JP4022562B2 - 紙幣識別方法 - Google Patents
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Description
このような紙幣識別装置において使用される検出部には、光源としての発光ダイオードおよび受光部としてのフォトトランジスタを一体に組み込んだ、集光レンズを備えない反射形光センサが使用されるのが一般的である。そしてこのような反射形光センサは比較的短い焦点距離を持つのが特徴であり、その結果焦点がずれた場合の検出特性は例えば図7に示すように出力される電気信号の出力レベルが二乗カーブで変化することから、紙幣識別装置内部での検出部の取り付け作業を綿密に行う必要があり、生産性に支障をきたすという課題がある。
また、前記標準出力パターンを作成するステップは、前記走査した複数の紙幣の平均的な出力パターンと、該出力パターンのばらつきを考慮して良と判定するための規格範囲とを合わせて、標準出力パターンとすることを特徴とする。
(第1の実施の形態)
まず、紙幣識別装置10の構成について説明する。
装置本体12の内部には、装置本体12に設けられた投入口14から投入された紙幣16を搬送路Aに沿って、同じく装置本体12の内部に設けられたストッカ18まで搬送する搬送機構20が設けられている。
また、第1プーリ24と第2プーリ26との間には、受ローラ28が軸線を中心として回動自在に配置されている。そして、第1プーリ24と受ローラ28のそれぞれには対向して押圧ローラ30a、30bが配置され、押圧ローラ30aと第1プーリ24との間、押圧ローラ30bと受ローラ28との間で、送りベルト22を挟圧する。
第2プーリ26の装置本体12の奥側に向く側面に対向して、この側面との間に紙幣16が進入することができるだけの隙間が空く状態で、断面半円弧状の反転ガイド32が配置されている。
光源36は、一例として発光ダイオード36aと、発光ダイオード36aに電流を流すための駆動部としてのトランジスタ36bとから構成できる。この構成により、トランジスタ36bに供給されるベース電流を制御することによって、トランジスタ36bのコレクタ側に流れる電流、すなわち発光ダイオード36aに流れる電流を制御でき、発光ダイオード36aの光量が制御できる。なお、トランジスタ36bに代えてFET等の半導体素子を使用することも可能である。
受光部38は、一例としてフォトセンサ38aと、フォトセンサ38aから出力される電気信号を増幅し、電気信号のレベルを後段のA/D(アナログ/ディジタル)変換器の入力電圧範囲に合わせる第1アンプ38bと、第1アンプ38bから入力されたアナログ信号としての電気信号を、ディジタルデータに変換し、バス40に出力するA/D変換器38cとから構成することができる。
調節部44は、光源36の光量を調節する機能を有する。
詳細には、一例としてバス40からのディジタルデータを受けて、データの内容に応じたレベルのアナログ信号を出力するD/A(ディジタル/アナログ)変換器44aと、D/A変換器44aが出力するアナログ信号を、トランジスタ36bが駆動できるように増幅する第2アンプ(若しくはバッファ)44bとから構成することができる。
またCPU46は、バス40を介して検出部34が検出した出力パターンを読み取り、予め測定されて記憶部48に記憶された標準出力パターンと比較することで紙幣16を識別する判定部としても機能する。なお、制御部と判定部を、別々の回路要素で構成するようにしても良い。
図1では、上記構成の内、調節部44とCPU46と記憶部48とを合わせて制御ユニットとして表示されている。
次に、この調節を行った状態で、識別を行う紙幣を何枚も走査する。
次に、それら紙幣の各出力パターンを統計的に処理し、平均的な出力パターンと、出力パターンのばらつき等を考慮して良と判定のための規格範囲とを決定し、平均的な出力パターンと規格範囲とを合わせて全体として標準出力パターンとする。
まず、光源36の光量を一定に保つために使用する参照用電圧の登録(測定・記憶)動作について図3を用いて説明する。
まず、搬送路A上の所定の位置に不図示の反射標準片を配置し、検出部34の光源36から照射された光が反射標準片で反射されて受光部38に入射するようにする(ステップ100)。例えば、投入口14に挿入された反射標準片を、制御部が搬送機構20を作動させて装置本体12内に引き込み、反射標準片が光源36からの光を受光部38へ反射させる前記所定の位置に移動したら搬送機構20を停止する。
発光ダイオード36aから出射された光は反射標準片で反射され、フォトセンサ38aに入力される。そしてフォトセンサ38aが出力する電気信号(アナログ信号)は第1アンプ38bで増幅され、A/D変換器38cに入力される。
そして、制御部は、A/D変換器38cからのデータが規定レベルに達していない場合には、D/A変換器44aに入力するデータを増やし、一方、規定レベルを越えている場合にはD/A変換器44aに入力するデータを減らす(ステップ108)。つまり、光源36の光量を調節する。
そして、その後搬送機構20を逆に動作させて反射標準片を投入口14側に搬送して投入口14から突出させ、反射標準片によって光源36からの光が遮られていた参照反射板42に光が照射されるようにする。これにより、参照反射板42からの反射光が受光部38に入射する(ステップ110)。
次に、制御部では、この状態でのA/D変換器38cからのデータを、バス40を介して取り込み、参照反射板42からの反射光のレベルを測定し(ステップ112)、基準レベルとして記憶部48に記憶する(ステップ114)。
この基準レベルの記憶動作は、通常は紙幣識別装置10の製造後の出荷前の調整段階で行うようにする。
まず、電源が投入されると、制御部が各構成要素の初期化を行う。また、紙幣16が投入されていない状態において、検出部34を介して参照反射板42からの反射光の光量をチェックし、つまりA/D変換器38cから出力されるデータをチェックし、このデータが正常かどうか、すなわちこのデータが予め記憶部48に記憶された基準レベルと同じであるか否かを調べる(ステップ200)。
そして、異なる場合には、制御部は、D/A変換器44aに入力するデータを増減することで、光源36の光量を調節する(ステップ202)。
そして、ステップ200〜ステップ202を繰り返し、A/D変換器38cの出力データを基準レベルに一致させる。
次に、CPU46は判定部として動作し、ステップ206で取り込んだ出力パターンと記憶部48に記憶してある標準出力パターンとを比較し、紙幣16の識別を行う(ステップ208)。
一方、ステップ208において、紙幣16からの出力パターンが標準出力パターンと同じになり、検査された紙幣16が本物(合格)であると判断した場合には、ステップ212の採用ルーチンを実行する。具体的には、この採用ルーチンでは制御部は搬送機構20を制御して、紙幣16をさらに装置本体12の奥方向へ搬送し、最終的にストッカ18内に収容する。
以上が、紙幣識別装置10の動作である。
本実施の形態の紙幣識別装置の基本構成は、前述の第1の実施の形態と同じであり、同じ構成については同じ符号を付し、説明は省略する。
そして識別方法の基本的な考え方も、第1の実施の形態と同じであり、紙幣16の識別を行う際には、前もって光源36の光量のチェックを行い、この光量がシフトしている場合、つまりA/D変換器38cからの出力データが基準レベルになっていない場合には、内蔵された参照反射板42を利用して自動的に光源36の光量を修正する点が特徴点となっている。
まず、基準レベルの決定手法について図5を用いて、第1の実施の形態と比較しながら説明する。
第1の実施の形態では前述のように、まず搬送路A上に反射標準片を配置して、この反射標準片からの反射光の光量が、標準出力パターンを作成した際の光量(この反射光を受光した受光部38からの出力が規定レベルとなる光量)と同じになるように光源36を調節した後に、参照反射板42からの反射光を受光した受光部38が出力するデータを基準レベルとしているのに対し、本実施の形態では、第1の実施の形態と同じ標準出力パターンを使用することを前提として、まず最初に、光源36を発光させ(ステップ300)、参照反射板42からの反射光の光量(具体的には受光部38からの出力レベル)を測定する(ステップ302)。
なお、ここで基準レベルは、搬送路A上に反射標準片を配置し、この反射標準片からの反射光を受光した受光部38が出力する電気信号のレベルを規定レベルとして調整して標準出力パターンを作成した際の、参照反射板42からの反射光を受光した受光部38が出力するレベルを使用するようにしても良い。
そして検出したこのレベルで、前述の規定レベルを除し、比例定数を算出し、求めたこの比例定数を記憶部48に記憶する(ステップ312)。
そして、判定部ではステップ208の合否判定において、求めた算出パターンと標準出力パターンとを比較して紙幣の識別を行う。
他の、ステップは第1の実施の形態と同じであり、同じ符号を付し、説明は省略する。
また、紙幣識別装置個々に、その部品の組み付け位置や、部品の特性がばらついていることによって、その検出特性が異なってくるが、やはり参照反射板42を用いて、その反射光を受光した受光部38からの出力が基準レベルとなるように光量調節した後、装置個々の比例定数を算出して出力パターンに比例定数を乗ずることで、共通の標準出力パターンを使用して紙幣識別が行える。
本実施の形態の紙幣識別装置の基本構成および動作は、前述の第1の実施の形態と類似しており、同じ構成については同じ符号を付して説明は省略し、相違する構成や動作についてのみ説明する。
相違する構成は、第1の実施の形態では、調節部44は光源36の光量を調節する機能を有するものであったのに対し、本実施の形態では図8に示すように、検出部38の第1アンプ38bを、そのゲインを調整可能な構成としておいて、調節部44はこの第1アンプ38bのゲインを調節する機能を有するものとなっている。
なお、本実施の形態でも、図3や図4の動作フローに従って動作するが、図3のステップ108や図4のステップ202は、「光源の光量調節」に代えて、「検出部のゲイン調節」となる。
本実施の形態の紙幣識別装置の基本構成や動作は、前述の第2の実施の形態と類似しており、同じ構成については同じ符号を付して説明は省略し、相違する構成や動作についてのみ説明する。
相違する構成は、第2の実施の形態では、調節部44は光源36の光量を調節する機能を有するものであったのに対し、本実施の形態では第3の実施の形態と同様に図8に示すように、検出部38の第1アンプ38bを、そのゲインを調整可能な構成としておいて、調節部44はこの第1アンプ38bのゲインを調節する機能を有するものとなっている。
また、上述した「検出部のゲイン調節」という概念には、D/A変換器44aを介しての発光ダイオード36aの光量調節や検出部38の第1アンプ38bのゲイン調節以外にも、例えば検出部38のA/D変換器38cから出力されたディジタルデータを直接加工して補正することも含まれるものとする。この場合には、調節部はCPU46が兼ねることになる。
例えば、図2に示す構成において、D/A変換器44aを、トランジスタ36bを直接駆動可能なものとすれば、第2アンプ44bは使用しなくても良い。図8でも同様。また、同様にフォトセンサ38aを、A/D変換器38cの入力電圧範囲に適したものとすれば、第1アンプ38bは不要となる。
また、CPU46に、A/D変換機能やD/A変換機能が内蔵されたものを使用すれば、A/D変換器38cやD/A変換器44aは不要となる、等である。
16 紙幣
16a 紙幣の検査面
16b 紙幣の非検査面
20 搬送機構
34 検出部
36 光源
38 受光部
42 参照反射板
44 調節部
48 記憶部
A 搬送路
Claims (4)
- 紙幣識別装置の紙幣の搬送路上に表面が白一色の反射標準片を配置し、搬送路に沿って搬送される紙幣の検査面に光を照射するための光源から、反射標準片に光を照射し、反射標準片からの反射光を受光した受光部が出力する電気信号のレベルが予め決められた規定レベルになるように、光源の光量を調節するステップと、
該調節を行った状態で、前記光源と前記受光部とを有する検出部により、前記搬送路に沿って搬送される複数の紙幣を走査して電気信号の出力パターンを検出し、該検出した複数の紙幣の出力パターンに基づいて、標準出力パターンを作成するステップとを行い、
前記標準出力パターンが記憶部に記憶された各紙幣識別装置において、
出荷前の調整段階では、
各紙幣識別装置の紙幣の搬送路上に表面が白一色の反射標準片を配置し、搬送路に沿って搬送される紙幣の検査面に光を照射するための光源から、反射標準片に光を照射し、反射標準片からの反射光を受光した受光部が出力する電気信号のレベルが前記規定レベルになるように、光源の光量を調節するステップと、
該調節した光量における、前記搬送路の紙幣の非検査面側に配置された参照反射板からの反射光を受光した受光部が出力する電気信号のレベルを検出するステップと、
該検出した電気信号のレベルを基準レベルとして記憶部に記憶させるステップとを行い、
紙幣の識別を行う際には、
前記参照反射板からの反射光を受光した受光部が出力する電気信号のレベルを検出しつつ、該検出したレベルが記憶部に記憶された前記基準レベルに等しくなるように前記光源の光量を調節するステップと、
前記光源と前記受光部とを有する検出部により、前記搬送路に沿って搬送される紙幣の検査面を走査して紙幣固有の電気信号の出力パターンを検出するステップと、
該検出した出力パターンと記憶部に記憶された前記標準出力パターンとを比較することで前記紙幣を識別するステップとを行うことを特徴とする紙幣識別方法。 - 前記受光部は、フォトセンサと、フォトセンサから出力される電気信号を増幅するアンプと、アンプから入力されたアナログ信号としての電気信号をディジタルデータに変換するA/D変換機とから構成され、
前記受光部が出力する電気信号のレベルが前記規定レベルになるよう前記調節を行った際に前記A/D変換器に入力される電圧が、A/D変換器の入力電圧範囲を越えないよう設定されていることを特徴とする請求項1記載の紙幣識別方法。 - 前記標準出力パターンを作成するステップは、前記走査した複数の紙幣の平均的な出力パターンと、該出力パターンのばらつきを考慮して良と判定するための規格範囲とを合わせて、標準出力パターンとすることを特徴とする請求項1または2記載の紙幣識別方法。
- 前記受光部が出力する電気信号のレベルが前記規定レベルになるよう前記調節を行う際に、前記光源の光量を調節するのに替えて、受光部のゲインを調節するとともに、
前記受光部が出力する電気信号のレベルが前記基準レベルになるよう前記調節を行う際に、前記光源の光量を調節するのに替えて、受光部のゲインを調節することを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項記載の紙幣識別方法。
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