JP4057331B2 - 衝撃耐久構造体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、物体に衝突した際の衝撃を吸収するための衝撃吸収構造に関している。
【0002】
【従来の技術】
例えば、車や航空機等の移動体は、移動中において、意図せず障害物と衝突する恐れを有している。例えば、航空機は、自身の主翼の翼前縁部等が飛行中に鳥と接触する恐れを有している。このため、障害物と衝突の恐れがある部位に配置される構造体(上記例の航空機において例えば翼前縁部)は、強い強度が求められている。また、前記移動体は、移動の際の燃費を軽減するために軽量化が望まれていると共に、低製造コスト化も望まれている。このため、前記障害物と衝突の恐れがある部位に配置される構造体においても、軽量化並びに低製造コスト化が望まれている。
【0003】
このような構造体は、航空機において、例えば、特開平11−34993号公報に記載されている前縁構造などがある。
【0004】
以下に、図9、10を参照して上記公報の翼前縁部について説明する。図9は、前記従来の翼前縁部を示す一部切欠斜視図である。図10は、図9のA−A断面に沿った断面図である。
【0005】
一般的に航空機の主翼は、主翼本体側構造体(図示せず)と、この主翼本体側構造体の前方に取り付けられる翼前縁部101とを有している。翼前縁部101は、前記主翼の長手方向(以下、翼長方向)に略全体に渡って配置される。上記従来の翼前縁部101は、図9中に示されているように、外装部102と、リブ103と、暖気流路104と、暖気供給管105とを有している。
【0006】
外装部102は、前記翼長方向に沿って延びている。また、外装部102は、翼前縁部101の外縁を画定しており、所望の形状に湾曲して形成されている。
【0007】
リブ103は、前記翼長方向に沿って複数設けられている。また、各リブ103は、前記翼長方向と交差する方向に延びている。また、各リブ103は、図9中において上下方向の中央部に、翼長方向に延びる中央隔壁106を有している。各リブ103は、隣接するリブ103と、互いに中央隔壁106により連結されている。従って、中央隔壁106は、互いに隣接するリブ103により挟まれている空間を、上下に分けている。
【0008】
また、各リブ103は、後方側である前記主翼本体側構造体との境界に、後方隔壁107を有している。この後方隔壁107は、隣接するリブ103の後方隔壁107と互いに連結されている。また、後方隔壁107は、暖気流路104と、前記主翼本体側構造体とを連通する孔108が設けられている。
【0009】
また、各リブ103は、前方(機体の荷重を支えている主翼本体側構造体と反対側)に向かって延びる前方隔壁109を有している。この前方隔壁109は、隣接するリブ103の前方隔壁109と互いに連結されている。従って、前方隔壁109は、前記翼長方向全体に渡って延びている。そして、前方隔壁109は、前方に向かって二股に分岐している。そして、二股の前方隔壁109の2つの端部は、外装部102と接続されている。これにより、前方隔壁109と外装部102とにより、暖気供給管105が画定されている。また、前方隔壁109は、図10中に示されているように、暖気流路104と暖気供給管105とを連通する孔110を有している。
【0010】
暖気流路104は、前記翼長方向に沿って複数配置されている。この暖気流路104は、隣接する2つのリブ103と、外装部102の内側とにより画定される空間である。なお、暖気流路104は、中央隔壁106により、上下に分けられている。
【0011】
暖気供給管105は、図示しないエンジンコンプレッサーなどの暖気供給源に接続されている。そして、暖気供給管105は、前述のように前方隔壁109と外装部102とにより画定されているため、前記翼長方向全体に渡って延びている。これらにより、暖気供給管105は、前記暖気供給源からの暖気を、翼長方向全体に供給する。
【0012】
上記構成の翼前縁部101は、暖気流路104に、孔110を介して暖気供給管105から暖気が供給される。そして、暖気流路104中を暖気が、流動する。暖気流路104を通った暖気は、孔108を介して、前記主翼本体側構造体側に排気される。このような暖気の流動により、翼前縁部101は、防氷され得る。
【0013】
また、翼前縁部101は、上述したように、前記翼長方向と交差する方向に延びているリブ103を、前記翼長方向に沿って複数有している。このため、翼前縁部101は、各リブ103により前記翼長方向と交差する方向に補強されている。
【0014】
このような、翼前縁部101は、以下のようにして製造される。以下に、図11及び図12を参照して、翼前縁部101の製造方法を説明する。図11は、超塑性成形する前の積層体を示す一部切欠斜視図である。図12は、図11の切断線A−Aに沿った断面図である。図13は、超塑性成形された前記積層体を示す断面図である。
【0015】
翼前縁部101の製造方法では、まず、板状の4枚の超塑性チタン合金の板材121,122,123,124を重ね合わせた積層体200を構成する。積層体200は、図11並びに図12中に示されるように、板材121と、板材124との間に、板材122、123が挟まれるように構成されている。板材121と板材122との間、及び板材123と板材124との間には、複数の離型材132が所定の位置に配置されている。また、板材122と123との間には、離型材131,133,134が所定の位置に配置されている。また、板材122と板材123とには、離型材131と離型材132とが重なる部分に、孔110が形成されている。さらに、板材122と板材123とには、離型材132と離型材134とが重なる部分に、孔108が形成されている。上記構成により、積層体200は、離型材131,132,133,134が配置されている以外の部分が接合される。
【0016】
上記積層体200が形成されると、積層体200は、図13に示されている超塑性成形装置300により、超塑性成形される。なお、この超塑性成形時において、前記積層体200中には、超塑性成形ガスが注入される。この超塑性成形ガスは、離型材131が配置されている領域に流入される。そして、超塑性成形ガスは、孔110を介して、離型材132が配置されている領域に流入する。続いて、超塑性成形ガスは、孔108を介して離型材134が配置されている領域に流入する。
【0017】
このような積層体200への暖気の流入により、離型材131が配置されている領域が膨脹し、暖気供給管105が形成される。また、離型材132並びに離型材134が配置されている領域も、膨脹し、リブ103並びに暖気流路104が形成される。従って、翼前縁部101は、外装部102、リブ103、及び暖気供給管105が一体的に固着されている。
【0018】
このようにして、上記翼前縁部101は、少ない部品点数でありながら、防氷機構を有するように、形成される。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように前記翼前縁部101は、リブ103により補強されている。しかしながら、前記翼前縁部101において、前記翼長方向において隣接するリブ103同士の間は、特に補強されていない。このため、この隣接するリブ103間に、鳥などが衝突した場合、前記翼前縁部は、大きく変形してしまう恐れを有している。なお、前記翼前縁部が大きく変形した場合、主翼本体側構造体中の燃料タンクを破壊してしまう恐れがある。
【0020】
また、前記翼前縁部101は、上述のように各部材(外装部102、リブ103、及び暖気供給管105)が一体的に固着されている。従って翼前縁部101は、各部材を取り外すことが出来ず、各部材を交換することが出来ない。このため、前記翼前縁部101は、破損した場合に修理コストがかかってしまう。
【0021】
また、上記従来の翼前縁部101を製造するためには、離型材131乃至134を精度良く配置する必要がある。このため、この翼前縁部101の製造は、要求加工精度が高く、加工コストが増大する恐れを有している。また、複数の離型材131乃至134を配置するため、加工作業が繁雑である。
【0022】
本発明は、上記課題を鑑みて、物体が衝突した場合においも、破損しにくい衝撃耐久構造体を提供することを目的とする。
【0023】
また、本発明の他の目的は、整備しやすく、修理が容易な衝撃耐久構造体を提供することである。
【0024】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の衝撃耐久構造体は、以下のような構成を有している。
【0025】
本発明の一態様の衝撃耐久構造体は、移動体に取り付けられる衝撃耐久構造であって:
U字形状断面を有しており超塑性成形された外装部と;
前記外装部の両端部が取り付けられる外装連結部と、前記移動体に連結される移動体連結部と、前記外装部の両端部の間で前記外装部と対面する前部と、を有しており、前記外 装部と長手方向が一致するよう配置されている支持部本体と、
支持部本体の長手方向と交差する方向に延びているリブと、
を有しており、鋳造により一体的に形成された外装支持部と;
を具備しており、
前記前部と前記外装部との間には、空間が設けられており、
前記前部は、前記外装部の両端部の間で前記外装部に向かって延びる先端部を有しているとともに、前記先端部の延伸方向に対して後方に傾斜した2つの傾斜面を有しており、これら2つの傾斜面が前記先端部の先端において互いに連結されて角部を形成していて、
前記外装支持部は、前記延伸方向と交差する方向に延びており、前記傾斜面は、前記延伸方向と交差する方向において前記外装支持部全体に延びているとともに前記前部の全体に渡って配置されて、
前記外装支持部は、前記先端部の延伸方向と前記移動体の移動方向とが一致するように移動体に取り付けられる、
ことを特徴とする。
【0026】
上記構成に示すように、前記前部と前記外装部との間には、空間が設けられている。このため、物体が前記衝撃耐久支持部に衝突し、これにより前記外装部が多少変形した場合においても、前記外装部と前記前部とは接触しない。このため、前記衝突による衝撃が、外装支持部まで到達することが防止されている。従って、前記衝撃耐久構造体は、破損を最小限に抑え得る。
【0027】
また、上記構成に示すように、前記前部は、少なくとも一部分に前記先端部の延伸方向に対して後方に傾斜した傾斜面を有している。このため、前記傾斜面に加わった前記先端部の延伸方向と反対方向に沿った衝撃は、前記傾斜面に対して斜め衝突になる。従って、前記衝撃力が緩和され、前記傾斜面は、変形が弱められる。従って、前記衝撃耐久構造体は、物体が衝突した場合においも、自身が破損することが防がれ得る。
【0028】
また上記構成に示すように、前記外装支持部は、前記外装連結部と、前記移動体連結部と、前記前部とが鋳造により一体的に形成されている。このため、前記外装支持部は、強度が高められている。従って、前記衝撃耐久構造体は、物体が衝突した場合においも、自身が破損することが防がれ得る。
【0029】
また上記構成に示すように、前記外装部は、超塑性成形により形成され、外装支持部は、鋳造により形成されている。このため、前記外装部と、前記外装支持部とは、別体で構成されている。従って、前記衝撃耐久構造体は、衝突などにより前記外装部又は前記外装支持部が破損した場合においても、破損した方だけ交換が可能である。このため、前記耐久構造体は、修理並びに整備が容易であるとともに、修理のコストを抑え得る。
【0030】
また、前記外装支持部は、前記先端部の延伸方向と、前記移動体の移動方向とが一致するように移動体に取り付けられ得る。
【0031】
上記構成により、前記傾斜面が前記移動方向に対して後方に傾斜するため、前記傾斜面は、前記移動体が移動中において、より確実に衝撃を緩和し得る。従って、前記衝撃耐久構造体は、物体が衝突した場合においても、自身が破損することが防がれ得る。
【0032】
また、前記前部は、少なくとも2つの面を有しており、これらの面のうち2つの面が前、記前部の先端において互いに接続されることにより角部を構成し得る。
【0033】
上記構成により、物体が、前記先端の角部に衝突した場合、角部により力が分散されるため、この先端部は、より変形しにくく構成され得る。
【0034】
また、外装支持部は、前記延伸方向と交差する方向に延びており、前記傾斜面は、前記延伸方向と交差する方向において、前記外装支持部全体に延び得る。
【0035】
上記構成により、前記傾斜面は、前記延伸方向と交差する方向において、前記外装支持部全体に渡って衝撃を緩和し得る。
【0036】
また、前記傾斜面は、前記前部の略全体に渡って配置され得る。
【0037】
上記構成により、前記傾斜面は、前記前部の略全体に渡って衝撃を緩和し得る。
【0038】
また、前記衝撃耐久構造体は、暖気供給源から暖気を供給する暖気供給管をさらに有しており、
前記外装部は、前記暖気供給管からの暖気を通す複数の暖気流路を有しており、
前記暖気供給管と暖気流路とが協働して外装部を防氷し得る。
【0039】
上記構成により、前記衝撃耐久構造体は、航空機の翼前縁部のような移動中に凍結の恐れがある箇所においても、使用され得る。
【0040】
また、前記外装部は、板状の第1及び第2外装要素を有しており、
第1及び第2外装要素は、重ね合わされ、複数の接合部により接合されており、前記接合部は、所定の間隔を空けて列状に配列されており、
前記流体通路は、互いに隣接する前記接合部と前記第1及び第2外装要素とにより画定されて得る。
【0041】
上記構成により、前記外装部は、暖気流路が容易に形成され得る。
【0042】
また、前記第1及び第2外装要素は、各接合部において、超音波接合により接合され得る。
【0043】
上記構成により、前記外装部は、暖気流路がさらに容易に形成され得る。
【0044】
また、前記外装部は、前記外装支持部に、着脱可能に取り付けられ得る。
【0045】
上記構成により、前記外装部又は外装支持部の交換が容易であるとともに、整備が容易にされ得る。
【0046】
また、前記暖気供給管は、前記外装支持部に、着脱可能に取り付けられ得る。
【0047】
上記構成により、前記暖気供給管又は外装支持部の交換が容易であるとともに、整備が容易にされ得る。
【0048】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の衝撃耐久構造体の一実施の形態として、前記衝撃耐久構造体が、移動体である航空機に対して、翼前縁部として用いられた場合について図1乃至図3を用いて説明する。図1は、本実施の形態に従った翼前縁部10を示す一部切欠斜視図である。
【0049】
翼前縁部10は、外装部20と、外装支持部30と、暖気供給管40とを有している。まず、図2を参照して外装部20を説明する。図2は、外装部20を示す一部切欠斜視図である。
【0050】
外装部20は、第1及び第2外装要素21,22と、複数の接合部23と、複数の暖気流路24、複数の暖気入口孔25と、複数の暖気出口孔26とを有している。
【0051】
第1及び第2外装要素21,22は、長方形形状の板材を、断面略U字形状に湾曲して構成されている。これら第1及び第2外装要素21,22は、例えば5083−O等の超塑性の材料により、板状に形成されている。なお、図1中において、第1外装要素21の長手方向を、参照符号Xで指摘している。
【0052】
第2外装要素22は、自身の長手方向が、第1外装要素21の長手方向Xと略一致するように配置されている。また、第2外装要素22は、第1外装要素21の内側に配置されている。言い換えると、第2外装要素22は、自身の外側の面と、第1外装要素21の内側の面とが、対面するように配置されている。
【0053】
前記複数の接合部23は、第1外装要素21と第2外装要素22との間に配置されている。より詳しくは、複数の接合部23は、第1外装要素21の内側の面と、第2外装要素の外側の面との間に配置されている。
【0054】
また、各接合部23は、第1外装要素21と第2外装要素22との間において、長手方向Xと交差する方向に略全体に配置されている。それとともに、各接合部23は、隣接する接合部23と、接触しないように、互いに所定の間隔離間して配列されている。より詳しくは、各接合部23は、隣接する接合部23に対して所定の間隔を空けて略平行な方向に延びている。このような配置の接合部23は、第1外装要素21と第2外装要素22とを接合している。
【0055】
各暖気流路24は、互いに隣接する接合部23と、第1外装要素21と、第2外装要素22とにより画定されている。このため、各暖気流路24は、接合部23の延びる方向と略平行に延びている。すなわち、各暖気流路24は、長手方向Xと交差する方向に延びている。
【0056】
複数の暖気入口孔25は、図2中に示されているように、断面U字形状の第2外装要素22の頂部に設けられている。また、各暖気入口孔25は、外装部20の長手方向において、各暖気流路24と一致する位置に配置されている。
【0057】
複数の暖気出口孔26は、断面U字形状の第2外装要素22の両端側に設けられている。また、各暖気入口孔25は、外装部20の長手方向において、各暖気流路24と一致する位置に配置されている。このため、各暖気流路24に対応して、暖気出口孔26は、2つ設けられていると言える。
【0058】
ここで、再び図1を参照して外装支持部30について説明する。外装支持部30は、支持部本体31と、供給管支持部32と、リブ33と、開口34とを有している。この外装支持部30は、外装部20と長手方向が一致するように配置されている。
【0059】
支持部本体31は、外装部20と略同一の長手方向に沿った寸法を有している。また、支持部本体31は、図3中に示されているように、自身の長手方向と交差する方向において外装部20と対面する前部35と、外部に露出する露出部36と、外装部20が連結される外装連結部37と、前記航空機の主翼本体側構造体と連結するための主翼連結部39とを有している。
【0060】
前部35は、図1中に示されているように、外装支持部30の長手方向全体に渡って延びている。この前部35は、外装支持部30の長手方向と直交する方向において、外装部20に向かって延びる先端部38を有している。本明細書中において、この先端部の延びる方向を「延伸方向」として指摘している。
【0061】
前部35は、図3中に示されているように、面38aと面38bとを備えている。また、前部35は、図3中に示されているように、断面くの字形状を有している。断面くの字形状の一方の傾斜面は、面38aであり、他方の傾斜面は、面38bである。従って、面38aと面38bとは、前記先端部の延伸方向に対して後方に傾斜した傾斜面であると言える。また、面38aと面38bとは、前部35の先端、即ち先端部38の先端、において、互いに連結されているとともに、角部を形成していると言える。なお、この角部の先端と先端部38の先端とは、一致している。さらに、断面くの字形状の前部35は、面38aと面38bとにより構成されているため、前部35の略全体に渡って傾斜面が配置されている。
【0062】
また、図3中に示されているように、前部35の長手方向と交差する方向の先端、即ち先端部38の先端と、外装部20との間には、空間が設けられている。
【0063】
露出部36は、外装部20とともに、前記航空機の主翼の外表面を構成している。外装連結部37には、断面U字形状の外装部20の長手方向に沿った両端部が取り付けられる。この外装連結部37において、外装部20と外装支持部30とは、例えば、リベットなどの公知の連結部材により、連結される。この連結において、上述のように外装部20と外装支持部30とは、互いの長手方向が略一致するように配置される。
【0064】
主翼連結部39は、支持部本体31の長手方向全体に渡って、所定の間隔を空けて複数設けられている。これらの主翼連結部39は、図4中に示されているように、ビス孔39aが設けられており、ビスにより前記主翼の主翼本体側構造体と翼前縁部10とを着脱可能に連結し得る。このようにして翼前縁部10が前記主翼本体側構造体に取り付けられた場合、外装部20が、航空機の前方側に位置され、外装支持部30が航空機の後方側に位置される。特に、外装部20の先端が、航空機の前方に向かって突出するように配置される。また、前記先端部38の先端も、航空機の前方に向かって突出するように配置される。従って、外装支持部30は、先端部38の先端の延伸方向と、前記航空機の移動方向と一致するように、移動体である前記航空機に取り付けられているといえる。これにより、翼前縁部10は、前記航空機の移動方向を横切る方向に延びていると言える。なお、前記主翼連結部39は、翼前縁部10と、移動体である前記航空機の主翼本体側構造体と、を連結する。このため、前記主翼連結部39は、移動体と連結するための移動体連結部であるといえる。
【0065】
供給管支持部32は、支持部本体31の長手方向全体に渡って、所定の間隔を空けて複数設けられている。これらの供給管支持部32は、支持部本体31の長手方向と交差する方向において、外装部20と対面する位置、即ち前部35に配置されている。これらの供給管支持部32は、暖気供給管40を支持する。このとき、暖気供給管40は、外装部20に対して所定の間隔離間するように配置される。
【0066】
リブ33は、支持部本体31の長手方向全体に渡って、所定の間隔を空けて複数設けられている。各リブ33は、支持部本体31の長手方向と交差する方向に延びている。このため、これらのリブ33は、支持部本体31を補強している。
【0067】
開口34は、支持部本体31の先端と、外装連結部37との間に設けられている。開口34は、支持部本体31の長手方向全体に渡って、所定の間隔を空けて複数設けられている。これらの開口34は、外装部20と支持部本体31の前部35とにより画定されている空間と、支持部本体31の内側の面に囲まれている空間(リブ33が設けられている側の空間)とを連通している。このため、開口34は、暖気流路24中を流れ、暖気出口孔26から排出された暖気を、外装支持部30内に通し得る。また、これらの開口34は、外装支持部30の強度を損なわない程度に、分布しており、外装支持部30を軽量化している。
【0068】
なお、上述した支持部本体31と、供給管支持部32と、リブ33とは、一体的に形成されている。また、支持部本体31において前部35、露出部36、外装連結部37、及び主翼連結部39も、一体的に形成されている。なお、上記主翼連結部39は、主翼本体側構造体への連結部である。
【0069】
暖気供給管40は、供給管支持部32により着脱可能に支持されて、翼前縁部10の長手方向全体に渡って配置されている。暖気供給管40は、図示しない暖気供給源に接続されており、翼前縁部10に暖気を供給する。また、暖気供給管40は、図3中に示されているように、外装部20の暖気入口孔25と対面する位置に、暖気排出孔41が設けられている。これにより、暖気供給管40により供給された暖気は、暖気入口孔25から暖気流路24中に入り、暖気流路24中を流動し得る。暖気流路24中を流動した暖気は、暖気出口孔26から排出される。このようにして、暖気供給管40と、暖気流路24とは、防氷機構を構成し、翼前縁部10が凍ることを防止する。
【0070】
以下に、上記翼前縁部10に飛行物体60が衝突した場合について図5及び6を参照して説明する。図5は、飛行物体60が衝突した際の翼前縁部10を示す断面図である。図6は、物体が衝突した際の外装支持部30を模式的に示す図である。
【0071】
一般的に移動体は、移動方向において物体と衝突する可能性が高い。特に、航空機などの高速で移動する移動体は、上記可能性がより高い。図5は、飛行中の航空機の翼前縁部10に、鳥などの飛行物体60が接触した際の翼前縁部を示す図である。このように、飛行物体60が翼前縁部10に、前記移動方向に対して反対方向から衝突すると、外装部20が変形する。より詳しくは、外装部20は、外装支持部30側に凹むように変形する。
【0072】
なお、本実施の形態の翼前縁部10は、先端部38の先端と、外装部20との間に空間を有している。このため、図5中に示されているように、外装部20の前記移動方向と反対方向に沿った変形が、先端部38の先端と、外装部20との間で止まる場合、前記衝突による衝撃は、外装支持部30まで到達しない。さらに、本実施の形態において、暖気供給管40も、外装部20に対して空間を有しているため、前記衝突による衝撃は、暖気供給管40までも到達しない。従って、前記衝撃を本実施の形態の翼前縁部10は、破損を最小限に抑え得る。
【0073】
前記衝撃が大きく、外装支持部30まで到達した場合について、図6を参照して説明する。なお、図6中において、先端部38の先端の位置を参照符号P1で指摘している。なお、矢印A1により、位置P1においての飛行物体60の衝突方向が示されている。また、図6中において、面38a上の任意の位置を参照符号P2で指摘している。なお、矢印A2により、位置P2においての飛行物体60の衝突方向が示されている。また、飛行物体60が位置P2に衝突した場合において、前記移動方向に沿ってかかる力を参照符号Fで指摘している。
【0074】
まず、位置P1に物体が衝突した場合について説明する。この位置P1の先端部38の先端には、前記2つの面38a、38bが互いに接続されることにより角部が構成されている。このため、この位置P1に鳥などのように剛性が強くない飛行物体60が接触した場合、飛行物体60は、前記角部において分裂する。従って、位置P1にかかる力は、分散される。このため、外装支持部30は、前記衝撃を耐えうる。
【0075】
また、先端部38の先端は、前記移動方向に向かって突出しているため、飛行物体60が分裂しない場合においても、この先端が移動方向に直交する方向の平坦な面で形成されている場合に比べて、前記移動方向に沿った変形に対して強い。このため、外装支持部30は、自身が破損することを防止する構造を有していると言える。
【0076】
続いて、位置P2に飛行物体60が接触した場合について説明する。位置P2は、傾斜面である面38a上に位置している。物体は、前記傾斜面に対して斜め衝突する状態で、前記先端部の延伸方向と反対方向に沿ってゆく。このため、前記移動方向に沿って相対的に移動した物体は、前記2つの面の夫々に対して、直交する方向からは衝突しない。従って、衝突の際に面38aにかかる力は、分散される。別の観点からみると、図6中に示すように、位置P2に力Fは、面38aの上で、大きく力FaとFbとに分かれる。このため、位置P2で力が各方向に分配される結果、面38aの破損の可能性が低減される。面38bにおいても同様のことが言える。従って、前記衝撃耐久構造体は、物体が衝突した場合においも、自身が破損することが防がれ得る。
【0077】
また、外装支持部30は、前記先端部の延伸方向と、前記移動体の移動方向とが一致するように移動体である航空機に取り付けられている。このため、傾斜面である面38a及び面38bが、前記移動体が移動中においてかなりの割合で、移動方向前面に配置される。従って、前記翼前縁部10は、より確実に衝撃を分散し得る。従って、前記衝撃耐久構造体は、物体が衝突した場合においても、自身が破損することが防がれ得る。
【0078】
また、前記傾斜面である面38a及び38bは、前部35の略全体に渡って配置されている。このため、面38a及び38bはもちろん、前記延伸方向と交差する方向において、外装支持部30全体に延びている。従って、面38a及び38bは、前部35の略全体に渡って衝撃を分散し得る。なお、前部35の一部分のみに傾斜面を有することは、もちろん可能であるが、好ましくは、全体に渡って配置される。
【0079】
また、上記構成に示すように、翼前縁部10は、
1)外装部20は、板状の第1及び第2外装要素21,22を接合、並びに湾曲することにより構成されており、
2)外装支持部30は、支持部本体31と、供給管支持部32と、リブ33とを一体的に構成している。
【0080】
この2点により、翼前縁部10は、防氷機構を有していながら、少ない部品点数で構成することが出来、製造コストを抑え得る。
【0081】
また、上記構成に示すように、外装部20は、超塑性成形により形成され、外装支持部は、鋳造により形成されている。さらに、外装部20と外装支持部30とが着脱可能に連結されている。このため、翼前縁部10は、外装部20の交換が可能である。このため、翼前縁部10は、修理の際のコストを低減し得る。さらに、この翼前縁部10は、外装部20を外した状態で外装支持部30及び/又は暖気供給管40を整備し得る。従って、翼前縁部10は、整備を容易に行うことが出来る。このため、前記耐久構造体は、修理並びに整備が容易であるとともに、修理のコストを抑え得る。
【0082】
また、本実施の形態の暖気供給管40は、供給管支持部32により着脱可能に支持されているため、交換が容易である。
【0083】
また、本実施の形態の外装支持部30は、前記主翼本体側構造体と着脱可能であるため、容易に交換及び/又は整備を行える。
【0084】
なお、本実施の形態において、接合部23は、長手方向Xと交差する方向に略全体に渡って延びているが、以下の3点を満たしていれば、配置において限定されることはない。
【0085】
1)第1及び第2外装要素21,22を確実に接合することができる。
【0086】
2)各暖気流路24が、外装部20中全体に渡って暖気が流動し得るように、暖気を案内することが出来る。
【0087】
3)各接合部23が、第1外装要素21の長手方向と交差する方向に延びる線状の単一又は複数の部分により構成されている。
【0088】
これらの条件を満たしていれば、接合部23は、長手方向Xと交差する方向において間欠的に配置し、隣接する暖気流路24が連通するように配置することも可能である。また、蛇行した暖気流路24を規定するように、接合部23を配置し得る。なお、各接合部23は、加工を容易にするため、第1外装要素21の長手方向と交差する方向に延びる線状の単一部分により構成されることが好ましい。
【0089】
なお、本実施の形態の翼前縁部10は、主翼本体側構造体との主翼連結部39において、ビスにより主翼と連結されている。翼前縁部10は、前記主翼本体側構造体と着脱可能であるとともに、所望の強度で連結し得るならば、公知のいかなる連結部材により連結されることも可能である。
【0090】
なお、本実施の形態において、衝撃耐久構造体は、航空機の翼前縁部10を用いて説明したが、車のバンパーなど他の移動体の衝撃を受ける部分にも使用され得る。
【0091】
(製造方法)
以下に、上記構成の翼前縁部10の製造方法を図7を参照して説明する。図7は、超塑性成形される前の外装部20を示す斜視図である。
【0092】
本実施の形態の翼前縁部10の製造方法は、外装部20を形成するための外装部形成工程と、外装支持部30を製造するための鋳造工程と、外装支持部30に、暖気供給管40及び外装部20を取り付ける組み立て工程とを有している。以下で、前記外装部形成工程について詳しく説明する。
【0093】
[外装部形成工程]
前記外装部形成工程では、以下の3つの作業が行われる。
【0094】
(作業a)平板状の第1及び第2外装要素21,22を重ね合わせる。
【0095】
(作業b)第1及び第2外装要素21,22を接合して外装部20を形成する。
【0096】
(作業c)作業bで形成された外装部20に超塑性成形により暖気流路24を形成するとともに、外装部20を湾曲させる。
【0097】
はじめに、外装部形成工程の上記作業aについて説明する。
【0098】
(作業a)
作業aでは、まず第1外装要素21と第2外装要素22とを準備する。これら第1外装要素21と第2外装要素22とは、超塑性の材料の平板状の部材である。また、第1外装要素21と、第2外装要素22とは、略同一の寸法を有している。
【0099】
続いて、第1外装要素21と第2外装要素22とが重ね合わされる。このとき、第1外装要素21と第2外装要素22とは、互いの相対位置が略一致するように配置される。このため、第1外装要素21と第2外装要素22との長手方向は、一致している。
【0100】
このようにして、作業aが完了すると続いて、作業bが行われる。以下に作業bを説明する。
【0101】
(作業b)
この作業bでは、第1外装要素21と第2外装要素22とを超音波接合により接合する。この超音波接合は、第1外装要素21と第2外装要素22とを重ねた状態で、長手方向Xと交差する方向に行われる。これにより、接合部23は、第1外装要素の長手方向Xと交差する方向に形成される。接合部23は、第1外装要素21と第2外装要素22とを確実に接合するために、第2外装要素22の長手方向に沿って隣接する接合部23に対して所定の間隔離間するように複数形成される。このように、複数の接合部か配置されているため、各接合部23と、第2外装要素22の長手方向に沿って隣接する接合部23とは、平行な位置関係を有している。
【0102】
また、前記複数の接合部23は、各接合部23と、前記隣接する接合部23との間に、後に説明する暖気入口孔25及び暖気出口孔26が配置されるように、互いに隣接する接合部23に対して第2外装要素22の長手方向に沿って所定の間隔離間している。
【0103】
また、各接合部23は、図7中に示されているように、第2外装要素22の長手方向と交差する方向において、略全体に直線状に延びている。このため、外装部20の長手方向に沿った両縁部の近傍には、接合部23の両端が夫々配置される。
【0104】
また、接合部23の夫々の端部は、外装部20の長手方向と直交する方向において、外装部20の長手方向に沿った両縁から、所定距離離間するように形成される。
【0105】
なお、上記接合は、公知の溶接、接着などの接合法により達成され得るが、超音波接合が好ましい。上記接合が、超音波接合により行われた場合、第1及び第2外装要素21,22の相対位置がずれることを防止し得る。また、上記接合は、第2外装要素22の長手方向と直交する方向において、接合部23を、単に直線状に延びるように行えばよいため、加工作業を容易に行い得る。また、上記接合は、各接合部と隣接する接合部との位置関係を平行に保つだけでよいため、精密な加工精度が要求されず、容易に加工作業を行い得る。
【0106】
また、上記接合は、超音波接合を用いるため、前記第1及び第2外装要素を特別に洗浄などすることなく接合し得るため、煩雑な作業を行うことなく行える。
【0107】
このようにして、作業bが完了すると続いて、作業cが行われる。以下に作業cを説明する。
【0108】
(作業c)
作業cは、作業bにより形成された外装部20を図8中に示されている超塑性成形装置50により、作業bで形成された外装部20に超塑性成形により暖気流路24を形成するとともに、外装部20を湾曲させる。
【0109】
超塑性成形装置50は、雌型51と、雄型52と、ガス供給手段であるガス供給機構53とを有している。以下に、雌型51及び雄型52の構成を詳しく説明する。
【0110】
雌型51及び雄型52は、外装部20と略同一の長手方向に沿った寸法を有している。雌型51は、凹部51aを有している。凹部51aは、雌型51の長手方向(図8中において紙面の前後方向)に沿った2つの縁を51b、51cを有している。また、凹部51aは、複数の入口孔形成凸部55bを有している。これらの入口孔形成凸部55bは、雌型51の長手方向に沿って所定の間隔で配列されている。なお、入口孔形成凸部55bは、前述の接合部23と略同一間隔で配列されている。また、入口孔形成凸部55bの列は、縁51bと略平行であるとともに、縁51bから凹部51aの底部に向かった方向において縁51bから所定距離離間している。
【0111】
また、凹部51aは、複数の入口孔形成凸部55cを有している。入口孔形成凸部55cは、入口孔形成凸部55bと同様に、雌型51の長手方向に沿って前述の接合部23と略同一間隔で配列されている。入口孔形成凸部55cの列は、前記縁51cと略平行であるとともに、縁51cから凹部51aの底部に向かった方向において縁51cから所定距離離間している。なお、入口孔形成凸部55bの列と、入口孔形成凸部55cの列とは、雌型51の長手方向と直交する方向において対面する。
【0112】
また、凹部51aは、底部に、複数の出口孔形成凸部55dを有している。出口孔形成凸部55dは、入口孔形成凸部55b,55cと略同一間隔で配列されている。
【0113】
なお、各入口孔形成凸部55b,cと、各出口孔形成凸部55dは、雌型51の長手方向(図8中において紙面の前後方向)に沿った位置が略一致するように配列されている。言い換えると、各入口孔形成凸部55b,cと、各出口孔形成凸部55dは、雌型51の長手方向と直交する方向において、並んでいる。
【0114】
雄型52は、外装部20と略同一の長手方向に沿った寸法を有している。また、雄型52は、雌型51に完全に重なった際に、各入口孔形成凸部55b,cを収容する複数の穴52b、cと、各出口孔形成凸部55dを収容する複数の穴52dとを有している。これらの穴52b、c、dは、雄型52の長手方向に沿って、各入口孔形成凸部55b,cと略同一の間隔で配列されている。
【0115】
超塑性成形装置50は、上述の雌型51と雄型52とを協働させることにより、外装部20を所望の形状に湾曲させ得るように構成されている。
【0116】
ガス供給機構53は、外装部20の長手方向全体に渡ってガスを注入し得るようなガス注入口54を有している。ガス供給機構53は、ガス注入口54からガスを噴射し得る。
【0117】
作業cにおいて、まず、雌型51上に外装部20を配置する。なお、外装部20は、湾曲された際に、第2外装要素22が内側にくるように配置される。即ち、第2外装要素22が、雄型52と対面するように配置される。
【0118】
これとともに、ガス供給機構53のガス注入口54を、外装部20の長手方向に沿った縁全体に配置する。より詳しくは、ガス注入口54が、第1外装要素21と第2外装要素22との間に位置するように、ガス供給機構53が、外装部20との相対位置を調整されて配置される。
【0119】
さらに、外装部20は、互いに隣接する接合部23の間に、前記各入口孔形成凸部55b,c、及び各出口孔形成凸部55dが位置するように、雌型51上に配置される。また、外装部20は、暖気出口孔26が外装部20の長手方向と直交する方向において、接合部23の端部より内側に位置されるように、雌型51上に配置される。このため、外装部20の長手方向に沿った両縁の近傍には、接合部23、暖気出口孔26と接合部23とが配置されていない領域が設けられている。
【0120】
このようにして超塑性成形装置50上に、外装部20が配置されると、続いて、ガス供給機構53は、第1外装要素21と第2外装要素22との間にガスを注入する。これとともに、雄型52が、外装部20の押圧を開始する。上記ガスの注入により、接合部23と第1外装要素21と第2外装要素22とにより画定される複数の領域に、ガスが送られる。これにより、接合部23と第1外装要素21と第2外装要素22とにより画定される複数の領域が、膨らむ。これにより、上記領域が超過塑性成形され、暖気流路24が成形される。また、外装部20は、前記各入口孔形成凸部55b,c、及び各出口孔形成凸部55dに対応する位置に、第2外装要素22側に複数の突出された部分が形成される。また、前記暖気流路24の成形と同時に、外装部20は、雌型51と雄型52とにより、所望の形状に湾曲される。
【0121】
続いて、上述のように湾曲された外装部20は、前述の第2外装要素22の複数の突出された部分が切り取られる。これにより、第2外装要素22に、複数の暖気入口孔25及び暖気出口孔26が形成される。具体的には、暖気入口孔25は、各出口孔形成凸部56により突出された部分を切り取ることにより形成される。また、暖気出口孔26は、各入口孔形成凸部55b,cにより突出された部分を切り取ることにより形成される。これらにより、外装部20は、成形される。
【0122】
なお、各暖気入口孔25は、第2外装要素22の長手方向と直交する方向に沿った略中央に形成される。
【0123】
また、暖気出口孔26は、第2外装要素22の長手方向に沿った両縁近傍において、第2外装要素22の長手方向に沿って、暖気入口孔25と同様な離間間隔で複数形成される。このため、暖気入口孔25と暖気出口孔26とは、第2外装要素22の長手方向と直交する方向において並んで形成される。言い換えると、第2外装要素22には、自身の長手方向と直交する方向において、両端側に暖気出口孔26が設けられて、これらの暖気出口孔26の間に暖気入口孔25が設けられる。このため、前記第2外装要素22は、長手方向と直交する方向において列状に配置された暖気入口孔25と暖気出口孔26とのグループ(以下、孔グループとする)を有していると言える。この列状の孔グループは、第2外装要素22の長手方向に沿って、所定距離離間して複数平行に設けられている。
【0124】
なお、上述のように第2外装要素22に配置されている暖気入口孔25と暖気出口孔26との配置は、以下のように言い換えることが出来る。第2外装要素22には、自身の長手方向において、複数の暖気入口孔25からなる1つの列と、複数の暖気出口孔26からなる2つの列とが、が形成されていると言える。なお、暖気出口孔26の列は、第2外装要素22の長手方向と直交する方向において、第2外装要素22の長手方向に沿った両縁から、所定距離離間するように形成される。
【0125】
続いて、前記鋳造工程について説明する。
【0126】
[鋳造工程]
この鋳造工程では、まず、外装支持部30を鋳造するための型を光造形により作る。なお、外装支持部30は、光造形以外の公知の方法により、前記型が形成され得る。なお、外装支持部30は、支持部本体31、供給管支持部32、及びリブ33を有しているため、複雑な形状である。このため、光造形により、前記型を形成した場合、より容易に外装支持部30の型を形成し得るため好ましい。また、前記型は、ロストワックス法により形成されることも好ましい。上記型は、外装支持部30が精密鋳造され得るように、高精度で形成されることが好ましい。
【0127】
続いて、前記型により、外装支持部30を鋳造する。外装支持部30は、鋳造により形成されるため、全ての部材を一体的に形成し得る。このため、外装支持部30は、煩雑な組み立て作業を行うことなく、複数の部材を有するように構成され得る。なお、鋳造工程は、外装部形成工程の前、後、又は同時に行われ得る。
【0128】
なお、上記外装支持部30は、精密鋳造されることが好ましい。前記精密鋳造は、鋳物を高精度に形成する。このため、精密鋳造された外装支持部30は、鋳造後の加工数が減少され、容易に製造され得る。なお、前記外装支持部30は、公知の鋳造により形成されることも可能である。
【0129】
続いて、前記組み立て工程について説明する。
【0130】
[組み立て工程]
外装部形成工程と、鋳造工程とが終了したのち、この組み立て工程は、行われる。鋳造工程により形成された外装支持部30に、まず、別に製造された暖気供給管40を、供給管支持部32に取り付ける。なお、暖気供給管40には、暖気排出孔41が開けられる。これらの暖気排出孔41は、翼前縁部10が完成した際に、外装部の複数の暖気入口孔25の夫々と対向する位置に配置される。
【0131】
続いて、外装部20が、外装支持部30に取り付けられる。なお、外装部20は、上述した外装部20の長手方向に沿った両縁近傍の暖気出口孔26と接合部23とが配置されていない領域において、外装支持部30の外装連結部37に、リベットなどの公知の連結部材により、連結される。
【0132】
上述のように、翼前縁部10の組み立ては、外装支持部30に、外装部20と暖気供給管40とを取り付けるだけである。このため、翼前縁部10は、細かい部品の取り付けや、煩雑な作業を必要とせず、容易に組み立て得る。このようにして、組み立て工程が終了すると翼前縁部10は、完成する。
【0133】
本実施の形態の翼前縁部10の製造方法は、暖気流路24を、板状の第1及び第2外装要素21,22と、互いに隣接する線状の接合部23とにより画定された領域にガスを流入させることにより形成される。このため、上記製造方法は、前記暖気流路を高い加工精度を要求されることなく製造し得る。また、前記接合部は、線状に形成される。このため、上記製造方法は、複数の接合部を製造した場合においても、容易に接合部を形成し得る。
【0134】
前記外装支持部が光造形により形成されるため、供給管支持部のような複雑な形状の部分を有している場合においても、少ない工程数で容易に支持部本体を製造し得る。
【0135】
さらに、外装部と外装支持部と暖気供給管とが、別体で製造される。このため、この製造方法で製造された翼前縁部は、上記各部材に破損が生じた場合においても、破損した部材のみを交換することが可能である。このため、この製造方法は、整備が容易で、低コストな翼前縁部を製造し得る。
【0136】
これまで、いくつかの実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で行なわれるすべての実施を含む。
【0137】
【発明の効果】
本発明は、上記課題を鑑みて、物体が衝突した場合においも、破損しにくい衝撃耐久構造体を提供し得る。
【0138】
また、本発明は、整備しやすく、修理が容易な衝撃耐久構造体を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態に従った翼前縁部を示す一部切欠斜視図である。
【図2】図2は、図1の外装部を示す一部切欠斜視図である。
【図3】図3は、図1の切断線A−Aに沿った断面図である。
【図4】図4は、図1の切断線B−Bに沿った断面図である。
【図5】図5は、飛行物体60が衝突した際の翼前縁部10を示す断面図である。
【図6】図6は、物体が衝突した際の外装支持部30を模式的に示す図である。
【図7】図7は、超塑性成形される前の外装部を示す斜視図である。
【図8】図8は、超塑性成形装置を示す断面図である。
【図9】図9は、従来の翼前縁部を示す一部切欠斜視図である。
【図10】図10は、図9のA−A断面に沿った断面図である。
【図11】図11は、超塑性成形する前の積層体を示す一部切欠斜視図である。
【図12】図12は、図11の切断線A−Aに沿った断面図である。
【図13】図13は、超塑性成形された積層体を示す断面図である。
【符号の説明】
10 翼前縁部
20 外装部
21 第1外装要素
22 第2外装要素
23 接合部
24 暖気流路
25 暖気入口孔
26 暖気出口孔
30 外装支持部
31 支持部本体
32 供給管支持部
33 リブ
35 前部
38 先端部
38a 面
38b 面
40 暖気供給管
41 暖気排出孔
50 超塑性成形装置
51 雌型
52 雄型
53 ガス供給機構
54 ガス注入口
Claims (6)
- 移動体に取り付けられる衝撃耐久構造であって:
U字形状断面を有しており超塑性成形された外装部と;
前記外装部の両端部が取り付けられる外装連結部と、前記移動体に連結される移動体連結部と、前記外装部の両端部の間で前記外装部と対面する前部と、を有しており、前記外装部と長手方向が一致するよう配置されている支持部本体と、
支持部本体の長手方向と交差する方向に延びているリブと、
を有しており、鋳造により一体的に形成された外装支持部と;
を具備しており、
前記前部と前記外装部との間には、空間が設けられており、
前記前部は、前記外装部の両端部の間で前記外装部に向かって延びる先端部を有しているとともに、前記先端部の延伸方向に対して後方に傾斜した2つの傾斜面を有しており、これら2つの傾斜面が前記先端部の先端において互いに連結されて角部を形成していて、
前記外装支持部は、前記延伸方向と交差する方向に延びており、前記傾斜面は、前記延伸方向と交差する方向において前記外装支持部全体に延びているとともに前記前部の全体に渡って配置されて、
前記外装支持部は、前記先端部の延伸方向と前記移動体の移動方向とが一致するように移動体に取り付けられる、
ことを特徴とする衝撃耐久構造体。 - 暖気供給源から暖気を供給する暖気供給管をさらに有しており、
前記外装部は、前記暖気供給源から暖気を通す複数の暖気流路を有しており、
前記暖気供給管と暖気流路とが協働して外装部を防氷する、
請求項1に記載の衝撃耐久構造体。 - 前記外装部は、板状の第1及び第2外装要素を有しており、
第1及び第2外装要素は、重ね合わされ、複数の接合部により接合されており、
前記接合部は、所定の間隔を空けて列状に配列されており、
前記流体通路は、互いに隣接する前記接合部と前記第1及び第2外装要素とにより画定されている、
請求項2に記載の衝撃耐久構造体。 - 前記第1及び第2外装要素は、各接合部において、超音波接合により接合されている、請求項3に記載の衝撃耐久構造体。
- 前記外装部は、前記外装支持部に、着脱可能に取り付けられる、請求項1に記載の衝撃耐久構造体。
- 前記暖気供給管は、前記外装支持部に、着脱可能に取り付けられる、請求項2に記載の衝撃耐久構造体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002104335A JP4057331B2 (ja) | 2002-04-05 | 2002-04-05 | 衝撃耐久構造体 |
Applications Claiming Priority (1)
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