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JP4087260B2 - 電子材料用粗樹脂の精製方法 - Google Patents

電子材料用粗樹脂の精製方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子材料用粗樹脂の精製方法、該精製方法により得られる電子材料用樹脂、該電子材料用樹脂を用いる化学増幅型ホトレジスト組成物の製造方法及び該電子材料用樹脂を用いた化学増幅型ホトレジスト組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、例えば半導体素子、液晶素子、磁気ヘッドなどの電子デバイスを作成する際に用いられるホトレジストの樹脂成分のような電子材料用樹脂としては、KrF用レジストの樹脂では、ポリヒドロキシスチレン系のもの(例えば、その水酸基の一部を酸解離性溶解抑制基で保護したもの、ヒドロキシスチレン単位とスチレン単位の共重合体、ヒドロキシスチレン単位と(メタ)アクリル酸エステルの共重合体など)が知られ、ArF用レジストの樹脂では、(メタ)アクリル酸エステルの共重合体系のものが知られている。
そして、そのような電子材料用樹脂の精製法として、前者のポリヒドロキシスチレン系のものでは下記特許文献1が、後者の(メタ)アクリル酸エステルの共重合体系のものでは、下記特許文献2が知られている。
特許文献1には、N−メチルピロリドンのような極性溶媒と脂肪族炭化系溶媒に溶解し分層した後、極性溶媒層から樹脂を得る方法と低級アルコールに溶解した後、水などの貧溶媒に投じてポリマーを析出させる方法が開示されている。
また、特許文献2には、n−ヘキサンのような脂肪族炭化水素又はこれと酢酸エチルの混合溶媒を用いて精製する方法が開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−289614号公報
【特許文献2】
特開2002−201232号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような方法でラクトンのような親水性部位を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を有する電子材料用粗樹脂を精製すると、未反応のモノマーをある程度除去することはできても、副生したオリゴマーや低分子量のポリマー等、特に比較的極性の高いものを除去することが困難である。従って、このように除去困難な副生物を含有した状態の樹脂を電子材料の一成分に用いることを余儀なくされている。
【0005】
例えば、上記オリゴマー等の副生物を含有する樹脂を用いてArF用化学増幅型ホトレジスト組成物を調製した場合、感度、解像度、レジストパターン形状等の諸特性は満足いくものとなるが、現像後のレジストパターンのディフェクト(表面欠陥)が問題となることがあった。このディフェクトとは、例えば、KLAテンコール社の表面欠陥観察装置(商品名「KLA」)により、現像後のレジストパターンを真上から観察した際に検知されるスカムや、レジストパターン、レジストパターン間のブリッジ等の不具合全般を言う。
また、レジスト溶液(溶液状のホトレジスト組成物)保管中に、微細な粒子が発生するレジスト溶液の異物経時特性(保存安定性)が問題となることもあった。さらには、この微細な微粒子が発生すると上記ディフェクトの原因になることもあり、ディフェクトの改善のためにも異物経時特性の改善が強く望まれている。
【0006】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、電子材料用樹脂中に含まれる特にオリゴマー等の副生物を効果的に除去できる電子材料用粗樹脂の精製方法、該精製方法により得られる電子材料用樹脂、該電子材料用樹脂を用いる化学増幅型ホトレジスト組成物の製造方法及び該電子材料用樹脂を用いた化学増幅型ホトレジスト組成物を提供することを課題とする。
また、化学増幅型ホトレジスト組成物に関する発明では、解像度、レジストパターン形状、感度などの諸特性を損なうことなくディフェクトや異物経時安定性の改善を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、(a1)親水性部を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を有する電子材料用粗樹脂の精製方法であって、前記電子材料用粗樹脂を、(b1)極性溶媒を用いて洗浄する工程と、(b2)疎水性溶媒を用いて洗浄する工程とを設けることによって、従来の精製方法よりも、副生物を除去する効果が飛躍的に向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の第一の発明は、(a1)親水性部を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位と、(a2)疎水性基を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位とを有する電子材料用粗樹脂の精製方法であって、前記(a1)単位における親水性部位はラクトン単位であり、前記(a2)単位における疎水性基は炭素数6以上の鎖状または環状の炭化水素基であり、前記電子材料用粗樹脂を、(b1)極性溶媒を用いて洗浄する工程と、(b2)疎水性溶媒を用いて洗浄する工程とを設けることとし、前記極性溶媒が炭素数1〜4のアルコール又は炭素数1〜4のアルコールと水との混合溶媒であり、前記疎水性溶媒が炭素数5〜11の脂肪族炭化水素であることを特徴とする電子材料用粗樹脂の精製方法である。
本発明の第二の発明は、前記精製方法により得られる電子材料用樹脂である。
本発明の第三の発明は、前記電子材料用樹脂を用いることを特徴とする化学増幅型ホトレジスト組成物の製造方法である。
また、本発明の第四の発明は、前記電子材料用樹脂を用いたことを特徴とする化学増幅型ホトレジスト組成物である。
【0009】
なお、「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸、アクリル酸の一方または両方を示す。「構成単位」とは、重合体を構成するモノマー単位を示す。また、「ラクトン単位」とは、単環式または多環式のラクトンから1個の水素原子を除いた基である。また、「電子材料用粗樹脂」とは、半導体素子、液晶素子、磁気ヘッドなどの電子デバイスを作成する際に用いられる樹脂の重合反応終了後のもので未精製のものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電子材料用樹脂の製造方法の一例について、手順を追って説明する。
まず、常法にしたがって、重合反応により粗樹脂を調製する。すなわち、まず、調製する樹脂の構成単位となるモノマー1種以上を、公知の重合溶媒に溶解させる。公知の重合溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルエチルケトン等を用いることができる。次にこの溶液に、例えばアゾビスイソブチロニトリルのような公知の重合開始剤を添加して、好ましくは50〜80℃で、2〜6時間加熱することにより重合反応を行う。
【0011】
本発明の精製方法は、上記の重合反応終了後の粗樹脂であって、(a1)親水性部を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を有する電子材料用粗樹脂を、(b1)極性溶媒を用いて洗浄する工程(以下、極性溶媒洗浄工程という。)と、(b2)疎水性溶媒を用いて洗浄する工程(以下、疎水性溶媒洗浄工程という。)とを設けることを特徴とする。
これらの極性溶媒洗浄工程および疎水性溶媒洗浄工程の順序は任意であるが、極性溶媒洗浄工程を先に行うほうがディフェクト発生の抑制と異物経時安定性が改善され好ましい。また、それぞれの工程は1回または2回以上行ってもよいが、上記効果と生産性から3回行うことが好ましい。さらに各洗浄工程を2回以上行う場合には、各極性溶媒と疎水性溶媒の内、種類が異なるものを用いてもよい。
以下に説明する精製方法の一例においては、上記の重合反応終了後、極性溶媒洗浄工程を先に行うものとする。
【0012】
極性溶媒洗浄工程では、重合反応終了後、生成した第1の粗樹脂が溶解している反応液を極性溶媒に注ぎ落とす。極性溶媒とは、例えば、水酸基のような極性基を有し、比較的親水性の高い溶媒を示す。該極性溶媒としては、例えば、炭素数1〜4のアルコールが挙げられ、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール等を挙げることができる。これらのうち、特にメタノール、エタノールおよびiso−プロパノールが好ましい。
【0013】
上記極性溶媒洗浄工程においては、使用する極性溶媒の量は、重合溶媒に対して、2質量倍以上、さらに4〜5質量倍であることが、未反応モノマー、オリゴマーや低分子量のポリマー、特に比較的極性の高いオリゴマーや低分子量ポリマーなどの不純物除去性が高く好ましい。第1の粗樹脂を極性溶媒に注いだ後、10〜40℃で好ましくは20〜30℃で、10〜60分間、好ましくは25〜35分間撹拌、振とう等を行うと、粗樹脂が固体となって析出してくる。この析出した固体を濾過することにより目的とする第2の粗樹脂を得る。
上述のような極性溶媒洗浄工程を設けることにより、未反応のモノマー、副生するオリゴマー、特に比較的極性の高いオリゴマー等を除去することができる。
なお、上記極性溶媒洗浄工程は、必要に応じて繰り返し行うことができる。すなわち、極性溶媒洗浄工程において得られた第2の粗樹脂を、再度テトラヒドロフラン等の重合溶媒に溶解させ、極性溶媒に注ぎ落し、析出した粗樹脂を濾過する操作を繰り返し行うことができる。
【0014】
次に、上記極性溶媒洗浄工程で得られた第2の粗樹脂を、疎水性溶媒洗浄工程に移す。この際、第2の粗樹脂を予め前記重合溶媒と同じ溶媒に溶解し、疎水性溶媒洗浄工程に移すと好ましい。該疎水性溶媒としては、例えば、ペンタン、2-メチルブタン、n−ヘキサン、2-メチルペンタン、2,2−ジブチルブタン、2,3−ジブチルブタン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、2,2,3-トリメチルペンタン、n−ノナン、2,2,5−トリメチルヘキサン、n−デカン、n−ドデカンのような脂肪族炭化水素を用いることができ、特に炭素数5〜10の脂肪族炭化水素を用いることが好ましく、n−ヘキサン、n−ヘプタンが特に好ましい。使用する疎水性溶媒の量は、前記重合溶媒に対して、2質量倍以上、さらに4〜5質量倍であることが、未反応モノマーなどの不純物除去性が高く好ましい。第2の粗樹脂の溶液を疎水性溶媒に注いだ後、10〜40℃で好ましくは20〜30℃で、10〜60分間、好ましくは25〜35分間撹拌、振とう等を行うと、樹脂が固体となって析出してくる。この析出した固体を濾過することにより電子材料用樹脂を得る。
【0015】
上述のような疎水性溶媒洗浄工程を設けることにより、重合反応において未反応であったモノマーの大部分を疎水性溶媒に溶解させて除去することができる。
なお、上記疎水性溶媒洗浄工程は、必要に応じて繰り返し行うことができる。すなわち、疎水性溶媒洗浄工程において得られた樹脂を、再度テトラヒドロフラン等の重合溶媒に溶解させ、これを疎水性溶媒に注ぎ落とし、析出した樹脂を濾過する操作を繰り返し行うことができる。
【0016】
なお、本発明の精製方法を適用する樹脂は(a1)親水性部を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を有する電子材料用粗樹脂であるが、該(a1)単位を有することにより、比較的親水性が高いこの単位のオリゴマーや低分子量ポリマーが副生する。この副生物を除去するには、上記したように極性溶媒洗浄が有効であるが、その除去効果をより高めるために、上記極性溶媒洗浄工程において、極性溶媒に水を添加した混合溶媒を用いると好ましい。極性溶媒に水を添加することにより粗樹脂の洗浄溶媒への溶解性を調節することができる。
添加する水の量は、極性溶媒に対して10質量%以下であることが好ましく、さらに5質量%以下であることが好ましい。10質量%を超えると、粗樹脂が極性溶媒に溶けにくくなり、本発明の精製工程に適さなくなる傾向がある。
【0017】
本発明の電子材料用粗樹脂の精製方法は、(a1)親水性部を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を有する電子材料用粗樹脂に対して用いられる。該電子材料用粗樹脂としては、化学増幅型ホトレジスト組成物に使用される樹脂に適している。
【0018】
化学増幅型ホトレジスト組成物に用いられる樹脂のうち、例えばKrFやArFエキシマレーザやこれより短波長用ホトレジスト組成物の樹脂成分が挙げられる。
【0019】
前記電子材料用粗樹脂は、(a1)親水性部を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を樹脂中に20〜60モル%含有していることが好ましい。(a1)単位を20モル%以上含有していると、オリゴマーや低分子量のポリマー、特に比較的極性の高いオリゴマーや低分子量ポリマーを生じやすいので、特に本発明の精製方法を適用することが効果的である。(a1)単位を60モル%より多く含有していると、親水性が高くなり、所望とする樹脂が洗浄溶媒中に除去されて、結果として樹脂の収率が低下するため好ましくない。
【0020】
また、本発明精製方法は、(a1)親水性部を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を有する電子材料用粗樹脂に用いることができるが、該(a1)単位と(a2)疎水性基を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位とを有する樹脂に対しても、さらに好適に用いることができる。
該(a1)単位とは、好ましくは、例えば以下の構成単位が挙げられる。
(a1):ラクトン単位を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(以下、(a1)単位という)。
(a2):疎水性基を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(以下、(a2)単位という)。
このように、粗樹脂が親水性の高い(a1)単位と疎水性の高い(a2)単位とを含有する場合には、原料のモノマーとして疎水性の高いモノマーと親水性の高いモノマーとを用いることになる。この場合、重合反応において副生するオリゴマーとして、それぞれのモノマーに組成が偏ったものが得られる。すなわち、非常に疎水性の高いオリゴマーと親水性の高いオリゴマーとが共に粗樹脂中に含有されている。
そして、従来の精製方法では、このような2種のオリゴマーの除去は不十分であったが、本発明の精製方法を適用することで、未反応モノマーに加え、非常に極性の偏ったもの、すなわち、疎水性の高いオリゴマーと親水性の高いオリゴマーとを除去することができる。具体的には、疎水性の高いオリゴマーは疎水性溶媒洗浄工程で除去でき、極性が高いオリゴマーは極性溶媒洗浄工程で除去できる。このことにより、ディフェクト低減効果と保存安定性を高めることができる。
【0021】
(a1)単位:
(a1)単位は、(メタ)アクリル酸エステルのエステル側鎖部にラクトン単位を有する構成単位である。このときラクトン単位において、−O−C(O)−構造を含む環を一つ目の環として数える。したがって、ここでは環構造が−O−C(O)−構造を含む環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
そして、(a1)単位としては、具体的には例えば、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた単環式基や、ラクトン含有ポリビシクロアルカンから水素原子1つを除いた多環式基などが挙げられる。
具体的には、例えば以下の構造式(I)〜(IV)で表される構成単位が好ましい。
【0022】
【化1】
Figure 0004087260
(式中、Rは水素原子またはメチル基、mは0または1である。)
【0023】
【化2】
Figure 0004087260
(式中、Rは水素原子またはメチル基である。)
【0024】
【化3】
Figure 0004087260
(式中、Rは水素原子またはメチル基である。)
【0025】
【化4】
Figure 0004087260
(式中、Rは水素原子またはメチル基である。)
【0026】
上記(a1)単位は、粗樹脂を構成する全構成単位の合計に対して、好ましくは20〜60モル%、さらに30〜50モル%含有されていることが、化学増幅型ホトレジストの樹脂として用いた場合、解像性に優れ好ましい。
【0027】
(a2)単位:
(a2)単位に含まれる疎水性基とは、(メタ)アクリル酸エステルのエステル部分に含有される炭素数6以上、好ましくは10以上の疎水性の高い炭化水素基を表す。炭化水素基としては鎖状または環状の炭化水素基が挙げられ、具体的には第3級アルキル基、多環式基を有する疎水性基などが挙げられる。これらの中でも脂肪族環状多環式炭化水素基が、化学増幅型ホトレジストの樹脂として用いた場合、解像性や対ドライエッチング耐性が高く好ましい。
(a2)単位としては、例えば、以下に示す(a2−1)及び(a2−2)のような構成単位が挙げられる。
(a2−1)疎水性脂肪族多環式基含有酸解離性溶解抑制基を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(以下、(a2−1)単位という。)。
(a2−2)疎水性脂肪族多環式基含有酸不解離性基を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(以下、(a2−2)単位という。)。
なお(a2−2)単位における「酸不解離性」とは、化学的に完全に不解離ということではなく、(a2−1)単位に比べて酸解離性が相当に低いという意である。
【0028】
(a2−1)単位:
(a2−1)単位において疎水性基として用いられる脂肪族多環式基含有酸解離性溶解抑制基において、脂肪族多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テロラシクロアルカンなどから1個の水素原子を除いた基などを例示できる。
具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。
この様な多環式基は、例えばArFエキシマレーザのホトレジスト組成物用樹脂において酸解離性溶解抑制基として、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。
これらの中でもアダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロドデカニル基が工業上好ましい。
【0029】
また、前記酸解離性溶解抑制基は、ポジ型の化学増幅型ホトレジスト組成物用の樹脂に用いられる基であって、酸の作用により解離することによって樹脂をアルカリ不溶性からアルカリ溶解性へと変化させるものであれば特に限定せずに用いることができる。
一般的には、(メタ)アクリル酸のカルボキシル基と環状又は鎖状の第3級アルキルエステルを形成するものが広く知られている。
【0030】
より具体的には、構成単位(a2−1)が、下記一般式(V)〜(VII)から選択される少なくとも1種であると好ましい。
【0031】
【化5】
Figure 0004087260
(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは低級アルキル基である。)
【0032】
【化6】
Figure 0004087260
(式中、Rは水素原子又はメチル基、R及びRはそれぞれ独立に低級アルキル基である。)
【0033】
【化7】
Figure 0004087260
(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは第3級アルキル基である。)
【0034】
式中、Rとしては、炭素数1〜5の低級の直鎖又は分岐状のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられる。中でも、炭素数2以上、好ましくは2〜5のアルキル基はメチル基の場合に比べて酸解離性が高くなり高感度化できる点で好ましい。なお、工業的にはメチル基やエチル基が好ましい。
【0035】
前記R及びRは、それぞれ独立に、好ましくは炭素数1〜5の低級アルキル基であると好ましい。このような基は、2−メチル−2−アダマンチル基より酸解離性が高くなる傾向がある。
より具体的には、R、Rは、それぞれ独立して、上記Rと同様の低級の直鎖状又は分岐状のアルキル基であることが好ましい。中でも、R、Rが共にメチル基である場合が工業的に好ましく、具体的には、2−(1−アダマンチル)−2−プロピル(メタ)アクリレートから誘導される構成単位を挙げることができる。
【0036】
前記Rは、tert−ブチル基やtert-アミル基のような第3級アルキル基であり、tert−ブチル基である場合が工業的に好ましい。
また、基−COORは、式中に示したテトラシクロドデカニル基の3または4の位置に結合していてよいが、これらは異性体が混合していることから結合位置を特定できない。また、(メタ)アクリレート構成単位のカルボキシル基残基も同様に8又は9に結合するが特定できない。
【0037】
上記(a2−1)単位は、樹脂を構成する全構成単位の合計に対して、好ましくは20〜60モル%、さらに30〜50モル%含有されていると、化学増幅型ホトレジストの樹脂として用いられた場合、解像性に優れ好ましい。
【0038】
(a2−2)単位:
(a2−2)単位は、疎水性脂肪族多環式基含有酸不解離性基を含有している。
かかる脂肪族多環式基としては、前記(a2−1)単位の場合の例示したものと同様のものを例示することができ、例えばArFエキシマレーザー用等のホトレジスト組成物の樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
特にトリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基から選ばれる少なくとも1種以上であると工業的入手容易性の観点から好ましい。
【0039】
(a2−2)単位として、具体的には、下記(VIII)〜(X)の構造のものを例示することができる。
【0040】
【化8】
Figure 0004087260
(式中、Rは水素原子またはメチル基である。)
【0041】
【化9】
Figure 0004087260
(式中、Rは水素原子またはメチル基である。)
【0042】
【化10】
Figure 0004087260
(式中、Rは水素原子またはメチル基である。)
【0043】
上記(a2−2)単位は、樹脂を構成する全構成単位の合計に対して、好ましくは1〜30モル%、さらに5〜20モル%含有されていると化学増幅型ホトレジストの樹脂として用いた場合、孤立パターンからセミデンスパターンの解像性に優れ好ましい。
【0044】
本発明の精製方法を好適に用いることができる樹脂としては、上記(a1)単位、(a2)単位以外の他の構成単位(a3)単位をさらに含むものであってもよい。
かかる(a3)単位は、上述の(a1)、(a2)単位に分類されない他の構成単位であれば特に限定されるものではない。例えば、水酸基含有脂肪族多環式基を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位等が好ましい。
脂肪族多環式基としては、前記構成単位(a1)の説明において例示したものと同様の多数の多環式基から適宜選択して用いることができる。
具体的に、構成単位(a3)としては、水酸基含有アダマンチル基や、カルボキシル基含有テトラシクロドデカニル基を有するものが好ましく用いられる。
さらに具体的には、下記一般式(XI)で表される構成単位を挙げることができる。前記(a3)単位として樹脂を構成する全構成単位の合計に対して、好ましくは5〜50モル%、好ましくは10〜40モル%含有されていると、化学増幅型ホトレジストの樹脂として用いた場合、レジストパターン形状に優れ好ましい。
【0045】
【化11】
Figure 0004087260
(式中、Rは水素原子又はメチル基であり、nは1〜3の整数である。)
【0046】
さらに、前記電子材料用粗樹脂には、アクリル酸エステル単位とメタアクリル酸エステル単位との2種類の単位があり、その組み合わせによって、アクリル酸エステル単位のみの樹脂、メタアクリル酸エステル単位のみの樹脂、或いは、これらの両方の単位を含む樹脂の3種類がある。
そして、本発明の精製方法は、特にメタアクリル酸エステルから誘導される構成単位のみからなる樹脂、アクリル酸エステルから誘導される構成単位を20〜70モル%の範囲で含有し、かつメタアクリル酸エステルから誘導される構成単位を30〜80モル%の範囲で含有する樹脂に対して、好適である。
さらに、後者のアクリル酸エステルから誘導される構成単位とメタアクリル酸エステルから誘導される構成単位を特定の割合で有する樹脂は、そのアクリル酸エステルから誘導される構成単位とメタアクリル酸エステルから誘導される構成単位の極性の差異により、極性の異なるオリゴマーや低分子量のポリマーの副性物が生じやすいが、そのような副生物をも本発明精製方法は好適に除去できることから好ましい。
【0047】
次に、上述のように本発明の製造方法により得られた電子材料用樹脂を用いて製造するのに適した化学増幅型ホトレジスト組成物について説明する。
かかる化学増幅型ホトレジスト組成物は、(A)樹脂成分(以下、(A)成分という。)と、(B)露光により酸を発生する酸発生剤成分(以下、(B)成分という。)と(C)有機溶剤(以下、(C)成分という。)とを含むものである。本発明の電子材料用樹脂がホトレジスト組成物用として用いられる場合は、前記(A)成分として用いられるアルカリ可溶性樹脂またはアルカリ可溶性となり得る樹脂である。前者の場合はいわゆるネガ型、後者の場合はいわゆるポジ型のホトレジスト組成物となる。
【0048】
ネガ型の場合、ホトレジスト組成物には、(B)成分とともに架橋剤が配合される。そして、レジストパターン形成時に、露光により(B)成分から酸が発生すると、かかる酸が架橋剤に作用し、前記(A)成分と架橋剤が架橋し、アルカリ不溶性となる。前記架橋剤としては、例えば、通常は、メラミン樹脂、尿素樹脂、グリコールウリル樹脂等のアミノ樹脂のような、メチロール基を有する化合物又はそのアルキルエーテル体などが用いられる。
ポジ型の場合は、(A)成分はいわゆる酸解離性溶解抑制基を有するアルカリ不溶性のものであり、露光により(B)成分から酸が発生すると、かかる酸が前記酸解離性溶解抑制基を解離させることにより、前記(A)成分がアルカリ可溶性となる。この場合、(a1)単位と(a2−1)単位と含むことが必要となる。
【0049】
(A)成分:
上述のような本発明の電子材料用樹脂の製造方法により得られる電子材料用樹脂を使用する。
なお、(A)成分の樹脂のGPCによるポリスチレン換算質量平均分子量は、特に限定するものではないが5000〜30000、さらに好ましくは8000〜20000とされる。
また、(A)成分は、1種または2種以上の樹脂から構成することができ、例えば上述の様な(メタ)アクリルエステルから誘導される単位を主成分とする樹脂を1種または2種以上用いてもよいし、さらに、他に従来公知のホトレジスト組成物用樹脂を混合して用いることもできる。
【0050】
(B)成分:
(B)成分としては、ポジ型、ネガ型共に従来化学増幅型レジストにおける酸発生剤として公知のものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。
例えば、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、(p−tert−ブチルフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロブタンスルホネート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネートなどのオニウム塩などを挙げることができる。これらのなかでもフッ素化アルキルスルホン酸イオンをアニオンとするオニウム塩が好ましい。
【0051】
この(B)成分は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。その配合量は、例えば(A)成分100質量部に対し、0.5〜30質量部とされる。
【0052】
(C)成分:
(C)成分としては、前記(A)成分と前記(B)成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種又は2種以上適宜選択して用いることができる。
具体的には、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、又はジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル又はモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類及びその誘導体;ジオキサンのような環式エーテル類;乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルピン酸メチル、ピルピン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類などを挙げることができる。これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
中でもプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、乳酸エチル(EL)などが好ましい。
(C)成分の量はホトレジスト組成物として用いるのに適した、基板等に塗布可能な濃度とされる。
【0053】
その他の成分:
ホトレジスト組成物には、さらに所望により他の成分を配合することができる。
例えば、レジストパターン形状、引き置き安定性等の向上のために、さらに任意の(D)成分として、アミン、特には第2級低級脂肪族アミンや第3級低級脂肪族アミンを含有させることができる。
ここで低級脂肪族アミンとは炭素数5以下のアルキルまたはアルキルアルコールのアミンを言い、この第2級や第3級アミンの例としては、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリぺンチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられるが、特にトリエタノールアミンのようなアルカノールアミンが好ましい。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのアミンは、(A)成分100質量部に対して通常0.01〜0.2質量部の範囲で用いられる。
【0054】
また、前記(D)成分と同様のレジストパターン形状、引き置き安定性等の向上の目的で、さらに任意の(E)成分として、有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体を含有させることができる。なお、(D)成分と(E)成分は併用することもできるし、いずれか1種を用いることもできる。
有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸若しくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ‐n‐ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸又はそれらのエステルのような誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸‐ジ‐n‐ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸及びそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸及びそれらのエステルのような誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。
(E)成分は、(A)成分100質量部当り0.01〜1.0質量部の割合で用いられる。
【0055】
また、ホトレジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤などを添加含有させることができる。
【0056】
化学増幅型ホトレジスト組成物の製造は、例えば、上記各成分を通常の方法で混合、攪拌するだけでよく、必要に応じディゾルバー、ホモジナイザー、3本ロールミルなどの分散機を用い分散、混合させてもよい。また、混合した後で、さらにメッシュ、メンブレンフィルターなどを用いてろ過してもよい。
【0057】
ArF用のポジ型ホトレジスト組成物においては、特に、前記(a1)単位及び(a2−1)単位を両方含む樹脂を用いることが必要であり、感度、解像性、レジストパターン形状の諸特性に優れることから、更に(a3)単位を、場合によりさらに(a2−2)単位を含んでいると好ましい。このように極性の異なるモノマーを重合させた樹脂を用いた場合、樹脂中に含まれる種々のモノマー、オリゴマー、その他の副生成物が、ホトレジスト組成物の経時安定性に悪影響を及ぼすと考えられる。従って、このようにして本発明の電子材料用樹脂を用いて製造した化学増幅型ホトレジスト組成物は、異物経時特性が良好であり、またレジストパターン形成時にディフェクトが生じにくいものである。
【0058】
異物経時特性としては、例えば液中パーティクルカウンター(Rion社製、製品名:パーティクルセンサー KS−41)を用いて、製造後室温で保存した後のホトレジスト組成物の異物経時特性を評価する。かかる装置は、1cm当たりの粒径0.2μm以上の粒子の数を数えるものである。測定限界は通常2万個/cm位以上である。
なお、通常、製造直後のホトレジスト組成物中の異物は約10個/cm以下に調整されている。そして、本発明を適用することにより、好ましくは半年経過後にも異物経時特性は製造直後と殆ど変わらない特性が得られる。
【0059】
また、かかるホトレジスト組成物を用いたレジストパターンは、常法によって形成することができる。
例えば、まずシリコンウェーハのような基板上に、上記ホトレジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、80〜150℃の温度条件下、プレベーク(露光前加熱処理)を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施し、これに例えば露光装置などにより、KrF、ArF、またはFエキシマレーザ光、あるいはExtreme UV(極端紫外線)、EB(電子線)またはX線等を所望のマスクパターンを介して選択的に露光または描画した後、80〜150℃の温度条件下、PEB(露光後加熱)処理を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。次いでこれをアルカリ現像液、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて現像処理する。このようにして、マスクパターンに忠実なレジストパターンを得ることができる。
なお、基板とレジスト組成物の塗布層との間には、有機系または無機系の反射防止膜を設けることもできる。
【0060】
レジストパターンのディフェクトは、例えばKLAテンコール社製の表面欠陥観察装置 KLA2132(製品名)によって、いわゆる表面欠陥の数として評価することができる。
【0061】
【実施例】
以下、本発明を実施例を示して詳しく説明する。
後述する実施例または比較例のホトレジスト組成物の諸物性は次のようにして求めた。
(1)異物経時特性
液中パーティクルカウンター(Rion社製、製品名:KS−41)を用いて、製造後室温で保存した後のホトレジスト組成物の異物経時特性を評価した。
測定限界は約2万個/cm位以上である。
また、製造直後のホトレジスト組成物中の異物は約10個/cm以下に調整した。
【0062】
(2)ディフェクト
調整したホトレジスト組成物(ポジ型)を、スピンナーを用いてシリコンウェーハ(直径200mm)上に塗布し、ホットプレート上で130℃、90秒間プレベーク(露光前加熱処理)し、乾燥することにより、膜厚350nmのレジスト層を形成した。
ついで、ArF露光装置NSR−S302(ニコン社製NA(開口数)=0.60,σ=0.75)により、ArFエキシマレーザ(193nm)を、マスクパターンを介して選択的に照射した。
そして、120℃、90秒間の条件でPEB処理し、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で、60秒間パドル現像し、その後20秒間水洗して乾燥し、250nmのラインアンドスペースパターンを形成した。
そして、ディフェクトを、KLAテンコール社製の表面欠陥観察装置 KLA2132(製品名)を用いて測定し、ウェーハ内の欠陥数を評価した。実施例、比較例において試験に用いたウェーハはそれぞれ3枚であり、その平均値を求めた。
【0063】
[実施例1]
以下のモノマー(1)〜(3):
(1)α―ガンマブチロラクトンメタクリレート 13.6g(40モル%)(構成単位(a1)に相当し、上記[化4]のRがメチル基である単位に相当するモノマー)、
(2)2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート 18.7g(40モル%)(構成単位(a2−1)に相当)、
(3)3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタアクリレート 9.44g(20モル%)(構成単位(a3)に相当)
を、テトラヒドロフラン400mlに溶解し、反応開始剤としてアゾビスイソブチロニトニル1.64gを加えて70℃で3時間重合反応を行った。
【0064】
重合反応終了後、反応液を4質量倍のメタノールに注加し、25℃で30分間撹拌して析出した固体をろ取した(第1回目の極性溶媒洗浄工程)。この固体を再度10質量倍のテトラヒドロフランに溶解した後4質量倍のiso−プロパノールに注加し、25℃で30分間撹拌して析出した粗樹脂をろ取した(第2回目の極性溶媒洗浄工程)。
上記で得られた粗樹脂30gを10質量倍のテトラヒフドロフランに溶解した後、4質量倍のn−ヘプタンを添加し、25℃で30分間撹拌して析出した樹脂をろ取して(疎水性溶媒洗浄工程)、電子材料用樹脂(A−1)を得た。(A−1)の質量平均分子量は、10000であった。
なお、極性溶媒から分取した成分を分析したところ、上記(1)と(2)と(3)とからなり、各単位のモル%が上記仕込みの割合から逸脱した分子量1500以下オリゴマーであり、(1)の単位が40モル%以上の親水性の高いオリゴマーであることがわかった。また、疎水性溶媒から分取した成分を分析したところ、上記(1)と(2)と(3)とからなり、各単位のモル%が上記仕込みの割合から逸脱した分子量1500以下オリゴマーであり、(2)の単位が40モル%以上の疎水性の高いオリゴマーであることがわかった。
【0065】
以下の(A)乃至(D)成分を混合、溶解して化学増幅型ホトレジスト組成物(ArFエキシマレーザ用、ポジ型)を製造した。
【0066】
(A)成分:上記で得られた(A−1) 100質量部
(B)成分:トリフェニルスルホニルノナフルオロブタンスルホネート 3.0質量部
(C)成分:PGMEAとプロピレングリコールモノメチルエーテルとの混合溶剤(質量比6:4) 800質量部
(D)成分:トリエタノールアミン 0.2質量部
【0067】
室温、2ヶ月後保存後のホトレジスト組成物の異物経時特性は、製造直後とほとんど変化がなかった。
パターン欠陥は、ウェーハ1枚につき平均5個以下であった。なお、ディフェクトはラインパターンの間が橋掛け状態になる、いわゆるブリッジタイプであることが側長SEM S−9220(日立製作所社製)により確認された。
【0068】
[実施例2]
実施例1において重合反応後の粗樹脂の精製において、第1回目の極性溶媒洗浄工程を、メタノールに対し3質量%のH2Oを加えたメタノールと水の混合溶媒に変え、第2回目の極性溶媒洗浄工程をイソプロピルアルコールに対してH2Oを3質量%加えたイソプロピルアルコールと水との混合溶媒に変え、さらにn−ヘプタンによる疎水性溶媒洗浄工程を行った以外は、同様にして、電子材料用樹脂(A'−1)を得た。
なお、極性溶媒及び疎水性溶媒から分取した成分をそれぞれ分析したところ、実施例1と同様の結果が得られた。
次いで、この(A'−1)を(A−1)の代わりに使用したこと以外は、実施例1と同様な組成の化学増幅型ホトレジスト組成物を製造した。
【0069】
室温、2ヶ月後保存後の該ホトレジスト組成物の異物経時特性は、製造直後とほとんど変化がなかった。
パターン欠陥は、ウェーハ1枚につき平均5個以下であった。なお、ディフェクトはラインパターンの間が橋掛け状態になる、いわゆるブリッジタイプであることが側長SEM S−9220(日立製作所社製)により確認された。
【0070】
[比較例1]
実施例1において重合反応後の粗樹脂の精製を、メタノールを用いて1回(第1回目の極性溶媒洗浄工程)、iso−プロパノールを用いて1回(第2回目の極性溶媒洗浄工程)、およびヘプタンを用いて1回(疎水性溶媒洗浄工程)行っていたところを、本比較例においては、疎水性溶媒洗浄工程を行なわず、メタノールを用いて1回、およびiso−プロパノールを用いて3回行った。上記洗浄工程以外は実施例1と同様にして、精製し、電子材料用樹脂(A’’−1)を得た。次いで、この(A’’−1)を(A−1)の代わりに使用したこと以外は、実施例1と同様にしてホトレジスト組成物を製造した。
【0071】
その結果、室温、1週間後のホトレジスト組成物の異物経時特性は、測定限界を超えており、測定できなかった。
ディフェクトは、ウェーハ1枚につき平均約60000個であった。なお、ディフェクトはラインパターンの間が橋掛け状態になる、いわゆるブリッジタイプであることが、前記測長SEM装置により確認された。
【0072】
[比較例2]
実施例1において、重合反応後の粗樹脂の精製を、極性溶媒洗浄工程を行なわず、すべてn−ヘプタンの疎水性溶媒洗浄工程を2回に変えた以外は、同様にして、精製し、電子材料用樹脂(A’’’−1)を得た。次いで、この(A’’’−1)を(A−1)の代わりに使用したこと以外は、実施例1と同様にしてホトレジスト組成物を製造した。
その結果、室温、1週間後のホトレジスト組成物の異物経時特性は、測定限界を超えており、測定できなかった。
ディフェクトは、ウェーハ1枚につき平均約60000個であった。なお、ディフェクトはラインパターンの間が橋掛け状態になる、いわゆるブリッジタイプであることが、前記測長SEM装置により確認された。
【0073】
上記実施例および比較例の結果より、本発明にかかる実施例においては、極性溶媒を用いる洗浄工程と疎水性溶媒を用いる洗浄工程とを併用することにより、従来の方法で用いた場合からは想定できないほど、粗樹脂中の副生物を除去する効果が飛躍的に向上し、その結果、該樹脂を用いて調製したホトレジスト組成物の異物経時特性が著しく向上することが明らかとなった。そして、レジストパターン形成時のディフェクトも著しく低減できることが確認できた。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、電子材料用粗樹脂中に含まれるオリゴマー等の副生物を効果的に除去して電子材料用樹脂を製造する方法、該製造方法により得られる電子材料用樹脂及び該電子材料用樹脂を用いた化学増幅型ホトレジスト組成物の製造方法等を提供することができる。

Claims (10)

  1. (a1)親水性部を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位と、(a2)疎水性基を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位とを有する電子材料用粗樹脂の精製方法であって、
    前記(a1)単位における親水性部位はラクトン単位であり、前記(a2)単位における疎水性基は炭素数6以上の鎖状または環状の炭化水素基であり、
    前記電子材料用粗樹脂を、(b1)極性溶媒を用いて洗浄する工程と、(b2)疎水性溶媒を用いて洗浄する工程とを設けることとし、
    前記極性溶媒が炭素数1〜4のアルコール又は炭素数1〜4のアルコールと水との混合溶媒であり、前記疎水性溶媒が炭素数5〜11の脂肪族炭化水素であることを特徴とする電子材料用粗樹脂の精製方法。
  2. 前記電子材料用粗樹脂は、化学増幅型ホトレジスト組成物を調製するために用いられる樹脂であることを特徴とする請求項1記載の電子材料用粗樹脂の精製方法。
  3. 前記電子材料用粗樹脂は、前記(a1)単位を20モル%以上含有することを特徴とする請求項1または2記載の電子材料用粗樹脂の精製方法。
  4. 前記(a2)単位における疎水性基は、脂肪族環状多環式炭化水素基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子材料用粗樹脂の精製方法。
  5. 前記電子材料用粗樹脂は、前記(a1)単位20〜60モル%と、前記(a2)単位5〜50モル%とを有する樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子材料用粗樹脂の精製方法。
  6. 前記電子材料用粗樹脂は、メタアクリル酸エステルから誘導される構成単位のみからなる樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電子材料用粗樹脂の精製方法。
  7. 前記電子材料用粗樹脂は、アクリル酸エステルから誘導される構成単位を20〜70モル%の範囲で含有し、かつメタアクリル酸エステルから誘導される構成単位を30〜80モル%の範囲で含有する樹脂であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の電子材料用粗樹脂の精製方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の精製方法により得られる電子材料用樹脂。
  9. 請求項8に記載の電子材料用樹脂を用いることを特徴とする化学増幅型ホトレジスト組成物の製造方法。
  10. 請求項8に記載の電子材料用樹脂を用いることを特徴とする化学増幅型ホトレジスト組成物。
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