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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば折り畳み携帯電話機に用いられ、操作部材をワンタッチ操作するだけで折り畳み式携帯電話機の受話部を送話部に対して折り畳み位置から通話位置まで回動させることができるヒンジ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のヒンジ装置としては、例えば特開2001−207721号公報に記載のものがある。このヒンジ装置は、折り畳み式携帯電話機の送話部と受話部との回動軸線上に相対回動可能に配置され、送話部と受話部とにそれぞれ回動不能に設けられた第1、第2ヒンジ部材と、第2ヒンジ部材を折り畳み位置から通話位置側へ回動付勢する可動付勢手段と、第2ヒンジ部材を折り畳み位置に係止する係止手段と、この係止手段による第2ヒンジ部材の係止状態を解除する係止解除手段とを備えている。
【0003】
上記係止手段は、当接部材と係止部材とを有している。当接部材は、円筒状に形成された第1ヒンジ部材の内周に回動可能に嵌合されている。当接部材の第2ヒンジ部材側における端部には、第2ヒンジ部材が折り畳み位置から通話位置側へ回動するときに突き当たる当接面が形成されている。係止部材は、第1ヒンジ部材の内周面と当接部材の外周面との間に回動軸線方向へ移動可能に配置されており、係止位置に位置しているときには、その外周面及び外周面が第1ヒンジ部材の内周面と当接部材の外周面とにそれぞれ回動不能に係合する。これにより、当接部材が、係止部材を介して第1ヒンジ部材に回動不能に係止される。この結果、第2ヒンジ部材が折り畳み位置から通話位置側へ回動不能になる。係止部材を係止解除手段の操作部材によって係止位置から解除位置まで移動させると、係止部材による係止状態が解除される。したがって、第2ヒンジ部材は、折り畳み位置から通話位置側へ回動可能になる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のヒンジ装置においては、係止部材が第1ヒンジ部材の内周面と当接部材の外周面との間に配置されており、係止部材の外周面及び内周面が第1ヒンジ部材の内周面と当接部材の外周面とにそれぞれ係合しているため、最も外側に配置された第1ヒンジ部材を大径化せざるを得ず、その結果ヒンジ装置全体が大型化してしまうという問題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の問題を解決するために、回動軸線上に配置された第1ヒンジ部材と、上記回動軸線上に上記第1ヒンジ部材と対向して配置され、上記第1ヒンジ部材に対して第1の位置と第2の位置との間を回動可能である第2ヒンジ部材と、この第2ヒンジ部材を上記第1の位置から第2の位置まで回動させる回動付勢手段と、上記第2ヒンジ部材を上記回動付勢手段の回動付勢力に抗して上記第1の位置に係止する係止手段と、この係止手段による上記第2ヒンジ部材の係止状態を解除する係止解除手段とを備えたヒンジ装置において、上記第1ヒンジ部材には、係止凹部が上記回動軸線方向に形成され、上記係止手段が、上記第1ヒンジ部材と上記第2ヒンジ部材との間に上記回動軸線を中心として回動可能に配置され、上記第2ヒンジ部材が上記第1の位置から上記第2の位置側へ回動するときに突き当たる当接面を有する当接部材と、この当接部材の上記第1ヒンジ部材側の端部に回動不能に、かつ上記回動軸線方向へ移動可能に連結され、上記係止凹部に係脱可能に係合する係止突部を有する係止部材と、この係止部材を上記第2ヒンジ部材側から上記第1ヒンジ部材側へ付勢する復帰付勢手段とを有し、上記係止解除手段が、上記第1ヒンジ部材を間にして上記係止部材と逆側に上記回動軸線方向へ移動可能に配置され、上記第1ヒンジ部材に接近する方向へ移動させられたときに上記係止凹部に入り込んで上記係止突部を上記係止凹部から離脱させる当接突起が設けられた操作部材を有することを特徴としている。
この場合、上記第1ヒンジ部材が、上記第2ヒンジ部材側の端部が開口し、逆側の端部に底部を有する筒体として形成され、上記第1ヒンジ部材の底部には、上記係止凹部とされる貫通孔が形成され、上記係止部材及び上記当接部材が上記第1ヒンジ部材内に順次回動可能に挿入され、上記第1ヒンジ部材の底部と対向する上記係止部材の対向面に上記係止突部が形成されていることが望ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施の形態について図1〜図14を参照して説明する。
図1は、この発明に係る携帯電話機の一実施の形態を示すものである。携帯電話機1は、送話部2と受話部3とを備えている。送話部2の前面2aには、小型のマイクロフォン及び各種のキー(いずれも図示せず)が設けられている。受話部3の前面3aには、小型のスピーカー(図示せず)及び液晶表示部3bが設けられている。
【0007】
送話部2の受話部3側の端部には、2つの連結筒部2bが設けられている。2つの連結筒部2bは、送話部2の左右方向の両端部に配置されている。受話部3の送話部2側の端部には、2つの連結筒部3cが設けられている。2つの連結筒部3cは、送話部2の連結筒部2b,2b間に配置され、隣接する連結筒部2bの内側の各端面とそれぞれほぼ接触している。各連結筒部2b,3cは、互いの軸線を回動軸線Lと一致させて配置されている。
【0008】
互いに隣接する2組の連結筒部2b,3c;2b,3cのうちの一方の組(図1において左側の組)は、この発明に係るヒンジ装置10(図2参照)により回動軸線Lを中心として回動可能に連結されている。連結筒部2b,3cの他方の組(右側の組)は、周知のヒンジ装置(図示せず)により、回動軸線Lを中心として回動可能に連結されている。これにより、送話部2と受話部3とが回動軸線Lを中心として回動可能に連結されている。なお、説明の便宜上、以下においては、受話部3が送話部2に対して回動するものとして説明を進める。
【0009】
受話部3は、送話部2に対し折り畳み位置(第1の位置)と通話位置(第2の位置)との間を回動可能になっている。折り畳み位置は、受話部3の前面3aが送話部2の前面2aに突き当たることによって規制されている。通話位置は、受話部3が折り畳み位置から所定角度(この実施の形態では165°)だけ回動したときに、送話部2及び受話部3にそれぞれ設けられた当接部(いずれも図示せず)が互いに突き当たることによって規制されている。したがって、受話部3は、通話位置側から折り畳み位置側へ向かう方向へは折り畳み位置を越えて回動することができず、折り畳み位置側から通話位置側へ向かう方向へは通話位置を越えて回動することができなくなっている。
【0010】
まず、上記ヒンジ装置10の機能を概略的に述べる。いま、受話部3が折り畳み位置に位置しているものとする。この状態において、ヒンジ装置10の操作ボタン252を押すと、ヒンジ装置10の回動付勢力により、受話部3が折り畳み位置から通話位置まで自動的に回動させられる。通話位置に回動させられた受話部3は、手動によりヒンジ装置10の回動付勢力に抗して折り畳み位置側へ回動させる。そして、受話部3を折り畳み位置の所定角度(この実施の形態ではほぼ10°)だけ手前まで回動させると、ヒンジ装置10の回動付勢力により、受話部3が折り畳み位置まで回動させられるのみならず、受話部3の前面3aが送話部2の前面2aに突き当たることによって折り畳み位置に維持される。
【0011】
受話部3は、折り畳み位置と通話位置との間を手動でも回動させることができる。まず、受話部3を折り畳み位置側から通話位置側へ回動させる場合について述べると、折り畳み位置から所定の角度範囲(この実施の形態では15°程度)においては、受話部3をヒンジ装置10の回動付勢力に抗して回動させる。その後、通話位置の所定角度(この実施の形態では15°程度)だけ手前までの間は、ヒンジ装置10の内部に発生する摩擦抵抗に抗して受話部3を通話位置側へ回動させる。受話部3が通話位置の所定角度だけ手前まで回動すると、その後はヒンジ装置10の回動付勢力により受話部3が通話位置まで回動させられるのみならず、通話位置に維持される。逆に、受話部3を通話位置から折り畳み位置側へ回動させる場合において、通話位置から所定の角度(この実施の形態では15°程度)範囲では、受話部3をヒンジ装置10の回動付勢力に抗して回動させる。その後、折り畳み位置の所定角度(この実施の形態では15°程度)だけ手前までの間は、ヒンジ装置10の内部に発生する摩擦抵抗に抗して受話部3を折り畳み位置側へ回動させる。受話部3が折り畳み位置の所定角度(この実施の形態では15°程度)だけ手前まで回動すると、その後は受話部3がヒンジ装置10の回動付勢力により折り畳み位置まで回動させられて、その位置に維持される。
【0012】
次に、上記機能を有するヒンジ装置10の具体的構成について説明する。図2〜図4に示すように、ヒンジ装置10は、受話部3を折り畳み位置から通話位置まで自動的に回動させるための第1ヒンジ部20と、受話部3を手動で回動させる際に動作する第2ヒンジ部30とを備えている。
【0013】
まず、第1ヒンジ部20について説明すると、第1ヒンジ部20は、第1ヒンジ部材21、第2ヒンジ部材22、回動付勢手段23、係止手段24及び係止解除手段25を有している。
【0014】
第1ヒンジ部材21は、及びに示すように、一端が開口し、他端に底部21fを有する円筒体として形成されており、に示すように、送話部2の連結筒部2bに挿入固定されている。したがって、第1ヒンジ部材21は、回動軸線L方向へ移動することもなければ、回動することもない(ここでは、送話部2を固定し、受話部3が回動するものと仮定している。)。一方、第2ヒンジ部材22は、円筒状をなす本体部22Aと、可動部22Bとから構成されている。本体部22Aは、受話部3の連結筒部3cに回動可能に挿入されているが、第2ヒンジ部30を介して連結筒部3cに回動不能に連結されている。したがって、第2ヒンジ部材22の本体部22Aは、受話部3と一緒に回動する。ただし、第2ヒンジ部材22は、第2ヒンジ部30が動作するとき、つまり受話部3を手動で回動させるときには、連結筒部3cに対して相対回動する。なお、可動部22Bについては後述する。
【0015】
上記第1ヒンジ部材21と第2ヒンジ部材22の本体部22Aとは、軸線を回動軸線Lと一致させたヒンジ軸41を介して回動可能に連結されている。ヒンジ軸41は、図3〜図5に示すように、一端部から他端部(図1〜図4における左端部から右端部;以下、左右は図1〜図4における左右を意味するものとする。)に向かって順次形成された、円板状をなす頭部41a、頭部41aより小径の大径部41b及び大径部41bより小径の小径部41cを有している。
【0016】
図3に示すように、ヒンジ軸41の大径部41bには、第1ヒンジ部材21の底部21fに形成された小径孔部21aが回動可能に嵌合されている。第1ヒンジ部材21は、その底部21fが頭部41aに突き当たることにより、左方への抜け止めがなされている。一方、ヒンジ軸41の小径部41cには、筒部材42が嵌合されている。この筒部材42の左端部には、フランジ部42aが形成されており、このフランジ部42aが大径部41bと小径部41cとの間に形成された段差部41dに突き当たることにより、筒部材42の左方への移動が阻止されている。筒部材42から右方へ突出した小径部41cの右端部には、上記第2ヒンジ部30の第1係合部材31が回動可能に嵌合されている。この第1係合部材31は、筒部材42の右端面に突き当たるとともに、止め輪43によって右方への抜け止めがなされている。これにより、ヒンジ軸41の小径部41cに筒部材42及び第1係合部材31が回動軸線L方向へ移動不能に嵌合されている。
【0017】
筒部材42の右端部には、第2ヒンジ部30の第2係合部材32が回動可能に嵌合されている。この第2係合部材32の外周には、上記第2ヒンジ部材22の本体部22Aの右端部内周が嵌合されている。本体部22Aの右端部には、回動軸線Lと平行に延びる係止溝22aが形成されており、この係止溝22aには、第2係合部材32の外周に形成されたキー部32aが嵌り込んでいる。これにより、第2係合部材32が本体部22Aに回動不能に、かつ回動軸線L方向へ移動可能に連結されている。ここで、第2係合部材32は、筒部材42に回動可能に嵌合されているから、本体部22Aは、第2係合部材32、筒部材42及びヒンジ軸41を介して第1ヒンジ部材21に回動可能に連結されている。この結果、送話部2と受話部3とが、第1ヒンジ部材21、ヒンジ軸41、筒部材42、第2係合部材32及び本体部22Aを介して回動可能に連結されている。
【0018】
上記回動付勢手段23は、その回動付勢力により第2ヒンジ部材22を折り畳み位置から通話位置まで回動させ、ひいては受話部3を折り畳み位置から通話位置まで回動させるためのものであり、次のように構成されている。すなわち、図2〜図6に示すように、第1ヒンジ部材21の第2ヒンジ部材22と対向する右端面には、周方向に延びる一対の端面カム(カム面)21b,21bが回動軸線Lを中心として点対称に形成されている。一方、第2ヒンジ部材22の本体部22Aの第1ヒンジ部材21と対向する左端面には、図2〜図5及び図10に示すように、回動軸線Lと平行に延びる2つの第2ガイド溝22bが周方向に180°離れて形成されている。各第2ガイド溝22bには、筒部材42の外周に回動可能に嵌合された可動部22Bの二つの板部22c,22cがそれぞれ摺動自在に挿入されている。したがって、可動部22Bは、本体部22Aに対し回動不能、かつ回動軸線L方向へ移動可能に連結されている。可動部22Bは、それと上記第2係合部材32との間に設けられた大小二つのコイルばね(直動付勢手段)43A,43Bにより回動軸線Lに沿って第1ヒンジ部材21側へ付勢されており、その付勢力によって2つの板部22c,22cの各左端面に形成された半円状をなす円弧部22d,22dが第1ヒンジ部材21の端面カム21b,21bにそれぞれ突き当てられている。端面カム21bは、可動部22Bに作用するコイルばね43A,43Bの回動軸線L方向への付勢力を、回動軸線Lを中心とした回動付勢力に変換する。この回動付勢力により、第2ヒンジ部材(可動部22B及び本体部22A)が折り畳み位置側から通話位置側へ回動付勢され、さらに第2係合部材32及び第1係合部材31を介して受話部3が折り畳み位置側から通話位置側へ付勢されるようになっている。
【0019】
ここで、図14に示すように、可動部22Bの円弧部22dは、受話部3が折り畳み位置に位置しているときには、端面カム21bの上端部(右端部)に接している。端面カム21bの上端から下端までの周方向の角度は、受話部3の最大回動角度(165°)より若干小さい角度(例えば160°)に設定されているが、端面カム21bの下端部(左端部)には、それに続いて凹部21cが形成されている。そして、受話部3が通話位置まで回動すると、円弧部22dが凹部21cを区画する底面のうちの、その曲率中心より端面カム21b側に位置する傾斜した部分に接触し、受話部3が通話位置に達した後もこの傾斜部によって可動部22B、ひいては受話部3が折り畳み位置側から通話位置側へ向かう方向へ付勢される。したがって、凹部21cの底面のうちの端面カム21b側の部分も、端面カム21bと共にカム面を構成している。
【0020】
上記係止手段24は、図2〜図3に示すように、第2ヒンジ部材22を回動付勢手段23の回動付勢力に抗して折り畳み位置に停止させるためのものであり、当接部材241、係止部材242、及び復帰ばね(復帰付勢手段)243を有している。
【0021】
当接部材241は、図2〜図5及び図7に示すように、円筒状をなしており、第1ヒンジ部材21の右端部側に形成された大径孔部21dに回動可能に嵌合されている。当接部材241の右端面には、2つの当接面241aが回動軸線Lを中心として点対称に配置形成されている。この当接面241aは、回動軸線Lに対して所定の角度(この実施の形態ではほぼ30°)だけ傾斜した傾斜面241bと、この傾斜面241bの左端から回動軸線Lに沿って延びるストレート面241cとから構成されている。受話部3が折り畳み位置に位置しているとき、傾斜面241bの上端部に可動部22Bの円弧部22dが突き当たっている。したがって、当接部材241が折り畳み位置側から通話位置側へ回動しない限り、可動部22Bは折り畳み位置側から通話位置側へ回動することができず、第2ヒンジ部材22及び受話部3が折り畳み位置に停止される。しかも、傾斜面241bに円弧部22dが突き当たった状態においては、コイルばね43A,43Bの付勢力が傾斜面241bによって回動付勢力に変換される。この回動付勢力により、、可動部22Bが通話位置側から折り畳み位置側へ向かう方向へ付勢され、それによって受話部3が送話部2に突き当たった状態に、つまり折り畳み位置に維持される。なお、当接部材241は、コイルばね43A,43Bの付勢力によって回動軸線L方向左方へも付勢されており、その付勢力によって当接部材241の左端面が底部21fの右端面に突き当てられている。
【0022】
可動部22Bが当接部材241によって折り畳み位置に停止され、それによって受話部3が折り畳み位置に位置した状態においては、上記のように、可動部22Bの円弧部22dが端面カム21bの上端部(右端部)にほぼ接触しているのであるが、第1ヒンジ部材21の右端面には、端面カム21bの上端部からさらに上方(右方)へ延びる円弧面部21eが形成されている。この円弧面部21eは、ヒンジ装置10が携帯電話機1に組み込まれた状態では可動部22Bの円弧部22dに接触することはほとんどないが、ヒンジ装置10全体が携帯電話機1に組み込まれる前のユニットとして取り扱われるときには、傾斜面241bによって通話位置側から折り畳み位置側へ回動付勢される可動部22Bの円弧部22dを受け止める。これによって、円弧部22dが端面カム21bの上端から脱落するのを防止している。
【0023】
当接部材241を折り畳み位置に位置固定するために、上記係止部材242が用いられている。係止部材242は、図2〜図5及び図9に示すように、円形のリング状をなす本体部242aを有している。この本体部242aは、ヒンジ軸41の大径部41bの外周面と当接部材241の内周面との間に回動軸線Lを中心として回動可能に、かつ回動軸線L方向へ移動可能に配置されている。本体部242aは、それと筒部材42のフランジ部42aとの間に設けられた復帰ばね243によって左方へ付勢され、第1ヒンジ部材21の底部21fに突き当てられている。
【0024】
係止部材242の本体部242aの外周面には、2つの係合腕部242b(係止突部)が回動軸線Lを中心として点対称に配置形成されている。各係合腕部242bは、当接部材241の左端面に形成された2つのガイド溝241dに周方向へは移動不能に、回動軸線L方向へは移動可能に挿入されている。これにより、係止部材242が当接部材241に回動不能に、かつ回動軸線L方向へ移動可能に連結されている。係合腕部242bは、本体部242aから左方へ突出しており、第1ヒンジ部材21の底部21fの右端面から回動軸線Lに沿って第1ヒンジ部材21の左端面まで貫通した貫通孔(係止凹部)21gに回動軸線L方向へは移動可能に、周方向へは移動不能に嵌合されている。したがって、係合腕部242bが貫通孔21gに嵌合した状態では、係止部材242及び当接部材241が第1ヒンジ部材21に対して回動不能になる。よって、当接部材241の当接面241aに突き当たった可動部22Bも折り畳み位置から通話位置側へ回動不能になり、第2ヒンジ部材22及び受話部3が折り畳み位置に位置固定される。その一方、係合腕部242bが貫通孔21gから脱出すると、係止部材242及び当接部材241が回動可能になり、第2ヒンジ部材22及び受話部3が折り畳み位置から通話位置側へ回動可能になる。
【0025】
上記係止解除手段25は、係止手段24による可動部22Bの折り畳み位置における係止状態を解除するためのものであり、押圧部材(操作部材)251及び操作ボタン252を有している。
【0026】
押圧部材251は、図2〜図5及び図8に示すように、リング状をなす本体部251aを有している。この本体部251aは、第1ヒンジ部材21の左端部外周面に摺動自在に嵌合されている。しかも、ヒンジ軸41の頭部41a に突き当たることにより、左方へ抜け止めされている。本体部251a の右端面には、2つの当接突起251bが形成されている。各当接突起251bは、回動軸線Lと平行に延び、周方向に180°離れて配置されている。各当接突起251bの先端部は、第1ヒンジ部材21の貫通孔21gに入り込んでおり、その先端面は、係止部材242の係合腕部242bの左端面に突き当たっている。当接突起251bは、本体部251aが第1ヒンジ部材21の左端面に突き当たるまで右方へ移動させられると、その先端面が第1ヒンジ部材21の段差面21h(図6(E)参照)と面一になり、係合腕部242bを第1ヒンジ部材21の貫通孔21gから押し出す。この結果、係止部材242及び当接部材241が折り畳み位置から通話位置側へ回動可能になり、第2ヒンジ部材22及び受話部3が回動付勢手段23の回動付勢力によって折り畳み位置から通話位置まで回動させられる。
【0027】
ここで、係止部材242及び当接部材241は、回動軸線Lに関して点対称に形成されているので、それらが折り畳み位置から180°回動すると、折り畳み位置に位置したときと同じ状態になる。つまり、係止部材242が折り畳み位置から180°回動すると、その2つの係合腕部242bが第1ヒンジ部材21の各貫通孔21gとそれぞれ嵌合可能になる。しかるに、受話部3の折り畳み位置から通話位置までの回動角度はほぼ165°である。このため、仮に受話部3が折り畳み位置から通話位置まで回動したとき、係止部材242が受話部3と同一角度だけしか回動しないものとすると、係止部材242の係合腕部242bは、受話部3が通話位置に回動したときに貫通孔21gに嵌合することができない。しかし、このヒンジ装置10においては、受話部3が折り畳み位置に位置しているときには可動部22Bの円弧部22dが当接部材241の傾斜面241bに接触しているので、可動部22Bが折り畳み位置から通話位置側へ向かって回動するのに伴ってその円弧部22dが端面カム21b上を下方(左方)へ摺動するときに、円弧部22dは傾斜面241bに接触しつつ下方へ移動することにより、当接部材241を可動部22Bより通話位置側へ大きく回動させる。この傾斜面241bによる回動角度は、折り畳み位置と通話位置との間の周方向の角度と180°との角度差と同一に設定されている。この実施の形態の場合、ほぼ15°に設定されている。したがって、受話部3及び第2ヒンジ部材22が折り畳み位置から通話位置までほぼ165°だけ回動すると、当接部材241及び係止部材242が、180°回動する。この結果、係合腕部242bが貫通孔21gと対向する。したがって、係止部材242が復帰ばね243によって左方へ移動させられと、係合腕部242bが貫通孔21gに入り込む。
【0028】
なお、係合腕部242bの先端部(左端部)には、面取り242cが形成されているが、この面取り242cは、係合腕部242bが貫通孔21gに入り込み易くなるようにするためのものであり、係止部材242の左方への移動に伴って係止部材242を折り畳み位置側から通話位置側へ回動させるためのものではない。したがって、面取り242cは、必ずしも形成する必要はない。
【0029】
図2〜図5に示すように、操作ボタン252は、押圧部材251の左端部に嵌合固定されている。したがって、操作ボタン252を右方へ押すことにより、押圧部材251を右方へ移動させることができ、それによって係止手段24による可動部22Bの折り畳み位置での係止状態を解除することができる。図2に示すように、操作部材252の右端部は、係止部材242の係合腕部242bが貫通孔21gに入り込んだ初期状態(受話部3が折り畳み位置に位置しているときの状態)においても、送話部2の連結筒部2bの左端部に入り込んでいる。これにより、操作ボタン252以外のヒンジ装置10の各部材が外部から目視されないようになっている。
【0030】
回動付勢手段23によって通話位置まで回動させられた受話部3及び第1ヒンジ部材22は、手動により回動付勢手段23の付勢力に抗して折り畳み位置まで復帰回動させられる。復帰回動当初は、可動部22Bの円弧部22d,22dが、端面カム21b,21bに接触しているが、復帰回動途中からは当接部材241の端面の当接面241a,241a間にそれぞれ形成された周方向に延びる復帰傾斜面241e,241eに接触するようになる。復帰傾斜面241e,241eは、回動軸線Lを中心として点対称に形成されており、その傾斜角度は端面カム21bの傾斜角度より若干大きく設定されている。復帰傾斜面241eの下端は、端面カム21bの下端より若干低い位置に設定され、復帰傾斜面241eの上端は端面カム21bの上端より若干高い位置に設定されている。これにより、受話部3の通話位置から折り畳み位置への復帰回動途中に、円弧部2dが端面カム21bから復帰傾斜面241eに乗り変わるようになっている。復帰傾斜面241eは、受話部3の復帰回動当初から円弧部22dが摺動するように形成してもよい。受話部3を折り畳み位置より所定角度(上記のように、この実施の形態ではほぼ10°)だけ手前まで復帰回動させると、円弧部22dが傾斜面241bに接触するようになる。この結果、コイルばね43A,43Bの付勢力が回動付勢力に変換される。そして、この回動付勢力により、可動部22Bが通話位置側から折り畳み位置側へ回動付勢され、受話部3が送話部2に突き当てられて折り畳み位置に維持される。
なお、この実施の形態では、復帰傾斜面241eと傾斜面241bとの間に高さ(回動軸線L方向における位置)が一定である平面241fが形成されているが、この平面241fは必ずしも形成する必要はない。
【0031】
次に、上記第2ヒンジ部30について説明する。図2〜図5に示すように、第2ヒンジ部30は、いずれも円板状をなす第1、第2係合部材31,32を有している。第1係合部材31は、ヒンジ軸41の小径部41cの外周面に回動可能に嵌合している。第1係合部材31の外周面には、キー溝31aが形成されている。このキー溝31aに受話部3の連結筒部3cの内周面に形成されたキー部(図示せず)が嵌合することにより、第1係合部材31が受話部3に回動不能に連結されている。しかも、第1係合部材31は、止め輪43に突き当たることにより、右方への移動が阻止されている。一方、第2係合部材32は、筒部材42の右端部外周面に回動可能に嵌合するとともに、第2ヒンジ部材22の右端部内周面に嵌合している。前述したように、第2係合部材32の外周面には、キー部32aが形成されており、このキー部32aが第2ヒンジ部材22の本体部22Aの係止溝22aに回動軸線L方向へ移動可能に、かつ回動不能に嵌り込むことにより、第2係合部材32が本体部22Aに回動不能に、かつ回動軸線L方向へ移動可能に連結されている。第2係合部材32は、コイルばね43A,43Bによって第1係合部材31側へ付勢されており、後述する球体33,34を介して第1係合部材31に突き当たっている。
【0032】
図4及び図13に示すように、第1係合部材31の第2係合部材32と対向する左端面には、一対の第1係合凹部31b,31cが形成されるとともに、一対の第2係合凹部31d,31eが形成されている。各係合凹部31b〜31eは、同一の大きさの球面の一部によって区画構成されている。第1係合凹部31b,31cは、周方向にほぼ165°離れて配置されている。つまり、受話部3の折り畳み位置から通話位置までの回動角度とほぼ同一の角度だけ離れて配置されている。第1係合凹部31b,31c間の第1係合部材31の左端面には、第1係合部材31の軸線(回動軸線L)を中心として周方向に延び、第1係合凹部31b,31cを連結する第1ガイド凹部31fが形成されている。第2係合凹部31d,31eも、第1係合凹部31b,31cと同様に、周方向にほぼ165°離れて配置されている。しかも、第1係合凹部31b,31cに対して所定角度θ(この実施の形態ではほぼ15度)だけ周方向に離れて配置されている。この結果、第1係合凹部31bと第2係合凹部31eとは周方向に180°離れ、第1係合凹部31cと第2係合凹部31dとは周方向に180°離れている。また、第2係合凹部31d,31eは、第1係合凹部31b,31cより若干内周側に配置されており、第2係合凹部31d,31eの斜め外側の部分が隣接する第1係合凹部31b,31cの斜め内側の部分とぞれぞれ交差している。第2係合凹部31d,31e間の第1係合部材31の左端面には、第1係合部材31の軸線(回動軸線L)を中心として周方向に延び、第2係合凹部31d,31eを連結する第2ガイド凹部31gが形成されている。
【0033】
図3、図4及び図5に示すように、第2係合部材32の第1係合部材31と対向する右端面には、装着凹部32b,32cが形成されている。装着凹部32b,32cは、第2係合部材32の周方向へ180°離れて配置されている。一方の装着凹部32bは、第1係合凹部31b,31cと同一円周上に配置されている。他方の装着凹部32cは、第2係合凹部31d,31eと同一円周上に配置されている。各装着凹部32b,32cには、球体33、34がその一部を突出させた状態でそれぞれ嵌合固定されている。球体33,34を装着凹部32b,32cに装着する代わりに、第2係合部材32の第1係合部材31との対向面に球状をなす突出部を一体に形成してもよい。
【0034】
受話部3が折り畳み位置に位置しているとき、装着凹部32bに装着された球体33は、その中心が第1係合凹部31bの曲率中心に対し第1ガイド凹部31f側へ所定の角度(この実施の形態では5°程度)だけ周方向にずれており、装着凹部32cに装着された球体34は、その中心が第2係合凹部31eの曲率中心に対して同一角度だけ第2ガイド凹部31g側にずれている。したがって、受話部3が折り畳み位置に位置しているときには、図13(D)に示すように、球体33が第1係合凹部31bを区画する底面のうちの第1ガイド凹部31f側の傾斜部に接触するとともに、球体34が第2係合凹部31eの第2ガイド部31g側の傾斜部に接触している。これにより、第2係合部材32を第1係合部材31側へ付勢するコイルばね43A,43Bの付勢力が回動付勢力に変換される。この回動付勢力により、第1係合部材31が通話位置側から折り畳み位置側へ向かって回動付勢される。この結果、受話部3が送話部2に突き当たった折り畳み位置に維持される。
【0035】
なお、コイルばね43A,43Bの付勢力が第1、第2係合凹部31b,31eの傾斜部と球体33,34とによって回動付勢力に変換され、この回動付勢力によって第1係合部材31が通話位置側から折り畳み位置側へ回動付勢される結果、その反力により第2係合部材32が折り畳み位置側から通話位置側へ回動付勢され、ひいては第2ヒンジ部材22が折り畳み位置側から通話位置側へ回動付勢される。しかし、第2ヒンジ部材22は、係止手段24によって折り畳み位置から通話位置側への回動が阻止されている。したがって、第2係合部材32及び第2ヒンジ部材22が通話位置側へ回動することはない。
【0036】
また、ヒンジ装置10が携帯電話機1に組み付けられた状態においては、受話部3が折り畳み位置に位置しているとき、球体33,34の中心が第1係合凹部31b及び第2係合凹部31dの曲率中心に対してそれぞれ周方向にずれているが、ヒンジ装置10を携帯電話機1に組み付ける前のユニットとして取り扱われる際には、球体33,34の各中心が第1係合凹部31b及び第2係合凹部31eの各曲率中心とそれぞれ一致し、これによって第1、第2係合部材31,32が一体化されている。
【0037】
受話部3が通話位置に位置しているとき、球体33の中心は、第1係合凹部31cの曲率中心に対し、受話部3が折り畳み位置に位置しているときに球体33の中心が第1係合凹部31bの曲率中心に対してずれている角度と同一の角度だけ第1ガイド凹部31f側にずれており、球体34の中心は第2係合凹部31dの曲率中心に対して同様にずれている。したがって、球体33,34は、第1係合凹部31cと第2係合凹部31dの各底面の傾斜部にそれぞれ接触する。この結果、コイルばね43A,43Bの付勢力が回動付勢力に変換され、この回動付勢力によって第1係合部材31が折り畳み位置側から通話位置側へ向かって回動付勢され、受話部3が通話位置に維持される。
【0038】
次に、上記構成の携帯電話機10の作用について図14を参照しながら説明する。いま、受話部3が折り畳み位置に位置しているものとする。この状態において、操作ボタン252を図1の右方へ押し、係止部材242の係合腕部242bを第1ヒンジ部材21の貫通孔21gから脱出させる。すると、当接部材241による可動部22Bに対する係止状態が解除される。この結果、回動付勢手段23の回動付勢力が、可動部22B、本体部22Aを介して第2係合部材32に伝達され、さらに球体33,34を介して第1係合部材31に伝達され、第1係合部材31から受話部3に伝達される。ここで、回動付勢手段23の回動付勢力は、球体33,34と係合凹部31b,31eの傾斜部とがコイルばね43A,43Bによって押圧接触させられることによって発生する最大回動付勢力より小さく設定されている。したがって、回動付勢手段23の回動付勢力が第2係合部材32から球体33,34を介して第1係合部材31に伝達されるときに、球体33,34が係合凹部31b,31eから脱出することがなく、第2係合部材32は、第1係合部材31と一体に折り畳み位置から通話位置側へ回動する。よって、第1係合部材31に回動不能に連結された受話部3も通話位置側へ確実に回動させられる。受話部3は、通話位置まで回動して停止する。回動付勢手段23の回動付勢力は、受話部3が通話位置に達した後も受話部3に作用している。したがって、受話部3は、通話位置に維持される。
【0039】
受話部3が折り畳み位置から通話位置まで回動したとき、当接部材241及び係止部材242は、回動付勢手段23により第2ヒンジ部材22(可動部22A)と一緒に折り畳み位置から通話位置側へ回動させられる。ここで、第2ヒンジ部材22の回動角度は、180°より小さい165°である。しかるに、第2ヒンジ部材22が通話位置側へ回動するときには、その可動部22Bの円弧部22dが傾斜面241bを下方(図2において左方)へ摺動することにより、当接部材241及び係止部材242を第2ヒンジ部材22に対して折り畳み位置側から通話位置側へ回動させる。この回動角度は、第2ヒンジ部材22の回動角度(受話部3の回動角度)と180°との角度差の分である。つまり、この実施の形態では、180°−165°=15°になっている。したがって、当接部材241及び係止部材242は、第2ヒンジ部材22(受話部3)が折り畳み位置から通話位置まで回動する間に180°回動する。すると、第1ヒンジ部材21の二つの貫通孔21g,21g及び係止部材242の二つの係合腕部242b,242bが回動軸線Lを中心として点対称に形成されているので、係止部材242が初期位置(折り畳み位置)に位置しているときと同様に、係合腕部242bが貫通孔21gと対向する。その後、復帰ばね243によって係止部材242が左方へ移動させられ、係合腕部242bが貫通孔21gに嵌合する。この結果、係止部材242が初期状態と同一の状態になり、当接部材241及び係止部材242が第1ヒンジ部材21に対して回動不能になる。
【0040】
回動付勢手段23によって通話位置まで回動させられた受話部3は、手動で折り畳み位置まで復帰回動させる。受話部3を折り畳み位置側へ回動させると、その回動力が第1係合部材31を介して第2係合部材32に伝達され、さらに第2ヒンジ部材2に伝達される。このとき、第2ヒンジ部材2は、回動付勢手段23によって折り畳み位置側から通話位置側へ回動付勢されているが、上記のように、球体33,34が係合凹部31b、31eに入り込むことによって生じる第1係合部材31と第2係合部材32とを一体化する力は、回動付勢手段23の回動付勢力より大きく設定されている。したがって、受話部3を折り畳み位置側へ回動させると、第1、第2係合部材31,32が一体に同方向へ回動し、それらとともに第2ヒンジ部材22が回動付勢手段23の回動付勢力に抗して同方向へ回動する。その結果、可動部22Bの円弧部22dが端面カム21bから復帰傾斜面241e上を上方(図2において右方)へ摺動する。受話部3を折り畳み位置の若干手前の位置(10°程度手前の位置)まで回動させると、円弧部22dが当接部材241の傾斜面241bに接触するようになる。この結果、コイルばね43A,43Bの付勢力が回動付勢力に変換され、その回動付勢力によって受話部3が折り畳み位置まで回動させられる。しかも、この回動付勢力は、受話部3が折り畳み位置に達した後も受話部3に作用している。したがって、受話部3は折り畳み位置に維持される。
【0041】
受話部3は、手動によって折り畳み位置から通話位置まで回動させることも可能である。受話部3の折り畳み位置から通話位置側への回動当初は、コイルばね43A,43Bの付勢力が球体33,34と第1係合凹部31b及び第2係合凹部31eの底面の各傾斜部とによって変換された回動付勢力に抗して、受話部3を通話位置側へ回動させる。勿論、このときには、受話部3を回動させる力が第1係合部材31を介して第2係合部材32及び第2ヒンジ部材22に作用するが、第2ヒンジ部材22が当接部材241及び係止部材242を介して第1ヒンジ部材21に回動不能に連結されているので、第2係合部材32及び第2ヒンジ部材22が受話部3の通話位置側への回動に伴って同方向へ回動することはない。受話部3を折り畳み位置から所定角度(例えば、10°程度)だけ通話位置側へ回動させると、球体33,34が第1係合凹部31b及び第2係合凹部31eから抜け出る。その結果、受話部3には回動付勢力が作用しなくなる。その代わり、球体33,34が第1、第2ガイド溝31f,31gにそれぞれ押し付けられることによって摩擦抵抗が発生する。この摩擦抵抗が受話部3の回動を阻止しようとする。したがって、受話部3は、この摩擦抵抗に抗して通話位置側へ回動させることになり、球体33,34がガイド溝31f,31gに入り込んでいる間は、摩擦抵抗によって受話部3を任意の位置に停止させることができる。受話部3を通話位置に対して所定の角度(例えば、10°程度)だけ手前の位置まで回動させると、球体33,34が第1係合凹部31c及び第2係合凹部31dに入り込む。この結果、コイルばね43A,43Bの付勢力が回動付勢力に変換され、その回動付勢力によって受話部3が通話位置まで回動させられるとともに、同位置に維持される。
【0042】
手動で通話位置に回動させられた受話部3を折り畳み位置に回動させる場合には、上記とは逆に、まず受話部3を、コイルばね43A,43B、球体33,34及び係合凹部31c,31dによる回動付勢力に抗して所定角度だけ回動させて、球体33,34を係合凹部31c,31dから脱出させ、第1、第2ガイド溝31f,31gに入り込ませる。その後、受話部3を折り畳み位置の所定の角度だけ手前の位置まで摩擦抵抗に抗して回動させる。受話部3が折り畳み位置の所定角度だけ手前の位置に達すると、その後は受話部3がコイルばね43A,43B、球体33,34及び第1、第2係合凹部31b,31eによる回動付勢力によって折り畳み位置まで回動させられるとともに、同位置に維持される。
【0043】
上記のように、このヒンジ装置10においては、係止部材242の係合腕部242bが、第1ヒンジ部材21の貫通孔21gに嵌合するとともに、当接部材241の端部に係合するようになっており、それらの内周面と外周面とに係合することがない。したがって、第1ヒンジ部材21が大径化することがない。よって、ヒンジ装置10が大型化するのを防止することができる。、
【0044】
なお、この発明は、上記の実施の形態に限定されるものでなく、適宜変更可能である。
例えば、上記の実施の形態は、この発明に係るヒンジ装置10を携帯電話機1に用いていたものであるが、ヒンジ装置10はノート側パソコン等にも採用可能である。
また、第2ヒンジ部材22を、本体部22Aと、この本体部22Aの第1ヒンジ部材21側の端部に回動不能にかつ回動軸線L方向へ移動可能に設けられた可動部22Bとから構成しているが、本体部22Aと可動部22Bとを一体に形成してもよい。その場合には、第2ヒンジ部材22全体を回動軸線L方向へ移動可能にすればよい。
また、第2のヒンジ部材22を第2のヒンジ部30(の第2係合部材32及び第1係合部材31)を介して受話部3に連結しているが、受話部3に直接連結してもよい。つまり、第2ヒンジ部30については、必ずしも設ける必要がない。
さらに、コイルばね(直動付勢手段)43A,43Bの回動軸線Lに沿う付勢力を回動付勢力に変換するためのカム面(端面カム21b及び凹部21cの底面)を第1ヒンジ部材21に形成しているが、第2ヒンジ部材22に形成してもよい。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、第1ヒンジ部材が大径化することがなく、したがってヒンジ装置が大型化するのを防止することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るヒンジ装置が用いられた携帯電話機の一実施の形態を示す図であって、図1(A)は受話部を通話位置に回動させた状態で示す側面図、図1(B)はその正面図である。
【図2】図1のX−X線に沿う拡大断面図である。
【図3】この発明に係るヒンジ装置を示す図2のX−X線に沿う断面図である。
【図4】図3のX−X断面図である。
【図5】コイルばね及び復帰ばねを省略して示す同ヒンジ装置の分解斜視図である。
【図6】同ヒンジ装置の第1ヒンジ部材を示す図であって、図6(A)はその正面図、図6(B)、(C)、(D)はそれぞれ図6(A)のB、C、D矢視図、図6(E)は図6(C)のE−E線に沿う断面図である。
【図7】同ヒンジ装置の係止部材を示す図であって、図7(A)はその正面図、図7(B)、(C)はそれぞれ図7(A)のB、C矢視図である。
【図8】同ヒンジ装置の押圧部材を示す図であって、図8(A)はその正面図、図8(B)、(D)はそれぞれ図8(A)のB、D矢視図、図8(C)は図8(B)のC−C線に沿う断面図である。
【図9】同ヒンジ装置の中間部材を示す図であって、図9(A)はその正面図、図9(B)、(C)、(D)はそれぞれ図9(A)のB、C、D矢視図、図9(E)は図9(C)のE−E線に沿う断面図である。
【図10】同ヒンジ装置の第2ヒンジ部材を示す図であって、図10(A)はその正面図、図10(B)は図10(A)のB−B線に沿う断面図、図10(C)、(D)はそれぞれ図10(A)のC、D矢視図である。
【図11】同ヒンジ装置の可動部材を示す図であって、図11(A)はその正面図、図11(B)、(C)、(D)はそれぞれ図11(A)のB、C、D矢視図、図11(E)は図11(A)のE−E線に沿う断面図である。
【図12】同ヒンジ装置の第1係合部材を示す図であって、図12(A)はその平面図、図12(B)は図12(A)のB矢視図、図12(C)は図12(A)のC−C線に沿う断面図である。
【図13】同ヒンジ装置の第2係合部材を示す図であって、図13(A)はその正面図、図13(B)、(C)はそれぞれ図13(A)のB、C矢視図、図13(D)は図13(B)のD−D線に沿う拡大断面図である。
【図14】同ヒンジ装置における端面カム、復帰傾斜面及び傾斜面の動作を示す図である。
【符号の説明】
L 回動軸線
1 携帯電話機
2 送話部
3 受話部
10 ヒンジ装置
20 第1ヒンジ部
21 第1ヒンジ部材
21f 底部
21g 貫通孔(係止凹部)
22 第2ヒンジ部材
23 回動付勢手段
24 係止手段
25 係止解除手段
241 当接部材
241a 当接面
242 係止部材
242b 係合腕部(係止突部)
243 復帰ばね(復帰付勢手段)
251 押圧部材(操作部材)
251b 当接突起[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a hinge device that is used in, for example, a folding cellular phone and can rotate a receiving unit of a folding cellular phone from a folding position to a talking position with respect to a transmitting unit by only one-touch operation of an operation member.
[0002]
[Prior art]
As a conventional hinge device of this type, for example, there is one described in Japanese Patent Laid-Open No. 2001-207721. This hinge device is arranged so as to be relatively rotatable on a rotation axis between a transmitting part and a receiving part of a foldable mobile phone, and a first and a non-rotating part are respectively provided on the transmitting part and the receiving part. The second hinge member, the movable biasing means for biasing the second hinge member from the folding position to the talking position side, the locking means for locking the second hinge member at the folding position, and the locking means And a lock release means for releasing the lock state of the second hinge member.
[0003]
The locking means has a contact member and a locking member. The contact member is rotatably fitted to the inner periphery of the first hinge member formed in a cylindrical shape. At the end of the contact member on the second hinge member side, a contact surface that abuts when the second hinge member rotates from the folded position to the talking position side is formed. The locking member is disposed between the inner peripheral surface of the first hinge member and the outer peripheral surface of the contact member so as to be movable in the rotation axis direction. When the locking member is located at the locking position, the outer peripheral surface thereof The outer peripheral surface engages with the inner peripheral surface of the first hinge member and the outer peripheral surface of the contact member in a non-rotatable manner. As a result, the contact member is locked to the first hinge member via the locking member so as not to rotate. As a result, the second hinge member cannot be rotated from the folding position to the call position side. When the locking member is moved from the locking position to the releasing position by the operating member of the locking releasing means, the locked state by the locking member is released. Therefore, the second hinge member can be rotated from the folded position to the call position side.
[0004]
[Problems to be solved by the invention]
In the conventional hinge device, the locking member is disposed between the inner peripheral surface of the first hinge member and the outer peripheral surface of the contact member, and the outer peripheral surface and the inner peripheral surface of the locking member are the first hinge. Since the inner peripheral surface of the member and the outer peripheral surface of the contact member are respectively engaged, the first hinge member arranged on the outermost side has to be increased in diameter, and as a result, the entire hinge device is increased in size. There was a problem that.
[0005]
[Means for Solving the Problems]
In order to solve the above-described problem, the present invention provides a first hinge member disposed on a rotation axis, and is disposed on the rotation axis so as to face the first hinge member. And a second hinge member that is rotatable between a first position and a second position, and a rotation mechanism that rotates the second hinge member from the first position to the second position. Biasing means, locking means for locking the second hinge member against the rotation biasing force of the rotation biasing means at the first position, and the second hinge member by the locking means. In the hinge device including the unlocking means for releasing the locked state, the first hinge member has a locking recess formed in the rotational axis direction, and the locking means is the first hinge member. Between the second hinge member and the second hinge member so as to be rotatable about the rotation axis. A contact member having a contact surface that abuts when the flange member rotates from the first position to the second position side, and the end of the contact member on the first hinge member side cannot rotate. And a locking member having a locking projection that is movably connected to the locking recess and detachably engages with the locking recess, and the locking member is connected to the second hinge member from the side of the second hinge member. Return biasing means for biasing toward the first hinge member, and the unlocking means moves in the direction of the rotational axis in the direction opposite to the locking member with the first hinge member in between. An operation member provided with an abutting projection that is arranged so as to enter the locking recess and move the locking projection away from the locking recess when moved in a direction approaching the first hinge member. It is characterized by having.
In this case, the first hinge member is formed as a cylindrical body having an opening at the end on the second hinge member side and a bottom at the end on the opposite side. The locking member is formed with a through hole serving as a locking recess, the locking member and the abutting member are sequentially inserted into the first hinge member so as to be rotatable, and face the bottom of the first hinge member It is desirable that the locking projection is formed on the opposite surface.
[0006]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
An embodiment of the present invention will be described below with reference to FIGS.
FIG. 1 shows an embodiment of a mobile phone according to the present invention. The mobile phone 1 includes a
[0007]
At the end of the
[0008]
One of the two sets of connecting
[0009]
The
[0010]
First, the function of the
[0011]
The
[0012]
Next, a specific configuration of the
[0013]
First, the
[0014]
The
[0015]
The
[0016]
As shown in FIG. 3, a small-
[0017]
A
[0018]
The rotation urging means 23 is for rotating the
[0019]
Here, as shown in FIG. 14, the
[0020]
As shown in FIGS. 2 to 3, the locking means 24 is for stopping the
[0021]
As shown in FIGS. 2 to 5 and 7, the abutting
[0022]
In a state where the
[0023]
The locking
[0024]
On the outer peripheral surface of the
[0025]
The locking release means 25 is for releasing the locked state of the
[0026]
The pressing
[0027]
Here, since the locking
[0028]
Note that a
[0029]
As shown in FIGS. 2 to 5, the
[0030]
The
In this embodiment, a
[0031]
Next, the
[0032]
As shown in FIGS. 4 and 13, a pair of first engagement recesses 31 b and 31 c are formed on the left end surface of the
[0033]
As shown in FIGS. 3, 4, and 5, mounting
[0034]
When the
[0035]
The urging force of the
[0036]
Further, in the state where the
[0037]
When the receiving
[0038]
Next, the operation of the
[0039]
When the receiving
[0040]
The
[0041]
The receiving
[0042]
When the
[0043]
As described above, in the
[0044]
In addition, this invention is not limited to said embodiment, It can change suitably.
For example, in the above-described embodiment, the
The
In addition, the
Further, the cam surface (the bottom surface of the
[0045]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, there is an effect that the first hinge member does not increase in diameter, and therefore the hinge device can be prevented from increasing in size.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a diagram showing an embodiment of a mobile phone using a hinge device according to the present invention, and FIG. 1 (A) is a side view showing a state in which a receiver is turned to a talking position; FIG. 1B is a front view thereof.
FIG. 2 is an enlarged cross-sectional view taken along line XX of FIG.
3 is a cross-sectional view taken along line XX of FIG. 2 showing the hinge device according to the present invention.
4 is a cross-sectional view taken along the line XX of FIG.
FIG. 5 is an exploded perspective view of the hinge device with the coil spring and the return spring omitted.
6 is a view showing a first hinge member of the hinge device, in which FIG. 6 (A) is a front view thereof, and FIGS. 6 (B), (C), and (D) are views of FIG. 6 (A), respectively. B, C, D arrow line view, FIG.6 (E) is sectional drawing which follows the EE line | wire of FIG.6 (C).
7A and 7B are diagrams showing a locking member of the hinge device, in which FIG. 7A is a front view thereof, and FIGS. 7B and 7C are views of arrows B and C in FIG. 7A, respectively. FIG.
8A and 8B are views showing a pressing member of the hinge device, in which FIG. 8A is a front view thereof, and FIGS. 8B and 8D are views taken along arrows B and D in FIG. 8A, respectively. FIG. 8C is a cross-sectional view taken along the line CC of FIG. 8B.
9 is a view showing an intermediate member of the hinge device, in which FIG. 9 (A) is a front view thereof, and FIGS. 9 (B), (C), and (D) are B, FIG. C and D arrow line views and FIG. 9E are cross-sectional views taken along the line EE of FIG. 9C.
FIG. 10 is a view showing a second hinge member of the hinge device, FIG. 10 (A) is a front view thereof, FIG. 10 (B) is a cross-sectional view taken along line BB of FIG. 10 (A), 10C and 10D are views taken along arrows C and D in FIG.
11A and 11B are diagrams showing a movable member of the hinge device, in which FIG. 11A is a front view thereof, and FIGS. 11B, 11C, and 11D are respectively B in FIG. C, D arrow line figure and FIG.11 (E) are sectional drawings which follow the EE line | wire of FIG. 11 (A).
12A and 12B are views showing a first engaging member of the hinge device, in which FIG. 12A is a plan view thereof, FIG. 12B is a view taken along an arrow B in FIG. (C) is sectional drawing which follows the CC line of FIG. 12 (A).
13 is a view showing a second engaging member of the hinge device, FIG. 13 (A) is a front view thereof, and FIGS. 13 (B) and (C) are B and C in FIG. 13 (A), respectively. An arrow view and FIG.13 (D) are expanded sectional views which follow the DD line | wire of FIG. 13 (B).
FIG. 14 is a diagram showing operations of the end face cam, the return inclined surface, and the inclined surface in the hinge device.
[Explanation of symbols]
L Rotation axis
1 Mobile phone
2 Sending part
3 receiver
10 Hinge device
20 1st hinge part
21 First hinge member
21f bottom
21g Through hole (locking recess)
22 Second hinge member
23 Rotating biasing means
24 Locking means
25 Unlocking means
241 Contact member
241a Contact surface
242 Locking member
242b Engaging arm (locking projection)
243 Return spring (return bias means)
251 Pressing member (operation member)
251b Abutment protrusion
Claims (2)
上記第1ヒンジ部材には、係止凹部が上記回動軸線方向に形成され、
上記係止手段が、上記第1ヒンジ部材と上記第2ヒンジ部材との間に上記回動軸線を中心として回動可能に配置され、上記第2ヒンジ部材が上記第1の位置から上記第2の位置側へ回動するときに突き当たる当接面を有する当接部材と、この当接部材の上記第1ヒンジ部材側の端部に連結された係止部材と、この係止部材を上記第2ヒンジ部材側から上記第1ヒンジ部材側へ付勢する復帰付勢手段とを有し、上記係止部材の外周には、上記回動軸線方向における上記第1ヒンジ部材側の一端部が上記係止凹部に係脱可能に係合する係止突部が設けられ、この係止突部の他端部が上記当接部材に摺動可能に嵌り込むことによって上記係止部材が上記当接部材に回動不能、かつ上記回動軸線方向へ移動可能に連結され、
上記係止解除手段が、上記第1ヒンジ部材を間にして上記係止部材と逆側に上記回動軸線方向へ移動可能に配置され、上記第1ヒンジ部材に接近する方向へ移動させられたときに上記係止凹部に入り込んで上記係止突部を上記係止凹部から離脱させる当接突起が設けられた操作部材を有することを特徴とするヒンジ装置。A first hinge member disposed on the pivot axis; and a first hinge member disposed on the pivot axis so as to face the first hinge member; and a first position and a second position with respect to the first hinge member; A second hinge member that can rotate between the first hinge member, a rotation urging means that rotates the second hinge member from the first position to the second position, and the second hinge member that rotates the second hinge member. Locking means for locking at the first position against the rotational biasing force of the biasing means, and locking release means for releasing the locking state of the second hinge member by the locking means. In the hinge device
A locking recess is formed in the first hinge member in the rotational axis direction,
The locking means is disposed between the first hinge member and the second hinge member so as to be rotatable about the rotation axis, and the second hinge member is moved from the first position to the second position. A contact member having a contact surface that abuts when rotating to the position side, a locking member connected to an end of the contact member on the first hinge member side, and the locking member Return biasing means for biasing from the two hinge member side to the first hinge member side, and one end portion on the first hinge member side in the rotation axis direction is on the outer periphery of the locking member. A locking projection is provided in the locking recess for releasable engagement, and the other end of the locking projection is slidably fitted into the contact member so that the locking member contacts the contact It is connected to the member so that it cannot rotate and is movable in the direction of the rotation axis,
The locking release means is disposed so as to be movable in the direction of the rotational axis on the opposite side of the locking member with the first hinge member interposed therebetween, and is moved in a direction approaching the first hinge member. A hinge device comprising an operation member provided with a contact protrusion that sometimes enters the locking recess and causes the locking protrusion to be detached from the locking recess.
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