JP4023195B2 - Engine inertia moment measurement method - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、動力計測システムにおけるエンジンの慣性モーメントの測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図9は試験装置の概略図を示したもので、エンジン1とダイナモメータ2とをトルクメータ3を介して回転軸4で連結し、エンジン側はスロットルアクチェータ5によりスロットル開度が制御されるように構成されている。この装置によって、ダイナモメータのトルク制御・速度制御を実施しながらエンジンの耐久性や燃費、排ガス計測等の性能試験およびECU(Electronic Control Unit)適合試験が行われる。なお、6はエンジンの軸回転を検出する速度検出器である。
上記のようなダイナモメータを使用してエンジンを試験する装置においては、前もってエンジンの慣性モーメントを測定し、その測定値を制御パラメータとして使用することが行われている。
【0003】
その際の慣性モーメントの計測は次のような手順で行われている。
(1)エンジンの燃料流入を遮断し、エンジンの吸入空気の抵抗を減らすためにエンジンのスロットルを全開にする。
(2)回転軸4が或る一定の速度で回転している状態より、ダイナモメータ2によって一定の角加速度αで加速、又は減速する。この一定の加減速時に、その時のトルクTをトルクメータ3によって計測する。
(3)計測値をもとに、運動方程式T=JαよりJ=T/αとしてJを求めて制御パラメータとしている。
【0004】
なお、ダイナモメータ2は速度制御によって制御され、エンジン1は開度制御によって制御されるが、全ての運転において、エンジンの吸気ロスを極力減らすために100%開度にされる。また、エンジンが点火しないように燃料供給を遮断し、イグニッションはオフにされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
慣性モーメントが測定されるエンジン1には、機械的な抵抗が存在しているが、従来の測定方法による計測値にはその抵抗による損失分が考慮されてないため、算出されたエンジンの慣性モーメント精度は決して高いものとはいえない。
特に、エンジン慣性モーメントの小さい小排気量エンジンの精度は悪いものとなっていた。
【0006】
本発明が目的とするところは、高精度な慣性モーメントの測定を可能とした 慣性モーメントの測定方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1は、エンジンとダイナモメータとを回転軸を介して直結し、このエンジンを加減速運転しながらトルクメータおよび速度検出器を介してエンジントルクと回転角加速度とを検出しながらエンジン試験を行うものにおいて、
前記エンジンの任意回速度時におけるエンジントルク損失分を予め検出して記憶し、エンジン試験時における対応した前記任意速度時で測定されたトルク値より、前記記憶された当該相当時間におけるトルク損失分を減算してトルク検出補正値とし、前記角加速度(rad/s2)をX,トルク検出補正値をYとし、最小二乗法で一次関数Y=AX+Bとした場合のAの絶対値をエンジンの慣性モーメントとして測定することを特徴としたものである。
【0008】
本発明の第2は、前記トルク検出補正値は直線補間にて行い、トルク検出補正値の演算時のエンジン回転数は、エンジンの慣性モーメント計測時の当該エンジン回転数と最も近い上下の回転数で補正することを特徴としたものである。
【0009】
本発明の第3は、前記エンジン試験時のデータ収集は、各測定区間の開始時と終了時の所定時間はそれぞれ除外することを特徴としたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施形態を示したもので、図9と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
10はエンジンのトルク,速度を検出するための検出部で、試験に先立って或る加減速度α時におけるエンジンの損失分を前もって求める。そのために、この検出部10は設定された最低回転数(アイドリング回転数)Niから最高回転数Nmにまで到達する時間τを任意数nで分割し、各分割時点におけるエンジンのトルクを検出するためのサンプリング機能を有している。
11は記憶部で、検出部10によって検出された各分割時点の検出値をこの記憶部において保存する。12は第1の演算部でトルク検出補正値を演算する。13は第2の演算部で慣性モーメントJを演算する。14は制御部で、この制御部14はエンジンのモデル部や軸トルク制御部などによって構成されている。15はコントローラで、このコントローラ15はダイナモメータ2が交流機の場合にはインバータが用いられ、制御部14よりの信号に基づいてダイナモメータ2を速度制御する。
【0011】
図2は検出部10におけるエンジンの損失検出状態を示したものである。
この損失検出はエンジン1の試験に先立って行われるもので、ダイナモメータ2を介して制御されるエンジン1の軸回転数が、指定最低回転数Niから最高回転数Nmまでの時間τをダイナモメータ2による速度制御よって加速するものとすると、その間を任意数n(ここでは、n=20)で段階状に分割し、分割された時刻毎に当該時刻の軸回転数と軸トルクを速度検出器6とトルクメータ3を介してサンプリングして記憶部11に格納する。最高回転数Nmよりの減速時は、一定の傾斜を持って指定最低回転数Niまで減速される。
【0012】
図3は分割された或る段階部を拡大したもので、各段階毎の軸回転数と軸トルクの検出は、速度指令とその指令に追従する実速度との間には僅かでも遅れが生じているので、各信号のサンプリングは、速度が安定した時点,例えば各段の平行部分の時間を5秒とすると前半の2秒を非測定範囲として安定状態となるのを待ち、計測は後半の3秒にて例えば100ms周期で行われ、その平均値を当該段(当該回転数)におけるエンジンの損失とし記憶部11に格納される。
図4はその結果におけるエンジン回転数とトルクとのイメージ例を示したものである。図中のNO.は図2における各分割段階(回転数)を示したものである。なお、計測データをA/Dコンバータを介して取得するは場合には、エリアジングノイズを避けるためにカットオフ周波数が或る周波数以下の低域通過フィルタを通してサンプリングする。
【0013】
慣性モーメントの測定は、前述した従来の(1)〜(3)と同様の手順によって測定される。
【0014】
図5はエンジン試験時において、加減速運転をしながらのデータ収集の状態例を示したもので、アイドル(指定最低)回転数Niと最高回転数Nm間において加速,減速の加速度を変えながらエンジン回転数を制御し、その時の各区間におけるエンジンの軸トルクをトルクメータ3によって検出する。
検出部10は、計測区間である加速1,減速1,加速2,減速2…の各区間において計測を行うが、データ数を多くとるために例えば20ms周期にてサンプリングを行う。なお、その際、NiからNmにおける各計測区間の開始時点と終了時点のトルクは不安定であると考えられるので、図6で示すように例えば各計測区間の開始時10%、終了時5%の範囲は計測より除外される。
【0015】
検出部10によって検出されたトルク信号は第1の演算部12に出力され、この演算部12において、先に記憶部11に記憶されているエンジンの損失計測値Tmと今回入力された検出値Tnを基に式(1)によるトルク検出値の補正演算が行なわれる。
【0016】
【数1】
トルク検出補正値:Tn−Tm=Tn−(Sn−S1)/(S2−S1)×(T2−T1) (1)
すなわち、1計測毎のエンジンの損失測定で得られたエンジン回転数毎の損失Tmをトルク検出値Tnから減じてトルク検出補正値とする。その補正方法は図7で示すように直線補間で行ない、S1及びS2は、今回の検出トルクTnが検出されたエンジン回転数Snに最も近いサンプリング時点のエンジン回転数の上と下の値が適用される。
【0017】
第1の演算部12によって補正されたトルク検出値は第2の演算部13に出力されてエンジンの慣性モーメントが求められる。
図5で示す計測区間である加速1,減速1,加速2,減速2…の各区間の角加速度α(rad/s2)をXとし、そのときの当該加速,減速時のトルク検出補正値Tn−Tm(Nm)をYとし、最小二乗法で1次関数Y=AX+BとしたときのAを求め、その絶対値をエンジンの慣性モーメントJとする。なお、絶対値とすることは、トルクの方向がシステムによって異なることに基づくものである。図8が角加速度αとトルク検出値Tn−Tmをプロットしたもので、直線の方程式による傾Aがエンジンの慣性モーメントJとなる。
なお、最小二乗法による解法は(2)式による。
【0018】
【数2】
演算された慣性モーメントJは制御部14に出力されて例えば共振抑制手段用のパラメータとして使用され、コントローラ15を介してダイナモメータ2を制御する。
【0020】
【発明の効果】
以上本発明によれば、エンジンの機械的損失分に基づくトルク誤差分を考慮してエンジンの慣性モーメントを算出したものであるから、その精度が向上するものである。したがって、測定されたエンジンの慣性モーメント値を用いて機械系の制御パラメータに適用した場合、有効なる制御が可能となる。
また、測定された慣性モーメントが高精度となることにより、その測定値を機械系の共振抑制制御に適用する場合には、機械系の破壊強度に対する入力信号レベルの上限値が高精度で求まるため、機械系の破壊防止が可能となる等の効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す制御ブロック図。
【図2】エンジントルク損失分測定態様図。
【図3】各段(回転数)毎の測定態様図。
【図4】測定結果のイメージ図。
【図5】加減速運転の態様図。
【図6】計測データ収集説明図。
【図7】トルク検出値の補正説明図。
【図8】エンジン慣性モーメントの説明図。
【図9】従来のエンジン試験装置の概要図。
【符号の説明】
1…エンジン
2…ダイナモメータ
3…トルクメータ
4…回転軸
5…スロットルアクチェータ
6…速度検出器
10…検出部
11…記憶部
12…第1の演算部
13…第2の演算部
14…制御部
15…コントローラ[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for measuring an inertia moment of an engine in a power measurement system.
[0002]
[Prior art]
FIG. 9 shows a schematic diagram of the test apparatus, in which the
In an apparatus for testing an engine using the dynamometer as described above, the moment of inertia of the engine is measured in advance and the measured value is used as a control parameter.
[0003]
At that time, the moment of inertia is measured in the following procedure.
(1) Fully open the throttle of the engine to cut off the fuel inflow of the engine and reduce the resistance of the intake air of the engine.
(2) From the state in which the rotating shaft 4 is rotating at a certain speed, the
(3) Based on the measured value, J is determined as J = T / α from the equation of motion T = Jα and used as a control parameter.
[0004]
The
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
The
In particular, the accuracy of a small displacement engine having a small engine moment of inertia has been poor.
[0006]
An object of the present invention is to provide a method of measuring the moment of inertia that enables highly accurate measurement of the moment of inertia.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
In the first aspect of the present invention, an engine and a dynamometer are directly connected via a rotating shaft, and the engine is detected while detecting acceleration and rotational angular acceleration via a torque meter and a speed detector while accelerating / decelerating the engine. In what is being tested
The engine torque loss at the arbitrary speed of the engine is detected and stored in advance, and the stored torque loss at the corresponding time is calculated from the torque value measured at the arbitrary speed at the time of the engine test. The absolute value of A is the inertia of the engine when the angular acceleration (rad / s 2 ) is X, the torque detection correction value is Y, and the linear function Y = AX + B in the least square method. It is characterized by measuring as a moment.
[0008]
According to a second aspect of the present invention, the torque detection correction value is obtained by linear interpolation, and the engine speed when calculating the torque detection correction value is the upper and lower speeds closest to the engine speed when measuring the moment of inertia of the engine. It is characterized by correcting by.
[0009]
A third aspect of the present invention is characterized in that the data collection at the time of the engine test excludes a predetermined time at the start and end of each measurement section.
[0010]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
FIG. 1 shows an embodiment of the present invention. The same parts as those in FIG.
[0011]
FIG. 2 shows an engine loss detection state in the
This loss detection is performed prior to the test of the
[0012]
FIG. 3 is an enlarged view of a divided step portion, and detection of the shaft rotation speed and shaft torque at each step causes a slight delay between the speed command and the actual speed following the command. Therefore, the sampling of each signal waits until the speed becomes stable, for example, if the time of the parallel portion of each stage is 5 seconds, the
FIG. 4 shows an image example of the engine speed and torque in the result. NO. These show each division | segmentation stage (rotation speed) in FIG. When acquiring measurement data via an A / D converter, sampling is performed through a low-pass filter whose cutoff frequency is a certain frequency or less in order to avoid aliasing noise.
[0013]
The inertia moment is measured by the same procedure as the conventional (1) to (3) described above.
[0014]
FIG. 5 shows an example of a data collection state during acceleration / deceleration operation during an engine test. The engine is changed while accelerating and decelerating between the idle (designated minimum) rotational speed Ni and the maximum rotational speed Nm. The rotational speed is controlled, and the torque of the engine shaft in each section at that time is detected by the torque meter 3.
The
[0015]
The torque signal detected by the
[0016]
[Expression 1]
Torque detection correction value: Tn−Tm = Tn− (Sn−S 1 ) / (S 2 −S 1 ) × (T 2 −T 1 ) (1)
That is, the loss Tm for each engine speed obtained by measuring the engine loss for each measurement is subtracted from the torque detection value Tn to obtain a torque detection correction value. The correction method performed by linear interpolation as shown in Figure 7, S 1 and S 2, the value of the current detected torque Tn is the engine speed above and below the closest sampled point on the engine speed Sn which are detected applied Is done.
[0017]
The detected torque value corrected by the
The angular acceleration α (rad / s 2 ) in each of the
The solution by the least square method is based on the equation (2).
[0018]
[Expression 2]
[0019]
The calculated moment of inertia J is output to the
[0020]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, since the moment of inertia of the engine is calculated in consideration of the torque error based on the mechanical loss of the engine, the accuracy is improved. Therefore, when the measured moment of inertia of the engine is applied to the control parameter of the mechanical system, effective control becomes possible.
In addition, since the measured moment of inertia becomes highly accurate, when the measured value is applied to mechanical system resonance suppression control, the upper limit value of the input signal level for the mechanical system failure strength can be obtained with high precision. It has effects such as the ability to prevent the mechanical system from being destroyed.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a control block diagram showing an embodiment of the present invention.
FIG. 2 is an engine torque loss measurement mode diagram.
FIG. 3 is a measurement mode diagram for each stage (rotation speed).
FIG. 4 is an image diagram of measurement results.
FIG. 5 is a mode diagram of acceleration / deceleration operation.
FIG. 6 is an explanatory diagram of measurement data collection.
FIG. 7 is an explanatory diagram of correction of a detected torque value.
FIG. 8 is an explanatory diagram of engine moment of inertia.
FIG. 9 is a schematic diagram of a conventional engine test apparatus.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF
Claims (3)
前記エンジンの任意回速度時におけるエンジントルク損失分を予め検出して記憶し、エンジン試験時における対応した前記任意速度時で測定されたトルク値より、前記記憶された当該相当時間におけるトルク損失分を減算してトルク検出補正値とし、前記角加速度(rad/s2)をX,トルク検出補正値をYとし、最小二乗法で一次関数Y=AX+Bとした場合のAの絶対値をエンジンの慣性モーメントとして測定することを特徴としたエンジンの慣性モーメント測定方法。The engine and dynamometer are directly connected via a rotating shaft, and the engine test is performed while detecting the engine torque and the rotational angular acceleration via a torque meter and a speed detector while accelerating / decelerating the engine.
The engine torque loss at the arbitrary speed of the engine is detected and stored in advance, and the stored torque loss at the corresponding time is calculated from the torque value measured at the arbitrary speed at the time of the engine test. The absolute value of A is the inertia of the engine when the angular acceleration (rad / s 2 ) is X, the torque detection correction value is Y, and the linear function Y = AX + B in the least square method. A method for measuring the moment of inertia of an engine characterized by measuring as a moment.
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