JP4099733B2 - ガラス繊維巻取方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はガラス繊維巻取機に関し、特に満巻コレットから空コレットへのストランド自動切換技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス繊維巻取機において、満巻コレットから空コレットへの自動切換技術は過去、種々の技術が提案されている。
例えば、実願昭61−48687号公報、実願昭62−13151号公報等に示される様にコレット先端に装着されるウエスト巻取部(コレット切り替えのため巻取始め及び巻取終りに製品となる部分を避けてストランドを巻き、後で廃棄するためウエストと呼ばれる廃棄部分。)に特殊な形状の円周溝を設けたり、螺旋状のリ−ド溝を設け、ストランドとウエスト巻取部の摩擦力を増加させる方法、また特開昭55−16891号公報、特願平3−42366号公報等に示されている満巻と空の両コレット先端部に装着したウエスト巻取部に連続して張り渡されたストランドの接触角度を、機械的に強制増加せしめて摩擦力を増加させる方法がある。
満巻と空の両コレット先端部に装着したウエスト巻取部、またはコレットに装着した巻取チュ−ブの摩擦力を増加させるために、特願平3−128146号公報、特願平5−322084号公報に示される摩擦材を貼付したもの、また実願昭48−84041号公報、特開昭50−145621号公報等に示されている両コレット先端部に装着したウエスト巻取部に、連続して張り渡されたストランドを、切断具等を用いて強制切断させる方法、また、特願昭56−60774号公報、実願昭61−118561号公報などに示す、コレット先端部に装着したウエスト巻取部で、ストランドを強制捕捉する構造を持ったものや、特願昭51−116157号公報の如く、両コレット先端部に装着されたウエスト巻取部に係合されたストランドを、水噴射によってフィラメント被覆剤を洗い落とし、ストランド強度を弱めたもの、その他各種の方法が提案されている。
【0003】
いずれにしても、ストランド巻取位置及び、満巻ケーキを抜き取る待機位置を180度づつ同一方向へ回転させながら、両コレット交互に連続して巻取る方法に関したものである。
この様な方法による自動巻取機構のメカニズムは、まず満巻になったケ−キからストランドをウエスト巻取部に移動させ、空のチュ−ブを取り付けたコレットの回転を規定の回転数まで立ち上げこれら2個のコレットを支持しているタ−レットを回転する。 タ−レットがある角度回転すると、空コレットのウエスト部分が、満巻コレットのウエスト巻取部分に巻き付けているストランドに接触する。
更にタ−レットが回転することにより、空コレットのウエスト巻取部分の各種のストランド捕捉機構あるいは摩擦材によりストランドが捕捉される。
その結果、回転を停止しようと減速している満巻部と回転数が上がっている空のコレットとの速度の差により満巻部と空のコレットの間でストランドが引きちぎられ、ストランドが空のチュ−ブを取り付けたコレットのウエスト巻取部分に巻き取られストランドのコレットからコレットへの受け渡しおよび巻き付けが完了する。
その後、空コレットを待機位置より180度回転した規定の巻取位置に戻してタレットを停止させ、正規の巻取を開始する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ガラス繊維ストランドは溶融したガラスを多数のノズルから引出し高速で延伸しながら、澱粉、合成樹脂、などの含まれたバインダ−を付与し集めてストランドとしてコレットに装着したチュ−ブ上に巻取りケ−キの形状にして、種々の用途に使用するため加工工程に渡される。
最近ガラス繊維の生産性向上を計るべく、大型の紡糸炉を用いて1本のコレット上に2個以上のケーキを巻き取ったり、またケーキを構成する多数のガラス繊維からなるストランドのフィラメント本数を増加したり、更にはフィラメント直径を太くする方向へ進み、必然的に巻き取るガラス繊維ストランド自体の強度が高くなり、切断するために更に大きい引っ張り力が必要になっている。
また、ストランドに被覆するバインダーも合成樹脂エマルジョンが多く採用され、大型紡糸炉仕様とあいまって、バインダー使用量もまた多くなってきた。
そのためバインダ−の飛散量が増えウエスト巻取部を被覆し、ウエスト巻取部とストランド間の摩擦力が大幅に低下する。
【0005】
以上のように、ストランドの切断にいままでより大きな力が必要となり、空コレットのウエスト巻取部分の摩擦力が低下することが重なり、満巻コレットと空コレット間のストランドの切断が完全でなく、空コレットの側にストランドが巻き付けられないで紡糸が中断するという状況になる。
このようにストランドのコレットからコレットへの受け渡しおよび巻き付けが、うまくいかない場合が生じ、安定したストランドの自動切換が出来ないため、作業者による監視と手動による巻き付けによりストランドの巻き付けを開始することが必要になり、生産効率が悪くなる問題が発生してきた。
また摩擦力を増加させるためのストランド挟持、接触角を強制増加せしめる方法は構造が複雑で保守上の問題があるため、実用化は困難である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明はこの問題を解決するため、空コレット側のウエスト巻取部分の摩擦力を増大する方法を種々検討の結果、ウエスト巻取部を正規の巻取位置よりもオ−バ−ランした位置に一時停止させることにより、ストランドの巻取部との接触長さを長くし確実に切断、巻き付け出来るようにしたものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
上記目的を達成するため、本発明の連続自動切換方法は次の通りとする。即ち満巻後のストランドを糸ガイドにより、コレット先端に装着されたウエスト巻取部に前進させて巻き付ける、一方空コレットは予め定められた速度に回転させる。 次いで該状態で両コレットを支持するターレットを回転し、移動させる。
回転し、移動するに従い満巻部先端のウエスト巻取部のウエストストランドは、空コレット先端に装着したウエスト巻取部の表面上を走行する状態になる。
更に巻取位置を正規の巻取位置より、オーバーランさせ、定められた位置にターレットを一且仮停止する。
これにより、空コレット側ウエスト巻取部分へのストランドの接触長さが増加する。
同時に満巻コレットが停止動作にはいり、満巻と空の両ウエスト巻取部の間に係合したウエストストランドは速度差による引っ張り力により切断され、空コレット側ウエスト巻取部に巻付き、切換え動作は完了する。
【0008】
以後、ターレットを反対方向に移動させ空コレットが正規巻取位置に来たとき停止させ、糸ガイドが後退するとストランドは空コレット側の巻取チューブ上に移動し、正規巻取が開始される。
待機位置にきた満巻ケーキは抜き取られ、空の巻取チューブを装着されて一連のストランド自動切換動作は終了する。
尚、オーバーラン後の仮停止位置は、巻取るストランドの構成によって任意に選択する事が出来るが、5−90度が望ましい。5度以下では摩擦力の増大が少なく、90度以上では、位置決め部材でのストランド接触角度が大きくなることにより、ストランドの屈曲および摩擦力が大きくなり、ストランドが切断されることがある。
満巻と空の両コレット先端部に装着したウエスト巻取部に巻き付けられたウエストストランドは、正規巻取位置よりターレットがオ−バ−ランするに従い、ウエスト巻取部との接触角度、即ち円周上の接触長が増える事により、ウエスト巻取部とストランド間の摩擦力が増大し、ウエストストランドを確実に切断し、ウエスト巻取部に巻付かせる事が出来る。
また巻取位置、待機位置とも従来位置と変わる事がないため、作業性、品質も従来通り確保できる。
【0009】
【実施例】
実施例
以下、本発明のガラス繊維巻取方法、即ち2つのコレットに交互連続して巻取る際のストランド自動切換方法について図面を参照して説明する。
第1図は本発明を実施するガラス繊維巻取装置の正面図であり、また第2図は
第1図のガラス繊維巻取装置の斜視図を示したものである。第3図はストランド自動切換え動作を説明するための模式図である。
本実施例のガラス繊維巻取装置(1)は、ターレット盤(2)とから構成されており、タ−レット盤(2)は第1図において時計回り(X)、及び反時計回り(Y)方向へ回転可能に設けられている。
前記ターレット盤(2)には巻取コレット(3)、(4)が平行して矢印方向へ回転可能に取り付けられ、該コレットの先端部にはウエストストランド巻取部(5)、(6)が設けられ、更に巻取コレット(3)、(4)には巻取チューブ(7)、(8)が装着されている。
(9)は巻取チューブ(7)、(8)上にストランドを綾振るトラバースワーイヤ(9)であり、(10)は巻取コレット(3)にて巻き上がったケ−キ(11a)、(11b)のストランド(12a),(12b)をウエスト巻取部(5)、(6)まで案内し、またウエスト巻取部(5)、(6)から巻取コレット(3)、(4)まで案内する糸ガイト(10)である。
(12)はストランドであり、(13)は該ストランドを集束及び分割して巻取位置(A)にある巻取コレット(3)へ供給ずる際の位置決め部材(13)である。
【0010】
上記構成において、次に巻取切換え動作を説明する。
ストランド(12)は位置決め部材(13)を経て、第2図(b)に示す糸ガイド(10)が突出た状態でウエスト巻取部(5)へ巻付けられる。巻取コレッ(3)の回転が正規回転に到達すると、糸ガイド(10)は後退し第2図(a)に示された状態で、ストランド(12a)、(12b)が巻取られる。
巻取られるストランド(12)がパッケージ状になったケーキ(11)が満巻になると、糸ガイド(10)の前進動作により、第2図(b)の如くストランド(12a)、(12b)は巻取コレット(3)先端部のウエスト巻取部(5)へ導かれ、巻取られる。
一方第3図の待機位置(B)にある空コレット(4)は、予め定められた速度に回転させ、該状態で両コレット(3)、(4)を支持するターレット盤(2)を第3図(a)X方向へ回動させる。
空コレット(4)の先端部ウエスト巻取部(6)は、ターレット盤(2)回転し、移動する途中満巻コレット(3)先端のウエスト巻取部(5)に巻取られるストランド(12)と係合しながら巻取位置(A)を通過し、規定した位置(C)にて停止する事で、両ウエスト巻取部(5)、(6)に連続して張り渡されたストランド(12)は切断され、空コレット(4)先端部ウエスト巻取部(6)に巻付き、ストラント(12)の切換え動作は終了する。
以後、ターレット盤(2)を反時計方向、即ちY方向へ回転し、移動させ巻取位置(A)でターレット盤(2)を停止させ、糸ガイド(10)の後退及びトラバースワイヤ(9)を動作させ、空コレット(4)に装着された巻取チューブ(8)に巻取が開始される。
【0011】
以上の動作を模式的に、より詳細に説明したのが第3図である。
第3図(a)はケーキ満巻後、巻取コレット(3)先端のウエスト巻取部(5)にストランド(12)が移動し、ターレット盤(2)が回転する寸前の状態を示したもので、(b)はタ−レット盤(2)が回転により移動し、満巻側のコレット先端ウエスト巻取部(5)に巻取られるストランド(12)と、空コレット(4)先端部のウエスト巻取部(6)にストランド(12)が接触している状態を示し、更に夕一レット盤(2)が回転により移動するに従い、空コレット(4)先端ウエスト巻取部(6)に接触するストランド(12)の巻掛角度、即ち接触長が増大し、該ウエスト巻取部(6)での摩擦力が増大する。
(C)は更にターレット盤(2)の回転による移動が進み、予め定められた仮停止位置(C)となった時の状態を示す。
【0012】
該状態で満巻コレット(3)の回転数を低下させると、両コレット(3)、(4)のウエスト巻取部(5)、(6)間に繋がっていたストランド(12´)は切断され、(d)の如く、空コレットのウエスト巻取部(6)にストランド(12´)は巻付く事となる。
空コレットウエスト巻取部(6)に巻付が完了すると、ターレット盤(2)を反時計方向、即ちY方向へ回動させ正規巻取位置(A)でターレット盤(2)を停止し(e)の状態、即ち第3図(a)の180度進行形となって終了し、前記一連の動作を交互に繰り返す事で、連続的な両コレット(3)、(4)における巻取が可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は以上の如く、満巻コレットから空コレットヘストランドを自動的に切換える時、ターレットを回転し、移動させ空コレットを一時的に巻取位置よりオーバーランさせる事により、空コレット先端表面に装着したウエスト巻取部とストランドの接触角度、即ち前記ウエスト巻取部円周上の接触長の増大を計る事ができ、摩擦力が増大し両コレットに張り渡されたストランドを容易に且つ確実に切断出来、満巻コレットから空コレットヘストランドが確実に切換えることができるようになった。
更に、コレットの巻取位置及び紡糸待機位置が従来と変わる事がなく、従って作業性も従来通りとなり、作業効率を低下させる事がない。しかも糸道も従来と変わらずガラス繊維品質を現状と同じに維持できる巻取方法である。
【図面の簡単な説明】
【第1図】本発明に係わるガラス繊維巻取機の模式的な正面図である。
【第2図】第1図のガラス繊維巻取機の模式的な斜視図である。
【第3図】ストランド自動切換え動作を説明するための模式図である。
【符号の説明】
1.ガラス繊維巻取装置
2.ターレット盤
3.4.コレット
5.6.ウエスト巻取部
7.8.巻取チューブ
9.トラバースワイヤ
10.糸ガイド
11.ケーキ
12.ストランド
13.位置決め部材
A.巻取位置
B.待機位置
C.仮停止位置
X.時計方向
Y.反時計方向
Claims (4)
- ターレットに支持された2個のコレットに交互にガラス繊維ストランドを巻取るターレッ卜式切替装置を有するガラス繊維ストランド巻取機において、
満巻コレットと空コレットを切り替える際、
前記ターレットを回転させて、
満巻コレットに巻き取られるストランドと係合しながら
空コレットを規定の巻取位置を通過し、
オーバーランした位置に一時停止させ、
前記空コレットと満巻コレットの回転速度差により満巻コレットと空コレットの間に繋がっているストランドを切断し、
ストランドを空コレットに巻き付けた後、
ターレットを逆方向に回転させ空コレットを規定の巻取位置に戻す事を特徴とするガラス繊維巻取方法。 - 前記空コレットを5〜90度オーバーランさせる請求項1に記載のガラス繊維巻取方法。
- 前記満巻コレットのウエスト巻取部と前記空コレットのウエスト巻取部の間に繋がっているストランドを切断する請求項1又は請求項2に記載のガラス繊維巻取方法。
- ターレットに支持された2個のコレットに交互にガラス繊維ストランドを巻取り、前記ターレットの外周方向からコレットにストランドを巻き取るターレッ卜式切替装置を有するガラス繊維ストランド巻取機において、
紡糸供給口を通る鉛直線より近い側を規定の巻取位置とし、遠い側を空コレットの待機位置とし、
満巻コレットと空コレットを切り替える際、
前記ターレットを回転させて、
満巻コレットに巻き取られるストランドと係合しながら
空コレットを規定の巻取位置を通過し、
オーバーランした位置に一時停止させ、
前記空コレットと満巻コレットの回転速度差により満巻コレットと空コレットの間に繋がっているストランドを切断し、
ストランドを空コレットに巻き付けた後、
ターレットを逆方向に回転させ回転し空コレットを規定の巻取位置に戻す事を特徴とするガラス繊維巻取方法。
Priority Applications (1)
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JP36607497A JP4099733B2 (ja) | 1997-12-24 | 1997-12-24 | ガラス繊維巻取方法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP36607497A JP4099733B2 (ja) | 1997-12-24 | 1997-12-24 | ガラス繊維巻取方法 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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- 1997-12-24 JP JP36607497A patent/JP4099733B2/ja not_active Expired - Fee Related
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