JP4073583B2 - Negative pressure booster - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のブレーキマスタシリンダの倍力作動のために用いられる負圧ブースタに関し、特に、ブースタシェルに、その内部を負圧源に連なる前側の負圧室と後側の作動室とに区画するブースタピストンを収容し、このブースタピストンに、前記ブースタシェルの後壁に摺動自在に支承される弁筒を連設し、この弁筒内に、該弁筒に前後方向摺動自在に嵌合される弁ピストンと、この弁ピストンに前端部を連結する入力杆と、この入力杆及び弁筒間に装着されて入力杆を後退方向へ付勢する入力戻しばねと、前記弁ピストンの前後動に応じて作動室を負圧室と大気とに連通切換えする制御弁とを配設し、この制御弁を、前記弁ピストンの後端に形成される環状で後向きの大気導入弁座と、前記弁筒に形成されてこの大気導入弁座を囲繞する環状で後向きの負圧導入弁座と、これら大気導入弁座及び負圧導入弁座に着座すべくばね付勢される共通の弁部を前端に有して前記弁筒の内周面に取付けられる筒状の弁体とで構成し、前記弁筒に、前記負圧室に連通して前記負圧導入弁座及び弁体間に開口する第1ポートと、前記作動室に連通して前記大気導入弁座及び負圧導入弁座間に開口する第2ポートとを設ける一方、前記弁体の内側を大気に連通したものゝ改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、かゝる負圧ブースタは、例えば特開平10−278772号公報に開示されているように、既に知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来、かゝる負圧ブースタにおいて、入力杆の後退時には、制御弁の弁体が大気導入弁座に着座する一方、負圧導入弁座から離座して、作動室を大気と遮断すると共に負圧室と連通させることにより、ブースタピストン前後を気圧差の無い負圧状態にして、弁筒戻しばねの付勢力によるブースタピストンの後退を可能にする。
【0004】
ところで、上記のように制御弁の弁体が大気導入弁座に着座する一方、負圧導入弁座から離座した状態では、大気導入弁座及び弁体の前面側には負圧室の負圧が作用し、その後面側には弁筒内の大気圧が作用するので、それらの気圧差により弁ピストンには前向きの推力が加わり、これが弁ピストンに連結した入力杆の後退を妨げることになる。そこで従来では、入力杆を後退方向へ付勢する入力戻しばねのセット荷重を大きく設定して、上記前向き推力に抗して入力杆の後退を確実に行うようにしている。
【0005】
しかしながら、入力戻しばねのセット荷重を大きく設定することは、負圧ブースタの出力を立ち上がらせる入力杆の初動荷重の増加を招くことになり、作動フィーリング上、好ましくない。
【0006】
本発明は、かゝる事情に鑑みてなされたもので、入力戻しばねのセット荷重を小さく設定しても入力杆を的確に後退させ得るようにして、入力杆の初動荷重を減少させ、作動フィーリングの向上に寄与し得る、前記負圧ブースタを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、ブースタシェルに、その内部を負圧源に連なる前側の負圧室と後側の作動室とに区画するブースタピストンを収容し、このブースタピストンに、前記ブースタシェルの後壁に摺動自在に支承される弁筒を連設し、この弁筒内に、該弁筒に前後方向摺動自在に嵌合される弁ピストンと、この弁ピストンに前端部を連結する入力杆と、この入力杆及び弁筒間に装着されて入力杆を後退方向へ付勢する入力戻しばねと、前記弁ピストンの前後動に応じて作動室を負圧室と大気とに連通切換えする制御弁とを配設し、この制御弁を、前記弁ピストンの後端に形成される環状で後向きの大気導入弁座と、前記弁筒に形成されてこの大気導入弁座を囲繞する環状で後向きの負圧導入弁座と、これら大気導入弁座及び負圧導入弁座に着座すべくばね付勢される共通の弁部を前端に有して前記弁筒の内周面に取付けられる筒状の弁体とで構成し、前記弁筒に、前記負圧室に連通して前記負圧導入弁座及び弁体間に開口する第1ポートと、前記作動室に連通して前記大気導入弁座及び負圧導入弁座間に開口する第2ポートとを設ける一方、前記弁体の内側を大気に連通した負圧ブースタにおいて、前記弁ピストンは、入力杆の前端部が連結される連結筒部と、この連結筒部の後端から半径方向外方へ突出し前記大気導入弁座が後面に形成されるフランジ部と、同連結筒部の前端から半径方向外方へ突出して外周面が弁筒の内周面にシール部材を介して摺動自在に嵌装される、該フランジ部よりも大径のピストン部とを有していて、その弁ピストンの前端に、前記ピストン部よりも前側で弁筒に摺動可能に嵌装される小径ピストンが一体に形成され、前記ピストン部に大気圧による後向きの推力を作用させるべく、前記弁筒及びピストン部間には、前記小径ピストンを囲繞し且つ大気に連通する環状の大気室が設けられていて、前記ピストン部の前面が、該大気室に臨む前向きの受圧面とされることを第1の特徴とする。
【0008】
而して、入力杆の後退時、制御弁の弁体が大気導入弁座に着座する一方、負圧導入弁座から離座して、作動室を大気と遮断すると共に負圧室と連通させると、大気導入弁座及び弁体の前面側には負圧室の負圧が作用し、その後面側には弁体内の大気圧が作用し、それらの気圧差により弁ピストンには前向きの推力が加わるが、本発明の第1の特徴によれば、弁ピストンの前向きの受圧面を、弁筒及び弁ピストン間の大気室に臨ませたので、その受圧面に大気圧による後向きの推力が加わり、これが前記前向き推力と釣合い、もしくはその推力の作用を大幅に弱めることになり、入力戻しばねのセット荷重を小さくしても、入力杆の後退を的確に行うことができる。かくして、入力戻しばねのセット荷重の低下が可能となり、入力杆の初動荷重の減少、延いては作動フィーリングの向上をもたらすことができる。
【0009】
また本発明は、上記特徴に加えて、前記弁ピストンに、前記大気室を前記弁体の内側に連通する通気孔を設けたことを第2の特徴とする。
【0010】
この第2の特徴によれば、前記弁体の、大気に連通した内部を利用して、前記大気室と大気間の連通を簡単、確実に行うことができる。
【0011】
【実施例の形態】
本発明の実施の形態を、添付図面に示す本発明の実施例に基づいて説明する。
【0012】
図1は本発明の一実施例に係るタンデム型負圧ブースタを入力杆の休止状態で示す縦断面図、図2は図1の2部拡大図、図3は入力杆の後退状態を示す、図2の対応した作用説明図、図4は上記負圧ブースタの倍力特性を示す線図である。
【0013】
図1及び図2において、負圧ブースタBのブースタシェル1は、対向端を相互に結合する前後一対のシェル半体1a,1bと、両シェル半体1a,1b間に挟止されてブースタシェル1内部を前部シェル室2と後部シェル室3とに仕切る隔壁板1cとから構成され、その後部シェル半体1bが自動車の車室前壁Fにボルト8により固定して支持され、前部シェル半体1aには、該ブースタBにより作動されるブレーキマスタシリンダMのシリンダボディMaがボルト9により固着される。
【0014】
前部シェル室2は、それに前後往復動可能に収容される前部ブースタピストン4と、その後面に重ねて結着されると共に前部シェル半体1aと隔壁板1c間に挟着される前部ダイヤフラム5とにより、前側の前部負圧室2aと後側の前部作動室2bとに区画される。そして、前部負圧室2aは、負圧導入管14を介して負圧源V(例えば内燃機関の吸気マニホールド内部)と接続される。
【0015】
また後部シェル室3は、それに前後往復動可能に収容される後部ブースタピストン6と、その後面に重ねて結着され、且つ隔壁板1cと共に両シェル半体1a,1b間に固着される後部ダイヤフラム7とにより、前側の後部負圧室3aと後側の後部作動室3bとに区画される。
【0016】
前、後部ブースタピストン4,6はそれぞれ鋼板により環状に成形されており、これらは中心部に固着される合成樹脂製の弁筒10を介して一体に連結される。弁筒10は、隔壁板1cにシール部材11を介して、また後部シェル半体1bの中心部に形成された後方延長筒12にシール部材13を介して摺動自在に支承される。両ブースタピストン4,6の後退限は、後部ダイヤフラム7の後面に多数隆起させた突起7aがブースタシェル1の後壁に当接することにより規定される。
【0017】
弁筒10内には、弁ピストン18、この弁ピストン18に連結する入力杆20、及び入力杆20の前後動に応じて作動室2b,3bを負圧室2a,3aと大気とに連通切換えする制御弁38とが配設される。弁ピストン18は、連結筒部18aと、この連結筒部18aの前端から半径方向外方へ突出するピストン部18bと、連結筒部18aの後端から半径方向外方へ突出するフランジ部18cとからなっており、ピストン部18bに前向きの受圧面45が形成され、フランジ部18cに略円錐状で後向きの大気導入弁座31が形成される。ピストン部18bは、弁筒10の内周面にシール部材44を介して前後方向摺動自在に嵌装される。また連結筒部18aの内側には入力杆20の球状前端部20aが嵌合されると共に、その抜け止めのために連結筒部18aの一部19がかしめられ、こうして入力杆20が弁ピストン18に首振り可能に連結される。
【0018】
弁筒10には、前後部の負圧室2a,3a間を連通する第1連通路281 と、前後部の作動室2b,3b間を連通する第2連通路282 と、第1連通路281 に連なって弁筒10内周面に開口する第1ポート291 と、第2連通路282 に連なると共に、第1ポート291 より前方で弁筒10内周面に開口する第2ポート292 とが形成される。それら第1及び第2ポート291 ,292 の前後方向中間の弁筒10内周面に環状の負圧導入弁座30とが形成される。また弁筒10の前部内周面に円筒状の弁ピストン18が摺動自在に嵌装され、この弁ピストン18の後端には、第2ポート292 に連なる環状通路32を挟んで負圧導入弁座30に囲繞される環状の大気導入弁座31が形成されおり、負圧導入弁座30及び大気導入弁座31に対向する共通一個の弁体34が弁筒10内に配設される。この弁体34は、負圧導入弁座30及び大気導入弁座31に着座可能に対向する環状の弁部34aを前端に、環状の取付けビード部34bを後端に、その両部分34a,34bを軸方向相対変位可能に連結するダイヤフラム部34cを中間部にそれぞれ形成してなるもので、取付けビード部34bは、弁筒10の後部内周面に嵌着される円筒状の弁ホルダ35の前端部により、弁筒10内周面に取付けられる。そして、その弁部34aを両弁座30,31との着座方向へ付勢する弁ばね36が弁部34aと入力杆20との間に縮設される。
【0019】
以上において、上記両弁座30,31、弁体34及び弁ばね36は制御弁38を構成する。
【0020】
前記弁筒10及び弁ピストン18間には、前記ピストン部18bの前向き受圧面45が臨む環状の大気室46が、後述する小径ピストン17を囲繞するよう設けられる。この大気室46は、弁ピストン18に穿設された通気孔47を介して前記弁体34の内側、即ち大気と常時連通する。
【0021】
後方延長筒12の後端には、中心部に大気導入口39が開口する内向きフランジ12aが一体に形成されており、このフランジ12aの内側面に当接して入力杆20の後退限を規定するストッパ板40が入力杆20に前後方向調節可能に固着され、その後退限に向かって入力杆20は、弁ホルダ35に支持される入力戻しばね41により付勢される。
【0022】
また弁筒10の後端部内周には、エアフィルタ42が装着され、それを通して負圧導入弁座30の内周は大気導入口39と常時連通している。上記エアフィルタ42は、入力杆20の弁筒10に対する前後動を妨げないように柔軟性を有する。
【0023】
弁筒10の前端部は大径ピストン15に形成され、この大径ピストン15の中心部に形成されて、その前面に開口する有底のシリンダ孔16に、大径ピストン15より一定の割合で縮径した小径ピストン17が摺動自在に嵌装され、この小径ピストン17は、図示例の場合、前記弁ピストン18の前端一体に連設される。大径ピストン15の外周にはカップ体21が摺動自在に嵌合され、このカップ体21には大径及び小径ピストン15,17に対向する偏平な弾性ピストン22が充填される。以上において、大径ピストン15、小径ピストン17、弾性ピストン22及びカップ体21は、入力杆20に対する入力とブースタピストン4,6の推力との合力を出力杆25に伝達する反力機構24を構成する。
【0024】
カップ体21の前面には出力杆25が突設され、この出力杆25は前記ブレーキマスタシリンダMのピストンMbに連接される。またカップ体21及び弁筒10の前端面に当接するリテーナ26が配設され、このリテーナ26とブースタシェル1の前壁との間に弁筒戻しばね27が縮設される。
【0025】
次にこの実施例の作用について説明する。
【0026】
負圧ブースタBの休止状態では、図1に示すように、入力杆20は後退限に位置し、制御弁38は、弁体34を大気導入弁座31及び負圧導入弁座30に着座させて前、後部両作動室2b,3bを両負圧室2a,3a及び大気導入口39のいずれとも不通にした中立状態にあり、このような制御弁38により、両負圧室2a,3aには、負圧導入管14を通して供給される負圧源の負圧が蓄えられ、両作動室2b,3bには、大気により適当に希釈された負圧が保持される。こうして前、後部ブースタピストン4,6には、前部の負圧室2aと作動室2b、後部の負圧室3aと作動室3bの各間に生じる僅かな気圧差により小さな前進力が与えられるが、これらの前進力と弁筒戻しばね27の力とが釣合って、両ブースタピストン4,6は後退限から僅かに前進したところで停止している。
【0027】
いま、車両を制動すべくブレーキペダルPを踏込んで、入力杆20を前進させれと、弁ピストン18も前進する。当初、両ブースタピストン4,6は不動であるから、弁ピストン18の前進により大気導入弁座31が弁体34から離れて、第2ポート292 を環状通路32及び弁体34内部を通して大気導入口39に連通させる。その結果、大気導入口39から弁筒10内に流入した大気は大気導入弁座31を通過し、第2ポート292 を経て両作動室2b,3bに素早く導入され、該室2b,3bを両負圧室2a,3aより高圧にするので、それらの気圧差に基づく大きな前方推力を得て両ブースタピストン4,6は、弁筒10及び大径ピストン15を伴いながら弁筒戻しばね27の力に抗して入力杆20の動きに追従するように前進するので、大径ピストン15が弾性ピストン22を介してカップ体21、即ち出力杆25を前方へ押動してブレーキマスタシリンダMのピストンMbを駆動する。こうして、ブレーキマスタシリンダMをブレーキペダルPの踏込みに遅れなく作動させ、車両に制動かけることができる。
【0028】
ところで、このような制動中、弾性ピストン22の後端面には、大径ピストン15に加わる両ブースタピストン4,6の推力と、入力杆20から小径ピストン17に加わる操縦者の踏力とが作用し、またその前端面には、出力杆25の作動反力が作用し、これによって弾性ピストン22は前後に圧縮される。その結果、出力杆25の作動反力の一部が弾性ピストン22を介して入力杆20に伝達されることになり、操縦者は出力杆25の出力、即ち制動力の大きさを感受することができる。
【0029】
而して、出力杆25の出力が倍力限界に達するまでは(図4の線a−b参照)、ブースタピストン4,6と一体の弁筒10は、入力杆20の前進量だけ前進するもので、入力杆20が前進を止めると、弁筒10と共に前進してきた弁体34が大気導入弁座31に再び着座して、作動室2b,3bへの大気のそれ以上の導入を阻止するので、ブースタピストン4,6の前進も停止し、入力に対応した倍力出力が得られることになる。
【0030】
出力杆25の出力が倍力限界を超えると、ブースタピストン4,6の気圧差による推力が最大となり、大気導入弁座31は弁体34から離間したまゝとなるので、出力杆25の出力は、ブースタピストン4,6の気圧差による最大推力と、ブレーキペダルPへの踏力による入力杆20の推力との和となる(図4の線b−c参照)。
【0031】
車両の制動状態を解除すべく、ブレーキペダルPから踏力を解放すると、先ず入力杆20及び弁ピストン18が入力戻しばね41の力をもって後退する。これに伴い、弁ピストン18は、図3に示すように、大気導入弁座31を弁体34に着座させながら、その弁体34を負圧導入弁座30から大きく離間させるので、両作動室2b,3bが第2ポート292 、環状通路32及び第1ポート291 を介して両負圧室2a,3aと連通する。その結果、両作動室2b,3bへの大気の導入が阻止される一方、両作動室2b,3bの空気が両負圧室2a,3aを経て負圧限Vに吸入され、それらの気圧差が無くなるため、ブースタピストン4,6も、弁筒戻しばね27の力をもって後退し、マスタシリンダMの作動を解除していく。
【0032】
ところで、上記のように、入力杆20の後退に伴い、弁体34が大気導入弁座31に着座し、負圧導入弁座30からは離座した場合には、大気導入弁座31及び弁体34の前面側に負圧室2a,3aの負圧が作用し、その後面側には弁体34内の大気圧が作用し、それらの気圧差により弁ピストン18には前向きの推力が加わるものであるが、弁ピストン18の前向きの受圧面45が、弁筒10及び弁ピストン18間の常時大気と連通する大気室46に臨ませてあるため、その受圧面45には大気圧による後向きの推力が加わり、これが前記前向き推力と釣合い、もしくはその推力の作用を大幅に弱めることになり、入力戻しばねのセット荷重を小さくしても、入力杆20の後退を的確に行うことができる。したがって、入力戻しばねのセット荷重を下げることが可能となり、それに伴い入力杆20の初動荷重が減少するので、図4に示すようにに出力の立ち上がり時期が早まり、作動フィーリングの向上を図ることができる。
【0033】
しかも、大気室46は、弁ピストン18に穿設された通気孔47を介して、大気圧状態の弁体34の内側に連通しているから、弁体34の利用により、比較的短い通気孔47で大気室46を大気に連通することができる。
【0034】
その後、入力杆20がストッパ板40を後方延長筒12の内向きフランジ12aに当接させる後退限まで後退すると、後部ブースタピストン6は、一旦、後部ダイヤフラム7の突起7aをブースタシェル1の後壁に当接させる後退限まで戻り、今度は負圧導入弁座30を弁体34に着座させると共に、弁体34を大気導入弁座31から離間させるので、再び両作動室2b,3bに大気が導入されるが、それにより生ずる気圧差により両ブースタピストン4,6が僅かに前進すれば、負圧導入弁座30にも弁体34が着座し、制御弁38を当初の中立状態にする。こうして両作動室2b,3bには、大気に希釈された負圧が保持され、負圧ブースタBは、図1及び図2の休止状態となる。
【0035】
本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、負圧ブースタBを、ブースタピストンを単一とするシングル型に構成することもできる。また入力杆20のストッパ板40及び後方延長筒12の内向きフランジ12aを廃止し、負圧ブースタBの休止時には、負圧導入弁座30を開放したまゝにして、作動室2b,3bを負圧室2a,3aとの連通状態に保持するようにしてもよい。
【0036】
【発明の効果】
以上のように本発明の第1の特徴によれば、弁ピストンは、入力杆の前端部が連結される連結筒部と、この連結筒部の後端から半径方向外方へ突出し大気導入弁座が後面に形成されるフランジ部と、同連結筒部の前端から半径方向外方へ突出して外周面が弁筒の内周面にシール部材を介して摺動自在に嵌装される、該フランジ部よりも大径のピストン部とを有していて、その弁ピストンの前端に、ピストン部よりも前側で弁筒に摺動可能に嵌装される小径ピストンが一体に形成され、ピストン部に大気圧による後向きの推力を作用させるべく、弁筒及びピストン部間には、小径ピストンを囲繞し且つ大気に連通する環状の大気室が設けられ、ピストン部の前面が、該大気室に臨む前向きの受圧面とされるので、大気導入弁座及び弁体に負圧室の負圧と弁体内の大気圧との気圧差による前向きの推力が加わっても、前記受圧面には大気圧による後向きの推力が加わることにより、前記前向き推力と釣合い、もしくはその推力の作用を大幅に弱めることができ、したがって、入力杆の後退性能を損なうことなく、入力杆を後退方向へ付勢する入力戻しばねのセット荷重を大幅に下げることが可能となり、入力杆の初動荷重の減少、延いては作動フィーリングの向上をもたらすことができる。
【0037】
また本発明の第2の特徴によれば、弁ピストンに、前記大気室を弁体の内側に連通する通気孔を設けたので、弁体内側の利用により、前記大気室と大気間の連通を簡単、確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係るタンデム型負圧ブースタを入力杆の休止状態で示す縦断面図
【図2】 図1の2部拡大図
【図3】 入力杆の後退状態を示す、図2の対応した作用説明図
【図4】 上記負圧ブースタの倍力特性を示す線図
【符号の説明】
B・・・・負圧ブースタ
V・・・・負圧源
1・・・・ブースタシェル
2a・・・負圧室(前部負圧室)
3a・・・負圧室(後部負圧室)
2b・・・作動室(前部作動室)
3b・・・作動室(後部作動室)
4・・・・ブースタピストン(前部ブースタピストン)
6・・・・ブースタピストン(後部ブースタピストン)
10・・・弁筒
17・・・小径ピストン
18・・・弁ピストン
18a・・連結筒部
18b・・ピストン部
18c・・フランジ部
20・・・入力杆
291 ・・第1ポート
292 ・・第2ポート
30・・・負圧導入弁座
31・・・大気導入弁座
34・・・弁体
34a・・弁部
41・・・入力戻しばね
44・・・シール部材
45・・・受圧面
46・・・大気室
47・・・通気孔[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a negative pressure booster used for boosting a brake master cylinder of an automobile, and in particular, to a booster shell, a front negative pressure chamber connected to a negative pressure source and a rear working chamber. The booster piston to be partitioned is accommodated, and a valve cylinder slidably supported on the rear wall of the booster shell is connected to the booster piston, and the valve cylinder is slidable in the front-rear direction in the valve cylinder. A valve piston to be fitted, an input rod that connects the front end to the valve piston, an input return spring that is mounted between the input rod and the valve cylinder and biases the input rod in the backward direction, and the valve piston A control valve that switches the working chamber to a negative pressure chamber and the atmosphere in response to the longitudinal movement, and this control valve is an annular and rearward air introduction valve seat formed at the rear end of the valve piston; And formed in the valve cylinder to surround the air introduction valve seat An annular and rearward negative pressure introduction valve seat, and a common valve portion that is spring-biased to be seated on the air introduction valve seat and the negative pressure introduction valve seat at the front end thereof on the inner peripheral surface of the valve cylinder A cylindrical valve body attached to the valve cylinder, a first port that communicates with the negative pressure chamber and opens between the negative pressure introduction valve seat and the valve body, and communicates with the working chamber. The present invention relates to an improvement in the provision of a second port that opens between the atmosphere introduction valve seat and the negative pressure introduction valve seat, while the inside of the valve body communicates with the atmosphere.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, such a negative pressure booster is already known as disclosed in, for example, Japanese Patent Application Laid-Open No. 10-278772.
[0003]
[Problems to be solved by the invention]
Conventionally, in such a negative pressure booster, when the input rod is retracted, the valve body of the control valve is seated on the air introduction valve seat, while being separated from the negative pressure introduction valve seat, the working chamber is shut off from the atmosphere. By communicating with the negative pressure chamber, the booster piston is placed in a negative pressure state before and after the booster piston so that the booster piston can be retracted by the biasing force of the valve barrel return spring.
[0004]
By the way, while the valve body of the control valve is seated on the atmosphere introduction valve seat as described above, the negative pressure chamber is negatively placed on the front side of the atmosphere introduction valve seat and the valve body in a state of being separated from the negative pressure introduction valve seat. Since the pressure acts and the atmospheric pressure in the valve cylinder acts on the rear side, a forward thrust is applied to the valve piston due to the pressure difference between them, which prevents the input rod connected to the valve piston from moving backward. Become. Therefore, conventionally, the set load of the input return spring for urging the input rod in the backward direction is set to be large so that the input rod is reliably retracted against the forward thrust.
[0005]
However, setting a large set load of the input return spring causes an increase in initial load of the input rod that raises the output of the negative pressure booster, which is not preferable in terms of operational feeling.
[0006]
The present invention has been made in view of such circumstances, so that even if the set load of the input return spring is set to a small value, the input rod can be accurately retracted, the initial load of the input rod is reduced, and the operation is performed. It aims at providing the said negative pressure booster which can contribute to the improvement of a feeling.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, the present invention accommodates a booster piston that divides the interior of a booster shell into a front negative pressure chamber and a rear working chamber connected to a negative pressure source. A valve cylinder that is slidably supported on the rear wall of the booster shell is connected, and a valve piston that is slidably fitted in the valve cylinder in the front-rear direction, and a front end of the valve piston. An input rod that connects the parts, an input return spring that is mounted between the input rod and the valve cylinder and urges the input rod in the backward direction, and the working chamber is moved to the negative pressure chamber and the atmosphere according to the back-and-forth movement of the valve piston. And a control valve for switching the communication between the valve piston, an annular rear-facing air introduction valve seat formed at the rear end of the valve piston, and the air introduction valve seat formed in the valve cylinder. An annular, backward-facing negative pressure introduction valve seat that surrounds the air introduction valve seat, A cylindrical valve body that has a common valve portion that is spring-biased to be seated on the pressure introducing valve seat and that is attached to the inner peripheral surface of the valve cylinder. A first port that communicates with the pressure chamber and opens between the negative pressure introduction valve seat and the valve body; and a second port that communicates with the working chamber and opens between the atmosphere introduction valve seat and the negative pressure introduction valve seat. On the other hand, in the negative pressure booster in which the inside of the valve body is communicated with the atmosphere, the valve piston is connected to the front end portion of the input rod, and the connecting cylinder portion is connected radially outward from the rear end of the connecting cylinder portion. A flange portion that protrudes and the atmosphere introduction valve seat is formed on the rear surface, and protrudes radially outward from the front end of the connecting tube portion, and the outer peripheral surface is slidably fitted to the inner peripheral surface of the valve tube via a seal member. A piston portion having a diameter larger than that of the flange portion, and at the front end of the valve piston, Than Stone section diameter piston slidably fitted into the valve cylinder at the front side are integrally formed, in order to effect the rearward thrust by the atmospheric pressure to said piston part, between the valve cylinder and piston unit, A first feature is that an annular atmosphere chamber surrounding the small-diameter piston and communicating with the atmosphere is provided, and the front surface of the piston portion is a forward pressure receiving surface facing the atmosphere chamber.
[0008]
Thus, when the input rod is retracted, the valve body of the control valve is seated on the air introduction valve seat, while being separated from the negative pressure introduction valve seat, the working chamber is shut off from the atmosphere and communicated with the negative pressure chamber. Then, the negative pressure of the negative pressure chamber acts on the air introduction valve seat and the front side of the valve body, and the atmospheric pressure inside the valve body acts on the rear side of the valve piston. However, according to the first feature of the present invention, since the forward pressure receiving surface of the valve piston faces the atmospheric chamber between the valve cylinder and the valve piston, a backward thrust due to atmospheric pressure is applied to the pressure receiving surface. In addition, this balances with the forward thrust, or significantly reduces the effect of the thrust, and the input rod can be accurately retracted even if the set load of the input return spring is reduced. Thus, the set load of the input return spring can be reduced, and the initial moving load of the input rod can be reduced, thereby improving the operational feeling.
[0009]
In addition to the above feature, the present invention has a second feature that the valve piston is provided with a vent hole communicating the atmosphere chamber with the inside of the valve body.
[0010]
According to the second feature, communication between the atmosphere chamber and the atmosphere can be easily and reliably performed using the inside of the valve body that communicates with the atmosphere.
[0011]
[Embodiment]
Embodiments of the present invention will be described based on examples of the present invention shown in the accompanying drawings.
[0012]
1 is a longitudinal sectional view showing a tandem negative pressure booster according to an embodiment of the present invention in a resting state of an input rod, FIG. 2 is an enlarged view of a
[0013]
1 and 2, a booster shell 1 of a negative pressure booster B is sandwiched between a pair of front and
[0014]
The
[0015]
The rear shell chamber 3 has a rear booster piston 6 accommodated therein so as to be capable of reciprocating back and forth, and a rear diaphragm which is bonded to the rear surface of the rear booster piston 6 and is fixed between the
[0016]
The front and
[0017]
In the
[0018]
The
[0019]
In the above, the valve seats 30 and 31, the
[0020]
Between the
[0021]
An
[0022]
An
[0023]
The front end portion of the
[0024]
An
[0025]
Next, the operation of this embodiment will be described.
[0026]
In the resting state of the negative pressure booster B, as shown in FIG. 1, the
[0027]
Now, when the brake pedal P is depressed to brake the vehicle and the
[0028]
By the way, during such braking, the thrust of the
[0029]
Thus, until the output of the
[0030]
When the output of the
[0031]
When the pedaling force is released from the brake pedal P to release the braking state of the vehicle, the
[0032]
By the way, when the
[0033]
In addition, since the
[0034]
Thereafter, when the
[0035]
The present invention is not limited to the above embodiments, and various design changes can be made without departing from the scope of the invention. For example, the negative pressure booster B can be configured as a single type having a single booster piston. Further, the
[0036]
【The invention's effect】
As described above, according to the first feature of the present invention, the valve piston is connected to the connecting cylinder part to which the front end part of the input rod is connected, and protrudes radially outward from the rear end of the connecting cylinder part to the atmosphere introduction valve. A flange portion formed on the rear surface of the seat, and a radially outer side projecting from a front end of the connecting tube portion, and an outer peripheral surface is slidably fitted to an inner peripheral surface of the valve tube via a seal member ; the flange portion have a piston section of larger diameter, the front end of the valve piston, the small-diameter piston being slidably fitted into the valve cylinder in front of the piston portion is integrally formed with the piston portion An annular atmospheric chamber surrounding the small-diameter piston and communicating with the atmosphere is provided between the valve cylinder and the piston portion so that a backward thrust due to atmospheric pressure is applied to the piston, and the front surface of the piston portion faces the atmospheric chamber. Since it is a pressure-receiving surface facing forward, the negative pressure chamber is installed in the air introduction valve seat and valve body. Even if a forward thrust due to the pressure difference between the negative pressure and the atmospheric pressure in the valve body is applied, a backward thrust due to the atmospheric pressure is applied to the pressure-receiving surface, thereby greatly balancing the forward thrust and the effect of the thrust. Therefore, it is possible to greatly reduce the set load of the input return spring that urges the input rod in the backward direction without impairing the reverse performance of the input rod, reducing the initial load of the input rod, As a result, the operational feeling can be improved.
[0037]
Further, according to the second feature of the present invention, the valve piston is provided with a vent hole that communicates the atmosphere chamber with the inside of the valve body. It can be done easily and reliably.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a longitudinal sectional view showing a tandem negative pressure booster according to an embodiment of the present invention in a resting state of an input rod. FIG. 2 is an enlarged view of a
B ... Negative pressure booster V ... Negative pressure source 1 ...
3a ... Negative pressure chamber (rear negative pressure chamber)
2b ... Working chamber (front working chamber)
3b ... Working chamber (rear working chamber)
4 .... Booster piston (front booster piston)
6. Booster piston (rear booster piston)
10 ...
44 ... Sealing
Claims (2)
前記弁ピストン(18)は、入力杆(20)の前端部が連結される連結筒部(18a)と、この連結筒部(18a)の後端から半径方向外方へ突出し前記大気導入弁座(31)が後面に形成されるフランジ部(18c)と、同連結筒部(18a)の前端から半径方向外方へ突出して外周面が弁筒(10)の内周面にシール部材(44)を介して摺動自在に嵌装される、該フランジ部(18c)よりも大径のピストン部(18b)とを有していて、その弁ピストン(18)の前端に、前記ピストン部(18b)よりも前側で弁筒(10)に摺動可能に嵌装される小径ピストン(17)が一体に形成され、
前記ピストン部(18b)に大気圧による後向きの推力を作用させるべく、前記弁筒(10)及びピストン部(18b)間には、前記小径ピストン(17)を囲繞し且つ大気に連通する環状の大気室(46)が設けられていて、前記ピストン部(18b)の前面が、該大気室(46)に臨む前向きの受圧面(45)とされることを特徴とする、負圧ブースタ。A booster piston (4, 6) having a booster shell (1) divided into a front negative pressure chamber (2a, 3a) and a rear working chamber (2b, 3b) connected to the negative pressure source (V). The booster piston (4, 6) is connected to a valve cylinder (10) that is slidably supported on the rear wall of the booster shell (1). In the valve cylinder (10), A valve piston (18) fitted to the valve cylinder (10) so as to be slidable in the front-rear direction, an input rod (20) connecting the front end to the valve piston (18), the input rod (20) and An input return spring (41) mounted between the valve cylinders (10) and urging the input rod (20) in the backward direction, and a working chamber (2b, 3b) according to the back-and-forth movement of the valve piston (18). A negative pressure chamber (2a, 3a) and a control valve (38) for switching between the atmosphere and the atmosphere are arranged, and the control valve (38) An annular and rearward air introduction valve seat (31) formed at the rear end of the valve piston (18), and an annular and rearward formation formed on the valve cylinder (10) and surrounding the air introduction valve seat (31) Negative pressure introducing valve seat (30) and a common valve portion (34a) spring-biased to be seated on the atmospheric introducing valve seat (31) and the negative pressure introducing valve seat (30) at the front end. And a cylindrical valve body (34) attached to the inner peripheral surface of the valve cylinder (10). The negative pressure is communicated with the negative pressure chamber (2a, 3a) to the valve cylinder (10). A first port (29 1 ) opened between the introduction valve seat (30) and the valve body (34), and the atmosphere introduction valve seat (31) and the negative pressure introduction valve communicated with the working chamber (2b, 3b). seat (30) while providing a second port for opening (29 2) between the negative pressure booth communicating the interior of said valve body (34) to the atmosphere In,
The valve piston (18) has a connecting cylinder part (18a) to which a front end part of the input rod (20) is connected, and projects outward from the rear end of the connecting cylinder part (18a) in the radial direction. (31) is a flange portion formed on the rear surface (18c), the linking tube sealing member on the inner peripheral surface of the outer peripheral surface valve cylinder protrudes radially outwardly from the front end (10) of (18a) (44 ) And a piston portion (18b) having a diameter larger than that of the flange portion (18c). The piston portion (18b) is provided at the front end of the valve piston (18). A small-diameter piston (17) slidably fitted to the valve cylinder (10) in front of 18b),
Between the valve cylinder (10) and the piston portion (18b), an annular ring surrounding the small-diameter piston (17) and communicating with the atmosphere is provided in order to apply a backward thrust by atmospheric pressure to the piston portion (18b). An atmospheric pressure chamber (46) is provided, and the front surface of the piston part (18b) is a forward pressure receiving surface (45) facing the atmospheric chamber (46).
前記弁ピストン(18)に、前記大気室(46)を前記弁体(34)の内側に連通する通気孔(47)を設けたことを特徴とする、負圧ブースタ。The negative pressure booster according to claim 1,
A negative pressure booster, wherein the valve piston (18) is provided with a vent hole (47) for communicating the atmospheric chamber (46) with the inside of the valve body (34).
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