図1は、本発明の一実施形態を示す遊技機(カード球貸ユニットを併設したCR機)全体の構成を示す正面図で、図2は制御系のブロック図である。
遊技機(パチンコ遊技機)1の前面枠3は本体枠(外枠)4にヒンジ5を介して開閉回動可能に組み付けられ、遊技盤6は前面枠3の裏面に取り付けられた収納フレーム(図示省略)に収装される。
遊技盤6の表面には、変動表示装置(変動表示手段)8、大入賞口を備えた変動入賞装置10、一般入賞口11〜15、始動口16、普通図柄始動ゲート27A、27B、普通図柄表示器7、普通変動入賞装置9(補助入賞手段)等が配設された遊技領域が形成される。前面枠3には、遊技盤6の前面を覆うカバーガラス18が取り付けられている。
変動表示装置(表示装置)8の表示領域には、例えば、左、中、右の三つの特別図柄(識別情報)が背景やキャラクタなどと共に表示される。これらの特別図柄には、例えば「0」〜「9」までの各数字と、「A」〜「E」のアルファベット文字等が割り当てられている。
変動表示装置8は、始動口16へ遊技球の入賞があると、前述した数字、文字で構成される特別図柄が変動表示(例えば、スクロール表示)される。始動口16への入賞が所定のタイミングでなされたとき(具体的には、入賞検出時に抽出した特別図柄乱数カウンタ値が当たり値であるとき)には、大当たりとなる特別図柄の組み合わせである、左、中、右の特別図柄が揃った状態(特定の結果態様)で変動表示ゲームの結果が表示される。このとき、変動入賞装置10の大入賞口が所定の時間(例えば30秒)だけ大きく開き、多くの遊技球を獲得することができる大当たり状態(特別遊技状態)となる。
この始動口16への遊技球の入賞は、特別図柄始動センサ52(図2参照)で検知される。この遊技球の通過タイミング(具体的には、入賞検出時点での遊技制御装置100(図2参照)内に備えられた特別図柄乱数カウンタの値)は、特別図柄入賞記憶として、遊技制御装置100内の所定の記憶領域(特別図柄乱数記憶領域)に、最大で連続した所定回数(例えば、最大で連続した4回分)を限度に記憶される。この特別図柄入賞記憶の記憶数は、変動表示装置8の下側に設けられた複数のLEDからなる特別図柄記憶状態表示器17に表示される。遊技制御装置100は、特別図柄入賞記憶に基づいて、変動表示装置8にて変動表示ゲームを行う。なお、特別図柄記憶状態表示器17の記憶数は任意の値に設定してよい。
普通図柄表示器7は、普通図柄始動ゲート27A、27Bへ遊技球の入賞があると、普通図柄(例えば一つの数字からなる図柄)の変動表示を始める。普通図柄始動ゲート27A、27Bへの入賞が所定のタイミングでなされたとき(具体的には、入賞検出時の普通図柄乱数カウンタ値が当たり値であるとき)には、普通図柄に関する当たり状態となり、普通図柄が当たり図柄(当たり番号)で停止する。このとき、始動口16の両脇に設けられた普通変動入賞装置9が所定の時間(例えば0.5秒)だけ大きく開き、遊技球の始動口16への入賞可能性が高められる。
この普通図柄始動ゲート27A、27Bへの遊技球の通過は、普通図柄始動センサ53(図2参照)で検知される。この遊技球の通過タイミング(具体的には、遊技制御装置100内に備えられた普通図柄乱数カウンタの通過検出時点での値)は、普通図柄入賞記憶として、遊技制御装置100内の所定の記憶領域(普通図柄乱数記憶領域)に、所定回数(例えば、最大で連続した4回分)を限度に記憶される。この普通図柄入賞記憶の記憶数は、普通図柄表示器7の右に設けられた複数のLEDからなる普通図柄記憶状態表示器19に表示される。遊技制御装置100は、普通図柄入賞記憶に基づいて、普通図柄に関する当たりの抽選を行う。なお、普通図柄記憶状態表示器19の記憶数は任意の値に設定してよい。
前面枠3の下部の開閉パネル20には球を打球発射装置に供給する上皿21が、固定パネル22には下皿23および打球発射装置の操作部24等が配設される。
カバーガラス18の上部の前面枠3には、点灯により球の排出の異常等の状態を報知する第1報知ランプ31、第2報知ランプ32が設けられている。
カード球貸ユニット用の操作パネル26には、カードの残高を表示するカード残高表示部(図示省略)と、球貸しを指令する球貸しスイッチ28と、カードの返却を指令するカード返却スイッチ30等が設けられている。
カード球貸ユニット2には、前面のカード挿入部25に挿入されたカード(プリペイドカード等)のデータの読込、書込等を行うカードリーダライタと球貸制御装置が内蔵され、カード球貸ユニット用の操作パネル26は遊技機1の上皿21の外面に形成される。
図2は、遊技制御装置100を中心とする制御系を示すブロック構成図である。遊技制御装置100は、遊技を統括的に制御する主制御装置(遊技制御手段)であり、遊技制御を司るCPU、遊技制御のための不変の情報(遊技制御プログラム、遊技制御データ等)を記憶しているROM、遊技制御時にワークエリアとして利用されるRAMを内蔵した遊技用マイクロコンピュータ101、入力インターフェース102、出力インターフェース103、情報通信端子104等から構成される。
遊技用マイクロコンピュータ101は、入力インターフェース102を介しての各種検出装置(特別図柄始動センサ52、一般入賞口センサ18A〜18N、カウントセンサ40、継続センサ42、普通図柄始動センサ53)からの検出信号を受けて、大当たり抽選等、種々の処理を行う。そして、出力インターフェース103を介して、大入賞口ソレノイド36、普通電動役物ソレノイド90、普通図柄表示器7等を駆動制御し、各種制御装置(表示制御装置150、排出制御装置200、装飾制御装置250、音制御装置300)に指令信号を送信して遊技を統括的に制御する。なお、表示制御装置(表示制御手段)が演出制御装置(演出制御手段)として機能し、遊技制御装置からの指示に基づいて装飾制御装置250、音制御装置300を制御するように構成してもよい。
盤用外部情報端子41はホールコンピュータ(遊技場内に設置される各遊技機の状態を一元的に管理するために遊技場、すなわちホールに設置される外部コンピュータ)と接続されており、遊技制御装置100からは出力インターフェース103、盤用外部情報端子41を介し、ホールコンピュータに盤用外部情報が出力される。盤用外部情報としては、図柄が確定したか、大アタリであるか、確率変動大アタリ中であるか、変動時間短縮(時短)大アタリ中であるか等、変動表示ゲーム1、2の進行状態に関連する情報が含まれる。
排出制御装置200は、遊技制御装置100からの賞球指令信号又はカード球貸ユニット2からの貸球要求に基づいて、払出ユニットの動作を制御し、賞球又は貸球の排出を行わせる。
装飾制御装置250は、遊技制御装置100からの装飾指令信号に基づいて、装飾用ランプ、LED等の装飾発光装置を制御すると共に、特別図柄記憶状態表示器17、普通図柄記憶状態表示器19の表示を制御する。
音制御装置300は、スピーカからの効果音出力を制御する。なお、遊技制御装置100から、各種従属制御装置(表示制御装置150、排出制御装置200、装飾制御装置250、音制御装置300)への通信は、遊技制御装置100から従属制御装置に向かう単方向通信のみが許容されるようになっている。これにより、遊技制御装置100に従属制御装置側から不正な信号が入力されることを防止することができる。
情報通信端子104は、遊技用マイクロコンピュータ101のデータを読み出すために設けられた、外部との情報通信用の端子である。情報通信端子104を介して、検査装置やホールコンピュータ(いずれも不図示)が接続される。この情報通信端子104に検査装置が接続された場合、所定の通信開始プロトコルを経て検査装置固有のコードが検査装置から遊技用マイクロコンピュータ101に送られ、このコードに基づいて遊技用マイクロコンピュータ101は、接続されている検査装置が正規のものであるか否かを判定する。検査装置が正規のものであると判定されると、遊技用マイクロコンピュータ101は以降の通信続行を許可し、検査装置側からの出力要求に基づいて遊技用マイクロコンピュータ101固有のID、プログラムの内容を識別するためのチェックサム等を出力する。また、情報通信端子104にホールコンピュータが接続された場合、後述する大アタリ中や確率変動中、あるいは変動表示時間短縮中、さらには客待ち状態などの、遊技機の状態を適宜ホールコンピュータに出力することもできる。
表示制御装置150は、2次元又は3次元の画像表示制御を行うもので、CPU(中央演算手段)151、VDC(Video Display Controller又は描画演算手段)156、プログラム等を格納したROM152、ワークエリアやフレームバッファを格納するRAM153、インターフェース154、画像データ(図柄データ、背景画データ、動画オブジェクトデータ、テクスチャデータ等)を格納したフォントROM158、RAM153等への書込読み出しを制御するDMAC(Direct Memory Access Controller)155、同期信号(基準クロック)やストローブ信号等を発生させるための発振器158等から構成される。なお、発振器158は、水晶振動子やオッシレータなどで構成される。
CPU151は、ROM152に格納したプログラムを実行し、遊技制御装置100から出力される表示制御コマンドに基づいて所定の変動表示ゲームを変動表示装置8に出力するもので、2次元の画像情報(図柄表示情報、背景画面情報、動画オブジェクト画面情報等)を作成したり、3Dの画像情報(スプライトデータやポリゴンデータ等で構成される図柄表示情報、背景画面情報、動画オブジェクト画面情報等)の作成等を行い、これらの演算結果をフレームバッファとしてのRAM153の所定の領域に格納する。
VDC156は、RAM153に格納した画像情報を所定のタイミング(垂直同期信号V_Sync、L/R信号、水平同期H_Sync)でLCD側(合成変換装置170)へ送信する。
なお、フォント(キャラクタ)ROM157には、変動表示ゲームに用いる識別情報などの各図柄、背景、キャラクタ等のスプライトデータ又はポリゴンデータ、テクスチャデータ等が格納されている。
VDC156が行う描画処理は、2次元と3次元の点描画、線描画、スプライト描画、トライアングル描画、ポリゴン描画を行い、さらに、テクスチャマッピング、アルファブレンディング、シェーディング処理、陰面消去(Zバッファ処理など)を行って、γ補正回路159を介して画像信号を合成変換装置170に出力する。
ここで、フレームバッファは、2次元画像のフレームバッファと3次元画像のフレームバッファをそれぞれRAM153の所定の記憶領域などに設定しておき、VDC156は、2次元画像を別の2次元画像に重ね合わせて(オーバーレイ)出力することも可能である。また、RAM153に設定したフレームバッファには、3次元画像表示用の右眼用画像および左眼用画像をそれぞれ独立したフレームバッファに格納してもよい。
VDC156には、クロック信号を供給する発振器158が接続されている。発振器158が生成するクロック信号は、VDC156の動作周期を規定し、VDC156から出力される信号、例えば、垂直同期信号(V_SYNC)と、水平同期信号(H_SYNC)を生成し、合成変換装置170および変動表示装置8へ出力される。
VDC156からの画像信号は、γ補正回路159に入力された後に合成変換装置170へ出力される。このγ補正回路159では、変動表示装置8の信号電圧に対する照度の非線形特性を補正して、変動表示装置の表示照度を調整する。
また、表示制御装置150のCPU151は、発振器158のクロック信号に基づいて、合成変換装置170へ出力する画像データ(RGB)が、左眼用の画像又は右眼用の画像のいずれであるかを識別するL/R信号を出力する。
さらに、CPU151は、変動表示の状態(例えば、通常の変動表示ゲームか、大当たり中の表示か等)や遊技の状態に基づいて、変動表示装置8の発光量(輝度)を制御するため、デューティ制御信号DTY_CTRを発振器158のクロック信号に基づいて生成し、変動表示装置8へ出力する。
合成変換装置170の概略的構成を示す図3において、合成変換装置170は、制御部171、右眼用フレームバッファ172、左眼用フレームバッファ173および立体視用フレームバッファ174が設けられており、CPU151からのL/R信号に基づいて、制御部171は、VDC156から送られてきた画像データが左眼用画像データであるか、右眼用画像データであるかを識別して、右眼用画像を右眼用フレームバッファ172に書き込み、左眼用画像を左眼用フレームバッファ173に書き込む。次いで、立体視用フレームバッファ174に書き込んで右眼用画像と左眼用画像とを合成して立体視用画像(3次元画像)を生成し、立体視用画像データをRGB信号等として変動表示装置8に出力する。なお、L/R信号は、Hiレベル(=1)で左眼用画像データを示し、Loレベル(=0)で右眼用画像データを示す。
この左眼用画像と右眼用画像との合成による立体視用画像の形成(生成)は、図4で示すように、微細位相差板802に設けられた1/2波長板821の間隔毎に、左眼用画像と右眼用画像を組み合わせる。具体的には、本実施形態の変動表示装置8の微細位相差板802の1/2波長板821は、液晶表示パネル804の表示単位の間隔で配置されているので、液晶表示パネル804の表示単位の横方向ライン(走査線)毎に左眼用画像(例えば、奇数ライン)と右眼用画像(例えば、偶数ライン)とが交互に表示されるように立体視用画像を表示する。
通常の表示状態では、L/R信号のHiレベル出力中にVDC156から送信されてきた画像データ(左眼用画像データ)を左眼用フレームバッファ173に書き込み、L/R信号のLoレベル出力中にVDC156から送信されてきた画像データ(右眼用画像データ)を右眼用フレームバッファ172に書き込む。そして、左眼用フレームバッファ173に書き込まれた左眼用画像データと、右眼用フレームバッファ172に書き込まれた右眼用画像データとを走査線一本毎に読み出して、立体視用フレームバッファ174に書き込む。
変動表示装置8内には液晶ドライバ(LCD DRV)181、バックライトドライバ(BL DRV)182が設けられている。液晶ドライバ(LCD DRV)181は、合成変換装置170から送られてきたV_SYNC信号、H_SYNC信号およびRGB信号(画像データ)に基づいて、液晶表示パネルの電極に順次電圧をかけて、液晶表示パネル804に立体視用の合成画像を表示する。
バックライトドライバ182は、CPU151から出力されたDTY_CTR信号に基づいて発光素子(バックライト)810に加わる電圧のデューティ比を変化させて、液晶表示パネル804の明るさを変化させる。
図4は、変動表示装置8の構成を示す説明図で、光源801は、発光素子810、偏光フィルタ811、フレネルレンズ812によって構成されている。発光素子810には白色発光ダイオード(LED)等の点光源を横に並べて用いたり、冷陰極管等の線光源を水平に配置して構成されている。偏光フィルタ811は、左側領域811bと右側領域811aとで透過する光の偏光方向が異なる(例えば、左側領域811bと右側領域811aとで透過する光の偏光方向を90度ずらす)ように設定されている。フレネルレンズ812は一側面に同心円状の凹凸を有するレンズ面を有している。
発光素子810から放射された光は、偏光フィルタ811によって一定の偏光方向の光のみが透過される。すなわち、発光素子810から放射された光のうち、偏光フィルタ811の左側領域811bを通過した光と、右側領域811aを通過した光とが異なる偏光方向を有する偏光光としてフレネルレンズ812に照射される。後述するように、偏光フィルタ811の左側領域811bを通過した光は観察者の右眼に到達し、右側領域811aを通過した光は観察者の左眼に到達するようになっている。
なお、発光素子と偏光フィルタを用いなくても、異なる偏光方向の光を異なる位置から照射するように構成すればよく、例えば、異なる偏光方向の光を発生する発光素子を二つ設けて、異なる偏光方向の光を異なる位置からフレネルレンズ812に照射するように構成してもよい。
偏光フィルタ811を透過した光はフレネルレンズ812に照射される。フレネルレンズ812は凸レンズとしての作用を有し、フレネルレンズ812では発光素子810から拡散するように出射された光を屈折・集光して略平行の光束とする。このように形成された平行光束は、微細位相差板802を透過して、液晶表示パネル804に到達する。なお、屈折・集光した光束は、左右各々の光源からの光を観視者(遊技者)の左右各々の眼に到達させればよく、平行光に限らなくてもよい。
このとき、微細位相差板802を透過した光は、上下方向に広がることなく液晶パネル804に到達する。すなわち、微細位相差板802の特定の領域を透過した光が、液晶表示パネル804の特定の表示単位の部分を透過するようになっている。
また、液晶表示パネル804に照射される光のうち、偏光フィルタ811の右側領域811aを通過した光と左側領域811bを通過した光とは、フレネルレンズ812の光軸に対して異なる角度でフレネルレンズ812に入射し、フレネルレンズ812で集光されて左右異なる経路で液晶表示パネル804に向けて出射する。
液晶表示パネル804は、2枚の透明板(例えば、ガラス板)の間に所定の角度(例えば、90度)ねじれて配向された液晶が配置されており、例えば、TFT型の液晶表示パネルを構成している。液晶に電圧が印加されていない状態で液晶表示パネルを透過する光は、その偏光方向が90度ねじられる。一方、液晶に電圧が加わっている状態では、液晶のねじれが解けるので、入射光はその偏光方向が変化することなく出射される。
液晶表示パネル804の光源801側には、微細位相差板802および偏光板803(第2偏光板)が配置されており、観察者側には、偏光板805(第1偏光板)が配置されている。
微細位相差板802は、透過する光の位相を変える領域が、微細な間隔で繰り返して配置されている。具体的には、光透過性の基材に、微細な幅の1/2波長板821が設けられた領域802aと、1/2波長板821の幅と同一の微細な間隔で、1/2波長板821が設けられていない領域802bとが微細な間隔で繰り返して設けられている。すなわち、設けられた1/2波長板によって透過する光の位相を変える領域802aと、1/2波長板821が設けられていないために透過する光の位相を変えない領域802bとが微細な間隔で繰り返して設けられている。この1/2波長板821は、透過する光の位相を変化させる位相差板として機能している。
1/2波長板821は、その光学軸を偏光フィルタ811の右側領域811aを透過する光の偏光方向に対して45度傾けて配置され、右側領域811aを透過した光の偏光軸を90度旋光させて出射する。すなわち、右側領域811aを透過した光の偏光を90度旋光させて、左側領域811bを透過する光の偏光と等しくする。すなわち、1/2波長板821が設けられていない領域802bは左側領域811bを通過した、偏光板803の偏光方向と同一方向の偏光軸を有する光を透過する。そして、1/2波長板821が設けられた領域2aは右側領域811aを通過した、偏光板803の偏光方向と直交する方向の偏光軸を有する光を、偏光板803の偏光方向に一致するように旋光させて出射する。
この微細位相差板802の偏光特性の繰り返しピッチは、液晶表示パネル804の表示単位と略同一のピッチとして、表示単位毎(すなわち、表示単位の横方向の水平ライン毎)に透過する光の偏光が異なるようにする。よって、液晶表示パネル804の表示単位の水平ライン(走査線)に対応する微細位相差板802の偏光特性が異なるようになって、1水平ライン毎に出射する光の方向が異なる。
あるいは、微細位相差板802の偏光特性の繰り返しは、液晶表示パネル804の表示単位のピッチの整数倍のピッチとして、微細位相差板802の偏光特性が複数の表示単位毎(すなわち、複数の表示単位の水平ライン毎)に変わるようにして、複数の表示単位毎に透過する光の偏光が異なるように設定してもよい。この場合において、液晶表示パネル804の表示単位の水平ライン(走査線)の複数本毎に微細位相差板の偏光特性が異なって、水平ラインの複数本毎に出射する光の方向が異なるようになる。
このように、微細位相差板802の偏光特性の繰り返し毎に異なる光を液晶表示パネル804の表示素子(水平ライン)に照射する必要があるため、微細位相差板802を透過して液晶表示パネル804に照射される光は、上下方向の拡散を抑制したものである必要がある。
すなわち、微細位相差板802の光の位相を変化させる領域802aは、偏光フィルタ811の右側領域811aを透過した光を、左側領域811bを透過した光と同じ偏光方向を有する光に変えて透過する。また、微細位相差板802の光の位相を変化させない領域802bは、偏光フィルタ811の左側領域811bを透過した光をそのまま透過する。そして微細位相差板802を出射した光は、左側領域811bを透過した光と同じ偏光方向を有して、液晶表示パネル804の光源側に設けられた偏光板803に入射する。
偏光板803は第2偏光板として機能し、偏光フィルタ811の左側領域811bを透過した光と同一の偏光方向を有する光を透過する偏光特性を有する。すなわち、偏光フィルタ811の左側領域811bを透過した光は第2偏光板803を透過し、偏光フィルタ811の右側領域811aを透過した光は偏光軸を90度回転させられて第2偏光板803を透過する。また、偏光板805は第1偏光板として機能し、偏光板803の偏光透過容易軸と直交する偏光方向の光を透過する偏光特性を有する。
このような微細位相差板802、偏光板803および偏光板805を液晶表示パネル804に貼り合わせて、微細位相差板802、偏光板803、液晶表示パネル804および偏光板805を組み合わせて画像表示装置を構成する。このとき、液晶に電圧が加わった状態では、偏光板803を透過した光は偏光板805を透過する。一方、液晶に電圧が加わっていない状態では、偏光板803を透過した光は偏光方向が90度ねじれて液晶表示パネル804から出射されるので、偏光板805を透過しない。
デフューザ806は、第1偏光板805の前面側(観察者側)に取り付けられており、液晶表示パネルを透過した光を上下方向に拡散する拡散手段として機能する。具体的には、縦方向にかまぼこ状の凹凸が繰り返し設けられたレンチキュラーレンズを用い液晶表示パネルを透過した光を、上下に拡散する。
なお、レンチキュラーレンズに代わって縦方向により強い拡散指光性を持つマット状拡散面を設けたものであってもよい。上下方向の拡散が抑制された状態の光が液晶パネル804を透過するため、そのままでは視野角が狭くなってしまうことを、このデフューザ806で改善することができる。
図5は、変動表示装置8の光学系を示す平面図である。光源としての発光素子810から放射された光は偏光フィルタ811を透過して放射状に広がっている。これについて詳述すると、発光素子810bから放射された光は、偏光フィルタ811の左側領域811bを透過してフレネルレンズ812に到達し、フレネルレンズ812で集光されて、微細位相差板802、偏光板803、液晶表示パネル804、偏光板805に到達し、これらを略垂直(やや左側から右側)に透過して右眼に至る。
一方、発光素子810aから放射された光は、偏光フィルタ811の右側領域811aを透過してフレネルレンズ812に到達し、フレネルレンズ812で集光されて、微細位相差板802、偏光板803、液晶表示パネル804、偏光板805に到達し、これらを略垂直(やや右側から左側)に透過して右眼に至る。
このように、発光素子810から放射され偏光フィルタ811を透過した光を光学手段としてのフレネルレンズ812によって集光し、液晶表示パネル804に略垂直に照射し、発光素子810、偏光フィルタ811およびフレネルレンズ812によって、偏光面が異なる光を集光し、略垂直に、かつ、異なる経路で液晶表示パネル804に照射する光源801を構成し、液晶表示パネル804を透過した光を異なる経路で出射させて、左眼又は右眼に到達させる。すなわち、液晶表示パネル804の走査線ピッチと、微細位相差板802の偏光特性変化の繰り返しピッチとを等しくして、液晶表示パネル804の走査線ピッチ毎に異なる方向から到来した光が照射され、異なる方向に光を出射する。
図6は遊技の流れを示す状態遷移図であり、以下、この図に従って遊技の概要を説明する。
まず、遊技開始当初(あるいは遊技開始前)の時点では、客待ち状態となっており、客待ち画面の表示を指令する表示制御コマンドが遊技制御装置100から表示制御装置150に送信され、変動表示装置8の画面には客待ち画面(動画又は静止画)が表示される。
そして、遊技盤6の遊技領域に打ち出された遊技球が始動口16に入賞すると、その入賞に基づき、遊技制御装置100によって所定の乱数が抽出され、変動表示ゲームの大当たりの抽選が行われると共に、遊技制御装置100から表示制御装置150に変動表示を指令する表示制御コマンドが送信され、変動表示装置8の画面には予告キャラクタ表示が開始され、あるいは画面の左、右、中の変動表示領域に複数の図柄(識別情報)の変動表示が開始される。
この変動表示の開始後、所定時間経過すると、変動表示は例えば左、右、中の順に仮停止(例えば、停止位置にて図柄を微少に変動させること等)されていくが、この過程でリーチ状態(例えば、左図柄と右図柄が大当たりの組合せを発生する可能性のある組合せであり、通常よりも大当たりとなる期待が持てる状態)が発生すると、所定のリーチ遊技が行われる。このリーチ遊技では、例えば中図柄の変動表示を極低速で行ったり、変動表示を高速で行ったり、変動表示に際しての図柄移動方向を逆転したりする。また、リーチ遊技に合わせた背景表示、キャラクタ表示が行われる。後で詳述するが、これら複数の図柄や背景表示、キャラクタ表示によって構成される画像を本明細書中では立体画像と称し、立体画像を構成する図柄、背景表示、キャラクタ表示のそれぞれを立体表示オブジェクトと称する。
なお、仮停止状態とは遊技者が図柄を略停止状態として認識可能な状態で、かつ最終停止態様が確定しない状態であり、図柄の最終停止態様(結果態様)が確定した状態と区別される。なお、単に停止状態とした場合には、仮停止状態と、最終停止態様(結果態様)が確定した状態とを含む。また、仮停止状態の具体例としては、停止位置での微少変動の他に、図柄を拡大縮小表示させたり、図柄の色を変化させたり、図柄の形状を変化させる等の態様がある。
そして、大当たり抽選の結果が大当たりであれば、最終的に左図柄、右図柄、中図柄が所定の大当たりの組合せで停止され、大当たり遊技(特定の遊技価値を付与)が発生する。
この大当たり遊技が発生すると、変動入賞装置10が所定期間にわたって開かれる特別遊技が行われる。この特別遊技は、変動入賞装置10への遊技球の所定数(例えば10個)の入賞又は所定時間の経過(例えば30秒)を1単位(1ラウンド)として実行され、変動入賞装置10内の継続入賞口(不図示)への入賞(継続センサ53による入賞球の検出)を条件に、規定ラウンド(例えば16ラウンド)繰り返される。また、大当たり遊技が発生すると、大当たりのファンファーレ表示、ラウンド数表示、大当たりの演出表示等、遊技制御装置100から表示制御装置150に大当たり遊技の表示を指令する表示制御コマンドが送信され、変動表示装置8の画面に大当たり遊技の表示(特別遊技状態であることを示す画像)が行われる。
このとき、大当たりが特定の大当たり(例えば、確率変動図柄である奇数図柄での大当たり)であれば、大当たり遊技後に特定遊技状態(例えば、確率変動状態や変動時間短縮状態などの、遊技者に有利な遊技状態)が発生され、次回の大当たりの発生確率を高確率にしたり、後述するように遊技球の始動口16への入賞に基づく変動表示装置8の変動表示ゲームの変動表示時間の短縮等が行われる。
前記変動表示ゲーム中あるいは大当たり遊技中に遊技球が始動口16に入賞したとき(特別図柄始動記憶の発生時)には、変動表示ゲームが終了した後(ハズレのとき)にあるいは大当たり遊技が終了した後に、その特別図柄始動記憶に基づき、新たな変動表示ゲームが繰り返される。また、変動表示ゲームが終了したとき(ハズレのとき)、あるいは大当たり遊技が終了したときに、特別図柄始動記憶がなければ客待ち状態(デモ表示状態)に遷移する。
図7を参照し、変動表示装置8に表示される立体画像について説明する。本明細書においては、液晶表示パネル804(画像表示面)に右眼用および左眼用画像が表示されることに基づいて、液晶表示パネル804の奥側および手前側に形成された仮想空間内に出現する(遊技者が立体的に感じ得る)画像の構成要素の1つ1つを「立体表示オブジェクト」と表現する。そして、この立体表示オブジェクトによって構成される画像を立体画像と表現する。例えば、図7(a)に示す「5」、「7」、「5」の図柄のそれぞれが立体表示オブジェクトに相当し、これら「5」、「7」、「5」の図柄で構成される全体の画像が立体画像に相当する。
図7(a)は、液晶表示パネル804(画像表示面)に表示される右眼用画像、左眼用画像に基づいて、「5」、「7」、「5」と云う右図柄RO、中図柄CO、左図柄LOが立体表示されている様子を模式的に示す斜視図であり、いわゆる「リーチ状態」の表示が行われている様子(図6における変動表示状態に相当)を示している。この状態では、例えば表示される「5」、「7」、「5」の図柄のうち、リーチを構成する左図柄LO、右図柄RO(両脇の5の図柄)が仮停止状態で表示され、中図柄CO(中央の7の図柄)が、例えば5、6、7、…、と云うように変動表示されている。
図7(a)において、液晶表示パネル804を挟む奥側・手前側の方向に延在する仮想空間内で、液晶表示パネル804に正対する遊技者から見て液晶表示パネル804の奥側に、立体表示オブジェクトとして例示する「5」の右図柄RO、左図柄LOが2つ出現し、液晶表示パネル804の手前側に、立体表示オブジェクトとして例示する「7」の中図柄COが1つ出現している様子を示している。図7(a)において符号ERは遊技者の右眼を、符号ELは左眼を示している。
以下、液晶表示パネル804(遊技機)に正対する遊技者(観視者)にとっての前後方向、左右方向、上下方向に沿って、それぞれZ軸、X軸、Y軸をとり、以下の説明を行う。なお、本明細書中では、上記X、Y、Z軸に沿う方向をそれぞれX方向、Y方向、Z方向と称する。また、液晶表示パネル804(画像表示面)を基準として、遊技者に近づく方向を+Z方向、その逆の方向を−Z方向とする。同様に、遊技者の向かって左から右に向かう方向を+X方向とし、その逆の方向を−X方向とする。便宜上、液晶表示パネル804の表示エリア内で、遊技者から向かって一番左に表示される画素のX方向位置座標値を0とする。
立体表示オブジェクトのZ方向の表示位置に関しては、実際にはZ方向に表示位置が変動しているのではなく、この立体表示オブジェクトを形成する右眼用画像および左眼用画像が液晶表示パネル804に表示される際の視差量、すなわち右眼用画像および左眼用画像のX方向の相対表示位置に基づき、遊技者の視覚中枢での処理によって遊技者が感覚として立体画像の出現位置が「近い(手前側に出現)」、あるいは「遠い(奥側に出現)」と感じるものである。この感じ方は、遊技者の眼幅や体調等にも左右されるものであるが、本明細書中では便宜的に、立体表示オブジェクトが+Zの位置に出現することを「手前側に出現」と表現し、−Zの位置に出現することを「奥側に出現」と表現する。また、図柄をこのように表示することを「立体表示する」と表現する。さらに、+Z、−Zの位置に立体表示することをそれぞれ「突出表示する」、「後退表示する」と表現する。
変動表示されている中図柄COに関しては、上述のように表示内容そのものが変わるのに加えて、表示位置も時間の経過とともに変動するが、図7(a)では、ある瞬間における表示状態を示している。
図7(b)は、液晶表示パネル804上に平面画像が表示される様子を示す図であり、後で参照する図7(c)、図7(d)とともに図7(a)のX−Z平面へ投影した状態で図示されている。
図7(c)は、変動表示されている中図柄COが立体表示される様子を示す図である。図7(c)において、液晶表示パネル804に表示される左眼用画像は遊技者の左眼ELのみによって、右眼用画像は右眼ERのみによって観視される。その結果、中図柄COの立体像が融像され、あたかも+Zfの位置に中図柄COが立体表示されているかのように遊技者には感じられる。すなわち、+Zfの位置に中図柄COが出現する。
同様に、図7(d)において左眼用画像は遊技者の左眼ELのみによって、右眼用画像は右眼ERのみによって観視され、−Zrの位置に右図柄ROが出現する。なお、図7(d)においては、理解を容易にするために、右図柄ROが立体表示される様子をだけを示してあり、左図柄LOの図示は省かれている。
ここで右眼用画像、左眼用画像のX方向表示位置に着目すると、図7(b)では右眼用画像および左画像の表示位置は同じである。同様に図7(c)では、左眼用画像の表示位置が右眼用画像の表示位置よりも右側(図7(c)において上側)にある。一方、図7(d)では右眼用画像のX方向表示位置が左眼用画像のX方向表示位置よりも右側にある。
左眼用画像のX方向の表示位置をLとし、右眼用画像のX方向の表示位置をRとしたとき、L−Rを「ピクセル差分δ」と定義する。X方向の表示位置は、例えば液晶表示パネル804の一番左側の画素の表示位置を0とし、画素の数を単位として表現することが可能である。あるいは画素の数に画素の配列ピッチを乗じ、実際の寸法で表現することも可能である。ピクセル差分が図7(c)に示されるようにδ1(>0)となっている場合、+Z側の位置に立体画像が表示され、図7(d)に示されるようにピクセル差分がδ2(<0)となっている場合、−Z側の位置に画像が表示される。また、ピクセル差分の絶対値が大きい程、液晶表示パネル804(画像表示面)からより離れた位置に立体表示されることになり、ピクセル差分が0のときは図7(b)に示すように平面表示されることになる。
液晶表示パネル804に右眼用画像および左眼用画像を表示して立体画像を表示する際に、上述したピクセル差分を用いて、Z方向の表示位置を管理することができる。なお、ピクセル差分を求める際に、左眼用、右眼用それぞれの画像の表示位置に関して、例えば表示される図柄の図心、表示オブジェクトのスプライトデータの表示位置を指示する座標データ、一番左側の画素等、表示位置を定量化するのに都合のよいものを用いることが可能である。以上に説明したピクセル差分は、立体表示オブジェクトを形成する右眼用画像と左眼用画像との視差量である。
図7を参照して以上に説明した例では、立体画像を形成するための右眼用画像、左眼用画像の視差量としてピクセル差分を用い、立体表示オブジェクトのZ方向の出現位置を管理した。視差量とは、狭義には立体画像観察時の観察者の視線のなす角度(輻輳角)と、画像表示面(画像呈示面)で視線が交差する場合の輻輳角との差を意味する。本実施例では視覚負担を管理するためにピクセル差分(左眼用画像と右眼用画像との間の、前記立体画像表示装置の画像表示面上の画素単位のずれ量)に関係して定量化した値を視差量として扱っている。そして、本実施例では、予め表示条件(あるいは観察条件として画像呈示面サイズと視距離)を設定した上で、ピクセル差分を用いて視差量を定量化している。そして、視覚負担を、視差量として定量化して取り扱うことを特徴の一つとしている。なお、視差量を定量化する別の方法として、以下では、立体表示オブジェクトのZ方向出現位置の管理をする際に、仮想空間内のZ値を用いる例について説明する。
いわゆる3Dグラフィクスでは、表示しようとする物体(立体表示オブジェクト)に対応するモデルを3次元の仮想空間内の所定の位置に配置してレンダリング処理をすることにより、2次元のディスプレイに表示するための2次元画像データを得る。この仮想空間は、図7(a)におけるX、Y、Z軸で定義される立体表示空間に置き換えることが可能である。すなわち、仮想空間内におけるZ値とは、XYZ空間として定義可能な仮想空間内にモデルを配置する際の、Z方向の配置位置に相当する。3次元空間中に配置されるモデルの位置を定義する方法としては、そのモデルごとに定められている基準点の位置の座標を特定すればよい。あるいは、モデル中で最前面側にある点の座標をモデルの位置座標に定めてもよい。さらに、モデルを形成する複数のポリゴン中で代表のポリゴンを定め、さらにその代表ポリゴンを定義する複数の頂点の中から代表頂点を定め、その代表頂点の座標をモデルの位置座標としてもよい。
図8は、表示しようとする立体画像に対応するモデルを仮想空間内に配置し、レンダリングする例を示しており、図7(b)〜図7(d)と同様、図7(a)におけるX−Z平面へ投影した様子を示している。そして、図8(a)は、平面画像が液晶表示パネル804(画像表示面)上に平面画像が表示されるのに対応する状態を示し、図8(b)は、立体画像が+Zfの位置に表示されるのに対応する状態を示し、図8(c)は立体画像が−Zrの位置に表示されるのに対応する状態を示す。
図8では、遊技者の眼から液晶パネル804(画像表示面)までの距離、すなわち観視距離は500mmに、そして遊技者の眼幅は65mmと想定する例が示されている。図8(a)では、遊技者の眼から500mm離れた位置にモデルを配置し、レンダリングする例が示されている。この場合、右眼用画像および左眼用画像のX方向表示位置のずれ量は0となる。したがって、実際に表示される画像は、Z=0の平面上に表示されることになる。
図8(b)では、遊技者の眼から(500−Zf)(mm)離れた位置にモデルを配置してレンダリングする例が示されている。この場合、右眼用画像および左眼用画像のX方向表示位置のずれ量はδ1(mm)となる。液晶表示パネル804の表示画素ピッチをp(mm)としたとき、右眼用画像および左眼用画像のX方向表示位置のピクセル差分はδ1/pとなる。同様に、図8(c)では遊技者の眼から(500+Zr)(mm)離れた位置にモデルを配置してレンダリングする例が示されており、右眼用画像および左眼用画像のX方向表示位置のずれ量はδ2(mm)となる。このとき、ピクセル差分はδ2/pとなる。
続いて、輻輳角を用いて立体画像のZ方向表示位置を管理する例について、図9を参照して説明する。図9においても、図8に示す例と同様に観視距離は500mmに、そして遊技者の眼幅は65mmと想定する例が示されている。図9(a)では、遊技者の眼から500mm離れた液晶表示パネル804(画像表示面)上に平面画像を表示する例が示されている。観視距離と眼幅とから輻輳角θ0=2*tan-1{(65/2)/500}で算出できる。本例では、輻輳角がθ0のとき、ピクセル差分は0となる。
図9(b)は、遊技者の眼から(500−Zf)mm離れた位置に立体画像を表示する例が示されている。このとき輻輳角は、θf=2*tan-1{(65/2)/(500−Zf)}で算出される。遊技者にとって手前側(+Z側)に立体画像が表示される場合、θfはθ0よりも大きくなる。図9(c)では遊技者の眼から(500+Zr)mm離れた位置に立体画像を表示する例が示されており、このときの輻輳角は、θr=2*tan-1{(65/2)/(500+Zr)}で算出できる。θrはθ0よりも小さくなる。以上のように立体画像のZ方向表示位置を輻輳角で管理することも可能とである。そして、所定のZ方向位置に立体画像を表示する場合の輻輳角θと、上記θ0との差、あるいは比などを用いることにより、立体表示される画像のZ方向の表示位置を管理することができる。また、算出された輻輳角から以下のようにピクセル差分を求めることも可能である。すなわち、輻輳角をθとしたとき、右眼用画像および左眼用画像のX方向表示位置のずれ量δ(mm)は、δ=2*500*tan(θ/2)−65から算出でき、このときのピクセル差分はδ/p(p:液晶表示パネル804の表示画素ピッチ)となる。
図7〜図9を参照して以上に説明した方法により、立体表示される画像のZ方向(遊技者にとっての前後方向)の表示位置を定量化して管理することができる。このとき、視差量として、ピクセル差分、Z値、輻輳角のうち、どの値を用いることも可能である。また、これらの値を演算加工(たとえば、整数化、上限値や下限値の補正、正負各々5段階の10段階評価など)して、扱いやすい数値に変換して視差量として用いてもよい。以下の説明では、立体画像を構成する複数の立体表示オブジェクトのそれぞれを形成する右眼用画像と左眼用画像との視差量を用いて立体画像を表示する際の立体感を管理する例について説明するが、上述のように立体表示オブジェクトの出現位置を特定可能な任意のパラメータを用いることが可能である。
図10〜図16を参照し、立体画像を表示する際の立体感を管理する方法について説明する。いわゆる両眼視差法による立体表示を行う場合、遊技者(立体画像の観視者)が立体画像を観視し続ける時間と遊技者が感じる眼精疲労の程度とは密接な関連がある。突出表示される立体画像を観視し続けた場合、その疲労の蓄積速度は増加する傾向がある。その一方で、興趣に富む表示効果を得ようとすると、立体画像を突出表示させることが重要となる。本発明によれば、興趣に富む立体映像表現が可能で、観視し続けたときの眼精疲労の蓄積を抑制することが可能となる。
図10〜図16は、CPU151により実行される変動表示処理プログラムの内容を概略的に説明するフローチャートである。この変動表示処理プログラムは、始動口16(図1)への遊技球の入賞があったことを遊技制御装置100(図2)が検出し、遊技制御装置100から表示制御装置150へ表示制御コマンドが送信されるのに応じて実行される。
図10は、CPU151により行われる一連の変動表示処理の内容を示すフローチャートである。図10に示される処理は、例えばROM152に格納されるプログラムをCPU151が実行することにより行われる。図10において、丸囲いの11、12、13、15の数字は、これらの数字の付与された各処理が図11、12、13、15のフローチャートに従ってCPU151により実行されることを示している。例えば、丸囲いの11が付されている部分の処理は、図11に示すフローチャートに従ってCPU151により処理されることを示している。
図10を参照し、CPU151により行われる変動表示処理の概略を説明する。CPU151は、S1000において遊技制御装置100から表示制御コマンドを入力し、S1002において突出表示量管理モードに入っているかどうかを判定する。この突出表示量管理モードに入るか否かは、遊技機1の遊技状態に応じて決まる。例えば、遊技の進行状態や、遊技者が遊技を開始してからの経過時間、遊技者の選択操作等によってこのモードに入るか、あるいはこのモードから脱するかが決まる。
具体的には、遊技者が遊技を開始してから所定時間が経過して遊技者が長時間の遊技を行っていると考えられる場合や、遊技者の目をリラックスさせるのに適した遊技状態(大当り状態や、確率変動、時間短縮などの遊技者に有利な遊技状態で、遊技者が精神的にリラックスして遊技進行を楽しめる遊技状態)にて、突出表示量管理モードに入ることが望ましい。
一方、遊技者が遊技を開始してから所定時間の間や、いわゆるリーチ状態(遊技者にとって大当たりの期待できる状態)では、興趣向上を優先して突出表示管理モードから脱する。
また、眼精疲労の蓄積度合いには個人差、年齢差、体調、環境なども作用するため、遊技者の判断を尊重するよう、遊技者の選択操作によりモード切替を行なうようにしてもよい。
なお、上記突出表示量管理モードへの遷移条件は、上記した具体例に限られず、ゲーム性や表示内容を考慮して自由に設定できる。
なお、突出表示管理モードは、疲労緩和表示制御処理、もしくは観視対象誘導表示制御処理が行なわれている表示状態で、表示オブジェクトの鮮明度を変化させる表示制御を行う状態である。
S1002での判定が否定された場合、すなわち突出表示量管理モードではない場合、S1018に進んで通常表示制御処理が行われ、処理は再度S1000に戻る。
S1002での判定が肯定された場合、すなわち突出表示量管理モードの場合、S1004で突出表示制限フラグが1、すなわち突出表示の制限がかかっているか否かが判定される。S1004での判定が肯定されると、S1006にて疲労緩和表示制御処理、すなわち遊技者の眼精疲労を緩和させることの可能な表示制御処理が行われる。一方、S1004での判定が否定されると、S1008にて観視対象誘導表示制御処理が行われる。これら疲労緩和表示制御処理、観視対象誘導表示制御処理については後で詳述する。
続くS1010においてCPU151は、立体画像を構成する複数の立体表示オブジェクトのうち、特定の立体表示オブジェクト、すなわち上述した疲労緩和表示制御処理や観視対象誘導表示制御処理が行われた結果、遊技者の注視の対象となっている立体表示オブジェクトの視差量が算出され、その視差量の積算(累計)処理が行われる。この処理により求められる値を、本明細書では「累積視差量」と称する。
S1012では、S1010で算出された累積視差量と、予め定められている許容値との比較が行われる。累積視差量が許容値を超していると判定される場合、すなわち表示される立体画像を構成する立体表示オブジェクトの出現位置が、遊技者にとって立体画像表示装置の画像表示面よりも手前側に偏在していると判定される場合にはS1014に進む一方、この判定が否定されるとS1016に進む。S1012での処理について説明すると、両眼視差法による立体表示を行う場合、先述のとおり遊技者が立体画像を観視し続ける時間と遊技者が感じる眼精疲労の程度とは密接な関連があり、突出表示される立体画像を観視し続けた場合、その疲労の蓄積速度は増加する傾向がある。したがって、累積視差量が許容値を超していて、これにより立体画像表示装置の画像表示面よりも遊技者にとって手前の側に立体表示オブジェクトの出現位置が偏在していると判定される場合、遊技者の眼の疲労も蓄積していることが予想される。このような場合、CPU151はS1014で突出表示制限フラグを1にセットする。この突出表示制限フラグが1にセットされている間はS1006の処理が行われて、遊技者の観視対象が、遊技者にとって立体画像表示装置の画像表示面よりも奥の側(遠い側)に出現する立体表示オブジェクトに誘導されるように立体表示が行われる。遊技者が画像表示面よりも奥の側に出現する立体表示オブジェクトを観視することにより遊技者の感じるストレスが和らげられて眼精疲労の回復を促進することができる。
S1012で、累積視差量は許容値を超していないと判定される場合、CPU151はS1016において突出表示制限フラグを0にセットしてS1000に戻る。なお、累積視差量が一度許容値を超した場合、遊技者の眼は疲れていることが予想されるので、十分な休養を与える必要がある。したがってS1012では、累積視差量が許容値を超した後、一定時間の間は突出表示制限フラグを1にセットし続けることが望ましい。あるいは、累積視差量が許容値(上限値)を超した後、突出表示制限がかかって累積視差量が減少し、そして予め定められた下限値を下回るまでの間、突出表示制限フラグを1に維持するものであってもよい。
図11は、図10におけるS1018の通常表示制御処理の手順を説明するフローチャートである。S1100においてCPU151は、S1000(図10)で入力した表示制御コマンドに基づき、表示制御手順を展開する。具体的には、ROM152中にストアされている複数の変動表示制御手順の中から所定の変動表示制御手順を取得する。この変動表示制御手順は、動画を所定時間にわたって変動表示装置8(液晶表示パネル804)に表示する際の内容を定義するデータであり、この変動表示制御手順に基づいてXYZ空間内における立体表示オブジェクトの移動ルートや表示図柄の内容(スプライト)等が制御される。
S1104においてCPU151は、図14を参照して後で説明するデータ転送処理によってVDC156に表示制御手順(制御データ)を出力し、リターンする。その結果、VDC156は、表示制御手順とフォントROM157のスプライトデータとから表示画像を生成する通常の表示制御処理が行われる。ここでは、展開した表示制御手順が指示する立体画像表示について、画像の鮮明度を変化させる画像データの加工処理を行わない。
図12は、図10におけるS1006の疲労緩和表示制御処理の手順を説明するフローチャートである。S1200においてCPU151は、S1100での処理と同様、S1000(図10)で入力した表示制御コマンドに基づき、表示制御手段を展開する。S1202において各フレーム画像(左眼用フレーム画像、右眼用フレーム画像)中に立体表示される立体表示オブジェクトを、当該立体表示オブジェクトを構成するスプライトデータに設定されるZ値パラメータに基づいて抽出する。
なお、ここで抽出対象とする立体表示オブジェクトは、表示される立体表示オブジェクトの全てとしてもよいし、予め定められた立体表示オブジェクトのみを抽出対象としてもよい。そうすれば、遊技者にとって注視価値が低い(注視される可能性が低い)であろうことが予想される立体表示オブジェクトを基準となる立体表示オブジェクトとして選択することを避けることができる。続くS1204でCPU151は、S1202で抽出された立体表示オブジェクトの中から、遊技者にとって最も遠い(奥の)側に立体表示されている(出現する)立体表示オブジェクトを選び出す(本明細書中において、これを「最遠立体表示オブジェクト」と称する)。
なお、遊技者にとって遠い側に表示されているほど望ましい(ただし、立体視が可能な範囲に限られるが)が、遠方視の状態であれば、表示内容の重要度に応じて好適な立体表示オブジェクト(例えば、背景画像よりは図柄や、進行予告の報知画像など)を選択するようにしてもよく、最も遠いものを選択する場合に限る必要はない。
S1206においては、クリッピング処理が行われる。このクリッピング処理は、S1204で選び出された最遠立体表示オブジェクトのZ方向の表示位置を必要に応じて修正する処理である。すなわち、最遠立体表示オブジェクトの出現位置が、遊技者にとって画像表示面よりも近い側にある場合、この最遠立体表示オブジェクトの出現位置を修正する。
S1206での処理例をさらに詳しく説明すると、CPU151は最遠立体表示オブジェクトの視差量が、遊技者にとって画像表示面よりも近い側に出現するような値となっている場合に、この視差量の符号を反転させて画像表示面よりも遠い側に出現するようにするか、一律に0とすることもできる。
S1206での別の処理例としては、最遠立体表示オブジェクトの視差量から一律の値を差し引くものであってもよい。この場合、処理後も依然として画像表示面よりも近い側に出現する場合もありうるが、所定の時間的なスパンの中における最遠立体表示オブジェクトの出現位置の確率密度分布を考えれば、上述した処理をすることによって最遠立体表示オブジェクトの出現位置は遊技者にとって遠ざかる側にシフトするので、累積視差量も減少傾向をたどって遊技者の眼の疲労回復に寄与することが可能となる。同様の観点から、最遠立体表示オブジェクトが画像表示面よりも近い側に出現するような視差量の場合に、この視差量に対して1よりも小さい正の値(例:0.3、0.5)を一律に乗じたり、最遠立体表示オブジェクトが画像表示面よりも遠い側に出現するような視差量の場合に1よりも大きな正の係数を一律に乗じたりすることによっても、最遠立体表示オブジェクトの出現位置を傾向的に後退させる(遊技者にとって、出現位置が遠ざかるようにする)ことも可能である。
S1208において、CPU151は立体表示オブジェクトのぼかし処理を行う。S1208におけるぼかし処理は、立体画像を構成する複数の立体表示オブジェクトのうち、上述した最遠立体表示オブジェクトの表示鮮明度に比して、他の立体表示オブジェクトの表示鮮明度を低下させるための処理である。このぼかし処理については後で図16を参照して説明する。
なお、ここでのぼかし対象となる立体表示オブジェクトは、表示内容の全てを対象とすることが望ましいが、S1202の立体表示オブジェクト抽出処理の抽出対象に限ってもよい。
S1210においてCPU151は、図14を参照して後で説明するデータ転送処理によってVDC156に表示制御手順を出力し、リターンする。その結果、表示される立体画像を構成する複数の立体表示オブジェクトのうち、最遠立体表示オブジェクトの表示鮮明度に比して他の立体表示オブジェクトの表示鮮明度が低められて表示される。その結果、遊技者の観視対象が最遠立体表示オブジェクトに誘導されて遊技者の視覚負担(遊技者が立体画像を観視することにより生じる疲労や緊張、あるいは違和感)が減じられ、長時間にわたって立体画像を観視し続けることにともなう疲労の蓄積の程度を減ずることができる。なお、以上では最遠立体表示オブジェクトの表示鮮明度に比して他の立体表示オブジェクトの表示鮮明度を低める例について説明したが、この最遠立体表示オブジェクトに代えて、遊技者にとって画像表示面よりも奥の側に立体表示されていると感じられる立体表示オブジェクトが複数あれば、そのうちの任意(一つ、一部、または全部)の立体表示オブジェクトの表示鮮明度に比して他の立体表示オブジェクトの表示鮮明度を低めて表示するものであってもよい。
図13は、図10におけるS1008の観視対象誘導表示制御処理の手順を説明するフローチャートである。S1300においてCPU151は、S1100やS1200での処理と同様、S1000(図10)で入力した表示制御コマンドに基づき、表示制御手段を展開する。S1302において、各フレーム画像データ中から、立体表示される立体表示オブジェクトを抽出する。続くS1304でCPU151は、S1302で抽出された立体表示オブジェクトの中から、遊技者の観視対象として誘導すべき立体表示オブジェクト(本明細書において、これを「観視対象誘導オブジェクト」と称する)を選び出す。
S1306においてCPU151は立体表示オブジェクトのぼかし処理を行う。S1306におけるぼかし処理は、立体画像を構成する複数の立体表示オブジェクトのうち、上述した観視対象誘導オブジェクトの表示鮮明度に比して、他の立体表示オブジェクト(本明細書において、これを「非誘導オブジェクト」と称する)の表示鮮明度を低下させるための処理である。このぼかし処理については後で図16を参照して説明する。
S1308においてCPU151は、図14を参照して後で説明するデータ転送処理によってVDC156に表示制御手順を出力し、リターンする。その結果、表示される立体画像を構成する複数の立体表示オブジェクトのうち、観視対象誘導オブジェクトの表示鮮明度に比して他の非誘導オブジェクトの表示鮮明度が低められて表示される。その結果、遊技者の観視対象が観視対象誘導オブジェクトに誘導される。この観視対象誘導オブジェクトのZ方向の表示位置は、時間の経過とともに変化する。遊技者は、遊技を継続しながらこの観視対象誘導オブジェクトのZ方向表示位置の変化に追随して観視を継続する。以上の説明からも明らかなように、図13を参照して説明した観視対象誘導表示制御処理における観視対象誘導オブジェクトにより、眼精疲労の蓄積量(累積視差量)を好適に推定可能になり、図12を参照して説明した累積視差量が所定値を超えることにより実行される疲労緩和表示制御処理においては遊技者にとって遠い側に表示される立体表示オブジェクトが観視誘導オブジェクトとして選択されて処理され、遊技者の眼精疲労が癒される。なお、疲労緩和表示制御処理、観視対象誘導表示制御処理において選択され、処理される観視誘導オブジェクトとしては、そのときの状況によって突出表示されるオブジェクトであったり、後退表示されるオブジェクトであったり、あるいは平面表示されるオブジェクトであったりする。
図14は、図11のS1104、図12のS1210、図13のS1308におけるデータ転送処理を説明するフローチャートである。CPU151は、S1400において表示制御手順に関する情報を取得する。表示制御手順に関する情報としては、どのスプライトをどの方向へどれくらい動かすか、どのような背景を表示するか、等、1つのフレーム画像データごとに付与される情報である。CPU151は、S1402において表示制御手順をVDC156(図2)に出力(RAM153からVDC156へ転送)した後、リターンする。VDC156は、受け取った表示制御手順に従って画像を生成した後、合成変換装置170に出力する。
図15は、図10のS1010における累積視差量算出処理の手順を説明するフローチャートである。S1500においてCPU151は、立体画像を構成する複数の立体表示オブジェクトの中から、視差量を算出する対象となる立体表示オブジェクト、すなわち観視対象誘導オブジェクトを抽出する。続くS1502において立体表示オブジェクトの視差量を算出する。S1504においてCPU151は、S1500およびS1502の処理を経て算出された視差量の累積値である累積視差量を更新してリターンする。
図16は、図12のS1208における立体表示オブジェクトぼかし処理および図13のS1306における非誘導オブジェクトのぼかし処理の手順を説明するフローチャートである。S1600においてCPU151は、基準立体表示オブジェクトの視差量を取得する。この基準立体表示オブジェクトであるが、図12におけるS1208の処理中では最遠立体表示オブジェクトが、図13におけるS1306の処理中では観視対象誘導オブジェクトが基準立体表示オブジェクトに相当する。
S1602においてCPU151は、上述した基準立体表示オブジェクト以外の立体表示オブジェクトで、表示対象となっている他の立体表示オブジェクト(非誘導オブジェクト)の視差量を取得する。続くS1604において、S1600、S1602でそれぞれ取得した視差量の差の絶対値を求め、この絶対値からぼかし量を求める。図18は、観視対象誘導オブジェクト、非誘導オブジェクト、そして遊技者の眼の位置関係を例示している。上述のように、S1600で観視対象誘導オブジェクトの視差量Z1、S1602で非誘導オブジェクトの視差量Z2が取得され、これらの差の絶対値(=D)がS1604で算出される。さらに、両視差量Z1、Z2の差の絶対値Dに基づき、S1604で非誘導オブジェクトのぼかし量が求められる。ぼかし量の求めかたとしては、図19にその内容を概念的に示すルックアップテーブル(LUT)をROM152中に記録しておき、上記Dからぼかし量を求めるものであってもよい。図19において、LUTの特性を決めるグラフは直線であっても、曲線であっても、階段状であってもよい。ぼかし量を求める他の例としては、予め用意される計算式を用いてもよい。続くS1606においてCPU151は、S1604で求められたぼかし量に基づき、上述した非誘導オブジェクトのデータに、後述するぼかし加工を施し、この非誘導オブジェクトの表示鮮明度を低下させる。S1608では表示対象となっているすべての非誘導オブジェクトについて上述したS1602からS1606までの処理が行われたかを判定し、否定されるとS1602からS1606までの処理を繰り返し、肯定されるとリターンする。
上述した処理中、S1606のぼかし加工、すなわち非誘導オブジェクトの表示鮮明度を観視対象誘導オブジェクトの表示鮮明度に比して低くさせる加工について説明する。ぼかし加工の一例としては、モザイク処理がある。その一例としては、表示鮮明度を低下させたい立体表示オブジェクトの二次元配列された画像データを、例えば10×10ピクセルに相当するグリッドで分割し、各グリッド内に含まれる画像データの平均値を算出し、算出された平均値をそのグリッド内の全画像データと置き換える方法がある。このように処理をすると、一つのグリッド内にある10×10ピクセルの画像データはすべて同じ値になるので、結果として画像の解像度が低下して表示鮮明度が低下する。このとき、グリッドの大きさを大きくすることにより、表示鮮明度の低下量を増すことができる。図17には、表示されているすべての立体表示オブジェクトが鮮明に表示する通常表示状態の例が示されており、図21、22、23には、観視誘導対象となっていない非誘導オブジェクトの表示鮮明度をモザイク処理により低下させる例が示されている。表示鮮明度を低下させる他の方法としては、ぶれ、ガウスぼかし、明度変更、アルファブレンディングによる色調や透明度の変更、ノイズ追加等の処理を用いてもよいし、これらの処理のうち、任意の処理を複数組み合わせてもよい。表示鮮明度を低下させる処理の例として、ぶれ、ガウスぼかし、明度変更による処理を施したものを図20(a)、(b)、(c)に示す。これらの図20(a)、(b)、(c)の各図において、左から右に向かって表示鮮明度の低下量が増加している。
ところで、図20(a)、(b)に例示するぼかし加工を行うと、一つの立体表示オブジェクトを形成するキャラクタが占める表示領域はぼかし加工後に拡がる。図20(a)に示す例では、図の左右方向に沿って画像をぶらしているため、左右方向の表示領域が拡がる。図20(b)に示す例では、図の上下・左右に沿う二次元方向に画像データをガウス拡散させているため、表示領域が上下・左右方向に拡がる。あるキャラクタをスプライト描画により表示する場合、そのキャラクタに対してスプライト表示領域が設定されている。例えば、ぼかし加工を行う前の状態において図20(a)の一番左側の図に四角い枠で示されるようなスプライト表示領域が設定されていると仮定する。ぼかし加工によって画像の表示領域が拡がる場合、図20(a)の中央および右側に示されるように、ぼかし処理の程度に応じてスプライト表示領域を予め拡げておくことにより、ぼかし加工後のキャラクタがスプライト表示領域からはみ出し、表示が欠けてしまうようなことがなくなる。一方、図20(d)に示されるように、スプライト表示領域を変化させずにぼかし加工をすれば、図20(d)の中央、右側に図示されるようにキャラクタの一部が欠けてしまい、表示される立体画像の美観を損ねたり、臨場感をそいでしまったりする可能性もある。しかし、その立体表示オブジェクトの表示サイズが比較的小さい場合や、ぼかしの程度が大きい場合、キャラクタの欠けは目立ちにくくなる。そのような場合、スプライト表示領域を拡げずにぼかし加工をすれば、表示される立体画像の質を実質的に維持した状態で、画像表示処理負荷の軽減や、メモリ上のワークエリアの消費を抑制することが可能となる。
以上では、予め求められたぼかし量のパラメータに基づいて立体表示オブジェクトを形成する右眼用画像、左眼用画像のデータにぼかし加工処理を加える例について説明した。これに代えて、一つの立体表示オブジェクトに対応して異なる表示鮮明度が得られる複数組の画像表示データをフォントROM157等に格納しておき、上述した視差量の差の絶対値に基づいて適宜のデータを選択し、表示するものであってもよい。
CPU151により行われる、以上に説明した変動表示処理の特徴部分について、図21〜図24を参照してさらに説明する。図21では、突出表示された立体表示オブジェクト217が観視対象誘導オブジェクトとなっていて、他の立体表示オブジェクト216、218が非誘導オブジェクトとなっている。この表示状態は、図10におけるS1008の処理が行われたときに現れる。観視対象誘導オブジェクト217の視差量と非誘導オブジェクト216の視差量との差の絶対値は、観視対象誘導オブジェクト217の視差量と非誘導オブジェクト218の視差量との差の絶対値よりも大きい。このため、非誘導オブジェクト216のぼかし量(表示鮮明度の低下量)が非誘導オブジェクト218のものに比して大きくなっている。遊技者が、ぼかし量の大きい立体表示オブジェクトに対して焦点調節を試みても、鮮明な画像を得ることができない。また、観視対象誘導オブジェクトの視差量(Z方向出現位置)に対して、非誘導オブジェクトの視差量(Z方向出現位置)の差の絶対値が小さくなるにつれて画像の表示鮮明度が増すので、遊技者の視線を自然に観視対象誘導オブジェクト217へと誘導することが可能となる。ここで図15に示される処理と図21に示される表示状態との関係について説明しておくと、観視対象誘導オブジェクト217が図15のS1500において抽出される計算対象の立体表示オブジェクトとなり、S1502で算出される視差量は突出表示状態に対応するものとなる。
図22では、液晶表示パネル804(画像表示面)上に表示される立体表示オブジェクト228が観視対象誘導オブジェクトとなっていて、他の立体表示オブジェクト226、227が非誘導オブジェクトとなっている。この表示状態も、図10におけるS1008の処理が行われたときに現れ、画像表示面上に表示される立体表示オブジェクト228を遊技者の観視対象として誘導している状態となっている。本例では、観視対象誘導オブジェクト228の視差量と非誘導オブジェクト226の視差量との差の絶対値は、観視対象誘導オブジェクト228の視差量と非誘導オブジェクト227の視差量との差の絶対値とほぼ等しい。このため、非誘導オブジェクト227のぼかし量と非誘導オブジェクト226のぼかし量とはほぼ等しくなっている。図22に示される表示状態においては、観視対象誘導オブジェクト228が図15のS1500において抽出される計算対象の立体表示オブジェクトとなり、S1502で算出される視差量は平面表示状態に対応するものとなる。
図23では、後退表示された立体表示オブジェクト236が観視対象誘導オブジェクトとなっていて、他の立体表示オブジェクト237、238が非誘導オブジェクトとなっている。この表示状態は、図10におけるS1008の処理が行われたときにも現れることがあるが、特に図10におけるS1006の処理が行われたときに出現頻度が高まる。観視対象誘導オブジェクト236の視差量と非誘導オブジェクト237の視差量との差の絶対値は、観視対象誘導オブジェクト236の視差量と非誘導オブジェクト238の視差量との差の絶対値よりも大きい。このため、非誘導オブジェクト237のぼかし量が非誘導オブジェクト238のものに比して大きくなっていて、遊技者の視線を自然に観視対象誘導オブジェクト236へと誘導することが可能となる。図23に示される表示状態においては、観視対象誘導オブジェクト236が図15のS1500において抽出される計算対象の立体表示オブジェクトとなり、S1502で算出される視差量は後退表示状態に対応するものとなる。
図24は、図10に示すS1002で、現状が突出表示量管理モードにあると判定されたときの観視対象誘導オブジェクトの表示状態(視差量)およびS1010で算出される累積視差量の時間経過にともなう推移を示す図である。
図24では、変動表示装置8の液晶表示パネル804に表示される立体画像を構成する立体表示オブジェクトのうち、観視対象誘導オブジェクトの視差量の累積値、すなわち累積視差量が管理され、この量が上限値(許容値)を超すかどうかが判定され、その判定結果に基づいて観視対象誘導オブジェクトの出現位置が制御される例が示されている。横軸には突出表示管理モードが開始されてからの経過時間が、縦軸には観視対象誘導オブジェクトの視差量およびその累積値がとられている。このグラフ中、図15のS1502で所定の時間間隔をおいて算出される観視対象誘導オブジェクトの視差量が棒グラフで示されており、図15のS1504で算出される累積視差量が折れ線グラフで示されている。この時間間隔に関しては、例えば画像の表示更新周期と一致させることが可能である。例えば、表示される画像がノン・インターレース・スキャンの場合は1/60秒とすればよいし、インターレース・スキャンの場合は1/30秒とするものであってもよい。あるいは、これらの画像表示更新周期とは関係無く、100msec.おき、1秒おき等、適宜の時間間隔に設定することが可能である。また、時間間隔は必ずしも等間隔である必要はない。
図24のグラフ中、ゾーンAでは観視対象誘導オブジェクトが継続して突出表示されているため、累積視差量は単調増加している。ゾーンBでは後退表示されていることにより、累積視差量が減少している。ゾーンCでは再度突出表示が継続して行われたため、累積視差量が増加に転じ、ゾーンCとゾーンDとの境界で累積視差量は許容値を超している。これを受け、図10のS1014で突出表示制限フラグが1にセットされてS1006の疲労緩和表示が行われ、観視対象誘導オブジェクトは後退表示に転じる。すなわち、累積視差量が許容値を超したのに伴って遊技者の眼が疲れているとの判断がなされ、観視対象誘導オブジェクトを後退傾向の表示状態にして遊技者の眼の緊張をほぐす。これに伴い、累積視差量は減少し続け、ゾーンDとゾーンEとの境界で累積視差量は許容値を下回るようになる。しかし、先に説明したとおり、遊技者の眼の疲労が回復するにはある程度の時間が必要なので、S1012では引き続き突出表示を制限すべきとの判定がなされ、突出表示制限状態が維持される。
ゾーンEとゾーンFとの境界において、累積視差量は下限に達する。累積視差量が下限に達したのを受け、S1012で突出表示の制限はしないとの判定がなされ、S1016に分岐して突出表示制限フラグが0にリセットされる。図24の例では、ゾーンEとゾーンFとの境界において、累積視差量が下限に達して突出表示制限状態が解除された後も後退表示が継続しているが、このような場合、累積視差量は例えばマイナスにはせず、下限値のまま維持し続ける。その後再び突出表示が行われるようになり、ゾーンGでは累積視差量が再度上昇に転じている。
以上のように累積視差量を管理し、この累積視差量と予め設定されている許容値との比較結果に基づいて立体表示オブジェクトの出現位置を制御することにより、長時間にわたって遊技者が立体画像を観視し続けても眼精疲労の蓄積を抑制することができ、遊技を長時間にわたって継続することができる。また、観視対象誘導オブジェクトが後退表示されている状況下で、表示鮮明度が低められているとはいえ、突出表示も混在させることができる。このため、立体画像全体としては突出表示された立体表示オブジェクト、後退表示された立体表示オブジェクトの混在した、興趣に富む立体画像を表示することが可能となる。また、立体画像を構成する複数の立体表示オブジェクトの表示位置として突出表示、後退表示が混在している状況であっても、観視対象誘導オブジェクトの表示鮮明度に比して非誘導オブジェクトの表示鮮明度が低められている。このため、遊技者の視線を観視対象誘導オブジェクトに導くことができ、これによって遊技者の眼精疲労の蓄積をより正確に推定したり、この疲労を効果的に減じたりすることが可能となる。
以上では、立体画像を構成する複数の立体表示オブジェクトの中で基準となる立体表示オブジェクト(観視対象誘導オブジェクト)を定め、基準となる立体表示オブジェクトの視差量と他の立体表示オブジェクト(非誘導オブジェクト)の視差量との差に基づいて、他の立体表示オブジェクトの表示鮮明度を低下させる例について説明したが、その逆でもよい。すなわち、上述した他の立体表示オブジェクトの視差量と、基準となる立体表示オブジェクトの視差量との差に基づいて、基準となる立体表示オブジェクトの表示鮮明度を他の立体表示オブジェクトの表示鮮明度に比して増すようにしてもよい。
以上の発明の実施の形態と請求項との対応において、変動表示装置8(液晶表示パネル804)が立体画像表示装置を、CPU151が視差量算出手段、累積視差量算出手段、立体画像表示制御手段、遊技状態判定手段をそれぞれ構成する。
今回開示した実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および内容の範囲での全ての変更が含まれることが意図される。