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JP4046394B2 - 化粧料および化粧方法 - Google Patents

化粧料および化粧方法 Download PDF

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JP4046394B2 JP34710597A JP34710597A JP4046394B2 JP 4046394 B2 JP4046394 B2 JP 4046394B2 JP 34710597 A JP34710597 A JP 34710597A JP 34710597 A JP34710597 A JP 34710597A JP 4046394 B2 JP4046394 B2 JP 4046394B2
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章裕 黒田
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明感のある白色を有する酸化チタンと、シリコーンエラストマー球状粉体を配合することで、肌のキメやシワを隠し、美しい外観を与える化粧料、および美しい外観を与える化粧方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、化粧料に用いられる酸化チタンは、白色顔料として隠蔽を目的とする顔料級酸化チタン(一次粒子径0.15〜0.3μm)と、紫外線防御を目的とする超微粒子酸化チタン(一次粒子径0.01〜0.05μm)の2つの流れで開発が行われてきた。こうした中で特開平9−221411号公報によれば、顔料級酸化チタンと超微粒子酸化チタンの中間の領域にある一次粒子径が0.10μmを超えて0.14μm以下の範囲にある酸化チタン(以後、中間粒径酸化チタンと言う)が適度な仕上がりと自然な隠蔽力を持つことが開示されている。同公報に記載された方法にて再現実験を行うと、酸化チタンの持つ白色の美しさと言う点では、従来の顔料級酸化チタンと比較して優れているが、超微粒子酸化チタン程ではないものの青白さが発生し、隠蔽素材として多用するには限度がある。そのため、中間粒径酸化チタンを黄色に着色処理することによって、酸化チタンは青みが消えて自然な肌色を形成することができる。
【0003】
一方、特開平9−71509号公報に提案されているように、シリコーンエラストマー球状粉体を配合した化粧料にはつや消し効果やシワを隠す効果があることが知られている。これは光学的に肌の微細な凹凸をぼかして見せる効果であるが、シリコーンエラストマー球状粉体だけではシミなど肌のトラブルを隠すまでの効果は無いため、一般的にはシリコーンエラストマー球状粉体と、隠蔽力のある顔料とを併用して用いている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
隠蔽用顔料の光学特性が、シリコーンエラストマー球状粉体の効果を上回った時には、キメやシワが目立ってしまう問題があり、シリコーンエラストマー球状粉体の効果を引き出すためには、それに適した隠蔽用顔料の開発が必要であった。これに対して、隠蔽用顔料として従来の酸化チタンを用いた場合では、キメやシワが目立ったり、青白さが発生するなど何らかの問題があり、光学特性が適しているとは言えなかった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらの問題点を解決すべく鋭意検討した結果、(1)四塩化チタンを苛性ソーダで中和することによって得られる酸化チタン微結晶核の存在下、硫酸チタニル水溶液を加熱加水分解する工程と、(2)加水分解生成物を600〜900℃の温度で焼成する工程によって得られる、一次粒子径を0.01〜0.1μm、かつ二次粒子径を0.6〜2.0μmとしたアナタース型酸化チタンが、特に着色を行わなくても自然で適度な白色を与えかつ紫外線防御能を有することを見出した。そして、この酸化チタンとシリコーンエラストマー球状粉体とを共に配合した化粧料がキメやシワを目立たせず、美しい塗布色を示すことを見出し、本発明を完成した。さらに、白色以外の着色剤を加えずに白色の化粧料を作製したところ、特に化粧下地料または補正料としてより美しい仕上がりを得られることを見出した。
即ち、本発明は、(1)四塩化チタンを苛性ソーダで中和することによって得られる酸化チタン微結晶核の存在下、硫酸チタニル水溶液を加熱加水分解する工程と、(2)加水分解生成物を600〜900℃の温度で焼成する工程によって得られる、一次粒子径が0.01〜0.1μm、かつ二次粒子径が0.6〜2.0μmであり、結晶形がアナタースである強凝集性酸化チタンと、シリコーンエラストマー球状粉体を配合した化粧料にある。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる強凝集性酸化チタンは、一次粒子径が0.01〜0.1μm、かつ二次粒子径が0.6〜2.0μmであり、結晶形がアナタースである強凝集性酸化チタンである。この強凝集性酸化チタンとは、通常工業的に用いる条件、即ち粉体0.5gを石川式攪拌らい潰機(株式会社石川工場製)にて10分間粉砕して機械的分散を行っても容易に一次粒子まで解砕されず、ほとんどが二次粒子として残るものを言う。光の散乱能は媒体に分散された状態、即ち二次粒子径によって決まるため、二次粒子径が上記範囲であると、可視光に対して透明感が生じ、かつ超微粒子酸化チタンのように青色光を優先的に散乱することがないため、青味感のない自然な色調を与える。さらに、強凝集性と雖も比表面積は一次粒子径に応じて大きいため、二次粒子径が同程度で、かつ一次粒子径が大きい場合と比べ、紫外線の吸収能はかなり高くなる。
【0007】
本発明において一次粒子径は、以下の方法で求めたものとする。まず、粉体0.5gを石川式攪拌らい潰機(株式会社石川工場製)にて10分間粉砕した後、透過型電子顕微鏡写真を撮影する。その写真から、一次粒子径をParticle Analyzer(カールツアイス株式会社製) にて測定し、算出された重量平均径をもって一次粒子径とする。次に、二次粒子径についてであるが、これは粉体を水中に分散させ、堀場製作所製レーザ回折/散乱式粒度分布装置LA−910にて計測した場合のメジアン径で表すものとする。ここで粉体を水中に分散させるには、イオン交換水にヘキサメタリン酸ナトリウムを溶解して1.0%の水溶液とし、この水溶液17.0gと粉体17.0gを0.5mmジルコンビーズ40gとともに容量140ccのガラス製マヨネーズ瓶に加え、ペイントシェーカー分散を5分間行った後に計測することとする。尚、顔料酸化チタンや超微粒子酸化チタンの二次粒子径をこの方法で求めた場合においても一次粒子径と同じ値となるとは限らず、凝集粒子の値が得られる場合もあるが、せいぜい一次粒子径が2〜3個凝集しているのみであり、0.5μm以下となる。
【0008】
以上の方法で粒子径が規定されるが、本発明で用いる強凝集性酸化チタンは、一次粒子径が、0.01〜0.1μm、かつ二次粒子径が0.6〜2.0μmであることを特徴とする。一次粒子径が前記範囲を超えると、強凝集性酸化チタンが得られ難く、また紫外線吸収能が低下する。た、二次粒子径が0.6μm未満では、顔料酸化チタンと同等の隠蔽性を有するようになり、強凝集性酸化チタンの有する適度な透明性と自然な風合いが得られない。さらに、二次粒子径が2.0μmを超えるものは実質的に得られ難く、また壊れやすくなり強凝集性とはなり難い。
【0009】
以上は、本発明で用いられる強凝集性酸化チタンの特徴を一般的に説明したものだが、この特徴をより具体的に、かつ簡便に表す指標を述べる。
即ち、本発明で用いられる強凝集性酸化チタンは、以下の方法で酸化チタン含有塗膜を作製し、色差計で測定したとき、L値が35〜50、b値が−10〜0であることを特徴とする。
【0010】
Figure 0004046394
Figure 0004046394
【0011】
2.塗膜作成および塗色測定方法
モレストチャート紙にアプリケーターにて塗布(乾燥後膜厚8μm)した後、自然乾燥して得られた塗膜について、黒地上のカラーを色差計(スガ試験機製SMカラーコンピューターSM−5型)にて測色する。
【0012】
この方法で他の材料と比較すると、一般的に、顔料酸化チタンの場合は隠蔽力が大きく高い白色度を有するためL値が50を超え、超微粒子酸化チタンの場合は青色光の散乱によりb値が−10未満となる。
【0013】
本発明で用いる強凝集性酸化チタンは、固体触媒活性や光触媒活性を抑制する目的で、粒子表面に、Al、Si、Zr、Ti、Znから成る群より選ばれた少なくとも1種の含水酸化物および/または酸化物が被覆されていても良く、さらにこれらの処理と同時、または単独でシリコーン化合物、シラン、金属石鹸、フッ素化合物、水溶性高分子化合物、N−アシル化リジン、ポリオール、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂などから成る群より選ばれた少なくとも1種の有機物が被覆されていても良い。これらの表面処理により、濡れ性の改善、耐皮脂性付与、分散性の改良を適宜行うことができる。この内、メチルハイドロジェンポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、フルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性シリコーンなどのシリコーン化合物、オクチルトリエトキシシランなどのシラン類、ステアリン酸亜鉛などの金属石鹸、パーフルオロアルキルリン酸ジエタノールアミン塩、テフロン、パーフルオロアルキルシランなどのフッ素化合物、デオキシリボ核酸、ヒアルロン酸などの水溶性高分子化合物、N−ラウロイルリジンなどのN−アシル化リジンで処理されたものは化粧料に配合時の上記特性に特徴がでるため特に好ましい。
【0014】
本発明で用いる強凝集性酸化チタンの製造方法としては、例えば、以下の2段階の方法を用いることが出来る。
▲1▼硫酸チタニル水溶液を、核の存在下、加熱加水分解する工程
▲2▼加水分解生成物を600〜900℃の温度で焼成する工程
出発原料となる硫酸チタニルは、通常、イルメナイト鉱石を硫酸と反応させて製造することができる。これは酸化チタン工業において蒸解と呼ばれるが、イルメナイト鉱石に限らず、例えば、含水酸化チタンを蒸解しても良い。この生成物を水で希釈し、必要に応じて不純物を除去した後、加熱により加水分解を行う。この際、加水分解反応を促進させ、かつ粒度や結晶性を調整する目的で、酸化チタンの微結晶である核を添加する。こうして得た加水分解生成物を濾過し、必要に応じて洗浄した後、600〜900℃で焼成を行う。焼成温度がこの範囲よりも低いと一次粒子径は小さくなるが強凝集とはならず、逆に高いと一次粒子径が大きくなり過ぎ、本発明の酸化チタンが得られない。この後、必要に応じ粉砕、整粒を行った後、常法によりAl、Si、Zr、Ti、Znなどの含水酸化物および/または酸化物を被覆しても良い。
【0015】
本発明で用いる酸化チタンが強凝集性であることは、主として上述の製造方法に由来すると考えられる。強凝集性となるメカニズムの詳細は必ずしも明らかではないが、加水分解あるいは焼成工程における結晶成長の段階で表面エネルギーが非常に大きくなる状態があり、その際に粒子同士が強く凝集するものと考えられる。
【0016】
本発明で用いるシリコーンエラストマー球状粉体とは、3次元架橋型シリコーン末のことであり、その一次粒子形状が球状である粉体の集合体を指す。具体的には、東レ・ヴウコーニング・シリコーン社製のトレフィルE−505C、トレフィルE−506、トレフィルE−507などが該当するが、臭いなどの対策が採られているトレフィルE−507が最も好ましい。尚、これらの粉末の一次粒子はほとんどが、一次粒子径として0.1〜20μmの範囲に該当する。
【0017】
本発明で用いるシリコーンエラストマー球状粉体は、従来公知の表面処理、例えば、シリコーン処理、シリコーンレジン処理、シラン処理、無機酸化物処理、樹脂処理、粘剤処理、フッ素化合物処理、メカノケミカル処理などの表面処理が行ってあってもなくても構わない。
【0018】
本発明で用いるシリコーンエラストマー球状粉体は、事前に混練り処理、または湿式粉砕処理が行われたシリコーンエラストマー球状粉体混練ペーストとして使用することが、化粧料の感触を向上させ、より均一な塗膜を形成でき、キメやシワをより隠蔽できる効果があるため好ましい。例えば、シリコーンエラストマー球状粉体を揮発性油剤および/または不揮発性油剤と事前に混練装置や湿式粉砕装置を用いてペースト状に変化させることが挙げられる。揮発性油剤の例としては、環状シリコーン、低分子直鎖状シリコーン、軽質流動イソパラフィン、次世代フロン、パーフルオロポリエーテル、アルコール類、石油エーテル、テルペン類などが挙げられる。また、不揮発性油剤の例としては、常温で液状、固形状、ペースト状であって従来公知の原料であれば問題ないが、例えば、シリコーン油、エステル油、極性油、油脂、フッ素系油などが挙げられる。また、トリメチルシロキシケイ酸の様に他の油剤に溶解して用いるものも使用可能である。これらの内、特に環状シリコーン、ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、パーフルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性シリコーン、シリコーン樹脂などのシリコーン油やエステル油がシリコーンエラストマー球状粉体との相性に優れるため好ましい。また、シリコーン油と組み合わせた場合には、より透明性の高いペーストが得られる。
【0019】
混練装置や湿式粉砕装置を用いてシリコーンエラストマー球状粉体をペースト状に変化させる場合には、ロールミル、エクストルーダー(連続式押し出し混練装置)、ビーズミル、サンドミル、マイクロス(奈良機械製作所製)などの湿式媒体粉砕装置を用いることが好ましいが、揮発性溶媒や非液状油を用いる場合には多軸式のエクストルーダーが最も好ましく、非揮発性油を用いる場合では、粉砕力の強さからロールミルが好ましい。
【0020】
本発明で用いるシリコーンエラストマー球状粉体と、上記油剤の混合比率(重量比)としては、3:97〜80:20の範囲であることが好ましく、特に好ましくは25:75〜60:40である。シリコーンエラストマー球状粉体の混合比率が3重量%未満ではエラストマーの効果が得られ難く、また80重量%を超えると混練の効果が得られにくい問題がある。
【0021】
本発明の化粧料に、強凝集性酸化チタンと、シリコーンエラストマー球状粉体を配合する割合としては、化粧料総量に対して、強凝集性酸化チタンが0.5〜50重量%、シリコーンエラストマー球状粉体が0.3〜70重量%の範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは 強凝集性酸化チタンが1〜30重量%、シリコーンエラストマー球状粉体が1〜30重量%の範囲である。
【0022】
本発明の化粧料では、上記の強凝集性酸化チタン以外に、通常化粧料に用いられる粉体(顔料、色素、樹脂)、油剤、フッ素化合物、樹脂、界面活性剤、紫外線防御剤、抗酸化剤、粘剤、防腐剤、香料、保湿剤、生理活性成分、塩類、溶媒、キレート剤、中和剤、pH調整剤などの成分を同時に配合することができる。
【0023】
粉体としては、例えば、赤色104号、赤色201号、黄色4号、青色1号、黒色401号などの色素、黄色4号Alレーキ、黄色203号Baレーキなどのレーキ色素、ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、テフロンパウダー、シリコーンパウダー、セルロースパウダー、キチン、キトサン、アルギン酸カルシウムなどの高分子、黄酸化鉄、赤色酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、カーボンブラック、群青、紺青などの有色顔料、酸化チタン、酸化セリウムなどの白色顔料、タルク、マイカ、セリサイト、カオリンなどの体質顔料、雲母チタンなどのパール顔料、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウムなどの金属塩、シリカ、アルミナなどの無機粉体、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、粒子酸化鉄、アルミナ処理微粒子酸化チタン、シリカ処理微粒子酸化チタン、ベントナイト、スメクタイトなどが挙げられる。これらの粉体の形状、大きさに特に制限はない。この内、強凝集性酸化チタンと、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛などの無機系紫外線防御成分とを組み合わせて使用することは、紫外線防御効果を向上させる上で好ましい。
【0024】
また、上記の粉体は、従来公知の各種表面処理、例えば、シリコーン処理、シラン処理、フッ素化合物処理、油剤処理、金属石鹸処理、ワックス処理、N−アシル化リジン処理、水溶性高分子化合物処理、樹脂処理、金属酸化物処理、プラズマ処理、メカノケミカル処理、粘剤処理などが行われていてもいなくても構わない。
【0025】
油剤の例としては、セチルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノールなどの高級アルコール、イソステアリン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸などの脂肪酸、グリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどの多価アルコール、ミリスチン酸ミリスチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸イソプロピル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、モノステアリン酸グリセリン、フタル酸ジエチル、モノステアリン酸エチレングリコール、オキシステアリン酸オクチルなどのエステル類、流動パラフィン、ワセリン、スクワランなどの炭化水素、ラノリン、還元ラノリン、カルナバロウなどのロウ、ミンク油、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油、ツバキ油、ゴマ油、ヒマシ油、オリーブ油などの油脂、エチレン・α−オレフィン・コオリゴマーなどが挙げられる。
【0026】
また、別の形態の油剤の例としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、フルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性オルガノポリシロキサン、アルキル変性オルガノポリシロキサン、末端変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン、アモジメチコーン、アミノ変性オルガノポリシロキサン、シリコーンゲル、アクリルシリコーン、トリメチルシロキシケイ酸、シリコーンRTVゴムなどのシリコーン化合物、パーフルオロポリエーテル、フッ化ピッチ、フルオロカーボン、フルオロアルコール、フッ素化シリコーンレジンなどのフッ素化合物が挙げられる。
【0027】
界面活性剤としては、例えば、アニオン型界面活性剤、カチオン型界面活性剤、ノニオン型界面活性剤、ベタイン型界面活性剤を用いることができる。
【0028】
溶媒としては、精製水、エタノール、軽質流動イソパラフィン、低級アルコール、エーテル類、LPG、フルオロカーボン、N−メチルピロリドン、フルオロアルコール、パーフルオロポリエーテル、代替フロン、揮発性シリコーンなどが挙げられる。
【0029】
また、有機系の紫外線防御剤である紫外線吸収剤の例としては、例えば、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−硫酸、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、p−メトキシハイドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩、パラアミノ安息香酸(以後、PABAと略す)、サリチル酸ホモメンチル、メチル−O−アミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、オクチルジメチルPABA、メトキシケイ皮酸オクチル、サリチル酸オクチル、2−フェニル−ベンズイミダゾール−5−硫酸、サリチル酸トリエタノールアミン、3−(4−メチルベンジリデン)カンフル、2,4−ジヒドロキシベンゾフェニン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−N−オクトキシベンゾフェノン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、4−(3,4−ジメトキシフェニルメチレン)−2,5−ジオキソ−1−イミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、これらの高分子誘導体などが挙げられる。これらの紫外線吸収剤も強凝集性酸化チタンや無機系紫外線防御成分と併用して用いると製品の紫外線防御能を向上させるのに効果的である。
【0030】
また、本発明の化粧料では抗酸化剤を併用することが、酸化亜鉛粉末等の光触媒活性による他の配合成分の変質を防止するためにも好ましく、抗酸化剤の例としては、例えば、トコフェロール類、SOD、フェノール類、テルペン類、ブチルヒドロキシトルエン、ビタミンC、ビタミンE、カテキン類、グルコース、ヒアルロン酸、β−カロチン、テトラヒドロクルクミン、茶抽出物、ゴマ抽出物、アントシアニン、配糖体などの植物系等の抗酸化剤など従来公知の物質を用いることができる。
【0031】
本発明の化粧料としては、ファンデーション、白粉、アイシャドウ、アイライナー、チーク、口紅、ネイルカラーなどのメイクアップ化粧料、乳液、クリーム、ローション、カラミンローション、サンスクリーン剤、化粧下地料、補正料、サンタン剤、アフターシェーブローション、プレシェーブローション、パック料、クレンジング料、洗顔料、アクネ対策化粧料などの基礎化粧料、ヘアカラー、ボディパウダー、デオドラント、石鹸、ボディシャンプー、入浴剤、香水などが挙げられる。
【0032】
本発明の化粧料の剤型としては、二層状、油中水型エマルション、水中油型エマルション、ジェル状、スプレー、ムース状、油性、固型状など従来公知の剤型を使用することができる。特に、ファンデーション用途としては、固型状、固型エマルション状、ジェル状、油中水型エマルション、水中油型エマルション、油性、ムースなどが好ましい。
【0033】
本発明の化粧料としては、白色以外の着色料を用いずに、外観が白色である化粧料、特にファンデーションなどのメイクアップ化粧料、化粧下地料、補正料がその効果を発揮する場合に好適である。白色の化粧料等は一般的に、化粧下地料として用いた場合には肌色を補正し、ファンデーションを明るく見せる効果があるが、本発明で用いた強凝集性酸化チタンとシリコーンエラストマー球状粉体の組み合わせによる白色化粧料は、化粧下地料として用いた場合に、その効果をより強くすることが可能である。また、本発明の組み合わせによる白色化粧料を他のファンデーションと混ぜ合わせて使用した場合には、使用者の肌色にファンデーションの色を合わせることが可能である以外に、ファンデーション自体のつきを良くし、化粧持続性を向上させる効果を付与することができる。
【0034】
すなわち、本発明の好適な化粧方法としては、本発明の白色化粧料を化粧下地料として用いた後、ファンデーション、アイシャドウ、チーク、フィルターカラー、頬紅、白粉などのメイク行為を行う方法、および本発明の白色化粧料とファンデーションを使用時に混合して、自分の肌の色に合わせて用いる方法が挙げられる。
【0035】
【実施例】
以下、製造例および実施例にて本発明を具体的に説明する。
尚、製造例の評価方法は前記の方法を用いた。
また、化粧料の評価は、以下の方法と基準に従って実施した。
【0036】
〔官能特性評価〕
専門パネラー20名を用いて、試作品(化粧料)の官能特性を評価した。評価項目としては、「キメ、シワが目立たないか」、「外観が自然で美しいと感じるか」、「感触に優れるか」の3項目で行った。「キメ、シワが目立たない」、「外観が自然で美しいと感じる」、「感触に優れる」を+5点、「キメ、シワが目立つ」、「きたなくつく」、「感触が悪い」を0点とし、その間を計4段階で評価し、全員の点数の合計を以て評価結果とした。従って、点数が高いほど、評価が高いことを示す。
【0037】
製造例1(強凝集性酸化チタン)
イルメナイト鉱石の蒸解によって得られた硫酸チタニル水溶液(TiO2 として200g/l)に、四塩化チタンを苛性ソーダで中和することによって得られる核を添加した後、110℃で3時間加熱加水分解し、含水酸化チタンを含む水性懸濁液を得た。この水性懸濁液を濾過し、十分に洗浄を行った。得られた洗浄ケーキを700℃で3時間焼成する事により、酸化チタンを得た。
(表面処理)
上記の酸化チタンを200g/lの水性スラリーとし、硫酸アルミニウムと水酸化ナトリウムを添加することにより、酸化チタン表面に含水酸化アルミニウムを被覆した。尚、表面処理量は、Al2 3 換算でTiO2 に対し5.0重量%とした。この後スラリーを濾過、洗浄して、得られた洗浄ケーキを120℃で一昼夜乾燥し、粉砕して本発明のアナタース形の強凝集性酸化チタンを得た。
【0038】
製造例1の強凝集性酸化チタン、市販の超微粒子酸化チタン(ルチル型)(サンプルA)、顔料級酸化チタン(アナタース型)(サンプルB)、顔料級酸化チタン(ルチル型)(サンプルC)、および中間粒径酸化チタン(ルチル型)(サンプルD)について評価した結果を表1に示す。尚、各試料の結晶型は粉末X線回折法を用いて測定し、透過率としては、各試料を前述の方法で塗料化した後、三酢酸セルロースフィルムに塗布し、分光光度計(島津製作所製UV−2200A型、積分球付き)にて300nmの透過率を測定した。また、サンプルDは、比表面積が12.7m2 /gのものを合成して使用した。
【0039】
【表1】
Figure 0004046394
【0040】
表1より、本発明で用いられる強凝集性酸化チタンは既存の顔料級酸化チタン(サンプルB、サンプルC)と比較して塗膜のL値が低い、即ち隠蔽力が低く、紫外線遮蔽能が高いことが判る。また、超微粒子酸化チタン(サンプルA)と比較して塗膜のb値が高い、即ち青味が少ない事が判る。さらに、中間粒径酸化チタン(サンプルD)と比較しても、隠蔽力が低く、青みが少ないことが判る。
【0041】
実施例1(白色油性化粧料)
製造例1の強凝集性酸化チタンおよびシリコーンエラストマー球状粉体(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製トレフィルE−507)を用いて表2の処方に従って白色油性化粧料を作製した。
【0042】
【表2】
Figure 0004046394
【0043】
表2の各成分を粗混合した後、マイクロス(奈良機械製作所製)を用いて1300rpmで10分間混練り粉砕を行った。さらに、かきとりと粗混合を行い、この操作を合計3回繰り返して得られた溶液を容器に充填して製品とした。
【0044】
比較例1(白色油性化粧料)
実施例1の強凝集性酸化チタンの代わりに前記超微粒子酸化チタン(サンプルA)を配合した他は全て実施例1と同様にして製品を得た。
【0045】
比較例2(白色油性化粧料)
実施例1の強凝集性酸化チタンの代わりに前記顔料級酸化チタン(サンプルC)を配合した他は全て実施例1と同様にして製品を得た。
【0046】
比較例3(白色油性化粧料)
実施例1の強凝集性酸化チタンの代わりに前記中間粒径酸化チタン(サンプルD)を配合した他は全て実施例1と同様にして製品を得た。
【0047】
比較例4(白色油性化粧料)
実施例1のシリコーンエラストマー球状粉体の代わりにシリコーン処理セリサイトを配合した他は全て実施例1と同様にして製品を得た。
【0048】
実施例2(ファンデーション)
製造例1の強凝集性酸化チタンおよびシリコーンエラストマー球状粉体(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製トレフィルE−507)を用いて表3の処方に従ってファンデーションを作製した。但し、シリコーンエラストマー球状粉体は事前にロールミルを用いて、シリコーンエラストマー球状粉体とトリ(カプリル・カプリン酸)グリセリンで混合比率(重量比)が50:50のペーストを作製し、ペースト状シリコーンエラストマーとして配合した。また、強凝集性酸化チタンのシリコーン処理としては、メチルハイドロジェンポリシロキサン3重量%加熱処理を行った。
【0049】
【表3】
Figure 0004046394
【0050】
表3の各成分を粗混合した後、ロールミルを用いて混合を行い、容器に充填して製品を得た。
【0051】
実施例3(化粧方法)
ローションで肌を整えた後、実施例1の白色油性化粧料を化粧下地として使用し、次いで市販の2ウェイ型耐皮脂性パウダーファンデーションを使用した。
【0052】
実施例4(化粧方法)
ローションで肌を整えた後、実施例1の白色油性化粧料と市販のリクイドファンデーション(W/O型)を手の甲で自分の肌の色に合うように混ぜ合わせたものを使用した。
【0053】
比較例5(化粧方法)
ローションで肌を整えた後、比較例1の白色油性化粧料を化粧下地として使用し、次いで市販の2ウェイ型耐皮脂性パウダーファンデーションを使用した。
【0054】
比較例6(化粧方法)
ローションで肌を整えた後、比較例2の白色油性化粧料を化粧下地として使用し、次いで市販の2ウェイ型耐皮脂性パウダーファンデーションを使用した。
【0055】
比較例7(化粧方法)
ローションで肌を整えた後、比較例3の白色油性化粧料を化粧下地として使用し、次いで市販の2ウェイ型耐皮脂性パウダーファンデーションを使用した。
【0056】
比較例8(化粧方法)
ローションで肌を整えた後、比較例4の白色油性化粧料を化粧下地として使用し、次いで市販の2ウェイ型耐皮脂性パウダーファンデーションを使用した。
【0057】
表4に、化粧料の実施例1〜2および比較例1〜4の評価結果を示す。また、表5に各化粧方法についての評価結果を示す。
【0058】
【表4】
Figure 0004046394
【0059】
【表5】
Figure 0004046394
【0060】
表4より、本発明の実施例1〜2は、キメ、シワが目立たずに、外観が美しく、感触にも優れていることが判った。これに対して、シリコーンエラストマー球状粉体と従来の超微粒子酸化チタンを配合した比較例1の化粧料は青白さが出て血色が悪く見え、顔料級酸化チタンを配合した比較例2の化粧料はキメやシワが目立ち、中間粒子径酸化チタンを配合した比較例3の化粧料では全体的な評価は高いものの青白さに由来する原因のために評価がやや悪い結果になった。さらに、シリコーンエラストマー球状粉体を配合せずに強凝集性酸化チタンのみを配合した比較例4の場合では、強い油性感が発生し、全ての項目で評価が悪くなった。
【0061】
表5より、本発明の実施例3〜4の化粧方法は、キメ、シワが目立たずに、外観が美しく、感触にも優れていることが判った。特に、化粧下地料として本発明の白色化粧料を用いることで、外観が自然で美しい化粧仕上がりが得られること、また、本発明の白色化粧料をファンデーションと混合することで、自分の肌色にあった違和感のない化粧仕上がりが得られ、化粧効果の持続性に優れることが確認された。これに対して、従来の超微粒子酸化チタンや顔料級酸化チタンを配合した化粧料を使用した場合では評価が悪くなっていることが判る。さらに、中間粒径酸化チタンを用いた化粧料を使用した場合では、前記同様に全体の評価は高いものの、外観に多少違和感が出てしまった。また、シリコーンエラストマー球状粉体を配合せずに強凝集性酸化チタンのみを配合した場合では、油性感が強すぎ評価が悪くなった。
【0062】
【発明の効果】
以上述べたように、強凝集性酸化チタンとシリコーンエラストマー球状粉体を配合した本発明の化粧料は、肌のキメ、シワが目立たずに、外観が美しく、感触にも優れている。さらに、本発明の化粧料を用いた化粧方法により、外観が自然で美しい化粧仕上がりが簡単に得られる。

Claims (6)

  1. (1)四塩化チタンを苛性ソーダで中和することによって得られる酸化チタン微結晶核の存在下、硫酸チタニル水溶液を加熱加水分解する工程と、(2)加水分解生成物を600〜900℃の温度で焼成する工程によって得られる、一次粒子径が0.01〜0.1μm、かつ二次粒子径が0.6〜2.0μmであり、結晶形がアナタースである強凝集性酸化チタンと、シリコーンエラストマー球状粉体を配合した化粧料。
  2. (1)四塩化チタンを苛性ソーダで中和することによって得られる酸化チタン微結晶核の存在下、硫酸チタニル水溶液を加熱加水分解する工程と、(2)加水分解生成物を600〜900℃の温度で焼成する工程によって得られる、一次粒子径が0.01〜0.1μm、かつ二次粒子径が0.6〜2.0μmであり、結晶形がアナタースである強凝集性酸化チタンと、シリコーンエラストマー球状粉体ペーストを配合した化粧料。
  3. (1)四塩化チタンを苛性ソーダで中和することによって得られる酸化チタン微結晶核の存在下、硫酸チタニル水溶液を加熱加水分解する工程と、(2)加水分解生成物を600〜900℃の温度で焼成する工程によって得られる、一次粒子径が0.01〜0.1μm、かつ二次粒子径が0.6〜2.0μmであり、結晶形がアナタースである強凝集性酸化チタンと、シリコーンエラストマー球状粉体を配合した、外観色が白色であることを特徴とする化粧料。
  4. 強凝集性酸化チタンを塗膜にした時のL値が35〜50、b値が−10〜0の範囲の強凝集性酸化チタンである請求項1〜3のいずれか1項に記載の化粧料。
  5. 請求項3に記載の化粧料を化粧下地として用いた後に、ファンデーションを使用することを特徴とする化粧方法。
  6. 請求項3に記載の化粧料とファンデーションを、使用時に混ぜ合わせて用いることを特徴とする化粧方法。
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