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JP4078422B2 - ガス漏洩検知方法及び装置 - Google Patents

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JP4078422B2 JP2003305983A JP2003305983A JP4078422B2 JP 4078422 B2 JP4078422 B2 JP 4078422B2 JP 2003305983 A JP2003305983 A JP 2003305983A JP 2003305983 A JP2003305983 A JP 2003305983A JP 4078422 B2 JP4078422 B2 JP 4078422B2
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Description

本発明は漏洩ガス検出の方法及び装置に関するものであり、ある既知成分のガス中に他のガスが混入した場合にそのガス成分を識別するために、室温作動でき、また被検出ガスを反応、消費することなく熱源なしで検出する新しいタイプのガス検知方法とガスセンサに関する。
一般にイオン化やクロマトグラフを用いた質量分析法を行えば漏洩ガスを検出することが可能である。
その他のガス識別法として、様々なガスに対応したガスセンサを複数組み合わせることにより多成分を複数同時に識別しようとするもので、複数個のセンサーと各センサーからのシグナルを解析する情報処理装置からなるものが提案されている(特許文献1)。
また、クリスタルゲージ(水晶振動子)単体で、被測定ガスの高分子膜への吸着による粘性的性質の変化により共振抵抗値が変化することからクリスタルゲージの共振周波数変化と共振抵抗の変化の比を利用することによりガス識別を可能とその電気的インピーダンス変化と共振周波数変化の比を指標としそれぞれの値の組み合わせから成分を識別するガス識別センサーシステム(特許文献2)が提案されている。
また現在市販されているガスセンサとして、主流となっている半導体ガスセンサを含めたものに見られるように測定するガス自身を燃焼反応させることにより検出するものである(特許文献3)。このセンサは可燃性ガスと触媒材との触媒反応による発熱を、熱電変換効果により電圧信号に変換し、それを検出信号として検出するガス検出センサであって、被検出ガスと接触して触媒反応を起こす触媒材と、この反応による発熱から発生する局部的な温度差を電圧信号に変換する熱電変換材料膜を構成要素として含むことを特徴とする可燃性ガス検出センサである。
一方2成分とも既知である2成分混合気体の各濃度を測定する方法が開発されている(特許文献4)。この方法は物性値に敏感な圧力測定装置と、物性値に拠らない圧力測定装置で圧力を測定し、予め求めた物性値データに照らし合わせることによって2成分の各濃度を測定する方法である。この方法はガス成分の物性値に依存する圧力が成分によって異なることを基礎とした測定法である。
特許第2888886号公報 特許第2764109号公報 特開2003−156461公報 特許第3336384号公報
しかし上記の例のうち、まず質量分析法は汎用性が高く検出感度、識別能も高い分析法であるが、これを実際に行うには高価で大掛かりな装置が必要である。
また、ガスセンサを複数個用いる方法(特許文献1)では検出する成分にガスセンサを揃えることが必要であり、ガスセンサが対応していない成分については識別することができないという本質的な欠点を持つ。また、情報処理用の装置類を含めるとかなり大掛かりな装置となり、情報処理計算に時間を要するためにリアルタイムでの測定が不可能である。
一方、特許文献2の技術では常温ガス成分に対する識別が記載されておらず、また本発明で対象とするような混合気体への応用についての記載も示唆もない。
また、現在市販されているガスセンサの検知方法ではその検知過程においてガスの燃焼反応を伴うためガス検出の際には危険性が伴う。この検出法では測定に際し被検出ガスの消費を伴うため厳密にはある状況下での成分濃度を正確に測定することができない。さらにこの種のセンサは検出感度を確保するために加熱することが必要であり、こうした点も可燃性ガス検出には安全性の観点から好ましくない。
したがって、上記のいずれの技術においても、既知成分の気体中に別の未知気体成分が混入した場合、混入した気体の成分を識別することは不可能である。
本発明は上記の問題を解決するため、簡便で熱源を用いず、また被検出ガス自身の反応、すなわち消費を伴わないガス識別法及び漏洩ガス検知法を提供することを目的とする。
本発明の上記の課題は、以下の手段により達成された。
(1)大気中に水素が漏洩した際に、大気圧センサとしての隔膜真空計の出力水晶摩擦真空計の出力とを比較することにより水素ガスの漏洩を検知する方法。
大気圧センサとしての隔膜真空計と、水晶摩擦真空計と、両者の変化を比較する回路からなる、大気中への水素ガス漏洩検出装置。
また、上記の課題を解決するための参考態様としては以下の方法および装置がある。
[1]系の全圧の絶対圧力が変化しないかまたは増加もしくは減少する場合において、物性値に依存する圧力測定装置で系の圧力を測定し、その減少もしくは増加の変化を検知することによって、特定ガスの漏洩、混入を検知する方法。
[2]前記物性値は粘性とし、前記物性値に敏感な圧力測定装置として水晶摩擦真空計またはスピニングロータゲージを用い、物性値に影響を受けない圧力測定装置として隔膜真空計を用いた[1]記載の漏洩ガス検出方法。
[3]既知成分の気体中に別の未知1成分のガスが混入した際に物性値によらない絶対圧力計の増加または不変の出力に対して逆に圧力の減少の変化を示す物性値に敏感な圧力測定器の出力とを組み合わせることによって混入した気体漏洩を検知及び気体の成分を識別する方法。
[4]空気中に水素が漏洩混入した場合、絶対圧力真空計によって圧力の上昇または不変を検出すると同時に、該絶対圧力真空計と水素が増加したことによる粘性の低下を検出しうる、粘性に敏感な圧力計である水晶摩擦真空計、スピニングロータゲージ、もしくはその他の物性値に敏感な圧力測定子とを接続し、同時に圧力を測定して、両圧力測定値の変化の相違から空気中へ混入したガスの成分を識別する方法。
[5]大気中に水素またはヘリウムが漏洩した際に、大気圧センサと物性値に敏感な圧力測定装置の出力とを比較することにより水素またはヘリウムガスの漏洩を検知する方法。
[6]漏洩前後での変化を測定する物性値の影響を受けない圧力測定装置と、漏洩前後での変化を測定する物性値に敏感な圧力測定装置と上記のそれぞれの変化の相対変化を判定する回路からなる漏洩気体検知装置。
[7]微小な増加または不変化に対して減少の現象が起こった場合にそれを増幅して大きな変化として検出できる回路をさらに設けた[6]記載の漏洩気体検知装置。
[8]前記物性値に敏感な圧力測定装置として水晶摩擦真空計またはスピニングロータゲージを用い、物性値に影響を受けない圧力測定装置として隔膜真空計を用いた[6]記載の混合気体用の漏洩ガス検出装置。
[9]大気圧センサと、物性値に敏感な圧力測定装置と、両者の変化を比較する回路からなる、大気中への水素またはヘリウムガス漏洩検出装置。
本発明により既知成分気体に別の未知成分気体が混入した場合にその成分を識別することが可能になる。具体的には、例えば空気中への水素ガスの漏洩を検出することを可能にする。さらにこの検出法は熱源及び被測定対象の反応を伴わないため従来法と比べ安全に、かつ被測定対象を消費することなく検出できる方法である。また、この装置は小型化が可能なため携帯式の漏洩検知器としても応用できる。本発明は、とりわけ水素エネルギー関連の分野での利用が期待される。
本発明は、系の絶対圧力が増加または不変の場合に粘性・熱伝導率・密度・分子量およびそれらの関数としての混合気体の物性値に依存する圧力が減少する現象を観測することによって漏洩した水素またはヘリウムの気体の成分を検知、識別するものである。
更に詳細には、粘性等の物性値に敏感な測定子Aと、絶対圧力のみに敏感な測定子Bを同時に用いて対象混合気体を計測し、測定子A、Bで測定した漏洩前後の圧力の変化を測定、比較することにより漏洩した水素またはヘリウムの気体の検知、識別を行うものである。
本発明において、系の全圧の絶対圧力で変化しないかまたは増加する場合を例に述べると、これは例えば大気中や流れのある配管内のような、通常一定圧力にあり、かつ外からのガスの流入の可能性があるような状況下で、実際に気体が漏洩、混入した場合をいう。
物性値の差による漏洩気体識別については系の(物性値に依存しない)絶対圧力が変わらないか又は増加した場合、物性値と絶対圧力に依存する圧力測定装置で測定した系の圧力が減少したとすれば、その減少は絶対圧力によるものではないことから、減少の大きさに関わらず混合気体の物性値が変化したことによるものであることが帰結される。
例えば絶対圧力計で測定した大気の圧力が変化しないか増加した状態で水晶摩擦真空計で測定した圧力のみが減少した場合、その減少は水晶摩擦真空計が敏感に依存する物性である系の質量及び粘性等が大きく低下したことによるものであることが結論される。すなわち元々の構成気体である空気の質量及び粘性に比べて小さい気体が漏洩混入したことになる。この場合、後記の表1に見られるように空気に対してより小さい質量及び粘性を持つガスとしては水素、ヘリウム、窒素などがある。この場合、後述するように水素(またはヘリウム)を用いた場合は最小で2000ppmの濃度においてもここで用いた水晶摩擦真空計の最小変化である1Torr以上を観測することが可能であるため、漏洩気体が水素(またはヘリウム)であることは実際に識別できる。
上記から容易に推測されるように逆に系の(物性値に依存しない)絶対圧力が変わらないかまたは減少した場合に物性値と絶対圧力に依存する圧力測定装置で測定した系の圧力が増加したとすれば、その増加は絶対圧力によるものではないことから、増加の大きさに関わらず混合気体の物性値が変化したことによるものであることが帰結される。
後述するように上記測定子Aと測定子Bに、測定子Aの対象圧力範囲以外に対応した感受性を有する測定子Cを追加することでさらに測定圧力範囲を広げる装置の感度を増幅することができる。
本発明における使用される測定子の例としては、例えば液柱差真空計、圧縮真空計、隔膜真空計、ブルドン管真空計等の圧力のみに敏感なものや、圧力に依存して変わると共に、運動固体が気体から受ける摩擦力変化・固体から気体への熱伝導率変化・固体表面近傍で気体が反応したときの固体が受ける分解生成熱といった物理量のうち、いずれかの物理量が変化する圧力計があげられる。
前記圧力が変化すると共に物理量が変化する圧力計としては、例えば粘性(摩擦)を利用する水晶摩擦真空計やスピニングロータゲージ、熱伝導を利用する熱電対真空計やピラニー真空計、そのほかクヌーセン真空計等を用いることができ、また、電離現象を利用する例えば熱陰極電離真空計、冷陰極電離真空計、放射線電離真空計等を使用することができる。これら測定子は、引火性・爆発性といった気体の性質・対象混合気体の濃度・圧力によって使い分けることができる。この圧力計は前記の測定子Aとして用いられる。
次に本発明の好ましい実施態様を図面に従って説明する。
なお図面中、同符号は同じものを示す。
図1に本発明を実施する装置の模式図を示す。同図に示されるように、被測定混合ガスが供給される配管4に連通管10を接続し、この連通管に対して混合ガスの粘性や分子密度等の物性によって測定値が変化しない絶対圧力を測定することができる絶対圧力測定子1を接続すると共に、気体の粘度等の物性により表示圧力が変化し、且つ予めその特性が知られている圧力測定子、即ち圧力・物性値測定子2を接続している。
また、前記絶対圧力測定子1及び圧力・物性測定子2で測定した漏洩前後の圧力変化から特定の気体漏洩を判断する気体成分識別(気体漏洩検知)装置3を備えている。
図2により具体的な実施態様を示す。図2は、空気中に水素ガスが混入した場合の水素検知装置の実施例であり、絶対圧力測定子として隔膜真空計5を用いている。この隔膜真空計5は物性値に無関係に気体圧力の絶対値を得ることができ、それにより気体の種別に無関係に漏洩前後の気体圧力を計測することができる。図中8は被測定混合ガスが供給される配管であり、7は気体成分識別装置である。
図2の態様において、圧力・物性値測定子としては水晶摩擦真空計6を用いている。
この水晶摩擦真空計6の特性を図3に示す。これは例えば表1に示すように気体の分子量と粘性係数の違いによって水晶摩擦真空計の指示値が見かけ上異なる圧力を表示していることを示すものである。この理由は、水晶摩擦真空計が、気体に接した水晶振動子の受ける気体との摩擦力が、圧力が粘性流の領域では気体の分子量と気体の粘性係数の積の1/2乗に比例することから生じるものである。この水晶摩擦真空計は、常温で動作し、被測定気体を反応させることがないため測定によって被反応気体を消費せず、可燃性ガスを安全に検出、測定することが可能である。
Figure 0004078422
特に測定子5の増加に対して測定子6の変化が逆に減少するような場合はその相対変化が大きく結果としてその変化が検出しやすくなるため、ガス識別を有効に行うことができる。このような例として、空気中への水素及びヘリウムの漏出がある。
図4は、図3の装置を用い、上記によって示された検出の例である。圧力のみに敏感な隔膜真空計5と圧力と例えば粘性等の物性値に敏感な水晶摩擦真空計6とで測定されている系において、空気中に他の未知成分ガスが混入した場合に隔膜真空計5の測定値aは混入した分増加するが、水晶摩擦真空計6の測定値bは混合気体の物性値に応じてその変化量の割合は隔膜真空計5の変化量と比べて異なる値を示し、減少する結果を示した。
水晶摩擦真空計は測定対象の質量及び粘性に大きく依存することから、この場合空気中に空気と比較して質量または粘性の小さいガス、すなわち水素(またはヘリウム)が混入したことがわかる。
なお、ヘリウムの場合も同様な変化を検出した。
時間応答特性については、水晶摩擦真空計の最大変化の90%までの立ち上がり時間は200秒程度であったが、この時間にはガス流れの飽和に要する時間が含まれているため、実際の応答時間はより短い。また最大変化の90%までの立ち下がり時間も100秒程度であったが、この場合もここでの実施上水素ガスが完全に排出されるまでの時間が含まれているため実際の応答時間はこれよりも短い。本発明のガス漏洩検知方法は以上のような時間応答特性を持つため繰り返し特性において優れた方法である。
さらに本発明の方法では、濃度計算機と組み合わせて前述した「2種類混合気体の濃度測定方法および濃度測定装置(特許第3336384号)」の方法を用いることにより検知したガスの濃度が定量できる。
図5は、本発明の変更実施態様を示し、前記図2に示す実施態様の装置に、更に配管15の連通管にスピニングロータゲージ13を接続し、3種類の真空計で構成された濃度計測装置の実施例を示す。隔膜式真空計11は前記のように気体の種別に無関係に絶対圧力を計測し、水晶摩擦真空計12は気体の粘性・分子量の物性値と圧力の双方に敏感であって使用圧力範囲は10−2pa から10−5pa であり、スピニングロータゲージ13は水晶摩擦真空計12と同様に気体の粘性・分子量の物性値と圧力の双方に敏感であって、使用圧力範囲は10−5Pa から1Pa である。識別結果は気体成分識別装置14より得られる。
図6には前記スピニングロータゲージ13の特性を示しており、この測定子は水晶摩擦真空計よりも真空度の高い領域を計測できる。同図に見られるように大気圧以上の圧力領域ではスピニングローターでの指示値において空気と水素の差は少なくとも2倍はあるため、その差から推測して水素ガス識別が可能である。
したがって、図5の気体成分識別装置14においては、真空度の高い領域ではスピニングロータゲージ13の表示値を用い、低い領域では水晶摩擦真空計12の表示値に基づくことにより漏洩気体の識別を行うことができ、また、両者の値の有効な範囲では両者の値を用い、圧力の影響を演算処理して取り除くことで、気体の物性値を得ることにより漏洩気体の識別を行うことができる。
本発明の装置を模式的に説明する測定機器構成図である。 本発明の実施例の測定機器構成図である。 本発明の実施例で用いる水晶摩擦真空計の特性を示すグラフである。 空気中に水素ガスが漏洩した場合の測定結果を示すグラフである。 本発明の別の実施例の測定機器構成図である。 本発明の実施例で用いるスピニングロータゲージの特性図である。
符号の説明
1 絶対圧力測定子
2 圧力・物性測定子
3 気体成分識別(気体漏洩検知)装置
4 配管
5 隔膜真空計
6 水晶摩擦真空計
7 気体成分識別装置
8 配管
10 連通管
11 隔膜式真空計
12 水晶摩擦真空計
13 スピニングロータゲージ
14 気体成分識別装置

Claims (2)

  1. 大気中に水素が漏洩した際に、大気圧センサとしての隔膜真空計の出力水晶摩擦真空計の出力とを比較することにより水素ガスの漏洩を検知する方法。
  2. 大気圧センサとしての隔膜真空計と、水晶摩擦真空計と、両者の変化を比較する回路からなる、大気中への水素ガス漏洩検出装置。
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