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JP4063244B2 - インクジェット記録シートおよびインクジェット記録シートの製造方法 - Google Patents

インクジェット記録シートおよびインクジェット記録シートの製造方法 Download PDF

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JP4063244B2 JP2004137213A JP2004137213A JP4063244B2 JP 4063244 B2 JP4063244 B2 JP 4063244B2 JP 2004137213 A JP2004137213 A JP 2004137213A JP 2004137213 A JP2004137213 A JP 2004137213A JP 4063244 B2 JP4063244 B2 JP 4063244B2
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Description

本発明はインクジェット記録シート、インクジェット記録シートの製造方法、インクジェット記録物に関する。中でも、高光沢でインク吸収性、真円性に優れるインクジェット記録シート、インクジェット記録シートの製造方法、インクジェット記録物に関する。
インクジェットプリンタによる記録は、騒音が少なく、高速記録が可能であり、かつ、多色化が容易なために多方面で利用されている。
インクジェット記録用紙には、インクジェット記録の高速化、多色化に対応するため、高いインク吸収性が求められる。そのため、現在、インクジェット記録用紙としては、主に、インク吸収性に富むように工夫された上質紙や、表面に多孔性顔料を塗工した塗工紙等が適用されている。
しかし、これら従来のインクジェット記録用紙は、表面光沢の低い、いわゆるマット調のものが主体であり、外観が良くない。そのため、表面光沢の高い、優れた外観を有するインクジェット記録用紙が要望されている。
表面光沢を有する記録用紙としては、支持体上に表面光沢に優れたインク受容層を設けた光沢紙がある。
このような光沢紙としては、例えば、樹脂被覆紙、合成紙、フィルム等の非浸透性で高平滑な支持体に微細な顔料と接着剤を主成分とするインク受容層を設けた、写真調の画像を記録可能な「フォト光沢紙」や、透気性支持体に顔料と接着剤を主成分とするインク受容層を設け、該受容層が湿潤状態の間に鏡面ロールに圧接、乾燥して光沢面を写し取ったキャスト光沢紙が広く知られている。
このような光沢紙にあっては、光沢性とインク吸収性の両立、更には鮮明な画像を得るためにドットの真円性が、重要品質として要求されて来た。
これらの品質を得る手段として、本発明者らは、数nmから数十nmの一次粒子からなる2次粒子径が数十nmから数百nmのシリカ微粒子を上記支持体に塗布した空隙を有する受容層を提案し、非浸透性で高平滑な支持体が好ましい事を示した。(特許文献1)
しかし、単に空隙を有する受容層を用いただけでは画像の耐水性が必ずしも十分とは言い難く、本発明者らは、該課題を解決するため、平均粒子径数百nmの微粒シリカにカチオン樹脂を添加し、これを凝集後、粉砕する事によりカチオン樹脂により表面処理した微細なシリカを用いて画像耐水性を改善する方法を提案した。(特許文献2)
一方、さらに写真画質に近づけるには、さらなる高濃度化と高光沢化を要求されている。このため、2層以上の積層構造の記録層とし、内側層にゲル法シリカを含み、最外層に1μm以下の微粒子を含む記録体の提案がある。(特許文献3)
さらに、記録シートに光沢を付与する方法としては、キャスト法の他に、スーパーカレンダーやグロスカレンダー等のカレンダー装置を用い、圧力や温度をかけたロール間に通紙することで塗工層表面を平滑かする方法が知られている。
しかし、インクジェット記録シートの場合は、光沢を付与する目的で、高線圧下でカレンダー処理を行うと、光沢は向上するが、塗工層中の空隙が減少し、インクの吸収が遅くなるとともに、吸収容量も低下する。そのため、印字後、インク受容層に吸収されずにインクがあふれ、印字のにじみやベタ部の均一性の低下等の印字適性の低下が生じてしまう。このことから、カレンダー処理では、インクジェット記録用として必要なインク吸収性を確保できる低線圧条件を選択せざるを得ず、したがって、インクジェット記録用として必要な印字適性と光沢性とをともに有するインクジェット記録用紙を得ることは困難である。
なお、最近、ポリビニルアルコール及び/又はポリビニルアルコール誘導体の共存下に重合して得られる、一定の温度(感温点)以下の温度領域では親水性を示し、感温点より高い温度領域では疎水性を示す高分子化合物を含有する高分子エマルジョンと、これを用いて塗工液層を形成した記録媒体が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
特開平09−286165号公報 特開平10−181191号公報 特開2001−277712号公報 特開2003−40916号公報
上記特許文献4の高分子エマルジョンを用いて塗工層を形成した記録媒体は、ある程度のインク吸収性、表面光沢は有している。しかし、現在の、インクジェット記録の高速化、記録画像の高精細化、フルカラー化といった用途の拡大に伴う、さらなる高光沢や、高画質、高記録濃度等の高印字適性の要求に応えるには充分ではなく、特に吸収量、吸収速度の向上が求められている。
本発明は、光沢性と、インク吸収性、印字濃度、画像均一性(画像の真円性)、インク受容層の強度を兼ね備え、また、塗工液のハンドリング性も高く、しかも環境にも配慮したインクジェット記録シート、及びインクジェット記録シートの製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、以下の態様を含む。
[1]支持体上の少なくとも一方の面に、インク受容下層とインク受容上層とを順に有するインクジェット記録シートであって、
前記インク受容下層および前記インク受容上層が、いずれも感温点を境として粘性が変化する感温ゲル化物質と顔料とを有し、増粘またはゲル化(以下総称して「ゲル化等」という。)された層であり、
前記インク受容上層に含まれる顔料の平均二次粒子径が、前記インク受容下層に含まれる顔料の平均二次粒子径より小さいことを特徴とするインクジェット記録シート
[2]前記感温ゲル化物質の感温点が0〜30℃である[1]に記載のインクジェット記録シート。
[3]前記感温ゲル化物質が、感温点以下の温度領域では親水性を示し、感温点より高い温度領域では疎水性を示す感温性高分子化合物である[1]又は[2]に記載のインクジェット記録シート
[4]前記インク受容下層に含まれる顔料が、平均一次粒子径が3〜40nmで平均二次粒子径が1000nm以下であり、前記インク受容上層に含まれる顔料が、平均一次粒子径が3〜40nmで平均二次粒子径が700nm以下である[1]〜[3]の何れかに記載のインクジェット記録シート。
[5]前記インク受容下層に含まれる顔料が、平均一次粒子径が5〜30nmで平均2次粒子径が700nm以下であり、前記インク受容上層に含まれる顔料が、平均一次粒子径が5〜15nmで平均二次粒子径が500nm以下である[1]〜[4]の何れかに記載のインクジェット記録シート。
[6]前記インク受容上層に含まれる顔料が、気相法シリカ、メソポーラスシリカ、活性ケイ酸を縮合させて製造された湿式法シリカ、アルミナ、ベーマイトから選択される少なくとも1種である[1]〜[5]の何れかに記載のインクジェット記録シート。
[7]前記インク受容上層に含まれる顔料が、カチオン樹脂によりカチオン化処理された気相法シリカである[6]に記載のインクジェット記録シート。
[8]前記インク受容上層の上に、コロイド状微粒子を含有する光沢層を有する[1]〜[7]の何れかに記載のインクジェット記録シート。
[9]支持体上の少なくとも一方の面に、インク受容下層とインク受容上層とを順に有するインクジェット記録シートの製造方法であって、
前記インク受容下層となる下層用塗工液および前記インク受容上層となる上層用塗工液とが、いずれも感温点を境として粘性が変化する感温ゲル化物質と顔料とを有し、
前記上層用塗工液に含まれる顔料の平均二次粒子径が、前記下層用塗工液に含まれる顔料の平均二次粒子径より小さく、
前記支持体上に、前記下層用塗工液および上層用塗工液を両塗工液がゲル化等しない温度領域で塗工した後、両塗工液がゲル化等する温度領域にしてゲル化等させて、インク受容下層およびインク受容上層を形成する工程を有することを特徴とするインクジェット記録シートの製造方法。
[10]支持体上の少なくとも一方の面に、インク受容下層とインク受容上層とを順に有するインクジェット記録シートの製造方法であって、
前記インク受容下層となる下層用塗工液および前記インク受容上層となる上層用塗工液とが、いずれも感温点を境として粘性が変化する感温ゲル化物質と顔料とを有し、
前記上層用塗工液に含まれる顔料の平均二次粒子径が、前記下層用塗工液に含まれる顔料の平均二次粒子径より小さく、
前記支持体上に、前記下層用塗工液をゲル化等しない温度領域で塗工した後、ゲル化等する温度領域にしてゲル化等させてインク受容下層を形成する工程と、
前記インク受容下層上に、前記上層用塗工液をゲル化等しない温度領域で塗工した後、ゲル化等する温度領域にしてゲル化等させてインク受容上層を形成する工程と
を有することを特徴とするインクジェット記録シートの製造方法。
[11]上層用塗工液を、ゲル化等した後に鏡面ロールに圧接する[9]又は[10]に記載のインクジェット記録シートの製造方法。
[12]さらに、インク受容上層の上に、コロイド微粒子を含有する塗工液を塗工後直ちに鏡面ロールに圧接して光沢層を形成する工程を有する[9]から[11]の何れかに記載のインクジェット記録シートの製造方法。
[13]前記感温ゲル化物質の感温点が0〜30℃である[9]から[12]の何れかに記載のインクジェット記録シートの製造方法。
[14]前記ゲル化等しない温度領域が前記ゲル化等する温度領域よりも高温領域である[9]から[13]の何れかに記載のインクジェット記録シートの製造方法。
[1]〜[8]の態様の本発明によれば、光沢性と、インク吸収性、印字濃度、画像均一性(画像の真円性)、インク受容層の強度を兼ね備え、また、塗工液のハンドリング性も高く、しかも環境にも配慮したインクジェット記録シートとすることができる。
[9]〜[14]の態様の本発明によれば、上記本発明に係るインクジェット記録シートを容易に得ることができる。
[インクジェット記録シート]
本発明のインクジェット記録シートは、支持体上の少なくとも一方の面に、インク受容下層とインク受容上層とを順に有している。また、インク受容上層の上に、さらに、光沢層を有していてもよい。
なお、支持体、インク受容下層、インク受容上層、光沢層は、いずれも一層から構成されていても、複数の層から構成されていてもよい。また、各層の間に、下塗り層等別の層が設けられていてもよい。
「支持体」
本発明で用いる支持体としては、特に限定されるものではなく、透気性支持体、非透気性支持体が使用できる。
透気性支持体としては、一般の塗工紙に使用される酸性紙、あるいは中性紙等の紙基材が適宜使用される。また透気性を有する樹脂シート類も用いることができる。
透気性支持体である紙基材は、木材パルプと必要に応じ含有する顔料を主成分として構成される。木材パルプは、各種化学パルプ、機械パルプ、再生パルプ等を使用することができる。これらのパルプは、紙力、抄紙適性等を調整するために、叩解機により叩解度を調整できる。パルプの叩解度(フリーネス)は特に限定しないが、一般に250〜550ml(CSF:JIS P−8121)程度である。紙送り歯車の傷を軽減するには叩解度を進めるほうが望ましいが、用紙に記録した場合にインク中の水分によって起こる用紙のボコツキや記録画像のにじみは、叩解を進めないほうが良好な結果を得る場合が多い。従ってフリーネスは300〜500ml程度が好ましい。
顔料は不透明性等を付与したり、インク吸収性を調整する目的で紙基材に配合される。紙基材に配合される顔料としては、炭酸カルシウム、焼成カオリン、シリカ、ゼオライト、酸化チタン等が挙げられる。特に焼成カオリン、シリカ、ゼオライトは、インク中の溶媒を吸収するため、好適に使用される。
紙の紙力とインク吸収性のバランスから、紙基材中顔料の配合量は1〜20質量%程度が好ましい。
紙基材にはさらに、助剤としてサイズ剤、定着剤、紙力増強剤、カチオン化剤、歩留り向上剤、染料、蛍光増白剤等を添加することができる。さらに、抄紙機のサイズプレス工程において、デンプン、ポリビニルアルコール類、カチオン樹脂等を塗布・含浸させ、表面強度、サイズ度等を調整できる。
サイズ度(100g/m2の紙として)は1〜250秒程度が好ましい。サイズ度が低いと、塗工時に皺が発生する等操業上問題となる場合があり、高いとインク吸収性が低下したり、印字後のカールやコックリングが著しくなる場合がある。より好ましいサイズ度の範囲は4〜230秒、更に好ましくは30〜210秒である。基材の坪量は、特に限定されないが、20〜400g/m2程度である。
非透気性支持体としては、樹脂フィルム、不織布等、あるいは樹脂フィルムをコート紙や上質紙等と接着剤を介して貼合せたもの、または紙に樹脂をラミネートしたもの等の樹脂被覆紙が使用される。中でも、樹脂フィルムあるいは樹脂をラミネートした紙を使用することが、耐水性に優れる。
樹脂フィルムとしては、熱可塑性樹脂であるポリエステル樹脂、オレフィン樹脂、ナイロン等が例示できる。ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリシクロヘキセンテレフタレート等が、またオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体からなるもの、またはこれらを主成分とするものを例示できる。また、これらの熱可塑性樹脂を1種または2種以上適宜選択して使用でき、他の熱可塑性樹脂としてポリスチレン、アクリル酸エステル共重合体等を混合して使用することもできる。
これら熱可塑性樹脂を縦方向および/または横方向に延伸して成形したフィルムも使用できる。この他、この熱可塑性樹脂中に無機質微細粉末を混合してフィルムを形成し、これを例えば1軸延伸処理または2軸延伸処理して紙状の層としてもよい。本発明においては、このようなフィルムを複数層積層して得られた多層フィルムを支持体として使用し、例えば、基材層と両面または片面に紙状の層を設けた2〜3層フィルム、または更にその少なくとも片面の紙状の層上に表面層を形成した3〜5層フィルム等を使用してもよい。このように熱可塑性樹脂を紙状の層としたものは一般に合成紙として知られている。
また、樹脂をラミネートした紙としては、熱可塑性樹脂を押出しラミネートした紙が例示でき、熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂やポリエステル樹脂が例示できる。熱可塑性樹脂中には、二酸化チタンなどの顔料をはじめ、染料や紫外線吸収剤などを適宜配合することができる。
支持体は、その上に形成されるインク受容下層およびインク受容上層や光沢層の形成方法、或いは、使用される用途などに応じて、上記例示の支持体の中から適宜選択使用できる。勿論、蛍光染料、蛍光顔料などにより色目を調節したり、帯電防止層、アンカー層、バリヤー層を付与してもよく、コロナ処理などを施しても構わない。
「下塗り層」
本発明は、支持体とインク受容下層の間に、下塗り層を形成してもよい。下塗り層は、主にインクジェットインク成分中の溶媒を速やかに吸収する層である。下塗り層は、顔料と接着剤を主成分として含有する。下塗り層中の顔料は、カオリン、クレー、焼成クレー、非晶質シリカ(無定形シリカともいう)、合成非晶質シリカ、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、アルミナ、コロイダルシリカ、ゼオライト、合成ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、合成スメクタイト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメント、ハイドロタルサイト、尿素樹脂系プラスチックピグメント、ベンゾグアナミン系プラスチックピグメント等、一般塗工紙製造分野で公知公用の各種顔料を1種もしくはそれ以上、併用することができる。これらの中でも、インク吸収性の高い無定形シリカ、アルミナ、ゼオライトを主成分として含有させるのが好ましい。
これらの顔料の平均粒子径(凝集顔料の場合は凝集粒子径)は1〜10μm程度が好ましく、より好ましくは2〜10μmである。1μm未満であるとインク吸収速度向上の効果に乏しくなり、10μmを超えて大きいと光沢層を設けた後での平滑性や光沢が不十分となるおそれがある。異なる平均粒子径を併用することも可能である。
なお、インク吸収性を調整したり、下塗り層上に塗工する塗工液の浸透を制御する目的で、副成分として平均粒子径の小さい顔料を配合することができる。この様な顔料としてはコロイダルシリカ、アルミナゾルが挙げられる。
下塗り層の接着剤としては、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類、澱粉や酸化澱粉等の各種澱粉類、ポリビニルアルコール、カチオン性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールを含むポリビニルアルコール類、カルボキシメチルセルロースやメチルセルロース等のセルロース誘導体、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス、等一般に塗工紙用として用いられている従来公知の接着剤が単独、あるいは併用して用いられる。
下塗り層の顔料と接着剤の配合割合は、その種類にもよるが、一般に顔料100質量部に対し接着剤1〜100質量部、好ましくは2〜50質量部の範囲で調節される。その他、一般塗工紙の製造において使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤が適宜添加される。下塗り層中には、蛍光染料、着色剤を添加することもできる。
下塗り層中にはカチオン性化合物を実質的に含有しないことが好ましいる。インク受容層のみにカチオン性化合物を配合し、光沢層および下塗り層には実質的にカチオン性化合物を含有させない態様では光沢が極めて優れ、かつ、印字濃度が高くなる。なお、カチオン性界面活性剤等を助剤的に微量添加しても差し支えない。
上記材料をもって構成される下塗り層用塗工液は、一般に固形分濃度を5〜50質量%程度に調整し、紙基材上に乾燥質量で2〜100g/m2 、好ましくは5〜50g/m2 程度、更に好ましくは10〜20g/m2 程度になるように塗工する。塗工量が少ないと、インク吸収性改良効果が充分に得られなかったり、光沢層を設けた際に光沢が十分に出ないおそれがあり、多いと、印字濃度が低下したり、光沢層用塗工層の強度が低下し粉落ちや傷が付き易くなる場合がある。
下塗り層用塗工液は、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、ブラシコーター、チャンプレックスコーター、バーコーター、リップコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、スロットダイコーター、スライドコーター等の各種公知公用の塗工装置により塗工、乾燥される。さらに、必要に応じて下塗り層の乾燥後にスーパーキャレンダー、ブラシ掛け等の平滑化処理を施すこともできる。
「インク受容層」
本発明のインク受容下層および前記インク受容上層は、いずれも感温点を境として粘性が変化する感温ゲル化物質と顔料とを有し、増粘またはゲル化(ゲル化等)された層である。
(感温ゲル化物質)
感温ゲル化物質としては、感温点が0〜30℃であるものが好ましい。温度管理が容易となることから、常温付近の15〜25℃に感温点があることが更に好ましい。
また、ゲル化等しない温度領域が、ゲル化等する温度領域よりも高温領域である方が好ましい。過熱状態で塗工後、冷却することによってゲル化等することができるからである。この場合、低温でゲル化等できるのでー、塗工層の水分管理が容易である。
なお、ゲル化等しない温度領域が、ゲル化等する温度領域よりも低温領域である場合には、塗工後加熱してゲル化等しなければならず、塗工層中の水分がゲル化等の際に蒸発しやすくなる。したがって、この場合、塗工層の水分管理が容易でない。
このように、望ましい範囲の感温点が得られると共に、冷却によりゲル化等する感温ゲル化物質としては、感温点以下の温度領域では親水性を示し、感温点より高い温度領域では疎水性を示す感温性高分子化合物がある。この感温性高分子化合物を用いた場合、ゲル化剤や架橋剤を用いることなくゲル化が可能である。
このような感温性高分子化合物としては、特開2003−40916号公報に開示されている、ポリビニルアルコール及び/又はポリビニルアルコール誘導体の共存下に重合して得られる感温性高分子化合物が例示できる。
具体的には、
(1)単独重合することによって該温度応答性(親水性−疎水性の変化)を呈する高分子化合物が得られるモノマー(主モノマー(M))の1種あるいは2種以上をポリビニルアルコール及び/又はポリビニルアルコール誘導体の共存下で重合して得られる高分子化合物、あるいは、
(2)該主モノマー(M)と反応して高分子化合物を作ることができかつ単独重合によっては該温度応答性を呈する高分子化合物が得られないモノマー(副モノマー(N))と主モノマー(M)とをポリビニルアルコール及び/又はポリビニルアルコール誘導体の共存下で重合して得られる高分子化合物である。
(2)の場合、副モノマー(N)を共重合成分に使用することによって、感温点や成膜性の異なる高分子化合物を得ることが可能となる。
主モノマー(M)、副モノマー(N)、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体は各々1種あるいは2種以上のものを組み合わせて用いることもできる。
上記感温性高分子化合物の製造に用いるポリビニルアルコール及び/又はポリビニルアルコール誘導体は、特に限定されない。
ポリビニルアルコールとしては、一般に完全ケン化型ポリビニルアルコールと呼ばれるケン化度96%〜100%のポリビニルアルコール、一般に部分ケン化型ポリビニルアルコールと呼ばれるケン化度76%〜95%のポリビニルアルコール等が挙げられる。
ポリビニルアルコール誘導体としてはシラノール変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、メルカプト基含有ポリビニルアルコール、ケト基含有ポリビニルアルコール等が挙げられる。
ポリビニルアルコール及び/又はポリビニルアルコール誘導体は、1種で用いてもよいし、複数の種類を混合して用いてもよい。
該ポリビニルアルコール及びポリビニルアルコール誘導体の重合度は、特に限定されないが、重合度300〜4000のものが好ましく用いられる。
また、インク吸収性の観点から、ケト基含有ポリビニルアルコールを使用し、後述の、少なくとも2個の、ヒドラジン基及び/又はセミカルバジド基を有するヒドラジン誘導体を併用して、該ケト基を架橋することが好ましい。
上記感温性高分子化合物の製造に用いる主モノマー(M)と副モノマー(N)、ポリビニルアルコール及び/又はポリビニルアルコール誘導体の使用割合は、得られる感温性高分子化合物が温度応答性を呈する範囲の中で決められ、感温性高分子化合物中のポリビニルアルコール又はポリビニルアルコール誘導体の含有率は該条件の範囲の中においては特に制限されないが、最終的に得られる記録媒体の塗工膜の耐水性の観点から、0.1〜50質量%が好ましく用いられ、更に好ましくは0.5〜20質量%である。
主モノマー(M)としては、N−アルキル又はN−アルキレン置換(メタ)アクリルアミド誘導体(ここで、(メタ)アクリルとはメタアクリル(あるいはメタクリル)又はアクリルを簡便に表記したものである)、ビニルメチルエーテルなどが挙げられ、具体的には例えば、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−シクロプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−(メタ)アクリロイルピペリジン、N−テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロポキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(2,2−ジメトキシエチル)−N−メチルアクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリンなどが挙げられる。成膜性の観点から、N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−アクリロイルモルホリンが好ましい。
副モノマー(N)としては、親油性ビニル化合物、親水性ビニル化合物、イオン性ビニル化合物などが挙げられる。具体的には、親油性ビニル化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、エチレン、イソプレン、ブタジエン、酢酸ビニル、塩化ビニルなどが挙げられ、親水性ビニル化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、2−メチル−5−ビニルピリジン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−アクリロイルピロリジンなどが挙げられ、イオン性ビニル化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸、ブテントリカルボン酸、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノメチル等のカルボン酸基含有モノマー、2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、(メタ)アクリルスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有モノマーなどが挙げられる。特に、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、メタアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミドが好ましく用いられる。また、本発明の高分子エマルジョンを用いて得られる塗工層の成膜性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸、ブテントリカルボン酸、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノメチル等のカルボン酸基含有モノマー、2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、(メタ)アクリルスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマーなどのアニオン基含有モノマーを用いることは好ましく、特にアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等のカルボン酸基含有モノマーを用いることは好ましい。
主モノマー(M)と副モノマー(N)の共重合割合は、得られる共重合高分子化合物が一定の温度を境界にして親水性と疎水性が可逆的に変化する温度応答性を呈する範囲の中で決められる。つまり、副モノマー(N)の割合が多すぎれば得られる共重合高分子化合物が該温度応答性を示さなくなる。即ち、主モノマー(M)と副モノマー(N)の共重合割合は、用いるモノマー種の組み合わせに依存するが、得られる感温性高分子化合物中における副モノマー(N)の割合は50質量%以下が好ましい。更に好ましくは、30質量%以下である。また、副モノマー(N)の添加効果がより良く発現されるためには0.01質量%以上が好ましい。
インク受容層に、後述するカチオン性化合物を配合する場合、上記感温性高分子化合物は、光沢層形成用の塗液の調製が容易である点から、カチオン性あるいは非イオン性であることがより好ましい。
カチオン性の感温性高分子化合物は、例えば、重合に使用する副モノマー(N)として、カチオン基を持つエチレン性不飽和モノマーを含めることによって得ることができ、該観点から少なくとも一種類以上の、カチオン基を持つエチレン性不飽和モノマーを副モノマー(N)として使用することは好ましい。該カチオン基を持つエチレン性不飽和モノマーは各々1種あるいは2種以上のものを組み合わせて用いることも出来る。特に、太陽光あるいは蛍光灯の光に、得られる記録媒体にインクジェットプリンターを用いて印刷を行った印刷物を曝しておいた場合に生じる退色の度合いの観点及び得られる高分子エマルジョンのコロイド安定性の観点から、該カチオン基を持つエチレン性不飽和モノマーとしては3級アミノ基及び/又は4級アンモニウム塩基を含有することがより好ましい。
3級アミノ基及び/又は4級アンモニウム塩基を含有する感温性高分子化合物は、例えば主モノマー(M)と、副モノマー(N)として3級アミノ基及び/又は4級アンモニウム塩基を含有するモノマーとを共重合させて得られる。主モノマー(M)、副モノマー(N)(3級アミノ基及び/又は4級アンモニウム塩基を含有するモノマーを含む)は各々1種あるいは2種以上のものを組み合わせて用いることも出来る。
3級アミノ基又は4級アンモニウム塩基含有モノマーとしては、モノマー中に3級アミノ基又は4級アンモニウム塩基を含む構造を有するもので有れば特に制限されないが、ビニロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2,3−ジメチル−1−ビニルイミダゾリニウムクロライド、トリメチル−(3−(メタ)アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド及びその4級アンモニウム塩、トリメチル−(3−(メタ)アクリルアミド)アンモニウムクロライド、1−ビニル−2−メチル−イミダゾール、1−ビニル−2−エチル−イミダゾール、1−ビニル−2−フェニル−イミダゾール、1−ビニル−2、4,5−トリメチル−イミダゾール、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート及びその4級アンモニウム塩、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びその4級アンモニウム塩、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びその4級アンモニウム塩、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びその4級アンモニウム塩、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド及びその4級アンモニウム塩、N−(3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド及びその4級アンモニウム塩、N−(3−ジエチルアミノプロピル)メタクリルアミド及びその4級アンモニウム塩、N−(3−ジエチルアミノプロピル)アクリルアミド及びその4級アンモニウム塩、o−,m−,p−アミノスチレン及びその4級アンモニウム塩、o−,m−,p−ビニルベンジルアミン及びその4級アンモニウム塩、N−(ビニルベンジル)ピロリドン、N−(ビニルベンジル)ピペリジン、N−ビニルイミダゾール及びその4級アンモニウム塩、2−メチル−1−ビニルイミダゾール及びその4級アンモニウム塩、N−ビニルピロリドン及びその4級アンモニウム塩、N,N’−ジビニルエチレン尿素及びその4級アンモニウム塩、α−,又はβ−ビニルピリジン及びその4級アンモニウム塩、α−,又はβ−ビニルピペリジン及びその4級アンモニウム塩、2−,又は4−ビニルキノリン及びその4級アンモニウム塩等が例示される。特に、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのメチルクロライド4級化合物が好ましく用いられる。
主モノマー(M)と3級アミノ基及び/又は4級アンモニウム塩基含有モノマーを含む副モノマー(N)の共重合割合は、得られる共重合高分子化合物が感温点を境にして親水性と疎水性が可逆的に変化する温度応答性を呈する範囲の中で決められる。本発明に用いる、感温性高分子化合物中の3級アミノ基及び/又は4級アンモニウム塩基含有モノマー単位の含有率は、上記条件の範囲の中においては特に制限されないが、塗液調整の容易さの観点から0.01質量%以上が好ましく、成膜性の観点から50質量%以下が好ましい。更に好ましくは0.1〜30質量%である。
さらに、太陽光あるいは蛍光灯の光に印刷物を曝しておいた場合に生じる退色の度合いの観点から、3級アミノ基含有モノマーよりも4級アンモニウム塩基含有モノマーを使用する方がより好ましい。さらに、3級アミノ基及び/又は4級アンモニウム塩基含有モノマー及び、前記アニオン基含有モノマーを共に含有することは、前述の該塗液調製の容易さ、及び本発明の高分子エマルジョンを用いて得られる塗工層の成膜性、の両方の観点から好ましく、特に該アニオン基含有モノマーがアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等のカルボン酸基含有モノマーを用いることは好ましい。
なお、感温ゲル化物質としては、上記の他に、特開平8−244334号公報などに開示されている、感温点以下の温度領域では疎水性を示し、感温点より高い温度領域では親水性を示す感温性高分子化合物なども例示できる。この化合物の場合、感温点以下で塗工後、加熱することによりゲル化等させることになる。
(顔料)
本発明において、本発明のインク受容下層およびインク受容上層は、いずれも顔料を含有するが、インク受容上層に含まれる顔料の平均二次粒子径が、前記インク受容下層に含まれる顔料の平均二次粒子径より小さいことを特徴とする。
これにより、インク吸収速度とインク吸収量のバランスがとりやすくなり、また、インク受容上層のひび割れ制御も容易となる。
インク受容下層および前記インク受容上層に使用できる顔料としては、カオリン、クレー、焼成クレー、非晶質シリカ(無定形シリカともいう)、合成非晶質シリカ、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、アルミナ、コロイダルシリカ、ゼオライト、合成ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、合成スメクタイト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメント、ハイドロタルサイト、尿素樹脂系プラスチックピグメント、ベンゾグアナミン系プラスチックピグメント等の中から1種もしくはそれ以上、併用することができる。
シリカとしては、窒素吸着法による比表面積が300m2/g〜1000m2/gで、細孔容積が0.4ml/g〜2.0ml/gであるシリカ微粒子がコロイド状に分散した液をシード液とし、該シード液に対しアルカリの存在下、活性ケイ酸水溶液及び/又はアルコキシシランからなるフィード液を少量ずつ添加してシリカ微粒子を成長させて、窒素吸着法による比表面積が100m2 /g〜400m2/g、平均二次粒子径が20nm〜300nm、かつ細孔容積が0.5ml/g〜2.0ml/gのシリカ微粒子がコロイド状に分散したシリカ微粒子分散液を用いても良い。
インク受容下層に用いる顔料の平均二次粒子径は、好ましくは1000nm以下、さらに好ましくは700nm以下である。なお、インク受容下層に用いる顔料の平均二次粒子径の下限値は特に限定されないが、100nm以上とすることが好ましい。
インク受容下層に用いる顔料の平均一次粒子径は、好ましくは3〜40nm、さらに好ましくは5〜30nmである。
インク受容下層に用いる顔料としては、湿式法シリカが好ましい。また、カチオン樹脂によりカチオン化処理された顔料を用いることもできる。
インク受容下層においては、顔料100質量部に対する感温ゲル化物質の配合量が1〜100質量部であることが好ましく、より好ましくは5〜40質量部の範囲内である。ここで感温ゲル化物質の配合量が1質量部未満であると、塗工液のゲル化が不十分となりやすく、光沢性の低下やインクドット真円性の悪化が起こりやすい傾向にある。またその配合量が100質量部より多くなると、インクの吸収性が低下し、所望のインクジェット記録適性が得られなくなることがある。
インク受容上層に用いる顔料の平均二次粒子径は、好ましくは700nm以下、さらに好ましくは500nm以下である。なお、インク受容上層に用いる顔料の平均二次粒子径の下限値は特に限定されないが、10nm以上とすることが好ましい。
インク受容上層に用いる顔料の平均一次粒子径は、好ましくは3〜40nm、さらに好ましくは5〜15nmである。
インク受容上層に用いる顔料としては、気相法シリカ、メソポーラスシリカ、活性ケイ酸を縮合させて製造された湿式法シリカ、アルミナ、ベーマイトから選択される少なくとも1種であることが好ましく、カチオン樹脂によりカチオン化処理されている気相法シリカが好ましい。
インク受容上層においては、顔料100質量部に対する感温ゲル化物質の配合量が1〜100質量部であることが好ましく、より好ましくは5〜40質量部の範囲内である。ここで感温ゲル化物質の配合量が1質量部未満であると、塗工液のゲル化が不十分となりやすく、光沢性の低下やインクドット真円性の悪化が起こりやすい傾向にある。またその配合量が100質量部より多くなると、得られる塗工層のインク吸収性が低下し、所望のインクジェット記録適性が得られなくなることがある。
(カチオン性化合物)
インク受容下層およびインク受容上層には、公知のカチオン性化合物を配合することもできる。カチオン性化合物としては、例えば、1)ポリエチレンポリアミンやポリプロピレンポリアミンなどのポリアルキレンポリアミン類またはその誘導体、2)第2級アミノ基、第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル重合体、3)ポリビニルアミンおよびポリビニルアミジン類、4)ジシアンジアミド・ホルマリン共重合体に代表されるジシアン系カチオン性化合物、5)ジシアンジアミド・ポリエチレンアミン共重合体に代表されるポリアミン系カチオン性化合物、6)エピクロルヒドリン・ジメチルアミン共重合体、7)ジアリルジメチルアンモニウム−SO2重縮合体、8)ジアリルアミン塩・SO2重縮合体、9)ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体、10)ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体、11)アリルアミン塩の共重合体、12)ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩共重合体、13)アクリルアミド・ジアリルアミン共重合体、14)5員環アミジン構造を有するカチオン性樹脂等のカチオン性化合物等が例示できる。
前記顔料と前記カチオン性化合物の配合比は、質量比で顔料100質量部に対してカチオン性化合物が1〜30質量部が好ましく、さらに好ましくは、3〜20質量部である。カチオン性化合物が1質量部より少ないと、印字の耐水化効果が得られにくく、30質量部より多いと、余分なカチオン性化合物が空隙を塞いでしまい、インク吸収性が阻害され、画像のにじみやムラが発生するおそれもある。
カチオン性化合物と顔料を配合する際、前記顔料に混合すれば良いが、特に顔料が微細シリカの場合は、微細シリカは一般にアニオン性であり、混合の際に微細シリカ粒子の凝集が起こる場合がある。
この場合、一般的に市販されている非晶質シリカ(数ミクロンの二次粒子径を有する)を機械的手段により強い力を与えて微細粒子に粉砕する際、粉砕処理前の非晶質シリカにカチオン性物質を一緒に混合分散してから機械的手段により分散・粉砕するか、あるいは微細化したシリカ二次粒子分散体にカチオン性物質を混合し、一旦増粘・凝集させた後、再度機械分散・粉砕する方法等をとることにより、前記特定の粒子径に調整することができる。このようにして処理した顔料はカチオン性物質が一部結合した構造をとり、安定して分散したスラリーとなっているためか、更に別途カチオン性化合物を追加配合しても凝集し難いという特徴を有する。本発明では、このようなカチオン性物質で処理した微細顔料をカチオン性微細顔料という。
前記顔料と前記カチオン性物質の混合物、もしくは凝集物を分散あるいは粉砕するには、ホモミキサー、圧力式ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、マイクロフルイタイザー、アルティマイザー、ナノマイザー、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体攪拌ミル、ジェットミル、サンドグラインダー、クレアミックス等が用いられる。
平均二次粒子径が1000nmを超える場合は、ホモミキサーなどの弱い機械力で処理すれば十分分散するが、平均二次粒子径を1000nm以下に粉砕するにはより強い機械力を加えることが効果的であり、圧力式分散方法を用いることが好ましい。
本発明において圧力式分散方法とは、原料粒子のスラリー状混合物をオリフィス中、高圧で連続的に通過させて高圧粉砕する方法であり、処理圧力は19.6×106 〜343.2×106 PA(200〜3500kgf/cm2 )、より好ましくは49.0×106 〜245.3×106 PA(500〜2500kgf/cm2 )、さらに好ましくは、98.1×106 〜196.2×106 PA(1000〜2000kgf/cm2 )である。上記高圧粉砕により処理することで良好な分散あるいは粉砕が達成できる。さらに高圧でオリフィスを通過したスラリー状混合物を対向衝突させることによる分散、或いは粉砕方式を用いることがより好ましい。対向衝突による方法は、分散液を加圧することによって入口側に導き、分散液を二つの通路に分岐してさらに流路をオリフィスにより狭めることによって流速を加速して対向衝突させて粒子を衝突させて粉砕する。分散液を加速したり衝突させたりする部分を構成する材料としては、材料の摩耗を抑えるなどの理由からダイヤモンドが好ましく用いられる。
高圧粉砕機としては、圧力式ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、マイクロフルイタイザー、ナノマイザーが用いられ、特に高速流衝突型ホモジナイザーとしてマイクロフルイタイザー、ナノマイザ−が好ましい。
このようにして処理されたカチオン性微細顔料は、一般に固形分濃度が5〜20質量%程度の水分散体(スラリーあるいはコロイド粒子)として得られる。本発明でいう平均粒子径とは、電子顕微鏡(SEMとTEM)で観察した粒子径である(1万〜40万倍の電子顕微鏡写真を撮り、5cm四方中の粒子のマーチン径を測定し、平均したもの。「微粒子ハンドブック」( 朝倉書店) のP52、1991年等に記載されている)。
このようなカチオン性微細顔料を含有するインク受容層を設けること、インクがより均一に吸収される結果、にじみが少なく均一な発色が得られ、発色ムラの無い優れた画像が得られる。カチオン性微細顔料中の顔料としては、シリカ、アルミノシリケートが好ましく、より好ましくはシリカであり、さらに好ましくは、ヒュームドシリカである。
カチオン性微細顔料に使用するカチオン性物質としては、特に限定するものではなく、例えば、1)ポリエチレンポリアミンやポリプロピレンポリアミンなどのポリアルキレンポリアミン類またはその誘導体、2)第2級アミノ基、第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル重合体、3)ポリビニルアミンおよびポリビニルアミジン類、4)ジシアンジアミド・ホルマリン共重合体に代表されるジシアン系カチオン性化合物、5)ジシアンジアミド・ポリエチレンアミン共重合体に代表されるポリアミン系カチオン性化合物、6)エピクロルヒドリン・ジメチルアミン共重合体、7)ジアリルジメチルアンモニウム−SO2重縮合体、8)ジアリルアミン塩・SO2重縮合体、9)ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体、10)ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体、11)アリルアミン塩の共重合体、12)ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩共重合体、13)アクリルアミド・ジアリルアミン共重合体、14)5員環アミジン構造を有するカチオン性樹脂等のカチオン性物質等が挙げられる。
中でも、好ましいカチオン性物質としては、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体、アクリルアミド・ジアリルアミン共重合体の塩酸塩、ジシアンジアミド−ポリエチレンアミン共重合体および5員環アミジン構造を有するカチオン性樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を使用することが、発色性に優れ、にじみが少なく、均一な発色が得られ、発色ムラの無い優れた画像が得られるので好ましい。
なお、カチオン性微細顔料を使用する場合、インク受容層中の全顔料中におけるカチオン性微細顔料の比率が50質量%以上であると、インク受容層の透明性が優れるので好ましい。全顔料中のカチオン性微細顔料の比率が50質量%未満になるとインク受容層の透明性が低下し、印字濃度等の画像品位が低下する場合もある。
(その他の成分)
本発明のインク受容下層およびインク受容上層には、更に、感温ゲル化物質の効果を損なわない範囲において、他の樹脂を配合して他もよい。
このような樹脂としては、水溶性樹脂(例えばポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白質類、でんぷん、カルボキシルメチルセルロースやメチルセルロース等のセルロース誘導体)、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系重合体ラテックス、スチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系共重合体ラテックス等の水分散性樹脂、水性アクリル樹脂、水性ポリウレタン樹脂、水性ポリエステル樹脂等、その他一般に塗工紙分野で公知公用の各種接着剤が単独あるいは併用して使用される。水性ポリウレタン樹脂は、ウレタンエマルジョン、ウレタンラテックス、ポリウレタンラテックス等とも通称されている。ポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネート化合物と活性水素含有化合物との反応から得られるものである。比較的多数のウレタン結合および尿素結合を含む高分子化合物が挙げられる。
さらに、本発明のインク受容上層には、鏡面ドラム等からの離型性を付与する目的で、離型剤を配合することが好ましい。
離型剤としては、ステアリルリン酸カリウム等の高級脂肪酸エステル、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等の高級脂肪酸アミド、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス類、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸カリウム、オレイン酸アンモミウム等の高級脂肪酸アルカリ塩類、レシチン、シリコーンオイル、シリコーンワックス等のシリコーン化合物、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素化合物が挙げられる。
これらの中でも高級脂肪酸アミドを含有すると、鏡面ドラムなどからの離型性を著しく向上させる効果を有し、且つ印字画像のにじみを抑制する効果をも有するため好ましい。特にインク受容層Bにカチオン性化合物を含有する場合、その効果は顕著である。
離型剤の配合量は、顔料100質量部に対し0.1〜50質量部、好ましくは0.3〜30質量部、より好ましくは0.5〜10質量部の範囲で調節される。ここで配合量が少ないと、離型性改善の効果が得られにくく、多いと逆に光沢が低下したり、インクのハジキや記録濃度の低下が生じたりする場合がある。
なお、離型剤は、インク受容上層用の上層用塗工液に含有させずに、鏡面ドラムに塗布して製造することもできる。
インク受容下層および前記インク受容上層には、更に、保存性改良剤、消泡剤、着色剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、防腐剤、分散剤、増粘剤等の各種助剤が適宜添加される。
(塗工量)
インク受容下層およびインク受容上層の塗工量(合計)は、乾燥固形分で1〜50g/m2は好ましく、1〜30g/m2より好ましく、1〜10g/m2がさらに好ましい。1g/m2 未満の場合は、印字の際にじみが発生しやすくなり、50g/m2を越える場合は、印字濃度が不十分となり易い。
インク受容下層の塗工量に対するインク受容上層の塗工量の比は、0.05〜5が好ましく、0.1〜2であることがより好ましい。この塗工量の比を0.05以上とすることにより、インク受容上層でインク中の染料や顔料を定着することが可能である。また、5以下とすることにより、インク受容上層がひび割れることなく製造することが可能である。
(ゲル化等)
インク受容下層およびインク受容上層は、いずれもゲル化等されている。なお、上述のように、「ゲル化等」とは増粘またはゲル化を総称するものである。
この「増粘」とは、塗工時の粘度よりも高い粘度になることをいう。また、「ゲル化」とは、三次元的網目構造の生成による大幅な増粘をいう。
塗工時の粘度としては、粘度が、0.001〜0.3Pa・Sであることが好ましい。ゲル化等した後の粘度としては、1Pa・S以上であることが好ましく、5Pa・S以上であることが更に好ましい。なお、粘度は、いずれも、B型粘度計(回転数60rpm)による値である。
本発明では、インク受容下層およびインク受容上層がゲル化等されているため、塗膜のひび割れ制御が容易であるという効果を有する。
「光沢層」
本発明は、インク受容上層の上に光沢層を有してもよい。光沢層は、コロイド微粒子を含有する層で、鏡面ドラムなどを用いて光沢仕上げされた層である。
光沢層に用いるコロイド微粒子としては、単分散コロイド粒子(たとえばコロイダルシリカ、コロイダルアルミナ等)、コロイド二次粒子分散体(たとえばシリカコロイド粒子、アルミナコロイド粒子等)が挙げられる。
光沢層に用いるコロイド微粒子の平均粒子径(二次粒子の場合は平均二次粒子径)は、10〜500nmが好ましく、15〜100nmがより好ましい。
光沢層となる光沢層用塗工液としては、水等の溶媒中に、上記コロイド微粒子を分散させたものが用いられる。
なお、別途光沢層を用いることなく、インク受容上層を、鏡面ドラムなどを用いて光沢仕上げしてもよい。
[インクジェット記録シートの製造方法]
本発明のインクジェット記録シートは、支持体の少なくとも一方の面に、インク受容下層となる下層用塗工液とインク受容上層となる上層用塗工液とを塗工し、その後ゲル化等させることにより製造される。
下層用塗工液は、上述のインク受容下層がゲル化等していない状態の塗工液である。また、上層用塗工液は、上述のインク受容上層がゲル化等していない状態の塗工液である。
下層用塗工液と上層用塗工液とは、同時にゲル化等させてもよいし、順次ゲル化等させてもよい。
下層用塗工液と上層用塗工液とを同時にゲル化等するには、支持体上に、下層用塗工液および上層用塗工液を両塗工液がゲル化等しない温度領域で塗工した後、両塗工液がゲル化等する温度領域にしてゲル化等させて、インク受容下層およびインク受容上層を形成する。
この場合、下層用塗工液および上層用塗工液は、支持体上に順次塗工してもよいが、両者を同時に塗工することが好ましい。同時に塗工する場合は、たとえば、スライドビード、多層ダイ塗工等の多層同時塗工装置を使用することができる。
下層用塗工液および上層用塗工液を支持体上に順次塗工するには、各々公知の塗工装置により、順次塗工する。たとえば、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、ブラシコーター、チャンプレックスコーター、バーコーター、リップコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、スロットダイコーター、スライドコーター等の各種公知の塗工装置が使用できる。
下層用塗工液と上層用塗工液とを順次ゲル化等するには、支持体上に、下層用塗工液をゲル化等しない温度領域で塗工した後、ゲル化等する温度領域にしてゲル化等させてインク受容下層を形成する。その後続けて、またはインク受容下層を乾燥させた後、インク受容下層上に、上層用塗工液をゲル化等しない温度領域で塗工した後、ゲル化等する温度領域にしてゲル化等させてインク受容上層を形成する。
この場合、下層用塗工液と上層用塗工液とを、各々上記公知の塗工装置により、順次塗工することができる。
上記何れの方法の場合にも、上層用塗工液をゲル化等した後に、塗工面を鏡面ロールに圧接してもよい。このとき、支持体が透気性支持体の場合には、鏡面ロールに圧接すると共に、その場で乾燥させることができる。支持体が非透気性支持体の場合には、鏡面ロールに圧接後、剥離してから乾燥させることとなる。塗工面を鏡面ロールに圧接することによって、高光沢、高平滑性を備えるインクジェット記録体を得ることができる。
また、上記何れかの方法で形成されたインク受容上層の上に、コロイド微粒子を含有する塗工液を塗工後、直ちに鏡面ロールに圧接して光沢層を形成してもよい。
なお、インクジェット記録シートが下塗り層を有する構成の場合は、下層用塗工液を塗工する前に、下塗り層用塗工液を塗工乾燥して下塗り層を形成する。
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、勿論本発明の範囲はこれらにより限定されるものではない。また、例中の「部」及び「%」は特に断らない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
[支持体]
(非透気性支持体)
1.紙基材A
濃度0.5%のパルプスラリー(NBKP;ろ水度250mlCSFと、LBKP;ろ水度280mlCSFを、質量比2:8の割合で混合したもの)中にパルプ絶乾質量に対しカチオン化澱粉2.0%、アルキルケテンダイマー0.4%、アニオン化ポリアクリルアミド樹脂0.1%、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂0.7%を添加し、十分に撹拌して分散させた。上記組成のパルプスラリーを長網マシンで抄紙し、ドライヤー、サイズプレス、マシンカレンダーを通し、坪量101g/m 、緊度1.0g/cm の原紙を製造した。上記サイズプレス工程に用いたサイズプレス液は、カルボキシル変性ポリビニルアルコールと塩化ナトリウムとを2:1の重量比で混合し、これを水に加えて加熱溶解し、濃度5%に調製したもので、このサイズプレス液を紙の両面にトータルして25ml/m塗布して、平滑度(J.TAPPI No.5−2)が380秒の紙基材Aを得た。
2.ポリオレフィン樹脂組成物1
長鎖型低密度ポリエチレン樹脂(密度0.926g/cm 、メルトインデックス20g/10分)35部、低密度ポリエチレン樹脂(密度0.919g/cm、メルトインデックス2g/10分)50部、アナターゼ型二酸化チタン(A−220;石原産業製)15部、ステアリン酸亜鉛0.1部、酸化防止剤(Irganox1010;チバガイギー製)0.03部、群青(青口群青No. 2000;第一化成製)0.09部、蛍光増白剤(UVITEX OB;チバガイギー製)0.3部を、バンバリーミキサーで混合分散してポリオレフィン樹脂組成物1とした。
3.ポリオレフィン樹脂組成物2
高密度ポリエチレン樹脂(密度0.954g/cm、メルトインデックス20g/10分)65部、低密度ポリエチレン樹脂(密度0.924g/cm、メルトインデックス4g/10分)35部を、バンバリーミキサーで混合分散してポリオレフィン樹脂組成物2とした。
4.非透気性支持体の作製
紙基材Aの両面にコロナ放電処理を施した後、ポリオレフィン樹脂組成物1を原紙のフェルト面側に塗工量が15g/m2 になるようにして、またポリオレフィン樹脂組成物2(裏面用樹脂組成物)を原紙のワイヤー面側に塗工量が25g/m2 になるようにして、T型ダイを有する溶融押し出し機(溶融温度320℃)で塗布し、フェルト側を鏡面、ワイヤー側を粗面のクーリングロールで冷却固化して、不透明度(JIS P8138)が93%、鏡面側(原紙のフェルト側)の平滑度(J.TAPPI No.5−2)が26000秒の非透気性支持体を製造した。
(透気性支持体)
紙基材Aと同様にして、坪量179g/m 、緊度1.0g/cm の通気性支持体を得た。通気度は300秒であった。
[下層用塗工液]
(塗工液A1)
カチオン化湿式法シリカ(商品名:710C、グレース社製、平均二次粒子径:1000nm、平均一次粒子径:約10nm、スラリー濃度:20%)100部と、感温性ポリマー(商品名:ALB−221、旭化成社製、感温点:24℃)20部とを、40℃の水と混合し、40℃、乾燥固形分質量15%の水溶液を調製して、塗工液A1とした。
(塗工液A2)
カチオン化湿式法シリカ(商品名:705C、グレース社製、平均二次粒子径:500nm、平均一次粒子径:約10nm、スラリー濃度:20%)100部と、感温性ポリマー(商品名:ALB−221、旭化成社製、感温点:24℃)20部とを、40℃の水と混合し、40℃、乾燥固形分質量15%の水溶液を調製して、塗工液A2とした。
(塗工液A3)
カチオン化湿式法シリカ(商品名:710C、グレース社製、平均二次粒子径:1000nm、平均一次粒子径:約10nm、スラリー濃度:20%)100部と、ポリビニルアルコール(重合度5000、ケン化度99.5%の)15部とを、40℃の水と混合し、40℃、乾燥固形分質量15%の水溶液を調製して、塗工液A3とした。
(塗工液A4)
カチオン化湿式法シリカ(商品名:710C、グレース社製、平均二次粒子径:1000nm、平均一次粒子径:約10nm、スラリー濃度:20%)100部と、ポリビニルアルコール(重合度1800、ケン化度98.5%の)15部とを、20℃の水と混合し、20℃、乾燥固形分質量15%の水溶液を調製して、塗工液A4とした。
[上層用塗工液]
(塗工液B1)
気相法シリカ(商品名:エアロジルA300、日本アエロジル社製、平均一次粒子径:約8nm)を水溶液中でホモミキサーにより分散した後、アルティマイザー(スギノマシン社製)で100Mpaの圧力で粉砕し、平均二次粒子径が80nmになるまでアルティマイザーで粉砕操作を繰り返し、10%の水分散液を調製した。前記10%水分散液に5員環アミジン構造を有するカチオン性化合物(商品名:SC−700、ハイモ社製、分子量:30万)10部を添加し、ホモミキサーにより分散した後、アルティマイザーで100Mpaの圧力で更に粉砕し、平均二次粒子径が100nmになるまでアルティマイザーで粉砕操作を繰り返し、シリカ微粒子αの10%水分散液を調製した。
このシリカ微粒子αの水分散液(シリカ微粒子αとして100部)に、感温性ポリマー(旭化成社製、商品名:ALB−221、感温点:24℃)20部を添加し、40℃、乾燥固形分質量10%の水溶液を調製し、塗工液B1とした。
(塗工液B2)
フュームドアルミナ(商品名:PG003、CABOT社製、平均粒子径:150nm、スラリー濃度:40%)100部に、感温性ポリマー(商品名:ALB−221、旭化成社製、感温点:24℃)10部を添加し、40℃、乾燥固形分質量20%の水溶液を調製し、塗工液B2とした。
(塗工液B3)
擬ベーマイト(商品名:AS−3、触媒化成社製、平均二次粒子径:400nm、平均一次粒子径(マーチン径):約50nm)100部に、感温性ポリマー(商品名:ALB−221、旭化成社製、感温点:24℃)15部を添加し、40℃、乾燥固形分質量10%の水溶液を調製し、塗工液B3とした。
(塗工液B4)
カチオン化湿式法シリカ(商品名:710C、グレース社製、平均二次粒子径:1000nm、平均一次粒子径:10nm、スラリー濃度:20%)100部に、ポリビニルアルコール(重合度5000、ケン化度99.5%の)15部を混合し、20℃、乾燥固形分質量15%の水溶液を調製し、塗工液B4とした。
(塗工液B5)
シリカ微粒子αの水分散液(シリカ微粒子αとして100部)に、ポリビニルアルコール(重合度1800、ケン化度98.5%)20部を添加し、20℃、乾燥固形分質量8%の水溶液を調製し、塗工液B5とした。
[光沢層用塗工液]
(塗工液C1)
コロイダルシリカ(商品名:ST−OL、日産化学社製、平均粒子径:45nm、スラリー濃度:20%)100部に、離型剤(ポリエチレンワックス)5部、アクリルエマルジョンラテックス(平均粒子径:30nm)3部を添加し、20℃、乾燥固形分質量8%の水溶液を調製し、塗工液C1とした。
[インクジェット記録体の作製]
(実施例1)
上記非透気性支持体のフェルト面に塗工液A1が塗工量12g/mになるように、塗工液B1が塗工量8g/mになるように、WET ON WETの状態でスライドビードコーターを用いて塗布した。塗布後、塗工液A1、B1とも5℃まで冷やし、増粘したことを確認後、120℃の乾燥機で乾燥してインクジェット記録体を得た。
(実施例2)
実施例1の塗工液B1を塗工液B2に変更した以外は実施例1と同様にインクジェット記録体を得た。
(実施例3)
実施例1の塗工液B1を塗工液B3に変更した以外は実施例1と同様にインクジェット記録体を得た。
(実施例4)
実施例1の塗工液A1を塗工液A2に変更した以外は実施例1と同様にインクジェット記録体を得た。
(実施例5)
上記非透気性支持体のフェルト面に塗工液A2が塗工量18g/mになるようにバーコーターで塗工し、一旦5℃まで冷やしてから、120℃で乾燥した。塗工液B1に離型剤(ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド)を2部添加し、塗工量3g/mになるように上記塗工層上にバーコーターで塗布し、5℃まで冷やしてから、90℃の鏡面ドラムに押し当てた後、120℃の乾燥機で乾燥してインクジェット記録体を得た。
(実施例6)
上記透気性支持体のフェルト面に塗工液A2が塗工量12g/mになるようにバーコーターで塗工し、一旦5℃まで冷やしてから、120℃で乾燥した。塗工液B1に離型剤(ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド)を2部添加し、塗工量8g/mになるように上記塗工層上にダイコーターで塗布し、5℃まで冷やしてから、90℃の鏡面ドラムに押し当てた後、ドラムから剥離後、120℃の乾燥機で乾燥してインクジェット記録体を得た。
(実施例7)
上記透気性支持体のフェルト面に塗工液A2が塗工量12g/mになるように塗工し、一旦5℃まで冷やしてから、120℃で乾燥した。塗工液B1に離型剤(ステアリン酸アミド)を2部添加し、塗工量8g/mになるように上記塗工層上にダイコーターで塗布し、5℃まで冷やしてから、90℃の鏡面ドラムに押し当て、ドラム上で乾燥した後、剥離してインクジェット記録体を得た。
(実施例8)
上記透気性支持体のフェルト面に塗工液A2が塗工量12g/mになるようにバーコーターで塗工し、一旦5℃まで冷やしてから、120℃で乾燥した。上記塗工層上に塗工液B1を塗工量8g/mになるようにダイコーターで塗布し、5℃まで冷やしてから、120℃で乾燥した。さらに、光沢層として塗工液C1を1g/mになるようにニップキャスト(キャストの鏡面ドラム温度:90℃)し、ドラム上で乾燥し、剥離してインクジェット記録体を得た。
(比較例1)
上記非透気性支持体のフェルト面に塗工液A3が塗工量12g/mになるように、塗工液B4が塗工量8g/mになるようにWET ON WETの状態でスライドビードコーターを用いて塗布した。塗布後、塗工液の温度が5℃まで冷えたことを確認後、徐々に昇温して乾燥し、インクジェット記録体を得た。
(比較例2)
上記非透気性支持体のフェルト面に硼砂を0.4g/m塗工し、湿潤のうちに塗工液A3が塗工量12g/mになるように、塗工液B4が塗工量8g/mになるようにWET ON WETの状態でスライドビードコーターを用いて塗布した。塗布後、塗工液の温度が5℃まで冷えたことを確認後、120℃で乾燥し、インクジェット記録体を得た。
(比較例3)
上記非透気性支持体のフェルト面に塗工液A4が塗工量12g/mになるように、塗工液B5が塗工量8g/mになるようにWET ON WETの状態でスライドビードコーターを用いて塗布した。塗布後、塗工液の温度が5℃まで冷えたことを確認後、徐々に昇温して乾燥し、インクジェット記録体を得た。
(比較例4)
上記非透気性支持体のフェルト面に塗工液B1が塗工量20g/mになるように塗布した。塗布後、塗工液の温度が5℃まで冷えたことを確認後、120℃で乾燥してインクジェット記録体を得た。
(比較例5)
上記非透気性支持体のフェルト面に塗工液A3が塗工量12g/mになるように、塗工液B1が塗工量8g/mになるようにWET ON WETの状態でスライドビードコーターを用いて塗布した。塗布後、塗工液の温度が5℃まで冷えたことを確認後、徐々に昇温して乾燥し、インクジェット記録体を得た。
(比較例6)
上記非透気性支持体のフェルト面に塗工液A1が塗工量12g/mになるように、塗工液B4が塗工量8g/mになるようにWET ON WETの状態でスライドビードコーターを用いて塗布した。塗布後、塗工液A1、B4とも温度が5℃まで冷やし、塗料が増粘したことを確認後、120℃の乾燥機で乾燥してインクジェット記録体を得た。
(比較例7)
上記非透気性支持体のフェルト面に塗工液B1が塗工量12g/mになるように、塗工液A2が塗工量8g/mになるようにWET ON WETの状態でスライドビードコーターを用いて塗布した。塗布後、塗工液B、Eとも温度が5℃まで冷やし、塗料が増粘したことを確認後、120℃の乾燥機で乾燥してインクジェット記録体を得た。
(比較例8)
上記透気性支持体のフェルト面に塗工液B1が塗工量12g/mになるようにバーコーターで塗工し、一旦5℃まで冷やしてから、120℃で乾燥した。塗工液A2に離型剤(ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド)を2部添加し、塗工量8g/mになるように上記塗工層上にダイコーターで塗布し、5℃まで冷やしてから、90℃の鏡面ドラムに押し当てた後、ドラムから剥離後、120℃の乾燥機で乾燥してインクジェット記録体を得た。
[評価方法]
各実施例、比較例で使用した塗工液のハンドリング性、環境への影響、及び得られたインクジェット記録体のインク吸収性、印字濃度、画像均一性、折り割れ、光沢感を、以下に示す方法で評価した。印字は、市販のインクジェットプリンター(商品名:PM−950C、EPSON社製、印字モード:PM写真用紙きれいモード)で行った。
(塗工液ハンドリング性)
各実施例、比較例に用いられた各塗工液を500cc用意し、5cmのナイロンメッシュ(目開き:50μm)にろ過して、10分経過後、メッシュ上に塗料の残留を確認した。なお、メッシュ上に塗料が残留する場合、塗工途中でメッシュが詰まり、塗工を中止してメッシュの交換を必要とする恐れがあるので、塗工効率が著しく悪くなる。
○:残留なし。
×:残留あり。
(塗工液環境性)
○:塗工液中に排水規定物質(水質汚濁防止法)が存在しない
×:塗工液中に排水規定物質が存在する
(インク吸収性(印字斑))
記録体にグリーンベタ印字し、ベタ印字の斑があるかどうかを目視で観察し、以下の4段階で評価した。印字斑は、先に打ち込まれたインクが、完全にインクジェット記録体の塗工層に吸収されないうちに次のインクが飛来して表面で重なった場合に生じる現象であり、インク吸収速度が遅くなると、顕著に表れる。
◎:印字斑は、全く見られない。
○:印字斑は、多少あるが、実用上問題ないレベル。
△:印字斑が見られ、実用上問題あるレベル。
×:印字斑が多い。
(印字濃度)
黒色インクでベタ印字し、マクベス反射濃度計(Macbeth RD−920)で測定した。
(画像均一性(ドットの真円性))
ISO−400の画像(「高精細カラーディジタル標準画像データISO/JIS−SCID」、p13、画像名称:果物かご)を印字し、画像の均一性(背景部)を目視で観察し、評価した。ドットが真円状であれば、ドットとドットが多く重なっている部分は極めて均一になるが、ドットが真円性からずれるほど、均一性に欠ける。
○:画像が均一で斑が見えない(ドットは真円で、エッジ部にギザギザは全く見られない)。×:画像が不均一で、斑が見られる(ドットは真円性がなく、エッジ部がギザギザである)。
(折り割れ)
10℃、20%の環境室内に、記録体を24時間静置後、直径2cmの棒にサンプルを巻き付けた際に、インク受容層に発生するひび割れの状態を下記の基準で評価した。
○:記録層に全くひび割れが見られない。
×:記録層全面にひび割れが見られた。
(光沢感)
ISO−400の画像(「高精細カラーディジタル標準画像データISO/JIS−SCID」、p13、画像名称:果物かご)を印字し、印字部に対して横の角度から目視し、以下の4段階で評価した。
◎:銀塩写真と同レベルの光沢感がある。
○:銀塩写真よりやや劣るレベルの光沢感がある。
△:一般市販の光沢インクジェット記録体と同レベル。
×:マットタイプインクジェット記録体と同レベル。
[評価結果]
上記の評価結果を表1に示す。また、実施例のインクジェット記録体を用いて、顔料プリンター(EPSON社製、PX−G900)で印字した。すべてのインクジェット記録体において良好な画像が得られた。
Figure 0004063244
表1に示すように、いずれの実施例も総ての評価項目について良好な結果であった。特に、光沢層を設けた実施例8の結果が良好であった。
これに対して、感温ゲル化物質を用いていない比較例1〜3では、何れかの評価項目について、良好な結果を得ることができなかった。また、比較例4では、感温ゲル化物質を用いているものの、インク受容層が一層のみである。この場合、特に画像均一性について、良好な結果が得られなかった。また、インク受容層が二層であっても、その一方にしか感温ゲル化物質を用いていない比較例5、6では、塗工液のハンドリング性について良好な結果が得られなかった。
また、比較例7、8では、インク受容層が二層であり、しかもその双方に感温ゲル化物質が用いられているが、各々に含まれる顔料の平均二次粒子径が、本発明の特定の条件を満たしていない。これらの場合、印字濃度が低かった。

Claims (14)

  1. 支持体上の少なくとも一方の面に、インク受容下層とインク受容上層とを順に有するインクジェット記録シートであって、
    前記インク受容下層および前記インク受容上層が、いずれも感温点を境として粘性が変化する感温ゲル化物質と顔料とを有し、増粘またはゲル化(以下総称して「ゲル化等」という。)された層であり、
    前記インク受容上層に含まれる顔料の平均二次粒子径が、前記インク受容下層に含まれる顔料の平均二次粒子径より小さいことを特徴とするインクジェット記録シート。
  2. 前記感温ゲル化物質の感温点が0〜30℃である請求項1に記載のインクジェット記録シート。
  3. 前記感温ゲル化物質が、感温点以下の温度領域では親水性を示し、感温点より高い温度領域では疎水性を示す感温性高分子化合物である請求項1又は2に記載のインクジェット記録シート。
  4. 前記インク受容下層に含まれる顔料が、平均一次粒子径が3〜40nmで平均二次粒子径が1000nm以下であり、前記インク受容上層に含まれる顔料が、平均一次粒子径が3〜40nmで平均二次粒子径が700nm以下である請求項1〜3の何れか一項に記載のインクジェット記録シート。
  5. 前記インク受容下層に含まれる顔料が、平均一次粒子径が5〜30nmで平均2次粒子径が700nm以下であり、前記インク受容上層に含まれる顔料が、平均一次粒子径が5〜15nmで平均二次粒子径が500nm以下である請求項1〜4の何れか一項に記載のインクジェット記録シート。
  6. 前記インク受容上層に含まれる顔料が、気相法シリカ、メソポーラスシリカ、活性ケイ酸を縮合させて製造された湿式法シリカ、アルミナ、ベーマイトから選択される少なくとも1種である請求項1〜5の何れか一項に記載のインクジェット記録シート。
  7. 前記インク受容上層に含まれる顔料が、カチオン樹脂によりカチオン化処理された気相法シリカである請求項6に記載のインクジェット記録シート。
  8. 前記インク受容上層の上に、コロイド状微粒子を含有する光沢層を有する請求項1〜7の何れか一項に記載のインクジェット記録シート。
  9. 支持体上の少なくとも一方の面に、インク受容下層とインク受容上層とを順に有するインクジェット記録シートの製造方法であって、
    前記インク受容下層となる下層用塗工液および前記インク受容上層となる上層用塗工液とが、いずれも感温点を境として粘性が変化する感温ゲル化物質と顔料とを有し、
    前記上層用塗工液に含まれる顔料の平均二次粒子径が、前記下層用塗工液に含まれる顔料の平均二次粒子径より小さく、
    前記支持体上に、前記下層用塗工液および上層用塗工液を両塗工液がゲル化等しない温度領域で塗工した後、両塗工液がゲル化等する温度領域にしてゲル化等させて、インク受容下層およびインク受容上層を形成する工程を有することを特徴とするインクジェット記録シートの製造方法。
  10. 支持体上の少なくとも一方の面に、インク受容下層とインク受容上層とを順に有するインクジェット記録シートの製造方法であって、
    前記インク受容下層となる下層用塗工液および前記インク受容上層となる上層用塗工液とが、いずれも感温点を境として粘性が変化する感温ゲル化物質と顔料とを有し、
    前記上層用塗工液に含まれる顔料の平均二次粒子径が、前記下層用塗工液に含まれる顔料の平均二次粒子径より小さく、
    前記支持体上に、前記下層用塗工液をゲル化等しない温度領域で塗工した後、ゲル化等する温度領域にしてゲル化等させてインク受容下層を形成する工程と、
    前記インク受容下層上に、前記上層用塗工液をゲル化等しない温度領域で塗工した後、ゲル化等する温度領域にしてゲル化等させてインク受容上層を形成する工程と
    を有することを特徴とするインクジェット記録シートの製造方法。
  11. 上層用塗工液を、ゲル化等した後に鏡面ロールに圧接する請求項9又は請求項10に記載のインクジェット記録シートの製造方法。
  12. さらに、インク受容上層の上に、コロイド微粒子を含有する塗工液を塗工後直ちに鏡面ロールに圧接して光沢層を形成する工程を有する請求項9から請求項11の何れか一項に記載のインクジェット記録シートの製造方法。
  13. 前記感温ゲル化物質の感温点が0〜30℃である請求項9から請求項12の何れか一項に記載のインクジェット記録シートの製造方法。
  14. 前記ゲル化等しない温度領域が前記ゲル化等する温度領域よりも高温領域である請求項9から請求項13の何れか一項に記載のインクジェット記録シートの製造方法。

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