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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばスプライン軸やギヤ等の、動力伝達用の結合部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
スプライン軸やギヤなどの結合部材においては、摺動抵抗の低減と消音とを目的として、他部材への嵌合部(スプライン軸の場合は軸身に直接多数のキーを削成したスプライン部、ギヤの場合は少なくともギヤの歯面)を、樹脂の層で被覆する場合がある(例えば特公平2−19325号公報、特許第3098105号公報等)。
【0003】
また被覆する樹脂の例としては、上記摺動抵抗の低減や消音の効果に優れたナイロン11、12等のポリアミド樹脂を挙げることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしこれらの樹脂は耐熱性が十分でないため、高温での用途に適さないという問題があった。
そこで、ポリアミド樹脂よりも耐熱性に優れたポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS樹脂)を用いて樹脂層を形成することが検討された。
しかしポリフェニレンサルファイド樹脂の樹脂層を、例えば特開2001−336543号公報に記載のように、嵌合部の表面に直接に被覆、形成した場合には、素地金属の種類、樹脂層の形成方法や形成条件などによって、嵌合部に対する樹脂層の密着力が大きく変動するという問題があった。
【0005】
とくにアルミニウム、マグネシウム等の軽金属は酸化皮膜を生じやすいため、その上にポリフェニレンサルファイド樹脂の樹脂層を形成しても十分な密着力を確保することは難しかった。
そこで嵌合部の表面に、とくに素地金属に対する密着力にすぐれた、例えばエポキシ樹脂等の他の樹脂からなる接着剤層(アンダーコート層)を形成した後、その上にポリフェニレンサルファイド樹脂の樹脂層を被覆することで、当該樹脂層の密着力を向上し、かつ高いレベルで安定させることが考えられた。
【0006】
しかしエポキシ樹脂等の、素地金属に対する密着力の高い樹脂の多くは耐熱温度が低く、ポリフェニレンサルファイド樹脂の加熱、溶融温度より低い温度で熱劣化、すなわち熱分解や熱溶融してしまうため、接着剤層の上に、粉体塗料を用いた粉体塗装法などの、ポリフェニレンサルファイド樹脂の加熱、溶融を伴う工程を含む方法によって樹脂層を被覆することはできなかった。
また、例えば溶液塗布法などの、ポリフェニレンサルファイド樹脂の加熱、溶融を伴わない形成方法であれば、接着剤層の上に樹脂層を被覆することはできるが、接着剤層は上記のように耐熱温度が低いため、とくに結合部材を高温での用途に使用した際に熱劣化しやすく、素地金属や樹脂層との密着力が著しく低下したり、熱によって接着剤層やその上の樹脂層が破損したりするおそれがあった。
【0007】
このため従来は、ポリフェニレンサルファイド樹脂の高い耐熱性を十分に生かしきれていないのが現状であった。
この発明の目的は、嵌合部の表面を、ポリフェニレンサルファイド樹脂の樹脂層によって、より高い密着力でもってより安定に被覆できる上、ポリフェニレンサルファイド樹脂の高い耐熱性を生かして、とくに高温での用途において、摺動抵抗の低減と消音の効果を発揮し得る、新規な結合部材を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
請求項1記載の発明は、他部材への嵌合部を備えた金属製の、動力伝達用の結合部材であって、上記嵌合部の表面をリン酸塩処理してリン酸塩皮膜を形成した後、表面に微細な凹穴を多数、形成したポリフェニレンサルファイド樹脂の樹脂層で被覆したことを特徴とする結合部材である。
この発明によれば、リン酸塩処理は嵌合部の表面を形成する素地金属との化学反応を伴う化成処理であって、リン酸塩皮膜は素地金属と連続相を形成するため、後述するように、素地金属の種類に合わせた最適なリン酸塩処理剤を選択することで、種々の素地金属に対して高い密着力を有するリン酸塩皮膜を形成することができる。
【0009】
またリン酸塩皮膜の表面はポーラスな状態であって、その上に被覆するポリフェニレンサルファイド樹脂の樹脂層との密着力にもすぐれている。
このためリン酸塩皮膜を介挿することによって、樹脂層を嵌合部の表面に直接に被覆した場合よりも、当該樹脂層の密着力を高め、かつ高いレベルで安定させることができる。
しかもリン酸塩皮膜は無機の皮膜であって、ポリフェニレンサルファイド樹脂の加熱、溶融温度や耐熱温度程度では熱劣化し難い。このため、例えば粉体塗装法などの、ポリフェニレンサルファイド樹脂の加熱、溶融を伴う工程を含む方法によって、リン酸塩皮膜の上に樹脂層を被覆することができる。また、樹脂層を被覆した後の結合部材を、密着力の低下や樹脂層の破損などを生じることなしに、より高温での用途に使用することもできる。
【0010】
したがって嵌合部の表面を、ポリフェニレンサルファイド樹脂の樹脂層によって、より高い密着力でもってより安定に被覆できる上、ポリフェニレンサルファイド樹脂の高い耐熱性と、前記樹脂層の表面に多数、形成した微細な凹穴に、潤滑状態において潤滑剤を保持させることによって、当該樹脂層の摺動特性を、ナイロン11、12などからなるものと同等のレベルまで向上できることとを生かして、とくに高温での用途において、摺動抵抗の低減と消音の効果を発揮し得る、新規な結合部材を得ることが可能となる。
請求項2記載の発明は、リン酸塩皮膜の膜厚が1〜8μmであることを特徴とする請求項1記載の結合部材である。
【0011】
この発明によれば、ポリフェニレンサルファイド樹脂の樹脂層の密着力をさらに高めて、前述した請求項1の作用効果をより一層、向上することが可能となる。
請求項3記載の発明は、樹脂層を、ポリフェニレンサルファイド樹脂の粉体塗料を用いた粉体塗装法によって形成したことを特徴とする請求項1記載の結合部材である。
【0012】
この発明によれば、樹脂層を形成する際に溶剤を用いなため、樹脂の種類が制限されない、環境保護の点ですぐれているなどの利点がある。
【0013】
請求項4記載の発明は、樹脂層を、ポリフェニレンサルファイド樹脂の粉体塗料を用いた粉体塗装法によって形成するにあたり、嵌合部の表面に形成した焼き付け前の粉体塗料層の表面に、粉体塗料の焼き付け温度で熱分解する熱分解性粉体を付着させた状態で、粉体塗料層を350℃以下の温度で焼き付けて樹脂層を形成するとともに、熱分解性粉体を熱分解させて除去することによって、樹脂層の表面に微細な凹穴を多数、形成したことを特徴とする請求項1記載の結合部材である。
【0014】
この発明によれば、樹脂層の表面に形成する凹穴のサイズ(開口径、深さ)や形状、分布などを、熱分解性粉体の形状や、粉体塗料層への付着状態などに応じてランダムにすることができる。そして、これらのパラメータが一定である規則的な凹穴よりも、樹脂層の潤滑性を向上することが可能となる。
請求項5記載の発明は、樹脂層を、ポリフェニレンサルファイド樹脂の粉体塗料を用いた粉体塗装法によって形成するにあたり、嵌合部の表面に形成した焼き付け前の粉体塗料層の表面に水溶性粉体を付着させた状態で、粉体塗料層を焼き付けて樹脂層を形成した後、水溶性粉体を水によって溶出させて除去することによって、樹脂層の表面に微細な凹穴を多数、形成したことを特徴とする請求項1記載の結合部材である。
【0015】
この発明によれば、樹脂層の表面に形成する凹穴のサイズ(開口径、深さ)や形状、分布などを、水溶性粉体の形状や、粉体塗料層への付着状態などに応じてランダムにすることができる。このため、これらのパラメータが一定である規則的な凹穴よりも、樹脂層の潤滑性を向上することが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1(a)は、この発明の結合部材の、実施の形態の一例としての、EPS(電動パワーステアリング)用リダクションギヤの一部を示す拡大断面図、図1(b)は、上記リダクションギヤの要部である歯部(嵌合部)の表面付近をさらに拡大した拡大断面図である。
これらの図に見るように、この例のリダクションギヤ1は、全体が金属からなり、その外周面に、図示しないウォームギヤとの嵌合部として、所定数の歯11を形成したものである。そしてこの歯11の表面(歯面)を、図1(b)に拡大して示したようにリン酸塩処理してリン酸塩皮膜2を形成した後、ポリフェニレンサルファイド樹脂の樹脂層3で被覆したものである。
【0017】
かかるリダクションギヤ1は、従来同様に鉄、非鉄金属もしくはこれらの合金などの、種々の金属によって製造することができる。
歯11の表面は、リン酸塩皮膜2や樹脂層3の密着性をさらに向上すべく、リン酸塩処理に先立ってブラスト処理、脱脂などの前処理を行っておくのが好ましい。
リン酸塩処理に用いるリン酸塩処理剤としては、前述したように素地金属の種類に合わせた最適なものを選択して使用すればよい。
【0018】
例えばリダクションギヤ1を形成する素地金属が鉄また鉄系合金である場合、リン酸塩処理剤としてはリン酸亜鉛系、リン酸マンガン系のものが好ましい。また、軽金属のうちアルミニウムまたはアルミニウム系合金の場合はリン酸クロム系のものが好ましく、マグネシウム系合金の場合はリン酸マンガン系、リン酸カルシウム系のものが好ましい。
また、これらのリン酸塩処理剤は、処理条件や形成されるリン酸塩皮膜の性状などに応じて種々のグレードのものが市販されているので、その中から、結合部材の嵌合部の形状、構造に適した処理方法を実施できるとともに、樹脂層3の下地として好適な性状を有するリン酸塩皮膜2を形成できるものを適宜、選択して使用すればよい。
【0019】
例えば結合部材が前記図1(a)(b)に示すリダクションギヤ1であり、当該リダクションギヤ1を形成する素地金属が鉄または鉄系合金である場合、リン酸亜鉛系のリン酸塩処理剤としては、比較的低温での浸漬処理によって処理が可能で、なおかつ薄肉のリン酸塩皮膜を形成できる、日本パーカライジング(株)製のパルボンド(登録商標)L3020などが好適に用いられる。
またリン酸マンガン系のリン酸塩処理剤としては、同様の理由で、日本パーカライジング(株)製のパルホス(登録商標)M1Aなどが好適に用いられる。
【0020】
リン酸塩処理を実施するには、上記のように結合部材の嵌合部の形状、構造に適した処理方法を採用すればよい。
例えばリダクションギヤ1をリン酸塩処理する場合には、上記のように浸漬法が好適に採用される。
すなわち、前述したようにまずブラスト処理、脱脂などの前処理を施したリダクションギヤ1を、所定の温度(通常は、使用するリン酸塩処理剤における推奨温度)に保持したリン酸塩処理剤中に浸漬する。そして一定時間が経過した時点で液から引き上げて洗浄し、乾燥させると、リダクションギヤ1の、歯11の表面などにリン酸塩皮膜2を形成することができる。
【0021】
かかる浸漬法では、浸漬時間とリン酸塩皮膜の膜厚とが比例関係にある。また、その比例係数は、結合部材の形状や構造、結合部材を形成する素地金属の種類、使用するリン酸塩処理剤の種類、処理温度などに応じて一定である。
このため、浸漬時間とリン酸塩皮膜の膜厚との関係を予め求めておき、それをもとに浸漬時間を設定してやると、リン酸塩皮膜の膜厚を任意に、また常にほぼ一定に制御することができる。
【0022】
上記リン酸塩皮膜2の膜厚は、1〜8μmであるのが好ましい。
膜厚が1μm未満では、嵌合部の表面にリン酸塩皮膜を形成したことによる、上述した樹脂層の密着力を高め、かつ安定させる効果が十分に得られないおそれがある。また、膜厚が8μmを超えてもそれ以上の効果が得られないだけでなく、リン酸塩皮膜の膜強度が低下して、却って樹脂層の密着力が低下するおそれがある。
【0023】
なお樹脂層3の密着力を高め、かつ高いレベルで安定させる効果をさらに向上することを考慮すると、リン酸塩皮膜の膜厚は、上記の範囲内でもとくに3〜5μmであるのが好ましい。
リン酸塩皮膜2の上に被覆されるポリフェニレンサルファイド樹脂の樹脂層3は、溶液塗布法などの、従来公知の種々の方法によって形成することができる。しかし、前述したように溶剤を用いなため、樹脂の種類が制限されないこと、環境保護の点ですぐれていること、などを考慮すると、粉体塗装法によって樹脂層3を形成するのが好ましい。
【0024】
かかる粉体塗装法では、まずポリフェニレンサルファイド樹脂を主成分とする粉体塗料を作製し、それを流動浸漬法、静電粉体塗着法などによって、リダクションギヤ1の、歯11の表面に形成したリン酸塩皮膜2の上に付着させて粉体塗料層を形成する。そして高周波誘導加熱などによって加熱して粉体塗料層を焼き付けることで、連続した樹脂層3が形成される。
また、例えばスプライン軸の場合には、例えば特許第3098105号公報に記載されているように、樹脂層3の外形に対応したキャビティを有する金型内に、リン酸塩皮膜2を形成したスプライン部を挿入し、両者間の空隙内に溶融したポリフェニレンサルファイド樹脂を注入して樹脂層3を形成する、いわゆるインサート成形法を採用することもできる。
【0025】
樹脂層3の厚みについてもとくに限定されないが、100〜300μmとするのが好ましく、150〜200μmとするのがさらに好ましい。
樹脂層3の厚みがこの範囲未満では、当該樹脂層3を形成したことによる、摺動抵抗の低減と消音の効果が不十分になるおそれがある。逆にこの範囲を超える場合には、摺動時の樹脂の摩耗量が増えるおそれがある。
なお摺動抵抗は、樹脂層3の厚みが大きいほど小さくなる傾向を示すので、樹脂層3の厚みは、上記の範囲内でもできるだけ大きいのがさらに好ましい。
【0026】
ポリフェニレンサルファイド樹脂は、樹脂層に摺動特性を付与するための自己潤滑性が、素地金属の表面などに比べれば良好ではあるものの、前述のナイロン11、12などに比べると僅かに低く、したがって樹脂層の摺動特性が不足する場合を生じる。
そこでポリフェニレンサルファイド樹脂の樹脂層の摺動特性を、ナイロン11、12などからなるものと同程度まで向上すべく、例えばポリフェニレンサルファイド樹脂を溶融混練したのち粉砕して粉体塗料を製造する際に、フッ素樹脂やシリコーン樹脂等の固体潤滑剤を加えることが考えられる。
【0027】
しかし固体潤滑剤は、一般にポリフェニレンサルファイド樹脂との親和性が低く分離しやすいため、両者を溶融混練して、固体潤滑剤がポリフェニレンサルファイド樹脂中に均一に分散した粉体塗料を製造することは困難である。そして、製造された粉体塗料を用いて形成した樹脂層は、固体潤滑剤が不均一に分散しているため摺動特性が不均一になるという問題がある。
また固体潤滑剤は下地に対する密着力を有しない(それゆえに潤滑剤として機能しうるとも言えるのであるが)ため、かかる粉体塗料によって形成した樹脂層は、下地であるリン酸塩皮膜との密着力が著しく低下するおそれもある。
【0028】
これに対し、樹脂層3の表面に微細な凹穴を多数形成してやると、前記のように、潤滑状態において潤滑剤を保持させることによって、当該樹脂層の摺動特性を、ナイロン11、12などからなるものと同等のレベルまで向上することができる。
さらに、凹穴を樹脂層の表面にまんべんなく分布させることによって、樹脂層の摺動特性を、その全面にわたって均一化できる上、固体潤滑剤を加えないため、ポリフェニレンサルファイド樹脂の樹脂層の、下地であるリン酸塩皮膜との密着力を、前述した高いレベルに維持することもできる。
【0029】
凹穴のサイズや形状、分布などは特に限定されないが、その開口径の平均値は5〜100μm、とくに20〜30μmであるのが好ましい。
また深さの平均値は3〜80μm、とくに20〜30μmであるのが好ましい。
さらに樹脂層3の表面の、一定面積の領域中に含まれる、凹穴の開口面積の総量の、上記領域の面積に対する割合で表される凹穴の分布割合は3〜50%、とくに10%前後であるのが好ましい。
【0030】
凹穴の開口径や深さが前記の範囲未満であったり、あるいは凹穴の分布割合が上記の範囲未満であったりした場合には、当該凹穴を設けたことによる、樹脂層3の摺動抵抗を低減する効果が十分に得られないおそれがある。
また逆に、凹穴の開口径や深さが前記の範囲を超えたり、あるいは凹穴の分布割合が上記の範囲を超えたりした場合には、樹脂層3の表面平滑性が低下するため、却って樹脂層3の摺動抵抗を低減する効果が不十分になるおそれがある。
【0031】
また凹穴は、これも前記のように摺動抵抗をより一層、低減するために、サイズ(開口径、深さ)や形状、分布などがランダムであるのが好ましい。
かかるランダムな凹穴は、前述したように粉体塗装法において、焼き付け前の粉体塗料層の表面に熱分解性粉体を付着させておき、粉体塗料層を焼き付けて樹脂層を形成した際に、熱分解性粉体を熱分解させて除去することによって、その痕跡として、樹脂層の表面に形成することができる。
【0032】
あるいは粉体塗料層の表面に水溶性粉体を付着させておき、粉体塗料層を焼き付けて樹脂層を形成した後、水溶性粉体を水によって溶出させて除去することによって、その痕跡として、樹脂層の表面に形成することもできる。
これらの方法に使用する熱分解性粉体は、例えばナイロン11、12などのポリアミド樹脂や、あるいはポリエチレン樹脂等の、ポリフェニレンサルファイド樹脂の粉体塗料の焼き付け温度(300〜350℃程度)で熱分解する種々の樹脂によって形成することができる。
【0033】
また熱分解性粉体は、凹穴の形状をランダムにするために、例えば上記樹脂を溶融混練したのち粉砕する粉砕法によって製造するのが好ましい。
一方、水溶性粉体は、例えばポリビニルアルコール等の水溶性樹脂によって形成することができる。
また水溶性粉体には、例えば炭酸カルシウムなどの無機の粉体を配合して、粉体中での水溶性樹脂の占める割合を小さくすることで、水による溶出性を向上してもよい。
【0034】
凹穴のサイズは、熱分解性粉体、水溶性粉体のサイズとほぼ一致するため、形成する凹穴のサイズに合わせて、使用する熱分解性粉体、水溶性粉体のサイズを設定すればよい。
熱分解性粉体、または水溶性粉体を、焼き付け前の粉体塗料層の表面にランダムに付着させるには、静電粉体塗着法などを採用すればよい。
【0035】
【実施例】
以下にこの発明を、実施例、参考例、比較例に基づいて説明する。
参考例1
〈素地金属の前処理〉
結合部材の嵌合部を形成する素地金属のモデルとして冷間圧延鋼板を用意し、その表面をブラスト処理したのち脱脂した。処理後の表面粗さは、中心線平均粗さRa=5μmとした。
【0036】
〈リン酸塩処理〉
上記冷間圧延鋼板を、リン酸亜鉛系のリン酸塩処理剤〔日本パーカライジング(株)製のパルボンドL3020〕に浸漬してリン酸塩処理を行った。液の温度は50℃、浸漬時間は3分間とした。
そして、上記浸漬時間が経過した冷間圧延鋼板を液中から引き上げ、十分に水洗したのち、乾燥させた。処理によって形成されたリン酸塩皮膜の厚みは3μmであった。
【0037】
〈樹脂層の形成〉
ポリフェニレンサルファイド樹脂を粉末化し、分級して、粒径が200メッシュ通過の粉体塗料を調製した。
次にこの粉体塗料を、先の冷間圧延鋼板の、リン酸塩皮膜の上に静電粉体塗着法によって塗布し、350℃で3分間、高周波誘導加熱して溶融流展させた後、自然放冷して樹脂層を形成したものを参考例1のサンプルとした。樹脂層の厚みは200μmであった。
【0038】
比較例1
前処理後の冷間圧延鋼板の表面に、リン酸塩処理をせずに直接に、樹脂層を形成したこと以外は参考例1と同様にして、比較例1のサンプルを作製した。
樹脂層の密着力評価
上記参考例1および比較例1で作製したサンプルの、樹脂層の下にのみ状の刃(刃幅2mm)を入れ、当該刃を、冷間圧延鋼板の表面に沿って、樹脂層をはく離する方向に移動させた際に要した応力(kN/m)でもって、樹脂層の密着力を評価した。結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
表より、素地金属の表面にリン酸塩処理を施してリン酸塩皮膜を形成したのち、ポリフェニレンサルファイド樹脂の樹脂層を被覆すると、その密着力を飛躍的に向上できることが確認された。
摩擦係数測定および摺動温度測定
上記参考例1および比較例1で作製したサンプルを、鈴木式回転摩擦摩耗試験機にセットして、グリース潤滑下、面圧:50MPa、周速:0.3m/secの条件で連続摩擦させた際の、摩擦係数の変化、およびサンプルの温度変化を連続的に測定した。結果を図2に示す。
【0041】
図に見るように参考例1および比較例1のサンプルはともに、試験開始から120〜140分かけて温度が140℃付近まで上昇した。
そして比較例1のサンプルは、試験開始120分後あたりから摩擦係数と温度が大きな上下動を開始して、260分後に樹脂層がはく離してしまった。
これに対し参考例1のサンプルは、上記のように試験開始140分後に温度が140℃まで上昇するとともに、摩擦係数が僅かに低下した後は、試験終了の480分後まで一定の摩擦係数と温度とを維持することができた。
【0042】
このことから参考例1の樹脂層は、とくに高温での用途において、摺動抵抗の低減に効果を発揮し得ることが確認された。
実施例1
前記参考例1と同様にして、リン酸塩皮膜の上に、参考例1で使用したのと同じポリフェニレンサルファイド樹脂の粉体塗料を、静電粉体塗着法によって塗布して粉体塗料層を形成した。
【0043】
つぎにこの粉体塗料層の表面に、ポリエチレン樹脂を粉末化し、分級した、粒径が200メッシュ通過の粉体塗料を少量、熱分解性粉体として付着させた。
そして350℃で3分間、高周波誘導加熱して溶融流展させた後、自然放冷して樹脂層を形成するとともに、熱分解性粉体を熱分解させて除去することによって実施例1のサンプルを作製した。樹脂層の厚みは200μmであった。
上記樹脂層の表面を、実体顕微鏡写真を撮影して観察したところ、図3に示すように、熱分解性粉体を熱分解させて除去した痕跡として、微細な凹穴が多数、形成されているのが確認された。
【0044】
また、上記実体顕微鏡写真に写された、実際の寸法が5×5mmの矩形状の領域に入るすべての凹穴の開口径を実測して、その平均値を求めたところ30μmであった。
また上記各凹穴の深さを、実体顕微鏡によって凹穴の縁と底にそれぞれピントを合わせた時の、鏡筒の移動量から求めて、その平均値を計算したところ25μmであった。
【0045】
さらに、上記領域中に含まれる、凹穴の開口面積の総量の、上記領域の面積に対する割合で表される凹穴の分布割合を求めたところ20%であった。
摩擦係数測定および摺動温度測定
上記実施例1で作製したサンプルを、鈴木式回転摩擦摩耗試験機にセットして、前記と同条件で連続摩擦させた際の、摩擦係数の変化、およびサンプルの温度変化を連続的に測定した。結果を、前記参考例1の結果と合わせて図4に示す。
【0046】
図に見るように実施例1のサンプルは、参考例1に比べて、摩擦係数および温度上昇をより低いレベルに維持することができた。
このことから実施例1の樹脂層は、参考例1に比べてさらに摺動抵抗の低減に効果を発揮することが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】 同図(a)は、この発明の結合部材の、実施の形態の一例としての、リダクションギヤの一部を示す拡大断面図、同図(b)は、上記リダクションギヤの要部である歯部(嵌合部)の表面付近をさらに拡大した拡大断面図である。
【図2】 参考例1および比較例1で作製した各サンプルについて連続摩擦試験を行った際の、摩擦係数と摺動温度の推移を示すグラフである。
【図3】 実施例1で作製したサンプルの樹脂層の表面を拡大した実体顕微鏡写真である。
【図4】 参考例1および実施例1で作製した各サンプルについて連続摩擦試験を行った際の、摩擦係数と摺動温度の推移を示すグラフである。
【符号の説明】
1 リダクションギヤ(結合部材)
11 歯(嵌合部)
2 リン酸塩皮膜
3 樹脂層[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a power transmission coupling member such as a spline shaft or gear.
[0002]
[Prior art]
For connecting members such as spline shafts and gears, for the purpose of reducing sliding resistance and silencing, fitting parts to other members (in the case of spline shafts, spline parts with a number of keys cut directly on the shaft body, In the case of a gear, at least the gear tooth surface) may be covered with a resin layer (for example, Japanese Patent Publication No. 2-19325 and Japanese Patent No. 3098105).
[0003]
Examples of the resin to be coated include polyamide resins such as
[0004]
[Problems to be solved by the invention]
However, since these resins have insufficient heat resistance, there is a problem that they are not suitable for use at high temperatures.
Therefore, it has been studied to form a resin layer using a polyphenylene sulfide resin (PPS resin) that has better heat resistance than a polyamide resin.
However, when the resin layer of the polyphenylene sulfide resin is directly coated and formed on the surface of the fitting portion as described in, for example, JP-A-2001-336543, the type of the base metal, the method of forming the resin layer, There has been a problem that the adhesion of the resin layer to the fitting portion varies greatly depending on the formation conditions.
[0005]
In particular, light metals such as aluminum and magnesium are likely to form an oxide film, and it is difficult to ensure sufficient adhesion even when a resin layer of polyphenylene sulfide resin is formed thereon.
Therefore, after forming an adhesive layer (undercoat layer) made of another resin, such as an epoxy resin, which has excellent adhesion to the base metal, on the surface of the fitting portion, a resin layer of polyphenylene sulfide resin is formed thereon. It has been considered to improve the adhesion of the resin layer and stabilize it at a high level.
[0006]
However, many of the resins with high adhesion to the base metal, such as epoxy resin, have a low heat-resistant temperature, and heat degradation of the polyphenylene sulfide resin at a temperature lower than the melting temperature, that is, thermal decomposition or heat melting, the adhesive. The resin layer could not be coated on the layer by a method including a process involving heating and melting of the polyphenylene sulfide resin, such as a powder coating method using a powder coating.
In addition, if the formation method does not involve heating or melting of polyphenylene sulfide resin, such as a solution coating method, the resin layer can be coated on the adhesive layer, but the adhesive layer is heat resistant as described above. Due to the low temperature, the bonding member is prone to thermal degradation, especially when used for high temperature applications, and the adhesion to the base metal or resin layer is significantly reduced. There was a risk of damage.
[0007]
For this reason, conventionally, the high heat resistance of polyphenylene sulfide resin has not been fully utilized.
The object of the present invention is to be able to coat the surface of the fitting portion more stably with a higher adhesion with a resin layer of polyphenylene sulfide resin, and to use the high heat resistance of polyphenylene sulfide resin, especially at high temperatures. In the above, it is to provide a novel coupling member capable of exhibiting the effect of reducing sliding resistance and silencing.
[0008]
[Means for Solving the Problems and Effects of the Invention]
The invention according to
According to this invention, the phosphate treatment is a chemical conversion treatment involving a chemical reaction with the base metal that forms the surface of the fitting portion, and the phosphate coating forms a continuous phase with the base metal, which will be described later. Thus, the phosphate membrane | film | coat which has high adhesive force with respect to various base metals can be formed by selecting the optimal phosphate processing agent according to the kind of base metal.
[0009]
Further, the surface of the phosphate film is in a porous state, and has excellent adhesion to the resin layer of polyphenylene sulfide resin coated thereon.
For this reason, by interposing the phosphate film, the adhesion of the resin layer can be increased and stabilized at a higher level than when the resin layer is directly coated on the surface of the fitting portion.
Moreover, the phosphate film is an inorganic film, and hardly deteriorates by heating, melting temperature, or heat resistance temperature of the polyphenylene sulfide resin. For this reason, a resin layer can be coat | covered on a phosphate membrane | film | coat by the method of including the process accompanied by the heating of a polyphenylene sulfide resin, such as a powder coating method, for example. Further, the bonding member after coating the resin layer can also be used for higher temperature applications without causing a decrease in adhesion or damage to the resin layer.
[0010]
Therefore, the surface of the fitting portion can be more stably covered with a higher adhesion force by the resin layer of polyphenylene sulfide resin, and the heat resistance of the polyphenylene sulfide resin and a large number of fine formed on the surface of the resin layer are formed. By retaining the lubricant in the lubrication state in the recessed hole, it is possible to improve the sliding characteristics of the resin layer to a level equivalent to that made of
The invention according to
[0011]
According to the present invention, the adhesion of the resin layer of the polyphenylene sulfide resin can be further enhanced, and the above-described effect of the first aspect can be further improved.
The invention according to claim 3 is the coupling member according to
[0012]
According to the present invention, since a solvent is not used when forming the resin layer, there are advantages that the type of the resin is not limited and that the environmental protection is excellent .
[0013]
Fourth aspect of the present invention, a resin layer, in forming the powder coating method using the powder coating of polyphenylene sulfide resin, the surface of the powder coating layer before baking formed on the surface of the fitting portion, With the thermally decomposable powder thermally decomposed at the baking temperature of the powder coating adhered, the powder coating layer is baked at a temperature of 350 ° C or lower to form a resin layer, and the thermally decomposable powder is thermally decomposed. by removing by a coupling member according to
[0014]
According to this invention, the size (opening diameter, depth), shape, distribution, etc. of the concave holes formed on the surface of the resin layer can be changed to the shape of the thermally decomposable powder, the state of adhesion to the powder coating layer, etc. It can be random depending on the situation. In addition, it is possible to improve the lubricity of the resin layer as compared with regular concave holes in which these parameters are constant.
In the invention according to claim 5 , when the resin layer is formed by a powder coating method using a powder coating of polyphenylene sulfide resin, water is added to the surface of the powder coating layer before baking formed on the surface of the fitting portion. After the powder coating layer is baked to form a resin layer with the adhering powder attached, many fine concave holes are formed on the surface of the resin layer by eluting and removing the water-soluble powder with water. The coupling member according to
[0015]
According to this invention, the size (opening diameter, depth), shape, distribution, etc., of the concave holes formed on the surface of the resin layer depends on the shape of the water-soluble powder, the state of adhesion to the powder coating layer, etc. Can be random. For this reason, it becomes possible to improve the lubricity of a resin layer rather than the regular concave hole in which these parameters are constant.
[0016]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
FIG. 1A is an enlarged cross-sectional view showing a part of an EPS (electric power steering) reduction gear as an example of an embodiment of the coupling member of the present invention, and FIG. 1B is the reduction gear. It is the expanded sectional view which expanded further the surface vicinity of the tooth | gear part (fitting part) which is the principal part of this.
As shown in these drawings, the
[0017]
Such a
The surface of the
As the phosphating agent used for the phosphating, as described above, an optimum one according to the type of the base metal may be selected and used.
[0018]
For example, when the base metal forming the
In addition, these phosphate treatment agents are commercially available in various grades depending on the treatment conditions and the properties of the phosphate film to be formed. What is necessary is just to select and use suitably what can form the phosphate membrane | film |
[0019]
For example, when the coupling member is the
Further, as a manganese phosphate-based phosphate treating agent, Parfos (registered trademark) M1A manufactured by Nippon Parkerizing Co., Ltd. is preferably used for the same reason.
[0020]
In order to perform the phosphate treatment, a treatment method suitable for the shape and structure of the fitting portion of the coupling member may be employed as described above.
For example, when the
That is, in the phosphate treating agent in which the
[0021]
In such an immersion method, the immersion time and the thickness of the phosphate film are in a proportional relationship. The proportionality coefficient is constant according to the shape and structure of the coupling member, the type of the base metal forming the coupling member, the type of the phosphate treatment agent to be used, the treatment temperature, and the like.
For this reason, if the relationship between the immersion time and the thickness of the phosphate coating is determined in advance and the immersion time is set based on this relationship, the thickness of the phosphate coating can be set arbitrarily and always almost constant. Can be controlled.
[0022]
The film thickness of the
If the film thickness is less than 1 μm, there is a possibility that the effect of enhancing and stabilizing the above-described adhesion of the resin layer due to the formation of the phosphate film on the surface of the fitting portion may not be sufficiently obtained. Moreover, even if the film thickness exceeds 8 μm, not only the effect is not obtained, but also the film strength of the phosphate film is lowered, and the adhesion force of the resin layer may be lowered.
[0023]
In consideration of further improving the effect of increasing the adhesion of the resin layer 3 and stabilizing it at a high level, the thickness of the phosphate film is preferably 3 to 5 μm, even within the above range.
The resin layer 3 of polyphenylene sulfide resin coated on the
[0024]
In such a powder coating method, first, a powder coating material containing polyphenylene sulfide resin as a main component is prepared, and this is formed on the surface of the
In the case of a spline shaft, for example, as described in Japanese Patent No. 3098105, for example, a spline portion in which a
[0025]
The thickness of the resin layer 3 is not particularly limited, but is preferably 100 to 300 μm, and more preferably 150 to 200 μm.
If the thickness of the resin layer 3 is less than this range, the effect of reducing sliding resistance and silencing due to the formation of the resin layer 3 may be insufficient. On the other hand, if this range is exceeded, the amount of wear of the resin during sliding may increase.
Since the sliding resistance tends to decrease as the thickness of the resin layer 3 increases, the thickness of the resin layer 3 is more preferably as large as possible even within the above range.
[0026]
Polyphenylene sulfide resin has a self-lubricating property for imparting sliding properties to the resin layer, although it is better than the surface of the base metal, etc., but is slightly lower than the above-mentioned
Therefore, in order to improve the sliding properties of the resin layer of the polyphenylene sulfide resin to the same level as that made of
[0027]
However, since solid lubricants generally have low affinity with polyphenylene sulfide resins and are easy to separate, it is difficult to produce a powder coating in which both are melt-kneaded and the solid lubricant is uniformly dispersed in the polyphenylene sulfide resin. It is. And the resin layer formed using the manufactured powder coating has a problem that the sliding characteristics become non-uniform because the solid lubricant is non-uniformly dispersed.
In addition, since the solid lubricant does not have adhesion to the base (and can be said to function as a lubricant), the resin layer formed by such a powder coating is in close contact with the phosphate coating as the base. There is also a risk that the force is significantly reduced.
[0028]
On the other hand, when a large number of fine concave holes are formed on the surface of the resin layer 3, as described above, the sliding property of the resin layer is made to be
Furthermore, by uniformly distributing the concave holes on the surface of the resin layer, the sliding characteristics of the resin layer can be made uniform over the entire surface, and since no solid lubricant is added, the resin layer of the polyphenylene sulfide resin can The adhesion strength with a certain phosphate film can also be maintained at the high level described above.
[0029]
The size, shape, distribution, etc. of the recessed holes are not particularly limited, but the average value of the opening diameters is preferably 5 to 100 μm, particularly preferably 20 to 30 μm.
The average value of the depth is preferably 3 to 80 μm, particularly preferably 20 to 30 μm.
Furthermore, the distribution ratio of the concave holes represented by the ratio of the total opening area of the concave holes included in the constant area area on the surface of the resin layer 3 to the area of the region is 3 to 50%, particularly 10%. It is preferable to be before and after.
[0030]
When the opening diameter and depth of the recessed holes are less than the above range, or when the distribution ratio of the recessed holes is less than the above range, the sliding of the resin layer 3 caused by providing the recessed holes. There is a possibility that the effect of reducing the dynamic resistance cannot be obtained sufficiently.
Conversely, if the opening diameter or depth of the recessed holes exceeds the above range, or the distribution ratio of the recessed holes exceeds the above range, the surface smoothness of the resin layer 3 is reduced, On the contrary, the effect of reducing the sliding resistance of the resin layer 3 may be insufficient.
[0031]
Also, the concave holes are preferably random in size (opening diameter, depth), shape, distribution, etc. in order to further reduce the sliding resistance as described above.
As described above, in the random concave hole, in the powder coating method, the thermally decomposable powder is adhered to the surface of the powder coating layer before baking, and the resin layer is formed by baking the powder coating layer. At this time, the thermally decomposable powder can be thermally decomposed and removed to form a trace on the surface of the resin layer.
[0032]
Alternatively, water-soluble powder is adhered to the surface of the powder coating layer, the powder coating layer is baked to form a resin layer, and then the water-soluble powder is eluted by water to remove it as a trace. It can also be formed on the surface of the resin layer.
The thermally decomposable powder used in these methods is thermally decomposed at the baking temperature (about 300 to 350 ° C.) of a powder coating of polyphenylene sulfide resin such as polyamide resin such as
[0033]
In order to make the shape of the concave hole random, the pyrolyzable powder is preferably produced by, for example, a pulverization method in which the resin is melt-kneaded and then pulverized.
On the other hand, the water-soluble powder can be formed of a water-soluble resin such as polyvinyl alcohol.
Further, for example, an inorganic powder such as calcium carbonate may be blended in the water-soluble powder to reduce the proportion of the water-soluble resin in the powder, thereby improving the water-dissolvability.
[0034]
The size of the recessed hole is almost the same as the size of the thermally decomposable powder and water-soluble powder, so the size of the thermally decomposable powder and water-soluble powder to be used is set according to the size of the recessed hole to be formed. do it.
In order to randomly attach the thermally decomposable powder or water-soluble powder to the surface of the powder coating layer before baking, an electrostatic powder coating method or the like may be employed.
[0035]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described based on examples, reference examples, and comparative examples.
Reference example 1
<Pretreatment of base metal>
A cold rolled steel sheet was prepared as a base metal model for forming the fitting portion of the coupling member, and the surface was blasted and degreased. The surface roughness after the treatment was a center line average roughness Ra = 5 μm.
[0036]
<Phosphate treatment>
The cold-rolled steel sheet was immersed in a zinc phosphate phosphate treatment agent (Palbond L3020 manufactured by Nihon Parkerizing Co., Ltd.) for phosphate treatment. The temperature of the liquid was 50 ° C., and the immersion time was 3 minutes.
And the cold-rolled steel plate in which the said immersion time passed was pulled out from the liquid, fully washed with water, and was then dried. The thickness of the phosphate film formed by the treatment was 3 μm.
[0037]
<Formation of resin layer>
The polyphenylene sulfide resin was pulverized and classified to prepare a powder coating material having a particle size of 200 mesh.
Next, this powder coating was applied on the phosphate coating of the previously cold-rolled steel sheet by electrostatic powder coating, and melt-flowed by high-frequency induction heating at 350 ° C. for 3 minutes. Thereafter, the sample of Reference Example 1 was formed by naturally cooling and forming a resin layer. The thickness of the resin layer was 200 μm.
[0038]
Comparative Example 1
A sample of Comparative Example 1 was produced in the same manner as Reference Example 1 except that the resin layer was formed directly on the surface of the cold-rolled steel sheet after the pretreatment without performing the phosphate treatment.
Evaluation of Adhesive Strength of Resin Layer A sample-like blade (
[0039]
[Table 1]
[0040]
From the table, it was confirmed that when the surface of the base metal is subjected to a phosphate treatment to form a phosphate film, and then the resin layer of the polyphenylene sulfide resin is coated, the adhesion can be dramatically improved.
Friction coefficient measurement and sliding temperature measurement The samples prepared in Reference Example 1 and Comparative Example 1 were set in a Suzuki type rotary friction and wear tester, and under grease lubrication, surface pressure: 50 MPa, peripheral speed: 0.3 m / The change in the coefficient of friction and the change in the temperature of the sample when continuously rubbed under the condition of sec were continuously measured. The results are shown in FIG.
[0041]
As shown in the figure, the temperature of the samples of Reference Example 1 and Comparative Example 1 rose to around 140 ° C. over 120 to 140 minutes from the start of the test.
The sample of Comparative Example 1 started to move up and down with a large coefficient of friction and temperature about 120 minutes after the start of the test, and the resin layer peeled off after 260 minutes.
In contrast, the sample of Reference Example 1 had a constant coefficient of friction until 480 minutes after the end of the test after the temperature rose to 140 ° C. 140 minutes after the start of the test as described above and the friction coefficient slightly decreased. The temperature could be maintained.
[0042]
From this, it was confirmed that the resin layer of Reference Example 1 can exert an effect in reducing sliding resistance particularly in applications at high temperatures.
Example 1
In the same manner as in Reference Example 1, on the phosphate coating, the powder coating of the same polyphenylene sulfide resin as used in Example 1, powder coating layer was applied by electrostatic powder-application methods Formed.
[0043]
Next, a small amount of a powder coating material having a particle size of 200 mesh was adhered to the surface of the powder coating layer as a thermally decomposable powder.
The sample of Example 1 was subjected to high-frequency induction heating at 350 ° C. for 3 minutes to melt and flow, and then allowed to cool naturally to form a resin layer and to thermally decompose and remove the thermally decomposable powder. Was made. The thickness of the resin layer was 200 μm.
When the surface of the resin layer was observed by taking a stereoscopic micrograph, as shown in FIG. 3, a lot of fine concave holes were formed as traces obtained by thermally decomposing and removing the thermally decomposable powder. It was confirmed that
[0044]
Moreover, when the opening diameter of all the concave holes which are copied to the above stereomicrograph and which falls within a rectangular region having an actual size of 5 × 5 mm was measured and the average value was obtained, it was 30 μm.
Further, the depth of each concave hole was obtained from the amount of movement of the lens barrel when focusing on the edge and bottom of the concave hole with a stereomicroscope, and the average value was calculated to be 25 μm.
[0045]
Furthermore, when the distribution ratio of the concave holes represented by the ratio of the total opening area of the concave holes included in the region to the area of the region was determined, it was 20%.
Friction coefficient measurement and sliding temperature measurement When the sample produced in Example 1 was set in a Suzuki type rotary friction and wear tester and continuously rubbed under the same conditions as described above, The temperature change was measured continuously. The results are shown in FIG. 4 together with the results of Reference Example 1.
[0046]
As shown in the figure, the sample of Example 1 was able to maintain the friction coefficient and the temperature increase at lower levels than those of Reference Example 1.
From this, it was confirmed that the resin layer of Example 1 was more effective in reducing sliding resistance than Reference Example 1.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 (a) is an enlarged sectional view showing a part of a reduction gear as an example of an embodiment of a coupling member of the present invention, and FIG. 1 (b) is a main part of the reduction gear. It is an expanded sectional view which expanded further the surface vicinity of a tooth part (fitting part) which is.
FIG. 2 is a graph showing changes in friction coefficient and sliding temperature when a continuous friction test is performed on each sample produced in Reference Example 1 and Comparative Example 1.
3 is a stereomicrograph in which the surface of the resin layer of the sample produced in Example 1 is enlarged. FIG.
FIG. 4 is a graph showing changes in friction coefficient and sliding temperature when a continuous friction test is performed on each sample produced in Reference Example 1 and Example 1 .
[Explanation of symbols]
1 Reduction gear (coupling member)
11 teeth (fitting part)
2 Phosphate coating 3 Resin layer
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