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JP4022051B2 - ソフトバッグ及びその製造方法 - Google Patents

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JP4022051B2
JP4022051B2 JP2001195295A JP2001195295A JP4022051B2 JP 4022051 B2 JP4022051 B2 JP 4022051B2 JP 2001195295 A JP2001195295 A JP 2001195295A JP 2001195295 A JP2001195295 A JP 2001195295A JP 4022051 B2 JP4022051 B2 JP 4022051B2
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孝彰 勝原
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂製のソフトシートからなる袋体に関し、特にソフトシートの外周縁面同士が接合され、かつ、その外周縁面部に貫通孔を有する袋体(ソフトバッグ)であって、透析バッグや輪液バッグ等の医療用バッグや飲料バッグ等に使用される袋体及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ソフトバッグは、ペットボトル等のハード状の中空体に比べて、袋体の内容物を使用した後は、小さく折り畳んで処理できるので、持ち運びが容易であり、かつ、廃品処理が容易である。そのため、需要は高く、最近では、ソフトバッグは点滴用バッグ・透析用バッグ等の医療用バッグ、飲料用バッグ、詰め替え用バッグ等に幅広く使用されている。しかし、これらのソフトバッグは本体がソフトシートであるため、取り扱いが比較的難しく、外周縁面の接合処理に苦慮している。一般的には、重ね合わせられたソフトシートの間に管路用の部品を手作業で挿入し、その後、ソフトシートの周囲を熱溶着しているものが多い。
【0003】
例えば、現在使用されている医療用バッグ等のソフトバッグは、その本体が、別々の2枚の可撓性合成樹脂シートを重ね合わせて形成されたものやチューブ状の可撓性合成樹脂シートから形成されたものがある。本発明では、どちらも重ね合わされたシートとして説明する。この重ね合わされた可撓性合成樹脂シートの外周縁面に注液口部材等を手作業で挿入してから該外周縁面を熱溶着して、袋状の医療用バッグを製造している。
【0004】
一般的な医療用バッグの製造工程を説明する。例えば、医療用バッグは、図15、図16に示すように、1、2枚のシートが重なり合った原反を所定の長さに枚葉カットし、2、カットした枚葉の周辺を溶着(ベターシール)して2枚のシートの外周縁面同士を接合し、3、製品形状にトリミングカットし、4、シート表面に説明文・絵図等を印刷し、5、2枚のシートの接合してない部分の間に注液口部材を挿入して注液口部材と2枚のシートとを溶着し、注液口部材の一部にチューブを取付けている。その後、外観検査・抜取検査をしている。
【0005】
例えば、特開平8−117317号公報では、1、チューブ状のシートを押し出し、2、押し出したシートに口部を溶着し、3、このシートの外周縁面を押圧して融着し、4、融着した部分を製品形状にトリミングカットする一連の工程が開示されている。また、特開平8−117318号公報では、1、2枚の合成樹脂製シートの間に輪液口を置き、2、このシートの外周縁面を押圧して融着し、3、融着した部分を袋形状に切断するものが開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記製造方法では、注液口等の管路部材を2枚のシート間に手作業で挿入し、2枚のシートと管路部材とを熱溶着している。そのためこの手作業工程に手間取り、成形時間(成形サイクル)が長くなり、量産性に劣る。コストアップの要因にもなっている。その上、管路部材と2枚のシート間との接合が不十分であり、バッグ本体の強度が不足している。特開平8−117318号公報では、管路部材とシートとの接合強度を確保するために、管路部材の基部外周に土手状の突起を形成しているが、それでも溶着が十分でない場合がある。
【0007】
シートと管路部材を熱溶着することによる上記課題を解決することを目的として、本発明は、別の管路部材を2枚のシート間に挿入するのではなく、射出成形によりシートの外周縁面同士のシールと同時に管路形成を行なうことにより、管路をシートに一体に形成・接合したソフトシ−ト袋体およびその成形方法を提供することにある。
【0008】
本発明は、特に、射出される合成樹脂で、ソフトシートの外周縁面が接合されると同時に貫通管路が同時に合成樹脂で成形され、かつソフトシート外周縁面の外側が上記射出樹脂で覆われたソフトシート袋体およびその成形方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、重ね合わされたソフトシートの少なくとも一部の外周縁面同士が、射出成形された合成樹脂で覆われて接合シールされるとともに、該外周縁面同士には、該ソフトシートの内部空間と外部とを貫通する中空部を有する貫通管路が該射出成形された合成樹脂で接合シール部分と同時に形成され、該貫通管路の該合成樹脂層は重ね合わされたソフトシートの該外周縁面同士の外側に位置して形成されているソフトバッグであり、シート外周縁面の接合時の合成樹脂と同じ合成樹脂で貫通管路を形成できるので、貫通管路とソフトシートとの密着が良好であり、かつ製造コストを大幅に低減できる
【0010】
請求項記載の発明は、両端部が開放された1枚のチューブ状シートからなり、該チューブ状シートの一方端部同士が射出成形された合成樹脂で覆われて接合シールされ、他方端部同士が該射出成形された合成樹脂で覆われて接合シールされるとともに、該他方端部同士には、該ソフトシートの内部空間と外部とを貫通する中空部を有する貫通管路が該射出成形された合成樹脂で接合シール部分と同時に形成され、該貫通管路の該合成樹脂層が該チューブ状シートの外側に形成されているソフトバッグであり、ソフトシート端部がめくれることなく確実に貫通管路に密着され、かつ製造コストを大幅に低減できる。
【0011】
なお、一方外周縁面にも接合シールと貫通管路を形成するようにしても良い。
【0012】
請求項記載の発明は、2枚の矩形状ソフトシートが重ね合わされ、そのソフトシート内部に空間が形成されたソフトバッグであって、該ソフトシートの三方の外周縁面同士が射出成形された合成樹脂で覆われて接合シールされ、残りの外周縁面同士が該射出成形された合成樹脂で覆われて接合シールされるとともに、該残りの外周縁面同士には、該ソフトシートの内部空間と外部とを貫通する中空部を有する貫通管路が該射出成形された合成樹脂で接合シール部分と同時に形成され、該貫通管路の該合成樹脂層が該ソフトシートの外側に形成されている構成であり、シート外周縁面の密着及び貫通管路の形成・密着が高品質で達成できる。なお、三方の外周縁面にも接合シールと貫通管路を形成するようにしても良い。
【0013】
請求項記載の発明は、ね合わされたソフトシートを射出成形用分割金型の一方の金型にセットし、該ソフトシートの外周縁面からスライドコアの先端を該ソフトシート間に挿入し、該ソフトシートの該外周縁面及び該外周縁面に接触するスライドコアの外周面にキャビティを形成して、他方の金型を一方の金型に型合わせして型締めし、該キャビティに合成樹脂を射出することにより、該合成樹脂で該ソフトシートの該外周縁面同士を接合シールするとともに該ソフトシート間の内部空間と外部とを連通する中空部を有する貫通管路を該外周縁面同士の外側に該射出された合成樹脂で接合シール部分と同時に形成する製造方法であり、射出成形された合成樹脂によりシート外周縁面同士が接着されると同時に同じ材料で貫通管路が形成されるので、作業工程が短縮され、低コストで製造できると共にシートと貫通管路との密着性が優れており、ソフトバッグの強度が向上できる。
【0014】
請求項記載の発明は、ね合わされた長尺ソフトシートを所定の長さに切断し、切断されたソフトシートの外周縁面を所定形状にカットし、カットされたソフトシートを射出成形用分割金型の一方の金型にセットし、該ソフトシートの外周縁面からスライドコアの先端を該ソフトシート間に挿入し、該ソフトシートの該外周縁面及び該外周縁面に接触するスライドコアの外周面にキャビティを形成して、他方の金型を一方の金型に型合わせて型締めし、該キャビティに合成樹脂を射出することにより、該合成樹脂で該外周縁面同士を接合シールするとともにソフトシート間の内部空間と外部とを連通する中空部を有する貫通管路を該外周縁面同士の外側に該射出された合成樹脂で接合シール部分と同時に形成する製造方法であり、一連の工程作業を連続して行うことができ、量産性に優れている。
【0015】
請求項記載の発明は、請求項又は請求項記載のソフトバッグの製造方法において、重ね合わされたソフトシートを射出成形用分割金型の一方の金型にセットする前に、ソフトシートの外周縁面同士が離間する方向にソフトシートの外周縁面を一旦分離するので、シート同士が密着したようにくっついたものであっても、スライドコアの先端がソフトシートを破損することなくスムーズに挿入でき、歩留まりが向上する。
【0016】
請求項記載の発明は、請求項ないし請求項のいずれか1つに記載のソフトバッグの製造方法において、ソフトバッグが医療用バッグであり、その外周縁面に合成樹脂を射出してシール部を形成すると同時に該シール部に吊り下げ用の開口部を形成する医療用バッグの製造方法であり、少ない工程で医療用バッグを生産でき、生産性が向上すると共に低コスト化が可能である。
【0017】
請求項記載の発明は、請求項ないし請求項のいずれか1つ記載のソフトバッグの製造方法において、ソフトシートの外周縁面からスライドコアの先端を該ソフトシート間に挿入し、該ソフトシートの外周縁面及び該外周縁面に接触するスライドコアの外周面にキャビティを形成して、他方の金型を一方の金型に型合わせして型締めした後、該キャビティに合成樹脂を射出する前に、該スライドコアの外周に位置するシート外周縁面をスライドコア外周に押圧する押圧手段を有するので、シート外周縁面を覆うようにその外周に合成樹脂を確実に射出できる。
【0018】
請求項記載の発明は、請求項記載のソフトバッグの製造方法において、該押圧手段がスライドコア外周に対し接離方向にスライド可能に該金型に設けられたスライドピンを有するので、射出初期にシート外周縁面の外周に合成樹脂を確実に射出でき、かつスライドピンを移動させた後に合成樹脂を充填できるので、シート外周縁面を確実にシールできる。
【0019】
請求項1記載の発明は、請求項または請求項記載のソフトバッグの製造方法において、該ソフトシート外周縁面同士を接合する部分において、一方の金型には該ソフトシートを貫通する突出部が設けられ、他方の金型には該突出部を受ける溝部が設けられ、金型の型締め時、該突出部を該溝部に挿入してソフトシートを挟持するので、接合する外周縁面の位置決めを確実にでき、接合ずれを防止できる。
【0020】
請求項1記載の発明は、請求項1記載のソフトバッグの製造方法において、前記突出部がソフトシート外周に対し接離方向にスライド可能に前記金型に設けられたスライドピンに形成されているので、射出初期にシート外周縁面に合成樹脂を確実に射出でき、かつスライドピンを移動させた後に合成樹脂を充填できるので、シート外周縁面を確実にシールできる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係わる透析用の薬液バッグ1を示す。図2は図1の薬液バッグ1の製造工程を示す。図3は本発明の実施形態に係わる射出成形金型20の概略模式図を示す。図4、図5は、本発明の実施形態に係わる射出成形金型20の部分図を示す。
【0022】
図1に示す医療用バッグは透析用の薬液バッグ1であり、バッグ本体2を有する。このバッグ本体2は、筒状に形成された可撓性樹脂製のソフトシートSからなり、このバッグ本体2の内部には、薬液収納部3、4が形成されている。薬液収納部3、4は、ソフトシートSの外周縁面における側部S1及び底部S2にそれぞれ対応する側部31、41及び底部32、42がシールされ、且つ底部32、42同士がお互いに連通路5で連通可能になっており、さらにソフトシートSの外周縁面における端部S0に対応する薬液収納部3,4の端部30,40には管路が設けられている。
【0023】
薬液収納部3の端部30に、注入管路6及び混注口7が設けられている。注入管路6は薬液収納部3の内部及び外部に開口する管路体6aを有し、この管路体にチューブ(図示せず)が接続されるようになっており、薬液収納部3内の薬液の供給・排出に用いられる。混注口7は、薬液収納部3の内部及び外部に開口する筒状体7aと、この筒状体7aの先端部に折曲げ分離可能に形成されたキャップ部7bからなり、薬液収納部3内への薬液の注入・混入等に用いられる。薬液収納部3の端部30の数箇所に穴8が設けられ、この穴8は薬液バッグの吊り下げ用の開口として使われる。
【0024】
薬液収納部4の端部40に、注入管路10及びサンプリング口11が設けられている。注入管路10は薬液収納部4の内部及び外部に開口する管路体10aを有し、この管路体10aにチューブ(図示せず)が接続されるようになっており、液収納部4内の薬液の供給・排出に用いられる。サンプリング口11は、薬液収納部4の内部及び外部に開口する筒状体11aと、この筒状体11aの外部側開口部を密封する弾性栓11bを有し、出荷前の薬液バッグ1の抜き取り検査時や薬液の補充等に用いられる。薬液収納部4の端部40の中央部分に長穴9が設けられ、この長穴9は薬液バッグ1の手持ち用或は吊り下げ用の開口として使われる。
【0025】
図2ないし図5により、この実施形態の薬液バッグ1の製造工程を説明する。(a)筒状のソフトシートSからなる長尺原反が用意され、(b)この原反が所定長さに枚葉カットされ、(c)次に、図1のような医療用バッグの外形状にカット型内でトリミングカットされる。そして、(d)ソフトシートSの外表面に説明文や絵等が印刷された後、(e)射出成形用金型20にセットされる。
【0026】
次に、(f)射出成形用金型20では、図3ないし図5に示すように、射出成形用金型の下型21にソフトシートSがセットされる。その後、射出成形用金型の上型22が下降されるとともにソフトシートS間に管路形成用のスライドコア23の先細先端23aが挿入される。射出成形用金型の上型22が下降されて、ソフトシートSの側部S1、底部S2及び端部S0に臨んで、図4に示すように、キャビティ24aが形成され、図5に示すように、スライドコア23の外周面23bにも臨むようにキャビティ24bが形成された状態で型締めされる。図3は、3プレートタイプの射出成形装置20であって、型締め時のソフトシートSの端部S0及び底部S2のシール部分を模式的に示す概略図であり、上型22に充填口25が設けられ、下型21にエジェクト機構26(一部のみ図示)が設けられている。上型22及び下型21には、図示してないが、キャビティ24a,24bにつながる真空引き機構が設けられており、合成樹脂がキャビティ24a,24bに導入された時、該キャビティ24a,24b内のガスを吸引するようになっている。
【0027】
この実施形態では、スライドコア23が上型22の上下動と連動してスライドするが、必ずしも連動しなくても良く、例えば、独立してスライドするものであっても良い。
【0028】
更に次に、(g)合成樹脂が射出され、このキャビティ24a,24bに充填されて、ソフトシートSの側部S1及び底部S2がこの合成樹脂で接合される。端部S0はこの合成樹脂で接合されるとともに合成樹脂製シール層27が形成される。これにより、袋状の薬液収納部3と薬液収納部4が形成される。薬液収納部3のシール層27には、注入管路6の管路体6aが一体に形成される。なお、混注口7は特殊形状であり、この実施形態では、別部品からなる混注口7がソフトシートS間に挿入セットされている。薬液収納部4のシール層28には、注入管路10の管路体10a及びサンプリング口11の筒状体11aが一体に形成される。なお、サンプリング口11の弾性栓11bは後から取付けられる。
【0029】
射出成形後、上型22を上昇させるとともにスライドコア23を後退させて型開きし、成形したソフトバッグをエジェクト機構26でエジェクトして、下型21から取り外す。後は、従来と同様に、(h)薬液収納部3と薬液収納部4の連通路5をクランプして組付け、(i)次に外観検査・抜取検査を経て、(j)集積箱に詰められる。
【0030】
この実施形態では、ソフトシートSの外表面への説明文や絵図等の印刷をトリミングカット工程後に行ったが、印刷工程はトリミングカット工程後から隔壁クランプ組付け工程のどこかの工程で行えばよいものである。また、医療用バッグの種類によっては、印刷を必要としないものもあり、その場合には、印刷工程を省略できる。
【0031】
また、この実施形態は、薬液収納部3の内部空間及び外部とに開口する筒状体7aと、この筒状体7aの先端部に折曲げ分離可能に形成されたキャップ部7bからなる混注口7を有する透析用の薬液バッグ1であったが、透析用の薬液バッグの種類によっては、混注口7を有しないものもあり、その場合には混注口7用部材をソフトシートS間に挿入セットする必要がなく、ソフトシートSの周囲のシールと同時に管路を射出成形材料で形成することができる。
【0032】
図6は第2実施形態に係わり、図2と同様な図を示す。この実施形態は、ソフトシートS同士が1枚のシートのように密着しており、スライドコア23をシートS間に滑らかに挿入することが困難な場合の薬液バッグ1の製造方法であって、図2と異なる点を説明する。トリミングカット工程後、トリミングカットの金型内でソフトシートSの端部S0同士が一旦分離する方向に吸引され、後工程でのスライドコア23が挿入されやすい状態に準備される。そして、射出成形用金型に搬入される。この実施形態では、スライドコア23が滑らかにソフトシートS間に挿入されるので、ソフトシートSを傷つけることがなく、歩留まりを低減できる。
【0033】
シートSの外表面への説明文や絵図等の印刷を必要とする場合には、トリミングカット工程後から隔壁クランプ組付け工程のどこかで行えばよいものであって、この実施形態では説明を省略した。
【0034】
図7は、本発明を点滴用バッグに適用した場合であって、第3実施形態を示す。この実施形態では、バッグ本体200内部に輪液収納部300が形成されている。ソフトシートSの端部S0、側部S1及び底部S2にそれぞれ対応するバッグ本体200の端部301、側部311及び底部321が、射出成形された合成樹脂で接合されている。端部301のシール層280には、輪液収納部300と外部とを連通する貫通管路60が、シール層280と同じ合成樹脂で一体に形成されている。貫通管路60の口部に段部61が形成され、この段部61には、成形後にゴム系の蓋部材62が挿入固定されるようになっている。底部321のシール層270には、吊り下げ用の穴80が形成されている。
【0035】
この実施形態では、バッグ本体200の端部301、側部311及び底部321に対応する部位に合成樹脂を射出して、ソフトシートSの端部S0、側部S1及び底部S2を接合するとともに管路60を同時に形成できるものであり、接合強度の優れたソフトバッグを製造でき、量産性に優れたものである。
【0036】
図8は第4実施形態に係わり、第1実施形態の図4と同様な図であって、金型を省略した図を示す。射出成形用金型(図示せず)にソフトシートSがセットされ、ソフトシートSの外周縁面に合成樹脂Gの射出成形用空間Kが形成される。金型を閉じると同時に、ソフトシートSの外周縁面を部分的にピンP1で挟持し、ソフトシートSの移動を阻止する。このピンP1はソフトシートSの外周縁から該ソフトシートSの内方へ数mm〜数10mm離間して設けてある。特に、ソフトシートSの外周縁面の間に管路形成用のスライドコア(図示せず)の先細先端が挿入される部分については、スライドコアにソフトシートSが接触するようにピンP1で押し付ける。このことにより、ソフトシートSとスライドコア間に隙間が生じることを防止し、この隙間に樹脂Gが充填されることを防止する。即ち、ピンP1でソフトシートSをスライドコアに押し付けることにより、樹脂GがソフトシートSと金型との空間Kに充填されるようにする。
【0037】
特に、上記空間K即ち、ソフトシートSの外側に射出樹脂Gが充填されて、この樹脂Gで貫通管路を形成するので、ソフトシートSと貫通管路との間に隙間は無く密着性が非常に良い。
【0038】
図9は第5実施形態に係わり、第4実施形態の図8と同様な図を示す。この実施形態では、ソフトシートSの外周縁面が金型空間Kに飛び出す量Xを、1〜1.5mmぐらいとして、該外周縁面の動きの影響を少なくしたものである。このように外周縁面の飛び出し量Xを少なくすると、樹脂Gの充填時にソフトシートSの外周縁面が少し動いたとしても、ソフトシートSと金型との空間Kがつぶされることが無いので、この空間Kに樹脂Gを充填できる。
【0039】
図10及び図11は第6実施形態に係わり、図10は第4実施形態の図8と同様な図を示す。この実施形態では、ピンがスライドピンP2からなっている。このスライドピンP2は、図10に示すように、合成樹脂Gを射出する前に、金型の空間K内に突出し、ソフトシートSの外周縁面を両側から挟むように保持する。そして、合成樹脂Gを射出して所定時間たった後に、図11に示すように、スライドピンP2は引っ込み、スライドピンP2で挟持していた部分にも樹脂Gが充填される。この実施形態では、ソフトシートSの外周縁面に樹脂Gが一部充填されるまで該ソフトシートSの外周縁面を保持し、その後スライドピンP2を引っ込めるので、空間Kに十分に樹脂Gが充填され、かつスライドピンP2の接触部分にも樹脂Gが充填される。
【0040】
図12は第7実施形態に係わり、第4実施形態の図8と同様な図を示す。この実施形態では、管路形成用のスライドコアCの部分を示す。特に、スライドコアC周りは、スライドコアCでソフトシートSを開けるために、離されたソフトシートSが金型に密着する方向に動きやすい。そして、樹脂GはソフトシートSとスライドコアC間に充填されやすくなる。このことが進むと、ソフトシートSと金型との空間Kに樹脂Gが充填されず、ソフトシートSの外周縁面が外に見える状態になり、外観上好ましくない。その上、特にスライドコアCで広げたソフトシートSと重なり合っているソフトシートSとの境界部分のシール性が非常に問題となる。
【0041】
この実施形態では、3本のスライドピンP3を設け、このスライドピンP3でソフトシートSをスライドコアCに接する方向に押圧し、ソフトシートSと金型間に空間Kが維持されるようにしている。スライドピンP3の先端部はスライドコアCの外形に沿う形状、即ち傾斜面に形成されている。
【0042】
従って、この空間Kに樹脂Gが充填されるので、スライドコアCで広げたソフトシートSと重なり合っているソフトシートSとの境界部分に樹脂Gが充填されなくても、その外側に樹脂Gが充填されており、この部分のシール洩れはまったく問題ない。また、外側に樹脂Gが充填されるのでソフトシートSの外周縁面が外観上見えるようになることが防止される。
【0043】
なお、ソフトシートSと金型との空間Kが確保され、この空間に樹脂Gが充填されれば、射出成形用の樹脂GがソフトシートSとスライドコアC間に少しは充填されても構わないものである。
【0044】
図13及び図14は、第8実施形態に係わり、図13は第4実施形態の図8と同様な図を示し、図14は成形後の薬液バッグBを示す。
【0045】
一方の金型には、図13に示すように、先端側の突出した部分が薬液バッグBの外周部を貫通して穴S3を開口するスライドピンP4が設けられ、他方の金型には、このスライドピンP4の先端側を受ける溝部Mが設けられている。型締め時、図13に示すように、スライドピンP4が溝部Mに挿入され、シートSの外周縁面が位置決め固定される。その状態で樹脂Gが充填される。なお、この実施形態では、スライドピンP4と溝部Mは固定式であるが、第6実施形態のように移動するようにしてもよい。図14に示すように、薬液バッグBの角部や中間部をこのスライドピンP4で固定すれば、ソフトシートSの外周縁面のずれが防止でき、品質の安定した薬液バッグBが得られる。
【0046】
本発明では、上述した実施形態をいろいろ組み合せて使用することも可能である。例えば、固定式のピンとスライド式のピンを組み合せて、部分で使い分けることも可能である。また、第8実施形態で説明した先端側に突出部が形成されたピンと組み合せて使用することも可能である。
【0047】
本発明では、ソフトシートSの外周縁面が金型に密着し、ソフトシートSと金型との空間Kが無くなり、この空間Kに樹脂Gが充填できなくなることを防止できればよいものである。ソフトシートS間やソフトシートSとスライドコアC間に樹脂が充填されることで、ソフトシートSと金型との空間Kが無くなり、この空間Kに樹脂Gが充填できなくなるということが発生しなければ、ソフトシートS間やソフトシートSとスライドコアC間に樹脂Gが充填されても構わないものである。
【0048】
本発明でいう重ねられた2枚のソフトシートSは、別々のシートが2枚重ねられたものだけでなく、長い筒状即ち、チューブ状になったシートを所定の長さでカットしたもので、その外周縁面における両端部S0がそれぞれシールされておらず、かつ既にその側部S1がお互いに一体になったシートも含まれる。また、2枚とはバッグ本体を構成する表裏で2枚ということであって、表側シートや裏側シートが2重や3重等の多重になったものも含まれる。
【0049】
なお、ソフトシートS間のシールと同時に一体で成形することが困難な特殊な管路は、例えば、薬液バッグ1の混注口7等は従来どおりソフトシートS間に挿入しても良い。
【0050】
上記の実施形態では、本発明を透析用バッグ、点滴用バッグでに適用した場合で説明したが、他の医療用バッグにも適用できるものである。更に、本発明は、本体がソフトシートSからなり、端部、側部および底部がお互いに接合され、かつ端部に管路が形成されたソフトシート製ソフトバッグに適用できるものであり、医療用バッグに限らず、飲料用のソフトバッグや詰め替え用ソフトバッグにも適用できるものである。
【0051】
【発明の効果】
本発明では、重ね合わされたソフトシートの一方外周縁面が射出成形された合成樹脂で接合シールされ、他方外周縁面が該射出成形された合成樹脂で接合シールされるとともに、該他方外周縁面には、貫通管路が該射出成形された合成樹脂で形成されるので、貫通管路とソフトシートとの密着が良好であり、かつ製造コストを大幅に低減できる。
【0052】
また、射出される樹脂からなる貫通管路が該ソフトシートの内部と外部とを貫通する中空部を有するとともに、該貫通管路の樹脂層は重ね合わされたソフトシートの外側に位置して形成されたソフトバッグとすることで、ソフトシート外周縁面がめくれることなく、確実に貫通管路に密着されるとともに、シート外周縁面が出ないので外観上も好ましい。
【0053】
本発明では、重ね合わせられたソフトシートの外周縁面の接合、貫通管路の一体成形、貫通管路とソフトシートの接合を1つの射出成形金型内で同時に行うことができるので、成形サイクルが短く量産性に優れている。特に、貫通管路の形成とソフトシートへの接合を同時に行い得るので、お互いの接合強度が強固であり、ソフトバッグの強度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係わる透析用の薬液バッグを示す。
【図2】 図1の薬液バッグの製造工程を示す。
【図3】 本発明の第1実施形態に係わる射出成形金型の概略図である。
【図4】 本発明の第1実施形態に係わる射出成形金型の部分図を示す。
【図5】 本発明の第1実施形態に係わる射出成形金型の他の部分図を示す。
【図6】 本発明の第2実施形態に係わり、図2と同様な図を示す。
【図7】 本発明の第3実施形態に係わり、点滴用ソフトバッグを示す。
【図8】 本発明の第4実施形態に係わり、第1実施形態の図4と同様な図を示す。
【図9】 本発明の第5実施形態に係わり、第4実施形態の図8と同様な図を示す。
【図10】 本発明の第6実施形態に係わり、第4実施形態の図8と同様な図を示す。
【図11】 本発明の第6実施形態に係わり、スライドピンが引いた状態を示す
【図12】 本発明の第7実施形態に係わり、第4実施形態の図8と同様な図を示す。
【図13】 本発明の第8実施形態に係わり、第4実施形態の図8と同様な図を示す。
【図14】 本発明の第8実施形態に係わり、成形後の薬液バッグを示す。
【図15】 従来の薬液バッグの製造工程を示す。
【図16】 図15の薬液バッグの製造工程を模式的に示した図である。
【符号の説明】
1 薬液バッグ
2 バッグ本体
3 薬液収納部
30 端部
31 側部
32 底部
4 薬液収納部
40 端部
41 側部
42 底部
5 連通路
6 注入管路
6a 管路体
7 混注口
7a 筒状体
7b キャップ部
8 穴
9 長穴
10 注入管路
10a 管路体
11 サンプリング口
11a 筒状体
11b 弾性栓
20 射出成形金型
21 下型
22 上型
23 スライドコア
23a 先端
23b 外周面
24a キャビティ
24b キャビティ
25 充填口
26 エジェクト機構
27 シール層
28 シール層
S ソフトシート
S0 端部(外周縁面)
S1 側部(外周縁面)
S2 底部(外周縁面)
200 バッグ本体
300 薬液収納部
301 端部
311 側部
321 底部
60 管路
80 穴
P3 スライドピン
P4 スライドピン
M 溝部
270 シール層
280 シール層

Claims (11)

  1. 重ね合わされたソフトシートの少なくとも一部の外周縁面同士が、射出成形された合成樹脂で覆われて接合シールされるとともに、該外周縁面同士には、該ソフトシートの内部空間と外部とを貫通する中空部を有する貫通管路が該射出成形された合成樹脂で接合シール部分と同時に形成され、該貫通管路の該合成樹脂層は重ね合わされたソフトシートの該外周縁面同士の外側に位置して形成されていることを特徴とするソフトバッグ。
  2. 両端部が開放された1枚のチューブ状シートからなり、該チューブ状シートの一方端部同士が射出成形された合成樹脂で覆われて接合シールされ、他方端部同士が該射出成形された合成樹脂で覆われて接合シールされるとともに、該他方端部同士には、該ソフトシートの内部空間と外部とを貫通する中空部を有する貫通管路が該射出成形された合成樹脂で接合シール部分と同時に形成され、該貫通管路の該合成樹脂層が該チューブ状シートの外側に形成されていることを特徴とするソフトバッグ。
  3. 2枚の矩形状ソフトシートが重ね合わされ、そのソフトシート内部に空間が形成されたソフトバッグであって、該ソフトシートの三方の外周縁面同士が射出成形された合成樹脂で覆われて接合シールされ、残りの外周縁面同士が該射出成形された合成樹脂で覆われて接合シールされるとともに、該残りの外周縁面同士には、該ソフトシートの内部空間と外部とを貫通する中空部を有する貫通管路が該射出成形された合成樹脂で接合シール部分と同時に形成され、該貫通管路の該合成樹脂層が該ソフトシートの外側に形成されていることを特徴とするソフトバッグ。
  4. 重ね合わされたソフトシートを射出成形用分割金型の一方の金型にセットし、該ソフトシートの外周縁面からスライドコアの先端を該ソフトシート間に挿入し、該ソフトシートの該外周縁面及び該外周縁面に接触するスライドコアの外周面にキャビティを形成して、他方の金型を一方の金型に型合わせして型締めし、該キャビティに合成樹脂を射出することにより、該合成樹脂で該ソフトシートの該外周縁面同士を接合シールするとともに該ソフトシート間の内部空間と外部とを連通する中空部を有する貫通管路を該外周縁面同士の外側に該射出された合成樹脂で接合シール部分と同時に形成することを特徴とするソフトバッグの製造方法。
  5. 重ね合わされた長尺ソフトシートを所定の長さに切断し、切断されたソフトシートの外周縁面を所定形状にカットし、カットされたソフトシートを射出成形用分割金型の一方の金型にセットし、該ソフトシートの外周縁面からスライドコアの先端を該ソフトシート間に挿入し、該ソフトシートの該外周縁面及び該外周縁面に接触するスライドコアの外周面にキャビティを形成して、他方の金型を一方の金型に型合わせて型締めし、該キャビティに合成樹脂を射出することにより、該合成樹脂で該外周縁面同士を接合シールするとともにソフトシート間の内部空間と外部とを連通する中空部を有する貫通管路を該外周縁面同士の外側に該射出された合成樹脂で接合シール部分と同時に形成することを特徴とするソフトバッグの製造方法。
  6. 前記重ね合わされたソフトシートを射出成形用分割金型の一方の金型にセットする前に、該ソフトシートの外周縁面同士が離間する方向に該ソフトシートの外周縁面を一旦分離し、該スライドコアの該先端が挿入されやすい状態にすることを特徴とする請求項又は請求項記載のソフトバッグの製造方法。
  7. 前記ソフトバッグが医療用のバッグであり、その外周縁面に合成樹脂を射出してシール部を形成すると同時に該シール部に吊り下げ用の開口部を形成することを特徴とする請求項ないし請求項のいずれか1つに記載のソフトバッグの製造方法。
  8. 前記ソフトシートの外周縁面からスライドコアの先端を該ソフトシート間に挿入し、該ソフトシートの外周縁面及び該外周縁面に接触するスライドコアの外周面にキャビティを形成して、他方の金型を一方の金型に型合わせて型締めした後、該キャビティに合成樹脂を射出する前に、該スライドコアの外周に位置するシート端面をスライドコア外周に押圧する押圧手段を設けたことを特徴とする請求項ないし請求項のいずれか1つに記載のソフトバッグの製造方法。
  9. 前記押圧手段がスライドコア外周に対し接離方向にスライド可能に前記金型に設けられたスライドピンを有することを特徴とする請求項記載のソフトバッグの製造方法。
  10. 前記ソフトシート外周縁面同士を接合する部分において、一方の金型には該ソフトシートを貫通する突出部が設けられ、他方の金型には該突出部を受ける溝部が設けられ、金型の型締め時、該突出部を該溝部に挿入してソフトシートを挟持することを特徴とする請求項または請求項記載のソフトバッグの製造方法。
  11. 前記突出部は、ソフトシート外周に対し接離方向にスライド可能に前記金型に設けられたスライドピンに形成されていることを特徴とする請求項1記載のソフトバッグの製造方法。
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