JP4085638B2 - 平面導波路型光回路及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板と、基板上に形成された光導波路とを有して構成される平面導波路型光回路、及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、高度情報化社会の到来による社会的ニーズから、光ファイバ伝送路に多波長の信号光を伝送させる波長多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)伝送システムの開発など、光伝送路網を利用した大容量高速通信や長距離通信に関する研究開発が盛んに行われている。また、このような光通信技術の進展と利用の拡大に伴い、平面導波路型光回路を用いた様々な光回路の開発が進められている。
【0003】
平面導波路型光回路において、光が導波される光導波路の光路長を可変に制御する方法として、熱光学効果が用いられている。すなわち、光導波路に用いられる材料中での屈折率は、熱光学効果によって温度に依存して変化する。したがって、光導波路の温度を調整することによって屈折率を変化させれば、光導波路の実効的な光路長を可変に制御することができる。このような熱光学効果を用いた平面導波路型光回路は、例えば、マッハツェンダ干渉計型の光スイッチ(熱光学スイッチ)などに利用されている(文献1「郷隆司 他:NTT R&D Vol.50 No.4, pp.272-279 (2001)」を参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
熱光学効果を用いて光路長制御を行う上述の光回路では、平面導波路型光回路において光導波路の材料として通常用いられている石英ガラスの熱光学効果が小さいため、その消費電力が大きいという問題がある。
【0005】
例えば、マッハツェンダ干渉計型の光スイッチでは、2つの方向性結合器間にある2本のアーム導波路の少なくとも一方にヒータなどの温度調整手段が設けられ、アーム導波路の温度を調整することによってアーム導波路間での実効的な光路長差を変化させて、光の分岐比を可変に制御する。
【0006】
このような構成の光スイッチでは、アーム導波路の光路長制御によって光回路のスイッチ動作を実現するためには、アーム導波路間での光路長差を光の波長に対して半波長分変化させる必要がある。上記文献1に記載の熱光学スイッチによれば、このときの消費電力は0.35〜0.5W程度であり、その消費電力は大きい。したがって、熱光学スイッチを光回路に複数集積した場合を考えると、光回路全体での消費電力は非常に大きい電力となる。また、このように消費電力が大きくなると、光回路からの発熱量も大きくなるので、熱に対して弱い発光素子や受光素子などの他の光学素子と、熱光学スイッチとを平面導波路型光回路に集積することが困難となる。
【0007】
また、文献1には、シリコントレンチ付き断熱溝構造を用いて光路長制御に必要な消費電力を低減することが記載されているが、この構成でも、その消費電力は0.13W程度と大きい。また、トレンチを形成する工程及び断熱溝を形成する工程が必要となるため、製造工程が複雑化する。
【0008】
一方、マッハツェンダ干渉計型の光スイッチにおいて、アーム導波路の一部に熱光学効果による屈折率の温度依存性が石英ガラスよりも大きい材料を用いた構成が提案されている。例えば、特開2000−29079号公報(文献2)に記載された熱光学スイッチでは、アーム導波路の所定部位を横切る溝を形成し、この溝内に熱光学効果が大きい有機材料を充填している。また、特開2000−66252号公報(文献3)に記載された熱光学スイッチでは、アーム導波路の所定部分について、熱光学効果が大きいポリマーを材料としてクラッドを形成している。
【0009】
しかしながら、このようにアーム導波路の一部で他の部分とは異なる材料を用いる構成では、通常の製造工程によって熱光学スイッチを作製した後、さらに、溝形成などの工程を行う必要があり、製造工程が複雑化するとともに、光スイッチの製造コストが高くなるという問題を生じる。このような問題は、光スイッチ以外の熱光学効果を用いた平面導波路型光回路においても同様である。
【0010】
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものであり、熱光学効果を用いた光回路において、その消費電力が低減されるとともに、光回路の構成及び製造工程が簡単化される平面導波路型光回路、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明による平面導波路型光回路の製造方法は、(a)基板上に、第1光導波路を構成する第1コア層、及び第2光導波路を構成する第2コア層を含み、第1コア層と第2コア層とが近接して方向性結合器として機能するコア近接部を有する導波路パターンによってコア層を形成するコア層形成工程と、(b)基板上に、基板及びコア層を覆うとともに、コア近接部において第1コア層と第2コア層との間の所定部位が空洞部となるように、コア層よりも低い屈折率を有するクラッド層を形成することで、クラッド層の形成と同時に空洞部を形成するクラッド層形成工程と、(c)空洞部内を、クラッド層よりも大きい屈折率の温度依存性を有する充填材料で充填する充填工程と、(d)コア近接部に対して、コア近接部の温度を調整することが可能な温度調整手段を設置する設置工程とを備えることを特徴とする。
【0015】
このように、熱光学効果による屈折率の温度依存性が大きい材料をコア近接部の空洞部に充填することにより、温度調整手段によるコア近接部での光導波路の屈折率及び光路長制御の効率を向上することができる。これにより、その消費電力及び光回路からの発熱量をさらに低減することが可能となる。また、クラッド層の形成と同時に空洞部を形成して、その空洞部に熱光学効果が大きい材料を充填する製造方法によれば、上記構成の光回路の製造工程を簡単化することができる。
【0016】
コア近接部での空洞部に充填する熱光学効果が大きい充填材料としては、マッチングオイル、熱硬化樹脂、または紫外線硬化樹脂の少なくとも1つからなる材料を用いることが好ましい。これらの材料は、粘性が比較的低い材料であり、空洞部が狭い場合でも容易かつ良好に充填することができる。あるいは、これ以外の有機材料などの材料を用いても良い。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面とともに本発明による平面導波路型光回路、及びその製造方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0018】
図1は、本発明による平面導波路型光回路の一実施形態の構成を示す平面図である。また、図2は、図1に示した平面導波路型光回路の断面構造を示すI−I矢印断面図である。
【0019】
平面導波路型光回路1は、基板10と、基板10上に所定の導波路パターンで形成された光導波路とからなる。光回路1の光導波路は、基板10上に形成されたコア層と、基板10上に基板10及びコア層を覆うように形成されたクラッド層(オーバクラッド層)とから構成される。
【0020】
本実施形態におけるコア層は、第1光導波路11を構成する第1コア層21、及び第2光導波路12を構成する第2コア層22を含む導波路パターンによって形成されている。第1光導波路11及び第2光導波路12の2本の光導波路は、図1に示すように、光伝送方向に対して入力側の端面1a(図中の左側の端面)と、入力端面1aとは反対側で出力側の端面1b(図中の右側の端面)との間にそれぞれ設けられている。
【0021】
これらの第1光導波路11、第2光導波路12は、入力端面1a及び出力端面1bの間の所定部分が、第1コア層21と第2コア層22とが近接したコア近接部13となる導波路パターンによって形成されている。このコア近接部13は、本平面導波路型光回路1において方向性結合器として機能する光回路部分である。図2は、このコア近接部13における光回路1の、光伝送方向に対して垂直な面での断面構造を示している。
【0022】
基板10上に形成された第1コア層21及び第2コア層22からなるコア層に対して、基板10及びコア層を覆うようにクラッド層30が形成されている。このクラッド層30はコア層よりも低い屈折率を有しており、これによって、第1コア層21及び第2コア層22が、それぞれ第1光導波路11及び第2光導波路12として機能する。
【0023】
図1及び図2に示した光回路1では、さらに、コア近接部13において、第1コア層21と第2コア層22との間にあるクラッド層30の所定部位に、空洞部31が形成されている。そして、この空洞部31には、クラッド層30を構成している材料よりも熱光学効果による屈折率の温度依存性が大きい充填材料25が充填されている。
【0024】
また、クラッド層30の上面側でコア近接部13の上方に位置する面上には、ペルチェ素子40が設置されている。このペルチェ素子40は、第1コア層21、第2コア層22、及び空洞部31に充填された充填材料25を含むコア近接部13を加熱または冷却して、その温度を調整する温度調整手段である。このペルチェ素子40を用いてコア近接部13の温度を調整することによって、光回路1での方向性結合器として機能するコア近接部13において、第1光導波路11と第2光導波路12との間での光の分岐比が可変に制御される。
【0025】
本実施形態による平面導波路型光回路の効果について説明する。
【0026】
図1及び図2に示した平面導波路型光回路1においては、光導波路の温度を調整して熱光学効果によって屈折率を変化させる温度調整手段であるペルチェ素子40を、2本の光導波路11、12が近接して方向性結合器として機能するコア近接部13の光回路部分に対して設置している。
【0027】
このような構成によれば、例えばマッハツェンダ干渉計型光回路でのアーム導波路などの通常の光導波路部分に対して温度調整手段を設ける構成に比べて、温度調整手段による光回路の加熱面積及び加熱個所数を小さくすることができる。また、光導波路の屈折率を制御することによる第1光導波路11と第2光導波路12との間での光の分岐比の可変制御を効率的に行うことができるので、その消費電力及び光回路からの発熱量を低減することが可能となる。同時に、コア近接部13の温度を制御する構成により、光回路1の構成及び製造工程が簡単化されるので、その製造コストを低くすることができる。
【0028】
また、方向性結合器が用いられているマッハツェンダ干渉計型光回路などの光回路では、一般に、その光学特性がコア幅の設計からのずれなどの製造誤差に対して敏感である。このため、このような光回路では、基板上に光導波路を作製した後に、光学特性を微調整するため、コア層に紫外レーザなどを照射して光導波路の光路長を調整する作業が必要となる場合がある。これに対して、本実施形態の平面導波路型光回路1によれば、方向性結合器であるコア近接部13に対して設けられたペルチェ素子40での温度調整によって光学特性を微調整することが可能である。したがって、光導波路を作製した後での光路長の調整工程が不要となる。
【0029】
また、本実施形態の光回路1においては、コア近接部13においてクラッド層30に空洞部31を形成し、空洞部31内に充填材料25を充填している。このように、熱光学効果が大きい材料25を空洞部31に充填することにより、温度調整手段によるコア近接部13での光導波路の屈折率及び光路長制御の効率を向上することができる。これにより、その消費電力及び光回路からの発熱量をさらに低減することが可能となる。
【0030】
ここで、コア近接部13においてクラッド層30の空洞部31に充填する熱光学効果が大きい充填材料25としては、その屈折率が光導波路の材料として用いられる石英ガラスの屈折率に近い(略等しい)材料を用いることが好ましい。具体的な材料としては、マッチングオイルを用いることができる。この場合のマッチングオイルには、例えば、屈折率nが石英ガラスに略等しく、かつ、熱光学効果の大きさを示す屈折率nの温度依存係数dn/dTが石英ガラスよりも30倍程度大きいものが用いられる。
【0031】
マッチングオイルの具体的な例としては、波長589nmの光に対する25℃での屈折率がn=1.4587、屈折率の温度依存係数がdn/dT=−0.0004のマッチングオイルが挙げられる。
【0032】
あるいは、マッチングオイル以外にも、屈折率の温度依存性が大きいポリマー材料でも良く、熱硬化樹脂または紫外線硬化樹脂を充填材料25として用いても良い。
【0033】
熱硬化樹脂の具体的な例としては、波長1550nmの光に対する室温での屈折率がn=1.495のエポキシ系熱硬化樹脂(NTT−AT製)が挙げられる。この熱硬化樹脂は、樹脂を空洞部に充填した後、100℃で2時間の加熱によって硬化させることができる。また、紫外線硬化樹脂の具体的な例としては、波長1550nmの光に対する室温での屈折率がn=1.455のUV硬化樹脂(協立化学製)が挙げられる。このUV硬化樹脂は、樹脂を空洞部に充填した後、UVランプからの紫外光を照射することによって硬化させることができる。これらの熱硬化樹脂や紫外線硬化樹脂での屈折率の温度依存係数dn/dTは、一般には石英ガラスの10〜30倍程度である。
【0034】
マッチングオイル、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂などの材料は、粘性が比較的低い材料であり、コア近接部13に形成された空洞部31が狭い場合でも容易かつ良好に充填することができる。また、熱硬化樹脂や紫外線硬化樹脂を用いた場合には、上記したように、粘性が低い状態で空洞部31に充填した後に硬化させることが可能である。
【0035】
また、上記以外で屈折率の温度依存性が大きい有機材料などの材料を充填材料25として用いても良い。あるいは、このような充填材料25を用いなくても光導波路の屈折率及び光路長を充分な範囲で可変に制御することが可能な場合には、コア近接部13において、充填材料25が充填された空洞部31を設けない構成としても良い。
【0036】
図3(a)〜(d)は、図1に示した平面導波路型光回路の製造方法の一実施形態を概略的に示す工程図である。以下、図1〜図3を参照しつつ、平面導波路型光回路の製造方法について説明する。
【0037】
まず、石英基板などの基板10上に、プラズマCVD法などを用いてコア層となる光導波膜20を形成する(図3(a))。そして、フォトリソグラフィ及び反応性イオンエッチング(RIE)などを用い、所定の導波路パターンによって光導波膜20を加工して、第1コア層21及び第2コア層22からなるとともにコア近接部13を有するコア層を形成する(図3(b)、コア層形成工程)。
【0038】
次に、基板10上に、基板10と、第1コア層21及び第2コア層22からなるコア層とを覆うように、コア層よりも低い屈折率を有するオーバクラッドとなるクラッド層30を、プラズマCVD法などを用いて形成する(図3(c)、クラッド層形成工程)。このとき、クラッド層30の形成は、コア近接部13において第1コア層21と第2コア層22との間の所定部位が空洞部31として残るような条件で行う(文献4「田中啓之 他:信学技報 TECHNICAL REPORT OF IEICE., EMD97-55, pp.1-6 (1997-09)」を参照)。
【0039】
続いて、コア近接部13のクラッド層30に形成された空洞部31に対し、クラッド層30よりも大きい屈折率の温度依存性を有するマッチングオイルなどの充填材料25を空洞部31内に充填する(図3(d)、充填工程)。上記した空洞部31は、その大部分で上面側が閉じているが、長手方向の両端では上面側に開いた状態で形成される。このため、空洞部31近傍のクラッド層30の上面に対してマッチングオイルを塗布するだけで、空洞部31内にマッチングオイルが充填される。
【0040】
そして、得られた平面導波路型光回路をペルチェ素子40の上に載せることにより、コア近接部13に対して温度調整手段であるペルチェ素子40を設置する(設置工程)。以上により、図1及び図2に示した構成を有する平面導波路型光回路1が作製される。
【0041】
上記した平面導波路型光回路1の製造方法においては、クラッド層30の形成と同時に空洞部31を形成した後、その空洞部31に対して熱光学効果が大きい充填材料25を充填している。このような製造方法によれば、通常の製造工程によって光回路を作製した後に溝形成の工程を行う方法などに比べて、光回路の製造工程を簡単化することができ、その製造コストを低くすることができる。
【0042】
なお、平面導波路型光回路1の各製造工程に用いられる具体的な製造方法に関しては、適宜上記以外の方法を用いて良い。例えば、基板10上でのコア層となる光導波膜20の形成については、プラズマCVD法以外にも、FHD法やスパッタ法などを用いても良い。
【0043】
また、クラッド層30の形成についても、同様に、プラズマCVD法以外にも、ECRプラズマや常圧などの他のCVD法やFHD法、スパッタ法などを用いても良い。ここで、プラズマCVD法以外のCVD法やスパッタ法を用いた場合でのクラッド層の空洞部については、その成膜レートや原料ガスの種類の選定などで形成条件を調整することによって、空洞部を形成することが可能である。また、FHD法を用いた場合については、クラッド層へのB、Pの添加量を低めにし、炉の温度、焼結時に使用する基板搭載ジグの材質、昇温速度、ガス流量などの焼結条件を調整することによって、空洞部を形成することが可能である(文献5:特開平7−318734号公報を参照)。
【0044】
また、光導波路を形成する基板10としては、石英基板以外にもSi(シリコン)基板などを用いても良い。ただし、シリコン基板を用いた場合には、最初に基板上にアンダークラッド層を形成し、アンダークラッド層上にコア層およびオーバクラッド層を形成することが好ましい。
【0045】
また、コア近接部13に対して設置する温度調整手段については、ペルチェ素子以外のものを用いても良い。例えば、クラッド層上にヒータを形成し、温度調整手段として用いる構成が可能である。この場合、コア近接部の空洞部内に充填した充填材料がヒータ形成工程中に揮散しないように、空洞部の両端を封止することが好ましい。
【0046】
図1に示した平面導波路型光回路1は、上述したように、方向性結合器に対して設けられた温度調整手段によって光の分岐比を可変に制御可能な可変光分岐器として利用することができる。また、このような光回路1は、光伝送路を切り換える光スイッチとして利用することができる。
【0047】
すなわち、図1に示すように、2本の光導波路11、12のそれぞれの端部について、第1光導波路11の入力端面1a側の端部を入力ポート16とするとともに、第2光導波路12の出力端面1b側の端部を第1出力ポート17、第1光導波路11の出力端面1b側の端部を第2出力ポート18とする。そして、コア近接部13に対して設けられたペルチェ素子40によってコア近接部13の温度を調整すれば、入力ポート16から入力された光について、第2光導波路12の第1出力ポート17、及び第1光導波路11の第2出力ポート18への光の分岐比を可変に制御することが可能となる。また、これを利用すれば、光回路1を光スイッチとして動作させることができる。
【0048】
図4は、第1出力ポート及び第2出力ポートでの出力光パワーの温度依存性を示すグラフである。このグラフにおいて、横軸はペルチェ素子40によって調整されるコア近接部13の温度(℃)、縦軸は出力光パワーを示している。また、実線のグラフは、第1出力ポート17からの出力光パワーの温度依存性を示し、点線のグラフは、第2出力ポート18からの出力光パワーの温度依存性を示している。なお、図示している出力光パワーは、適当に規格化されたものである。
【0049】
また、光スイッチとしては、図1に示した構成を有する平面導波路型光回路を用いた。その具体的な構成については、コア層の屈折率を1.454、クラッド層の屈折率を1.444、コアサイズを6×6μm、コア近接部での2つのコア間の間隔を7μm、コア近接部の長さを200μm、コア近接部の2つのコア間でのマッチングオイルの充填幅を5.5μm、充填長を800μmとした。
【0050】
図4のグラフに示すように、図1に示した構成の光回路1によれば、ペルチェ素子40を用いてコア近接部13の温度を15℃から35℃とわずか20℃程度変化させることにより、光回路1の入力ポート16から入力された光に対する出力ポートが、第1出力ポート17から第2出力ポート18へと切り換えられている。したがって、このような光回路を利用すれば、消費電力が極めて小さく、かつ、応答速度が速い可変光分岐器や光スイッチなどの光回路を実現することができる。
【0051】
本発明による平面導波路型光回路、及びその製造方法は、上述した実施形態に限られるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、平面導波路型光回路の構成については、図1に示した光回路以外にも、マッハツェンダ干渉計型光回路での方向性結合器の光回路部分など、様々な光回路において上述した構成を適用することが可能である。
【0052】
【発明の効果】
本発明による平面導波路型光回路、及びその製造方法は、以上詳細に説明したように、次のような効果を得る。すなわち、光導波路の温度を調整して熱光学効果によって屈折率を変化させる温度調整手段を、2本の光導波路が近接して方向性結合器として機能するコア近接部に対して設置した平面導波路型光回路によれば、温度調整手段による光回路の加熱面積及び加熱個所数を小さくすることができ、その消費電力及び光回路からの発熱量を低減することが可能となる。同時に、光回路の構成及び製造工程が簡単化されるので、その製造コストを低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】平面導波路型光回路の一実施形態の構成を示す平面図である。
【図2】図1に示した平面導波路型光回路の断面構造を示すI−I矢印断面図である。
【図3】図1に示した平面導波路型光回路の製造方法を概略的に示す工程図である。
【図4】第1出力ポート及び第2出力ポートでの出力光パワーの温度依存性を示すグラフである。
【符号の説明】
1…平面導波路型光回路、1a…入力端面、1b…出力端面、10…基板、11…第1光導波路、12…第2光導波路、13…コア近接部、16…入力ポート、17…第1出力ポート、18…第2出力ポート、20…光導波膜、21…第1コア層、22…第2コア層、25…充填材料、30…クラッド層、31…空洞部、40…ペルチェ素子(温度調整手段)。
Claims (2)
- 基板上に、第1光導波路を構成する第1コア層、及び第2光導波路を構成する第2コア層を含み、前記第1コア層と前記第2コア層とが近接して方向性結合器として機能するコア近接部を有する導波路パターンによってコア層を形成するコア層形成工程と、
前記基板上に、前記基板及び前記コア層を覆うとともに、前記コア近接部において前記第1コア層と前記第2コア層との間の所定部位が空洞部となるように、前記コア層よりも低い屈折率を有するクラッド層を形成することで、前記クラッド層の形成と同時に前記空洞部を形成するクラッド層形成工程と、
前記空洞部内を、前記クラッド層よりも大きい屈折率の温度依存性を有する充填材料で充填する充填工程と、
前記コア近接部に対して、前記コア近接部の温度を調整することが可能な温度調整手段を設置する設置工程と
を備えることを特徴とする平面導波路型光回路の製造方法。 - 前記充填材料は、マッチングオイル、熱硬化樹脂、または紫外線硬化樹脂の少なくとも1つからなることを特徴とする請求項1記載の平面導波路型光回路の製造方法。
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