JP4086655B2 - トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真法、静電記録法、静電印刷法、トナージェット法の如き画像形成方法に用いられるトナーの製造方法に関する。特に非磁性一成分現像システムに用いられるカラートナーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真法は、様々な手段により感光体上に帯電した後、電気的な潜像を形成し、次いで前記潜像にトナーを現像し、紙の如き転写材にトナー像を転写した後、加熱、圧力、加熱加圧或いは溶剤蒸気により定着し、トナー画像を得るものである(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
このような装置は、事務処理用複写機だけでなく、コンピューターの出力としてのプリンターあるいは個人向けのパーソナルコピーという分野で頻繁に使用されている。
【0004】
近年カラープリンターの普及率は向上し、その中でも、高画質、省スペース化、メンテナンス性、低コスト、マテリアル対応の観点から接触一成分現像が注目されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
これら背景から、ユーザーは従来以上に初期と変わらぬカラー画像を要求しており、高信頼性はマシン開発にとって必要不可欠である。
【0006】
前記高信頼性のひとつに、低印字画像比率でのプリントにおけるトナー劣化起因による色味変動や画像不均一性が挙げられる。 このトナー劣化を防ぐ工夫としては、トナー製造方法、トナー処方、現像器構成など様々なことがなされている。
【0007】
トナー製造方法に着目すれば、粉末状のシリカを機械的な衝撃手段によってトナー粒子表面に固定化した後、さらに前記粉末状のシリカより少ない量のシリカを外添されることで、トナー劣化が少なく、良好な流動性、画像濃度、及び高温高湿環境下での多数枚連続プリントしても良好な画像を示すものがある(例えば、特許文献2参照。)。
【0008】
このようなトナー製造方法をさらに改善し、ユーザーの使用頻度の高い、低印字画像比率プリントでのトナー劣化においても良好な画像特性を満足するトナー製造方法が待望されている。
【0009】
また、トナー粒子(A)表面にBET比表面積の小さい微粒子(C)を表面処理した後、前記微粒子よりもBET比表面積の大きい微粒子(B)を表面処理し、さらに着色微粒子(A)の帯電量>微粒子(C)表面処理後の帯電量>微粒子(C)及び(B)表面処理後の帯電量をこのような関係に保つことで、トナーがストレスを受けても外添剤の埋まりや脱落を少なくする方法がある(例えば、特許文献3参照。)。
【0010】
しかしながら、これらの方法は、トナー劣化抑制の方向性は示しているものの、低印字プリントにおけるカラー画像に対する効果については明確化されていない。 また、接触現像システムにおいてトナー劣化に厳しい低温低湿環境下でのクリーニング不良への効果も明確化されていない。さらに微粒子の脱離を前提にしていることから、感光体上に帯電する帯電部材への汚染が大きいことが懸念される。
【0011】
【特許文献1】
特開2000−315020号報
【特許文献2】
特公平8−12478号報
【特許文献3】
特開平11−143117号報
【非特許文献1】
電子写真学会編 電子写真技術の基礎と応用」株式会社コロナ社 昭和63年6月15日、P46から79
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述の如き問題点を解決したトナーの製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討の結果、少なくとも結着樹脂と着色剤と離型剤とを含有するトナー粒子と、前記トナー粒子表面にシリカが存在するトナーの製造方法において、前記トナー粒子にシリカが外添される工程を2段以上にし、第1段階目に投入するシリカと最終段階に投入するシリカとの投入量及び個数平均粒径の最適化、さらに外添による各段階の粒子BET比表面積の変化率を所定範囲内にコントロールするトナー製造方法を確立したことによって、上記課題を解決することを見出し、本発明の完成に至った。
【0014】
すなわち、本発明は、少なくとも結着樹脂と着色剤と離型剤とを含有するトナー粒子と、前記トナー粒子に少なくともシリカが外添されているトナーの製造方法において、
前記トナー粒子に前記シリカが外添される工程が2段以上あり、第1段階目に投入するシリカと最終段階に投入するシリカとは下記
第1段階目に投入するシリカ量<最終段階に投入するシリカ量
第1段階目に投入するシリカの個数平均粒径>最終段階に投入するシリカの個数平均粒径
を満足しており、
最終段階に投入するシリカ量は、前記トナー粒子100質量部に対して、0.5から2.5質量部であり、
シリカの外添工程において、下記式
【0015】
【数1】
86%≦第1段階目後の粒子BET変化率(I)≦100%
50%≦最終段階後の粒子BET変化率(II)≦95%
[式中、
A1はトナー粒子のBET値(m2/g)を示し、
A2はトナー粒子の投入量(g)を示し、
X(n)は第n段階目に投入する無機微粉末のBET値(m2/g)を示し、
Y(n)は第n段階目に投入する無機微粉末の投入量(g)を示し、
第x段階目を最終段階とする。]
で示されるBET比表面積の変化率を満足することを特徴とするトナーの製造方法に関する。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法によるトナーは、非磁性一成分のカラートナー画像を形成するのに適しており、特に接触一成分現像システムに用いられることが好ましい。
【0017】
ここで、接触一成分現像システムに関して、簡単に説明する。
【0018】
図1は本発明に適用される現像装置の具体例である。
【0019】
図1において、現像装置13は、一成分現像剤として非磁性トナー17を収容した現像剤容器23と、現像剤容器23内の長手方向に延在する開口部に位置し潜像担持体(感光ドラム)10と対向設置されたトナー担持体14とを備え、感光体10上の静電潜像を現像して可視化するようになっている。感光体接触帯電部材11は感光体10に当接している。
【0020】
トナー担持体14は、上記開口部にて図に示す右略半周面を現像容器23内に突入し、左略半周面を現像剤容器23外に露出して横設されている。この現像容器23外へ露出した面は、図1のように現像装置13の図中左方に位置する感光体10に当接している。
【0021】
トナー担持体14は矢印B方向に回転駆動され、またその表面は、トナー17との摺擦確率を高くし、かつ、トナー17の搬送を良好に行うための適度な凹凸を有している。
【0022】
トナー担持体14の上方位置には、SUS等の金属板や、ウレタン、シリコーン等のゴム材料または、バネ弾性を有するSUSまたはリン青銅の金属薄板を基体とし、トナー担持体14への当接面側にゴム材料を接着したもの等からなる規制部材16が、ブレード支持板金24に支持され、自由端側の先端近傍をトナー担持体14の外周面に面接触にて当接するように設けられており、その当接方向としては、当接部に対して先端側がトナー担持体14の回転方向上流側に位置するいわゆるカウンター方向になっている。
【0023】
弾性ローラー15は、トナー規制部材16のトナー担持体14表面との当接部に対しトナー担持体14の回転方向上流側に当接され、かつ回転可能に支持されている。この構造としては、発泡骨格状スポンジ構造や芯金上にレーヨン、ナイロン等の繊維を植毛したファーブラシ構造のものが、トナー担持体14へのトナー17の供給および未現像トナーの剥ぎ取りの点から好ましい。
【0024】
トナー帯電ローラー29はNBR、シリコーンゴム等の弾性体であり、抑圧部材30に取り付けられている。そして抑圧部材30により、トナー帯電ローラー29のトナー担持体14への当接した。トナー帯電ローラー29の当接により、トナー担持体14上のトナー層は細密充填され均一コートされる。規制部材16とトナー帯電ローラー29の長手位置関係は、トナー帯電ローラー29がトナー担持体14上の規制部材16当接全域を確実に覆うことができるように配置されるのが好ましい。
【0025】
またトナー帯電ローラー29の駆動については、トナー担持体14との間は従動または同周速が必須であり、トナー帯電ローラー29、トナー担持体14間に周速差が生じるとトナーコートが不均一になり、画像上にムラが発生するため好ましくない。
【0026】
トナー帯電ローラー29のバイアスは、電源27によってトナー担持体14と感光体10の両者間に直流で(図1の27)印加されており、トナー担持体14上のトナー17はトナー帯電ローラー29より、放電によって電荷付与を受ける。
【0027】
トナー帯電ローラー29による帯電付与を受けた後、トナー担持体14上に薄層形成されたトナー層は、一様に感光体10との対向部である現像部へ搬送される。
【0028】
この現像部において、トナー担持体14上に薄層形成されたトナー層は、図1に示すように、電源27によってトナー担持体14と感光体10の両者間に印加された直流バイアスによって、感光体10上の静電潜像にトナー像として現像される。
【0029】
なお、以上は現像方法および画像形成装置本体に着脱可能な現像装置からなるプロセスカートリッジに適用した場合について説明したが、画像形成装置本体内に固定され、トナーのみを補給するような構成の現像装置に適用してもよい。また、少なくとも上記現像装置を備え、必要に応じ感光体、クリーニングブレード、廃トナー収容容器、帯電装置の全てを、あるいはいくつかを一体で形成し画像形成装置本体に対し着脱可能なプロセスカートリッジに適用してもよい。
【0030】
更に、ブレード状のクリーニング部材を感光体に圧接配置するなどして転写されずに感光体上に残留したトナーをクリーニングする工程が存在する場合、クリーニング工程の前段階においてはクリーニングを容易にするために感光体表面を除電する除電工程を付加することが望ましい。
【0031】
前記接触一成分現像システムにおいて、前記作用効果を得るために本発明は、少なくとも結着樹脂と着色剤と離型剤とを含有するトナー粒子と、前記トナー粒子表面にシリカが存在するトナーの製造方法において、前記トナー粒子にシリカが外添される工程を2段以上にし、第1段階目に投入するシリカと最終段階に投入するシリカとの投入量及び個数平均粒径の最適化をし、さらに外添による各段階の粒子BET比表面積の変化率を所定範囲内にコントロールすることを特徴とした。
【0032】
まず、本発明の課題である低温低湿環境下での低印字プリントにおけるトナー劣化起因の色味変動、クリーニング不良、及び感光体接触帯電部材への汚染のメカニズムについて本発明者らは以下のように考えている。
【0033】
本発明の低印字プリントとは、画像比率3%以下印字のことである。
【0034】
前記低印字プリントにおいて画像出力を行なうと、トナー担持体上にコートされたトナーは一部現像されるものの多くがトナー担持体上に残留し、弾性ローラーと接触した後、再び次の現像サイクルに入る。
【0035】
例えば、画像比率が20%を超えるような高印字プリントの場合には、現像されるトナー量も多く、弾性ローラ−に戻ってくるトナー担持体上のトナー量が少ないことから、弾性ローラーにおけるトナー書き取り及び供給がし易く、連続したプリントにてトナー担持体上で同じトナーが連れまわることが少ない。
【0036】
一方、低印字プリントにおいては、その逆で弾性ローラ−に戻ってくるトナー担持体上のトナー量が多いことから弾性ローラーにおけるトナー書き取り及び供給し難く、トナーが連れまわることが多いことが考えられる。このことは、現像器内でのトナーの入れ替わりが不十分であることを意味し、その結果、弾性ローラーとトナー担持体間でのトナー劣化や、トナー担持体と規制部材間でのトナー劣化を促進させ易くする。外添剤の遊離や埋没、さらにトナー自身の変形が起こると、現像性はプリント枚数が多くなるに連れて劣り、特にカラー画像においては画像が不均一になる。こうして、初期画像からの色味変動が発生すると本発明者らは考察した。
【0037】
さらに、上記現象は低温低湿環境下において顕著である。その理由として前記環境下にて連続プリントした場合、トナーのチャージアップによるトナーパッキングが起こりやすいためと思われる。さらに、トナー担持体が弾性体の場合、低温での硬度アップも加味され、より一層トナー劣化は促進される。
【0038】
また、感光体上の転写残トナーを書き取る機能として、クリーニングブレードを用いるシステムにおいては、前記ブレードに一般的に用いられるゴム材質は低温低湿環境下で剛性が高まる。その結果、感光体上の残トナーの回収効率が低下してしまい、クリーニング不良が発生しやすくなる。このことは、前記環境下でプリンタを長時間休止させた後にプリントを再開させる時に最も発生しやすい。
【0039】
トナー劣化やクリーニング不良を抑制させるために、流動性付与の目的で用いられる外添剤よりも粒径の大きな外添剤が用いられることが知られている。この外添剤はスペーサー粒子として作用する。しかしながらこの大きめな粒径の外添剤は、トナー粒子への付着性が低く、脱離し易い傾向にある。そのため、トナー消費率の少ない低印字プリントを実施するとプリント枚数が増すにつれて、脱離外添剤が、感光体上へ付着し、さらに前記現象が進行すると、感光体接触帯電部材をも汚染し、帯電不良の画質になったり、感光体接触帯電部材がローラー形状の場合には、ローラー周期での画像欠陥が発生してしまう。
【0040】
そこで、本発明者らは鋭意検討の結果、少なくとも、第1段階目に投入するシリカ量、最終段階に投入するシリカ量、第1段階目のシリカの個数平均粒径、最終段階のシリカの個数平均粒径、第1段階目後の粒子BET変化率(I)、最終段階後の粒子BET変化率(II)、さらには、離型剤のDSCピーク、離型剤の構造、離型剤の添加量、トナーの体積平均粒径、トナーの体積平均粒径10.1μm以上の値、トナーの個数平均粒径、トナーの個数平均粒径5.04μm以下の値、トナーの平均円形度、シリカ表面処理種類などを特定の物性、物質に限定することで、本発明の課題である低温低湿環境下での低印字プリントにおけるトナー劣化、クリーニング不良、及び感光体接触帯電部材への汚染を抑制させることができることを見出した。
【0041】
本発明の第1段階目に投入するシリカの個数平均粒径は10から150nmであることを特徴とする。
【0042】
この第1段階目のシリカの個数平均粒径はより好ましくは、15から150nmであり、さらにこの好ましくは15から70nmである。この個数平均粒径が10nm未満の場合には、スペーサ−粒子としての効果が低く、トナー劣化抑制が不十分である。また、この個数平均粒径が150nmを超える場合には、トナー粒子表面への付着強度が低下し、プリント枚数が増すにつれて、感光体や感光体接触帯電部材を汚染し易くなる。
【0043】
本発明の最終段階に投入するシリカの個数平均粒径は4から20nmであることを特徴とする。
【0044】
この最終段階のシリカの個数平均粒径はより好ましくは5から15nmであり、さらに好ましく、5から10nmである。この個数平均粒径が4nm未満の場合には、流動性は高いものの、連続プリントにおいてトナー劣化が促進され易く、本発明の効果が発現されにくい。また、この個数平均粒径が20nmを超える場合には、トナーへの流動性付与能が低いために、多量添加しなくてならず、定着性が悪化してしまう。
【0045】
本発明の外添工程における第1段階目に投入するシリカ量は、前記トナー粒子100質量部に対する添加量が0.01から1.2質量部であることを特徴とする。この第1段階目に投入するシリカ量は好ましくは、0.01から1.0質量部であり、さらに好ましくは0.01から0.8質量部である。このシリカ量が0.01質量部未満の場合には、添加量が少なすぎて、トナー劣化抑制が出来ない。また、このシリカ量が1.2質量部を超える場合には、最終段階に投入するシリカがトナー表面に均一に外添しにくく、ダマを形成しやすく、本発明の効果が出る流動性を得ることが出来ない。
【0046】
本発明の外添工程における最終段階に投入するシリカ量は、前記トナー粒子100質量部に対する添加量が0.5から2.5質量部であることを特徴とする。この最終段階に投入するシリカ量は好ましくは、0.7から2.0質量部であり、さらに好ましくは0.9から1.8質量部である。このシリカ量が0.5質量部未満の場合には、所望のトナー流動性が得られず、画像均一性が悪い。また、このシリカ量が2.5質量部を超える場合には、トナーの熱伝導性が悪くなるため、特に低温低湿環境下での定着性が悪化してしまう。
【0047】
本発明は、第1段階目に投入するシリカ量より、最終段階に投入するシリカ量の方が多いことを特徴とする。第1段階目に投入するシリカ量の方が大きい場合には、トナー粒子表面が外添剤にて覆われてしまい、次段階に投入するシリカがトナー表面に外添しにくくなり、その結果、外添剤遊離が促進し感光体や帯電部材汚染を生じてしまう。
【0048】
また、第1段階目の外添時のトータル回転数よりも最終段階の外添時トータル回転数の方が大きいことが好ましい。第1段階目の外添時のトータル回転数が大きいと、前記現象が生じてしまう。
【0049】
なお、トータル回転数とは、1分あたりの回転数に回転時間をかけた数値とする。
【0050】
第1段階目に投入するシリカのBETは、2〜80m2/gであることを特徴とする。このBETはより好ましくは3〜60m2/gである。さらに好ましくは、3〜50m2/gである。第1段階目に投入するシリカのBETが2m2/g未満の場合には、トナー粒子表面への外添が不均一となり、外添剤遊離が促進し感光体や帯電部材汚染を生じてしまう。80m2/gを超える場合には、外添剤としてスペーサー効果が小さくなり、連続プリントにおけるトナー劣化を抑制しにくくなる。
【0051】
最終段階に投入するシリカのBETは、80〜150m2/gであることを特徴とする。このBETはより好ましくは100〜150m2/gである。第1段階目に投入するシリカのBETが80m2/g未満の場合には、本本発明の効果を発揮するだけの流動性が得られない。150m2/gを超える場合には、一般的にトナー粒径が小さく、トナー表面への埋め込みが早く、本発明の効果が発現できない。
【0052】
本発明の第1段階目後の粒子BET変化率(I)は、86〜100%であることを特徴とする。このBET変化率(I)はより好ましくは90〜100%である。さらに好ましくは、92〜100%である。このBET変化率(I)が86%未満の場合には、第1段階目において外添剤がトナー粒子に埋没していることを意味し、本発明の望む効果が得られない。
【0053】
本発明の最終段階後の粒子BET変化率(II)は50〜95%であることを特徴とする。このBET変化率(II)はより好ましくは60〜90であり、さらに好ましくは65〜85%である。このBET変化率(II)が50%未満の場合には、外添剤がトナー粒子に埋没していることを意味し、初期のプリントから、がさついた画像が得られてしまう。また、このBET変化率(I)が95%を超える場合には、流動性付与剤の作用をするシリカが連続プリントで脱離しやすい系であるため、プリント枚数が多くなるにつれて感光体帯電部材汚染が進み、帯電不均一画像が得られてしまう。
【0054】
本発明のトナーの重量平均粒径(D4)は4.0〜10.0μmであることを特徴とする。このD4はより好ましくは5.0〜9.0μmである。この重量平均粒径(D4)が4.0μm未満の場合には、時に低温低湿環境下でトナー自体の帯電量が高くなり、感光体上へのトナー吸着力が増し、クリーニングがし難くなってしまう。また、この重量平均粒径(D4)が10.0μmを超える場合には、ドット再現性が忠実な画像が得られにくく、高画質が得られない。
【0055】
本発明におけるトナーの体積分布の10.1μm以上は5.0%以下であることを特徴とする。この10.1μm以上はより好ましくは、3.0%以下である。この10.1μm以上の値が5.0%を超える場合は、トナー粗粉が多いことを意味し、現像器内のトナー残量が少なくなった時に帯電不十分なトナーがトナー坦持体に均一コートされず、機内汚れを起してしまう。
【0056】
本発明のトナーの個数平均粒径(D1)は3.0〜9.0μmであることを特徴とする。このD1はより好ましくは4.0〜8.5μmである。この個数平均粒径(D1)が3.0μm未満の場合、9.0μmを超える場合には、体積平均粒径(D4)の時と同じ傾向を示す。
【0057】
本発明におけるトナーの個数分布の5.04μm以下は40%以下であることを特徴とする。この5.04μm以下はより好ましく、35%以下である。さらに好ましくは30%以下である。この5.04μm以下の値が40%を超える場合には、感光体上へのトナー吸着力が増し、クリーニングが著しく悪化してしまう。
【0058】
本発明のトナーの平均円形度は、0.955から0.995であることを特徴とする。この平均円形度はより好ましくは0.960から0.995であり、さらに好ましくは0.970から0.995である。この平均円形度が0.955未満の場合には、低温低湿環境下のプリントにおいて、高転写性を維持するために、多量の外添剤添加が求められ、部材汚染や定着性悪化が起こる。平均円形度が0.995を超える場合には、生産上の収率が悪化したり、クリーニング不良が発生しやすくなってしまう。
【0059】
前記第1段階目に投入するシリカ及び最終段階に投入するシリカは、いずれも疎水化処理されていることを特徴とする。より好ましくは、疎水化剤としてはシランカップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、ジルコアルミニウム系カップリング剤、シリコーンオイルなどで処理されていることが望まれる。さらに好ましくはオイル処理されていることである。
【0060】
本発明のシリカの疎水化度は、90%以上であることを特徴とする。より好ましくは95%以上である。疎水化度が90%未満の場合には、高湿下でのシリカ微粉体の水分吸着により高品位の画像が得られなくなる。
【0061】
本発明の離型剤のDSCピークは、50℃〜100℃であることを特徴とする。このピークは好ましくは55℃〜85℃である。DSCピークが50℃未満の場合には離型剤の可塑効果でバインダーの剤劣化がし易くなり、本発明の効果は発現できない。また、DSCピークが100℃を超える場合には、結着樹脂中に微分散しにくいことから、着色剤の分散も阻害し、初期画像から発色性のある色域の広い画像が得にくい。
【0062】
本発明の離型剤は1分子中にエステル基を1〜4個有する構造式のエステルワックスであることを特徴とする。好ましくは、下記(I)から(V)に属するエステルワックスである。
【0063】
【化1】
(式中、a及びbは0〜4の整数であり、a+bは4である。R1及びR2は炭素数が1〜40の有機基である。m及びnは0〜40の整数であり、mとnは同時に0になることはない。)
【0064】
【化2】
(式中、a及びbは0〜3の整数であり、a+bは1〜3である。R1及びR2は炭素数が1〜40の有機基である。R3は水素原子または炭素数が1以上の有機基である。kは1〜3の整数であり、a+b+k=4である。m及びnは0〜40の整数であり、mとnが同時に0になることはない。)
【0065】
【化3】
(式中、R1及びR3は炭素数1〜40の有機基であり、R1とR3は同じものであっても異なっていても良い。R2は炭素数1〜40の有機基を示す。)
【0066】
【化4】
(式中、R1及びR3は炭素数1〜40の有機基であり、R1とR3は同じものであってもなくてもよい。R2は炭素数1〜40の有機基を示す。)
【0067】
【化5】
(式中、aは0〜4の整数であり、bは1〜4の整数であり、a+bは4である。R1は炭素数1〜40の有機基である。m及びnは0〜40の整数であり、mとnが同時に0になることはない)
【0068】
エステル基を有するワックスは透明性に優れている。このことは本来着色剤の有する色味を忠実に再現できることを意味する。なかでも前記構造のエステルワックスは透明性に優れていることから、本発明の効果を発現することが出来る。
【0069】
以下に具体的に例示するが、これに限られるものではない。
【0070】
【化6】
【0071】
【化7】
【0072】
本発明の離型剤は、結着樹脂100質量部に対する添加量が3〜30質量部であることを特徴とする。
【0073】
この添加量はより好ましくは5〜20質量部である。この添加量が3質量部未満の場合には、耐高温オフセット性が弱く、2次色(レッド、グリーン、ブルー)などの時にカラー画像表面が荒れ易く、色味変動が大きい。また、30質量部を超える場合には、離型剤のトナー表面へのしみ出しがしやすくなり、弾性体の材質の部材を使用した低温低湿環境下では、トナー劣化が促進し易い。
【0074】
トナー粒子のBET値は0.7から7.0m2/gであることを特徴とする。このBET値はより好ましくは、0.8〜3.0m2/gである。さらに好ましくは、0.8〜2.0m2/gである。BET値が0.7未満の場合には、トナー粒子径が大きい場合が多く、ドット再現性が忠実な画像がえられにく、高画質が得られない。
【0075】
また、BET値が7.0を超える場合には、トナー粒子径が小さい場合が多く、感光体上へのトナー吸着力が増し、クリーニングがし難くなってしまう。もしくはトナー粒子表面凹凸が大きく、流動性を付与させる外添剤が均一に外添させにくい。
【0076】
以下に本発明におけるトナー物性測定方法を説明する。
【0077】
本発明で用いられる離型剤のDSCピークとは、DSC吸熱曲線における吸熱ピーク値であり、ASTM D3418−82に準拠して測定される。
【0078】
本発明で用いられるシリカを含めた外添剤の個数平均粒径は、任意の方法で求めることが可能である。一例を挙げると、トナー表面を電子顕微鏡にて撮影し、得られた画像から外添剤の粒径を測定し、個数平均粒径を求める。測定数は、20個以上とする。なお、外添剤の判断は、電子線励起X線元素分析により、定性分析する。
【0079】
本発明で用いられるBET比表面積の測定方法は、脱ガス装置バキュプレップ061(マイクロメソティック社製)およびBET測定装置ジェミニ2375(マイクロメソティック社製)を用いて測定を行う。サンプル調製手順であるが、まず、空のサンプルセルの質量を測定した後、測定試料を2〜3gの間に入るように充填し、脱ガス装置に、試料が充填されたサンプルセルをセットし、室温で3時間以上脱ガスを行う。脱ガス終了後、サンプルセル全体の質量を測定し、空サンプルセルとの差から試料の正確な質量を算出する。BET比表面積の測定手順を説明する。まず、BET測定装置のバランスポートおよび分析ポートに空のサンプルセルをセットする。次に、所定の位置に液体窒素の入ったデュワー瓶をセットし、飽和蒸気圧(P0)測定コマンドにより、P0を測定する。P0測定終了後、分析ポートに調製されたサンプルセルをセットし、サンプル質量およびP0を入力後、BET測定コマンドにより測定を開始する。後は自動でBET比表面積が算出される。
【0080】
本発明における重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)は、コールター法による粒度分布解析にて測定される。測定装置としては、コールターカウンターTA−II或いはコールターマルチサイザーII(コールター社製)を用いる。電解液は、1級塩化ナトリウムを用いて、約1%NaCl水溶液を調製する。例えば、ISOTON−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定方法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として、界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を、0.1〜5ml加え、さらに測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナーの体積及び個数を各チヤンネルに測定して、トナーの体積分布と個数分布とを算出する。それから、トナーの個数分布から求めた個数平均粒径(D1)と、トナーの体積分布から求めた重量基準のトナーの重量平均粒径(D4)(各チャンネルの中央値をチャンネル毎の代表値とする)を求める。
【0081】
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm;2.52〜3.17μm;3.17〜4.00μm;4.00〜5.04μm;5.04〜6.35μm;6.35〜8.00μm;8.00〜10.08μm;10.08〜12.70μm;12.70〜16.00μm;16.00〜20.20μm;20.20〜25.40μm;25.40〜32.00μm;32.00〜40.30μmの13チャンネルを用いる。
【0082】
本発明におけるトナーの円形度とは、トナーの形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明ではフロー式粒子像測定装置FPIA−1000型(東亜医用電子社製)を用いて測定を行い、下記式を用いて算出した。
【0083】
【数3】
【0084】
ここで、「粒子投影面積」とは二値化されたトナー像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは該トナー像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さと定義する。
【0085】
本発明における円形度はトナーの凹凸の度合いを示す指標であり、トナーが完全な球形の場合には1.000を示し、表面形状が複雑になる程、円形度は小さな値となる。円形度の頻度分布の平均値を意味する平均円形度Cは、粒度分布の分割点iでの円形度(中心値)をci、頻度をfciとすると、次式から算出される。
【0086】
【数4】
【0087】
具体的な測定方法としては、予め不純固形物などを除去したイオン交換水10mlを容器中に用意し、その中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を加えた後、更に測定試料0.02gを加え、均一に分散させる。分散手段としては、超音波分散機UH−50型(エスエムテー社製)に振動子としてφ5mmのチタン合金チップを装着したものを用い、5分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、該分散液の温度が40度以上にならないように適宜冷却する。
【0088】
トナーの形状測定には、フロー式粒子像測定装置「FPIA−1000型」(東亜医用電子社製)を用い、測定時のトナー濃度が3000〜1万個/μlとなるように該分散液濃度を再調整し、トナーを1000個以上計測し、円相当径分布に基づく数及び規定された円相当径を有する粒子の割合(個数%)を測定できる。結果(頻度%及び累積%)は、表1に示す通り、粒径0.06〜400μmの範囲を226チャンネル(1オクターブに対し30チャンネルに分割)に分割して得ることができる。計測後、このデータを用いてトナーの円形度頻度分布等を求める。
【0089】
【表1】
【0090】
次に本発明のトナー製造方法を以下に示す。
【0091】
本発明のトナー粒子表面にシリカを処理する方法としては、任意の方法で構わない。たとえば、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサーなどが挙げられる。
【0092】
次に本発明のトナー粒子について詳述する。
【0093】
本発明のトナーが粉砕法により製造されたトナーである場合には、少なくとも結着樹脂、着色剤を、加圧ニーダーやエクストルーダー、或いはメディア分散機等を用いて混練、均一に分散させた後、機械的又はジェット気流下でターゲットに衝突させて所望のトナー粒径に微粉砕化させ、更に分級工程を経た後、機械的手段を用いて所望の円形度を有するトナー粒子とする。さらに、前記微粉砕化されたトナー粒子を湿式あるいは乾式の熱球形化処理しても構わない。このようにして得られたトナー粒子は、公知の方法を用いて無機微粉末を混合・外添させ、本発明のトナーとする。
【0094】
本発明のトナーが重合法により製造されたトナーである場合には、特に制約を受けるものではないが、特開昭59−61842号公報等に述べられている懸濁重合法を用いて直接トナー粒子を生成する方法;単量体には可溶で水溶性重合開始剤の存在下で直接重合させてトナー粒子を生成するソープフリー重合法に代表される、乳化重合法によるトナー粒子の製造が挙げられる。また、マイクロカプセル製法のような界面重合法、in−situ重合法、コアセルベーション法などによる製造も挙げられる。さらに、特開昭63−186253号公報、特開平9−114125号公報等に開示されている様な、少なくとも1種以上の微粒子を凝集させ所望の粒径のものを得る界面会合法なども挙げられる。
【0095】
前記各重合法の中でも、小粒径のトナー粒子が容易に得られる懸濁重合方法が特に好ましい。さらに一旦得られた重合粒子に更に単量体を吸着させた後、重合開始剤を用い重合させるシード重合方法も本発明に好適に利用することができる。このとき、吸着せしめる単量体中に、極性を有する化合物を分散あるいは溶解させて使用することも可能である。
【0096】
懸濁重合方法においては、水系媒体中で主要単量体よりも離型剤の極性を小さく設定し、極性樹脂を添加せしめて重合性単量体を重合させることで、離型剤を極性樹脂及び結着樹脂で被覆したコアーシェル構造を有するトナーを得る方法が挙げられる。
【0097】
離型剤をトナー内に良好に内包化することにより、比較的多量の離型剤をトナーが含有してもトナー表面への露出は少なく、連続プリントにおけるトナー劣化を抑制することができる。
【0098】
本発明のトナーが重合法トナーの場合に極性樹脂を添加しても良い。一例を挙げられるがこれら以外のものでも構わない。
【0099】
本発明で用いられる極性樹脂は例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド、セルロースなどが挙げられる。より好ましくは材料の多様性からポリエステルが望まれる。前記極性樹脂は結着樹脂100質量部当たり0.01〜20質量部、より好ましくは0.5〜10質量部使用するのが良い。
【0100】
懸濁重合をする場合には、通常単量体組成物100質量部に対して水300〜3000質量部を分散媒体として使用するのが好ましい。用いる分散剤として例えば、無機系酸化物としてリン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ、ドデシル硫酸ナトリウム等が挙げられる。有機系化合物としては例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、メチセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプン等が使用されている。
【0101】
これら分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.1〜5.0質量部を使用することが好ましい。これら分散剤の微細化のために0.001〜0.1質量%の界面活性剤を併用しても良い。具体的には市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤が利用できる。例えばドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等が好ましく用いられる。
【0102】
本発明のトナーが会合することを利用する重合法トナーの場合には、凝集剤が使用され金属塩から選択されるものが好適に使用される。具体的には、一価の金属として例えばナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属の塩、二価の金属として例えばカルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類の金属塩、マンガン、銅等の二価金属の塩、鉄、アルミニウム等の三価金属の塩等があげられ、具体的な塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン等を挙げることができる。これらは組み合わせて使用してもよい。
【0103】
これらの凝集剤は臨界凝集濃度以上添加することが好ましい。この臨界凝集濃度とは、凝集剤を添加して凝集が発生する濃度を示すものである。例えば、岡村誠三他著「高分子化学 17、601(1960)」等に記述されており、詳細な臨界凝集濃度を求めることができる。
【0104】
本発明の凝集剤の添加量は、臨界凝集濃度以上であればよいが、好ましくは臨界凝集濃度の1.5倍以上添加することがよい。
【0105】
本発明のトナーが会合することを利用する重合法トナーの場合には、水に対して無限溶解する溶媒を使用する。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、t−ブタノール、メトキシエタノール、ブトキシエタノール等のアルコール類、アセトニトリル等のニトリル類、ジオキサン等のエーテル類をあげることができる。特に、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコールが好ましい。
【0106】
次に発明に用いられる材料の詳述をする。
【0107】
本発明のトナーを粉砕方法で製造する際に用いられるトナーの結着樹脂としては、ポリスチレン;ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体等のスチレン系共重合体;アクリル樹脂;メタクリル樹脂;ポリ酢酸ビニール;シリコーン樹脂;ポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂;フラン樹脂;エポキシ樹脂;キシレン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で又は混合して使用される。
【0108】
スチレン共重合体のスチレンモノマーに対するコモノマーとしては、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドジテル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドのような二重結合を有するモノカルボン酸もしくはその置換体;マレイン酸、マレイン酸ブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸ジメチルのような二重結合を有するジカルボン酸及びその置換体;塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニルのようなビニルエステル;エチレン、プロピレン、ブチレンのようなエチレン系オレフィン;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトンのようなビニルケトン;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテルが挙げられる。これらビニル単量体が単独もしくは2つ以上用いられる。
【0109】
スチレン共重合体はジビニルベンゼン等の架橋剤で架橋されていることがトナーの定着温度領域を広げ、耐オフセット性を向上させる上で好ましい。
【0110】
本発明のトナーを重合方法で製造する際に用いられる重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体が用いられる。前記ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することが出来る。単官能性重合性単量体としては、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンのようなスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートのようなアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートのようなメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルのようなビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンのようなビニルケトンが挙げられる。
【0111】
多官能性重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル等が挙げられる。
【0112】
本発明においては、前記した単官能性重合性単量体を単独で或いは2種以上組み合わせて、又は前記した単官能性重合性単量体と多官能性重合性単量体を組み合わせて使用する。多官能性重合性単量体は架橋剤として使用することも可能である。
【0113】
前記した重合性単量体の重合の際に用いられる重合開始剤としては、油溶性開始剤及び/又は水溶性開始剤が用いられる。例えば、油溶性開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルのようなアゾ化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、プロピオニルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイドのようなパーオキサイド系開始剤が挙げられる。
【0114】
水溶性開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチロアミジン)塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミノジノプロパン)塩酸塩、アゾビス(イソブチルアミジン)塩酸塩、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルスルホン酸ナトリウム、硫酸第一鉄又は過酸化水素が挙げられる。
【0115】
本発明においては、重合性単量体の重合度を制御する為に、公知の連鎖移動剤、重合禁止剤等を更に添加し用いることも可能である。
【0116】
本発明のトナーに用いられる架橋剤としては、2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられる。例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンのような芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートのような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンのようなジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物が挙げられる。これらは単独または混合物として用いられる。
【0117】
本発明のトナーに用いられる離型剤としては、エステルワックスが最も好ましい。また、エステルワックスと併用して以下のものを添加しても構わない。
【0118】
キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、ホホバ油のような植物系ワックス、蜜蝋、ラノリン及び鯨ろうのような動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト及びセレシンのような鉱物系ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムのような石油ワックス、ポリオレフィンワックス、フィッシャートロピッシュワックスのような合成炭化水素;アミドワックス;ケトンワックス;高級脂肪酸;高級脂肪酸金属塩;長鎖アルキルアルコールが挙げられる。必要に応じて、これらのグラフト化、ブロック化、蒸留などしても構わない。また、前記ワックスのエマルションタイプでも構わない。
【0119】
本発明のトナーに含有される着色剤の一例を挙げるがこれら以外のものでも構わない。
【0120】
黒色着色剤としては、カーボンブラック、以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用される。
【0121】
イエロー着色剤としては、下記に示すような顔料および/または染料を好ましく用いることができる。顔料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Yellow3.7.10.12.13.14.15.17.23.24.60.62.74.75.83.93.94.95.99.100.101.104.108.109.110.111.117.123.128.129.138.139.147.148.150.166.168.169.177.179.180.181.183.185.191:1.191.192.193.199等が好適に用いられる。
【0122】
染料としては、例えば、C.I.solvent Yellow33.56.79.82.93.112.162.163、C.I.Disperse Yellow42.64.201.211などが挙げられる。
【0123】
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48;2、48;3、48;4、57;1、81;1、122、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254、C.I.ピグメントバイオレッド19が特に好ましい。
【0124】
シアン着色剤としては、フタロシアニン化合物及びその誘導体,アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66等が特に好適に利用される。
【0125】
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。本発明で用いられる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐侯性、OHP透明性、トナー中への分散性の点から選択される。着色剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対し1〜20質量部添加して用いられる。
【0126】
本発明のトナーは、荷電制御剤を併用しても構わない。トナーを負荷電性に制御するものとして下記物質がある。一例を挙げるがこれら以外のものでも構わない。
【0127】
例えば、有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物がある。他には、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸並びにその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類などがある。
【0128】
さらに、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、樹脂系帯電制御剤等が挙げられる。
【0129】
トナーを正荷電性に制御するものとして下記物質がある。一例を挙げられるがこれら以外のものでも構わない。
【0130】
ニグロシン及び脂肪酸金属塩等によるニグロシン変性物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートのような4級アンモニウム塩;これらの類似体であるホスホニウム塩のようなオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、燐タングステン酸、燐モリブデン酸、燐タングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など);高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドのようなジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートのようなジオルガノスズボレート類、樹脂系帯電制御剤等が挙げられる。これらを単独で或いは2種類以上組み合わせて用いることができる。特に好ましくは、オキシカルボン酸が本発明には適しており、好ましい。
【0131】
荷電制御剤は、結着樹脂100質量部当たり0.01〜20質量部、より好ましくは0.5〜10質量部使用するのが良い。
【0132】
本発明は、多段外添時にシリカを分けて添加するが、この他の無機微粉末及び有機微粉末を添加しても構わない。
【0133】
シリカ以外の無機微粉末としては、シリコーン樹脂、酸化チタン(アナターゼ型、ルチン型、非結晶性)、酸化アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、窒化ケイ素などの窒化物、炭化ケイ素などの炭化物、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどの金属塩、フッ化カーボン、ハイドロタルサイトなどが挙げられる。
【0134】
有機微粉末としては、PMMA樹脂や帯電制御剤などが挙げられる。
【0135】
シリカ以外の無機微粉末は疎水化されていてもいなくても構わない。より好ましくは、疎水化処理が良く、疎水化処理する場合には、湿式法または乾式法のいずれを用いても良い。
【0136】
本発明においてシリカ以外の添加微粉末は、トナー粒子100質量部に対し好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.1〜2.5質量部、さらに好ましくは、0.2〜1.8質量部をトナー粒子と混合して使用することが良い。
【0137】
シリカ以外の添加微粉末の添加量が0.01質量部未満の場合には、トナー粒子に対する流動性付与能が充分ではなく、5質量部を超える場合には、トナー粒子から遊離した微粉末が規制部材、トナー担持体及び感光体汚染を生じ、画像欠陥が生じ、本発明の効果を十分発揮できない。
【0138】
次に本発明で製造されたトナーを画像出力する時の現像装置及び画像形成方法の一例を説明する。
【0139】
本発明の現像装置は、図1の現像装置を用いる。
【0140】
トナー担持体14は、一例として、NBRの基層にエーテルウレタンを表層コートした、直径16mm、表面粗さRzが3〜10μm、抵抗が104〜108Ωの弾性ローラーを用いることができる。感光体10の周速は50〜170mm/s、トナー担持体14の周速は感光体10の周速に対して1〜2倍の周速で回転させている。
【0141】
トナー規制部材16の一例としては、厚さ1.0mmの板状のウレタンゴムをブレード支持板金24に接着した構成で、トナー担持体14に対する当接圧を、適宜設定したものである。なお、線圧の測定は、摩擦係数が既知の金属薄板を3枚当接部に挿入し、中央の1枚をばねばかりで引き抜いた値から換算した。なお、規制部材16は、トナー担持体14に対する当接状態を先端を当接させるエッジ当接とすることも可能である。なお、エッジ当接とする場合は、トナー担持体との接点におけるトナー担持体の接線に対する規制部材の当接角を40度以下になるよう設定するとトナーの層規制の点で更に望ましい。
【0142】
弾性ローラー15の一例としては、芯金15a上にポリウレタンフォームを設けた直径12mmの弾性ローラー15を用いた。この弾性ローラー15のトナー担持体14に対する当接幅としては、1〜8mmが有効で、またトナー担持体14に対してその当接部において相対速度を持たせることが好ましい。
【0143】
トナー帯電ローラー29はNBR、シリコーンゴム等の弾性体であり、抑圧部材30に取り付けられている。そしてこの抑圧部材30によるトナー帯電ローラー29のトナー担持体14への当接荷重は0.49〜4.9Nに設定した。
【0144】
トナー帯電ローラー29のバイアスは、トナーと同極性の放電開始電圧以上のバイアスであり、トナー担持体14に対して1000〜2000Vの電位差が生じるように設定される。
【0145】
本発明の画像形成方法は図2を用いる。以下に簡単に説明する。
【0146】
画像形成装置本体には、第1画像形成ユニットPa、第2画像形成ユニットPb、第3画像形成ユニットPc及び第4画像形成ユニットPdが併設され、各々異なった色の画像が潜像、現像、転写のプロセスを経て転写材上に形成される。
【0147】
画像形成装置に併設される各画像形成ユニットの構成について図2に示す第1画像形成ユニットPaを例に挙げて説明する。
【0148】
第1の画像形成ユニットPaは、潜像担持体としての感光体1aを具備し、この感光体1aは矢印a方向へ回転移動される。2aは帯電手段としての一次帯電器であり、感光体1aと接触の帯電ローラーが用いられている。17aは、一次帯電器2aにより表面が均一に帯電されている感光体1aに静電潜像を形成するための潜像形成手段としてのレーザ光を回転することによって走査するポリゴンミラーである。3aは、感光体1a上に担持されている静電潜像を現像してカラートナー画像を形成するための現像手段としての現像器であり各色のカラートナーを保持している。4aは、感光体1aの表面に形成されたカラートナー画像をベット状の記録材担持体8によって搬送されて来る転写材としての記録材6の表面に転写するための転写手段としての転写ブレードであり、この転写ブレード4aは、記録材担持体8の裏面に当接して転写バイアスを印加し得るものである。
【0149】
21aは感光体1aの表面を除電するための除電手段としてのイレース露光器である。
【0150】
この第1の画像形成ユニットPaは、一次帯電器2aによって感光体1aの感光体を均一に一次帯電した後、潜像形成手段17aにより感光体に静電潜像を形成し、現像器3aで静電潜像をカラートナーを用いて現像し、この現像されたトナー画像を第1の転写部(感光体と記録材の当接位置)で記録材6を担持搬送するベルト状の記録材担持体8の裏面側に当接する転写ブレード4aから転写バイアスを印加することによって転写材6の表面に転写する。
【0151】
感光体上に存在するカラートナーは、感光体表面に当接するクリーニングブレードの如きクリーニング手段によって感光体上から除去することも可能であるが、現像時に現像手段によって回収するものである。従って、転写残トナーを有する感光体は、イレース露光器21aによって除電され、再度、上記画像形成プロセスが行われる。
【0152】
画像形成装置においては、図2に示すように上記のような第1の画像形成ユニットPaと同様の構成であり、現像器に保有されるカラートナーの色の異なる第2の画像形成ユニットPb、第3の画像形成ユニットPc、第4の画像形成ユニットPdの4つの画像形成ユニットを併設するものである。例えば、第1の画像形成ユニットPaにマゼンタトナー、第2の画像形成ユニットPbにシアントナー、第3の画像形成ユニットPcにイエロートナー及び第4の画像形成ユニットPdにブラックトナーをそれぞれ用い、各画像形成ユニットの転写部で各カラートナーの転写材上への転写が順次行われる。この工程で、レジストレーションを合わせつつ、同一記録材上に一回の記録材の移動で各カラートナーは重ね合わせられ、終了すると分離帯電器14によって記録材担持体8上から記録材6が分離され、搬送ベルトの如き搬送手段によって定着器7に送られ、ただ一回の定着によって最終のフルカラー画像が得られる。
【0153】
定着器7は、一対の定着ローラー71と加圧ローラー72を有し、定着ローラー71及び加圧ローラー72は、いずれも内部に加熱手段75及び76を有している。73、74は各定着ローラー上の汚れを除去するウェップである。また、場合によっては、77はシリコーンオイルの如き離型性オイル78を定着ローラー71の表面に塗布するためのオイル塗布手段としての塗布ローラーも用いても構わない。
【0154】
記録材6上に転写された未定着のカラートナー画像は、この定着器7の定着ローラー71と加圧ローラー72との圧接部を通過することにより、熱及び圧力の作用により記録材6上に定着される。
【0155】
尚、図2において、記録材担持体8は、無端のベルト状部材であり、このベルト状部材は、10の駆動ローラーによって矢印e方向に移動するものである。9は、転写ベルトクリーニング装置であり、11はベルト従動ローラーであり、12は、ベルト除電器である。13は記録材ホルダー60内の記録材6を記録材担持体8に搬送するための一対のレジストローラー13である。17は、ポリゴンミラーであり、図示しない光源装置から発せられたレーザ光をこのポリゴンミラーによって走査し、反射ミラーによって光束を変向した走査光を感光体の母線上に集光するfθレンズを介して画像信号に応じた潜像の形成を行う。
【0156】
本発明においては、感光体を一次帯電するための帯電手段としては、ローラー、ブレードまたは磁気ブラシの如き感光体に接触して帯電を行う接触帯電部材を用いることが帯電時のオゾンの発生量を制御でき好ましいがコロナ帯電器の如き感光体に非接触で帯電を行う非接触帯電部を用いることも可能である。
【0157】
転写手段としては、記録材担持体の裏面側に当接する転写ブレードに代えてローラー状の転写ローラーの如き記録材担持体の裏面側に当接して転写バイアスを直接印加可能な接触転写手段を用いることが可能である。
【0158】
さらに、上記の接触転写手段に代えて一般的に用いられている記録材担持体の裏面側に非接触で配置されているコロナ帯電器から転写バイアスを印加して転写を行う非接触の転写手段を用いることも可能である。
【0159】
しかしながら、転写バイアス時のオゾンの発生量を制御できる点で接触転写手段を用いることがより好ましい。
【0160】
上記の画像形成装置においては、中間転写体を用いず潜像保持体上に形成されたトナー画像を直接記録材に転写するタイプの画像形成方法を採用するものである。
【0161】
【実施例】
本発明を以下に実施例を示すことでより具体的に説明する。しかし、これは本発明になんら限定をするものではない。
【0162】
以下に外添条件、処方について記載する。
【0163】
本発明の外添処方はNo.1からNo.12まであり、全てに共通する条件としては、トナー粒子を1000g秤量し、前記トナー粒子100質量部に対し、所定の無機微粉末を所定量添加し外添する。さらに、外添装置は、第1段階目、中間段階、最終段階ともにヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製)を用いた。
【0164】
添加剤の種類、添加剤の個数平均粒径、添加剤の投入量、添加剤のBET、回転数、回転時間、BET変化率(I)、BET変化率(II)の詳細は、表3に示す。
【0165】
以下にトナー粒子の製造方法について記載する。
【0166】
(シアントナー粒子No.1の製造)
本発明に用いるシアン粒子は次のように調製した。高速撹拌装置TK−ホモミキサーを備えた10リットル用の容器に、イオン交換水900質量部とリン酸三カルシウム3質量部を添加し回転数を10000回転/分に調整し、60℃に加温して分散剤系とした。
【0167】
一方、分散質系は、
・スチレン単量体 60質量部
・2−エチルヘキシルアクリレート単量体 40質量部
・C.I.Pigment Blue 15:3 10質量部
・ベンジル酸アルミニウム化合物 2質量部
・ジビニルベンゼン 0.2質量部
・飽和ポリエステル樹脂 10質量部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との重縮合物、
Tg=65℃、Mw=10000)
前記混合物をメディア式分散機を用い3時間分散させた後、離型剤(ステアリン酸ステアリルワックス、DSCピーク60℃)25質量部を添加し、内温を65度にして30分間保温した。その後、重合開始剤である2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3質量部を添加した分散物を、前記分散媒中に投入し15000回転/分を維持しつつ5分間造粒した。その後高速撹拌装置からプロペラ撹拌羽根に撹拌機を代え150回転で重合を10時間行った。重合終了後スラリーを冷却し、スラリーの10倍の水量で洗浄し、乾燥をしてシアントナー粒子No.1を得た。シアントナー粒子No.1の物性を表4に示す。
【0168】
(シアントナー粒子No.2の製造)
離型剤としてパラフィンワックス、DSCピーク81℃にする以外は、シアントナー粒子No.1と同様とし、シアントナー粒子No.2を製造した。シアントナー粒子No.2の物性を表4に示す。
【0169】
(シアントナー粒子No.3の製造)
離型剤としてペンタエリスリトールベヘン酸エステルワックス、DSCピーク83℃にする以外は、シアントナー粒子No.1と同様とし、シアントナー粒子No.3を製造した。シアントナー粒子No.3の物性を表4に示す。
【0170】
(シアントナー粒子No.4の製造)
(分散液(1)の調製)
スチレン・・・・・・・・・・・・・・・900質量部
nブチルアクリレート・・・・・・・・・100質量部
アクリル酸・・・・・・・・・・・・・・ 20質量部
ドデカンチオール・・・・・・・・・・・ 60質量部
四臭化炭素・・・・・・・・・・・・・・ 10質量部
溶解したものを、非イオン性界面活性剤(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)15質量部及びアニオン性界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)25質量部をイオン交換水1300質量部に溶解したものに、フラスコ中で乳化させ、20分ゆっくりと混合しながら、これに過硫酸アンモニウム4質量部を溶解したイオン交換水50質量部を投入し、窒素パージ下、前記フラスコ内を攪拌しながら液温が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続させ分散液(1)を調製した。
【0171】
(分散液(2)の調製)
スチレン・・・・・・・・・・・・・・・700質量部
nブチルアクリレート・・・・・・・・・300質量部
アクリル酸・・・・・・・・・・・・・・ 20質量部
前記混合物を分散液(1)と同様にして分散液(2)を調製した。
【0172】
(着色剤分散液(1)の調製)
C.I.Pigment Blue15:3・・・・・・・・・125質量部
前記非イオン性界面活性剤・・・・・・・・・ 15質量部
イオン交換水・・・・・・・・・・・・・ 500質量部
前記混合物を混合し、前記TKホモミキサーを用いて12分間分散し、着色剤分散液(1)を調製した。
【0173】
(離型剤分散液(1)の調製)
ポリエチレンワックス(融点90℃)・・・・・・・・・・ 125質量部
カチオン性界面活性剤(アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド)
・・・・・・・・・ 15質量部
イオン交換水・・・・・・・・・・・・・ 500質量部
前記混合物を95℃に加熱して、前記TKホモミキサーを用いて分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、離型剤分散液(1)を調製した。
【0174】
(凝集粒子の調製)
分散液(1)・・・・・・・・・・・・700質量部
分散液(2)・・・・・・・・・・・・250質量部
着色剤分散液(1)・・・・・・・・・ 70質量部
離型剤分散液(1)・・・・・・・・・ 90質量部
前記カチオン性界面活性剤・・・・・・ 40質量部
以上を10リットル用の容器に、前記TKホモミキサーを用いて混合し、分散した後、47℃まで加熱した。47℃で30分間保持した後、分散液(1)を緩やかにさらに150質量部した。そして、温度を50℃に上げて1時間保持した。その後、前記アニオン性界面活性剤8質量部を追加した後、攪拌を継続しながら、105℃まで加熱し、3時間保持し、冷却後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、乾燥させることにより、シアントナー粒子No.4を製造した。シアントナー粒子No.4の物性を表4に示す。
【0175】
(シアントナー粒子No.5の製造)
不飽和ポリエステル樹脂 100質量部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとフマル酸との重縮合物、Tg=65℃、Mw=9000)
C.I.Pigment Blue15:3 10質量部
ベンジル酸アルミニウム化合物 4質量部
カルナバワックス(DSCピーク78℃) 5質量部
これらをヘンシェルミキサーにより十分予備混合を行い、2軸式押出し機で溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて約1〜2mm程度に粗粉砕しさらに分級して、シアントナー粒子No.5を製造した。シアントナー粒子No.5の物性を表4に示す。
【0176】
(マゼンタトナー粒子No.1の製造)
C.I.Pigment Blue15:3の代わりにC.I.Pigment Red122を用いた以外は前記シアントナー粒子No.1と同様の方法を用いて、マゼンタトナー粒子No.1を得た。物性を表4に示す。
【0177】
(イエロートナー粒子No.1の製造)
C.I.Pigment Blue15:3の代わりにC.I.Pigment Yellow180を用いた以外は、前記シアントナー粒子No.1と同様の方法を用いて、イエロートナー粒子No.1を得た。物性を表4に示す。
【0178】
(ブラックトナー粒子No.1の製造)
C.I.Pigment Blue15:3の代わりにカーボンブラックを用いた以外は前記シアントナー粒子No.1と同様の方法を用いて、ブラックトナー粒子No.1を得た。物性を表4に示す。
【0179】
(マゼンタトナー粒子No.2の製造)
C.I.Pigment Blue15:3の代わりにC.I.Pigment Red122を用いた以外は前記シアントナー粒子No.5と同様の方法を用いて、マゼンタトナー粒子No.2を得た。物性を表4に示す。
【0180】
(イエロートナー粒子No.2の製造)
C.I.Pigment Blue15:3の代わりにC.I.Pigment Yellow180を用いた以外は、前記シアントナー粒子No.5と同様の方法を用いて、イエロートナー粒子No.2を得た。物性を表4に示す。
【0181】
(ブラックトナー粒子No.2の製造)
C.I.Pigment Blue15:3の代わりにカーボンブラックを用いた以外は前記シアントナー粒子No.5と同様の方法を用いて、ブラックトナー粒子No.2を得た。物性を表4に示す。
【0182】
図2に示す接触一成分現像システムの画像形成装置において、図1に示す現像器に実施例及び比較例記載のトナーを100g充填した後セットし、低温低湿環境下(10℃/10%RH)で印字比率2%で連続プリントを行い、画像均一性、クリーニング性、帯電部材汚染性を評価した。
【0183】
なお、モノカラー評価の時にはモノカラーモードで、フルカラー評価の時にはフルカラーモードでそれぞれ画像出力をした。
【0184】
サンプリングのタイミングは、1枚目、1000枚、2000枚目、4000枚目で行い、サンプリング画像は、ベタ白画像、ハーフトーン画像((トナー乗り量0.1〜0.4mg/cm2)、ベタ全面出力画像(トナー乗り量0.5〜0.7mg/cm2)とした。なお、1枚目の画像を初期画像とした。
【0185】
[実施例1〜14、比較例1〜10]
以下表2に記載するトナー粒子と外添処方との組み合わせにてトナー評価をした。その結果を表5及び6に記載する。
【0186】
【表2】
【0187】
評価方法を以下に示す。
【0188】
(1)画像均一性
画像均一性のレベルは、前記低温低湿環境下における連続プリント後に得られたベタ全面画像と初期画像との色差ΔEから色味変動を下記基準に従い評価した。なお、プリント紙はゼロックス4024、75g/m2とした。
A:ΔEが2.0未満
B:ΔEが2.0以上4.0未満
C:ΔEが4.0以上6.0未満
D:ΔEが6.0以上
ΔE= √ (ΔL*2+Δa*2+Δb*2)
ΔL*:各サンプリング画像の明度(L)−初期画像の明度(L)
Δa*:各サンプリング画像のa*−初期画像のa*
Δb*:各サンプリング画像のb*−初期画像のb*
【0189】
(2)クリーニング性
クリーニング性は、前記低温低湿環境下における連続プリント後に得られた全ての画像より下記基準に従い評価した。
A:全ての画像に関してクリーニング不良が出ていない。
B:ベタ全面出力画像およびまたはハーフトーン画像に50mm未満のCLN不良が3本以下の発生している。他の画像は未発生。常温常湿環境では未発生で問題ないレベル。
C:ベタ全面出力画像及びまたはハーフトーン画像にCLN不良が3本以下の発生している。ベタ白画像には未発生。常温常湿環境でも短いCLN不良がある。
D:ベタ白画像でもクリーニング不良が発生している。常温常湿環境でもCLN不良が発生し、実用上問題あるレベル。
【0190】
(3)帯電部材汚染性
クリーニング性は、前記低温低湿環境下における連続プリント後に得られた全ての画像より下記基準に従い評価した。
A:全ての画像に関して帯電部材汚染由来の白抜けが出ていない。
B:ハーフトーン画像に若干の帯電部材汚染由来の白抜けが発生している。実用上問題ないレベル。
C:ハーフトーン画像及びまたはベタ全面画像に明確に帯電部材汚染由来の白抜けが発生している。
実用上やや問題あるレベル。
D:ハーフトーン画像及びベタ全面画像に明確に帯電部材汚染由来の白抜けが発生している。
実用上問題あるレベル。
【0191】
【表3】
【0192】
【表4】
【0193】
【表5】
【0194】
【表6】
【0195】
【発明の効果】
本発明によれば、低温低湿環境下での低印字プリントにおけるトナー劣化起因の色味変動、クリーニング不良、及び感光体接触帯電部材汚染が抑制でき、良好なカラー画像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】非磁性一成分接触現像をおこなう現像装置の概略図である。
【図2】非磁性一成分接触現像をおこなう画像形成方法の概略図である。
【図3】第1の画像形成ユニットの概略図である。
【符号の説明】
10 潜像担持体(感光体)
11 感光体接触帯電部材(弾性ローラー)
13 現像装置
14 トナー担持体
15 弾性ローラー
16 弾性ブレード(規制部材)
17 トナー
24 ブレード支持板金
25 撹拌手段
26 トナー漏れ防止部材
27 電源
29 トナー帯電ローラー(圧接弾性部材)
30 抑圧部材
31 クリーニング部材
Claims (10)
- 少なくとも結着樹脂と着色剤と離型剤とを含有するトナー粒子と、前記トナー粒子に少なくともシリカが外添されているトナーの製造方法において、
前記トナー粒子に前記シリカが外添される工程が2段以上あり、第1段階目に投入するシリカと最終段階に投入するシリカとは下記
第1段階目に投入するシリカ量<最終段階に投入するシリカ量
第1段階目に投入するシリカの個数平均粒径>最終段階に投入するシリカの個数平均粒径
を満足しており、
最終段階に投入するシリカ量は、前記トナー粒子100質量部に対して、0.5から2.5質量部であり、
シリカの外添工程において、下記式
50%≦最終段階後の粒子BET変化率(II)≦95%
[式中、
A1はトナー粒子のBET値(m2/g)を示し、
A2はトナー粒子の投入量(g)を示し、
X(n)は第n段階目に投入する無機微粉末のBET値(m2/g)を示し、
Y(n)は第n段階目に投入する無機微粉末の投入量(g)を示し、
第x段階目を最終段階とする。]
で示されるBET比表面積の変化率を満足することを特徴とするトナーの製造方法。 - 前記第1段階目のシリカの個数平均粒径は10から150nmであることを特徴であることを特徴とする請求項1に記載のトナーの製造方法。
- 前記最終段階のシリカの個数平均粒径は4から20nmであることを特徴であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナーの製造方法。
- 前記外添工程における第1段階目に投入するシリカ量は、前記トナー粒子100質量部に対する添加量が0.01から1.2質量部であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 前記外添工程における最終段階に投入するシリカ量は、前記トナー粒子100質量部に対する添加量が0.7から2.0質量部であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 前記第1段階目後の粒子BET変化率(I)は、90〜100%であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 前記最終段階後の粒子BET変化率(II)は、60〜90%であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 前記トナーの平均円形度が0.955から0.995であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 前記離型剤のDSCピークは、50℃〜100℃であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 前記離型剤は1分子中にエステル基を1〜4個有する構造式のエステルワックスであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のトナーの製造方法。
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