JP4070243B2 - スラスタ用の展開可能な発散部 - Google Patents
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Description
スラスタ、特に多段ロケットの第2及び第3段において、展開可能な発散部を有するロケットエンジンノズルを使用することはよく知られている。発散部分を飛行中に展開することにより、地上に近い低い高度から大気圏を離れる高い高度に向かうにしたがって減少する外圧に応じてノズルの噴射部分を適応させることができる。この結果、高度に応じて最適な推進力が得られるが、一方で、地上での大きさが制限される。
展開可能な発散部は通常、初期形状で発散部全体を構成するとともに1つ又はそれ以上の発散リングを取り付けることで伸長が可能な第1の部分を有する。各発散リングは、発散部の第1の部分を外装する退避位置から、第1の部分の下流端部又は先に取り付けてある発散リングの下流端部に連結した展開位置に移動する。
展開が自動的に且つ信頼性を持って最小のエネルギ消費で確実に起きることを目的とした種々の機構がこれまで提案されてきた。関節を持ったアームによる展開機構が、特に欧州特許A0516519号とフランス特許出願95/15634号とに開示されている。例えばテレスコープ型のアーム、ネジ、ロール状態から広がることができる梁、膜などに基づいた機構も知られている。
外部のエネルギ源を必要としないばね装置などのアクチュエータ手段、あるいは電動又は油圧によるエネルギ源を必要とするアクチュエータやモータ、さらにあるいは気体発生器により、展開機構を起動することができる。
展開を点火の前に行う場合にばね装置が用いられるが、しかしながら、こうした装置は、噴出させた気体の作用のために、点火後に信頼性を持って展開を行うためには不適切であることが分かっている。したがって、より大きな動力を発生させるモータあるいはアクチュエータを使用する必要がある。
しかしながら、これらのエネルギはできるだけ小さくすることが望ましく、本発明は特に、展開用の動力がわずかで済み、これにより例えば単にばねなどを用いることにより外部のエネルギ源に頼らずに点火後にも展開できる展開可能な発散部を提供することを目的とする。
この目的は、第1の部分と、第1の部分を外装する退避位置と、第1の部分の下流端部に連結される展開位置との間で移動できる、発散リングである少なくとも1つの第2の部分と、第1の発散リングを退避位置から展開位置に移動する展開機構と、展開機構を作動する作動手段とを有する、スラスタ用の展開可能な発散部であって、さらに、一時的な構造物すなわち「挿入部」が発散リング内に且つ発散リングの略全長にわたって配置され、これにより、発散断面形状を非発散断面形状に変形することと、発散リングが展開位置に到達する際か到達した後に挿入部を除去できることとを特徴とする展開可能な発散部により実現される。
発散部を流れる燃焼ガスに対し、発散しない好適には略円筒形である面を当てることにより、挿入部は、発散部に作用し且つ発散部の展開に抗する軸方向の(すなわち上流側に向かう)力の大きさをかなり減少させることができる(本文では、「上流」、「下流」は、発散部内を流れる燃焼ガスの方向に関して用いられる。)。
展開のための力がかなり減少するので、点火後に発散部を展開するためにさえも外部のエネルギ源に連結することなく、ばね装置など作動目的のエネルギ保存手段を用いることが可能である。
発散部が、それぞれ固有の展開機構と作動手段とを備えた複数の展開可能な発散リングを有する場合、各発散リングに対し、対応した挿入部が備えてあるのが有利である。
挿入部は、挿入部を放出するために、発散リングが展開位置に到達する間あるいは到着した後に解除されたり破壊される機械的連結手段により、発散リングに連結されてもよい。連結手段は、連結手段が固定される第1の位置と連結手段が外れる第2の位置との間を移動できる少なくとも1つの解除部材により外されるのが有利である。解除部材は、発散リングが展開位置に到達する際に発散部と接触することにより、自動的に移動してもよい。連結手段は、発散リングが展開位置に到達した後で、点火式手段により破壊されてもよい。
1つの変形例では、挿入部は、挿入部を放出するために、発散リングが展開位置に到達した後で発散部を通過する燃焼ガスを受けて除去されるような強さの材料で少なくとも一部が構成される連結手段により、発散リングに連結されている。
少なくとも1つのばねが、発散リングの内壁と挿入部との間に配置されるとともに、少なくとも軸方向下流側の成分を持った力を挿入部に対し作用するのが有利であり、これにより、連結手段が外れたり破壊されたり除去された後で挿入部の放出を容易に行うことができる。
別の変形例では、挿入部自体が、発散リングが展開位置に到達した後で発散部を通過する燃焼ガスを受けて除去されるような強さの材料で少なくとも一部が構成される。
本発明は、添付図面を参照しながら以下の説明によってさらに理解することができるが、これらの説明に限定されるわけではない。
【図面の簡単な説明】
図1及び図2はそれぞれ、発散リングの展開の前と後における、本発明の実施例を構成する展開可能な発散部の部分断面図を示す。
図3及び図4はそれぞれ、従来の展開可能な発散部及び図1、2の展開可能な発散部において、展開中の発散リングに対する発散部を通過する燃焼ガスの作用の様子を示す。
図5及び図6は、図1、2の実施例において、発散リングと挿入部との機械的な連結を詳細に示す拡大図である。
図7〜図9は、本発明に係る展開可能な発散部の種々の実施例において、発散リング内の挿入部の異なる実施例と、挿入部用の固定物とを示す部分断面図である。
図10及び図11は、本発明に係る展開可能な発散部の2つの異なる実施例の初期形状を示すかなり概略的な部分断面図である。
図2において、符号10は、例えば固体燃料を使用し且つ燃焼室12を有するスラスタボディすなわちスラスタ段部を示す。燃焼室は、ノズル16を介して、端壁14において外部に開放されている。ノズル部16は、展開可能な発散部の第1の部分20により延長されている。
第1の部分20の上流端部とノズル部16とは、ノズルが固定されるものではコーン部材を介して、又はノズルがヒンジ結合される場合はフレキシブルな接合部を介して連結される。
スラスタボディ10、端壁14、ノズル部16及び第1の部分20は、耐熱用にアブレーション用の材料でコーティングされている。
展開可能な発散部はさらに発散リング22を有し、この発散リング22は、発散部の第1の部分20を同軸A上で外装する退避位置(図1)と、拡大された外径を有する発散部を形成するように、第1の部分20の下流端部に固定連結されるとともに第1の部分20を延長する展開位置(図2)との間で移動できるようになっている。
発散リング22は、発散部の第1の部分20の周りに規則的に配置された、関節を有する4つのアーム30により、退避位置に保持されるとともに展開位置に案内されるようになっている。
各アーム30は第1のセグメント32を有し、このセグメント32は、第1の端部で、第1の部分20の外壁に固定されたプレート36に対し(ピン33を介して)ヒンジ結合されているとともに、第2の端部で(ピン35を介して)第2のセグメント34の第1の端部にヒンジ結合されている。セグメント34は、第2の端部で、発散リングの外壁に固定されたプレート38に対し(ピン37を介して)ヒンジ結合されている。ヒンジピン33、35、37は、セグメント32、34の端部において、軸Aに垂直に伸びている。図1に示されるように、アームを退避位置に固定する装置は、セグメント32に固定されるとともにプレート38のハウジング39に入り込むスタッド(突起部)42を備えた接合部40を有する。アーム30を離すために、スタッド42は、例えばスタッドを空気式アクチュエータのピストンに連結するような空気式の手段により、あるいは点火式の手段によりハウジング39から退避できるようになっている。各アーム30上に固定装置を設ける必要はなく、アセンブリを退避位置に保持するためには1つのアームを固定すれば十分である。
アーム30が外れると、セグメント32、34がそれらの端部でヒンジピン周りを回転しながら、アーム30が展開できる。
アーム30は、ヒンジピン35に取り付けられるとともにセグメント32に係合したアウトレットピンを駆動するねじりばね44により展開する。
発散リング22を展開するために、スタッド42を外すことにより4つのアーム30が同時に解放される。このように解放されると、スプリング44によって全てのアームセグメント32が同時に回転し、この結果、全てのアームが同時に展開する。
4つのアーム30と発散リング22により形成されるアセンブリは不静定な状態である。すなわち、発散リング22は、変形せずに移動しながら軸Aに常にその中心が保たれる。このように、アセンブリの不静定性により、発散リング22が展開位置に向けて正確に案内されるとともに、複数のアームが同期して移動することが保証される。この結果は、ばねがいくつかのアームのみか、あるいは1つのアームのみに取り付けられている場合でも得られる。
発散部における第1の部分20の下流端部近傍と発散リング22の上流端部近傍とには、発散リングが展開位置に到達する際に、第1の部分20と発散リング22とを相互に連結するための手段が設けられている。
図示された例において、これらの固定手段は、第1の部分20の下流端部近傍の外側部分に固定された複数の弾性部材50(舌部)と、発散リング22の上流端部の内側部分に形成された環状セットバック(段部)52とから構成されている。
発散リング22が完全な展開位置に近づくと、発散リング22の内壁22aは、弾性部材50に当たり、これにより、弾性部材50が発散部の軸に向かって曲がるようになっている。この目的のために、弾性部材50の自由端は、第1の部分20の外壁に対し隙間51を形成するようになっている。
弾性部材50及びセットバック52の位置は、発散リング22が展開位置に一旦到達すると、弾性部材がセットバック52に噛合うように設定されている。これにより、発散リング22が第1の部分20に対して固定される。不静定アセンブリによりもたらされる正確さにより、このような自動固定方法を利用することができる。また、セットバック52の代わりに、各弾性部材50に対応した複数のハウジングを用いてもよい。
関節付きのアームを有する不静定アセンブリで構成された展開機構を有し、展開時に発散リングが発散部の第1の部分の端部に固定される、展開自在な発散部が、フランス特許出願95/15634号に記載されている。
本発明によれば、発散リング22はまた、発散リングの略全長ににわたって、発散リング内に配置された一時的な構造物すなわち「挿入部」60を備え、これにより、発散リングの内壁22aにより形成される発散断面形状を、非発散断面形状に変形するようになっている。挿入部60は、発散リング22が展開位置にくる間か又は展開位置に到達した直後に完全に除去されるのに適するように、取り付けられたり設計されている。
図1、2の実施例において、挿入部60は、内壁62aが非発散断面形状64を形成する、剛性を持った管状部62を有する。管状部62は、発散リング22と同軸上に配置されるとともに、展開終了時にノズルの第1の部分20の端部の上方を覆う発散リング22の上流部分のすぐ下流の位置から発散リングの略全長にわたって延びている。密閉ガスケット63は、管状部62の上流端部と発散リング22の内壁の密閉を行う。管状部の内径は、略一定で且つ発散リング22の上流端部の内径に等しく、これにより、発散部の第1の部分20の出口の径に略等しい径を持った円筒部64が形成されている。
管状部62は、発散リング22の軸に対し垂直に伸びた環状エンドプレート66により、発散リングの下流端部に連結されている。三角プレート68状の複数のスチフナ(補強材)が管状部62の周囲に配置されている。スチフナは、管状部62の外壁とばね22内壁22aとの間の半径方向平面内に配置されている。管状部62、端部プレート66、及びスチフナ68との間の連結は、又は例えば挿入部を構成するこれらの種々の要素を例えばアルミニウムなどの金属から形成した上で、接着又は溶接により行う。挿入部は、円筒部64の境界をなす壁に例えばシート状のエラストマを固着させることで、耐熱性を持たせてもよい。他の部材として、例えば、ガラスファイバやカーボンファイバにより強化するとともに、フェノール樹脂又はエポキシ樹脂などの樹脂基板を有する複合材を用いてもよい。
挿入部60の存在により、発散リングの移動中に発散部を通過する燃焼ガスによって生じる展開に対抗する軸方向の力をかなり減少させることができる。
展開用の挿入部がない場合、図3に概略的に示されるように展開中の発散リング22の内面22aに対し燃焼ガスの噴出により力が加わり、上流方向すなわち展開に抗する方向に軸方向成分FRが生じる。こうした状況では、ばね手段などのエネルギ保存型アクチュエータ手段では不十分で、必要な動力は、外部のエネルギ源に連結された電動式又は油圧式のアクチュエータ又はモータにより供給する必要がある。
しかしながら、展開用の挿入部が存在し(図4)、これが燃焼ガス噴射内に入る場合、膨張波先端部FDを伴った衝撃波Oが発散リング22の下流端部において形成される。噴射流を受ける挿入部の内壁62aの部分では、ガスの速度が減少し、圧力P1は、発散部の第1の部分20の内面に作用する圧力P0より大きくなる。この圧力は円筒面に作用しているので、展開に抗する上流方向に向いた軸方向の力成分が生じることがない。発散リング22の下流端部において、ガス速度は急激に上昇するが、圧力P2は減少する。その結果、挿入部の端壁66の外面に対し上流側に向かって作用する圧力が小さくなり、これにより展開に抗する軸方向の力成分fRも小さくなる。この理由から、ねじりばね44を用いて展開を容易に行うことが可能になる。外部のエネルギ源に接続されていないエネルギ保存手段、あるいは低電力の電動式や油圧式のモータを用いることにより展開機構を起動することができることは、本発明の重要な利点である。
図1、2の実施例において、挿入部60は円筒部64の境界をなしている。管状部62がわずかにテーパ形状をなすように、円筒部64がわずかに細くしてあってもよい。この場合、圧力P1は、展開中に発散リング22に対し軸方向下流側に向いた力を誘導し、これにより、展開を補助する。しかしながら、展開機構に余分な力を作用しないとともに展開終了時に発散リングのスナップ止めを妨げないために、円筒部64の収斂度は、燃焼ガスの噴出を妨げない程度に小さくする必要がある。
図5及び図6はそれぞれ、挿入部20と発散リング22との機械的連結を詳細に示す断面図と平面図である。この機械的連結は、発散リング22が展開位置に到達する瞬間に自動的に解除され、これにより、挿入部が発散部から放出されるように形成されている。
機械的連結は、発散リング22の軸周りに規則的に配置された(例えば4つの)ストラップ70を有する。各ストラップ70は、例えばスチールからできており、半径方向平面内に伸びている。これは、第1の端部において、発散リング22の上流端部近傍の外面上にあるアンカー装置72に連結されている。各ストラップは、他端部において、挿入部のエンドプレート66上の縁部66aに固定された小孔84により、エンドプレート66の外縁部に連結されている。
アンカー装置72は、発散リング22を外装する、例えばスチールからなるバンド(帯状部材)74を有する。バンド74は、発散リング22の周りに所定の角度で規則的に配置された4つのフック76を有する。各フック76は、発散リング22の外壁に固定されたプレート78にある孔78aを介して案内される突起部76aを有し、各突起部76aは、略周方向に伸びている。各ストラップ70は、その第1の端部で、プレート78を介して突き出した突起部76aの端部に固定されている。バンド74は、発散リング22の外面に向けて開放された溝形断面を有する。バンド74はその内部に、側壁に対し垂直に伸びた複数の壁80を有する。壁80は、それらの壁と同一の高さにある線に対して例えば45°傾斜し、指状部材82の端部が当たるための傾斜部を形成する。各部材82は、半径方向の孔22bを介して発散リング22の壁を通過するとともに、発散リング22の内側に突き出た端部82aを有する。
各ストラップは、その両端部の間に緊張装置を設けてもよい。
発散リング22が展開位置に到達すると、部材82の端部82aは、発散部の第1の部分20の外壁と接触することにより押し戻され、傾斜部80に対して押されることにより、バンド74が発散リング22周りに回転する。フック76はバンド74とともに移動し、これにより、突起部76aが孔78aから引出され、その結果、ストラップが外れる。バンド74は、複数のストラップが同期して外れることを保証する。
挿入部60はもはや保持されないので、これは燃焼ガスの噴出によりストラップ70とともに発散部から放出される。こうした放出を容易にするために、1つ又はそれ以上のばね90が、エンドプレート66の内面と、発散リング22の内面22aに当接し且つ剛性を持った発泡材からなる当接面92との間で、前以って圧縮されている。ばね90と当接面92は、例えばアルミニウムからなるチューブ内に収容され、エンドプレート66に固着されている。当接面92のばね90と接触する端部と反対側の端部が、発散リング22の内面22aの形状と略一致するように形成されている。
図7は、挿入部60と発散リング22との間の機械的連結に関する別の実施例を示す概略図であり、連結の破壊には点火式手段が用いられる。挿入部のエンドプレート66は、その周縁部においてさらに、発散リング22の下流端部における縁部22eに対し当接する縁部66cが設けてある。挿入部60と発散リングとの連結は、発散リングの軸周りに縁部66eと22eを相互連結する起爆性のボルト100によって行われる。
発散リング22が展開位置に到達し、発散部の固定部にスナップ止めされると、ボルト100が破壊されるようになっている。続いて、挿入部60は、放出ばね90の助けを借りて放出される。
図8の実施例において、挿入部80は、挿入部の内面62aとその上流側の発散リング22の内面22aとに固着されたストリップ110により、発散リング22内部に固定されている。ストリップ110は、ノズルを流れる燃焼ガスの作用を受け始めてから、すなわち発散リング22が展開位置にきてから燃焼ガスにより徐々に破壊される材料からなる。例えば、PVCなどの熱可塑性樹脂のストリップを用いることが可能である。
ストリップ110が破壊されると、挿入部は、外れて、さらに放出ばね90の助けを借りて放出される。
図9に示す別の実施例では、発散リング22に対し、ノズルを通る燃焼ガスより破壊される材料(例えば、ポリウレタンなどの熱分解性の発泡材)からなるブロック122により実質的に構成される挿入部120が設けてある。ブロック122は、発散リング22の内面に固着されている。ブロック122は、円筒部124の境界を形成する内面上と、端面126とに、挿入部が使用されるまで挿入部を保護する貼り付け式カバー128を備えてもよい。カバー128はまた、燃焼ガスにより消費されるか又は昇華する材料からなる。
上記説明では、ノズルは展開可能な発散リングを1つのみ有すると仮定している。本発明はまた、スラスタの飛行中に連続してあるいは同時に展開する複数の発散リングを有するノズルにも適用できる。
図10は、退避状態にある2つの展開可能な発散リングを有するノズルを示す。このノズルは、図1、2のノズルと比べて、それ自身の展開機構と作動手段を備えた第2の展開可能な発散リング22’を有する点と、第1の発散リング22がその上流端部で第2の発散リング22’と展開位置で互いに固定されるようになっている点が異なる。
完全に退避した状態(図10)において、発散リング22’は、発散リング22を外装する。発散リング22’は、アーム30と同様の方法で折り畳んだ位置で固定される、関節の付いた1つ又はそれ以上のアーム30’により、退避位置に保持される。各アーム30’は、一端で発散部の固定部分20の外壁に固定され、他端で発散リング22’に固定される。アーム30’は、ヒンジ35’内に取り付けられた1つ又はそれ以上のねじりばね44’により作動する。好適には、各アーム30のヒンジ35は、発散部の固定部分とヒンジ65’との間に伸びたアーム30’の一部に固定され、これにより、アームの上記一部がアーム30と30’とにより共有されるようになっている。
別の実施例(図11)では、各アーム30’は、共通の発散リング22上のアーム30と30’とがヒンジ連結しながら、発散リング22の一端と発散リング22’の他端とに固定されている。
発散リング22’は、発散リング22に備えられた挿入部60と同様の挿入部60’が備えてある。挿入部60’と発散リング22’との連結及び/又は挿入部60’の構造は、図5〜図9を参照して説明したものと同様にしてよい。
発散リング22には、その下流端部において、発散リング22’の上流端部に形成されたセットバック52’と協働するように設計された複数の弾性部材50’により構成された固定手段が備えてある。各弾性部材50’は、この目的のために、各自由端部と発散リング22の外壁との間に隙間51’が形成されるようになっている。その結果、発散リング22’は、発散リング22が発散部の固定部分20の端部に固定されるのと同様の方法で、発散リング22の端部に固定されてもよい。
挿入部60は、発散リング22が展開位置にくると、放出ばね90の助けで放出される。挿入部60’は、発散リング22’が展開位置にくると、放出ばね90と同様の放出ばね90’の助けで放出される。
発散リング22’に固有の展開機構と展開手段を用いることで、発散リング22が展開した後で且つ発散リング22の展開とは無関係に、発散リング22’を展開することができる。
発散部の固定部分20に連結されるべき発散リングが、退避状態で大きさの問題が生じるような長さを有する必要がある場合、この発散リングを複数の展開可能な発散リングに分割して、これらに対応する作動手段を同時に解除することにより、これらの発散リングを同時に展開してもよい。
上記の説明において、展開機構は関節付きのアームにより構成されることが仮定されている。外部のエネルギ源を必要に応じて用いる種々のタイプの作動手段とともに、種々のタイプの展開機構(例えばテレスコープ型アーム、スクリュ型アーム、広げることが可能なロール状の梁を有するアームなど)を用いた展開可能なノズルに本発明を適用できることは当該分野の専門家にとって明らかである。
Claims (17)
- スラスタ用の展開可能な発散部であって、この発散部は、
第1の部分(20)と、
第1の部分を外装する退避位置と、第1の部分の下流端部に連結される展開位置との間で移動できる、発散リング(22)である少なくとも1つの第2の部分と、
第1の部分の外側に設けられ、スラスタの点火後に発散リングを退避位置から展開位置に移動する展開機構(30)と、
展開機構を作動する作動手段(44)とを有し、
一時的な構造物すなわち「挿入部」(60、120)が発散リング(22)内に且つ発散リングの略全長にわたって配置され、これにより、発散断面形状を非発散断面形状に変形することと、発散リングが展開位置に到達する際か到達した後に挿入部を除去できることとを特徴とする展開可能な発散部。 - スラスタ用の展開可能な発散部であって、この発散部は、
第1の部分(20)と、
第1の部分を外装する退避位置と、第1の部分の下流端部に連結される展開位置との間で移動できる、第1の発散リング(22)である第2の部分と、
第1の部分を外装する退避位置と、第1の発散リングの下流端部に連結される展開位置との間で移動できる、第2の発散リング(22’)である少なくとも1つの第3の部分と、
第1の部分の外側に設けられ、スラスタの点火後に第1の発散リングを退避位置から展開位置に移動する第1の展開機構(30)と、
第1の部分の外側に設けられ、スラスタの点火後に第2の発散リングを退避位置から展開位置に移動する第2の展開機構(30’)と、
第1及び第2の展開機構を作動する作動手段(44、44’)とを有し、
一時的な構造物すなわち「挿入部」(60、60’)が各発散リング内に且つ各発散リングの略全長にわたって配置され、これにより、発散断面形状を非発散断面形状に変形することと、個々の発散リングが展開位置に到達する際か到達した後に各挿入部を除去できることとを特徴とする展開可能な発散部。 - 上記挿入部が、略円筒断面形状を有することを特徴とする請求項1又は2の展開可能な発散部。
- 上記作動手段が、自立したエネルギ保存手段を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかの展開可能な発散部。
- 上記作動手段が、ばね装置を有することを特徴とする請求項4の展開可能な発散部。
- 上記挿入部(60)は、挿入部を放出できるように、発散リング(22)が展開位置に到達する際に解除可能な機械的連結手段(70、72)により、発散リングに連結されていることを特徴とする請求項1または3〜5のいずれかの展開可能な発散部。
- 上記挿入部(60、60’)は、挿入部を放出できるように、個々の発散リング(22、22’)が展開位置に到達する際に解除可能な機械的連結手段(70、72)により、個々の発散リングに連結されていることを特徴とする請求項2〜5のいずれかの展開可能な発散部。
- 上記機械的連結手段は、少なくとも1つの固定部材(76)を有し、該固定部材(76)は、発散リング(22)が前記固定部材によって保持される第1の位置と発散リングが外れる第2の位置の間で移動可能であることを特徴とする請求項6の展開可能な発散部。
- 上記固定部材(76)は、発散リング(22)が展開位置にくる際に固定された発散部分と接触することにより作動する指状部材(82)により、自動的に移動できることを特徴とする請求項8の展開可能な発散部。
- 展開可能な発散部が挿入部(60)を複数の機械的連結部材(70)により保持するための複数の固定部材(76)を有することと、これらの固定部材(76)が、発散リングを外装するとともに発散リングが展開位置にくる際に少なくとも1つの指状部材(82)により自動的に移動できる環状部材(74)上に取り付けられ、これにより複数の連結部材(70)が同時に解除されることとを特徴とする請求項8又は9の展開可能な発散部。
- 上記挿入部(60)が、機械的連結手段(100)により発散リング(22)に連結されており、そして、挿入部を放出するために、発散リングが展開位置に到達した後で機械的連結を破壊する手段が設けてあることを特徴とする請求項1または3〜5のいずれかの展開可能な発散部。
- 機械的連結を破壊する手段が点火式手段であることを特徴とする請求項11の展開可能な発散部。
- 上記挿入部(60)は、挿入部を放出するために、発散リング(22)が展開位置に到達した後で発散部を通過する燃焼ガスを受けて除去されるような強さの材料で少なくとも一部が構成される連結手段(110)により、発散リングに連結されていることを特徴とする請求項1または3〜5のいずれかの展開可能な発散部。
- 少なくとも1つのばね要素(90)が、発散リング(22)の内壁と挿入部(60)との間に配置されるとともに、これらのばねが、挿入部の排出を容易にするような軸方向下流側の力成分を少なくとも持った力を挿入部に対し作用することを特徴とする請求項1または3〜5のいずれかの展開可能な発散部。
- 少なくとも1つのばね要素(90、90’)が、個々の発散リング(22、22’)の内壁と各挿入部(60、60’)との間に配置されるとともに、これらのばねが、挿入部の排出を容易にするような軸方向下流側の力成分を少なくとも持った力を挿入部に対し作用することを特徴とする請求項2〜5のいずれかの展開可能な発散部。
- 挿入部(120)は、発散リング(22)が展開位置に到達した後で発散部を通過する燃焼ガスを受けて除去されるような強さの材料で少なくとも一部が構成されることを特徴とする請求項1または3〜5のいずれかの展開可能な発散部。
- 挿入部(60)は、非発散断面形状の境界を形成するとともに発散リング(22)の壁に連結された、剛性を持った管状部(62)を有することを特徴とする請求項1または3〜5のいずれかの展開可能な発散部。
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