JP4008096B2 - 車体フレーム構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は自動2輪車の車体フレーム構造、特にそのピボットプレート構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動2輪車の車体フレームにはエンジンの後方にこれを支持するためのピボットプレートを設け、かつこのピボットプレートにリヤフォークの前端部を軸支するピボット部を設けることは知られている。このピボットプレートはエンジンの大荷重と後輪からの衝撃荷重が加わるため高剛性が要求され、アルミ鋳造品を用いることもある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のようにピボットプレートをアルミ鋳造品にするとコストが大幅にアップするので、これを鉄板等のプレス成形品にできれば、コスト的に最も好ましいものとなる。しかし、鉄板のプレス品を用いる場合、大型にすると高剛性を得にくいため、左右一対をなすフレーム部材の各コーナー部等を利用して比較的小型のものを溶接で取付けるなど、構造並びに配置場所等に制約があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本願発明に係る車体フレーム構造は、エンジン後方にそのエンジンを支持するためのピボットプレートを配置し、このピボットプレートに設けたピボット部にてリヤフォークを上下方向へ揺動自在に支持する自動2輪車において、上記ピボットプレートをプレス成形にて対向する一対の左右両側壁を備えるように形成し、これら側壁の一部に凹凸部を形成し、この凸部部分に上記ピボット部を設けるとともに、前記ピボットプレートは車体中心上に1つで設けられ、前記ピボットプレートの凸部はリブで構成され、左右に貫通するピポットパイプはリブの表面で溶接されることを特徴とする。
【0005】
【発明の効果】
ピボットプレートをプレス形成により一対の側壁を形成するように設け、このピボットプレートでエンジンを支持するとともに、側壁部に凹凸部を形成したので、高剛性かつ安価に製造でき、しかもこの凸部にピボット部を設けたので、ピボット部とピボットプレートとの結合剛性を高くでき、全体として十分な剛性が得られる。
【0006】
【発明の実施の形態】
まず、実施例が適用された自動2輪車の構造を概説する。図2は自動2輪車の外観における進行方向左側面図であり、この自動2輪車はアメリカンタイプとして構成され、ロングホイールベースをなす前輪1及び後輪2、キャスター角の大きなフロントフォーク3、ドロップハンドル4、涙滴型燃料タンク5並びに比較的取付位置の低いタンデムシート6、その後部に設けられた背もたれ7等の特徴的な構造を備えている。
【0007】
前後輪間に配置されたエンジン8は、空冷式のシリンダ部9が前後方向へ略水平に寝かされた水平型エンジンである。このエンジン8は、シリンダ部9上方に配置された気化器10から混合気を吸気し、シリンダ部9の下部から後方へ延出する排気管11及びマフラー12を介して排気される。
【0008】
気化器10は燃料タンク5から燃料を供給され、後方のエアクリーナ13より新気を供給される。また気化器10は、燃料タンク5の下方に左右一対で設けられるフロントサイドカバー14で挟まれた空間内へ配設されている。
【0009】
フロントサイドカバー14は燃料タンク5の前部下方かつシリンダ部9上方の空間内に設けられ、前端部はホーン15の側方を覆うとともに、ホーン15と気化器10の間にも各種電装品を配置するようになっている。なお、ホーン15も電装品である。
【0010】
エンジン8は側面視(図2)で略ループ状をなす車体フレームの前部に支持され、この前部はヘッドパイプ16、上部パイプ17、下部パイプ18及びピボットプレート20で構成され、上部パイプ17は車体中心に沿ってヘッドパイプ16から後方へ延びて燃料タンク5を支持するとともに、車体略中央部で屈曲して下方へ延びてピボットプレート20へ接続している。
【0011】
下部パイプ18は左右一対で設けられ、ヘッドパイプ16から車幅方向へ広がって下方へ延び、シリンダ部9の下方で屈曲してさらに後方へ向かい、側面視でピボットプレート20の側方へ重なるように延び、ここでピボットプレート20を貫通して車幅方向へ延びるクロスパイプ21(図2)と接続している。
【0012】
車体フレームの後部は、上部パイプ17の屈曲部から左右一対で略水平に後方へ延出してタンデムシート6を支持するシートレール22と、下部パイプ18と連続してピボットプレート20の側方から斜め上がりに後方へ延びてシートレール22の中間部へ接続するサイドフレーム23とで略トラス状に構成されている。
【0013】
ピボットプレート20には、リヤフォーク24の前端部がピボット軸25で上下方向へ揺動自在に支持され、このリヤフォーク24は後方へ延出してその後端部へ後輪2が回転自在に支持される。また、シートレール22とサイドフレーム23の連結部とリヤフォーク24の後端部間には緩衝器26が設けられている。
【0014】
後輪2はその側面に同心で設けられたドリブンスプロケット27とエンジン8のドライブスプロケット28間に巻き掛けられたチェーン29によりチェーン駆動される。
【0015】
フロントフォーク3は公知のテレスコピック式であり、その上部はボトムブリッジ30とトップブリッジ31を介してヘッドパイプ16へ回動自在に支持されている。ボトムブリッジ30には砲弾型のヘッドライト32及び左右一対のフロントウインカ33が支持され、トップブリッジ31上にはメータ34が支持されている。
【0016】
図中の符号35はフロントフェンダ、36はフロントナンバープレート、37はキャリヤ、38はリヤフェンダ、39はテールランプ、40はマッドガード、41はリヤウインカ、42はリヤナンバープレートである。
【0017】
さらに、43はチェンジペダルであって、シリンダ部9の下方となる前方位置に設けられている。44はライダー用ステップ、45はメインスタンド、46はサイドフレーム23へ取付けられるステップブラケットであり、その後端部にタンデム用ステップ47が取付けられている。
【0018】
次に、ピボットプレートの構造を説明する。図1はピボットプレートの拡大側面図、図3は車体フレームの全体側面図、図4はピボットプレートの上面視(図1のA矢示方向)図、図5は同背面視(同B矢示方向)図、図6は図1の6−6線におけるリヤフォークとの連結状態を示す断面図である。
【0019】
上部パイプ17の下部が当接するピボットプレート20は、横断面が前方へ開放された略コ字状をなし(図6)、一対の側壁50、50と、これらが連続する背面壁51を有し、背面壁51は車幅方向へ略平行である。
【0020】
但し、このピボットプレート20は車幅方向中央で、左右分割された略L字形断面をなす左右の分割体を向かい合わせにして中央で溶接一体化したものであり、背面壁51並びに後述する天井部の各中央に溶接された合わせ部52が形成されている。
【0021】
また、上部には前方へ突出する腕部53が形成され、その先端部にエンジンマウント54が支持されている。なお、これと同様のエンジンマウント55が側壁50の上下方向略中央部においても支持されている。
【0022】
この腕部53の上部は天井部56(図4)で覆われ、その中央部に上部パイプ17を通すための開口部57が形成され、かつ、中央部に立てリブ58が合わせ部52に沿って形成され、上部パイプ17へ溶接されるようになっている。
【0023】
左右の側壁50の上下方向各中央部にはピボットパイプ60が車幅方向へ貫通して横断し、その外周部は側壁50と全周溶接されている(図6)。このピボットパイプ60は本願発明のピボット部をなしている。
【0024】
ピボットパイプ60の軸方向両端にリヤアーム24の前端部左右に一対で形成された各アーム部61の先端ボス62が軸穴を一致させて配設され、一方側から長尺ボルト状のピボット軸25を各先端ボス62及びピボットパイプ60の軸穴に通して他方側から突出した軸端部をナット64により締結することにより、リヤフォーク24がピボットプレート20へ回動自在に支持されている。
【0025】
なお、左右の側壁50の各下部間にはクロスパイプ21が貫通横断し(図1)、その左右両端部が下部パイプ18へ溶接されており、下部パイプ18はこの溶接点からサイドフレーム23となって連続して後方へ延出している。
【0026】
このピボットプレート20は鉄板等の適宜金属をプレス成形して得られ、このとき同時に複数の凹凸部が側壁50から背面壁51にかけて形成される。本実施例の場合、上下方向へ3ヶ所の打ち出し状に突出するリブ66が凸部として形成され、このリブ66の周囲部分が相対的な凹部67となっている。
【0027】
このリブ66の水平方向端部68はアール(R)形状をなし、かつピボットプレート20の端部まで達しないように形成されている。これらのリブ66のうち、中央部分のリブ66に前記ピボットパイプ60が設けられている。
【0028】
次に、本実施例の作用を説明する。ピボットプレート20を鉄板等のプレス成形により形成したので、極めて成形効率がよくなる。しかも、左右分割体で構成するので、成形も容易である。
【0029】
また、プレス成形と同時にリブ66を形成するため、ピボットプレート20全体の剛性を高めることができるとともに、リブ66自体の成形も容易になる。さらに、ピボットパイプ60をリブ66により設けることにより、ピボットパイプ60と側壁50との結合剛性を高めることができる。特に左右の側壁50によりピボットパイプ60の支持点間のスパンLを長くできるので、それだけ捩れ剛性も高くすることができる。
【0030】
そのうえ、ピボットパイプ60及びクロスパイプ65を貫通横断させ、かつ上部パイプ17の下部を上下方向へ貫通させるとともに、それぞれと溶接することにより、これら上部パイプ17並びにピボットパイプ60及びクロスパイプ65によってもピボットプレート20の剛性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ピボットプレートの拡大側面図
【図2】自動2輪車の外観における進行方向左側面図
【図3】車体フレームの全体側面図
【図4】ピボットプレートの上面視(図1のA矢示方向)図
【図5】同背面視(同B矢示方向)図
【図6】図1の6−6線におけるリヤフォークとの連結状態を示す断面図
【符号の説明】
8:エンジン、17:上部パイプ、18:下部パイプ、20:ピボットプレート、25:ピボット軸、50:側壁、51:背面壁、60:ピボットパイプ、66:リブ
Claims (5)
- エンジン後方にそのエンジンを支持するためのピボットプレートを配置し、このピボットプレートに設けたピボット部にてリヤフォークを上下方向へ揺動自在に支持する自動2輪車において、上記ピボットプレートをプレス成形にて対向する一対の左右両側壁を備えるように形成し、これら側壁の一部に凹凸部を形成し、この凸部部分に上記ピボット部を設けるとともに、
前記ピボットプレートは車体中心上に1つで設けられ、前記ピボットプレートの凸部はリブで構成され、左右に貫通するピポットパイプはリブの表面で溶接されることを特徴とする車体フレーム構造。 - 前記ピボットプレートは横断面が前方へ開放された略コ字状をなし、一対の側壁とこれらが連続する背面壁とを有し、凹凸部が側壁から背面にかけて形成されていることを特徴とする請求項1に記載した車体フレーム構造。
- 前記ピポットブレートは上部に前方へ突出する腕部が形成され、この腕部の上部は天井部で覆われ、この天井部の中央部には開口部が設けられ、この開口部に通された車体フレームに前記天井部が溶接されることを特徴とする請求項1に記載した車体フレーム構造。
- 前記ピポットプレートの側壁には貫通穴が設けられ、この貫通穴にピポットパイプが挿通されて溶接されることを特徴とする請求項1に記載した車体フレーム構造。
- 前記ピポットプレートにクロスパイプを貫通横断させて溶接したことを特徴とする請求項1に記載した車体フレーム構造。
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