JP4058916B2 - 映像システム設計支援装置、方法及びプログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高没入感映像システムの設計を支援するための映像システム設計支援装置、方法及びプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、映像表示システムの一種として、鑑賞者に高い没入感を与え得る高没入感映像システムが知られている。
【0003】
この高没入感映像システムは、半径3m〜10m程度で、水平視野角150°程度の球面や円柱面の一部からなる凹面形状のスクリーンや、複数の平面スクリーンを凹面形状に設けたスクリーン(以下、これらのスクリーンをカーブスクリーンという)に映像を投影する構成により、数十名の鑑賞者に映像を鑑賞させる際に、高い没入感を与えるものである。ここで、高没入感は、鑑賞者がスクリーンを見込む角度である映像視野角Γが標準的な視聴位置において従来45°程度であった単一の平面スクリーンに代えて、90°以上の広い映像視野角Γが得られるカーブスクリーンを用いることにより作成される。なお、「鑑賞」の語は、「視聴」と読み替えてもよい。
【0004】
この種の高没入感映像システムは、マルチプロジェクション方式及び広角投影方式がある。
【0005】
マルチプロジェクション方式は、VR(Virtual Reality: 仮想現実感)技術で一般的に用いられる方式であり、複数の投影装置の表示領域毎に映像を生成・出力し、各映像が連続になるように画像処理を行なう方法や、カーブスクリーン上で各映像を光学的に合成する構成により、カーブスクリーンのスクリーン中心角βと等しい画角の映像を表示するものである。
広角投影方式は、IMAX(登録商標)などの大型フィルム系方式として知られており、広角レンズによって一度にカーブスクリーンのスクリーン中心角βと等しい画角で映像を撮影し、フィルム上に記録された映像を投影するものである。
【0006】
いずれの方式にしても、高没入感映像システムは、高没入感を与えるように、歪みの無い正確な映像を表示することが求められる。係る観点から、高没入感映像システムは、図9に一例を示すように、複数列に配置された複数の客席1と、各客席1よりも前方に配置された凹面形状のカーブスクリーン2と、客席1の上方に配置された3台の投影装置3を示す平面図上において、「スクリーン中心G」と「映像中心I」とを一致させるように設計される。なお、スクリーン中心G、映像中心Iはプロジェクタの光学中心とは無関係であり、従って、この場合、投影装置3の台数及び配置は任意であり、極端な例(リア・プロジェクタ)では、カーブスクリーン2の裏側から客席1の方向に向けてカーブスクリーン2上に投影する配置も可能である。
【0007】
ここで、「スクリーン中心G」とは、スクリーンの弧に対する幾何学的な中心点(曲率中心Gともいう)である。スクリーン中心Gでは、例えば球面の一部をなすカーブスクリーン(スフェリカル・スクリーン)の場合、スクリーン中心Gからスクリーン表面までの距離がカーブスクリーンの全域において等しいため、カーブスクリーンに投影された映像が歪みのない正確な映像として鑑賞される。但し、鑑賞者がスクリーン中心Gから前後に離れるほど、図10に示すように、鑑賞されるカーブスクリーン2の周辺の映像の歪みが顕著になる。
【0008】
なお、カーブスクリーン2は、円柱面や球面の一部から構成されることもあるし、複数枚の平面スクリーンにより近似して凹面形状として構成されることもある。
【0009】
次に、「映像中心I」について説明する。VR技術の場合、カーブスクリーン2に投影する映像は、次の(a)〜(c)に示す手順に従い、映像生成装置により作成される。
(a)図11に示すように、カーブスクリーン(曲面)2を複数枚の平面から構成される仮想平面スクリーン(多角形平面)2xで近似する。ただし、後述するマルチフラットスクリーンの場合は、各々のフラットスクリーンがそのまま仮想平面スクリーンに対応するため、近似は不要である。なお、多角形平面とは、ここでは、水平方向又は垂直方向のいずれか、あるいはその両方に一定のスクリーン角度をもって連続的に配置したスクリーンを言う。
(b)現実世界での写真撮影と同様に、図12に示すように、映像生成装置において仮想空間内に仮想カメラ(視点)Ixを設定し、その位置、方向および画角の設定に基づいて、各仮想平面スクリーン2xに映像を投影する、いわゆる透視投影変換を実行する。なお、透視投影変換については、例えば文献「安生 健一他 著、コンピュータグラフィックス<技術系CG標準テキストブック>、財団法人 画像情報教育振興協会、p.103−p.115、1995年」に詳しい。
【0010】
(c)図13に示すように、近似された各仮想平面スクリーン2xに並べて表示される各映像を連続した映像にするように、フレームバッファなどの画像処理装置や投影装置(例えば、プロジェクタ)の映像補正機能により、各映像のつなぎ目部分を補正してカーブスクリーン2に投影する。なお、カーブスクリーン2を用いず、複数枚の平面スクリーンを用いる場合には、投影変換によって得られた図11に示す映像を補正せずにそのまま平面スクリーンに投影すればよい。
【0011】
実際のカーブスクリーン2と映像中心Iとの位置関係は、図14に示すように、複数枚の仮想平面スクリーン2xと仮想カメラIxとの位置関係に対応する。すなわち、実際のカーブスクリーン2は、仮想空間内の複数枚の仮想平面スクリーン2xに対応し、実際の映像中心Iは、仮想空間内の仮想カメラIxに対応する。なお、映像中心Iは、映像生成装置に設定する視点(仮想カメラIx)の座標値を変更(操作)することで、任意の位置に設定が可能である。
【0012】
このようにしてカーブスクリーン2に投影された映像は、映像生成装置に設定した映像画角αと等しい画角の映像になる。
【0013】
また、この時、映像中心Iからカーブスクリーン2に投影された映像を鑑賞した場合、映像画角αと等しい映像視野角Γが得られ、望遠効果や広角効果のない正確な映像として鑑賞される。
【0014】
一方、図15に示すように、鑑賞者が映像中心Iから複数枚からなる仮想平面スクリーン2xの中心線上で離れるほど、前述のスクリーン中心Gからのズレに基づく映像の歪み、及び鑑賞者の映像視野角Γと映像画角αとの不一致による望遠・広角効果が顕著になる。
【0015】
これは、現実世界での写真撮影において、広角レンズで撮影された写真を鑑賞した場合に知覚する歪みと同じ理由による。
【0016】
さて高没入感映像システムは、鑑賞者が十分に高い没入感を得ることができる最適視聴領域、いわゆるスイートスポットを有することが必要である。スイートスポットとしては、(i)スクリーン全体で湾曲した歪み等の無い映像を得ること、(ii)映像生成装置に設定した映像画角αと等しい視野角で鑑賞できること、といった2つの条件(i),(ii)が求められている。
【0017】
各条件(i),(ii)は、夫々スクリーン中心Gと映像中心Iの条件に等しいため、2つを同時に満たす視聴領域は、スクリーン中心G且つ映像中心Iとなる。
【0018】
従って、図16に示すように、スクリーン中心Gに映像中心Iを一致させることにより、理想的なスイートスポットを得ている。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら以上のような高没入感映像システムの設計手法では、複数の客席1を設ける場合、鑑賞者の映像視野角Γがカーブスクリーン2のスクリーン中心角βを大幅に上回ることを避ける観点から、客席1がスイートスポットの後方に拡張される。
【0020】
この場合、後方の客席1からの鑑賞は、図10及び図15に示したように、映像の正確さと、没入感とが共に劣化する。ここで、映像視野角Γは、鑑賞者が任意の位置からカーブスクリーン2(映像)を見込む角度とする。
映像の正確さの劣化は、鑑賞者がスクリーン中心Gから離れた場合に、鑑賞者とカーブスクリーン2上の各部との間の光学的距離が各部毎に異なる点と、鑑賞者が映像中心Iから離れた場合に、映像生成装置に設定した映像画角αに対して鑑賞者の映像視野角Γが不一致となる点と、の両者が複合された原因と考えられる。
【0021】
没入感の劣化は、鑑賞者がカーブスクリーン2から離れることにより、鑑賞者の映像視野角Γが小さくなることが原因と考えられる。
【0022】
すなわち、従来の設計手法では、後方の客席1からの鑑賞には不向きな高没入感映像システムを設計することになってしまう。
【0023】
本発明は上記実情を考慮してなされたもので、後方の客席からの鑑賞にも好適な高没入感映像システムを実現し得る映像システム設計支援装置、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
請求項1に対応する発明は、複数列に配置された複数の客席と、前記各客席よりも前方に配置された凹面形状のスクリーンとを有する高没入感映像システムの設計支援に関し、前記スクリーンの弧に対する幾何学的な中心であるスクリーン中心Gから前記スクリーンまでの距離を示すスクリーン半径R、前記スクリーンの両端間の直線距離を示すスクリーン幅S、前記スクリーン中心Gより前方に設けられた映像中心Iから前記スクリーンを見込む角度によって決まる映像画角α、前記スクリーン中心Gからスクリーンを見込む水平方向の角度を示すスクリーン中心角β、前記スクリーン中心Gと前記映像中心Iとの間の距離を示すオフセットW、といった5個のパラメータR,S,α,β,Wを個別に決定可能な映像システム設計支援装置であって、前記5個のパラメータR,S,α,β,Wのうち、α,βを除く任意の1個のパラメータ、又はα,βの組み合わせを除く任意の2個のパラメータ、又は3〜5個のパラメータが入力される入力手段と、前記入力手段から1〜4個のパラメータが入力されたとき、当該1〜4個のパラメータに基づいて、入力されなかった残りのパラメータを算出し、当該算出したパラメータを含む5個のパラメータR,S,α,β,Wを出力し、前記入力手段から5個のパラメータR,S,α,β,Wが入力されたとき、当該5個のパラメータを出力する演算手段と、前記演算手段から出力された5個のパラメータR,S,α,β,Wに関し、互いに矛盾があるか否かを判定し、矛盾が無いパラメータ及び/又は矛盾を修正したパラメータからなる全てのパラメータR,S,α,β,Wを出力する判定手段と、を備えており、前記演算手段としては、パラメータRに関しては、2個のパラメータS,βに基づいて下記R式により算出し、パラメータSに関しては、2個のパラメータR,βに基づいて下記S式により算出し、パラメータβに関しては、2個のパラメータR,Sに基づいて下記β式により算出し、パラメータαに関しては、4個のパラメータR,S,β,Wに基づいて下記α式により算出し、パラメータWに関しては、4個のパラメータR,S,α,βに基づいて下記W式により算出し、前記R式、前記S式、前記β式、前記α式及び前記W式からパラメータが得られない場合には、当該得られなかったパラメータを予め記憶された推奨値又は最適値を用いて決定し、前記判定手段としては、パラメータSが下記S式を満たすか否かを判定し、パラメータW,Rに関し、W=aRとして係数aが0.58以下であるか否かを判定し、パラメータαが90°以上160°以下の範囲内にあるか否かを判定し、パラメータβが90°以上144°以下の範囲内にあるか否かを判定し、パラメータα,βに関し、α>βの関係を満たすか否かを判定し、これらの判定結果が否の場合にパラメータを矛盾があると判定する映像システム設計支援装置である。
【数4】
【0025】
これにより、スクリーン中心Gの前方に映像中心Iを配置した高没入感映像システムを設計できるので、スイートスポットが拡大され、映像中心Iより後方の客席からの鑑賞にも好適な高没入感映像システムを実現させることができる。
【0026】
また、請求項1に対応する発明は、前記演算手段から出力された5個のパラメータR,S,α,β,Wに関し、互いに矛盾があるか否かを判定し、矛盾が無いパラメータ及び/又は矛盾を修正したパラメータからなる全てのパラメータR,S,α,β,Wを出力する判定手段を備えたことにより、演算手段から出力された全てのパラメータの妥当性を確認することができる。
【0028】
また、請求項1に対応する発明は、前記演算手段としては、パラメータRに関しては、2個のパラメータS,βに基づいて下記式により算出する映像システム設計支援装置である。
【0029】
【数17】
【0030】
このように、より少ないパラメータから算出可能な数式を用いるので、前述した作用を簡易且つ迅速に奏することができる。
【0031】
また、請求項1に対応する発明は、前記演算手段としては、パラメータSに関しては、2個のパラメータR,βに基づいて下記式により算出する映像システム設計支援装置である。
【0032】
【数18】
【0033】
このように、より少ないパラメータから算出可能な数式を用いるので、前述した作用を簡易且つ迅速に奏することができる。
【0034】
また、請求項1に対応する発明は、前記演算手段としては、パラメータβに関しては、2個のパラメータR,Sに基づいて下記式により算出する映像システム設計支援装置である。
【0035】
【数19】
【0036】
このように、より少ないパラメータから算出可能な数式を用いるので、前述した作用を簡易且つ迅速に奏することができる。
【0039】
また、請求項2に対応する発明は、前記演算手段としては、前記パラメータRに関しては、前記R式に代えて、4個のパラメータS,α,β,Wに基づいて下記R’式により算出し、前記パラメータSに関しては、前記S式に代えて、4個のパラメータR,α,β,Wに基づいて下記S’式により算出し、前記パラメータβに関しては、前記β式に代えて、4個のパラメータR,S,α,Wに基づいて下記β’式により算出し、前記判定手段としては、前記パラメータSに関し、前記S式に代えて、下記S’式を満たすか否かを判定する映像システム設計支援装置である。
【数8】
【0041】
このように、他の4個のパラメータから算出可能な数式を用いるので、前述した作用を簡易且つ迅速に奏することに加え、他のパラメータとの整合性を容易且つ確実に向上させることができる。
【0048】
さらに、請求項1に対応する発明は、前記演算手段としては、パラメータαに関しては、4個のパラメータR,S,β,Wに基づいて下記式により算出する映像システム設計支援装置である。
【0049】
【数9】
このように、他の4個のパラメータから算出可能な数式を用いるので、前述した作用を簡易且つ迅速に奏することに加え、他のパラメータとの整合性を容易且つ確実に向上させることができる。
【0050】
さらに、請求項1に対応する発明は、前記演算手段としては、パラメータWに関しては、4個のパラメータR,S,α,βに基づいて下記式により算出する映像システム設計支援装置である。
【0051】
【数24】
【0052】
このように、他の4個のパラメータから算出可能な数式を用いるので、前述した作用を簡易且つ迅速に奏することに加え、他のパラメータとの整合性を容易且つ確実に向上させることができる。
【0053】
また、請求項3に対応する発明は、請求項1又は請求項2に対応する映像システム設計支援装置において、前記判定手段としては、前記演算手段から出力された5個のパラメータR,S,α,β,Wに関し、角度以外のパラメータS,R,Wを角度に関するパラメータα,βよりも優先するように予め定められた優先順位に従って、互いに矛盾があるか否かを判定し、矛盾の無い旨が判定されたパラメータを固定して、前記矛盾が無いパラメータとし、矛盾がある旨が判定されたパラメータを前記演算手段の演算により修正して、前記矛盾を修正したパラメータとする映像システム設計支援装置である。
【0059】
また、請求項4〜6に対応する発明は、上記請求項1〜3に対応する発明における「装置」を「方法」として読替えると共に、「手段」を「ステップ」として読み替えたものである。
これにより、請求項1に対応する作用と同様の作用を奏する映像システム設計支援方法を提供することができる。
【0060】
さらに、請求項7に対応する発明は、複数列に配置された複数の客席と、前記各客席よりも前方に配置された凹面形状のスクリーンとを有する高没入感映像システムの設計支援に関し、前記スクリーンの弧に対する幾何学的な中心であるスクリーン中心Gから前記スクリーンまでの距離を示すスクリーン半径R、前記スクリーンの両端間の直線距離を示すスクリーン幅S、前記スクリーン中心Gより前方に設けられた映像中心Iから前記スクリーンを見込む角度によって決まる映像画角α、前記スクリーン中心Gからスクリーンを見込む水平方向の角度を示すスクリーン中心角β、前記スクリーン中心Gと前記映像中心Iとの間の距離を示すオフセットW、といった5個のパラメータR,S,α,β,Wを個別に決定可能な映像システム設計支援装置に用いられる映像システム設計支援プログラムであって、前記映像システム設計支援装置のコンピュータを、前記5個のパラメータR,S,α,β,Wのうち、α,βを除く任意の1個のパラメータ、又はα,βの組み合わせを除く任意の2個のパラメータ、又は3〜5個のパラメータが入力される入力手段、前記入力手段から1〜4個のパラメータが入力されたとき、当該1〜4個のパラメータに基づいて、入力されなかった残りのパラメータを算出し、当該算出したパラメータを含む5個のパラメータR,S,α,β,Wを出力し、前記入力手段から5個のパラメータR,S,α,β,Wが入力されたとき、当該5個のパラメータを出力する演算手段、前記演算手段から出力された5個のパラメータR,S,α,β,Wに関し、互いに矛盾があるか否かを判定し、矛盾が無いパラメータ及び/又は矛盾を修正したパラメータからなる全てのパラメータR,S,α,β,Wを出力する判定手段、として機能させ、前記演算手段としては、パラメータRに関しては、2個のパラメータS,βに基づいて下記R式により算出し、パラメータSに関しては、2個のパラメータR,βに基づいて下記S式により算出し、パラメータβに関しては、2個のパラメータR,Sに基づいて下記β式により算出し、パラメータαに関しては、4個のパラメータR,S,β,Wに基づいて下記α式により算出し、パラメータWに関しては、4個のパラメータR,S,α,βに基づいて下記W式により算出し、前記R式、前記S式、前記β式、前記α式及び前記W式からパラメータが得られない場合には、当該得られなかったパラメータを予め記憶された推奨値又は最適値を用いて決定し、前記判定手段としては、パラメータSが下記S式を満たすか否かを判定し、パラメータW,Rに関し、W=aRとして係数aが0.58以下であるか否かを判定し、パラメータαが90°以上160°以下の範囲内にあるか否かを判定し、パラメータβが90°以上144°以下の範囲内にあるか否かを判定し、パラメータα,βに関し、α>βの関係を満たすか否かを判定し、これらの判定結果が否の場合にパラメータを矛盾があると判定する映像システム設計支援プログラムである。
【数5】
【0061】
すなわち、請求項1に対応する発明をプログラム形式で表現したことにより、請求項1に対応する発明と同様の作用を奏する映像システム設計支援プログラムを提供することができる。
また、請求項7に対応する発明に関し、請求項2〜請求項3までの各発明をプログラム形式に直して適宜付加してもよい。
【0062】
すなわち、請求項2をプログラム形式で表現することにより、請求項2に対応する発明と同様の作用を奏する映像システム設計支援プログラムを提供してもよい。
また、請求項7に対応する発明に関し、請求項3に対応する発明を付加した発明は、上記請求項3に対応する発明における「装置」を「プログラム」として読替えたものである。このようにプログラム形式で表現することにより、請求項3に対応する作用と同様の作用を奏する映像システム設計支援プログラムを提供してもよい。
【0063】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明するが、その前に本発明の原理について述べる。
本発明の原理は、スクリーン中心Gと映像中心Iとを必ずしも一致させず、且つスクリーン中心Gを映像中心Iよりも後方に配置する構成により、スイートスポット(最適視聴領域)を拡大して、映像中心Iより後方の客席からの鑑賞にも好適とした高没入感映像システムを対象とし、その高没入感映像システムの設計を支援することにある。
【0064】
ここで、映像中心Iは、図7に示すように、例えば客席最前列に配置されてもよく、また、スクリーン中心Gは、客席最後列に配置されてもよい。さらに、映像生成装置に設定される複数枚の仮想平面スクリーン2x全体のスクリーン中心角を「各々の仮想平面スクリーン2xの垂線が交わる点を中心とし、その点から複数枚の仮想平面スクリーン2x全体を見込む水平角」と定義したとき、この複数枚の仮想平面スクリーン2x全体のスクリーン中心角は、分離された映像中心Iから実際のカーブスクリーン2rを見込む角度に設定される。
【0065】
従って、カーブスクリーン2には、映像生成装置に設定される複数枚の仮想平面スクリーン2x全体の画角と等しい画角の映像が投影される。
【0066】
なお、本発明に用いられるカーブスクリーン2rは、カーブスクリーン2のスクリーン中心Gより後方にスクリーン中心Gを配置した関係から、スクリーン中心Gとカーブスクリーン2rとの間の距離を示すスクリーン半径R(単位:メートル)が従来よりも大きい値となるために曲率(1/R)が減少されている。このため、従来よりもフォーカスが改善されることから、高没入感映像システムの画質を向上し得るものとなる。さらに、本発明に用いられるカーブスクリーン2rは、従来のカーブスクリーン2の曲率よりも小さい曲率のため、従来よりも設置スペースを節約できる。
【0067】
なお、本発明に用いられるカーブスクリーンとしては、曲面と平面との組合せをも考慮すると非常に多くの種類が可能であるが、ここでは次の[1]〜[4]の4種類についてのみ述べる。
[1]シリンドリカル・カーブスクリーン(円柱面型スクリーン)
[2]スフェリカル・カーブスクリーン(球面型スクリーン)
[3]マルチ・フラットスクリーン(多面型平面スクリーン)
[4]エリプティカル・カーブスクリーン(楕円柱面型スクリーン)
以下、これらのスクリーンについて詳細に述べる。
[1]シリンドリカル・カーブスクリーン(円柱面型スクリーン)
スフェリカル・カーブスクリーンとは、次の(1a)〜(1c)に示すR,β,Sによって定義されるカーブスクリーンである。
(1a)スクリーン半径Rは、スクリーン中心Gからスクリーンまでの水平距離を示し、且つ一定の値である(R=const.)。
【0068】
(1b)スクリーン中心角βは、スクリーン中心Gからスクリーンを水平に見込む水平方向の角度を示し、且つ高さに無関係に一定の値である。
【0069】
(1c)スクリーン幅Sは、スクリーンの両端間の直線距離を示し、且つ高さに無関係に一定の値である。
【0070】
[2]スフェリカル・カーブスクリーン(球面型スクリーン)
スフェリカル・カーブスクリーンとは、次の(2a)〜(2c)に示すR,β,Sによって定義されるカーブスクリーンである。
(2a)スクリーン半径Rは、スクリーン中心Gからスクリーンまでの距離を示し、且つ一定の値である。
【0071】
(2b)スクリーン中心角βは、スクリーン中心Gからスクリーンを見込む水平方向の角度を示し、且つ見上げる/見下げる角度に無関係に一定の値である。
【0072】
(2c)スクリーン幅Sは、スクリーン中央部の両端間の直線距離を示す。
【0073】
[3]マルチ・フラットスクリーン(多面型平面スクリーン)
マルチ・フラットスクリーンとは、複数枚のフラット(平面)スクリーンを水平方向又は垂直方向のいずれか、又はその両方向に一定のスクリーン角度をもって連続的に配置した構成を有し、次の(3a)〜(3c)に示すR,β,Sによって定義されるフラットスクリーン群である。
(3a)スクリーン半径Rは、スクリーン中心Gから各フラットスクリーンの中央までの距離を示し、且つ全てが互いに同一の値である。
【0074】
(3b)スクリーン中心角βは、スクリーン中心Gからフラットスクリーン群全体を水平に見込む水平方向の角度を示し、且つ高さに無関係に一定の値である。
【0075】
(3c)スクリーン幅Sは、半径R、中心角βの円弧(マルチ・フラットスクリーンの近似円弧)の両端点間の直線距離を示す。
【0076】
なお、このようなマルチ・フラットスクリーンは、図8に示すように、各平面スクリーンの法線間に角度をもたせて配置したスクリーンであり、例えば、映像視野角40°の3枚の平面スクリーン2p1〜2p3を組合せると、120°の映像視野角をもつスクリーンとなる。また、投影変換により得られた図11に示す映像は、補正せずにそのまま各平面スクリーンに投影される。
【0077】
また、マルチ・フラットスクリーンでは、R,S,βが近似円弧により算出される。このため、平面スクリーンの水平方向の構成面数mは、R,S,βとは無関係であり、他のパラメータから算出すべきでなく、設計者により予め入力される必要がある。また、この構成面数mが入力されると、マルチ・フラットスクリーンでは、近似円弧で算出したスクリーン幅Sに基づき、実際のスクリーン幅S’が次式のように算出可能となる。
【0078】
【数25】
【0079】
[4]エリプティカル・カーブスクリーン(楕円柱面型スクリーン)
エリプティカル・カーブスクリーンとは、2つの楕円焦点によって定まる楕円の弧を導線とする柱面の一部によって構成され、次の(4a)〜(4d)に示すc,R,β,Sによって定義されるカーブスクリーンである。
(4a)パラメータcは、スクリーン中心Gと2つの楕円焦点が同一直線上にあるとき、スクリーン中心Gから2つの楕円焦点までの各々の距離が等しい場合に、スクリーン中心Gと楕円焦点までの距離を示す値である。
【0080】
(4b)曲率半径Rは、スクリーン中心Gからスクリーン中央までの距離を示す値であり、例えば次式のように表される。
R={a2cos2β+b2sin2β}1/2
但し、a,bは各々楕円の長軸2a、短軸2bより求まる値である。
【0081】
(4c)スクリーン中心角βは、スクリーン中心Gからスクリーンを水平に見込む水平方向の角度を示し、且つ高さに無関係に一定の値である。
【0082】
(4d)スクリーン幅Sは、半径R、中心角βの円弧(エリプティカル・カーブスクリーンの近似円弧)の両端点間の距離を示す。
【0083】
なお、エリプティカル・カーブスクリーンは、パラメータcが大きくなるに従い、近似円弧との誤差が大きくなる。このため、エリプティカル・カーブスクリーンでは、実際のスクリーン幅S’が次式のように、R,β,cの関係式で示される。
【0084】
【数26】
【0085】
なお、以下の実施の形態については、重複した説明を省略する観点から、「装置」として表現された場合について述べているが、これに限らず、「方法」、「システム」又は「記録媒体」もしくは「プログラム」といった他のカテゴリーや名称に表現を代えてもよいことは言うまでもない。
【0086】
さて以上のような本発明の原理に基づいて、以下、本発明の一実施形態を説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る映像システム設計支援装置の構成を示す模式図である。この映像システム設計支援装置は、広いスイートスポット(最適視聴領域)を備えた高没入感映像システムの設計を支援するものであり、入力部10、演算部20、参照テーブル21及び判定部30を備えている。また、各部10,20,21,30は、それぞれハードウェア、ソフトウェア又はそれらの組合せにより構成可能となっている。なお、ソフトウェアにより構成される場合、各部10,20,21,30の機能を実現するためのプログラムが映像システム設計支援装置のコンピュータに予めインストールされている。
【0087】
ここで、入力部10は、高没入感映像システムを具現化するために必要な5個のパラメータ(R,S,W,α,β)のうち、操作者により入力されたパラメータを演算部20に入力する機能をもっている。
【0088】
ここで、Rは、図2に示すように、カーブスクリーン2rの幾何学的な半径(以下、スクリーン半径Rという)を意味している。
Sは、カーブスクリーン2rの両端e1,e2間の直線距離(以下、スクリーン幅Sという)を意味している。
【0089】
Wは、図3に示すように、映像中心Iとスクリーン中心Gとの間の距離(以下、オフセットWという)を意味している。すなわち、映像中心Iは最前列でなくてもよい。同様に、スクリーン中心Gも最後列でなくてもよい。但し、映像中心Iは、スクリーン中心Gよりも前方であることが必要である。また、映像中心Iと投影装置の光学的中心やその配置とは無関係であり、リア・プロジェクタで例示した通り、投影装置の台数及び配置は任意である。
【0090】
αは、スクリーンに投影される映像の水平方向の画角であり、映像中心Iからカーブスクリーン2rを見込む水平方向の角度にセットしてある。詳しくは、αは、コンテンツで決めた投影変換のパラメータで一意に決定されており、鑑賞者の位置には無関係である。すなわち、どこから鑑賞してもカーブスクリーン2rに投影された映像の映像画角αは一定である。
【0091】
βは、スクリーン中心Gにおける水平方向のスクリーン中心角βを意味しており、β<αの関係にある。なお、鑑賞者の映像視野角Γとの関係は、スクリーン中心Gが最後列で映像中心Iが最前列にあり、且つ鑑賞者が直線GI上で最後列から最前列のいずれかの客席に座る場合、β≦Γ≦α (β<α)となる。従来は、β=αの関係にあり、常にΓ≦α,βである。
【0092】
演算部20は、入力部10から5個未満のパラメータ(R,S,W,α,βのいずれか5個未満)が入力されたとき、当該5個未満のパラメータに基づいて、残りのパラメータを決定し、当該決定したパラメータを含む5個のパラメータ(R,S,W,α,β)を判定部30に出力する機能と、入力部10から5個のパラメータ(R,S,W,α,β)が入力されたとき、当該5個のパラメータを判定部30に出力する機能とをもっている。
【0093】
また、演算部20は、入力部10から客席数nが入力されたとき、予め客席数nの範囲毎に最適なオフセットWが設定された参照テーブル21を用いてオフセットWを決定し、このオフセットWに基づいて残りのパラメータを決定し、当該決定したパラメータを含む5個のパラメータ(R,S,W,α,β)を判定部30に出力する機能をもっている。なお、演算部20は、参照テーブル21に代えて、適宜な関数f(n)の演算によりオフセットWを算出してもよい。
ここで、各パラメータ(R,S,W,α,β)は、例えば他のパラメータxの関数f(x)の形式を用い、以下の表1に示すように表現される。なお、この表1に示されている推奨値や最適値は、予め演算部20で用いられるように適宜に記憶されている。
【0094】
【表1】
【0095】
このように、3個のパラメータR,S,βは、R,βについて推奨値を用いない場合、当該3個のパラメータR,S,βのうちの自己を除く2個又は4個のパラメータから決定可能である。一方、2個のパラメータα,Wは、α,β,Wについて最適値や推奨値を用いない場合でも、残りの4個のパラメータから決定可能である。また、パラメータWに関しては、前述したが、参照テーブル21を用いて客席数nからも決定可能である。
【0096】
また、関数f(x)の具体的な内容は、各パラメータR,S,β,α,W毎に、次の(1)式〜(8)式によって示される。
【0097】
【数27】
【0098】
すなわち、演算部20は、可能な限り推奨値を用いずに、それぞれ(1又は4)式、(2又は5)式及び(3又は6)式に基づいて3個のパラメータR,S,βを決定し、この決定結果と(7)式及び(8)式に基づいて残りのパラメータW,αを決定する構成となっている。逆に言えば、演算部20は、(1)式〜(8)式からパラメータが得られない場合には、推奨値や最適値を用いる構成となっている。
【0099】
次に、推奨値について述べる。
映像画角αの推奨値:90°≦α≦160°の範囲内の値は、一般に没入感が得られるとされる映像視野角110°に約20%のマージンを設けた90°を下限とし、人間の一度に知覚可能な視野角160°を上限としたことによる。
【0100】
スクリーン中心角βの推奨値:90°≦βの範囲内の値は、αと同様、一般に没入感が得られるとされる映像視野角110°に約20%のマージンを設けた90°を下限としたことによる。また、β≦144°の範囲内の値は、映像画角αの上限の90%を上限と仮定し、スクリーン中心角βの上限を144°としたことによる。
【0101】
なお、推奨値は、個別に設定する場合に限らず、例えば(α,β)=(120°,95°)のように、複数のパラメータの組として設定してもよい。
オフセットWとスクリーン半径Rとの関係は、次式のように、αとβをパラメータとした関係式で表される。
【0102】
【数28】
【0103】
ここで、スクリーン中心角βを最小の90°とすると、係数aは次の値を取る。
・映像画角αが最大の160°のとき:a=0.58
・映像画角αが推奨の120°のとき:a=0.30
すなわち、スクリーン中心角β及び映像画角αを推奨値内に収め、スクリーン中心Gと映像中心Iとの間に生じる映像品質差を抑制するために、関係式W=aRの係数aをa≦0.58とし、好ましくはa=0.3とした。
【0104】
なお、各式は適宜、数学的に等価な式あるいは近似した式に変形して用いてもよい。
一方、判定部30は、演算部20から出力された5個のパラメータに関し、優先順位に従って、互いに矛盾があるか否かを判定する機能と、矛盾したパラメータを修正する機能と、矛盾がないパラメータ及び/又は矛盾を修正したパラメータからなる5個のパラメータを出力する機能をもっている。
【0105】
ここで、優先順位は任意であるが、例えば、角度以外のパラメータS,R,Wの優先順位を高く設定し、角度に関するパラメータα,βの優先順位を低く設定することが修正を容易化する観点から好ましい。具体的には、例えば(かっこ)内を同一優先順位とした場合、(S,R,W),(α,β)の順、あるいはS,R,W,α,βの順で優先順位を付けるようにしてもよい。なお、優先順位は、省略可能であるが、設定した方が修正を容易化する観点から好ましい。
【0106】
また、矛盾があるか否かを判定する機能は、次の(I)〜(VI)の形態がある。
(I)オフセットWとスクリーン半径Rが入力部10により入力され、あるいは何れかが演算部20により算出されたとき、W=aRとして係数aが推奨範囲内にあるか否かを判定する。
【0107】
(II)映像画角αが入力部10により入力あるいは演算部20により算出されたとき、映像画角αが推奨範囲内にあるか否かを判定する。
【0108】
(III)スクリーン中心角βが入力部10により入力され又は演算部20により算出されたとき、スクリーン中心角βが推奨範囲内にあるか否かを判定する。
【0109】
(IV)映像画角αとスクリーン中心βとが入力部10により入力され又は何れかが演算部20により算出されたとき、α>βの関係を満たすか否かを判定する。
【0110】
(V)参照テーブル21には、客席数nに対する最低スクリーン幅Sminが内蔵されている場合、該当する客席数nに対して入力部10により入力され又は演算部20により算出されたスクリーン幅Sが最低スクリーン幅Smin以上あるか否かを判定する。
【0111】
(VI)入力部10は、スクリーンの構成と設置場所の有効高さhmaxを入力でき、スクリーン構成(例、3×1構成(横3画面、縦1画面:nx=3,ny=1))、アスペクト比5:4(ar=4/5)、有効表示領域v=90%)とスクリーン半径R及びスクリーン中心角β(但し、単位:ラジアン)に基づいて、スクリーン高さhを次式で計算し、このhが入力された有効高さhmaxに収まるか否かを判定する。
【0112】
【数29】
【0113】
なお、ここでいうスクリーン構成は、一つの大画面を何台のプロジェクタで投影するか、を表すものである。
アスペクト比arは、一画面毎の幅に占める高さの比率である。例えば、幅1280ピクセル×高さ1024ピクセルによって構成される画面では、幅:高さの比が5:4であるから、アスペクト比ar=0.8となる。
【0114】
有効表示領域vは、隣接するプロジェクタから投影される映像の接続部の連絡化処理のために、映像同士を光学的に重ね合わせる領域(オーバーラップ領域)を除いた実際の表示面積が、全てのプロジェクタからの映像の総面積に占める割合を言う。例えば、幅1280ピクセル×高さ1024ピクセルによって構成される画面が横3面並んでいて、互いに128ドット分重なる場合、有効表示領域v=(1280−128)/1280=0.9、よって90%となる。
【0115】
また、判定部30が5個のパラメータを出力する形態は、任意であるが、例えば各パラメータを列挙する形式としてもよく、各パラメータを模式図中に記載する形式としてもよく、あるいは両者を合せた形式としてもよい。
【0116】
なお、判定部30は、演算部20により決定された各パラメータの妥当性を確認する観点から設けられており、必須の構成要素ではないので省略してもよい。
【0117】
次に、以上のように構成された映像システム設計支援装置の動作について図4のフローチャートを用いて説明する。
入力部10は、高没入感映像システムを具現化するために必要な5個のパラメータ(R,S,W,α,β)のうち、操作者により入力されたパラメータを演算部20に入力する(ST1)。
【0118】
演算部20は、図4に示すように、入力されたパラメータの個数を計数し(ST2)、パラメータの個数が5個未満(R,S,W,α,βのいずれか5個未満)のとき、当該5個未満のパラメータに基づいて、残りのパラメータを決定する。
【0119】
この決定過程においては、可能な限り推奨値を用いない観点から、入力済又は決定済のパラメータと(1)式〜(8)式に基づいて、演算により決定可能なパラメータがあるか否かを判定し(ST3)、演算により決定可能なパラメータを(1)式〜(8)式により優先的に算出する(ST4a)。
【0120】
しかる後、演算部20は、未決定のパラメータの有無を判定し(ST5)、未決定のパラメータがあれば、ステップST3に戻る。また、ステップST3の結果、(1)式〜(8)式から決定可能なパラメータが無い場合には、残ったパラメータを推奨値や最適値を用いて決定し(ST4b)、ステップST5に進む。
【0121】
なお、推奨値は、映像画角αのように所定の最適値120°をそのまま決定する場合や、オフセットWのように予め客席数nの範囲毎にオフセットWが設定された参照テーブル21を用い、入力部10から入力された客席数nに基づいて決定する場合などがある。
【0122】
また、ステップST5の結果、未決定のパラメータがないとき、演算部20は、決定したパラメータを含む5個のパラメータ(R,S,W,α,β)を判定部30に出力する(ST6)。また、ステップST1の結果、5個のパラメータ(R,S,W,α,β)が入力されたときにも同様に、当該5個のパラメータを判定部30に出力する。
【0123】
判定部30は、演算部20から出力された5個のパラメータに関し、予め定められた優先順位に従って、互いに矛盾があるか否かを判定し、矛盾の無い場合には優先順位の高い方からパラメータを固定していく。
【0124】
具体的には、判定部30は、未固定で高い優先順位のパラメータ(例、S)を抽出し(ST7)、当該パラメータを求める式(例、(2)式)や前述した形態(I)〜(VI)により矛盾の有無を判定する(ST8)。ステップST8の結果、矛盾の無い旨が判定されたパラメータを固定して固定済とする一方(ST9a)、矛盾が有る旨が判定されたパラメータを修正する(ST9b)。なお、未固定のパラメータとは、ステップST9aの固定処理を経ていないパラメータを意味している。
【0125】
しかる後、判定部30は、未固定のパラメータの有無を判定し(ST10)、未固定のパラメータがある場合には、ステップST7に戻り、未固定のパラメータがない場合には、矛盾無しとして固定された5個のパラメータを出力して(ST11)、処理を終了する。
【0126】
なお、ステップST9bの修正処理は、設計者が行なうことも可能であり、また、再度、ステップST3の判断ステップにて再演算したり、推奨値を求めるようにST3に差し戻す処理も可能である。
【0127】
続いて、以上のような動作を幾つかの例を挙げて具体的に説明する。
【0128】
(例1)
映像システム設計支援装置では、利用者の操作により、本発明にかかわる映像システムを設計する場所の幅及び奥行きに基づき、スクリーン半径R及びスクリーン幅Sが入力部10を介して演算部20に入力されたとする。
【0129】
演算部20は、入力されたパラメータR,Sから(3)式に基づいてスクリーン中心角βを算出し、また、映像画角αに関しては予め記憶されているパラメータαの最適値である120°を選択する。
【0130】
さらに、演算部20は、パラメータR,S,α,βを用い、(8)式に基づいてオフセットWを算出する。
【0131】
しかる後、演算部20は、これら5個のパラメータ(R,S,α,β,W)を判定部30に出力する。
【0132】
判定部30は、優先順位に従い、角度以外のパラメータS,R,Wに基づいて、角度に関するパラメータα、βに矛盾があるか否かを判定し、矛盾が無い場合には5個のパラメータ(R,S,α,β,W)を出力して処理を終了する。
【0133】
一方、矛盾がある場合、判定部30は、例えば、予め記憶されているパラメータα,βが推奨値に収まるように修正された複数の組合せを表示出力し、利用者の選択を促す。利用者は、α,βの複数の組合せから一つの組合せを選択し、映像システム設計支援装置を操作する。
【0134】
判定部30は、利用者の操作により、選択されたα,βの組合せを含む5個のパラメータ(R,S,α,β,W)を出力して処理を終了する。
【0135】
(例2)
映像システム設計支援装置では、利用者の操作により、本発明にかかわる映像システムを設計するためのスクリーン幅S及び映像画角αが入力部10を介して演算部20に入力されたとする。
【0136】
演算部20は、スクリーン中心角βを予め記憶されている推奨値内に収めるようにし、このパラメータβと入力されたパラメータS及び(1)式に基づいて、スクリーン半径Rを算出する。
【0137】
続いて、演算部20は、これら4個のパラメータR,S,α,βを用い、(5)式に基づいてオフセットWを算出する。なお、演算部20は、事前の設定(Rは推奨値優先)により、このオフセットWに基づいて、スクリーン半径RをR=W/a(但し、a≦0.58)として再度、算出してもよい。
【0138】
以下、前述同様に、演算部20は、入力又は算出されたこれら5個のパラメータ(R,S,α,β,W)を判定部30に出力する。判定部30は、判定及び修正により、これら5個のパラメータを互いに矛盾の無い状態で出力する。
【0139】
(例3)
映像システム設計支援装置では、利用者の操作により、本発明に係る映像システムを設計するための客席数nが入力部10を介して演算部20に入力されたとする。
【0140】
演算部20は、客席数nに基づいて参照テーブル21よりオフセットWを決定する。また、演算部20は、予め記憶されている推奨値に基づき、オフセットWからスクリーン半径R(=W/a、但しa≦0.58、好ましくはa=0.3)を決定する。
【0141】
さらに、演算部20は、(2)式,(3)式及び(7)式に基づいて、スクリーン幅S、スクリーン中心角β及び映像画角αを決定する。
【0142】
以下、前述同様に、演算部20は、5個のパラメータ(R,S,α,β,W)を判定部30に出力し、判定部30は、判定及び適宜修正を行なって、これら5個のパラメータを出力する。
【0143】
上述したように本実施形態によれば、スクリーン中心Gの前方に映像中心Iを配置した高没入感映像システムを設計できるので、スイートスポットが拡大され、後方の客席からの鑑賞にも好適な高没入感映像システムを実現させることができる。
【0144】
また、判定部30の判定により、演算部20から出力された全てのパラメータの妥当性を確認することができる。
【0145】
さらに、より少ないパラメータから算出可能な(1)式〜(3)式を用いる場合、上述した効果を簡易且つ迅速に奏することができる。
【0146】
さらに、他の4個のパラメータから算出可能な(4)〜(8)式を用いる場合、上述した効果を簡易且つ迅速に奏することに加え、他のパラメータとの整合性を向上させることができる。
【0147】
さらに、パラメータα,βの推奨範囲を規定したので、α,βの算出に必要なパラメータが揃わない時にも、上述した効果を簡易且つ迅速に奏することができる。
【0148】
また、オフセットWを客席数nから算出することもできるので、Wの算出に必要なパラメータが揃わない時にも、上述した効果を簡易且つ迅速に奏することができる。
【0149】
さらに、スクリーン半径Rに関し、他のパラメータからの推奨値をも定めているので、Rの算出に必要なパラメータが揃わない時にも、上述した効果を簡易且つ迅速に奏することができる。
【0150】
具体的には、本実施形態により、以下に詳述する利点1〜3を有する高没入感映像システムの設計を支援することができる。
【0151】
(利点1:スイートスポットの拡大)
カーブスクリーン2,2rでは、図10に示したように、鑑賞者がスクリーン中心Gからスクリーン2,2rの中心線上で前後に移動する場合、前方への移動の方が後方への移動に比べて映像歪みが少なく、映像視野角Γが増加する傾向にある。
【0152】
そこで、本実施形態では、図5の下段左に示すように、スクリーン中心Gを後方の客席に定めたので、スクリーン中心Gより前方の鑑賞者は、わずかな映像歪みを視認するものの、映像視野角Γの増加により高い没入感を得ることができる。
【0153】
一方、鑑賞者が映像中心Iからスクリーンの中心線上で前後に移動する場合、図15に示したように、映像画角αと鑑賞者の映像視野角Γが一致しないことによる望遠効果や広角効果が生じる。
【0154】
実際に鑑賞者が知覚する映像歪みは、スクリーン中心Gからのズレ及び映像中心Iからのズレを複合した結果である。従来では、図5の上段右に示すように、スクリーン中心G且つ映像中心Iであるスイートスポットから移動すると、両中心G,Iから同時に離れることによる映像歪みと望遠・広角効果によって画質が大きく劣化する。
【0155】
一方、本実施形態では、図5の下段右に示すように、スクリーン中心Gと映像中心Iを分離し、映像歪みが少なく映像視野角Γの大きい領域(スクリーン中心Gよりも前方領域)且つ、映像視野角Γが映像画角αを越えない領域(映像中心Iよりも後方領域)に客席を配置するようにしたので、夫々の中心G,Iから同時に離れることによる映像の劣化が分散され、高没入感映像システムが、従来よりも拡大されたスイートスポット(最適視聴領域)を有するものとなる。
【0156】
補足すると、従来のスイートスポットは、両中心G,Iと一致する1つの客席(α=β=Γとなる映像視野角Γの席)であるのに対し、本発明のスイートスポットは、両中心G,Iの間の複数の客席(β≦Γ≦α (β<α)となる映像視野角Γの席)に拡大されたものとなる。
【0157】
なお、このスイートスポットの拡大効果に至るまでの説明は、次のように要約してもよい。
・映像中心Iからのズレによる影響により、望遠・広角効果が発生する。
・映像中心Iよりも後方の領域で視聴した場合、広角効果が発生するものの、スクリーン中心Gよりも後方で視聴した場合のような著しい映像の歪みは発生しない。
・スクリーン中心Gよりも前方の領域では、スクリーン中心Gよりも後方の領域に比して映像歪みが小さく、また、広い映像視野角Γを確保できる。
・これらにより、スクリーン中心Gと映像中心Iに挟まれた領域は、それぞれの中心G,Iから離れることによって生じる映像の劣化が少ない方の領域に属し、スクリーン中心Gと映像中心Iから同時に離れることによる映像の劣化が分散される。
・従って、本発明に係る高没入感映像システムは、従来よりも拡大されたスイートスポットを有するものになる。
【0158】
(利点2:画質の向上)
図6(a)に示すように、従来のカーブスクリーン2は、映像中心Iとスクリーン中心Gとが同一であるため、短いスクリーン半径Rに起因して曲率(1/R)が大きいので、スクリーン中央部とスクリーン周辺部の光学的距離差が生じ、スクリーン全域を投影装置の被写界深度内に収めることが困難である。
【0159】
一方、図6(b)に示すように、本実施形態のカーブスクリーン2rは、客席後方にスクリーン中心Gを配置することからスクリーン半径Rが大きくなるので、従来と比べて曲率が減少され、スクリーン全域が投影装置の被写界深度内に収まる。
【0160】
このため、本実施形態のカーブスクリーン2rは、被写界深度の問題が解決され、従来と比べてフォーカスが改善されるため、高没入感映像システムを従来よりも高い画質で表示可能なものにできる。
【0161】
(利点3:設置スペースの有効化)
従来のカーブスクリーン2は、曲率が大きいので、スクリーン後部に広いデッドスペースが生じ、設置スペースを有効利用する観点から効率が悪い。
【0162】
一方、本実施形態のカーブスクリーン2rは、従来と比べて曲率が減少されるため、従来よりも設置スペースを有効に利用することが可能なものとなる。
【0163】
なお、上記各実施形態に記載した手法は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、光磁気ディスク(MO)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納して頒布することもできる。
【0164】
なお、本願発明は、上記各実施形態に限定されるものでなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合、組み合わされた効果が得られる。さらに、上記各実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成用件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が省略されることで発明が抽出された場合には、その抽出された発明を実施する場合には省略部分が周知慣用技術で適宜補われるものである。
【0165】
その他、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0166】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1,4,7の発明によれば、スクリーン中心Gの前方に映像中心Iを配置した高没入感映像システムを設計できるので、スイートスポットが拡大され、後方の客席からの鑑賞にも好適な高没入感映像システムを実現できる映像システム設計支援装置、方法及びプログラムを提供できる。
【0167】
また、請求項1,3,4,6,7,9の発明は、前述した効果に加え、演算手段から出力された全てのパラメータの妥当性を確認できる。また、請求項3,6,9の発明は、優先順位に従って判定するので、修正を容易化することができる。
【0169】
また、請求項1,4,7の発明は、パラメータR,S,βに関しては、より少ないパラメータから算出可能な数式を用いるので、前述した効果を簡易且つ迅速に奏することができる。
【0171】
また、請求項2,5,8の発明は、パラメータR,S,β,α,Wに関しては、他の4個のパラメータから算出可能な数式を用いるので、前述した効果を簡易且つ迅速に奏することに加え、他のパラメータとの整合性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る映像システム設計支援装置の構成を示す模式図
【図2】同実施形態における各パラメータの関係を示す模式図
【図3】同実施形態におけるオフセットWを説明するための模式図
【図4】同実施形態における動作を説明するためのフローチャート
【図5】同実施形態におけるスイートスポットの拡大効果を従来と比較して示す模式図
【図6】同実施形態における曲率の減少に伴うフォーカスの改善を説明するための模式図
【図7】本発明に係る映像中心Iとスクリーン中心Gとの関係を示す模式図
【図8】本発明により設計可能なマルチ・フラットスクリーンを説明するための模式図
【図9】従来の映像中心Iとスクリーン中心Gとの関係を示す模式図
【図10】一般的なスクリーン中心Gからの移動に関し、映像視野角と映像歪みの変化を説明するための模式図
【図11】一般的な仮想平面スクリーン群によるカーブスクリーンの近似を説明するための模式図
【図12】一般的な透視投影変換を説明するための模式図
【図13】一般的な各仮想平面スクリーンに表示される映像の一例を示す模式図
【図14】一般的な透視投影変換の際の位置関係を説明するための模式図
【図15】一般的な映像中心Iからの移動に関し、映像視野角と映像歪みの変化を説明するための模式図
【図16】従来の映像中心Iとスクリーン中心Gとの関係を示す模式図
【符号の説明】
1…客席
2,2r…カーブスクリーン
2x…仮想平面スクリーン
3…投影装置
10…入力部
20…演算部
21…参照テーブル
30…判定部
R…スクリーン半径
S…スクリーン幅
W…オフセット
α…映像画角
β…スクリーン中心角
I…映像中心
Ix…仮想カメラ
G…スクリーン中心
e1,e2…カーブスクリーンの端部
Claims (9)
- 複数列に配置された複数の客席と、前記各客席よりも前方に配置された凹面形状のスクリーンとを有する高没入感映像システムの設計支援に関し、
前記スクリーンの弧に対する幾何学的な中心であるスクリーン中心Gから前記スクリーンまでの距離を示すスクリーン半径R、
前記スクリーンの両端間の直線距離を示すスクリーン幅S、
前記スクリーン中心Gより前方に設けられた映像中心Iから前記スクリーンを見込む角度によって決まる映像画角α、
前記スクリーン中心Gからスクリーンを見込む水平方向の角度を示すスクリーン中心角β、
前記スクリーン中心Gと前記映像中心Iとの間の距離を示すオフセットW、
といった5個のパラメータR,S,α,β,Wを個別に決定可能な映像システム設計支援装置であって、
前記5個のパラメータR,S,α,β,Wのうち、α,βを除く任意の1個のパラメータ、又はα,βの組み合わせを除く任意の2個のパラメータ、又は3〜5個のパラメータが入力される入力手段と、
前記入力手段から1〜4個のパラメータが入力されたとき、当該1〜4個のパラメータに基づいて、入力されなかった残りのパラメータを算出し、当該算出したパラメータを含む5個のパラメータR,S,α,β,Wを出力し、前記入力手段から5個のパラメータR,S,α,β,Wが入力されたとき、当該5個のパラメータを出力する演算手段と、
前記演算手段から出力された5個のパラメータR,S,α,β,Wに関し、互いに矛盾があるか否かを判定し、矛盾が無いパラメータ及び/又は矛盾を修正したパラメータからなる全てのパラメータR,S,α,β,Wを出力する判定手段と、
を備えており、
前記演算手段は、
パラメータRに関しては、2個のパラメータS,βに基づいて下記R式により算出し、
パラメータSに関しては、2個のパラメータR,βに基づいて下記S式により算出し、
パラメータβに関しては、2個のパラメータR,Sに基づいて下記β式により算出し、
パラメータαに関しては、4個のパラメータR,S,β,Wに基づいて下記α式により算出し、
パラメータWに関しては、4個のパラメータR,S,α,βに基づいて下記W式により算出し、
前記R式、前記S式、前記β式、前記α式及び前記W式からパラメータが得られない場合には、当該得られなかったパラメータを予め記憶された推奨値又は最適値を用いて決定し、
前記判定手段は、
前記矛盾があるか否かを判定するとき、
パラメータSが下記S式を満たすか否かを判定し、
パラメータW,Rに関し、W=aRとして係数aが0.58以下であるか否かを判定し、
パラメータαが90°以上160°以下の範囲内にあるか否かを判定し、
パラメータβが90°以上144°以下の範囲内にあるか否かを判定し、
パラメータα,βに関し、α>βの関係を満たすか否かを判定し、
これらの判定結果が否の場合にパラメータを矛盾があると判定することを特徴とする映像システム設計支援装置。
- 請求項1又は請求項2に記載の映像システム設計支援装置において、
前記判定手段は、
前記演算手段から出力された5個のパラメータR,S,α,β,Wに関し、角度以外のパラメータS,R,Wを角度に関するパラメータα,βよりも優先するように予め定められた優先順位に従って、互いに矛盾があるか否かを判定し、
矛盾の無い旨が判定されたパラメータを固定して、前記矛盾が無いパラメータとし、
矛盾がある旨が判定されたパラメータを前記演算手段の演算により修正して、前記矛盾を修正したパラメータとすることを特徴とする映像システム設計支援装置。 - 複数列に配置された複数の客席と、前記各客席よりも前方に配置された凹面形状のスクリーンとを有する高没入感映像システムの設計支援に関し、
前記スクリーンの弧に対する幾何学的な中心であるスクリーン中心Gから前記スクリーンまでの距離を示すスクリーン半径R、
前記スクリーンの両端間の直線距離を示すスクリーン幅S、
前記スクリーン中心Gより前方に設けられた映像中心Iから前記スクリーンを見込む角度によって決まる映像画角α、
前記スクリーン中心Gからスクリーンを見込む水平方向の角度を示すスクリーン中心角β、
前記スクリーン中心Gと前記映像中心Iとの間の距離を示すオフセットW、
といった5個のパラメータR,S,α,β,Wを個別に決定可能な映像システム設計支援方法であって、
前記5個のパラメータR,S,α,β,Wのうち、α,βを除く任意の1個のパラメータ、又はα,βの組み合わせを除く任意の2個のパラメータ、又は3〜5個のパラメータが入力される入力ステップと、
前記入力ステップから1〜4個のパラメータが入力されたとき、当該1〜4個のパラメータに基づいて、入力されなかった残りのパラメータを算出し、当該算出したパラメータを含む5個のパラメータR,S,α,β,Wを出力し、前記入力手段から5個のパラメータR,S,α,β,Wが入力されたとき、当該5個のパラメータを出力する演算ステップと、
前記演算ステップから出力された5個のパラメータR,S,α,β,Wに関し、互いに矛盾があるか否かを判定し、矛盾が無いパラメータ及び/又は矛盾を修正したパラメータからなる全てのパラメータR,S,α,β,Wを出力する判定ステップと、
を含んでおり、
前記演算ステップは、
パラメータRに関しては、2個のパラメータS,βに基づいて下記R式により算出し、
パラメータSに関しては、2個のパラメータR,βに基づいて下記S式により算出し、
パラメータβに関しては、2個のパラメータR,Sに基づいて下記β式により算出し、
パラメータαに関しては、4個のパラメータR,S,β,Wに基づいて下記α式により算出し、
パラメータWに関しては、4個のパラメータR,S,α,βに基づいて下記W式により算出し、
前記R式、前記S式、前記β式、前記α式及び前記W式からパラメータが得られない場合には、当該得られなかったパラメータを予め記憶された推奨値又は最適値を用いて決定し、
前記判定ステップは、
パラメータSが下記S式を満たすか否かを判定し、
パラメータW,Rに関し、W=aRとして係数aが0.58以下であるか否かを判定し、
パラメータαが90°以上160°以下の範囲内にあるか否かを判定し、
パラメータβが90°以上144°以下の範囲内にあるか否かを判定し、
パラメータα,βに関し、α>βの関係を満たすか否かを判定し、
これらの判定結果が否の場合にパラメータを矛盾があると判定することを特徴とする映像システム設計支援方法。
- 請求項4又は請求項5に記載の映像システム設計支援方法において、
前記判定ステップは、
前記演算ステップから出力された5個のパラメータR,S,α,β,Wに関し、角度以外のパラメータS,R,Wを角度に関するパラメータα,βよりも優先するように予め定められた優先順位に従って、互いに矛盾があるか否かを判定し、
矛盾の無い旨が判定されたパラメータを固定して、前記矛盾が無いパラメータとし、
矛盾がある旨が判定されたパラメータを前記演算ステップの演算により修正して、前記矛盾を修正したパラメータとすることを特徴とする映像システム設計支援方法。 - 複数列に配置された複数の客席と、前記各客席よりも前方に配置された凹面形状のスクリーンとを有する高没入感映像システムの設計支援に関し、
前記スクリーンの弧に対する幾何学的な中心であるスクリーン中心Gから前記スクリーンまでの距離を示すスクリーン半径R、
前記スクリーンの両端間の直線距離を示すスクリーン幅S、
前記スクリーン中心Gより前方に設けられた映像中心Iから前記スクリーンを見込む角度によって決まる映像画角α、
前記スクリーン中心Gからスクリーンを見込む水平方向の角度を示すスクリーン中心角β、
前記スクリーン中心Gと前記映像中心Iとの間の距離を示すオフセットW、
といった5個のパラメータR,S,α,β,Wを個別に決定可能な映像システム設計支援装置に用いられる映像システム設計支援プログラムであって、
前記映像システム設計支援装置のコンピュータを、
前記5個のパラメータR,S,α,β,Wのうち、α,βを除く任意の1個のパラメータ、又はα,βの組み合わせを除く任意の2個のパラメータ、又は3〜5個のパラメータが入力される入力手段、
前記入力手段から1〜4個のパラメータが入力されたとき、当該1〜4個のパラメータに基づいて、入力されなかった残りのパラメータを算出し、当該算出したパラメータを含む5個のパラメータR,S,α,β,Wを出力し、前記入力手段から5個のパラメータR,S,α,β,Wが入力されたとき、当該5個のパラメータを出力する演算手段、
前記演算手段から出力された5個のパラメータR,S,α,β,Wに関し、互いに矛盾があるか否かを判定し、矛盾が無いパラメータ及び/又は矛盾を修正したパラメータからなる全てのパラメータR,S,α,β,Wを出力する判定手段、
として機能させ、
前記演算手段は、
パラメータRに関しては、2個のパラメータS,βに基づいて下記R式により算出し、
パラメータSに関しては、2個のパラメータR,βに基づいて下記S式により算出し、
パラメータβに関しては、2個のパラメータR,Sに基づいて下記β式により算出し、
パラメータαに関しては、4個のパラメータR,S,β,Wに基づいて下記α式により算出し、
パラメータWに関しては、4個のパラメータR,S,α,βに基づいて下記W式により算出し、
前記R式、前記S式、前記β式、前記α式及び前記W式からパラメータが得られない場合には、当該得られなかったパラメータを予め記憶された推奨値又は最適値を用いて決定し、
前記判定手段は、
パラメータSが下記S式を満たすか否かを判定し、
パラメータW,Rに関し、W=aRとして係数aが0.58以下であるか否かを判定し、
パラメータαが90°以上160°以下の範囲内にあるか否かを判定し、
パラメータβが90°以上144°以下の範囲内にあるか否かを判定し、
パラメータα,βに関し、α>βの関係を満たすか否かを判定し、
これらの判定結果が否の場合にパラメータを矛盾があると判定することを特徴とする映像システム設計支援プログラム。
- 請求項7又は請求項8に記載の映像システム設計支援プログラムにおいて、
前記判定手段は、
前記演算手段から出力された5個のパラメータR,S,α,β,Wに関し、角度以外のパラメータS,R,Wを角度に関するパラメータα,βよりも優先するように予め定められた優先順位に従って、互いに矛盾があるか否かを判定し、
矛盾の無い旨が判定されたパラメータを固定して、前記矛盾が無いパラメータとし、
矛盾がある旨が判定されたパラメータを前記演算手段の演算により修正して、前記矛盾を修正したパラメータとすることを特徴とする映像システム設計支援プログラム。
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