JP4002408B2 - 製紙用カンバスの継手部 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は抄紙機械における紙の搬送用ベルトに用いられる製紙用カンバスの継手部に関する。
【0002】
【従来の技術】
製紙用カンバスは接紙面を表面平滑な斜文織にして紙面への当たりを滑らかにして紙質の向上を図っているが、継手部分においても紙面への当たりを少なくして紙質の向上を図る必要がある。実開昭60−177999号には経糸ループの緯糸を除外し、さらに接紙面側の先端緯糸の断面積を他の緯糸よりも大きくして、経糸ループの接紙面にたいする当たりを軽減し紙面に継ぎ手のマークがつくことを防止している。
【0003】
【発明が解決すべき課題】
製紙用カンバスは高温、高湿で使用されるためとくにポリエステルカンバスの場合は湿熱による劣化がその寿命に直接かかわっているとされてきた。もちろん紙面、ロールとの接触によるカンバスの摩耗もあるが湿熱による劣化にくらべるとその程度は小さかった。しかし近年シングルラン方式による製紙機械の高速化がすすみ、摩耗によるカンバスの劣化は湿熱による劣化を上回るようになってきた。特に継手部にその傾向が著しくループ破損事故の原因になっている。
【0004】
これまで多く使われているコンベンショナルランの場合は各シリンダーの間にカンバスと紙が接触しないいわゆるフリーランの状態があり、紙の乾燥、収縮は主にこのフリーラン部で起こっている。シングルランの場合は紙はつねにカンバスに拘束された状態で走行するので乾燥、収縮もこの状態のままで起こる。紙の収縮によりカンバスと摩擦があり、カンバスを摩滅させることになる。またシングルランの場合は紙はカンバスの内側を通る場合と外側を通る場合とで周速差を生じるのでここでも摩擦が起こりカンバスを摩滅させることになる。継手部の経糸は紙面側の盛り上がるため特に摩滅されやすい状態にある。
【0005】
【課題を解決する手段】
本発明は上記の欠点を解消した継手部に関する。すなわち、二重織り以上の多重織りで接紙面側が斜文織で、接紙面側の経糸にかかる緯糸の数が機械面側の経糸にかかる緯糸の数より多い製紙用カンバスにおいて、カンバスの両端部の経糸の一部は接紙面側の最先端緯糸と機械面側の最先端緯糸の間を通って延長し接合用経糸ループを形成して折り返し、再び接紙面側の最先端緯糸と機械面側の最先端緯糸の間を通ってカンバスの多重織り組織内に織り込まれ緯糸と組織しており、接合用経糸ループの頂部はカンバスの接紙面より低いものであることを特徴とする製紙用カンバスの継手部である。
【0006】
本発明の好ましい態様は、上記製紙用カンバスの継手部は接紙面側の最先端緯糸は多数の微細繊維の撚り糸を使用するものである。
【0007】
さらに本発明の好ましい態様は、前記製紙用カンバスの継手部は接合用経糸ループは断面が偏平形状のモノフィラメントを使用するものである。
【0008】
【発明の実施の態様】
上記本発明に係るカンバスは接紙面側が斜紋織りである。斜紋織りは表面が他の織り方よりも平滑で紙面との摩擦が少なく、特にシングルラン方式の場合に効果的である。経糸の一部は接合用のループとするため接紙面側の最先端緯糸と機械面側の最先端緯糸の間を通って延長し接合用経糸ループを形成して折り返し、再び接紙面側の最先端緯糸と機械面の最先端緯糸の間を通ってカンバスの多重織り組織内に織り込まれ緯糸と組織している。
【0009】
図1に示すように接紙面が斜紋織りの場合接合用の経糸ループとなる経糸(2)は接紙面側の最先端緯糸(3)の下側と機械面側の最先端緯糸(4)の上側を通り接合用経糸ループ(1)を作って折り返し再び機械面側の最先端緯糸(4)の上側と接紙面側の最先端緯糸(3)の下側の間を通ってカンバスの織り組織内に織り込まれている。このとき本来の斜紋織り組織ではループを作って折り返した経糸は接紙面側の最先端緯糸(3)の上側を通って組織の外にでるべきであるが本発明の継手部は下側を通ることを特徴とする。
【0010】
接合用経糸ループの頂部はカンバスの接紙面より低いものであるがその高さは接紙面より0.1mm以上低いものであることが好ましい。
【0011】
また接紙面側の最先端緯糸である多数の微細繊維の撚り糸はマルチフィラメント糸、紡績糸、1本のもしくは複数本のフィラメントを芯にしてその周囲をスパン糸で被覆した複合紡績糸等の中から選ぶことができる。
【0012】
このような構造をもつ本発明の製紙用カンバスの継手部は接合用ループ部の頂部(5)はカンバスの接紙面(A)より低く位置するものになるのである。これは接紙面側と機械面側の最先端緯糸の間でループが押さえ付けられることによるものである。もちろん過大にループを大きなものにすればループ部の頂部はカンバスの接紙面より高くなるが、ループとして適切な大きさのものであればループはカンバスの厚さより薄くでき、接合用経糸ループの頂部(5)は接紙面の高さより低いものになる。ループの適切な大きさとは、カンバス長さ方向のループの長さがカンバスの厚さの0.5〜3倍程度である。好ましい頂部の高さはカンバス接紙面より0.1mm以上低い高さである。より好ましくは0.3mm以上低い高さ、さらに好ましくは0.4mm以上低い高さである。
【0013】
またカンバス両端部のループを直接組み合わせず、スパイラル線を介在させて両端部を接合する方式の継手部においても同様である。この場合も図2に示すように接合用の経糸ループとなる経糸(2)は斜紋織りの組織の通り接紙面側の最先端緯糸(3)の下側と機械面側の最先端緯糸(4)の上側を通り接合用経糸ループ(1)を作って折り返し再び機械面側の最先端緯糸(4)の上側と接紙面側の最先端緯糸(3)の下側の間を通ってカンバスの織り組織内に織り込まれている。別に用意するスパイラル線(6)は直接接合用経糸ループに係合するか、あるいは図2にあるように芯線(7)により接合用経糸ループと係合する。
【0014】
カンバスの経糸は断面形状が偏平なモノフィラメントが好ましい。偏平の度合いはタテ/ヨコの比が0.67〜0.90のものが好ましい。また繊度は2000〜5000デシテックス、より好ましくは2970〜5000デシテックスである。
【0015】
【実施例】
経糸にポリエステルモノフィラメントの偏平糸(タテ0.44mm、幅0.6mm)、緯糸にポリエステルモノフィラメント(直径0.65mm)を用いて片面(接紙面)が斜紋織りのカンバス(経糸48本/25mm,緯糸36本/25mm)を製造した。両端部において緯糸を除去して経糸を延長し、一部を最先端緯糸の位置で折り返して隣接する経糸の組織に織り込んだ。隣接する経糸はあらかじめ折り返し経糸の長さ分を除去しておきその部分に折り返し経糸を織り込むので元の組織のとおりのものになる。また他の一部を接合用のループを作って折り返し隣接する経糸の位置に織り込んだ。これもあらかじめ隣接する経糸を折り返し経糸の長さ分を除去してそのあとに織り込むので元の組織のとおりのものになる。カンバスの厚さは1.8mm、ループのカンバス長手方向の長さは2.5mmであった。またループ部の頂部はカンバスの接紙面より0.3mm低いものであった。
接合用のループを作る経糸は接紙面側の最先端緯糸の下側と機械面側の最先端緯糸の上側を通り、ループを作って折り返し再び機械面側の最先端緯糸の上側と接紙面側の最先端緯糸の下側の間を通ってカンバスの織り組織内に織り込まれている。
【0016】
【発明の効果】
上記実施例の接合用経糸ループ部の頂部はカンバスの接紙面より0.3mm低くこの結果走行中に接合用経糸ループは紙面に接触することが少ないので紙面への継ぎ手マークの解消の効果があった。また紙面との間の摩擦による継ぎ手ループの破損が少なくカンバスの使用時間を長くすることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の製紙用カンバスの継手部の一例を示す側方の断面図である。
【図2】 本発明の製紙用カンバスの継手部の一例を示す側方の断面図である。
【符号の説明】
1.接合用経糸ループ
2.接合用経糸ループとなる経糸
3.接紙面側の最先端緯糸
4.機械面側の最先端緯糸
5.接合用経糸ループの頂部
6.スパイラル線
7.芯線
Claims (3)
- 二重織り以上の多重織りで接紙面側が斜文織で、接紙面側の経糸にかかる緯糸の数が機械面側の経糸にかかる緯糸の数より多い製紙用カンバスにおいて、カンバスの両端部の経糸の一部は接紙面側の最先端緯糸と機械面側の最先端緯糸の間を通って延長し接合用経糸ループを形成して折り返し、再び接紙面側の最先端緯糸と機械面側の最先端緯糸の間を通ってカンバスの多重織り組織内に織り込まれ緯糸と組織しており、接合用経糸ループの頂部はカンバスの接紙面より低いものであることを特徴とする製紙用カンバスの継手部。
- 接紙面側の最先端緯糸は多数の微細繊維の撚り糸である請求項1記載の製紙用カンバスの継手部。
- 接合用経糸ループは断面が偏平形状のモノフィラメントである請求項1記載の製紙用カンバスの継手部。
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