JP4028069B2 - 透明バリア性フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明バリア性フィルムに関し、更に詳しくは、優れた透明性を有すると共に酸素ガス、水蒸気等に対するガスバリア性に優れた透明バリア性フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性等に優れた包装用材料として、種々のものが開発され、提案されているが、それらの一つとして、近年、プラスチックフィルム等の基材フィルムの一方の面に、物理気相成長法、あるいは、化学気相成長法等を用いて、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を設けた蒸着フィルムが提案されている。
このものは、酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性等に優れ、かつ、透明性を有し、更に、環境対応に適う包装用材料として注目され、近年、他のプラスチックフィルム、あるいは、紙基材等の包装用材料と積層し、例えば、飲食品、医薬品、化粧品、洗剤、その他等の種々の物品の充填包装に適し、その需要の拡大が期待されているものである。
【0003】
【発明が解決しよとする課題】
ところで、上記のプラスチックフィルム等の基材フィルムの一方の面に、物理気相成長法を用いて、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を設けた蒸着フィルムは、確かに、酸素ガスバリア性等は向上するが、このことは、プラスチックフィルム等の全ての種類の基材フィルムに適合するものではないものである。
例えば、プラスチックフィルム等の基材フィルムとして、2軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用し、その一方の面に、物理気相成長法を用いて、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を設ける場合、該基材フィルムとしての2軸延伸ポリプロピレンフィルムは、耐熱性に劣ることから、蒸着時の加熱等の影響を受け、基材フィルムとしての2軸延伸ポリプロピレンフィルム自身が、劣化あるいは収縮し、その上に望ましい蒸着膜を形成することは極めて困難になり、結果的に、酸素ガスバリア性等を向上させることは期待し得ないものである。
このため、基材フィルムとして、2軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用する場合には、比較的に低温で蒸着処理できるプラズマ化学蒸着法(CVD法)を利用することにより、酸化ケイ素等の無機酸化物の蒸着膜を設けた蒸着フィルムを製造することが提案され、これにより酸素ガスバリア性等を向上させた蒸着フィルムを製造可能とするものである。
しかしながら、上記で製造した蒸着フィルムにおいては、しばしば、黄変した蒸着フィルムを製造し勝ちであり、その原因は、2軸延伸ポリプロピレンフィルム自身が、プラズマの作用により黄変化すること、あるいは、蒸着膜の着色による黄変化によるものであると推定されるものである。
一般に、2軸延伸ポリプロピレンフィルム自身は、酸素ガスバリア性が非常に悪く(約1000cc/m2 /day以上である)、そのために、2軸延伸ポリプロピレンフィルムの上に、酸化ケイ素等の無機酸化物の蒸着膜を設けた蒸着フィルムにおいては、その酸素ガスバリア性等は、膜質状態の影響を敏感に受け、例えば、蒸着膜に少しの欠陥があると、酸素ガスバリア性は、著しく低下し、十分な酸素ガスバリア性等を期待し得ないものである。
また、例えば、基材フィルムとして、2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム、あるいは、ナイロンフィルム等を使用し、酸化ケイ素等の無機酸化物の蒸着膜を設けた蒸着フィルムを製造する場合には、その蒸着フィルムが、最良の酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性等を現出するための最適の製造条件を、そのまま2軸延伸ポリプロピレンフィルムに適用して、酸化ケイ素等の無機酸化物の蒸着膜を設けた蒸着フィルムを製造したとしても、前述のように、2軸延伸ポリプロピレンフィルム自身が、酸素ガスバリア性に非常に劣ることから、蒸着薄膜を形成後も十分な酸素ガスバリア性を有する蒸着フィルムを製造することは極めて困難である。
更に、2軸延伸ポリプロピレンフィルムは、その表面が極めて不活性であって、その表面濡れ性に劣り、比較的に低温で処理できるプラズマ化学蒸着法(CVD法)を利用して、酸化ケイ素等の無機酸化物の蒸着膜を形成しても、その蒸着膜との密着性が悪く、その結果、十分に満足し得る酸素ガスバリア性等を得られないという問題点もある。
そこで本発明は、基材フィルムとして、2軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用するも、優れた透明性を有すると共に酸素ガス、水蒸気等に対するガスバリア性に優れた透明バリア性フィルムを提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記のような問題点を解決すべく種々研究の結果、基材フィルムとして、2軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用し、該2軸延伸ポリプロピレンフィルムの一方の面に、プラズマ化学蒸着法を利用して酸化ケイ素等の無機酸化物の蒸着薄膜を形成するに際し、少なくとも、蒸着用モノマ−ガス、酸素ガス、および、不活性ガスを含む蒸着用混合ガス組成物を、その蒸着用混合ガス組成物の組成において酸素ガス量を65%以上の範囲内で含有させて供給して、プラズマ化学蒸着を行うと、プラズマパワ−の電流値が大きくなり、逆に、その電圧値が減少してプラズマ化学蒸着を行うことができ、これにより、酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性等が向上し、かつ、透明性に優れた酸化ケイ素の蒸着連続薄膜を形成し得ることを見出して本発明を完成したものである。
【0005】
すなわち、本発明は、2軸延伸ポリプロピレンフィルムの一方の面に、プラズマ化学蒸着法による酸化ケイ素の蒸着薄膜を設けたことを特徴とする透明バリア性フィルムに関し、更には、上記の酸化ケイ素の蒸着薄膜が、少なくとも、蒸着用モノマ−ガス、酸素ガス、および、不活性ガスを含む蒸着用混合ガス組成物を、その蒸着用混合ガス組成物の組成において酸素ガス量を65%以上の範囲内で含有させて供給して、プラズマ化学蒸着法により形成した酸化ケイ素の蒸着連続薄膜からなることを特徴とする透明バリア性フィルムに関するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
上記の本発明について以下に更に詳しく説明する。
まず、本発明において、本発明にかかる透明バリア性フィルムは、2軸延伸ポリプロピレフィルムの一方の面に、有機珪素化合物を原料とし、低温プラズマ発生装置等を利用するプラズマ化学蒸着法(CVD法)を用いて酸化ケイ素の蒸着薄膜を形成する方法により製造することができる。
上記において、低温プラズマ発生装置としては、例えば、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、マイクロ波プラズマ等の発生装置を使用することがてき、而して、本発明においては、高活性の安定したプラズマを得るためには、高周波プラズマ方式による発生装置を使用することが望ましい。
具体的に、本発明にかかる透明バリア性フィルムの製造法についてその一例を例示して説明すると、図1は、本発明にかかる透明バリア性フィルムの製造法についてその概要を示すプラズマ化学蒸着装置の概略的構成図である。
上記の図1に示すように、本発明においては、プラズマ化学蒸着装置1の真空チャンバ−2内に配置された巻き出しロ−ル3から2軸延伸ポリプロピレンフィルム4を繰り出し、更に、該2軸延伸ポリプロピレンフィルムを、補助ロ−ル5を介して所定の速度で冷却・電極ドラム6周面上に搬送する。
而して、本発明においては、ガス供給装置7、8、および、原料揮発供給装置9等から酸素ガス、不活性ガス、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガス、その他等を供給し、それらからなる蒸着用混合ガス組成物を調整しなから原料供給ノズル10を通して真空チャンバ−2内に該蒸着用混合ガス組成物を導入し、そして、上記の冷却・電極ドラム6周面上に搬送された2軸延伸ポリプロピレンフィルム4の上に、グロ−放電プラズマ11によってプラズマを発生させて、これを照射して、酸化ケイ素の蒸着薄膜を形成し、製膜化する。
本発明においては、その際に、冷却・電極ドラム6は、チャンバ−外に配置されている電源12から所定の電力が印加されており、また、冷却・電極ドラム6の近傍には、マグネット13を配置してプラズマの発生が促進されており、次いで、上記で酸化ケイ素の蒸着薄膜を形成した2軸延伸ポリプロピレンフィルム4は、補助ロ−ル14を介して巻き取りロ−ル15に巻き取って、本発明にかかる透明バリア性フィルムを製造することができるものである。
なお、図中、16は、真空ポンプを表す。
上記の例示は、本発明にかかる透明バリア性フィルムの製造法の一例を例示するものであり、これによって本発明は限定されるものではないことは言うまでもないことである。
【0007】
本発明においては、2軸延伸ポリプロピレンフィルムが、耐熱性に劣ることから、物理気相成長法(PVD法)で酸化ケイ素等の無機酸化物の蒸着薄膜を形成すると、該2軸延伸ポリプロピレンフィルムが、熱劣化あるいは熱収縮等の現象が生じ、十分に満足し得る蒸着薄膜を形成することが困難であるので、低温で蒸着薄膜の形成が可能なプラズマ化学蒸着法(CVD法)を利用して蒸着薄膜を形成するものである。
而して、本発明においては、上記のプラズマ化学蒸着法(CVD法)において、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガス、酸素ガス、不活性ガス、その他等からなる蒸着用混合ガス組成物を原料供給ノズルを通して真空チャンバ−内に導入する際に、その蒸着用混合ガス組成物の組成において、酸素ガスの含有量を上げることにより、プラズマパワ−の電流値が大きくなり、他方、その電圧値が減少し、これにより、酸素ガスバリア性に富む蒸着薄膜を形成することができ、他方、水蒸気バリア性が、若干劣る蒸着薄膜を形成することができるものである。
ところで、2軸延伸ポリプロピレンフィルム自身は、水蒸気バリア性が、約5〜6g/m2 /day位で極めて優れているものであり、従って、蒸着薄膜によって 水蒸気バリア性が、若干劣る場合でも、2軸延伸ポリプロピレンフィルム自身でそれを補うことができ、これにより、蒸着薄膜により酸素ガスバリア性を向上させ、かつ、2軸延伸ポリプロピレンフィルム自身が有する水蒸気バリア性により、酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性等に優れている酸化ケイ素等の無機酸化物の蒸着薄膜を有する2軸延伸ポリプロピレンフィルムからなる透明バリア性フィルムを製造可能とするものである。
【0008】
また、本発明においては、上記のプラズマ化学蒸着法(CVD法)において、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガス、酸素ガス、不活性ガス、その他等からなる蒸着用混合ガス組成物を原料供給ノズルを通して真空チャンバ−内に導入する際に、その蒸着用混合ガス組成物の組成において、酸素ガスの含有量を上げると、形成される蒸着薄膜の極性部分の割合が増加し、その結果、基材フィルムと蒸着薄膜、すなわち、2軸延伸ポリプロピレンフィルムと酸化ケイ素等の無機酸化物の蒸着薄膜との密着性が向上し、而して、そのように両者の密着性が向上することにより、酸素ガスバリア性も向上するものである。
更に、本発明において、上記のように酸素ガスの含有量を上げてプラズマ化学蒸着を行うと、酸化ケイ素の蒸着薄膜の場合には、該酸化ケイ素の蒸着薄膜が、式SiOX で表される酸化ケイ素の蒸着連続薄膜からなり、更に、Xの値を増加させることができ、極めて透明性に優れた蒸着薄膜を形成することができるものである。
更にまた、本発明において、上記のように酸素ガスの含有量を上げてプラズマ化学蒸着を行う、蒸着膜を形成する際に、酸素プラズマガスが多くなることから、基材フィルムとしての2軸延伸プラスチックフィルムの黄変が抑制され、その結果、酸化ケイ素等の無機酸化物の蒸着薄膜を有する2軸延伸ポリプロピレンフィルムからなる透明バリア性フィルムの透明性を向上させることが可能となるものである。
【0009】
上記の本発明において、プラズマ化学蒸着を行う際に、少なくとも、蒸着用モノマ−ガス、酸素ガス、および、不活性ガスを含む蒸着用混合ガス組成物において、酸素ガスの含有量としては、具体的には、該蒸着用混合ガス組成物の組成において、約65%以上の範囲内で含有させることが好ましいものである。
上記において、65%未満であると、酸素ガスバリア性に優れた蒸着薄膜質を得ることが困難になり、更に、酸素ガス量が減少すると、2軸延伸プラスチックフィルムを黄変させる傾向にあり、特に、酸素ガス量が減少するにつれて、逆に、蒸着用モノマ−ガス、あるいは、不活性ガス等の含有割合が増加することになり、これにより、2軸延伸プラスチックフィルムの黄変等が著しく増加する傾向にあることから好ましくないものである。
ちなみに、上記のような酸素ガスの含有量は、例えば、蒸着用基材フィルムとして、2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムまたは2軸延伸ナイロンフィルムを使用して、プラズマ化学蒸着を行う最適条件の場合と比較すると、約2倍量位に多く含有する量である。
なお、本発明においては、蒸着用混合ガス組成物において、その組成としては、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガスは、約15%以下位が好ましく、また、不活性ガス、その他等としては、約20%以下位の配合割合が好ましい。
なお、本発明において、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガスの含有量の下限値としては、約4%以上、また、酸素ガスの含有量の上限値としては、約91%以下、更に、不活性ガスの下限値としては、5%以上位が好ましい。
上記の%の単位は、体積比に基づくものである。
【0010】
上記において、蒸着用混合ガス組成物における酸素ガスの含有量としては、具体的には、該蒸着用混合ガス組成物の組成において、約75%以上の範囲内で含有させて、該蒸着用混合ガス組成物を原料供給ノズルを通して真空チャンバ−内に導入し、グロ−放電プラズマによって、酸化ケイ素の蒸着薄膜を、2軸延伸ポリプロピレンフィルムの上に形成し製膜化することが好ましいものであるが、その際に、冷却・電極ドラムに、チャンバ−外に配置されている電源から、電圧値、450V未満の範囲で電流を流して電圧を印加してプラズマ化学蒸着を行い、無機酸化物の蒸着連続薄膜を有する透明バリア性フィルムを製造することが望ましいものである。
上記において、電圧値が450Vを越えると、プラズマが不安定となり、ア−キング現象が非常に起こり易くなるため、耐プラズマ性に劣る2軸延伸ポリプロピレンフィルムに多数の穴を生じやすくなり、更に、酸素ガスバリア性に優れた蒸着薄膜質を形成することが困難になる傾向があることから好ましくないものである。
【0011】
本発明において、上記のような酸素ガス量、電圧値等の条件において、蒸着用基材フィルムとして、2軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)を使用して、プラズマ化学蒸着を行い、酸化ケイ素の蒸着薄膜を形成し、他方、蒸着用基材フィルムとして、2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム(PET)を使用し、該フィルムを使用するときの最適条件において、プラズマ化学蒸着(CVD)を行い、酸化ケイ素の蒸着薄膜を形成して、それぞれ、透明バリア性フィルムを製造し、而して、その各透明バリア性フィルムについて、その表面自由エネルギ−、および、式SiOx で表される蒸着薄膜のXの値等を測定し、その結果を、それぞれ、下記の表1、および、表2に表す。
上記の表面自由エネルギ−は、協和界面科学株式会社製のぬれ試験機にて測定し、また、Xの値は、英国、VGサイエンティフィック社製のX線光電子分光分析測定機(機種名、XPS)を使用し、蒸着面の元素分析を行うことより測定した。
【0012】
【表1】
表面自由エネルギ−
上記の表1において、CVDは、プラズマ化学蒸着法を意味し、OPPは、2軸延伸ポリプロピレンフィルムを意味し、PETは、2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを意味する。
【0013】
【表2】
SiOx のXの値
上記の表2において、CVDは、プラズマ化学蒸着法を意味し、OPPは、2軸延伸ポリプロピレンフィルムを意味し、PETは、2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを意味する。
【0014】
上記の表1および表2より明らかなように、本発明にかかる透明バリア性フィルムは、酸化ケイ素の蒸着薄膜が、約30dyn以上40dyn以下の表面張力を有し、かつ、その表面を構成する極性成分が、約2dyn以上10dyn未満の表面張力を有するものである。
すなわち、本発明にかかる透明バリア性フィルムは、形成される蒸着薄膜の極性部分の割合が増加し、その結果、基材フィルムと蒸着薄膜、すなわち、2軸延伸ポリプロピレンフィルムと酸化ケイ素等の無機酸化物の蒸着薄膜との密着性が向上し、而して、そのように両者の密着性が向上することにより、酸素ガスバリア性も向上するものである。
また、本発明にかかる透明バリア性フィルムは、式SiOx で表される蒸着薄膜のXの値等が増加し、その透明性を向上させることができるものである。
【0015】
次にまた、本発明において、2軸延伸ポリプロピレンフィルムについてプラズマエッチング装置を使用しプラズマガスによるフィルムの黄変性を実験した。
すなわち、プラズマエッチング装置を使用し、2軸延伸ポリプロピレンフィルムに、通常のプラズマガス、酸素プラズマガス、および、ヘリウムプラズマガスを照射して黄変性を測定した。
なお、黄変性の測定は、スガ試験機株式会社製のカラ−コンピュ−タ−を用いてYi(黄色度)を測定した。
上記のカラ−コンピュ−タ−による測定は、フィルム10枚で測定し、また、その測定条件は、光源・C2度、測定モ−ド・透過モ−ド、評価値・黄変度(Yi:値が大きい程黄色い)で評価した。
その結果を下記の表3に示す
【0016】
【表3】
上記の表3において、OPPは、2軸延伸ポリプロピレンフィルムを意味する。
【0017】
上記の表3より明らかなように、2軸延伸ポリプロピレンフィルムは、酸素プラズマガスにより、黄変が抑制され、その透明性が向上するものである。
従って、2軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用し、プラズマ化学蒸着を行う際に、酸素ガスの含有量を多くすると、酸素プラズマガスが多くなることから、2軸延伸ポリプロピレンフィルムの黄変が抑制され、透明性に優れた透明バリア性フィルムの製造を可能とするものである。
【0018】
次にまた、上記の本発明にかかる透明バリア性フィルムの製造法において、2軸延伸ポリプロピレンフィルムとしては、例えば、プロピレンの単独重合体、または、該プロピレンとエチレン、プテン−1等のα−オレフィン等の他のモノマ−との共重合体等からなるポリプロピレン系樹脂のフィルムないしシ−トであって、テンタ−方式あるいはチュ−ブ方式等を使用して2軸延伸してなるフィルムないしシ−トを使用することができる。
而して、上記の2軸延伸ポリプロピレンフィルムとしては、単層、あるいは、例えば、ポリエチレン系樹脂等を使用し、その2層以上の共押し出し法等で製膜し、ついで、2軸延伸してなるポリプロピレンフィルム等も使用することができる。
また、上記の2軸延伸ポリプロピレンフィルムの厚さとしては、フィルムないしシ−トの製造時の安定性等から適宜に設定することが可能であるが、約10〜100μm位、好ましくは、15〜50μm位が望ましい。
なお、本発明において、上記の2軸延伸ポリプロピレンフィルムは、その耐熱性および酸化ケイ素の蒸着薄膜との密着性を高めるために、必要に応じて、その表面に、予め、プライマ−コ−ト剤層等を設けることもできる。
また、上記の2軸延伸ポリプロピレンフィルムは、その表面に、必要ならば、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、フレ−ム処理、その他等の表面活性処理を任意に施すことができる。
更に、本発明においては、用途に応じて、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、充填剤、その他等の所望の添加剤を、その透明性に影響しない範囲内で任意に添加し、それらを含有する2軸延伸ポリプロピレンフィルム等も使用することができる。
【0019】
次にまた、上記の本発明にかかる透明バリア性フィルムの製造法において、蒸着用混合ガス組成物を構成する蒸着用モノマ−ガスとしての有機珪素化合物等としては、例えば、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、その他等を使用することができる。
本発明において、上記のような有機珪素化合物の中でも、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、または、ヘキサメチルジシロキサンを原料として使用することが、その取り扱い性、形成された蒸着膜の特性等から、特に、好ましい原料である。
【0020】
次に、本発明において、上記のような製造法によって製造される本発明にかかる透明バリア性フィルムAは、図2の層構成の概略を示す概略的断面図に示すように、2軸延伸ポリプロピレンフィルム4の一方の面に、プラズマ化学蒸着法による酸化ケイ素の蒸着薄膜21を設けた構成からなるものである。
而して、上記のプラズマ化学蒸着法による酸化ケイ素の蒸着薄膜としては、式SiOX (ただし、Xは、0〜2の数を表す)で表される酸化ケイ素を主体とする連続状の蒸着薄膜であり、更に、透明性、バリア性等の点から、式SiOX (ただし、Xは、1.3〜1.9の数を表す。)で表される酸化ケイ素の蒸着膜を主体とする薄膜であることが好ましいものである。
また、上記の酸化ケイ素の蒸着薄膜は、珪素および酸素を構成元素とする珪素酸化物からなり、かつ、炭素、水素、珪素、または、酸素からなる微量構成元素の1種ないし2種以上からなる化合物の少なくとも1種以上を含有する酸化ケイ素の蒸着連続薄膜からなるものである。
更に、上記の酸化ケイ素の蒸着薄膜は、炭素からなる化合物を含有する場合には、その膜厚の深さ方向において炭素の含有量が減少していることを特徴とするものである。
更にまた、上記の酸化ケイ素の蒸着薄膜は、珪素原子の含有割合を100としたときに、炭素原子の含有割合を85以下とすることを特徴とするものである。
なお、本発明において、酸化ケイ素の蒸着膜の膜厚としては、膜厚400Å以下であることが望ましく、具体的には、その膜厚としては、50〜400Å位、より好ましくは、100〜300Å位が望ましく、而して、上記において、300Å、更には、400Åより厚くなると、その膜にクラック等が発生し易くなるので好ましくなく、また、100Å、更には、50Å未満であると、バリア性の効果を奏することが困難になることから好ましくないものである。
【0021】
本発明にかかる透明バリア性フィルムは、上記のように、2軸延伸ポリプロピレンフィルムの一方の面に、プラズマ化学気相成長法による酸化ケイ素の蒸着薄膜を設けて、透明性と基材との密着性に優れたハイバリア性を有する透明バリア性フィルムを製造可能とするものである。
すなわち、本発明においては、2軸延伸ポリプロピレンフィルムが、耐熱性に劣ることから、物理気相成長法(PVD法)で酸化ケイ素等の無機酸化物の蒸着薄膜を形成すると、該2軸延伸ポリプロピレンフィルムが、熱劣化あるいは熱収縮等の現象が生じ、十分に満足し得る蒸着薄膜を形成することが困難であるので、低温で蒸着薄膜の形成が可能なプラズマ化学蒸着法(CVD法)を利用し、かつ、その蒸着に際し、酸素ガスの含有量を多くしてて蒸着薄膜を形成するものである。
本発明においては、2軸延伸ポリプロピレンフィルムの表面の黄変、あるいは、褐変、更には、化学的ないし熱的な劣化等を防止し、更に、2軸延伸ポリプロピレンフィルムの表面に対する酸化ケイ素の蒸着薄膜の密着強度を向上させ、終極的には、バリア層としてのプラズマ化学気相成長法による酸化ケイ素の蒸着薄膜が有するバリア性等の機能を損なうことなく、これにより、透明性に優れ、更に、酸素ガスあるいは水蒸気等に対する極めてハイバリア性を有する透明バリア性フィルムを製造することができるものである。
而して、本発明において、本発明にかかる透明バリア性フィルムは、酸素透過度が、20cc/m2 /day(23℃/90%RH)以下であることを特徴とするものである。
【0022】
上記のようにして製造した本発明にかかる透明バリア性フィルムは、例えば、樹脂のフィルム、紙基材、金属素材、合成紙、セロハン、その他等の包装用容器を構成する包装用素材等と任意に組み合わせて、例えば、ラミネ−トして種々の複合フィルムを製造し、種々の物品を充填包装するに適した包装材料を製造可能とするものである。
上記の樹脂のフィルムとしては、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、酸変性ポリオレフィン系樹脂、メチルペンテンポリマ−、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジェン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロ−ス、その他等の公知の樹脂のフィルムないしシ−トから任意に選択して使用することができる。
本発明において、上記のフィルムないしシ−トは、未延伸、一軸ないし二軸方向に延伸されたもの等のいずれのものでも使用することができる。
また、その厚さは、任意であるが、数μmから300μm位の範囲から選択して使用することができる。
更に、本発明においては、フィルムないしシ−トとしては、押し出し成膜、インフレ−ション成膜、コ−ティング膜等のいずれの性状の膜でもよい。
また、上記において、紙基材としては、例えば、強サイズ性の晒または未晒の紙基材、あるいは純白ロ−ル紙、クラフト紙、板紙、加工紙等の紙基材、その他等を使用することができる。
上記において、紙層を構成する紙基材としては、坪量約80〜600g/m2 位のもの、好ましくは、坪量約100〜450g/m2 位のものを使用することが望ましい。
また、上記にといて、金属素材としては、例えば、アルミニウム箔、あるいは、アルミニウム蒸着膜を有する樹脂のフィルム等を使用することができる。
【0023】
次に、上記の本発明において、上記のような材料を使用して複合フィルムを製造する方法について説明すると、かかる方法としては、通常の包装材料をラミネ−トする方法、例えば、ウエットラミネ−ション法、ドライラミネ−ション法、無溶剤型ドライラミネ−ション法、押し出しラミネ−ション法、Tダイ押し出し成形法、共押し出しラミネ−ション法、インフレ−ション法、共押し出しインフレ−ション法、その他等で行うことができる。
而して、本発明においては、上記の積層を行う際に、必要ならば、例えば、コロナ処理、オゾン処理、フレ−ム処理、その他等の前処理をフィルムに施すことができ、また、例えば、ポリエステル系、イソシアネ−ト系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジェン系、有機チタン系等のアンカ−コ−ティング剤、あるいはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロ−ス系、その他等のラミネ−ト用接着剤等の公知のアンカ−コ−ト剤、接着剤等を使用することができる。
【0024】
次に、本発明において、上記のような複合フィルムを使用して製袋ないし製函する方法について説明すると、例えば、包装用容器がプラスチックフィルム等からなる軟包装袋の場合、上記のような方法で製造した複合フィルムを使用し、その内層のヒ−トシ−ル性樹脂層の面を対向させて、それを折り重ねるか、或いはその二枚を重ね合わせ、更にその周辺端部をヒ−トシ−ルしてシ−ル部を設けて袋体を構成することができる。
而して、その製袋方法としては、上記の複合フィルムを、その内層の面を対向させて折り曲げるか、あるいはその二枚を重ね合わせ、更にその外周の周辺端部を、例えば、側面シ−ル型、二方シ−ル型、三方シ−ル型、四方シ−ル型、封筒貼りシ−ル型、合掌貼りシ−ル型(ピロ−シ−ル型)、ひだ付シ−ル型、平底シ−ル型、角底シ−ル型、その他等のヒ−トシ−ル形態によりヒ−トシ−ルして、本発明にかかる種々の形態の包装用容器を製造することができる。
その他、例えば、自立性包装袋(スタンディングパウチ)等も製造することが可能であり、更に、本発明においては、上記の複合フィルムを使用してチュ−ブ容器等も製造することができる。
上記において、ヒ−トシ−ルの方法としては、例えば、バ−シ−ル、回転ロ−ルシ−ル、ベルトシ−ル、インパルスシ−ル、高周波シ−ル、超音波シ−ル等の公知の方法で行うことができる。
なお、本発明においては、上記のような包装用容器には、例えば、ワンピ−スタイプ、ツウ−ピ−スタイプ、その他等の注出口、あるいは開閉用ジッパ−等を任意に取り付けることができる。
【0025】
次にまた、包装用容器として、紙基材を含む液体充填用紙容器の場合、例えば、積層材として、紙基材を積層した複合フィルムを製造し、これから所望の紙容器を製造するブランク板を製造し、しかる後該ブランク板を使用して胴部、底部、頭部等を製函して、例えば、ブリックタイプ、フラットタイプあるいはゲ−ベルトップタイプの液体用紙容器等を製造することができる。
また、その形状は、角形容器、丸形等の円筒状の紙缶等のいずれのものでも製造することができる。
【0026】
本発明において、上記のようにして製造した包装用容器は、透明性、酸素、水蒸気等に対するガスバリア性、耐衝撃性等に優れ、更に、ラミネ−ト加工、印刷加工、製袋ないし製函加工等の後加工適性を有し、また、バリア性膜としての蒸着薄膜の剥離を防止し、かつ、その熱的クラックの発生を阻止し、その劣化を防止して、バリア性膜として優れた耐性を発揮し、例えば、飲食品、医薬品、洗剤、シャンプ−、オイル、歯磨き、接着剤、粘着剤等の化学品ないし化粧品、その他等の種々の物品の充填包装適性、保存適性等に優れているものである。
【0027】
【実施例】
実施例1
(1).厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロ−ルに装着し、下記の条件で厚さ120Åの酸化ケイ素の蒸着薄膜を上記の2軸延伸ポリプロピレンフィルムの上に形成して、本発明にかかる透明バリア性フィルムを製造した。
反応ガス混合比:ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1:20:2(単位:slm)
真空チャンバ−内の真空度:5.0×10-6mbar
蒸着チャンバ−内の真空度:6.0×10-2mbar
冷却・電極ドラム供給電力:12kW
電圧値:360V
蒸着膜の厚さ:250Å(蛍光X線分析法)
蒸着面:コロナ処理面
(2).次に、上記で製造した透明バリア性フィルムの酸化ケイ素の蒸着薄膜の面を、下記の条件でプラズマ処理した。
その結果、酸化ケイ素の蒸着薄膜表面の表面張力は、35dynから62dynに向上した。
出力:3kw
プラズマガス:ヘリウム(He)と酸素(O2 )との混合ガス
(3).次に、上記でプラズマ処理した透明バリア性フィルムを使用し、これをドライラミネ−トコ−タ−機の一方の送り出しロ−ルに装着し、その酸化ケイ素の蒸着薄膜面に接着剤層を形成し、他方、シ−ラントフィルムである厚さ40μmの無延伸ポリプロピレンフィルムを使用し、これを他方の送り出しロ−ルに装着し、しかる後その両者を下記の条件でドライラミネ−トして、複合フィルムを製造した。
接着剤層:ウレタン系接着剤を使用
(主剤)ウレタン系(武田薬品工業株式会社製、商品名、タケネ−トA−515)
(硬化剤)イソシアネ−ト系(武田薬品工業株式会社製、商品名、A−50)
(混合比)主剤:硬化剤=10:1
(溶剤)酢酸エチル
(塗布量)4.0g/m2 (ドライ)
【0028】
比較例1
(1).厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロ−ルに装着し、下記の条件で厚さ128Åの酸化ケイ素の蒸着薄膜を上記の2軸延伸ポリプロピレンフィルムの上に形成して、透明バリア性フィルムを製造した。
反応ガス混合比:ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1:3:3(単位:slm、 基材フィルムとして、2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム、または、ナイロンフィルムを使用する場合の最適条件)
真空チャンバ−内の真空度:5.0×10-6mbar
蒸着チャンバ−内の真空度:6.0×10-4mbar
冷却・電極ドラム供給電力:10kW
蒸着膜の厚さ:145Å(蛍光X線分析法)
蒸着面:コロナ処理面
(2).次に、上記で製造した透明バリア性フィルムの酸化ケイ素の蒸着薄膜の面を、下記の条件でプラズマ処理した。
その結果、酸化ケイ素の蒸着薄膜表面の表面張力は、32dynから60dynに向上した。
出力:3kw
プラズマガス:ヘリウム(He)と酸素(O2 )との混合ガス
(3).次に、上記でコロナ処理した透明バリア性フィルムを使用し、これをドライラミネ−トコ−タ−機の一方の送り出しロ−ルに装着し、その酸化ケイ素の蒸着薄膜面に接着剤層を形成し、他方、シ−ラントフィルムである厚さ40μmの無延伸ポリプロピレンフィルムを使用し、これを他方の送り出しロ−ルに装着し、しかる後その両者を下記の条件でドライラミネ−トして、複合フィルムを製造した。
接着剤層:ウレタン系接着剤を使用
(主剤)ウレタン系(武田薬品工業株式会社製、商品名、タケネ−トA−515)
(硬化剤)イソシアネ−ト系(武田薬品工業株式会社製、商品名、A−50)
(混合比)主剤:硬化剤=10:1
(溶剤)酢酸エチル
(塗布量)4.0g/m2 (ドライ)
【0029】
実験例1
上記の実施例1、および、比較例1で製造した各透明バリア性フィルムおよび複合フィルムについて、下記のデ−タを測定した。
(1).酸素透過度の測定
これは、温度23℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、オクストラン(OXTRAN)〕にて測定した。
(2).水蒸気透過度の測定
これは、温度40℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、パ−マトラン(PERMATRAN)〕にて測定した。
(3).透明性評価
これは、スガ試験機株式会社製のカラ−コンピュ−タ−を用いてYi(黄色度)を測定した。
・カラ−コンピュ−タ−による測定は、フィルム10枚で測定した。
・マクベス濃度計による測定は、フィルム1枚について、波長が500nmの全光線透過率で測定した。
上記の(1)と(2)と(3)の測定結果については、下記の表4、表5、および、表6に示す。
【0030】
【表4】
透明バリア性フィルムの酸素透過度および水蒸気透過度
上記の表4において、酸素透過度は、cc/m2 /day・23℃・90%RHの単位であり、また、水蒸気透過度は、g/m2 /day・40℃・100%RHの単位である。
また、OPPは、2軸延伸ポリプロピレンフィルムの意味である。
【0031】
【表5】
複合フィルムの酸素透過度および水蒸気透過度
上記の表5において、酸素透過度は、cc/m2 /day・23℃・90%RHの単位であり、また、水蒸気透過度は、g/m2 /day・40℃・100%RHの単位である。
【0032】
【表6】
透明バリア性フィルムの透明性
上記の表6において、OPPは、2軸延伸ポリプロピレンフィルムの意味である。
【0033】
上記の測定結果から明らかなように、実施例1にかかる透明バリア性フィルムは、酸素ガスバリア性および透明性について、比較例1のそれよりもはるかに優れいることが確認できた。
また、実施例1にかかる複合フィルムも、酸素ガスバリア性において、比較例1のそれよりもはるかに優れていることが確認できた。
【0034】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明は、基材フィルムとして、2軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用し、該2軸延伸ポリプロピレンフィルムの一方の面に、プラズマ化学蒸着法を利用して酸化ケイ素等の無機酸化物の蒸着薄膜を形成するに際し、少なくとも、酸素ガス、不活性ガス、および、蒸着モノマ−ガスを含む蒸着用混合ガス組成物を、その蒸着用混合ガス組成物の組成において酸素ガス量を65%以上の範囲内で含有させて供給して、プラズマ化学蒸着を行うと、プラズマパワ−の電流値が大きくなり、逆に、その電圧値が減少してプラズマ化学蒸着を行うことができ、これにより、酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性等が向上し、かつ、透明性に優れた酸化ケイ素の蒸着連続薄膜を形成して、透明バリア性フィルムを製造することができるというものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる透明バリア性フィルムの製造法についてその概要を示すプラズマ化学蒸着装置の概略的構成図である。
【図2】本発明にかかる透明バリア性フィルムの層構成の概略を示す概略的断面図である。
【符号の説明】
1 プラズマ化学蒸着装置
2 真空チャンバ−
3 巻き出しロ−ル
4 2軸延伸ポリプロピレンフィルム
5 補助ロ−ル
6 冷却・電極ドラム
7 ガス供給装置
8 ガス供給装置
9 原料揮発供給装置
10 原料供給ノズル
11 グロ−放電プラズマ
12 電源
13 マグネット
14 補助ロ−ル
15 巻き取りロ−ル
16 真空ポンプ
21 酸化ケイ素の蒸着薄膜
A 透明バリア性フィルム
Claims (1)
- プラズマ化学蒸着装置の真空チャンバ−内に配置された巻き出しロ−ルから2軸延伸ポリプロピレンフィルムを繰り出し、
次に、該2軸延伸ポリプロピレンフィルムを、補助ロ−ルを介して、冷却・電極ドラム周面上に搬送し、
他方、ガス供給装置、および、原料揮発供給装置から酸素ガス、不活性ガス、および、有機珪素化合物からなる蒸着用モノマ−ガスを供給し、
次いで、それらからなる蒸着用混合ガス組成物を、その蒸着用混合ガス組成物の組成において酸素ガス量を65%以上の範囲内で含有させて調整しながら原料供給ノズルを通して真空チャンバ−内に該蒸着用混合ガス組成物を導入し、
しかる後、上記の冷却・電極ドラム周面上に搬送された2軸延伸ポリプロピレンフィルムの上に、電圧値、450V未満の範囲からなるプラズマ発生条件でグロ−放電プラズマによってプラズマを発生させて、これを照射してなるプラズマ化学蒸着により、酸化ケイ素の蒸着薄膜を形成し、製膜化し、
次いで、上記で酸化ケイ素の蒸着薄膜を形成した2軸延伸ポリプロピレンフィルムを、補助ロ−ルを介して、巻き取りロ−ルに巻き取ることを特徴とする透明バリア性フィルムの製造法。
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