JP4009807B2 - Hub unit - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスクブレーキ装置のディスクロータおよび車輪が取り付けられるハブユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のハブユニットを図3に示す。図例のハブユニット101は、車両の駆動輪側に使用されるもので、ハブホイール102の外周に対して複列転がり軸受103を装着した構成になっている。
【0003】
このハブユニット101のハブホイール102は、図4に示すように、ドライブシャフトアッセンブリ104を介して車両のデファレンシャル装置105に連結される。このハブホイール102の軸方向外端部に一体形成される径方向外向きのフランジ102aの外面には、ディスクブレーキ装置のディスクロータ106および車輪(図示省略)があてがわれた状態で取り付けられる。そして、ハブユニット101の複列転がり軸受103の外輪103aに一体形成される径方向外向きのフランジ103bが車体107などに対してボルト止めされる。
【0004】
ドライブシャフトアッセンブリ104は、シャフト108の両端に等速ジョイント109,110を取り付けた構成である。なお、両端の等速ジョイント109,110について、ハブユニット101側に配置されるものをアウトボード側等速ジョイント109とし、デファレンシャル装置105側に配置されるものをインボード側等速ジョイント110とする。
【0005】
アウトボード側等速ジョイント109は、一般的に周知のCVJ(Constant Velocity Joint)と呼ばれるもので、その外輪109aと一体の軸部109bがハブホイール102の中心孔に対してスプライン嵌合されるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例では、アウトボード側等速ジョイント109をハブユニット1の内側に隣り合わせに配設しているので、アウトボード側の等速ジョイント109の傾動支点と複列転がり軸受103の軸方向中央位置とが軸方向に離されている。そのため、当該等速ジョイント109のトルク伝達時や偶力発生時においてハブユニット101の複列転がり軸受103に対して過大な曲げモーメントが作用することになり、複列転がり軸受103の寿命低下につながる。
【0007】
また、図4に示すように、アウトボード側等速ジョイント109がデファレンシャル装置105に対して高低差Hを付けた状態で設置される状況では、アウトボード側等速ジョイント109の傾動支点からシャフト108とデファレンシャル装置105との連結部位までの水平直線距離L2を長くすれば、シャフト108の傾き角度つまりジョイント角度θ2を小さくできるのであるが、アウトボード側等速ジョイント109をハブユニット1の内側に隣り合わせに配設している関係より、前記水平直線距離L2が短くなっている。そのため、トルク伝達時に発生する偶力が大きくなって複列転がり軸受103に対して付与される振動が大きくなりやすいなど、複列転がり軸受103の寿命低下につながる他、等速ジョイント109を覆うブーツ(図示省略)の屈曲量が大きくなってブーツの寿命低下をもたらす。
【0008】
ところで、上記従来例では、図3中のクロスハッチングで示すようにアウトボード側の等速ジョイント109の外輪109aの内周面(ボール軌道面)や軸部109bのスプライン部を硬化させているが、上述した曲げモーメントを緩和するには、外輪109aと軸部109bとの連接部分について非硬化として靭性を確保することが重要になるために、前述した外輪109aの内周面や軸部109bのスプライン部に対して局部的に硬化処理を施す必要があるなど、硬化処理が複雑になるなど加工コストが高くつく結果になっている。
【0009】
このような事情に鑑み、本発明は、ハブユニットにおいて、主として、複列転がり軸受の寿命向上を図ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明第1のハブユニットは、車輪が取付けられるとともに、外周に複列転がり軸受が取付けられ、内周に等速ジョイント外輪部が形成されたハブホイールにおいて、前記複列転がり軸受の二列の軌道間の軸方向中央位置に前記等速ジョイントの傾動支点が配置され、前記複列転がり軸受は、前記ハブホイールの外周面に一体に形成された一方の内輪と、前記ハブホイールの外周面に外嵌された他方の内輪とを備え、他方の内輪が、ハブホイールの等速ジョイント外輪部の軸方向内端に形成したかしめ部により、ハブホイールに取付けられ、前記ハブホイールは、前記かしめ部を除く全体が硬化されている、ことを特徴としている。
【0015】
以上、本発明では、複列転がり軸受の軸方向中央位置に対して等速ジョイントの傾動支点を配置させる構成にしているから、等速ジョイントのトルク伝達時や偶力発生時においてハブユニットの複列転がり軸受に対して曲げモーメントが作用せずに済む。さらに、等速ジョイントの傾動支点からシャフトとデファレンシャル装置との連結部位までの水平直線距離が従来例に比べて長くなって、シャフトの傾き角度つまりジョイント角度が従来例に比べて小さくなるから、複列転がり軸受に対して振動が加わりにくくなる。
【0016】
また、ハブホイールに等速ジョイントの外輪や複列転がり軸受の片側内輪を一体化して兼用させていれば、部品点数が少なくて済む。しかも、このような一体化構造では、上述したように曲げモーメントが発生しないことに伴い、従来例のように等速ジョイントの外輪部分に靭性領域を確保する必要がなくなるから、ハブホイールにおいて等速ジョイントの外輪部分や複列転がり軸受の片側内輪部分を硬化するにあたって、従来例のように局部的な硬化処理を施さずに全体的に硬化処理することが可能になるなど、硬化処理が簡単に行える点で有利となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の詳細を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0018】
図1および図2は本発明の一実施形態を示している。図1は、ハブユニットの縦断側面図、図2は、ハブユニットの使用形態を示す模式図である。
【0019】
図例のハブユニット1は、ハブホイール2の外周に複列外向きアンギュラ玉軸受などの複列転がり軸受3が、ハブホイール2の内周に等速ジョイント4が組み込まれた構成になっている。
【0020】
ハブホイール2は、有底円筒形の本体21の軸方向外端に径方向外向きのフランジ22を設けた形状である。
【0021】
複列転がり軸受3は、ハブホイール2の本体21において軸方向内端側に外嵌される単一軌道を有する内輪31と、二列の軌道溝を有する単一の外輪32と、二列で配設される複数の玉33と、二つの冠形保持器34とを備えており、前述のハブホイール2の本体21の外周面を一方内輪とする構成になっている。
【0022】
等速ジョイント4は、一般的に周知のCVJ(Constant Velocity Joint)と呼ばれるものであるが、ここでは、ハブホイール2の本体21を外輪とする構成になっている関係上、内輪41と、複数の玉42と、保持器43とを備える。
【0023】
そして、ハブホイール2の軸方向外端部に一体形成される径方向外向きのフランジ22の外面に対して、ディスクブレーキ装置のディスクロータ5および車輪(図示省略)があてがわれた状態で取り付けられ、複列転がり軸受3の外輪32に一体形成される径方向外向きのフランジ35が車体6などに対してボルト止めされる。また、等速ジョイント4は、図2に示すような形態でシャフト7を介して車両のデファレンシャル装置8に対して連結される。なお、シャフト7は、その軸端が等速ジョイント4の内輪41に対してスプライン嵌合されて止め輪9などで抜け止め固定される。
【0024】
これにより、シャフト7の回転動力が、等速ジョイント4を介してハブホイール2に取り付けられてある車輪(図示省略)に対して伝達される。
【0025】
なお、上記等速ジョイント4は、通常、シャフト7と、シャフト7の他端に取り付けられる等速ジョイント10とでドライブシャフトアッセンブリを構成するものであるが、この実施形態のハブユニット1では、上記等速ジョイント4を組み込んでいるから、ドライブシャフトアッセンブリと合体した製品とすることができる。
【0026】
ところで、図1中のクロスハッチングで示すように、ハブホイール2において等速ジョイント4の外輪となる領域や複列転がり軸受3の片側内輪となる領域は、等速ジョイント4の玉42や複列転がり軸受3の玉33の軌道面となるので、そこを焼入れにより硬化させている。この硬化については、前述した2つの領域のみを局部的に施してもよいし、ハブホイール2において軸方向内端のかしめ部分を除く全体に対して施してもよい。
【0027】
このように、ハブユニット1に対して等速ジョイント4を一体化して、この等速ジョイント4の傾動支点を複列転がり軸受3の軸方向中央位置に配置していれば、等速ジョイント4のトルク伝達時や偶力発生時においてハブユニット1の複列転がり軸受3に対して曲げモーメントが作用せずに済む。しかも、等速ジョイント9の傾動支点からシャフト7とデファレンシャル装置8との連結部位までの水平直線距離L1が従来例に比べて長くなって、シャフト7の傾き角度つまりジョイント角度θ1が従来例に比べて小さくなるから、複列転がり軸受3に対してジョイント角度が要因となる起動力が小さくなる。したがって、複列転がり軸受3の寿命向上が可能となる。この他、ジョイント角度θ1が小さくなることに伴い等速ジョイント4に付設されるブーツ(図示省略)の屈曲量が小さくなって、その破損寿命が向上することになる。
【0028】
また、ハブホイール2に等速ジョイント4の外輪や複列転がり軸受3の片側内輪を一体化して兼用させていれば、部品点数が少なくて済む。しかも、このような一体化構造では、上述したように曲げモーメントが発生しないことに伴い、従来例のように等速ジョイント4の外輪部分に靭性領域を確保する必要がなくなるから、ハブホイール2において等速ジョイント4の外輪部分や複列転がり軸受3の片側内輪部分を硬化するにあたって、従来例のように局部的な硬化処理を施さずに全体的に硬化処理することが可能になるなど、硬化処理が簡単に行える点で有利となる。
【0029】
なお、本発明は上記実施形態のみに限定されるものではなく、種々な応用や変形が考えられる。
【0030】
(1)上記実施形態では、ハブホイール2に等速ジョイント4の外輪や複列転がり軸受3の片側内輪を一体化して兼用させているが、これらを別体にしたものも本発明に含まれる。
【0031】
【発明の効果】
本願発明では、等速ジョイントのトルク伝達時や偶力発生時においてハブユニットの複列転がり軸受に対して曲げモーメントが作用せずに済む他、等速ジョイントの傾動支点からシャフトとデファレンシャル装置との連結部位までの水平直線距離が従来例に比べて長くなって、シャフトの傾き角度つまりジョイント角度が従来例に比べて小さくなるから、複列転がり軸受に対して振動が加わりにくくなり、結果的に複列転がり軸受の寿命向上に貢献できるようになる。この他、ジョイント角度が小さくなることに伴い等速ジョイントに付設されるブーツ(図示省略)の屈曲量が小さくなって、その破損寿命が向上することになる。
【0032】
特に、本願発明では、ハブホイールに複列転がり軸受の片側内輪を一体化して兼用させているから、部位点数が少なくて済んでイニシャルコストの低減に貢献できるようになる。
【0033】
また、本願発明では、上述したように、ハブホイールにおいて等速ジョイントの外輪部分や複列転がり軸受の片側内輪部分を硬化しているから、ハブホイールの強度確保が可能となる。しかも、この場合、上述したように曲げモーメントが発生しないことに伴い、従来例のように等速ジョイントの外輪部分に靱性領域を確保する必要がなくなるから、ハブホイールにおいて等速ジョイントの外輪部分や複列転がり軸受の片側内側部分を硬化するにあたって、従来例のように局部的な硬化処理を施さずに全体的に硬化処理することが可能となるなど、硬化処理を簡略化できて製造コストの低減に貢献できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるハブユニットの縦断側面図
【図2】図1のハブユニットの使用形態を示す模式図
【図3】従来例にかかるハブユニットの縦断側面図
【図4】図3のハブユニットの使用形態を示す模式図
【符号の説明】
1 ハブユニット
2 ハブホイール
3 複列転がり軸受
4 等速ジョイント
5 ディスクロータ
6 車体
7 シャフト
8 デファレンシャル装置
21 ハブホイール2の本体
22 ハブホイール2のフランジ[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a hub unit to which a disc rotor and wheels of a disc brake device are attached.
[0002]
[Prior art]
A conventional hub unit of this type is shown in FIG. The
[0003]
As shown in FIG. 4, the
[0004]
The
[0005]
The outboard side
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
In the above conventional example, the outboard side
[0007]
In addition, as shown in FIG. 4, in a situation where the outboard side
[0008]
In the above conventional example, as shown by cross hatching in FIG. 3, the inner peripheral surface (ball raceway surface) of the
[0009]
In view of such circumstances, an object of the present invention is to mainly improve the life of a double row rolling bearing in a hub unit.
[0010]
[Means for Solving the Problems]
The first hub unit of the present invention is a hub wheel in which a wheel is attached, a double row rolling bearing is attached to the outer periphery, and a constant velocity joint outer ring portion is formed on the inner periphery . A tilting fulcrum of the constant velocity joint is disposed at an axial center position between the tracks, and the double row rolling bearing is formed on one outer ring integrally formed on the outer peripheral surface of the hub wheel, and on the outer peripheral surface of the hub wheel. And the other inner ring is attached to the hub wheel by a caulking portion formed at an axially inner end of the constant velocity joint outer ring portion of the hub wheel, and the hub wheel is connected to the caulking portion. The whole is hardened except for .
[0015]
As described above, in the present invention, the tilt fulcrum of the constant velocity joint is arranged with respect to the axial center position of the double row rolling bearing. A bending moment does not act on the row rolling bearing. Furthermore, since the horizontal linear distance from the tilting fulcrum of the constant velocity joint to the connecting portion of the shaft and the differential device is longer than that of the conventional example, the shaft inclination angle, that is, the joint angle is smaller than that of the conventional example. Vibration is less likely to be applied to the row rolling bearing.
[0016]
If the hub wheel is integrated with the outer ring of the constant velocity joint and the inner ring on one side of the double row rolling bearing, the number of parts can be reduced. In addition, in such an integrated structure, since no bending moment is generated as described above, it is not necessary to secure a toughness region in the outer ring portion of the constant velocity joint as in the conventional example. When curing the outer ring part of the joint and the inner ring part of one side of the double row rolling bearing, it is possible to perform the entire curing process without applying a local curing process as in the conventional example. It is advantageous in that it can be done.
[0017]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The details of the present invention will be described based on embodiments shown in the drawings.
[0018]
1 and 2 show an embodiment of the present invention. FIG. 1 is a longitudinal side view of the hub unit, and FIG. 2 is a schematic view showing a usage form of the hub unit.
[0019]
The
[0020]
The
[0021]
The double
[0022]
The constant velocity joint 4 is generally referred to as a well-known CVJ (Constant Velocity Joint), but here, because of the configuration in which the
[0023]
Then, the
[0024]
As a result, the rotational power of the
[0025]
The constant velocity joint 4 normally constitutes a drive shaft assembly with the
[0026]
By the way, as shown by cross hatching in FIG. 1, the region that becomes the outer ring of the constant velocity joint 4 and the region that becomes the inner ring on one side of the double
[0027]
As described above, if the constant velocity joint 4 is integrated with the
[0028]
Further, if the
[0029]
In addition, this invention is not limited only to the said embodiment, Various application and deformation | transformation can be considered.
[0030]
(1) In the above-described embodiment, the outer ring of the constant velocity joint 4 and the one-side inner ring of the double
[0031]
【The invention's effect】
In the present invention, a bending moment does not need to act on the double row rolling bearing of the hub unit at the time of torque transmission of the constant velocity joint or when a couple of forces is generated, and the shaft and the differential unit are Since the horizontal linear distance to the connection part is longer than in the conventional example and the shaft tilt angle, that is, the joint angle, is smaller than in the conventional example, vibration is less likely to be applied to the double row rolling bearing. This will contribute to the improvement of the service life of double row rolling bearings. In addition, as the joint angle becomes smaller, the amount of bending of the boot (not shown) attached to the constant velocity joint becomes smaller, and the breakage life is improved.
[0032]
In particular, in the present invention, since the single-side inner ring of the double row rolling bearing is integrated with the hub wheel, the number of parts can be reduced, and the initial cost can be reduced.
[0033]
In the present invention, as described above, since the outer ring portion of the constant velocity joint and the one-side inner ring portion of the double row rolling bearing are hardened in the hub wheel, the strength of the hub wheel can be ensured. In addition, in this case, since no bending moment is generated as described above, it becomes unnecessary to secure a toughness region in the outer ring portion of the constant velocity joint as in the conventional example. When curing the inner part of one side of a double row rolling bearing, it is possible to simplify the curing process, such as making it possible to perform the entire curing process without applying a local curing process as in the conventional example. Can contribute to reduction.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a vertical side view of a hub unit according to an embodiment of the present invention. FIG. 2 is a schematic view showing a usage pattern of the hub unit of FIG. 1. FIG. 4] Schematic diagram showing how the hub unit of FIG. 3 is used [Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF
Claims (1)
前記複列転がり軸受の二列の軌道間の軸方向中央位置に前記等速ジョイントの傾動支点が配置され、
前記複列転がり軸受は、前記ハブホイールの外周面に一体に形成された一方の内輪と、前記ハブホイールの外周面に外嵌された他方の内輪とを備え、
他方の内輪が、ハブホイールの等速ジョイント外輪部の軸方向内端に形成したかしめ部により、ハブホイールに取付けられ、
前記ハブホイールは、前記かしめ部を除く全体が硬化されている、ことを特徴とするハブユニット。In a hub wheel in which a wheel is mounted, a double row rolling bearing is mounted on the outer periphery, and a constant velocity joint outer ring portion is formed on the inner periphery,
The tilting fulcrum of the constant velocity joint is arranged at the axial center position between the two rows of raceways of the double row rolling bearing,
The double row rolling bearing comprises one inner ring integrally formed on the outer peripheral surface of the hub wheel, and the other inner ring externally fitted on the outer peripheral surface of the hub wheel,
The other inner ring is attached to the hub wheel by a caulking portion formed at the axially inner end of the constant velocity joint outer ring portion of the hub wheel,
The hub unit is characterized in that the hub wheel is entirely cured except for the caulking portion .
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