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JP4095872B2 - 液晶表示装置 - Google Patents

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JP4095872B2
JP4095872B2 JP2002283703A JP2002283703A JP4095872B2 JP 4095872 B2 JP4095872 B2 JP 4095872B2 JP 2002283703 A JP2002283703 A JP 2002283703A JP 2002283703 A JP2002283703 A JP 2002283703A JP 4095872 B2 JP4095872 B2 JP 4095872B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話、カーナビゲーション等の中小型高精細モニタとして使用されるアクティブマトリクス型の液晶表示装置に関し、特にライン反転駆動に伴って隣接画素電極間に生じる横電界によるリバースチルトドメインの発生を抑える対策に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年では、情報インフラの日々の発展に伴い、携帯電話、PDA、デジタルカメラ、ビデオカメラ、カーナビゲーション等の機器が人々の生活に深く浸透してきている。そして、それらの機器の大部分に、液晶表示装置が採用されていることはよく知られている。この液晶表示装置には、機器本体の扱う情報量の増加に伴い、より多くの情報を高品位に表示できるようにすることが望まれており、高輝度化、高コントラスト化、多色化、高精細化などに対する市場の要求は日々高まっている。
【0003】
これらの要求に応える技術の1つとして、画素の開口率を高めるようにしたものがあり、その一例として、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。このものは、スイッチング素子としてTFTを用いたアクティブマトリクス型の液晶表示装置において、TFTのゲート電極およびソース電極にそれぞれ接続されるゲート線(走査配線)およびソース線(データ配線)を、絶縁層で覆い、この絶縁層を介してゲート線およびソース線の各一部に画素電極をオーバラップさせ、これにより、隣接する画素電極間の間隔を小さくして開口率を向上させるようになされている。
【0004】
一方、上記のようなアクティブマトリクス型液晶表示装置では、一般に、直流駆動を行うと不純物イオンが液晶層ないし電極基板上の配向膜中に偏在して液晶分子の分極が起こり、電圧‐透過率特性が変化するという、いわゆる焼付け現象が起こることから、それを防ぐために、交流駆動により常に液晶の電位をリフレッシュするようになされている。また、全フィールドを同電位で駆動すると、極性反転による光透過率の微小変化がフリッカとなって見えやすい。そこで、1ライン毎又は複数ライン毎に極性を反転してフリッカをキャンセルするようにしたライン反転駆動が一般に多く用いられている。
【0005】
図14の斜視図は、TFTを用いた従来の液晶表示装置において、表示画面の水平方向および垂直方向にマトリクス状に並ぶようにTFT基板10上に配置された画素電極11,11,…の水平ライン駆動時の極性の状態の一例を模式的に示している。ここでは、水平方向(一般に、ゲート線方向)に並んだ画素電極11,11,…は互いに同極性であり、垂直方向(一般に、ソース線方向)に並んだ画素電極11,11,…では、ゲート線1ライン毎に極性が交互に反転する。そして、液晶層は、ホモジニアス型液晶材料(水平配向液晶材料)からなっている。また、TFT基板10およびCF基板20(カラーフィルム基板)の各液晶層側表面には配向膜が形成されており、各配向膜には、同図に矢印で示すように、ソース線に平行でかつ互いに180°の角度をなす方向のラビング処理が施されている。尚、ライン反転駆動としては、同図に示した場合とは逆に、水平方向に交互極性反転し、垂直方向に同極性の画素電極が並ぶようにした垂直ライン反転駆動もある。
【0006】
【特許文献1】
特開昭58−172685号公報(第1頁、第6−9図)
【特許文献2】
特開平11−194342号公報(第5頁、第2図、第4図、第5図)
【特許文献3】
特開平6−11715号公報(第1頁、図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のようなライン反転駆動が行われると、それに伴い、極性の互いに異なる隣り合う画素電極11,11間に、対向電極に対する電位差の略2倍の電位差が発生し、このことで、それら両画素電極11,11間には、強い横電界が発生する。このとき、上記従来の液晶表示装置では、その横電界の影響を受けて、本来の液晶分子の配向とは異なる方向に配列したドメインが発生するという問題がある。
【0008】
以下、そのようなドメインの発生メカニズムを、図15に基づいて詳しく説明する。同図は、従来の液晶表示装置における液晶パネルのソース線方向に隣接する互いに極性の異なる隣接画素電極11,11間の部分を拡大して示す断面図である。尚、以下の説明では、同図の「左」、「右」、「上」および「下」を、それぞれ、単に「左」、「右」、「上」および「下」とする。また、ここでは、右側の画素電極11の極性、対向電極21の極性(電位)および左側の画素電極11の極性を、それぞれ、「+」、「0」および「−」としている。
【0009】
各液晶分子31は、電圧無印加時には、各液晶分子31は、左右方向に延びかつ右端側を少しだけ上方に変位させて傾いた状態に配列する。これに駆動電圧を印加したとき、3つの電極11,11,21の間には同図に矢印で示すような電位線が発生し、それに伴い、各液晶分子31は分子長軸を電位線に揃えようとする。その際に、各画素電極11上において横電界の電位線の影響を受けない領域の各液晶分子31と、左側画素電極11における右端部上の液晶分子31とは、プレチルトに規制された状態のままで立ち上がる。これに対し、右側の画素電極11における左端部上の液晶分子31は、プレチルトの規制とは逆に、左端側を上方に変位させた状態に立ち上がる。これがリバースチルトドメインである。
【0010】
このようなリバースチルトドメインと、正常配向部との境界では、液晶分子31,31,…の配向が不連続となるため、特に黒表示において光が抜けることでコントラストが低下する。さらに、リバースチルトドメインでは、本来の配向とは視角特性が異なるため、斜めから画面を見た際の画質が損なわれる。
【0011】
特に、高精細の液晶表示装置では、隣接画素間の距離が短いために横電界が強くなってドメインが多く発生する上、画素が微細であることから画素面積に対するドメイン面積の比率が高く、これらの結果、表示品位が大きく損なわれることになる。
【0012】
尚、このようなドメインの対策として、例えば、特許文献2に記載されているように、TFT基板およびCF基板の各配向膜に対するラビング処理を、横電界の電位線に略平行でかつ互いに略180°の角度をなす方向に施すようにする場合に、液晶層の液晶材料として、垂直配向液晶材料を用いたECBモード(複屈折制御モード)を採用してドメイン量を減らすようにした技術が提唱されているが、この場合には、垂直配向液晶材料が高粘度であることから、生産性が損なわれる上、応答速度が遅くなり、また材料の選択の幅が狭いことから、希望する波長分散特性のブレンドが調合しにくく、高い色再現性を実現するのが難しいという別の問題がある。
【0013】
また、ゲート線ないしソース線を画素電極と同じ層に配置するようにした液晶表示装置では、隣接する画素電極間に、ゲート線やソース線、補助容量線のメインの配線とは別に、第4の配線部分を配置して電位を誘導するようにしたもの(特許文献3)もある。
【0014】
本発明は、斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、ゲート線ないしソース線が画素電極の下層に配置され、ライン反転駆動するようにしたアクティブマトリクス型の液晶表示装置において、配向処理に工夫を加えることで、ホモジニアス型液晶材料を採用しつつ、隣接する画素電極間に生じる強い横電界によるリバースチルトドメインの発生を抑えられるようにすることにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成すべく、本発明では、水平配向ECBモードの水平ライン反転駆動の場合には水平方向(ゲート線方向)に、また垂直ライン反転駆動の場合には垂直方向(ソース線方向)に、それぞれ、配向処理を施すようにした。
【0016】
具体的には、請求項1の発明では、一対の電極基板と、この一対の電極基板間に配置されていて、ホモジニアス型液晶材料からなる液晶層とを備えており、一方の電極基板は、互いに交差するように設けられた複数の走査配線および複数のデータ配線と、少なくとも前記複数の走査配線上に設けられた絶縁層と、前記複数の走査配線および前記複数のデータ配線間の各交差部毎に、それぞれ、該交差部近傍に位置する走査配線の少なくとも一部に前記絶縁層を介して重なるように設けられていて、前記交差部を通る走査配線の信号に基づいてスイッチング作動するスイッチング素子を介し、前記交差部を通るデータ配線に接続された画素電極とを有しており、同一走査配線上の各画素電極の極性を互いに等しくかつ同一データ配線上の各画素電極の極性を所定数の走査配線毎に交互に反転させるライン反転駆動を行うようにした液晶表示装置を前提としている。
【0017】
そして、前記一対の電極基板の前記液晶層との各界面には、該界面近傍における液晶層の液晶分子の配向方向を前記走査配線に略平行でかつ互いに略180°の角度をなす方向に規制する配向処理が施されているものとする。
【0018】
上記の構成において、液晶層の液晶分子は、電圧無印加状態では、配向処理により、走査配線に平行でかつ長軸方向一端側(配向方向前端側)から立ち上がった状態に配列する。
【0019】
これに駆動電圧が印加されたときには、対向電極と画素電極との間に電位線が発生するとともに、同一データ配線上の隣接画素電極間(1ライン反転駆動の場合)には、強い横電界が発生する。
【0020】
このとき、各画素電極上の液晶分子は、横電界の電位線の方向(データ配線方向)に略直交する方向である走査配線方向に配向しているので、画素電極および対向電極間の電位線によりプレチルトに規制された状態のままで立ち上がりつつ、横電界の電位線によって連続的に横方向(基板に平行な方向)に配向を変化させることになる。よって、液晶分子がプレチルトの規制とは反対側の端部側(配向方向後端側)から立ち上がるという事態が回避されるので、画素電極における隣接画素電極側の端部上でのリバースチルトドメインの発生は抑えられることになる。
【0021】
尚、上記の作用は、2ライン反転や3ライン反転など、所定数の走査配線毎に同一データ配線上の画素電極の極性を反転させるようにした複数ライン反転の場合にも営まれる。つまり、同一データ配線上に並ぶ複数の画素電極において、隣接する画素電極の極性反転は、2ライン或いは3ライン置きに発生することになり、その極性の相異なる画素電極間の横電界による配向乱れは、液晶の配向がライン(この発明の場合には、走査配線)に平行であるECBモードとすることで大幅に改善される。
【0022】
請求項2の発明では、一対の電極基板と、この一対の電極基板間に配置されていて、ホモジニアス型液晶材料からなる液晶層とを備えており、一方の電極基板は、互いに交差するように設けられた複数の走査配線および複数のデータ配線と、少なくとも前記複数のデータ配線上に設けられた絶縁層と、前記複数の走査配線および前記複数のデータ配線間の各交差部毎に、それぞれ、該交差部近傍に位置するデータ配線の少なくとも一部に前記絶縁層を介して重なるように設けられていて、前記交差部を通る走査配線の信号に基づいてスイッチング作動するスイッチング素子を介し、前記交差部を通るデータ配線に接続された画素電極とを有しており、同一データ配線上の各画素電極の極性が互いに等しくかつ同一走査配線上の各画素電極の極性が所定数のデータ配線毎に交互に反転するライン反転駆動を行うようにした液晶表示装置を前提としている。
【0023】
そして、前記一対の電極基板の前記液晶層との各界面には、該界面近傍における液晶層の液晶分子の配向方向を前記データ配線に略平行でかつ互いに略180°の角度をなす方向に規制する配向処理が施されているものとする。
【0024】
つまり、この発明は、請求項1における「走査配線」および「データ配線」を、それぞれ、「データ配線」および「走査配線」に置き換えたものである。
【0025】
請求項3の発明では、請求項1および2の発明において、液晶層が、同一画素内に、走査配線およびデータ配線を跨いで隣接する画素間に亘るように設けられた複数のドメインを有する場合に、各電極基板に対する配向処理は、それぞれ、該配向処理の規制方向が隣接ドメイン間において互いに略180°の角度をなすように施されているものとする。
【0026】
つまり、請求項1および2の発明での作用は、この発明のように、液晶セルが複数の配向領域に分割されてなるマルチドメインセルであり、かつ、その配向分割ラインが走査配線およびデータ配線に重ならない場合にも、同様に営まれる。この場合も、各領域の配向が配線(請求項1を引用する場合には走査配線、請求項2を引用する場合にはデータ配線)に平行なECBモードであることが前提となる。
【0027】
請求項4の発明では、請求項1〜3の発明において、両電極基板の画素対応部分がそれぞれ透明に設けられているものとする。つまり、この場合には、液晶表示装置は、液晶パネルの片側に面光源を配置してその反対側から直視鑑賞する方式、液晶パネルの透過光をスクリーンなどに投射してその投射映像を鑑賞する方式、液晶パネルの片側に反射板を配置してその反対側から外光の反射を鑑賞する方式などとして使用される。
【0028】
請求項5の発明では、請求項1〜3の発明において、一方の電極基板の画素対応部分が透明であり、他方の電極基板上の電極における画素対応部分の少なくとも一部は、光反射体からなるものとする。つまり、この場合には、液晶表示装置は、液晶パネル外部の反射板の不要な反射型、又は画素内の透過領域と反射領域とを有する半透過型である。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0030】
(実施形態1)
図2および図3は、本発明の実施形態1に係る透過型液晶表示装置の液晶パネルにおける要部の縦断面構成を模式的に示しており、この液晶表示装置は、液晶パネルの片面側に面光源が配置されていて、液晶パネルに対し、面光源とは反対の側から直視鑑賞するようにしたものや、液晶パネルの透過光をスクリーンなどに投射してその投射映像を鑑賞するようにしたもの、液晶パネルの片面側に反射板が配置されていて、その反射板とは反対の側から外光の反射を鑑賞するようにしたものなどとして使用される。尚、以下の説明では、同各図の「左」、「右」、「上」および「下」を、それぞれ、単に「左」、「右」、「上」および「下」とする。
【0031】
上記の液晶パネルは、画素毎に設けられた透明の画素電極101およびTFT102を有する電極基板としてのTFT基板100と、透明の対向電極201を有していて、TFT基板100に対し所定のギャップ(例えば、3.7μm)を形成するように平行に貼り合わされた電極基板としてのCF基板200(カラーフィルタ基板)と、ホモジニアス型液晶材料(例えば、複屈折ΔnがΔn=0.094であるメルク社製の「ZLI−4792〔カイラル剤無し品し〕」)からなっていて、TFT基板100とCF基板200との間の隙間に配置された液晶層300とを備えている。
【0032】
TFT基板100は、透明なガラス基板103(基板サイズは、例えば9.398cm〔=3.7inch〕)を有しており、このガラス基板103のCF基板200側(図2および図3の上側)の面上には、図4に示すように、各々、表示画面の水平方向(同図の左右方向)に延びる複数の走査配線としてのゲート線104,104,…と、各々、表示画面の垂直方向(同図の上下方向)に延びる複数のデータ配線としてのソース線105,105,…とがそれぞれ配置されている。TFT102,102,…は、それぞれ、ゲート線104,104,…とソース線105,105,…との各交差部近傍に配置されていて、対応するゲート線104に接続されたゲート電極106と、対応するソース線105に接続されたソース電極107と、対応する画素電極101に接続されたドレイン電極108とを有してなる。その際に、ゲート電極106と、ソース電極107およびドレイン電極108との間には、透明なゲート絶縁膜109がゲート線104,104,…とソース線105,105,…とを互いに絶縁するように設けられている。さらに、ゲート線104,104,…、ソース線105,105,…およびTFT102,102,…の上には、透明な絶縁層110が設けられている。
【0033】
画素電極101,101,…は、上記の絶縁層110上に配置されていて、該絶縁層110を基板法線方向に貫通するように設けられたコンタクトホールプラグによりTFT102のドレイン電極108に接続されている。また、ゲート線104,104,…およびソース線105,105,…が絶縁層110に覆われていることから、各画素電極101は、該画素電極101周りに位置するゲート線104,104およびソース線105,105の各一部に重なる(図2参照)ように設けられており、このことで、ゲート線方向およびソース線方向に隣接する画素電極101,101間の間隔寸法は、それぞれ、ゲート線104およびソース線105の各配線幅よりも小さくなされている。尚、図2および図3においては簡単のため画素電極101を2つのみ図示してあるが、実際のディスプレイでは一辺数十〜数千の画素電極101,101,…がマトリクス状に配置されている。これら画素電極101,101,…および絶縁層110上には、TFT基板100の液晶層300との界面近傍における液晶分子の配向方向を規制するために、所定の方向にラビング処理されてなる配向膜111(例えば、ポリイミド系)が設けられている。
【0034】
一方、上記CF基板200も、TFT基板100の場合と同様の透明なガラス基板202を有しており、対向電極201は、ガラス基板202におけるTFT基板100側(図2および図3の下側)に配置されている。この対向電極201上には、図外のカラーフィルタ層が設けられており、そのカラーフィルタ層上には、CF基板200の液晶層300との界面近傍における液晶分子の配向方向を規制するために、所定の方向にラビング処理されてなる配向膜203(例えば、ポリイミド系)が設けられている。
【0035】
さらに、図示は省略するが、CF基板200のガラス基板202におけるTFT基板100とは反対の側(ガラス基板202の上側)には、該CF基板200側の配向膜203における上記ラビング処理の方向に対し、直交する方向に70nmの遅相軸を有する一軸位相差フィルムが配置されており、この一軸位相差フィルム上には、偏光板がその吸収軸と上記ラビング処理方向とが45°の角度をなすように配置されている。また、TFT基板100のガラス基板103におけるCF基板200とは反対の側(ガラス基板103の下側)には、偏光板がその吸収軸を上記偏光板の吸収軸に直交させるように配置されている。
【0036】
また、本液晶表示装置は、図4の平面図に示すように、ゲート線104,104,…およびソース線105,105,…に接続されていて、同一ゲート線104上の各画素電極101の極性を互いに等しくかつ同一ソース線105上の各画素電極101極性をゲート線1ライン毎に反転させるようにライン反転駆動するドライバ回路(図示せず)などを備えている。
【0037】
そして、本実施形態では、図1の斜視図に矢印で示すように、TFT基板100側の配向膜111に対するラビング処理と、CF基板200側の配向膜203に対するラビング処理とは、ゲート線104,104,…に平行でかつ互いに180°の角度をなす方向に施されており、このことで、TFT基板100の液晶層300との界面近傍における液晶層の液晶分子の配向方向と、CF基板200の液晶層300との界面近傍における液晶層の液晶分子の配向方向とを、ゲート線104,104,…に平行でかつ互いに180°の角度をなす方向に規制するようになっている。
【0038】
次に、上記のように構成された液晶表示装置の製造方法を説明する。先ず、ガラス基板103上に、TFT102,102,…、ゲート線104,104,…、ソース線105,105,…を公知の手段によって形成する。それらの上に、アクリル樹脂の絶縁層110を形成した後、各TFT102のドレイン電極108上の絶縁層110を部分的に除去し、対応するドレイン電極108とコンタクトするように各画素電極101を形成する。然るべき後、ポリイミド系材料を塗布して配向膜111を形成し、その配向膜111に対し、レーヨン系の布でもってソース線105,105,…に平行な方向に擦るラビング処理を施す。
【0039】
一方、CF基板200については、ガラス基板202上に対向電極201を形成し、その上に、ポリイミド系材料を塗布して配向膜203を形成する。そして、貼合せ後の互いのラビング方向がTFT基板100と反平行方向になるように、TFT基板100の場合と同様にしてラビング処理を施す。
【0040】
次に、TFT基板100の配向膜111と、CF基板200の配向膜203とを対向させて、それらTFT基板100およびCF基板200を貼り合わせ、これに、液晶材料を注入する。その後、CF基板200におけるTFT基板100とは反対側の面上に、一軸位相差フィルムをその遅相軸がラビング方向に直交する状態に配置し、その上に、偏光板を、その吸収軸がラビング方向と45°の角度をなす状態に配置する。また、TFT基板100におけるCF基板200とは反対側の面上には、別の偏光板を、その吸収軸がCF基板100側の偏光板の吸収軸に直交する状態に配置する。
【0041】
このようにして完成した液晶表示パネルに、ゲート1ライン毎に各ソース線105上の画素電極101,101,…の極性が反転するようにゲート線104,104,…およびソース線105,105,…を駆動するドライバ回路を取り付ける。以上により、本実施形態に係る液晶表示装置が得られる。
【0042】
ここで、上記のように構成された液晶表示装置の作動について説明する。液晶層300の液晶分子は、分子長軸方向に正の誘電異方性を有するので、電圧無印加状態では、配向処理により、ゲート線104,140,…に平行でかつ長軸方向一端側(ラビング方向側)が少し立ち上がった状態に配列する。
【0043】
これに駆動電圧が印加されたとき、対向電極201と各画素電極101との間に電位線が発生することから、とともに、液晶層300の液晶分子は、基本的には、画素電極101と対向電極201との間の電位差に応じて連続的に基板100,200に垂直な方向へと配列方向を変化させ、これにより、液晶層300を透過する光の位相が変化して偏光板との併用により透過光の光量が変調され、これらの結果、画像が表示されることとなる。その際に、ソース線方向に隣接する各画素電極101,101間では、極性が互いに異なっているので、強い横電界が生じる。
【0044】
このとき、各画素電極101上の液晶分子は、上記横電界の電位線の方向に略直交する方向であるゲート線方向に配向しているので、該横電界によって連続的に横方向(基板100,200に平行な方向)に配向を変化させることになり、プレチルトに規制される方向とは逆の方向に立ち上がるという縦方向(基板100,200に垂直な方向)での配向変化は生じない。よって、各画素電極101におけるゲート線方向に隣接する画素電極101側の端部上でのリバースチルトドメインの発生は抑えられることになる。
【0045】
したがって、本実施形態によれば、1Hライン反転駆動するようにしたアクティブマトリクス型の透過型液晶表示装置において、垂直配向液晶材料を用いた垂直配向ECBモードではなく、水平配向液晶材料を用いた水平配向ECBモードを採用するとともに、TFT基板100の配向膜111およびCF基板200の配向膜203に対するラビング処理を、ゲート線104,104,…に平行でかつ互いに180°の角度をなす方向に施すようにすることにより、垂直配向液晶材料を用いた場合のような移行生産性の低下を伴うことなく、ソース線方向に隣接する各画素電極101,101間の横電界によるドメインの発生を抑えて表示画面のコントラストを向上させ、画像などの情報を高品位に表示することができる。
【0046】
尚、上記の実施形態では、配向膜111,203を設けるとともに、それら配向膜111,203にラビング処理することで、TFT基板100およびCF基板200の各液晶層側表面に対する配向処理を施すようにしているが、本願発明の配向処理としては、公知の技術を適宜採用することができる。
【0047】
また、上記の実施形態では、液晶層300が単一のドメインを有する場合について説明しているが、図5の断面図に示すように、各液晶セルが、配向分割ライン400、400,…でもって複数の配向領域に分割されてなるマルチドメインセルである場合にも、それら配向分割ライン400,400,…がゲート線104,104,…およびソース線105,105,…に重ならないパターンである限り、同様の作用効果が得られる。
【0048】
ここで、上記マルチドメインセルの場合の一例として、3つの変形例1〜変形例3を、それぞれ、図6(a)〜図6(c)の平面図に示す。尚、同各図には、二点鎖線で区画してドメインを示しており、各変形例におけるラビング方向は、斑点の付されたドメインでは図の上方向、白抜きのドメインでは図の下方である。図6(a)の変形例1では、各液晶セルは、表示画面の垂直方向中央において垂直方向に2分割されてなる2つのドメインを有する。図6(b)の変形例2では、各液晶セルは、水平方向中央において水平方向に2分割されてなる2つのドメインを有する。図6(c)の変形例3では、各液晶セルは、画素の対角を通る直線部分において他の対角を通る直線の方向に2分割されてなる2つのドメインを有する。
【0049】
また、上記の実施形態では、1水平ライン反転駆動の場合について説明しているが、本発明は、2ラインや3ラインなど、複数ライン反転駆動の場合にも適用することができ、さらには、垂直ライン反転駆動の場合にも適用することができる。但し、垂直ライン反転駆動の場合には、強い横電界の電位線は、ソース線方向ではなく、ゲート線方向に生じるので、ラビング方向は、ゲート線104,104,…ではなく、ソース線105,105,…に平行となる。
【0050】
また、上記の実施形態では、ゲート線104,104,…およびソース線105,105,…が共に絶縁層110を介して画素電極101,101,…の下層に配置されている場合について説明しているが、本発明は、ゲート線104,104,…のみが画素電極101,101,…の下層に配置されている場合や、垂直ライン反転駆動でかつソース線105,105,…のみが画素電極101,101,…の下層に配置されている場合にも適用することができる。
【0051】
また、上記の実施形態では、透過型の液晶表示装置の場合について説明しているが、画素電極101,101,…および対向電極201のうちの一方を光反射体にて構成し、液晶層300を往復する光を鑑賞するようにした反射型の液晶表示装置として用いることもできる。この場合には、光反射体ではない電極とその電極基板とを透明にし、この透明の電極基板側から表示装置を鑑賞することになるのは言うまでも無い。
【0052】
−配向シミュレーションテスト−
上記構成の液晶セルモデルについて、液晶配向シミュレーションソフト「DIMOS」(autronic-Melchers 社製)を使用して行った配向シミュレーションテストについて説明する。
【0053】
ここでは、液晶層の厚さを3.5μm、画素電極間の間隔を5μmに設定した。また、液晶層に関するパラメータについては、液晶材料である「ZLI−4792(カイラル材無し)」(メルク社製)のデータを用い、さらに、プレチルト角は2°、液晶と電極との界面のアンカリングは強アンカリングとし、これを発明例とした。
【0054】
第1のテストとして、駆動電圧を1.5V(白表示)〜4.5V(黒表示)の範囲で変化させる場合に、対向電極の電位を0Vとする一方、隣接する2つの画素電極の各電位を、それぞれ、−4.5Vおよび4.5Vにしたとき、つまり、最も強い横電界が生じるときの配向の変化をシミュレーションした。その結果を、ゲート線方向に直交する平面での断面図である図7(a)に示す。
【0055】
また、TFT基板側に、偏光板をその吸収軸が液晶配向方向と45°の角度をなすように配置するとともに、CF基板側には、別の偏光板をその吸収軸が前記偏光板の吸収軸に直交するように配置することとし、ソース線方向の各位置における正面の光透過率〔単位:%〕を演算した。その結果を、図7(b)の特性図に示す。
【0056】
尚、図7(b)の横軸は、同図(a)のソース線方向における各位置に対応していて、1目盛りは1μmであり、最高光透過率は50%である。また、液晶層には電圧印加後も残留リタデーションがあることから、上記偏光板構成では黒表示時の光透過率は0%にはならない(実際のセル構成では位相差補償板を使用して残留リタデーションを相殺する)が、ここでは、そのままの偏光板構成で計算しているので、光透過率の値は参考程度に留まる。
【0057】
一方、比較のために、発明例において、ラビング方向を、ソース線に平行な方向に変更し、その他の点は発明例の場合と同じである液晶セルモデルを比較例とし、この比較例についても、発明例の場合と同じ条件で、配向変化のシミュレーションを行った。その配向変化後の液晶分子の状態と、ソース線方向の各位置における正面の光透光率とを、それぞれ、発明例の図7(a)および同図(b)に相当する図8(a)および同図(b)に示す。
【0058】
発明例の場合には、図7(b)から判るように、画素電極上に、光抜けを生じさせる部分は発生しなかった。これは、液晶分子が横電界によって連続的に横方向に配向を変化させているため、ドメイン境界での配向不連続に起因する光抜けが起こらないことによる。尚、画素間の光抜け部分は、ソース線で遮光されるので、実際、光抜けはほとんど無いことになる。
【0059】
一方、比較例の場合には、図8(a)から判るように、右側画素電極の左側端部上の部分401では、液晶分子が横電界の影響で左上に立ち上がっており、該右側画素電極の中央部上において右上に立ち上がっている部分402との境界で配向が不連続である光抜け状態が発生した。同図(b)では、右側画素電極の左側端部から中央側3〜5μmまでの円で囲まれた範囲に光抜けがあり、黒輝度の上昇およびコントラストの低下を招くような結果となっている。
【0060】
尚、上記の光抜けを遮光するには、両画素間の下層に位置するゲート線の配線幅を必要以上に広くするか、或いはCF基板側に遮光目的のブラックマトリクス(BM)を配置する必要があり、何れにしても、開口率が大幅に低下するために液晶表示装置全体の輝度、コントラスト低下に繋がることになる。
【0061】
第2のテストとして、発明例において、ソース線方向に隣接する同極性の2つの画素電極間における配向変化をテストするために行った配向シミュレーションについて説明する。
【0062】
先ず、ラビング方向側の画素電極の電位を4.5V(黒表示)とし、これに対し、反ラビング方向側の画素電極の電位を1.5V(白表示)としたときの配向変化のシミュレーションを行った。これは、ソース線方向に隣接する画素電極間において、最も横電界が大きくなる場合をテストするものである。その結果を、ゲート線方向に直交する平面での断面図である図9(a)に示す。また、ゲート線方向の各位置における正面の光透過率を、同図(b)に示す。
【0063】
この場合には、図9(b)から判るように、右側(ラビング方向側)の画素電極上において、その左側端部から画素電極中央部側1〜4μmに亘る範囲に、光抜け部分が観測された。しかし、この部分は白黒の境界部分に当たるため、視覚上、該光抜けは白表示に吸収されることになり、よって、表示にほとんど影響を及ぼさないと考えられる。
【0064】
次に、2つの画素電極の電位を、共に4.5V(黒表示)としたときの配向変化のシミュレーションを行った。これは、光抜けが最も目立ちやすい黒表示を行った場合をテストするものである。その結果を、それぞれ、図9(a)および同図(b)に相当する図10(a)および同図(b)に示す。
【0065】
液晶の配向にはリバースチルトは無く、配向状態は連続しており、ドメイン境界に起因する光抜け部分は発生しなかった。また、図10(b)の特性図では、両画素電極間の部分において光透過率の多少のうねりの発生は見られるものの、図8(b)の比較例の場合と比較すると、その発生部分の変化幅、明るさ共に遥かに小さい。さらに、この部分は、画素境界下のゲート線で遮光されるので、実際の光抜けは非常に少ないと推察される。。
【0066】
以上の配向シミュレーションテストから、発明例では、従来例と比較した場合に、黒輝度低下と、その黒輝度低下によるコントラスト上昇とが見込めるということが判る。
【0067】
(実施形態2)
図11は、本発明の実施形態2に係る半透過型液晶表示装置の液晶パネルにおける要部の縦断面構成を模式的に示しており、実施形態1の場合と同じ構成要素には同じ符号を付して示している。
【0068】
本実施形態では、各画素は、透過領域と、反射領域とに分割されており、これに伴い、各画素電極101は、透明材料からなる矩形状の透明電極101aと、光反射材料からなっていて、透明電極101aを囲むように形成された反射電極101bとにより構成されている。
【0069】
ゲート絶縁膜109上の絶縁層110における各透過領域の部分は省略されており、各透明電極101aは、ゲート絶縁膜109上に直接に配置されている。一方、反射電極101bは、絶縁層110上に配置されていて、該絶縁層110を基板法線方向に貫通するコンタクトホールプラグを介してTFT102のドレイン電極108に接続されている。つまり、透過電極101aおよび反射電極101b間の境界部分には、段差が形成されている。
【0070】
ところで、反射モードおよび透過モードの各光路長を互いにマッチングさせるには、透過領域の液晶層300の厚さを反射領域の液晶層300の厚さよりも厚くするのが有効であり、透過領域の液晶層300の厚さが反射領域の液晶層300の厚さの2倍であることが最も好ましい。そこで、例えば、反射領域におけるTFT基板100およびCF基板200間のギャップが2.5μmである場合に、絶縁層110の層厚を同じく2.5μmとして、透過領域におけるギャップを反射領域のギャップの2倍(5.0μm)にするようにしている。
【0071】
液晶層300は、誘電異方性Δnが例えばΔn=0.065nmである液晶材料(カイラル剤なし)の液晶材料からなっている。尚、上記のような段差のある表面に液晶を配向させる場合、液晶をツイストさせると2つの領域の境界となる段差部にディスクリネーションが発生しやすい。したがって、ツイスト角0°の水平配向が最も好ましい。
【0072】
さらに、図示は省略するが、CF基板200におけるTFT基板100とは反対側の面上には、103nmの遅相軸を有する一軸位相差フィルムが該遅相軸をラビング方向に平行にして配置されており、その上には、吸収軸がラビング方向と45°の角度をなすようにして偏光板が配置されている。一方、TFT基板100におけるCF基板200とは反対側の面上には、吸収軸がCF基板200側の吸収軸に直交するようにして偏光板が配置されている。
【0073】
上記の液晶パネルには、図12の平面図に模式的に示すように、1フレームの間では、各同一ソース線105上の画素電極101,101,…の極性を互いに等しくかつ各同一ゲート線104上の画素電極101,101,…の極性をソース線1ライン毎に異ならせるデータ信号を入力し、次のフレームで各ソース線105に対する入力信号の極性を反転させるように1Vライン反転駆動するドライバ回路(図示せず)が取り付けられている。尚、透過領域は反射領域に囲まれていて、隣接画素との間の横電界の影響を受けないため、駆動によって特性が変化するということはない。また、その他の構成は、実施形態1の場合と同じであるので説明は省略する。
【0074】
そして、本実施形態では、図13の斜視図に矢印で示すように、TFT基板100側の配向膜111に対するラビング処理と、CF基板200側の配向膜203に対するラビング処理とは、実施形態1の場合とは異なり、ソース線105,105,…に平行でかつ互いに180°の角度をなす方向に施されており、このことで、TFT基板100の液晶層300との界面近傍における液晶分子の配向方向と、CF基板200の液晶層300との界面近傍における液晶分子の配向方向とを、ソース線105,105,…に平行でかつ互いに180°の角度をなす方向に規制するようになっている。
【0075】
次に、上記構成の液晶表示装置の製造方法を説明する。ガラス基板103上に、TFT102,102,…、ゲート線104,104,…、ソース線105,105,…、透明電極101a,101a,…を公知の手段によって形成する。次に、アクリル樹脂の絶縁層110を形成した後、各TFT102のドレイン電極108上の絶縁層110の部分と、透明電極101a上の絶縁層110の部分とを除去し、ドレイン電極108と透明電極101aとにコンタクトするように反射電極101bを形成する。然るべき後、ポリイミド系材料を塗布して配向膜111を形成し、その配向膜111に対し、実施形態1の場合とは異なり、ゲート線104,104,…に平行な方向にレーヨン系の布で擦るラビング処理を施す。
【0076】
一方、CF基板200については、ガラス基板202上に対向電極201を形成し、その上に、ポリイミド系材料を塗布して配向膜203を形成する。そして、このCF基板200とTFT基板100とを貼り合わせた後のラビング方向同士が互いに反平行方向になるように、TFT基板100の場合と同様にしてラビング処理を施す。
【0077】
次に、TFT基板100の配向膜111と、CF基板200の配向膜203とを対向させて、それらTFT基板100およびCF基板200を貼り合わせる。これに、液晶材料を注入する。その後、CF基板200におけるTFT基板100とは反対側の面上に一軸位相差フィルムを配置し、その上に、偏光板を配置する。また、TFT基板100におけるCF基板200とは反対側の面上にも、偏光板を配置する。
【0078】
このようにして完成した液晶表示パネルに、1Vライン反転駆動用のドライバ回路を取り付けることで、本実施形態に係る液晶表示装置が得られる。
【0079】
したがって、本実施形態によれば、TFT基板100の各画素電極101が透明電極101aと該透明電極101aを囲むように形成された反射電極101bとからなっていて、垂直ライン反転駆動するようにしたアクティブマトリクス型の半透過型液晶表示装置において、水平配向液晶材料を用るとともに、TFT基板100の配向膜111およびCF基板200の配向膜203に対し、ソース線105,105,…に平行でかつ互いに180°の角度をなす方向に施したラビング処理により、TFT基板100およびCF基板200の各液晶層300との界面近傍における液晶分子を、横電界の電位線に略直交する方向に配向させることができるので、横電界の影響を受けない透過モード時は勿論、横電界の影響を受ける反射モード時においても、該横電界によるドメインの発生を抑えて表示画面のコントラストを向上させ、画像などの情報を高品位に表示することができる。
【0080】
尚、上記の実施形態では、1垂直ライン反転駆動の場合について説明しているが、本発明は、2ラインや3ラインなど、複数ライン反転駆動の場合にも適用することができ、さらには、水平ライン反転駆動の場合にも適用することができる。但し、水平ライン反転駆動の場合には、強い横電界の電位線は、ゲート線方向ではなく、ソース線方向に生じるので、ラビング方向は、ソース線105,105,…ではなく、ゲート線104,104,…に平行となる。
【0081】
また、上記の実施形態では、ゲート線104,104,…およびソース線105,105,…が共に絶縁層110を介して画素電極101,101,…の下層に配置されている場合について説明しているが、本発明は、ソース線105,105,…のみが画素電極101,101,…の下層に配置されている場合や、水平ライン反転駆動でかつゲート線104,104,…のみが画素電極101,101,…の下層に配置されている場合にも適用することができる。
【0082】
−コントラスト比テスト−
上記のように構成された液晶表示装置を発明例とし、これに、黒電圧(4.5V)および白電圧(1.5V)を印加して反射のコントラスト比を測定するようにして行ったテストについて説明する。
【0083】
ここで、比較のために、上記の液晶パネルに、発明例のドライバ回路に代えて、各同一ゲート線104上の画素電極101,101,…の極性を互いに等しくかつ各同一ソース線105上の画素電極101,101,…の極性をゲート線1ライン毎に交互に反転させる1Hライン反転駆動を行うようにしたドライバ回路を取り付け、これを比較例とし、この比較例についても発明例の場合と同様のテストを行った。
【0084】
以上の結果、比較例では、130であったのに対し、発明例では、320のコントラストが得られた。
【0085】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、走査配線の少なくとも一部に絶縁層を介して画素電極をオーバラップさせるとともに、同一データ配線上の画素電極の極性を所定数の走査配線毎に交互に反転させるライン反転駆動を行うようにしたアクティブマトリクス型の液晶表示装置において、液晶層にホモジニアス型液晶材料を用い、各電極基板の液晶層との界面近傍の液晶分子を、走査配線に略平行にかつ互いに略180°の角度をなす方向に配向させるようにしたので、データ配線方向に隣接する異極性の画素電極間の横電界に起因するドメインの発生を抑えることができ、よって、液晶層に垂直液晶材料を用いる場合のような生産性の低下を招くことなく、黒表示の低輝度化によるコントラストの向上を図ることができる。
【0086】
請求項2の発明によれば、データ配線の少なくとも一部に絶縁層を介して画素電極をオーバラップさせるとともに、同一走査配線上の画素電極の極性を所定数のデータ配線毎に交互に反転させるライン反転駆動を行うようにしたアクティブマトリクス型の液晶表示装置において、液晶層にホモジニアス型液晶材料を用い、各電極基板の液晶層との界面近傍の液晶分子を、データ配線に略平行にかつ互いに略180°の角度をなす方向に配向させるようにしたので、走査配線方向に隣接する異極性の画素電極間の横電界に起因するドメインの発生を抑えることができ、よって、液晶層に垂直配向液晶材料を用いる場合のような生産性の低下を招くことなく、黒表示の低輝度化によるコントラストの向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係る透過型液晶表示装置における液晶パネルの各電極基板に対するラビング方向を模式的に示す斜視図である。
【図2】液晶パネルの要部の構成を模式的に示す縦断面図である。
【図3】液晶パネルのTFT周りの構成を模式的に示す縦断面図である。
【図4】1Hライン反転駆動による画素電極の極性を模式的に示す平面図である。
【図5】マルチドメインセルの配向分割ラインを模式的に示す縦断面図である。
【図6】マルチドメインセルの場合の変形例1〜変形例3を模式的に示す平面図である。
【図7】発明例においてソース線方向に隣接する2つの画素電極の電位がそれぞれ−4.5Vおよび4.5Vであるときの配向シミュレーション結果のゲート線直交平面での断面(a)を同方向の各位置における光透過率の特性(b)と併せて示す図である。
【図8】比較例においてソース線方向に隣接する2つの画素電極の電位がそれぞれ−4.5Vおよび4.5Vであるときの配向シミュレーション結果のゲート線直交平面での断面(a)を同方向の各位置における光透過率の特性(b)と併せて示す図7相当図である。
【図9】発明例においてゲート線方向に隣接する2つの画素電極の電位がそれぞれ1.5Vおよび4.5Vであるときの配向シミュレーション結果のソース線直交平面での断面(a)を同方向の各位置における光透過率の特性(b)と併せて示す図である。
【図10】発明例においてゲート線方向に隣接する2つの画素電極の電位が共に4.5Vであるときの配向シミュレーション結果のソース線直交平面での断面(a)を同方向の各位置における光透過率の特性(b)と併せて示す図9相当図である。
【図11】本発明の実施形態2に係る半透過型液晶表示装置における液晶パネルの要部の構成を模式的に示す図3相当図である。
【図12】1Vライン反転駆動による画素電極の極性を模式的に示す図4相当図である。
【図13】液晶パネルの各電極基板に対するラビング方向を模式的に示す図1相当図である。
【図14】従来の液晶表示装置における液晶パネルの各電極基板に対するラビング方向を模式的に示す図1相当図である。
【図15】磁性の互いに異なる両画素電極間における横電界によりリバースチルトが発生する状態を模式的に示す縦断面図である。
【符号の説明】
100 TFT基板(一方の電極基板)
101 画素電極
102 TFT(スイッチング素子)
104 ゲート線(走査配線)
105 ソース線(データ配線)
110 絶縁層
111 配向膜
200 CF基板(他方の電極基板)
201 対向電極
203 配向膜
300 液晶層

Claims (5)

  1. 一対の電極基板と、該一対の電極基板間に配置され、ホモジニアス型液晶材料からなる液晶層とを備え、
    一方の電極基板は、互いに交差するように設けられた複数の走査配線および複数のデータ配線と、少なくとも前記複数の走査配線上に設けられた絶縁層と、前記複数の走査配線および前記複数のデータ配線間の各交差部毎に、それぞれ、該交差部近傍に位置する走査配線の少なくとも一部に前記絶縁層を介して重なるように設けられ、前記交差部を通る走査配線の信号に基づいてスイッチング作動するスイッチング素子を介し、前記交差部を通るデータ配線に接続された画素電極とを有し、
    他方の電極基板は、対向電極を有し、
    同一走査配線上の各画素電極の極性を互いに等しくかつ同一データ配線上の各画素電極の極性を所定数の走査配線毎に交互に反転させるライン反転駆動を行うようにした液晶表示装置であって、
    前記一対の電極基板の前記液晶層との各界面に、該界面近傍における液晶層の液晶分子の配向方向を前記走査配線に略平行でかつ互いに略180°の角度をなす方向に規制する配向処理が施されていることを特徴とする液晶表示装置。
  2. 一対の電極基板と、該一対の電極基板間に配置され、ホモジニアス型液晶材料からなる液晶層とを備え、
    一方の電極基板は、互いに交差するように設けられた複数の走査配線および複数のデータ配線と、少なくとも前記複数のデータ配線上に設けられた絶縁層と、前記複数の走査配線および前記複数のデータ配線間の各交差部毎に、それぞれ、該交差部近傍に位置するデータ配線の少なくとも一部に前記絶縁層を介して重なるように設けられ、前記交差部を通る走査配線の信号に基づいてスイッチング作動するスイッチング素子を介し、前記交差部を通るデータ配線に接続された画素電極とを有し、
    他方の電極基板は、対向電極を有し、
    同一データ配線上の各画素電極の極性が互いに等しくかつ同一走査配線上の各画素電極の極性が所定数のデータ配線毎に交互に反転するライン反転駆動を行うようにした液晶表示装置であって、
    前記一対の電極基板の前記液晶層との各界面に、該界面近傍における液晶層の液晶分子の配向方向を前記データ配線に略平行でかつ互いに略180°の角度をなす方向に規制する配向処理が施されていることを特徴とする液晶表示装置。
  3. 請求項1又は2記載の液晶表示装置において、液晶層は、同一画素内に、走査配線およびデータ配線を跨いで隣接する画素間に亘るように設けられた複数のドメインを有し、各電極基板に対する配向処理は、それぞれ、該配向処理の規制方向が隣接ドメイン間において互いに略180°の角度をなすように施されていることを特徴とする液晶表示装置。
  4. 請求項1,2又は3記載の液晶表示装置において、両電極基板の画素対応部分がそれぞれ透明に設けられていることを特徴とする液晶表示装置
  5. 請求項1,2又は3記載の液晶表示装置において、一方の電極基板の画素対応部分が透明に設けられ、他方の電極基板上の電極における画素対応部分の少なくとも一部は、光反射体からなることを特徴とする液晶表示装置
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