JP4080372B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の制御装置に関し、特に複数気筒を有する内燃機関の一部気筒の作動を休止させる気筒休止機構を備えた内燃機関の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1には、気筒休止機構を備えた内燃機関の一部の気筒を休止させる一部気筒運転と、全気筒を作動させる全筒運転とを、機関負荷、具体的にはスロットル弁開度に応じて切り換える制御装置が示されている。すなわち、この制御装置によれば、スロットル弁開度TPSが、エンジン回転数Neに応じて設定される切換スロットル弁開度TPS1より小さいときは、一部気筒運転が行われる。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−105339号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記内燃機関により駆動される車両が、大気圧の低い高地を走行した場合には、より小さいスロットル弁開度にて吸気管内圧が飽和するため、それ以上スロットル弁開度を増大させても、機関の出力が増大しない。そのため、上記従来の制御装置では、車両が高地を走行した場合には、運転者がアクセルペダルを踏み込んでスロットル弁が開いていっても、切換スロットル弁開度TPS1に達する前に、吸気管内圧が飽和してしまう。したがって、機関出力がそれ以上増大せず、スロットル弁開度TPSが切換スロットル弁開度TPS1に達したときに全気筒運転へ移行し、機関出力が増大する。その結果、運転者のアクセル操作に対して機関出力は、リニアに追従せず、運転者へ違和感を与えていた。
【0005】
本発明はこの点に着目してなされたものであり、一部気筒運転と全気筒運転の切換を、大気圧が変化した場合でも適切に行い、アクセル操作に対して機関出力をほぼリニアに増加させることができる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1に記載の発明は、複数気筒を有し、前記複数気筒の全てを作動させる全筒運転と、前記複数気筒のうち一部気筒の作動を休止させる一部気筒運転とを切換える切換手段(30)を備えた内燃機関の制御装置において、前記機関の負荷(TH,AP)を検出する負荷検出手段と、検出した機関負荷(TH,AP)が判定閾値(THCSPA,APCSPA)より小さいとき、前記一部気筒運転を前記切換手段(30)に指令する指令手段と、大気圧(PA)を検出する大気圧検出手段と、検出した大気圧(PA)が低くなるほど、前記判定閾値(THCSPA,APCSPA)を低負荷側に設定する判定閾値設定手段とを有し、前記一部気筒運転中において前記機関のスロットル弁を開弁して加速を行う際に、前記スロットル弁の開度を増加させても前記機関の吸気管内圧が増加しない状態となるスロットル弁開度の近傍のスロットル弁開度で、前記一部気筒運転から前記全気筒運転に切り換えるようにしたことを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、検出した大気圧が低くなるほど判定閾値が低負荷側に設定され、検出した機関負荷がその判定閾値より小さいとき、一部気筒運転が実行される。一部気筒運転中においてスロットル弁を開弁して加速を行う際に、スロットル弁の開度を増加させても機関の吸気管内圧が増加しない状態となるスロットル弁開度の近傍のスロットル弁開度で、一部気筒運転から全気筒運転に切り換えられるように制御される。その結果、吸気管内圧が飽和してスロットル弁開度が判定閾値に達するまでの間の、機関出力が変化しない領域を無くし、アクセル操作に対して機関出力をほぼリニアに追従させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態にかかる内燃機関及びその制御装置の構成を示す図である。V型6気筒の内燃機関(以下単に「エンジン」という)1は、#1,#2及び#3気筒が設けられた右バンクと、#4,#5及び#6気筒が設けられた左バンクとを備え、右バンクには#1〜#3気筒を一時的に休止させるための気筒休止機構30が設けられている。図2は、気筒休止機構30を油圧駆動するための油圧回路とその制御系を示す図であり、この図も図1と合わせて参照する。
【0011】
エンジン1の吸気管2の途中にはスロットル弁3が配されている。スロットル弁3には、スロットル弁3の開度THを検出するスロットル弁開度センサ4が設けられており、その検出信号が電子制御ユニット(以下「ECU」という)5に供給される。
【0012】
燃料噴射弁6は図示しない吸気弁の少し上流側に各気筒毎に設けられており、各噴射弁は図示しない燃料ポンプに接続されていると共にECU5に電気的に接続されて当該ECU5からの信号により燃料噴射弁6の開弁時間が制御される。
【0013】
スロットル弁3の直ぐ下流には吸気管内絶対圧(PBA)センサ7が設けられており、この絶対圧センサ7により電気信号に変換された絶対圧信号はECU5に供給される。また、吸気管内絶対圧センサ7の下流には吸気温(TA)センサ8が取付けられており、吸気温TAを検出して対応する電気信号をECU5に供給する。
【0014】
エンジン1の本体に装着されたエンジン水温(TW)センサ9はサーミスタ等から成り、エンジン水温(冷却水温)TWを検出して対応する温度信号を出力してECU5に供給する。
ECU5には、エンジン1のクランク軸(図示せず)の回転角度を検出するクランク角度位置センサ10が接続されており、クランク軸の回転角度に応じた信号がECU5に供給される。クランク角度位置センサ10は、エンジン1の特定の気筒の所定クランク角度位置でパルス(以下「CYLパルス」という)を出力する気筒判別センサ、各気筒の吸入行程開始時の上死点(TDC)に関し所定クランク角度前のクランク角度位置で(6気筒エンジンではクランク角120度毎に)TDCパルスを出力するTDCセンサ及びTDCパルスより短い一定クランク角周期(例えば30度周期)でCRKパルスを発生するCRKセンサから成り、CYLパルス、TDCパルス及びCRKパルスがECU5に供給される。これらの信号パルスは、燃料噴射時期、点火時期等の各種タイミング制御及びエンジン回転数(エンジン回転速度)NEの検出に使用される。
【0015】
気筒休止機構30は、エンジン1の潤滑油を作動油として使用し、油圧駆動される。オイルポンプ31により加圧された作動油は、油路32及び吸気側油路33i,排気側油路33eを介して、気筒休止機構30に供給される。油路32と、油路33i及び33eとの間に、吸気側電磁弁35i及び排気側電磁弁35eが設けられており、これらの電磁弁35i,35eはECU5に接続されてその作動がECU5により制御される。
【0016】
油路33i,33eには、作動油圧が所定閾値より低下するとオンする油圧スイッチ34i,34eが設けられており、その検出信号は、ECU5に供給される。また、油路32の途中には、作動油温TOILを検出する作動油温センサ33が設けられており、その検出信号がECU5に供給される。
【0017】
気筒休止機構30の具体的な構成例は、例えば特開平10−103097号公報に示されており、本実施形態でも同様の機構を用いている。この機構によれば、電磁弁35i,35eが閉弁され、油路33i,33e内の作動油圧が低いときは、各気筒(#1〜#3)の吸気弁及び排気弁が通常の開閉作動を行う一方、電磁弁35i,35eが開弁され、油路33i,33e内の作動油圧が高くなると、各気筒(#1〜#3)の吸気弁及び排気弁が閉弁状態を維持する。すなわち、電磁弁35i,35eの閉弁中は、全ての気筒を作動させる全気筒運転が行われ、電磁弁35i,35eを開弁させると、#1〜#3気筒を休止させ、#4〜#6気筒のみ作動させる一部気筒運転が行われる。
【0018】
吸気管2のスロットル弁3の下流側と、排気管13との間には、排気還流通路21が設けられており、排気還流通路21の途中には排気還流量を制御する排気還流弁(以下「EGR弁」という)22が設けられている。EGR弁22は、ソレノイドを有する電磁弁であり、その弁開度はECU5により制御される。EGR弁22には、その弁開度(弁リフト量)LACTを検出するリフトセンサ23が設けられており、その検出信号はECU5に供給される。排気還流通路21及びEGR弁22より、排気還流機構が構成される。
【0019】
エンジン1の各気筒毎に設けられた点火プラグ12は、ECU5に接続されており、点火プラグ12の駆動信号、すなわち点火信号がECU5から供給される。
ECU5には大気圧PAを検出する大気圧センサ14、エンジン1により駆動される車両の走行速度(車速)VPを検出する車速センサ15、及び当該車両の変速機のギヤ位置GPを検出するギヤ位置センサ16が接続されており、これらのセンサの検出信号がECU5に供給される。
【0020】
ECU5は、各種センサからの入力信号波形を整形し、電圧レベルを所定レベルに修正し、アナログ信号値をデジタル信号値に変換する等の機能を有する入力回路、中央演算処理回路(以下「CPU」という)、CPUで実行される各種演算プログラム及び演算結果等を記憶する記憶回路、前記燃料噴射弁6に駆動信号を供給する出力回路等から構成される。ECU5は、各種センサの検出信号に基づいて、燃料噴射弁6の開弁時間、点火時期及びEGR弁22の開度を制御するとともに、電磁弁35i,35eの開閉を行って、エンジン1の全筒運転と、一部気筒運転との切り換え制御を行う。
【0021】
図3は、一部の気筒を休止させる気筒休止(一部気筒運転)の実行条件を判定する処理のフローチャートである。この処理はECU5のCPUで所定時間(例えば10ミリ秒)毎に実行される。
ステップS11では、始動モードフラグFSTMODが「1」であるか否かを判別し、FSTMOD=1であってエンジン1の始動(クランキング)中であるときは、検出したエンジン水温TWを始動モード水温TWSTMODとして記憶する(ステップS13)。次いで、始動モード水温TWSTMODに応じて図4に示すTMTWCSDLYテーブルを検索し、遅延時間TMTWCSDLYを算出する。TMTWCSDLYテーブルは、始動モード水温TWSTMODが第1所定水温TW1(例えば40℃)以下の範囲では、遅延時間TMTWCSDLYが所定遅延時間TDLY1(例えば250秒)に設定され、始動モード水温TWSTMODが第1所定水温TW1(例えば40℃)より高く第2所定水温TW2(例えば60℃)以下の範囲では、始動モード水温TWSTMODが高くなるほど遅延時間TMTWCSDLYが減少するように設定され、始動モード水温TWSTMODが第2所定水温TW2より高い範囲では、遅延時間TMTWCSDLYは「0」に設定されている。
【0022】
続くステップS15では、ダウンカウントタイマTCSWAITを遅延時間TMTWCSDLYに設定してスタートさせ、気筒休止フラグFCYLSTPを「0」に設定する(ステップS24)。これは気筒休止の実行条件が不成立であることを示す。
【0023】
ステップS11でFSTMOD=0であって通常運転モードであるときは、エンジン水温TWが気筒休止判定温度TWCSTP(例えば75℃)より高いか否かを判別する(ステップS12)。TW≦TWCSTPであるときは、実行条件不成立と判定し、前記ステップS14に進む。エンジン水温TWが気筒休止判定温度TWCSTPより高いときは、ステップS12からステップS16に進み、ステップS15でスタートしたタイマTCSWAITの値が「0」であるか否かを判別する。TCSWAIT>0である間は、前記ステップS24に進み、TCSWAIT=0となると、ステップS17に進む。
【0024】
ステップS17では、車速VP及びギヤ位置GPに応じて図5に示すTHCSテーブルを検索し、ステップS18の判別に使用する上側閾値THCSH及び下側閾値THCSLを算出する。図5において、実線が上側閾値THCSHに対応し、破線が下側閾値THCSLに対応する。THCSテーブルは、ギヤ位置GP毎に設定されており、各ギヤ位置(2速〜5速)において、大まかには車速VPが増加するほど、上側閾値THCSH及び下側閾値THCSLが増加するように設定されている。ただし、ギヤ位置GPが2速のときは、車速VPが変化しても上側閾値THCSH及び下側閾値THCSLは一定に維持される領域が設けられている。またギヤ位置GPが1速のときは、常に全筒運転を行うので、上側閾値THCSH及び下側閾値THCSLは例えば「0」に設定される。また車速VPが同一であれば、低速側ギヤ位置GPに対応する閾値(THCSH,THCSL)の方が、高速側ギヤ位置GPに対応する閾値(THCSH,THCSL)より大きな値に設定されている。
【0025】
ステップS18では、スロットル弁開度THが閾値THCSより小さいか否かの判別をヒステリシスを伴って行う。具体的には、気筒休止フラグFCYLSTPが「1」であるときは、スロットル弁開度THが増加して上側閾値THCSHに達すると、ステップS18の答が否定(NO)となり、気筒休止フラグFCYLSTPが「0」であるときは、スロットル弁開度THが減少して下側閾値THCSLを下回ると、ステップS18の答が肯定(YES)となる。
【0026】
ステップS18の答が肯定(YES)であるときは、大気圧PAが所定圧PACS(例えば86.6kPa(650mmHg))以上であるか否かを判別し(ステップS19)、その答が肯定(YES)であるとき、吸気温TAが所定下限温度TACSL(例えば−10℃)以上であるか否かを判別し(ステップS20)、その答が肯定(YES)であるときは、吸気温TAが所定上限温度TACSH(例えば45℃)より低いか否かを判別し(ステップS21)、その答が肯定(YES)であるときは、エンジン回転数NEが所定回転数NECSより低いか否かを判別する(ステップS22)。ステップS22の判別は、ステップS18と同様にヒステリシスを伴って行われる。すなわち、気筒休止フラグFCYLSTPが「1」であるときは、エンジン回転数NEが増加して上側回転数NECSH(例えば3500rpm)に達すると、ステップS22の答が否定(NO)となり、気筒休止フラグFCYLSTPが「0」であるときは、エンジン回転数NEが減少して下側回転数NECSL(例えば3300rpm)を下回ると、ステップS22の答が肯定(YES)となる。
【0027】
ステップS18〜S22の何れかの答が否定(NO)であるときは、気筒休止の実行条件が不成立と判定し、前記ステップS24に進む。一方ステップS18〜S22の答がすべて肯定(YES)であるときは、気筒休止の実行条件が成立していると判定し、気筒休止フラグFCYLSTPを「1」に設定する(ステップS23)。
気筒休止フラグFCYLSTPが「1」に設定されているときは、#1〜#3気筒を休止させ、#4〜#6気筒を作動させる一部気筒運転が実行され、気筒休止フラグFCYLSTPが「0」に設定されているときは、全気筒#1〜#6を作動させる全筒運転が実行される。
【0028】
図3の処理によれば、大気圧PAが所定圧PACSより低い高地では、気筒休止の実行条件が成立せず、一部気筒運転は実行されない。この理由を以下に説明する。
【0029】
図8は、エンジン回転数NEを一定としたときの、スロットル弁開度THと吸気管内絶対圧PBAとの関係を示す。ラインL1,L2及びL3は、ぞれぞれ大気圧PAが100kPa,86.6kPa,及び73.3kPaである状態に対応する。この図から明らかなように大気圧PAが低下するほど、より小さいスロットル弁開度THで吸気管内絶対圧PBAが飽和する、すなわち、運転者がアクセルペダルを踏み込んでも、エンジン1の出力トルクが増加しない状態となる。そこで、本実施形態では、大気圧PAが86.6kPaのとき吸気管内絶対圧PBAが飽和するスロットル弁開度を閾値THCSとして(ラインA参照)、気筒休止実行条件を判定する(ステップS18)とともに、大気圧PAが所定圧PACS(=86.6kPa)より低いときは、気筒休止実行条件を不成立とし、一部気筒運転を禁止することとした。これにより、例えばラインL3で示されるように吸気管内絶対圧PBAがより低いスロットル弁開度で飽和する高地では、一部気筒運転が禁止され、スロットル弁開度THが閾値THCSに達するまでの間の、エンジン出力が変化しない領域を無くし、アクセル操作に対して、エンジン出力をほぼリニアに追従させることができる。
【0030】
本実施形態では、気筒休止機構30が切換手段を構成し、スロットル弁開度センサ4、吸気温センサ8、エンジン水温センサ9、クランク角度位置センサ10が運転パラメータ検出手段を構成し、大気圧センサ14が大気圧検出手段を構成する。またECU5が、指令手段及び禁止手段を構成する。具体的には、図3のステップS11〜S18、及びステップS20〜S24が指令手段に相当し、同図のステップS19が禁止手段に相当する。
【0031】
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態にかかる気筒休止条件判定処理のフローチャートである。この処理は、図3に示す処理のステップS19を削除し、ステップS17a及びステップS17bを追加するとともに、ステップS18をステップS18aに代えたものである。なお、以下に説明する点以外は、第1の実施形態と同一である。
【0032】
ステップS17aでは、大気圧PAに応じて図7に示すKPACSテーブルを検索し、補正係数KPACSを算出する。KPACSテーブルは、大気圧PAが第1所定圧PA0(例えば101kPa)以上であるときは、補正係数KPACSが「1.0」に設定され、大気圧PAが第2所定圧PA1(例えば87kPa)以下であるときは、補正係数KPACSが「0.5」に設定され、大気圧PAが第1所定圧PA0と第2所定圧PA1の間にあるときは、大気圧PAが低下するほど、補正係数KPACSが減少するように設定されている。
【0033】
ステップS17bでは、閾値THCS(上側閾値THCSH及び下側閾値THCSL)に、補正係数KPACSを乗算することにより、補正閾値THCSPA(補正上側閾値THCSHPA及び補正下側閾値THCSLPA)を算出する。ステップS18aでは、スロットル弁開度THが補正閾値THCSPAより小さいか否かの判別が、ヒステリシスを伴って行われる。すなわち、気筒休止フラグFCYLSTPが「1」であるときは、スロットル弁開度THが増加して補正上側閾値THCSHPAに達すると、ステップS18aの答が否定(NO)となり、気筒休止フラグFCYLSTPが「0」であるときは、スロットル弁開度THが減少して補正下側閾値THCSLPAを下回ると、ステップS18aの答が肯定(YES)となる。
【0034】
図7に示すKPACSテーブルは、図8に示すラインBに対応した補正閾値THCSPAが得られるように設定されている。したがって、補正係数KPACSにより補正された閾値THCSPAを用いることにより、吸気管内絶対圧PBAが飽和に達する近傍のスロットル弁開度THで、一部気筒運転から全気筒運転に切り換えることが可能となる。その結果、吸気管内絶対圧PBAが飽和してスロットル弁開度が判定閾値に達するまでの間の、エンジン出力が変化しない領域を無くし、アクセル操作に対してエンジン出力をほぼリニアに追従させることができる。
【0035】
本実施形態では、気筒休止機構30が切換手段を構成し、スロットル弁開度センサ4が負荷検出手段を構成し、大気圧センサ14が大気圧検出手段を構成する。またECU5が、指令手段及び判定閾値手段を構成する。具体的には、図6のステップS11〜S16、及びステップS18a〜S24が指令手段に相当し、同図のステップS17,S17a,S17bが判定閾値設定手段に相当する。
【0036】
なお本発明は上述した実施形態に限るものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上述した実施形態では、車速VPに応じて閾値THCSが算出され、次いで大気圧PAに応じた補正係数KPACSが算出され、閾値THCSに補正係数KPACSを乗算することにより補正閾値THCSPAが算出されるが、車速VP及び大気圧PAに応じたTHCSPAマップを予めメモリに記憶しておき、検出した車速VP及び大気圧PAに応じてTHCSPAマップを検索することにより、補正閾値THCSPAを算出するようにしてもよい。
【0037】
また、上述した実施形態では、負荷検出手段としてスロットル弁開度センサ4を用いているが、エンジン1により駆動される車両のアクセルペダルの踏み込み量(以下「アクセルペダル操作量」という)APを検出するアクセルセンサを負荷検出手段として設け、アクセルペダル操作量APをエンジン負荷を表すパラメータとして使用してもよい。その場合には、図9または図10に示す処理により気筒休止条件の判定を行う。なお、アクセルペダルは、スロットル弁開度THがアクセルペダル操作量APにほぼ比例するようにスロットル弁3に接続されている。
【0038】
図9は、図3のステップS17及びS18を、それぞれステップS17c及びS18bに変更したものである。ステップS17cにおいては、車速VP及びギヤ位置GPに応じてAPCSテーブル(図示せず)を検索し、アクセルペダル操作量APの閾値APCS(下側閾値APCSL及び上側閾値APCSH)を算出し、ステップS18bでは、検出したアクセルペダル操作量APが閾値APCSより小さいか否かの判別を、ヒステリシスを伴って行う。APCSテーブルは、THCSテーブルと同様に設定されており、ギヤ位置GP毎に、車速VPが増加するほど、下側閾値APCSL及び上側閾値APCSHが増加するように設定されている。
【0039】
図10は、図6のステップS17,S17b,及びS18aを、それぞれステップS17c,S17d,及びS18cに変更したものである。図10のステップS17cでは、図9のステップS17cと同一の処理が行われる。ステップS17dでは、閾値APCS(下側閾値APCSL及び上側閾値APCSH)に補正係数KPACSを乗算することにより補正閾値APCSPA(補正下側閾値APCSLPA及び上側閾値APCSHPA)が算出される。そして、ステップS18cでは、検出したアクセルペダル操作量APが補正閾値APCSPA(補正下側閾値APCSLPA及び上側閾値APCSHPA)より小さいか否かを判別が、ヒステリシスを伴って実行される。
【0040】
また本発明は、クランク軸を鉛直方向とした船外機などのような船舶推進機用エンジンなどにおいて気筒休止を行う場合にも適用が可能である。
【0042】
【発明の効果】
以上詳述したように請求項1に記載の発明によれば、検出した大気圧が低くなるほど判定閾値が低負荷側に設定され、検出した機関負荷がその判定閾値より小さいとき、一部気筒運転が実行される。一部気筒運転中においてスロットル弁を開弁して加速を行う際に、スロットル弁の開度を増加させても機関の吸気管内圧が増加しない状態となるスロットル弁開度の近傍のスロットル弁開度で、一部気筒運転から全気筒運転に切り換えられるように制御される。その結果、吸気管内圧が飽和してスロットル弁開度が判定閾値に達するまでの間の、機関出力が変化しない領域を無くし、アクセル操作に対して機関出力をほぼリニアに追従させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる内燃機関及びその制御装置の構成を示す図である。
【図2】気筒休止機構の油圧制御系の構成を示す図である。
【図3】気筒休止条件を判定する処理のフローチャートである。
【図4】図3の処理で使用されるTMTWCSDLYテーブルを示す図である。
【図5】図3の処理で使用されるTHCSテーブルを示す図である。
【図6】気筒休止条件を判定する処理(第2の実施形態)のフローチャートである。
【図7】図6の処理で使用されるテーブルを示す図である。
【図8】スロットル弁開度(TH)と吸気管内絶対圧(PBA)との関係を示す図である。
【図9】図3の処理の変形例を示すフローチャートである。
【図10】図6の処理の変形例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 内燃機関
2 吸気管
3 スロットル弁
4 スロットル弁開度センサ(運転パラメータ検出手段、負荷検出手段)
5 電子制御ユニット(指令手段、禁止手段、判定閾値設定手段)
8 吸気温センサ(運転パラメータ検出手段)
9 エンジン水温センサ(運転パラメータ検出手段)
10 クランク角度位置センサ(運転パラメータ検出手段)
14 大気圧センサ(大気圧検出手段)
30 気筒休止機構(切換手段)
Claims (1)
- 複数気筒を有し、前記複数気筒の全てを作動させる全筒運転と、前記複数気筒のうち一部気筒の作動を休止させる一部気筒運転とを切換える切換手段を備えた内燃機関の制御装置において、
前記機関の負荷を検出する負荷検出手段と、
検出した機関負荷が判定閾値より小さいとき、前記一部気筒運転を前記切換手段に指令する指令手段と、
大気圧を検出する大気圧検出手段と、
検出した大気圧が低くなるほど、前記判定閾値を低負荷側に設定する判定閾値設定手段とを有し、
前記一部気筒運転中において前記機関のスロットル弁を開弁して加速を行う際に、前記スロットル弁の開度を増加させても前記機関の吸気管内圧が増加しない状態となるスロットル弁開度の近傍のスロットル弁開度で、前記一部気筒運転から前記全気筒運転に切り換えるようにしたことを特徴とする内燃機関の制御装置。
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