JP4003276B2 - 電池用電極およびそれを用いた二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電池用電極、さらには該電池用電極を用いた二次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ビデオカメラ、携帯電話、ノート型パソコン等のポータブル機器の普及に伴い、小型かつ軽量で高容量の二次電池に対する需要が高まりつつある。現在使用されている二次電池の多くはアルカリ電解液を使用したニッケル-カドミウム電池であるが、平均電池電圧が1.2Vと低いため、エネルギー密度を高くすることは困難である。そのため、負極に金属リチウムを使用した高エネルギー二次電池の研究が行われてきた。
【0003】
ところが、金属リチウムを負極に使用する二次電池では充放電の繰り返しによってリチウムが樹枝状(デンドライト)に成長し、内部短絡を起こして発火する危険性がある。また、活性の高い金属リチウムを使用するため、本質的に危険性が高く、民生用として使用するには問題が多い。近年、このような安全上の問題を解決し、かつリチウム電極特有の高エネルギーが可能なものとして、各種炭素質材料を使用したリチウムイオン二次電池が考案されている。この方法では、充電時、炭素質材料にリチウムイオンが吸蔵(ドーピング)され金属リチウムと同電位になり、金属リチウムの代わりに負極に使用できることを利用したものである。また、放電時にはドープされたリチウムイオンが負極から放出(脱ドーピング)されて元の正極材料に戻る。このような、リチウムイオンをドーピング可能な炭素質材料を負極として使用した場合には、デンドライト生成の問題も小さく、また金属リチウムが存在しないため、安全性にも優れており、現在活発に研究が行われている。
【0004】
上記の炭素質材料へのリチウムイオンのドーピングを利用した電池用電極を使用した二次電池としては、特開昭57-208079号公報、特開昭58-93176号公報、特開昭58-192266号公報、特開昭62-90863号公報、特開昭62-122066号公報、特開平2-66856号公報等が知られている。
【0005】
このような炭素質材料としては一般的に炭素粉末が使用されるが、この場合高電流出力特性が劣る問題があり、高電流出力を必要とする用途に使用するには問題があった。また、炭素粉末として黒鉛を使用した場合においては、充放電時の膨張収縮が大きいためサイクル特性が悪化するという問題があった。
【0006】
これを解決するものとして、炭素質材料に炭素繊維あるいは炭素繊維構造体を用いた電池用電極およびそれを用いた二次電池が提案されている。炭素繊維あるいは炭素繊維構造体を用いた電池用電極およびそれを用いた二次電池としては、特開昭60-36315号公報、特開昭60-54181号公報、特開昭62-103991号公報、特開昭62-154564号公報、特開昭63-58763号公報、特開平2-82466号公報等が知られている。
【0007】
また従来、炭素質材料を用いた電池用電極は、一般的に炭素質材料と結着材、導電材等からなる電極材料を溶媒に溶解、分散させることにより調製した電極材料ペーストを、集電体の片面もしくは両面に塗布し、乾燥することにより作製されており、また、それを用いた二次電池においては、一般的に、例えば図1に示すように、正極、負極、セパレータをスパイラル状に巻回した電極体が使用されている。
【0008】
このようなスパイラル状電極体によれば、帯状の正極及び帯状の負極は、比較的大きな面積を有するため、二次電池に大電流を流しても単位面積当たりの電流は小さく、この二次電池を重負荷状態で使用することが可能となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、正極シート、負極シート、セパレータをスパイラル状に巻回した電極体を有してなる電池は、電極体作製時に代表される電池作製時および電池使用時の内部短絡の発生率が高い。このため、電池作製時の歩留まりが低いという問題があり、また、電池使用時に内部短絡が発生すると、特に非水電解液二次電池は従来電池に比べてエネルギー密度が高いため、発熱、破裂、発火等を引き起こす危険性がある。内部短絡の発生原因の1つとして、スパイラル状電極体の正極と負極の間に介されたセパレータが、電極巻回時に電極シートから欠落したり、剥離したりした電極材料の一部により損傷を受けることが挙げられる。
【0010】
上記問題の解決のため、特開平5-335017号公報において示されるように負極活物質として所定の粒度分布を有する難黒鉛化炭素材料を使用するという提案がなされている。
【0011】
しかしながら、炭素繊維のような繊維状物質を電極材料に使用した場合、粉末を使用した場合と比較してセパレータを損傷する可能性が高いため、上記粒度分布範囲では電池作製時および電池使用時の内部短絡の発生を抑えることは困難であった。
【0012】
本発明は上記課題を解決しようとするものであり、高電流出力特性、サイクル特性に優れ、かつ電池作製時および使用時の内部短絡の発生率が低い二次電池を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は下記の構成を有する。
【0014】
「(1) 電極材料の少なくとも一部として炭素繊維を用いた電池用電極において、該炭素繊維は、50%累積径が15μm以下である粒度分布を有し、非晶性炭素繊維であり、かつポリアクリロニトリルから得られることを特徴とする電池用電極。
【0015】
(2) 上記(1)項の電池用電極を用いたことを特徴とする二次電池。」
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明における電池用電極は、集電体の片面もしくは両面に活物質と、場合によっては結着材、導電材等とを含む電極材料層を設けることにより作製される。
【0017】
本発明における集電体は金属が好ましく、金属を箔状、網状、ラス状等の形態にして使用することが可能であるが、これらは特に限定されるものではない。
【0018】
本発明における電池用電極は、あらゆる二次電池に使用可能であるが、優れた高電流出力特性およびサイクル特性を得るために、活物質の少なくとも一部として炭素繊維を使用することが必須である。
【0019】
本発明において使用される炭素繊維としては有機物を焼成したものが使用される。また、非晶性炭素繊維を使用する。具体的には、ポリアクリロニトリル(PAN)から得られるPAN系炭素繊維が挙げられる。これらの炭素繊維の中で、炭素繊維が使用される電極及び電池の特性に応じて、その特性を満たす炭素繊維が適宜選択されて使用され、またこれらは単独で使用しても、2種以上の混合物として使用しても差し支えない。アルカリ金属イオン、特にリチウムイオンのドーピングが良好であるという点で、PAN系炭素繊維が使用される。
【0020】
本発明における目的の達成のためには、炭素繊維は50%累積径が15μm以下であるような粒度分布を有することが必須である。50%累積径が上記範囲を上回る場合は、粒径の大きい炭素繊維がセパレータを損傷することにより、内部短絡が発生する可能性が高くなるため好ましくない。さらには1μm以上15μm以下の範囲であることが好ましい。また、50%累積径が15μm以下であるとともに、90%累積径が25μm以下であるような粒度分布を有するものを、さらには50%累積径が15μm以下であるとともに、90%累積径が25μm以下であるような粒度分布を有し、かつ40μm以上の粒子の含有率が体積比で0.1%以下であるようなものを使用すると内部短絡の発生がさらに確実に防止され、電池作製時の歩留まりおよび電池使用時の信頼性がなお一層高くなるため好ましい。なお、90%累積径は15μm以上25μm以下の範囲であることが好ましい。
【0021】
なお、本発明において、50%累積径、90%累積径とは、粒度分布図においてそれぞれ0μmから積分した体積が50%、90%となったときの粒径のことで、レーザー回折・散乱法を利用した粒度分布測定機により測定した値をいう。また、粒子の含有率についても同様の装置を使用して測定することができる。
【0022】
本発明において、上述したような粒度分布を有する炭素繊維を製造する方法としては特に限定されるものではないが、長繊維を粉砕する方法が好ましい。粉砕方法も特に限定されるものではなく、公知の粉砕器を使用することができる。具体的にはロールミル、ハンマーミル、オリエントミル、インペラーミル、ジェットミル等を挙げることができる。また、気流分級機等の各種分級機や各種篩分装置等を使用して分級を行うことも好ましい。
【0023】
また、炭素繊維にはサイクル特性をさらに良好にする等の目的で、事前に高温熱処理を施すことも好ましい。
【0024】
本発明においては、電極材料の少なくとも一部として炭素繊維を使用することが必須であるが、一部として使用した場合は、他の炭素質材料を混合することができる。
【0025】
炭素質材料としては特に限定されるものではなく、一般に有機物を焼成したものが使用される。また、結晶性、非晶性のどちらであっても差し支えない。形態も特に限定されるものではない。具体的には、人造あるいは天然の黒鉛粉末、難黒鉛性炭素粉末、易黒鉛性炭素粉末等が挙げられる。この中でも、黒鉛粉末が電池の高容量化が可能なため好ましく使用される。
【0026】
本発明における炭素繊維の使用量としては、活物質中5重量%以上であることが好ましい。使用量がこれより少ないと、炭素繊維の添加効果である高電流出力特性、サイクル特性の向上効果が乏しくなる傾向がある。とくに黒鉛粉末と混合して使用する場合においては、炭素繊維の使用量が活物質中5〜70重量%であることが、高電流出力特性、サイクル特性、電池容量のバランスを最適化できるため好ましい。10〜50重量%であることがさらに好ましい。
【0027】
本発明において使用される結着材としてはとくに限定されるものではない。具体的には、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン/六フッ化プロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/六フッ化プロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン/ブタジエン共重合体(SBR)、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルアセタール、ポリウレタン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリジメチルシロキサン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、リグニン、アルギン酸、ペクチン、ゼラチン、セルロースおよび/またはセルロース塩等が挙げられる。これらは単独で使用しても、2種以上の混合物として使用しても差し支えない。
【0028】
また、上記結着材の溶媒中への添加時の形態は、粉末状、溶液および分散物(ディスパージョン、エマルジョン)のいずれであっても良い。
【0029】
結着材の使用量としては、特に限定されるものではないが、電極材料中0.1重量%以上、30重量%以下であることが好ましい。0.1重量%未満では塗布特性が不十分である場合があり、また30重量%を超えると電池容量が低下する傾向がある。0.5重量%以上、20重量%以下であることがさらに好ましい。
【0030】
本発明において使用される導電材としては、炭素材料、金属粉末等、特に限定されるものではないが、特に好ましい導電材としては、各種カーボンブラックが挙げられる。
【0031】
カーボンブラックの具体例としては、ガスブラック、オイルブラック、アセチレンブラック等が挙げられ、クレオソート油、石油系重質油、天然ガス、ナフタレン、ピッチ油、アセチレンガス等を原料として、ファーネス法、コンタクト法、サーマル法等によって製造されたものを使用することができる。
【0032】
カーボンブラックの中でも、水素分が著しく小さく、炭素含有量の大きいアセチレンブラックまたはケッチェンブラックが、導電性の観点から好ましく使用される。また、さらなる導電性向上および電極特性の改良等の観点から、天然黒鉛、人工黒鉛等を併用することも可能である。
【0033】
導電材添加による導電性向上のためには活物質の材料、形状、粒径、及び結着剤の種類、配合量等によって、最適な粒径や添加量が実験的に決められるべきであるが、通常は一次粒子径で0.001μm〜100μm、さらに好ましくは0.005μm〜20μmの微粒子が使用され、また、添加量としては電極材料中0.1〜20wt%、さらに好ましくは0.5〜10wt%が使用される。一次粒子径が0.001μmを下回るものは安定した製造が困難である場合があり、また、100μmを越えるものは添加効果が小さくなる傾向がある。一方、0.1wt%未満の添加量では添加効果が小さく、20wt%を越えると電極単位重量あたりの容量が低下するという問題がある。
【0034】
電極材料層を集電体に設けて電池用電極を作製する方法は特に限定されるものではなく、活物質、結着材、導電材等からなる電極材料を溶媒に溶解、分散させることにより調製した電極材料ペーストを集電体の片面もしくは両面に塗布後、乾燥することにより作製することができる。
【0035】
溶媒としてはとくに限定されるものでなく、結着材の溶解性等に応じて、水、有機溶媒のいずれかを適宜選択して使用することができる。
【0036】
電極材料の溶媒への分散方法はとくに限定されるものではなく、公知の分散機を使用して行うことができる。
【0037】
分散機としては、リボン型混合機、スクリュー混合機、ホモジナイザー、ホモミキサー、ピンミキサー、ニーダー、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、らいかい機等が挙げられる。これらの分散機は、単独で使用しても、組み合わせて使用しても良い。
【0038】
また、分散の際、電極材料に各種分散剤、安定剤、界面活性剤を添加することも好ましい。
【0039】
電極材料ペーストの集電体への塗布方法としては、一般的な方法を使用することができる。具体的には、リバースロール法、ダイレクトロール法、ブレード法、ナイフ法、エクストルージョン法、カーテン法、グラビア法、バー法、ディップ法、スクイーズ法、スプレー法等が挙げられる。
【0040】
また、必要に応じて、塗布、乾燥後の電池用電極に熱処理、プレス等の処理を施すことも好ましい。
【0041】
集電体の片面に電極材料層を設けて電池用電極を作製した場合には、それら2枚の無塗布面を重ね合わせることにより、両面に塗布した場合と同じ形態をとることが好ましい。しかし、片面塗布の場合、電池用電極の熱処理やプレス等の際に反りが生じやすいため、集電体の両面に電極材料層を設けることが好ましい。
【0042】
本発明において、負極活物質として炭素繊維を使用した場合には、正極活物質としては
Li複合酸化物が好ましく使用される。特にLiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、LiyNi1-xMexO2(Me:Ti,V,Mn,Feのいずれか)、Li1-x-aAxNi1-y-bByO2(ただし、Aは少なくとも1種類のアルカリもしくはアルカリ土類金属元素、Bは少なくとも1種類の遷移金属元素)は、電圧が高く、エネルギー密度も大きいために、最も好ましく使用される。特に、Li1-x-aAxNi1-y-bByO2においては、0<x≦0.1、0≦y≦0.3、-0.1≦a≦0.1、-0.15≦b≦0.15(ただし、A,Bが2種類以上の元素からなる場合は、xはLiを除くアルカリもしくはアルカリ土類金属の、yはNiを除く全遷移金属元素の総モル数、y=0の場合、Aは少なくとも1種類以上のアルカリ土類金属元素を含む。)とすることにより、優れた特性の正極材料を得ることができる。特に好ましいAとしてはMg、Sr、BとしてはCo、Feが挙げられる。
【0043】
また、正極活物質としては、Li複合酸化物以外にもアルカリ金属を含む遷移金属酸化物や、遷移金属カルコゲンなどの無機化合物、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の共役系高分子、ジスルフィド結合を有する架橋高分子、塩化チオニル等が挙げられる。これらの中で、電解質としてリチウム塩を含む非水電解液を使用した二次電池の場合には、コバルト、ニッケル、マンガン、モリブデン、バナジウム、クロム、鉄、銅、チタン等の遷移金属酸化物や遷移金属カルコゲン等の遷移金属化合物が好ましく使用される。
【0044】
本発明において作製される電池用電極を使用した電池の形態は特に限定されるものではないが、正極、負極、セパレータをスパイラル状に巻回した電極体を使用した電池が、電極単位面積当たりの電流が小さく、電池を重負荷状態で使用することが可能なため好ましい。また、形態も円筒型、角型、コイン型、シート状等、特に限定されるものではない。
【0045】
本発明におけるセパレータとしては、正極と負極を電気的に絶縁できるものであれば特に制限されるものではない。また、電解液の浸透性が良く、電子やイオンの移動抵抗にならないことが望ましく、代表的な素材としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。この中でも、特に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスルホン等が強度、安全性に優れており好ましい。セパレータの形状としては、多孔性膜や不織布等が一般的に挙げられるが、電池缶への充填率を上げやすいことから、多孔性膜が好ましい。さらに、多孔性膜は、対称膜、非対称膜が一般的であるが、強度、安全性を向上させるために、複数の種類の膜を積層した複合膜とすることも可能である。多孔膜の空孔率は、電子やイオンの透過性を高めるためにはなるべく高い方が良いが、膜の強度低下を招く危険性があるため、素材や膜厚に応じて決定されるべきである。一般的には、膜厚は20〜100μm、空孔率は30〜80%が望ましい。また、孔の径は電極シートより剥離した活物質、結着剤、導電材が透過しない範囲であることが望ましく、具体的には、平均孔径が0.01〜1μmのものが好ましい。
【0046】
本発明における、スパイラル状に巻回した電極体の形状は、必ずしも真円筒形である必要はなく、スパイラル断面が楕円である長円筒形やスパイラル断面が長方形をはじめとする角柱のような形状をとっても構わない。この場合、電池缶も電極体の形状に応じた形状をとることが可能である。代表的な使用形態としては、筒状で底のある電池缶にスパイラル状電極体と電解液を装填し、電極シートから取り出したリードがキャップと電池缶に溶接された状態で封がされている形態が最も一般的な形態として挙げられるが、特にこの形態に限定されるものではない。
【0047】
本発明において、スパイラル状電極体を装填する電池缶は特に限定されるものではないが、鉄にNi等の金属のメッキを施した電池缶、ステンレス鋼製電池缶等が、強度、耐腐食性、加工性に優れるため好ましい。また、アルミ合金や各種エンジニアリングプラスチックを使用して軽量化を図ることも可能であり、各種エンジニアリングプラスチックと金属との併用も可能である。
【0048】
本発明における電解液に使用される溶媒としては、特に限定されることなく従来の溶媒が使用可能である。例えば酸あるいはアルカリ水溶液、または、非水溶媒等が挙げられる。この中で、上述のアルカリ金属塩を含む非水電解液からなる二次電池の電解液の溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、γ-ブチロラクトン、N-メチル-2-ピロリドン、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド、テトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、ギ酸メチル、スルホラン、塩化チオニル、1,2-ジメトキシエタン、ジエチレンカーボネートや、これらの誘導体や混合物等が好ましく使用される。
【0049】
本発明における電解液に含まれる電解質としては、アルカリ金属、特にリチウムのハロゲン化物、過塩素酸塩、チオシアン、ホウフッ化塩、リンフッ化塩、砒素フッ化塩、アルミニウムフッ化塩、トリフルオロメチル硫酸塩等が好ましく使用される。特にリチウム塩は標準電極電位が最も低く、大きな電位差を得ることができるので、電解液に含まれる電解質としてより好ましく使用される。
【0050】
本発明により、高電流出力特性、サイクル特性に優れ、かつ電池作製時および使用時の内部短絡の発生率が低い電池用電極およびそれを用いた二次電池を提供することができる。
【0051】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0052】
なお、炭素繊維の粒度分布はレーザー回折法によってマイクロトラック粒度分析計(SRA型)を用いて求めた。
【0053】
[粒度分布の異なる炭素繊維の作製]
まず、本実施例に使用する炭素繊維を以下のようにして作製した。
【0054】
PAN系炭素繊維“トレカ”T-300(東レ(株)製)を、ロールミルを使用し、その工程回数を変化させることにより粉砕し、表1に示したような粒度分布の異なるA〜Cの炭素繊維を作製した。
【0055】
【表1】
実施例1
正極活物質としてLiCoO2を90wt%、結着材としてポリフッ化ビニリデン:“KFポリマー”#1100(呉羽化学工業(株)製)5wt%、導電材としてアセチレンブラック:“デンカブラック”(電気化学工業(株)製)5wt%を混合し、この混合物をN-メチル-2-ピロリドンに分散させ正極材料ペーストを調製した。そして、この正極材料ペーストを集電体である厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布し、乾燥させた後、ロールプレスを行うことによって、正極を得た。
【0056】
次に負極活物質として炭素繊維Aを80wt%、結着材としてポリフッ化ビニリデン:“KFポリマー”#1100(呉羽化学工業(株)製)15wt%、導電材としてアセチレンブラック:“デンカブラック”(電気化学工業(株)製)5wt%を混合し、この混合物をN-メチル-2-ピロリドンに分散させ負極材料ペーストを調製した。そして、この負極材料ペーストを集電体である厚さ16μmの銅箔の両面に均一に塗布し、乾燥させた後、ロールプレスを行うことによって、負極を得た。
【0057】
次に、正極に、厚さ100μm、幅3mmのアルミニウム板を、負極に厚さ100μmのニッケル板をリードとして超音波溶接した後、セパレータとして多孔質ポリエチレンフィルム“SETELA”E25MMO(東燃化学(株)製)を介して、正極を内側となるように重ね合わせ、巻回することにより、スパイラル状の電極体を得た。同様にして、計100個の電極体を作製した。この電極体の電気抵抗をテスターにより測定することによって内部短絡の有無を調べた。
【0058】
次に内部短絡の発生しなかった電極体を18mm径65mm長の円筒型電池缶に装填し、電解液として1M-LiPF6を含有するプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートの1:1混合液を使用した電池を作製した。この電池を、充電電流1A、定電圧値4.2V、充電時間2.5時間で定電流定電圧充電した後、放電電流200mAおよび3A、放電終止電圧2.5Vで容量試験、500回のサイクル試験を行った。結果を表2に示した。
【0059】
実施例2
負極活物質として炭素繊維Bを使用した以外は、実施例1と同様にして電極体の作製、電極体の内部短絡の確認、電池の作製、容量試験、500回のサイクル試験を行った。結果を表2に示した。
【0060】
実施例3
負極活物質として炭素繊維Bと天然黒鉛粉末KS-25(LONZA社製)の25/75重量%混合物を85wt%、結着材としてポリフッ化ビニリデン:“KFポリマー”#1100(呉羽化学工業(株)製)15wt%を混合し、この混合物をN-メチル-2-ピロリドンに分散させ負極材料ペーストを調製し、電解液として1M-LiPF6を含有するエチレンカーボネートとジメチルカーボネートの1:1混合液を使用した以外は、実施例1と同様にして電極体の作製、電極体の内部短絡の確認、電池の作製、容量試験、500回のサイクル試験を行った。結果を表2に示した。
【0062】
比較例1
負極活物質として炭素繊維Cを使用した以外は、実施例1と同様にして電極体の作製、電極体の内部短絡の確認、電池の作製、容量試験、500回のサイクル試験を行った。結果を表2に示した。
【0063】
比較例2
負極活物質として天然黒鉛粉末KS-25(LONZA社製)を使用した以外は、実施例3と同様にして電極体の作製、電極体の内部短絡の確認、電池の作製、容量試験、500回のサイクル試験を行った。結果を表2に示した。
【0064】
【表2】
表2に示したように、粒度分布が適正範囲である炭素繊維を使用した実施例1、実施例2、実施例3 の電池は、比較例1に比べて内部短絡の発生が少ないことがわかる。
【0065】
また、負極活物質として天然黒鉛粉末のみを使用した比較例2の電池は、実施例1、実施例2、実施例3、比較例1に比べて3Aでの放電容量、500回サイクル後保持率が低いことがわかる。
【0066】
【発明の効果】
このことから、負極活物質として50%累積径が15μm以下であるような粒度分布を有する炭素繊維を使用することにより、電池作製時および使用時の内部短絡発生を防止し、かつ高電流出力特性、サイクル特性に優れた電池用電極、およびそれを用いた二次電池を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スパイラル状電極の一例である。
【符号の説明】
1:正極リード
2:負極リード
3:スパイラル状電極体
Claims (5)
- 電極材料の少なくとも一部として炭素繊維を用いた電池用電極において、該炭素繊維は、50%累積径が15μm以下である粒度分布を有し、非晶性炭素繊維であり、かつポリアクリロニトリルから得られることを特徴とする電池用電極。
- 該炭素繊維は50%累積径が15μm以下、90%累積径が25μm以下である粒度分布を有することを特徴とする請求項1記載の電池用電極。
- 該炭素繊維は50%累積径が15μm以下、90%累積径が25μm以下である粒度分布を有し、かつ40μm以上の粒子の含有率が体積比で0.1%以下であることを特徴とする請求項1記載の電池用電極。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の電池用電極を用いたことを特徴とする二次電池。
- 正極として少なくともLi複合酸化物を含む電池用電極を用い、かつ、負極として請求項1〜3のいずれかに記載の電池用電極を用いたことを特徴とする二次電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02864098A JP4003276B2 (ja) | 1997-02-10 | 1998-02-10 | 電池用電極およびそれを用いた二次電池 |
Applications Claiming Priority (3)
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