用できる。また、複数ビームの光学性能の均一化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第一の実施形態に係る光走査装置を示す斜視図である。
【図2】 第一の実施形態に係る光走査装置の光路を展開した副走査断面図である。
【図3】 偏向面で4本のレーザビームを偏向させた状態を示す模式図である。
【図4】 複数のレーザービームを偏向した後の光走査装置内の光路レイアウト例を示した図である。
【図5】 2組の平行なレーザビームを偏向面で交差させた光路レイアウトを示した図である。
【図6】 1組の平行なレーザービームと角度差を有する1組のレーザービームの光路レイアウトを示した図である。
【図7】 第二の実施形態に係る光走査装置の主走査平面の走査範囲外側から偏向器に入射する場合の光路レイアウトを副走査断面で示した図である。
【図8】 副走査方向に角度差を持たせた2本のレーザビームを単一の偏向器に入射させたときの光路レイアウトを説明するための副走査断面の図である。
【図9】 特開2000−347116号公報に記載された光走査装置の構成図である。
【図10】 偏向面で4本のレーザビームを偏向させた状態を示す模式図である。
【図11】 特開平7−256926号公報に記載された光走査装置の光路展開図を示した図である。
【図12】 特開2001−4948号公報に記載された光走査装置の副走査断面を示す図である。
【図13】 偏向面で4本のレーザビームを偏向させた状態を示す模式図である。
【図14】 特開2001−231575号公報に記載の光走査装置の副走査断面を示す図である。
【符号の説明】
12 平面ミラー(第一の合成手段)
14 平面ミラー(第一の合成手段)
16 折返しミラー(第二の合成手段)
18 ポリゴンミラー(偏向器)
22 平面ミラー(反射鏡)
20 fθレンズ
Claims (8)
- 複数の独立した光源から射出された4本以上のレーザビームを、偏向器の同一の偏向面で偏向し、複数の感光体を露光走査する光走査装置において、
前記偏向面へ入射する平行となる2本のレーザビームを2組とした4本のレーザビームの副走査方向の主光線間隔が最小となる位置を、前記光源と前記偏向面の間にし、且つ前記偏向面へ入射する前記4本のレーザビームのうち、2本のレーザビームが該偏向面上における副走査断面上で交差せず、該偏向面で偏向された後に副走査断面上で交差することを特徴とする光走査装置。 - 前記偏向器の同一の偏向面で偏向されたレーザビームは、副走査方向における主光線間隔がほぼ均一となる位置で、反射鏡により光路分割されることを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
- 前記複数の独立した光源から射出されたレーザビームは、第一の合成手段により前記光源の数より少ないレーザビーム群とされたのち、第二の合成手段によりー束のレーザビームとされて、前記偏向器の同一の偏向面へ入射することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光走査装置。
- 前記第一の合成手段が副走査方向の主光線間隙を利用した光路合成であり、前記第二の合成手段が主走査方向の入射角度差を利用した光路合成であり、前記複数ビームの副走査方向の主光線間隔が最小となる位置が、前記第二の合成手段の位置にほぼ一致することを特徴とする請求項3に記載の光走査装置。
- 前記第一の合成手段と前記第二の合成手段がともに平面ミラーであることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の光走査装置。
- 前記偏向器へ入射する一束のレーザビームは、fθレンズを透過して前記偏向器の同一の偏向面へ入射し、偏向されたのち再びfθレンズを透過することを特徴とする請求項3から請求項5の何れかに記載の光走査装置。
- 前記第二の合成手段は、前記偏向面から光源側へ戻る位置にあり、偏向面から最初の光路分割位置までの距離の0.6倍から0.9倍の距離、偏向面から離れていることを特徴とする請求項3から請求項6の何れかに記載の光走査装置。
- 前記偏向器の同一の偏向面へ入射する複数のレーザビームは、主走査方向のレーザビーム幅が、偏向面の面幅よりも広いことを特徴とする請求項1から請求項7の何れかに記載の光走査装置。
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