JP4089594B2 - 可変動弁システムの制御装置 - Google Patents
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Description
請求項3に記載の可変動弁システムの制御装置では、請求項1又は請求項2において、前記アクチュエータは、前記内燃機関により駆動される油圧供給源から供給される油圧を制御するオイルコントロールバルブを作動させることで前記バルブのバルブ状態量を変更するものであり、前記運転状態値は機関回転速度を含むことを要旨とする。
また、フィードバック制御を構成する仮想変化速度と、フィードフォワード制御を構成する目標変化速度との和に基づいて見込み制御量を求めることで、フィードフォワード制御によりフィードバック制御に係る残差を小さくできるという効果がある。さらにフィードバック制御によりその残差もなくして、制御対象を不安定とすることなく、追従遅れが極めて小さく、状態量によって応答速度が異なる場合にも、制御性の変化が抑制されるという効果がある。
さらに直接運転状態値に基づいてアクチュエータの見込み制御量を求めるため、機関運転状態に適合した見込み制御を行うことができるという効果がある。
図1は、本発明の可変動弁システムの制御装置における制御対象である可変動弁システムの構成の一例を示すブロック図である。可変動弁システム1は、エンジン2と、ここに装着された可変動弁機構である可変作用角機構3と、可変作用角機構3を作動させるオイルコントロールバルブ(以下「OCV」と略記する。)4と、OCV4を制御するECU(電子制御ユニット)5と、可変作用角機構3によるバルブ状態量である例えば作用角を検出するセンサ6とを備える。
[v=(r−r’)/2ms]
但し、v:変化速度、r:目標作用角、r’:目標作用角前回値
なお、目標変化速度は、一定の単位時間当たりの変化量であれば、その単位時間は問わず、例えば[v=r−r’] …式(1’)として2ms当たりの変化速度をそのまま目標変化速度として用いてもよい。ここでは、1ms当たりの変化量である[v=(r−r’)/2ms]が本発明の変化度合の1態様である目標変化速度に相当する。そして、この手順を実行するECU5が、本発明の算出手段に相当する。
次に、ROMに格納された図2に示したマップM1に相当するテーブルデータを参照して、次式により変化速度vに対応する電圧Eの値を読み出す(S4)。
但し、E:電圧、M():マップ、v:変化速度
この電圧は、本実施例でのアクチュエータであるOCV4の直流モータへ出力される制御量となる。この、算出手段で算出した目標変化速度に対応する制御量をマップM1から求めるS4の手順を実行するECU5が、本発明の制御量演算手段に相当する。
続いて、[r’←r]とし、今回演算した目標作用角rを、次の処理のために目標作用角前回値r’として書き換えてRAMに記憶する(S5)。この手順は、図4でいうと、ブロックB1において目標作用角を入力し、ここで一旦記憶しておき、次の新たな目標作用角rが入力されると、それまで保持していた目標作用角rを目標作用角前回値r’として先にブロックB2に出力してから、新たな目標作用角rに書き換えるという処理を行っている。
(1) 図9は、本発明の可変動弁システムの制御装置により達成される制御を示す図である。図9の左のグラフに示すような従来のようなFB制御と比較して、図9の矢印1のグラフに示すようにFF制御により見込み制御をするため、本質的にFB制御に由来する演算・追従遅れが生じたり、制御量が不安定になったりしないという効果がある。
(1)実施例2では、変化速度vに加え、エンジン回転数Rを参照して電圧Eを求めるため、より運転状態に適合した円滑な制御が達成できドライバビリティや空燃比制御性が向上するという効果がある。
○ 実施例2では、運転状態値の例として、エンジン回転数Rを挙げているが、本願で運転状態値とは、運転の状態を何らかの形で数値化でき、運転の状態の指標となりうるものをいう。他にも例えば、負荷、軸トルク、車速、加速度、スロットル開度若しくはアクセル踏み込み量、冷却液温、油温、吸入空気量、吸気負圧、吸気温度、燃料噴射量、排ガス中の酸素濃度、シフト位置のいずれか1つ若しくは組合せが挙げられる。また運転のエコノミーモードとスポーツモードのような制御モードにより2つの制御パターンに分けるような場合の選択された制御モードも含まれる。
[v=r−r’]
但し、v:変化速度、r:目標作用角、r’:目標作用角前回値
変化速度vは、目標作用角rと目標作用角前回値r’との差[r−r’]を求め、作用角を変化させるべき速度である変化速度vを目標変化速度として求める。ここでも、制御サイクルは、2msであり、目標作用角rは、2ms毎にサンプリングされる。また、目標作用角前回値r’も2ms毎に書き換えられる。目標変化速度は、中間的な数値であり、一定の単位時間当たりの変化量であれば、その単位時間は問わず、ここでは、2ms当たりの変化量を変化速度vとして用いている。なお、この手順を実行するECU5が、本発明の算出手段に相当する。
ここで、図7のブロックB23に示すように、ECU5は、目標作用角rに対して、センサ6である作用角センサから実際の作用角をセンサ値yとして入力する。また、目標作用角rも入力する。そして、入力した目標作用角rとセンサ値yから、次式によりその差を求めて中間変数eを求める(S14)。
但し、e:中間変数、r:目標作用角、y:センサ値
中間変数eは、目標作用角rとそのときの作用角の実値であるセンサ値yとの差であるため、この中間変数eが本来的にECU5がフィードバック制御により修正すべき偏差である。
[u=Kp×e]
但し、u:仮想作用角速度、Kp:フィードバックゲイン、e:中間変数
ここで、フィードバックゲインKpは、比例制御のための係数で、本来は制御量を求めるための係数であるが、実施例3においては、先に求めた変化速度vと同じ次元で処理するために、仮想作用角速度uとするのに必要な処理となっている。またこのフィードバックゲインKpは、一定の値にチューニングされており、制御の度にゲインスケジューリングにより変更されたりするものではない。したがって、フィードバックゲインKpを決定することが制御遅れの原因とはならず、この処理は極めて短時間に行うことができる。この仮想変化速度である仮想作用角速度uを求める手順を実行するECU5が、本発明の仮想変化速度演算手段に相当する。
[E=M(v+u)]
但し、E:電圧、M():マップ、v:変化速度、u:仮想作用角速度
まず、図7のブロック22の処理で出力された変化速度vとブロックB23で出力された仮想作用角速度uを足し合わせ、[v+u]の値をブロックB24の処理で出力する。この[v+u]の値が本発明の設定変化速度に相当する。そして仮想変化速度である仮想作用角速度uと、目標変化速度である変化速度vを加算する手順を実行するECU5が、本発明の設定変化速度演算手段に相当する。
続いて、[r’←r]とし、今回演算した目標作用角rを、次の処理のために目標作用角前回値r’として書き換えてRAMに記憶する(S17)。この手順は、図7でいうと、ブロックB21において目標作用角rを入力し、ここで一旦記憶しておき、次の新たな目標作用角rが入力されると、それまで保持していた目標作用角rを目標作用角前回値r’として先にブロックB22に出力してから、新たな目標作用角rに書き換えるという処理をおこなう。そして、ECU5からS16で演算した電圧Eに相当する制御信号をOCV4の直流モータのドライバ(不図示)に送出する。そして、このドライバは、電圧Eの駆動信号を直流モータに印加し、OCV4を作動させる(S18)。そして、このサイクルは1巡して次のサイクルに移り(RETURN)、再びrを演算する(S11)。このS11の手順は、前のS11の手順から2ms後に行われる。従って、目標作用角rのサンプリングは2ms間隔で行われ、同様にOCV4の直流モータに対するECU5の制御は2ms間隔で行われることになる。
(1)実施例3によれば、図9の矢印1に示すグラフのように実施例1のFF制御によって見込み制御で制御遅れなしに大きな補正を行い、さらに、バルブの目標状態量と実状態量の小さな残留エラーのみをFB制御で補正する。そのため、矢印2で示すグラフのように、追従遅れが小さく、且つ安定した制御を行うことができるという効果がある。
(1)上記実施形態では、変化速度[v+u]のみならず、運転状態を示す運転状態値としてバルブ状態量である目標作用角rを用いて、マップにより制御量である電圧Eを求めている。そのため、バルブ状態量を制御する上で最も密接な関係のあるバルブ状態量自体を参照することでより運転状態に適合した円滑な制御が達成できドライバビリティや空燃比制御性が向上するという効果がある。
○ 実施例3、実施例4においてのFB制御は、P制御(比例制御)のみを示している。具体的には、図6のS14で残差を求め、S15で、フィードバックゲインKpから仮想作用角速度uをもとめている。これは、説明の単純化のためであり、このFB制御は、周知のPID制御として、I制御(積分制御)や、D制御(微分制御)を組合せて制御できることはいうまでもない。I制御では過去の制御の履歴である中間変数eを一定時間積算していき、この総和にフィードバックゲインKiを乗じて制御するため、定常状態エラーを排除することができるという効果がある。また、D制御では、追従エラー信号の変化量にユーザーが指定したゲインKdを乗じて制御するため、得られた値により制御量を安定させるという効果がある。なお、この場合変化速度vにより、D制御と近似した作用があるため、PID制御ではなく、PI制御としてもよい。
○ 上記実施例では、OCV4を直流サーボモータで制御しているが、直流サーボモータに限らず、ソレノイド、ステッピングモータ等のいずれかの駆動手段により作動されようにしてもよい。この場合、制御量は、実施例のように電圧Eに限らず、その駆動手段を制御する電流、デューティー比、パルス数などにすることができる。
Claims (5)
- アクチュエータにより吸気バルブ若しくは排気バルブの少なくとも一方のバルブのバルブ状態量を変更する内燃機関の可変動弁システムの制御装置であって、
機関運転状態に応じて設定されるバルブの目標バルブ状態量と過去の目標バルブ状態量の設定の履歴との比較に基づいて目標バルブ状態量における時間当たりの変化量である目標変化速度を算出する算出手段と、
バルブの目標バルブ状態量と実バルブ状態量との偏差にフィードバックゲインを乗じてバルブ状態量の仮想変化速度を算出する仮想変化速度演算手段と、
前記目標変化速度と前記仮想変化速度との和に基づいてバルブ状態量の設定変化速度を算出する設定変化速度演算手段と、
前記設定変化速度と運転状態を表す数値である運転状態値とに基づいて前記アクチュエータの見込み制御量を求める制御量演算手段と
を備えたことを特徴とする可変動弁システムの制御装置。 - 請求項1に記載の可変動弁システムの制御装置において、
前記運転状態値はバルブ状態量を含む
ことを特徴とする可変動弁システムの制御装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の可変動弁システムの制御装置において、
前記アクチュエータは、前記内燃機関により駆動される油圧供給源から供給される油圧を制御するオイルコントロールバルブを作動させることで前記バルブのバルブ状態量を変更するものであり、
前記運転状態値は機関回転速度を含む
ことを特徴とする可変動弁システムの制御装置。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の可変動弁システムの制御装置において、
前記アクチュエータに出力する見込み制御量と、対応するバルブ状態量の設定変化速度、若しくはこれに加えて運転状態を表す数値である運転状態値との関係を予め求めて同関係を記憶した記憶手段を更に備え、
前記制御量演算手段は前記記憶手段に記憶される前記関係に基づいて前記見込み制御量を求める
ことを特徴とする可変動弁システムの制御装置。 - 請求項4において、
前記記憶手段は前記関係を示す関数マップである
ことを特徴とする可変動弁システムの制御装置。
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