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JP4079520B2 - 使い捨て紙おむつ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、使い捨て紙おむつに係り、特に吸収体の構造に特徴を有する使い捨て紙おむつに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の使い捨て紙おむつにおいては、現状においては、パンツ型紙おむつ(一般的に胴開口部および左右一対の脚開口部を形成するために、前身頃と後身頃との両側縁部をたとえば超音波溶着などにより接合したもの)と、テープファスナー式紙おむつ(商品として前身頃と後身頃とが分離した状態とされ、使用時において予め後身頃の両側に取り付けられたテープファスナーを前身頃の前面に止着するもの)とに大別される。
【0003】
いずれにしても、透液性シートと不透液性シートとの間に綿状パルプを主体とする吸収体が介在され、この吸収体を透液性シートと不透液性シートとで覆っている。この場合、綿状パルプのみでは、その形状が安定しないなどの理由から、綿状パルプの上面および下面をクレープ紙で覆っている。また、吸収体は2層構造としたり、適宜の位置に高分子吸収剤を設けることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年では、この種の吸収体の形態については技術的に確立したものとされ、その改良を図ることについて考慮がなされていないのが現状である。
【0005】
しかし、改めて種々の角度から吸収体について検討してみると、吸収体は目的の尿吸収能力を有することが必要であるところ、その尿吸収能力を高めるために吸収体の綿状パルプの面積を大きくすると、特にパンツ型紙おむつにおいては、脚を入れて着用する際に、ある程度の剛性(半剛性)を有する綿状パルプに対して脚が当たり着用しづらいことを回避する必要がある課題があることが判明した。
【0006】
したがって、本発明の主たる課題は、全体としてみれば十分な尿吸収能力をもちながらも、特にパンツ型おむつにおいて脚の通し易さを改良し、かつ脚回りのフィット性を高めた使い捨て紙おむつを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明の請求項1記載の発明は、前身頃と後身頃との両側縁部が接合されて胴開口部及び左右一対の脚開口部が形成され、
脚回り相当位置における両側縁が内方に括れた括れ部分を有する、綿状パルプを主体とする吸収要素と、この吸収要素を内包するクレープ紙とを有する吸収体が、透液性シートと不透液性シートとの間に設けられ、さらに製品の使用面側両側においてバリヤーカフスを有する、パンツ型の紙おむつにおいて、
前記クレープ紙は、前記吸収要素の上面、および非括れ部分側縁を超え、前記吸収要素の全長にわたって両外側方に延在する上フラップ部を有する上層クレープ紙と、
前記吸収要素の下面、非括れ部分側縁を超え、前記吸収要素の全長にわたって両外側方に延在する下フラップ部、およびその延在端から折り返され前記上フラップ部に重ね合わされる折り返し部を有する下層クレープ紙とを備え、
前記各バリヤーカフスの幅方向内方の起立縁が、非括れ部分より幅外方の上層クレープ紙上に位置していることを特徴とする使い捨て紙おむつである。
【0008】
請求項2記載の発明は、側縁の接合部がおむつ中央線に対して非平行で、脚開口部側ほどおむつ外方に位置させてある、請求項1記載の使い捨ておむつである。
【0009】
請求項3記載の発明は、前記非括れ部分側縁を超えた各フラップ部において、重合するクレープ紙相互がホットメルト接着剤により接合され、前記吸収要素の幅方向の移動が規制されている請求項1又は2記載の使い捨て紙おむつである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明を図面に示す実施の形態によってさらに詳説する。
(全体構造例)
図1は本発明に係るパンツ型おむつ例Pの展開状態を示し、図2は製品状態のパンツ型おむつPの正面を示し、図3はその側面を示している。すなわち、本例の紙おむつPは、外形シート1と、この外形シート1内面に固定され、股間部4を中心として前後方向に延在する吸収主体10とで構成されている。
【0011】
図1と図2および図3との関係から判るように、前身頃Fと後身頃Bとの両側縁部を接合することにより、胴開口部WOおよび左右一対の脚開口部LOを形成し、これらの脚開口部LO,LOにおいて、その開口を収縮させるように、図示の形態においては複数本の弾性糸G1…,G2…からなる脚周り弾性部材を設けたものである。接合部30の形態については、後に詳述する。20は腰回りのフィット性を高めるための腰回り弾性部材、21は胴回りのフィット性を高め、尿の前後漏れを防止するための胴回り弾性部材である。なお、図2および図3において、腰回り弾性部材20については図示していない。
【0012】
外形シート1は複数枚の不織布を積層固定してなり、それらの間に、前身頃Fの左腰脇部2Lから前身頃Fの左脚周り部3L、股間部4、前身頃Fの右脚周り部3Rを経て前身頃Fの右腰脇部2Rまで連続するように複数本の弾性糸G1…が固定されるとともに、後身頃Bの左腰脇部5Lから後身頃Bの左脚周り部6L、股間部4、後身頃Bの右脚周り部6Rを経て後身頃Bの右腰脇部5Rまで連続するように複数本の弾性糸G2…が固定されたものである。図2および図3に示すように、これら複数本の弾性糸G1…,G2…により左脚周り部3L,6Lおよび右脚周り部3R,6Rのそれぞれに脚周りギャザー7,7が形成される。なおCは、各脚周り部の中央領域を示している。
【0013】
吸収主体10は、たとえば、不織布などからなり着用者の肌に直接触れる透液性トップシート11と、ポリエチレンなどのプラスチックフィルムや撥水処理を施した不織布などからなる不透液性バックシート12との間に、綿状パルプを主体とする吸収要素13を内包するクレープ紙14を有する吸収体ABを挟み込み、透液性トップシート11と不透液性バックシート12とで形成される吸収体ABが存在しない周縁部分を例えばホットメルト接着剤等により接着して一体化して、吸収体ABを位置決めしたものとして形成することができる。
【0014】
そして、本例の紙おむつPでは、前身頃F側の複数本の弾性糸G1…は、前身頃Fの左腰脇部2L、股間部4および前身頃Fの右腰脇部2Rにおいては束ねられた状態で外形シート1に固定され、その他の部分すなわち前身頃Fの左脚周り部3Lおよび前身頃Fの右脚周り部3Rでは相互に間隔を開けて外形シート1に固定されている。
【0015】
また、後身頃B側の複数本の弾性糸G2…は、後身頃Bの左腰脇部5L、股間部4および後身頃Bの右腰脇部5Rの各部においては束ねられた状態で外形シート1に固定され、その他の部分すなわち後身頃Bの左脚周り部6Lおよび後身頃Bの右脚周り部6Rでは相互に間隔を開けて外形シート1に固定されている。なお、図示例では、前身頃F側に固定した複数本の弾性糸G1…および後身頃B側に固定した複数本の弾性糸G2…の両方が、股間部4において1本に束ねられている。
【0016】
したがって、本例の紙おむつ1では、各複数本の弾性糸G1…,G2…の配設間隔は脚周り部3L,3R,6L,6Rで最も広く、股間部4および腰脇部2L,2R,5L,5Rで最も狭くなっている。
【0017】
このように弾性糸を配設することで、複数本の弾性糸G1…,G2…を束ねて固定した部位、すなわち股間部4および腰脇部2L,2R,5L,5Rの収縮力が弱まる。その結果、吸収主体10の幅方向の収縮が小さくなるとともに、被着者の腰脇に締付け跡が付きにくくなる。また本例では、脚周り部3L,3R,6L,6Rでは、複数の弾性糸G1…,G2…は相互に間隔を開けて外形シート1に固定されているので、当該部分の収縮力は股間部4や腰脇部2L,2R,5L,5Rと比べて強い。また、この脚周り部3L,3R,6L,6Rはより幅方向に広い面で被着者の太股に接する。よって、太股の付け根に対するフィット性が良好であり、締付け跡が付きにくいとともに横漏れ防止効果にも優れる。
【0018】
他方、前記の弾性部材または弾性糸としては、適宜の太さおよび断面形状を有する天然ゴム糸や合成ゴム糸を使用できる。弾性糸の本数も、複数であれば図示例のように3本である必要はない。
【0019】
また、上記例では前身頃F側に固定した複数本の弾性糸G1…および後身頃B側に固定した複数本の弾性糸G2…の両方が、股間部4において1本に束ねられているが、これに限定されない。すなわち、前身頃F側に固定した複数本の弾性糸と後身頃B側に固定した複数本の弾性糸とを、股間部においてそれぞれ別々に束ねることができる。
【0020】
この場合、前身頃F側の複数本の弾性糸G1…と後身頃B側の複数本の弾性糸G2…とを股間部4においてそれぞれ別々に束ね、かつ各複数本の弾性糸G1…,G2…を互いに交差させるようにしたり、前身頃F側の複数本の弾性糸G1…と後身頃B側の複数本の弾性糸G2…とを股間部4においてそれぞれ別々に束ね、かつ各複数本の弾性糸G1…,G2…を交差させず前後方向に離間するようにしたりすることができる。
【0021】
さらに上記例では、股間部および腰脇部における複数本の弾性糸を束ねた状態で外形シートに固定し、脚周り部における複数本の弾性糸を間隔を開けて外形シートに固定しているが、これに限定されない。
【0022】
すなわち、少なくとも股間部における複数本の弾性糸の相互間隔が脚周り部のそれと比べて狭ければ良い。したがって、かかる条件を満足する限り、例えば全ての部位における複数本の弾性糸が間隔を開けて配設されていても良い。また、股間部および腰脇部の両方における複数本の弾性糸の相互間隔を脚周り部よりも狭くする場合において、股間部における複数本の弾性糸の相互間隔と腰脇部における複数本の弾性糸の相互間隔とが異なっていても良い。
【0023】
他方、本例における前身頃Fと後身頃Bとの両側縁部の実質的に長手方向全体を接合した接合部は、図1および図2に明示してあるように、その接合部30がおむつ中央線に対して非平行で、脚開口部LO側ほどおむつ外方に位置させてあり、これにより脚を入れ易くしてある。
【0024】
(吸収体の形態について)
さて、本発明の吸収体の形態例の代表例が図4に示されている。すなわち、脚回り相当位置における両側縁が内方に括れた括れ部分13aを有する、綿状パルプを主体とする吸収要素13と、この吸収要素13を内包するクレープ紙14A,14Bとを有して吸収体ABが構成されている。この吸収体ABは前述のように、かつ図1および図6に明示されているように、透液性トップシート11と不透液性バックシート12との間に設けられている。
【0025】
前記クレープ紙は、図4が特に参照されるように、吸収要素13の上面、および非括れ部分側縁を超えて両外側方に延在する上フラップ部を有する上層クレープ紙14Aと、吸収要素13の下面、非括れ部分側縁を超えて両外側方に延在する下フラップ部、およびその延在端から折り返され前記上フラップ部に重ね合わされる折り返し部を有する下層クレープ紙14Bとを備えている。
【0026】
かかる吸収体形態を採る利点は次のとおりである。すなわち、第1に、吸収要素13とは上層および下層クレープ紙14A,14Bにより包み込まれているために、吸収要素13が少なくとも幅方向外側にはみ出さない。
【0027】
第2に、吸収要素13の幅を狭くしたとしても、上層および下層クレープ紙14A,14Bが存在する幅領域においては尿の吸収性が確保される。しかるに、括れ部分13aの外方の上層および下層クレープ紙14A,14Bのみが存在する部分においては、剛性がなく易変形性を示すので、紙おむつの装着に際して脚を通すとき、その部分が容易に変形して簡単に脚を入れることができる。
【0028】
反対に、吸収要素13に括れ部分13aを有することで、装着した後において、脚の動きの自由度が大きく、脚回りにおいて良好なフィット性を示す。
【0029】
第3に、バリヤーカフスを有する形態例を示す図5および図6に示されているように、不透液性シートまたは撥水性シートからなるバリヤーシート40およびその自由端部に設けた弾性伸縮部材41によりバリヤーカフスを構成するようにするとき、そのバリヤーカフスの起立縁を括れ部分13aに位置、またはさらに外方の非括れ部分に位置決めすると、少なくとも括れ部分13aが、軟便の一時的なポケットとなり、その尿分を上層および下層クレープ紙14A,14Bのうち、主に上層クレープ紙14Aが拡散させるように作用し、幅方向中間または長手方向に拡散した尿はやがて吸収要素13に吸収されるようになる。
【0030】
したがって、バリヤーカフスの起立縁を吸収要素13の幅内に位置させる必要はないから、バリヤーカフスの起立縁をより外方に位置させることができ、その結果、両側のバリヤーカフスの自由端部の離間間隔を拡げることができ、もって着用者の過度の幅方向の動きがあったとしても、尿および軟便を確実に捕捉できる。
【0031】
他方、図8に示すように、上層クレープ紙14Aの側部を、下層クレープ紙14Bの側部上へ重ねるようにしてもよい。
【0032】
なお、本発明の吸収体の形態は、パンツ型紙おむつに限定されることなく、図7に示すように、テープファスナー式紙おむつにおいても適用される。このテープファスナー式紙おむつにおいても、バリヤーカフスを構成することができる。
【0033】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によれば、全体としてみて十分な尿吸収能力をもち、特にパンツ型おむつにおいて脚の通し易さを改良し、かつ脚回りのフィット性を高めるなどの利点がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るパンツ型おむつの展開図である。
【図2】 本発明に係るパンツ型おむつの未着用状態の正面図である。
【図3】 その側面図である。
【図4】 吸収体の形態を示すもので、(A)は平面図、(B)はそのB−B線矢視図である。
【図5】 本発明のバリヤーカフスを有する紙おむつの第2の実施の形態を示した展開図である。
【図6】 その脚回り部分の概略横断面図である。
【図7】 テープファスナー式紙おむつの形態例の展開図である。
【図8】 他の吸収体の形態を示す概要横断面図である。
【符号の説明】
P…パンツ型おむつ、1…外形シート、10…吸収主体、11…透液性トップシート、12…不透液性バックシート、13…吸収要素、13a…括れ部分、14A…上層クレープ紙、14B…下層クレープ紙、30…接合部、40…バリヤーシート、41…弾性伸縮部材、AB…吸収体。

Claims (3)

  1. 前身頃と後身頃との両側縁部が接合されて胴開口部及び左右一対の脚開口部が形成され、
    脚回り相当位置における両側縁が内方に括れた括れ部分を有する、綿状パルプを主体とする吸収要素と、この吸収要素を内包するクレープ紙とを有する吸収体が、透液性シートと不透液性シートとの間に設けられ、さらに製品の使用面側両側においてバリヤーカフスを有する、パンツ型の紙おむつにおいて、
    前記クレープ紙は、前記吸収要素の上面、および非括れ部分側縁を超え、前記吸収要素の全長にわたって両外側方に延在する上フラップ部を有する上層クレープ紙と、
    前記吸収要素の下面、非括れ部分側縁を超え、前記吸収要素の全長にわたって両外側方に延在する下フラップ部、およびその延在端から折り返され前記上フラップ部に重ね合わされる折り返し部を有する下層クレープ紙とを備え、
    前記各バリヤーカフスの幅方向内方の起立縁が、非括れ部分より幅外方の上層クレープ紙上に位置していることを特徴とする使い捨て紙おむつ。
  2. 側縁の接合部がおむつ中央線に対して非平行で、脚開口部側ほどおむつ外方に位置させてある、請求項1記載の使い捨ておむつ。
  3. 前記非括れ部分側縁を超えた各フラップ部において、重合するクレープ紙相互がホットメルト接着剤により接合され、前記吸収要素の幅方向の移動が規制されている請求項1又は2記載の使い捨て紙おむつ。
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