JP4091933B2 - 永久磁石形モータ - Google Patents
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Description
図19に、圧縮機駆動用モータとしてよく用いられる典型的な永久磁石形モータを示す。
図19において、1は固定子、2はスロット、3はティース部、4は巻線、5は回転子軸、6は磁石挿入孔、7は永久磁石、9は空隙、10は外周薄肉連結部、11は磁石間薄肉連結部、12は回転子、13は固定子鉄心、14は回転子鉄心である。
回転子軸5の周囲には、4個の磁石挿入孔6が等間隔に設けられており、前記磁石挿入孔6の中には永久磁石7を軸方向から挿入して組み込むことによって一体型の回転子12が構成されている。
また、上記永久磁石7はN極とS極が交互になるように着磁されている。
図20に、モータ駆動用として良く用いられる典型的なモータ駆動回路を示す。
前記モータ駆動回路は、直流電源部15,主回路部16および制御回路部17から構成される。
直流電源部15は主回路と並列に接続され前記主回路部16へ電力を供給する。
これら出力線U,V,Wは、上記固定子1の各相の巻線4に接続されている。各相の巻線はU相,V相,W相で構成され、Y結線されている。
このとき、各巻線U相,V相,W相の通電幅は、電気角で120度とする、周知の120度通電となるように構成されている。
すなわち、回転子12の磁極部には、図21に示すように永久磁石7のつくる磁束Aと巻線4のつくる磁束Bの作用によって、回転子12の磁極部の回転方向側端部へ向かって湾曲した磁束が流れ、ティース部3に磁束が集中する。
この結果、ティース部3に磁気飽和を生じ、鉄損が増大する。さらには、所望のトルクを得るための電流値が増大し、銅損が増加することとなり、効率が低下する。この減少は、希土類の永久磁石を用いた場合により顕著となる。
これにより、誘起電圧波形に高調波成分が重畳し、大きなトルクリップルを生じ、モータの振動・騒音を増加させる原因となっていた。
以下、この発明の実施の形態を3相4極の永久磁石形モータを例に添付図を用いて詳細に説明する。
図1は、この発明の実施の形態1を示すモータの断面図、図2は回転子の斜視図、図3は積層部の側面を拡大した概略図である。
各図面において、同一符号のものは、同一構成要素を示している。
固定子1の孔内には若干の空隙を隔てて回転子軸5により回転自在に支持された回転子12を有している。
磁石挿入孔6の両端部は、図1に示すように、回転子内部での短絡磁路の形成を防止するため、外周薄肉連結部10と磁石間薄肉連結部11を有する構造となっている。
また、外周薄肉連結部と磁石間薄肉連結部11は、永久磁石7からみて外側に位置する磁極部18と、永久磁石7からみて内側に位置するヨーク部19を連結する役割を有し、一体形の回転子鉄心構造となっている。この一体構造により回転子12の強度を確保し、高速回転駆動を可能にしている。
このとき、永久磁石の外周側に存する磁極番号を図中に示すようにそれぞれ磁極1,磁極2,磁極3,磁極4,同一磁極内に存する三つのスリットをそれぞれAスリット,Bスリット,Cスリットと定め、極数をN(=4)、スリットの幅をθsとしたとき、磁極中心とBスリット(三つのスリットの内、真ん中に位置するスリット)との成す角Δθは、次式を満たすように構成されている。
Δθ(i)=(i−1)θs/A …………………………(1)
但し、iは磁極番号、Aは1<A<Nの実数とする。
すなわち、磁極1ではΔθ(1)=0,磁極2では、Δθ(2)=θs/A、磁極3では、Δθ(3)=2θs/A、磁極4ではΔθ(4)=3θs/Aとなるように構成される。
換言すれば、磁極番号に比例して、磁極中心とBスリットの角度が大きくなるように構成されている。
図3は、図2の側面を部分的に拡大した図であり、1枚積層される毎に、軸方向に対してθs/Aだけ角度がずれるようにスリット8が配置されている。
図において、20は上金型、21は板厚0.3mm〜0.5mm程度の電磁鋼板からなる回転子素材、22は下金型、23はスクイズリング、24は受け台、25は受け台軸、26は積層鉄心である。
このとき、コアパンチである打ち抜き後の回転子素材を上金型20の打ち抜き周期と同一周期で受け台軸を磁極ピッチ分だけ定められた方向に回転させながら積層することにより、容易にスリットにスキューをつけることが可能となる。
このとき、受け台軸25を極ピッチ分回転させても磁石挿入孔6にはスキューがかかららずまっすぐに積層されるため、磁石の挿入は従来通り容易に行うことができる。
y軸正方向を基準P0とし、回転子の磁極中心の延長線と受け台の外周部とを交わる点をそれぞれ図中に示すように、P1,P2,P3,P4と定め、基準P0とP1が一致する位置をP01,P0とP2が一致する位置をP02,P0とP3が一致する位置をP03,P0とP4が一致する位置をP04としたとき,受け台軸20は、P01→P02→P03→P04→P03→P02→P01………の順に回転しながら積層することで、ジグザグ状のスキューが実現される。
すなわち、図22に示す空隙磁束密度の落ち込みが大きい従来のモータの空隙磁束密度分布に対し、この発明の実施の形態1で示すモータでは、隣接する磁極部のスリットの位置が磁極中心に対して、同じ位置に配置されることはなく、且つ、軸方向に対してもスリットの配置位置をずらしてV字状のジグザグスキューをつけた構造を有しているため、スリットの位置が同じ位置で重なることがなくなり、空隙磁束密度の落ち込みが分散されて、空隙磁束密度の分布は、図6に示すように落ち込みの小さい滑らかな分布となる。
図8は、この発明の実施の形態2を示したもので、上記の実施の形態1とは以下の点で異なっている。
すなわち、実施の形態1では、軸方向に積層する際に、スリット8のスキュー角をコアパンチ1枚毎に変えていたが、この発明の実施の形態2では、2枚おきにスリット8のスキュー角を変えるように積層されている。このとき、軸方向の積層枚数をNj、極数をNとしたとき、同一方向に積層するコアパンチの枚数Ncは次式を満たす整数となる。
Nc≦Nj/(2N−1)
すなわち、少なくとも1個以上のV字スキューが形成されるように積層される。
以上のように構成された回転子においても、実施の形態1と同様な効果が得られる。
図9および図10は、この発明の実施の形態3を示す永久磁石形モータの構成図である。
図9は、回転子を斜め方向からみた図、図10は回転子の側面を部分的に拡大した図であり、実施の形態1とは以下の点で異なる。
すなわち、実施の形態1では、軸方向に積層する際にスリット8のスキューを連続したV字形状を成すようにスキューを形成していたが、この実施の形態では、スキューが斜めになるように形成される。
この図に示す回転子は、スリットを打ち抜くための専用の金型を用いて、金型を所定のピッチでずらしながら打ち抜くことにより実現することができる。
図11に、実施の形態4を示す永久磁石形モータの構成を示す。
図11において、回転子軸5と、前記回転子軸5の周りに配置された回転子鉄心14と、前記回転子鉄心14の周りに等間隔に配置された4個の磁石挿入孔6と、前記磁石挿入孔6の内部に埋め込まれ、N極,S極が交互になるように着磁された永久磁石7と、前記永久磁石7の外径側に存する前記回転子鉄心14の磁極部18に径方向に設けた4個のスリット8により構成される。
また、巻線電流のつくる磁束と回転子の磁極部との間に作用する径方向の磁気吸引力がスリットの効果により低減でき、磁極周期(この場合は、回転周波数の4倍)で発生する振動成分を抑制することができる。
図13に、この実施の形態5における永久磁石形モータの回転子の構成を示す。
図13において、回転子軸5と、前記回転子軸5の周りに配置された回転子鉄心14と、前記回転子鉄心14の周りに等間隔に配置された4個の磁石挿入孔6と、前記磁石挿入孔6の内部に埋め込まれ、N極、S極が交互になるように着磁された永久磁石7と、前記永久磁石7の外径側に存する前記回転子鉄心14の磁極部18に回転子12の回転方向に対して逆向きに斜めになるように設けた3個のスリット8により構成される。
また、電機子反作用による磁束が弱められることにより、径方向に磁気吸引力が低減し、回転子軸が偏心を生じている場合であっても、磁極数周期で発生する振動成分を低減できるため、振動の小さい永久磁石形モータが実現できる。
また、斜めにスリットを入れることにより、巻線側からみたインダクタンスの変化が滑らかになり、従来、スロットの周期ででていた空隙磁束密度の落ち込みを小さくすることができるようになり、トルクリップルを低減することができる。
図14は、この発明の実施の形態6を示す永久磁石形モータの回転子構成を示した図であり、実施の形態5とは以下の点で異なる。
すなわち、実施の形態5では、スリット8の形態を、回転子12の回転方向に対して逆向きに傾けるように形成していたが、この実施の形態6においては、回転子軸5の中心を向く放射状になるように3個のスリット8を設けたことを特徴とする。
これにより、空隙磁束密度分布は、図15に示すように、台形波形状となり、120度の矩形波通電による制御とのマッチングが向上し、高効率な特性を有する永久磁石形モータが実現できる。
図16は、この発明の実施の形態7における永久磁石形モータの回転子構成を示した図であり、実施の形態5とは以下の点で異なる。
すなわち、実施の形態5では、スリット8の形態を、回転子12の回転方向に対して逆向きに傾けるように形成していたが、この実施の形態7においては、スリット8を径方向に第1のスリットと第2のスリットの上下2分割に形成し、かつ、上側の第1のスリットと下側の第2のスリットは同一直線上になるように配置したことを特徴とする。
すなわち、回転子内部に配置された径方向に延びるスリット8の中央部に磁性部を有する形状を呈する。
すなわち、磁気抵抗の落差の大きい回転子を得ることができるようになり、リラクタンストルクの成分を増加させることができる。
図17は、この発明の実施の形態8における永久磁石形モータの回転子構成を示した図であり、実施の形態7とは以下の点で異なる。
すなわち、実施の形態7では、スリット8を径方向に第1のスリットおよび第2のスリットの上下2分割に形成し、かつ上側の第1のスリットと下側の第2のスリットは同一直線上になるように配置していたが、この実施の形態においては、スリット8を径方向に第1のスリットと第2のスリットとに上下2分割に形成し、かつ、上側の第1のスリットと下側の第2のスリットを互い違いになるように形成したことを特徴とする。
図18は、この発明の実施の形態9における永久磁石形モータの構成図を示したものであり、実施の形態1とは以下の点で異なる。
すなわち、実施の形態1においては、スリット8の外周側端部は、回転子鉄心内部において、閉塞された形態で形成されていたが、この実施の形態においては、スリット8の外周側の端部を開放された形態となるように形成される。
Claims (2)
- 永久磁石挿入孔と回転子軸挿入孔を設けた回転子鉄心と、前記磁石挿入孔に挿入された永久磁石と前記永久磁石の外周側の回転子鉄心内の磁極部に設けた複数のスリットで構成される回転子を備えた永久磁石形モータにおいて、永久磁石の外周側の回転子鉄心内の磁極部に、回転子の内周側から外周側へ向い延在する複数のスリットを設け、前記回転子鉄心に設けられた前記複数のスリットの全てについて、前記スリットの外周側に位置する端部が前記スリットの内周側に位置する端部よりも前記回転子の回転方向に対し周方向へ後退して位置するように前記スリットを斜めに傾けて配設したことを特徴とする永久磁石形モータ。
- 前記スリットの外周部が開放されていることを特徴とする請求項1に記載の永久磁石形モータ。
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