JP4046158B2 - 塗装膜測定方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定の物体に対して塗装を行った場合における塗装膜厚、膜厚分布や乾燥状態を測定するための塗装膜測定方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車ボディーを始めとした様々な工業製品においては、素地(下地)の防腐・防錆・防水・色彩効果の目的から、表面塗装が施されている。塗装膜の厚さムラ(不均一性)や品質不良(気泡・異物混入、乾燥不十分)はこれらの効果を低下させることから、塗装膜測定は塗装製品の品質管理のために重要である。今後予想される多種多様な塗装製品の膜厚測定ニーズに対して、素地や塗装膜の種類、多層膜構造に依存しない、万能な膜厚測定方法が強く求められている。
【0003】
一方で、厳密な膜厚コントロールのためには、塗装工程と同時にインプロセス(ウェット状態、ドライ状態)で膜厚を非接触リモート計測する手法が望まれている。さらに、膜厚以外の塗装膜情報(乾燥状態や異物・気泡混入)も得ることが出来れば、塗装膜の品質管理に有効である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように、塗装膜の品質管理では、以下の表に示すように非接触インプロセス測定、膜状態(ウェット膜、ドライ膜)、膜数(単層膜、多層膜)、膜厚分布、素地(鋼板、プラスチック)、測定精度±0.5μmのような性能が要求されている。ここで、インプロセスとは、塗装中において測定処理を実行できることをいう。また、ウェット膜とは、未乾燥の塗装膜をいう。
【0005】
【表1】
塗装膜の品質管理
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
要求される性能 従来法(超音波法、渦電流法)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
非接触・インプロセス測定 不可能
膜状態:ウェット膜及びドライ膜 ドライ膜のみ可能
膜数:単層膜及び多層膜 単層膜のみ可能
膜厚分布 不可能
素地:鋼板及びプラスチック 鋼板のみ可能
測定精度:±0.5μm 可能
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0006】
しかしながら、従来技術の接触式膜厚測定法ではこのような要求を全て満たすことは困難で、インプロセスの塗装膜モニタリングはこれまで実現されていないという問題点があった。また、ウェット膜の乾燥状態について高精度で測定することができなかった。
【0007】
本発明の第1の目的は以上の問題点を解決し、塗装中において塗装膜厚を測定することができ、しかもウェット膜や多層膜の膜厚を測定でき、膜厚分布をも測定可能な塗装膜測定方法及び装置を提供することにある。
【0008】
また、本発明の第2の目的は以上の問題点を解決し、塗装されたウェット膜の乾燥状態について高精度で測定することができる塗装膜測定方法及び装置を提供することにある。
【0009】
さらに、本発明の第3の目的は、塗装中において塗装膜厚を測定し又は塗装されたウェット膜の乾燥状態を測定するための信号波形を、従来技術に比較して高精度で測定できる塗装膜測定方法及び装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る塗装膜測定方法は、所定の繰り返し周期に比較して実質的に十分に短い持続時間を有するレーザ光を上記繰り返し周期で繰り返し発生するステップと、
所定の周波数を有する参照高周波信号を発生するステップと、
上記発生されたレーザ光をポンプパルス光として用いて、上記ポンプパルス光による光伝導効果を用いてテラヘルツ電磁波パルスを発生しかつ上記参照高周波信号に従って変調して所定の塗装膜に対して放射するステップと、
上記発生されたレーザ光であるプローブパルス光を所定の遅延時間量だけ遅延させて出力するステップと、
上記塗装膜から反射されてくるテラヘルツエコーパルスと、上記光遅延手段から出力されるプローブパルス光とを入射し、電気光学効果を用いて、上記テラヘルツエコーパルスの強度に従って上記プローブパルス光に複屈折量を与えて出力するステップと、
上記複屈折量を受けて出力されるプローブパルス光を電気信号に光電変換して出力するステップと、
上記発生された参照高周波信号に基づいて、上記電気信号を同期検出することにより、上記プローブパルス光の複屈折量に実質的に比例する測定信号を発生して出力するステップと、
上記測定信号に基づいて、上記遅延時間量を変化させながら、上記テラヘルツエコーパルスを時分割して上記テラヘルツエコーパルスの信号波形を測定するステップとを含むことを特徴とする。
【0011】
上記塗装膜測定方法において、好ましくは、上記塗装膜に対して上記テラヘルツ電磁波パルス光を放射したときに測定された複数のテラヘルツエコーパルス間の時間差を計算するステップと、
上記計算された複数のテラヘルツエコーパルス間の時間差に基づいて、上記塗装膜の膜厚を計算するステップとをさらに含むことを特徴とする。
【0012】
また、上記塗装膜測定方法において、好ましくは、上記塗装膜に対して上記テラヘルツ電磁波パルス光を放射したときに測定された複数のテラヘルツエコーパルスの信号波形をフーリエ変換して複数のテラヘルツエコーパルスに対する振幅スペクトルを計算するステップと、
上記計算された複数のテラヘルツエコーパルスに対する振幅スペクトルに基づいて、当該複数のテラヘルツエコーパルスに対する振幅スペクトルの比の対数を計算することにより、上記塗装膜の乾燥状態を示す吸光度の周波数特性である吸収スペクトルを計算するステップとをさらに含むことを特徴とする。
【0013】
また、上記塗装膜測定方法において、好ましくは、上記塗装膜を1次元又は2次元で移動させるステップをさらに含むことを特徴とする。
【0014】
本発明に係る塗装膜測定装置は、所定の繰り返し周期に比較して実質的に十分に短い持続時間を有するレーザ光を上記繰り返し周期で繰り返し発生するレーザ手段と、
所定の周波数を有する参照高周波信号を発生する信号発生手段と、
上記発生されたレーザ光をポンプパルス光として用いて、上記ポンプパルス光による光伝導効果を用いてテラヘルツ電磁波パルスを発生しかつ上記参照高周波信号に従って変調して所定の塗装膜に対して放射する光伝導スイッチ手段と、
上記発生されたレーザ光であるプローブパルス光を所定の遅延時間量だけ遅延させて出力する光遅延手段と、
上記塗装膜から反射されてくるテラヘルツエコーパルスと、上記光遅延手段から出力されるプローブパルス光とを入射し、電気光学効果を用いて、上記テラヘルツエコーパルスの強度に従って上記プローブパルス光に複屈折量を与えて出力する電気光学手段と、
上記電気光学手段から複屈折量を受けて出力されるプローブパルス光を電気信号に光電変換して出力する光電変換手段と、
上記発生された参照高周波信号に基づいて、上記電気信号を同期検出することにより、上記プローブパルス光の複屈折量に実質的に比例する測定信号を発生して出力する同期検出手段と、
上記測定信号に基づいて、上記遅延時間量を変化させながら、上記テラヘルツエコーパルスを時分割して上記テラヘルツエコーパルスの信号波形を測定する信号波形測定手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】
上記塗装膜測定装置において、好ましくは、上記塗装膜に対して上記テラヘルツ電磁波パルス光を放射したときに測定された複数のテラヘルツエコーパルス間の時間差を測定する時間差測定手段と、
上記計算された複数のテラヘルツエコーパルス間の時間差に基づいて、上記塗装膜の膜厚を計算する第1の計算手段とをさらに備えたことを特徴とする。
【0016】
また、上記塗装膜測定装置において、好ましくは、上記塗装膜に対して上記テラヘルツ電磁波パルス光を放射したときに測定された複数のテラヘルツエコーパルスの信号波形をフーリエ変換して複数のテラヘルツエコーパルスに対する振幅スペクトルを計算する第2の計算手段と、
上記計算された複数のテラヘルツエコーパルスに対する振幅スペクトルに基づいて、当該複数のテラヘルツエコーパルスに対する振幅スペクトルの比の対数を計算することにより、上記塗装膜の乾燥状態を示す吸光度の周波数特性である吸収スペクトルを計算する第3の計算手段とをさらに備えたことを特徴とする。
【0017】
さらに、上記塗装膜測定装置において、好ましくは、上記塗装膜を1次元又は2次元で移動させる移動手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態について説明する。
【0019】
本発明者らは、光波と電波の境界に位置し両者の性質を有するテラヘルツ電磁波パルスに注目し、ここで、テラヘルツ電磁波パルスは、良好な透過特性、非接触リモート、超短パルス、イメージング測定が可能、広帯域スペクトル、低侵襲、低散乱、といった特徴を有しており、これらの特徴を利用することにより、以下に詳述するように、インプロセス計測、ウェット膜、多層膜、膜厚分布、乾燥状態といった測定機能を有する高機能インプロセス膜厚測定法を実現することができる。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係る塗装膜厚測定及び乾燥状態測定システムの構成を示すブロック図である。この測定システムは、
(a)所定の繰り返し周期に比較して実質的に十分に短い持続時間を有するレーザ光を上記繰り返し周期で繰り返し発生するフェムト秒パルスレーザ装置10と、
(b)所定の周波数を有する参照高周波信号を発生する高周波信号発振器40と、
(c)上記発生されたレーザ光をポンプパルス光として用いて、上記ポンプパルス光による光伝導効果を用いてテラヘルツ電磁波パルスを発生しかつ上記参照高周波信号に従って変調してサンプル50の塗装膜に対して放射する光伝導スイッチ14及び放物面ミラー16,18と、
(d)上記発生されたレーザ光であるプローブパルス光を所定の遅延時間量だけ遅延させて出力する交差ミラー23及びステッピング型一方向移動機構24と、
(e)上記塗装膜から反射されてくるテラヘルツエコーパルスと、上記光遅延されたプローブパルス光とを入射し、電気光学効果を用いて、上記テラヘルツエコーパルスの強度に従って上記プローブパルス光に複屈折量を与えて出力する電気光学結晶板28と、
(f)上記複屈折量を受けて出力されるプローブパルス光を電気信号に光電変換して出力するバランス検出型フォトダイオード装置32と、
(g)上記発生された参照高周波信号に基づいて、上記電気信号を同期検出することにより、上記プローブパルス光の複屈折量に実質的に比例する測定信号を発生して出力するロックイン増幅器42と、
(h)上記測定信号に基づいて、上記一方向移動機構24を制御して上記遅延時間量を変化させながら、上記テラヘルツエコーパルスを時分割して上記テラヘルツエコーパルスの信号波形を測定するコンピュータ45とを備えたことを特徴としている。
【0021】
ここで、コンピュータ45は、例えばデジタル計算機で構成され、上記塗装膜に対して上記テラヘルツ電磁波パルス光を放射したときに測定された複数のテラヘルツエコーパルス間の時間差を計算し、上記計算された複数のテラヘルツエコーパルス間の時間差に基づいて、上記塗装膜の膜厚を計算することを特徴としている。また、コンピュータ45は、上記塗装膜に対して上記テラヘルツ電磁波パルス光を放射したときに測定された複数のテラヘルツエコーパルスの信号波形をフーリエ変換して複数のテラヘルツエコーパルスに対する振幅スペクトルを計算し、上記計算された複数のテラヘルツエコーパルスに対する振幅スペクトルに基づいて、当該複数のテラヘルツエコーパルスに対する振幅スペクトルの比の対数を計算することにより、上記塗装膜の乾燥状態を示す吸光度の周波数特性である吸収スペクトルを計算することを特徴としている。
【0022】
図6は、図1の塗装膜厚測定及び乾燥状態測定システムの測定原理を示す図であって、図6(a)は自動車ボディー塗装における多層塗装膜の一例を示す断面図であり、図6(b)は図6(a)において測定されたテラヘルツパルスエコー光を示す時間波形図である。また、図7(a)は図6の測定結果に基づいて計算された振幅スペクトルを示すグラフであり、図7(b)は図7(a)の振幅スペクトルに基づいて計算された吸収スペクトルを示すグラフである。以下、図6及び図7を参照して、当該システムの測定原理について説明する。
【0023】
例えば自動車ボディーでは、図6(a)に示すように多層の塗装膜が施されている。図6(a)において、自動車ボディーの素地である鋼板60上に電着塗装膜61が形成され、その上にチョッピングプライマー塗装膜62が形成され、その上に中塗り塗装膜63が形成され、その上にベース塗装膜64が形成された後、その上に、最も外側のクリヤ塗装膜65が形成されている。ここで、空気と塗装膜65との間に境界面IP1が存在し、塗装膜65と塗装膜64との間に境界面IP2が存在し、塗装膜64と塗装膜63との間に境界面IP3が存在する。また、塗装膜63と塗装膜62との間に境界面IP4が存在し、塗装膜62と塗装膜61との間に境界面IP5が存在し、塗装膜61と鋼板60との間に境界面IP6が存在する。
【0024】
このような多層膜に対して、繰り返し周期に対して十分に時間幅の短い(本実施形態においては、好ましくは100フェムト秒乃至/ピコ秒(psec)の範囲の持続時間を有し、実施例では400フェムト秒の持続時間を有する)テラヘルツ電磁波パルスを入射すると、屈折率不連続面である各境界面IP1乃至IP6から反射テラヘルツ電磁波パルス(以下、テラヘルツエコーパルスという。)が反射されて戻ってくる。このエコーパルスを、詳細後述するように時間分解測定すると図6(b)の時間波形結果を得ることができ、次いで、それぞれ互いに隣接する各境界面からのエコーパルスP1,P2間の時間差T12、エコーパルスP2,P3間の時間差T23、及びエコーパルスP3,P4間の時間差T34を計算する。なお、具体的には、2つのエコーパルス間の時間差は、各エコーパルスのピーク位置間の時間差により計算される。これら計算された時間差T12,T23,T34に基づいて、タイム・オブ・フライト法を用いて、次式により各塗装膜の膜厚を測定することができる。
【0025】
【数1】
膜厚=(時間差×光速)/(塗装膜の群屈折率)
【0026】
ここで、塗装膜の群屈折率はテラヘルツ帯での値であり、光速は約3×108[m/sec]である。
【0027】
一方、テラヘルツ時間領域分光法を用いて、各エコーパルスの時間波形をフーリエ変換するとフーリエスペクトル(振幅スペクトル及び位相スペクトル)を計算することができる。例えば、図6(b)のエコーパルスP1とP2をフーリエ変換して得た振幅スペクトルがそれぞれ図7(a)におけるTP1,TP2である。この2つの振幅スペクトルTP1,TP2の比の対数を次式を用いて計算すると、境界面IP1と境界面IP2の間に存在する塗装膜65の吸収スペクトルを図7(b)のごとく得ることができる。
【0028】
【数2】
吸光度(任意単位)=−ln(TP2/TP1)
【0029】
上記式の吸光度はいわゆる全吸光度であり、クリヤ塗装膜65の膜厚Lで規格化された吸光度(cm−1)は次式で計算することができる。
【0030】
【数3】
吸光度(cm−1)=(−2/L)ln(TP2/TP1)
【0031】
この吸収スペクトルを用いた分光学的手法から、塗装膜の成分分析が可能である。ここで、塗装直後から乾燥するまでの吸収スペクトルの時間的変化に注目すると、これは溶媒(ペイント・シンナーなど)の揮発による変化であることから、これを用いて未乾燥の塗装膜であるウェット膜の乾燥状態をモニターすることとが可能である。また、気泡や異物の識別も可能である。このように、テラヘルツ・エコー法を用いた膜厚測定と、テラヘルツ時間領域分光法による乾燥状態測定を複合させることにより、高機能な塗装膜モニタリング法を実現することができる。
【0032】
なお、乾燥状態を吸収スペクトルでモニターする場合、周波数によって吸光度(感度)が異なるので、高感度化を実現するためには周波数の選択(例えば、1.75THz付近や2THz付近に見られるウェット膜に特徴的な吸収)が重要である。一方、乾燥状態をパルス形状から判断する場合には、原理的には各周波数成分の吸光度を積分した値として現れるので、高感度化が困難である。また、パルス形状が全体的に小さくなると同時に波形も歪むので、そのピーク値だけで評価するのは困難である。以上のことより、吸収スペクトルを利用する必要がある。
【0033】
次いで、図1の塗装膜厚測定及び乾燥状態測定システムの詳細構成について、以下に説明する。
【0034】
図1において、テラヘルツ電磁波パルスの発生及び検出のために、フェムト秒パルスレーザ装置10を用いる。フェムト秒パルスレーザ装置10は、中心波長810nmであり、パルス幅60fsecを有し、パワー200mWでかつ、繰り返し周波数87MHzでレーザ光を発生する。ここで、パルス幅60fsecは繰り返し周期に対して実質的に十分に狭い。フェムト秒パルスレーザ装置10により発生されたレーザ光は平面ミラー11により反射された後、ビームスプリッタ12により、テラヘルツ電磁波パルス発生用ポンプパルス光と、検出用プローブパルス光とに分岐される。ポンプパルス光は集光レンズ13により、超半球型シリコンレンズ15を備えた光伝導スイッチ14の受光面に集光される。
【0035】
一方、同期検出のための参照信号となる参照高周波信号は高周波信号発振器40により発生され、増幅器41を介して光伝導スイッチ14のエミッタバイアス電圧として入力される。ここで、光伝導スイッチ14の構造は、図2(a)に示すように、光伝導膜上に金属にてなり長手方向の中央部に突出部81a,82aを持つ1対の電極81,82からなる平行伝送線路80を備えて構成される。1対の電極81,82には直流バイアス電圧源83が接続されて、バイアス電圧が印加されている。なお、図1の実施形態においては、直流バイアス電圧83の代わりに高周波信号発振器40からの高周波信号がバイアス電圧として印加される。ポンプパルス光を突出部81a,82a間のギャップに通過させると、図2(b)に示すように、当該ポンプパルス光でギャップが励起され、光吸収により電子と正孔のキャリアが瞬時光伝導効果により瞬時的に生成される。すなわち、1対のアンテナである電極81,82間の直流バイアス電圧によって瞬時電流が流れ、この電流の時間微分に比例したテラヘルツ電磁波パルス(双極子放射)が発生することになる。従って、光伝導スイッチ14は入射されるポンプパルス光による光伝導効果を用いて、例えばポンプパルス光のパルス幅よりも広いパルス幅(例えば、100フェムト秒ないし1ピコ秒)を有するテラヘルツ電磁波パルスを発生しかつ上記参照高周波信号に従って強度変調し、変換されたテラヘルツ電磁波パルスは超半球型シリコンレンズ15を介して、軸外し放物面ミラー16によって平行光線にされ、平面ミラー17で反射された後、別の軸外し放物面ミラー18によって、例えば自動車ボディーであるサンプル50の塗装膜の面に対して垂直な方向で放射される。ここで、テラヘルツ電磁波パルスはガラスの吸収が非常に大きいために通常のガラスレンズを使用することができず、放物面ミラー16,18はテラヘルツ電磁波パルスを平行化又は集光するために用いられる。
【0036】
上記サンプル50はXYステージ51上に載置され、コンピュータ52からの制御信号S2に応答して、当該XYステージ移動機構52はサンプル50の塗装膜の平面に対して平行なX−Y平面(2次元)でサンプル50を移動させることができ、これにより、サンプル50の塗装膜の位置を1次元又は2次元で移動させて、後述するように当該塗装膜の膜厚や乾燥状態をイメージング測定する。サンプル50の塗装膜から反射されたテラヘルツ電磁波パルスはテラヘルツエコーパルスとして軸外し放物面ミラー18によって平行光線にされた後、3番目の軸外し放物面ミラー19によってビームスプリッタ27を介して電気光学結晶板28に集光される。
【0037】
一方、ビームスプリッタ12により分岐されたプローブパルス光は、平面ミラー21,22により反射された後、交差ミラー23及びそれを光軸に平行な方向23aで移動させるステッピング型一方向移動機構24により所定の遅延時間が与えられる。ここで、交差ミラー23は、2つの平面ミラーが直交して組み合わせられて構成され、平面ミラー22からのプローブパルス光を一方の平面ミラーで入射角45度で受光した後出射角45度で反射し、当該反射光を他方の平面ミラーで入射角45度で受光した後出射角45度で反射して出力する。コンピュータ45からの制御信号S1に応答して、ステッピング型一方向移動機構24は、交差ミラー23を、平面ミラー22からのプローブパルス光の光軸及び平面ミラー25へのプローブパルス光の光軸に対して平行な方向23aで所定のステップ距離でコマ送り的に移動することにより、プローブパルス光の時間遅延量を離散的に変化させる。
【0038】
交差ミラー23からのプローブパルス光は平面ミラー25により反射され、偏光子26で直線偏光にされ、ビームスプリッター27により反射して電気光学結晶板28に入射される。これにより、当該プローブパルス光と、テラヘルツエコーパルスとは空間的に電気光学結晶板28内で重ね合わされる。テラヘルツエコーパルスとプローブパルス光が当該電気光学結晶板28の結晶内で時間的に重なったときのみ、テラヘルツエコーパルスによる電気光学効果(複屈折)をプローブパルス光が受け、これにより、直線偏光のプローブパルス光が楕円偏光化される。複屈折量はテラヘルツエコーパルスの強度に比例する。電気光学効果を受けたプローブパルス光は平面ミラー29により反射された後、楕円偏光のp偏光とs偏光との間にπ/2の位相差を与える1/4波長板30を介して検光子31に入射され、検光子31は入射されたプローブパルス光をp偏光とs偏光とに分岐し、分岐されたp偏光をバランス検出型フォトダイオード装置32のフォトダイオード32aに入射させる一方、分岐されたs偏光をバランス検出型フォトダイオード装置32のフォトダイオード32bに入射させる。ここで、バランス検出型フォトダイオード装置32は1対のフォトダイオード32a,32bを備えて構成され、上記2つの偏光成分の光信号の強度差に比例する電気信号に光電変換して測定信号としてロックイン増幅器42に出力する。ここで、この測定信号は、テラヘルツエコーパルスによる電気光学効果を受けたプローブパルス光の複屈折量であり、この複屈折量はテラヘルツエコーパルスの強度に比例する。
【0039】
図3は図1のロックイン増幅器42の構成を示すブロック図である。図3において、バランス検出型フォトダイオード装置32からの測定信号は増幅器91を介して乗算器である混合器92に入力される一方、高周波信号発振器40からの高周波参照信号が混合器92に入力される。混合器92は入力される2つの信号を混合し、混合後の信号を、直流成分のみを低域ろ波する低域通過フィルタ93及び増幅器94を介して、同期検出(ロックイン検出)された出力測定信号としてGB−IBインターフェースを介してコンピュータ45に出力する。コンピュータ45は、図8の塗装膜厚測定及び乾燥状態測定処理を実行することにより、入力される測定信号に基づいて、テラヘルツエコーパルスの時間波形を測定し、塗装膜厚を計算した後、吸収スペクトルを計算することにより塗装膜の乾燥状態を測定する。
【0040】
次いで、上記同期検出について以下に補足説明する。同期検出するためには、信号光であるテラヘルツ電磁波パルスに強度変調をかける必要があるが、従来は、光チョッパーでポンプ光を強度変調することにより、テラヘルツ電磁波パルスの強度変調を行っていたが、この手法だと変調周波数は数kHz程度で制限される。しかしながら、さらに測定SN比を向上するためには、レーザノイズが小さな100kHz以上で変調する方が望ましい。そこで、本発明者らは光伝導スイッチ14のバイアス電圧に注目し、従来このバイアス電圧には直流が加えられていたが、バイアス電圧と発生テラヘルツ電磁波パルスの強度には線形依存があるので、このバイアス電圧に高周波信号(100kHz以上)を加えることによって、高周波変調されたテラヘルツ電磁波パルスの発生が可能となる。そして、高周波ロックイン検出することにより、SN比の向上を実現することができるという特有の効果を有する。
【0041】
本実施形態においては、プローブパルス光はテラヘルツ電磁波パルスに比べてパルス幅が短いので、図4に示すように、プローブパルス光の時間遅延を連続的に変化させ、すなわち、イメージ的にはプローブを時刻t1からt2までコマ送り的に移動させながら複屈折量変化を測定することにより、テラヘルツ電磁波パルスの時間波形を再現することができる。
【0042】
すなわち、テラヘルツ電磁波パルスの時間波形(ピコ秒以下)を検出器とオシロで直接的に測定することは不可能なので、時間分解測定という手法を用いる。図1の交差ミラー23を光軸に平行な方向23aで、平面ミラー22,25に対して後進又は前進させると、プローブパルス光が伝搬する光路長が増加又は減少する。光速は一定なので、電気光学結晶板28に到達するプローブパルス光が時間的に遅れ又は早まる。従って、プローブパルス光の到着時間を、図4(a)の時刻t1から時刻t2まで連続的に変化するように、交差ミラー23の位置をコマ送り的に移動させ、そのときの信号値を同期検出することによって、テラヘルツエコーパルスの時間波形を再現して測定する。イメージ的には、テラヘルツエコーパルスの時間波形をプローブパルス光の時間幅で切り出して測定する(テラヘルツパルス幅>プローブパルス幅)。切り出すタイミングは、交差ミラー23の位置を変化させて発生させる時間遅延によって決定されるので、このタイミングを連続的に変化させそのときの信号変化からテラヘルツエコーパルスの時間波形を再現して測定する。これについて、図5のタイミングチャートを参照して以下に説明する。
【0043】
図5(a)に示すように、ポンプパルス光を例えば繰り返し周波数f=87MHzで発生させることにより、各ポンプパルス光に対応して、図5(b)に示すように、テラヘルツ電磁波パルスが繰り返し周波数87MHzで発生される。プローブパルス光の遅延時間を決める交差ミラー23のステージ位置をL1に設定し、このとき、例えば10個のプローブパルス光を用いてロックイン増幅器42により出力測定信号を測定し、所定のロックイン測定期間LVの最後部で同期検出の実質的な平均値の出力測定信号をサンプリングしてGP−IBの測定信号としてコンピュータ45に出力する。次いで、交差ミラー23のステージ位置をL2に設定し、これによりプローブパルス光の遅延時間を所定のステップ時間だけ大きくし、10個のプローブパルス光を用いてロックイン増幅器42により出力測定信号を測定し所定のロックイン測定期間LVの最後部で同期検出の実質的な平均値の出力測定信号をサンプリングしてGP−IBの測定信号としてコンピュータ45に出力する測定処理を実行する。この測定処理を交差ミラー23のステージ位置をL1,L2,…,L9まで逐次コマ送り的に移動させて実行することにより、図5(d)に示すように、時間的に拡大されたテラヘルツ電磁波パルスの時間波形を得ることができる。
【0044】
図5のテラヘルツ電磁波パルスの時間波形を得る方法において、パルス数及び測定時間(ロックインアンプの時定数に対応する)は、測定SN比(サンプル数)と依存しており、例えば、1つの波形を数分で測定する場合には、通常本発明者らの実験では時定数100msecで測定しているが、その場合のパルス数は100ms×87MHz=8,700,000パルスになる。しかしながら、1つの波形を1秒以内で取りたい場合には、時定数1msecぐらいで測定しなければならず、そのときのパルス数は87,000パルスとなる。このように、パルス数及び測定時間は一概に固定した値ではなく、測定条件によって選択する必要がある。
【0045】
図8は図1のコンピュータ45によって実行される塗装膜厚測定及び乾燥状態測定処理を示すフローチャートである。図8において、まず、ステップS1で図1の測定システムを用いて、テラヘルツ・エコー法を用いてテラヘルツエコーパルスの時間波形を再現して測定し、次いで、ステップS2において、測定されたテラヘルツエコーパルスに基づいて互いに隣接する塗装膜間の境界面に発生するテラヘルツエコーパルス間の時間差を計算し、タイム・オブ・フライト法を用いて塗装膜厚を計算してCRTディスプレイ46に表示する。さらに、テラヘルツ時間領域分光法を用いて、上記測定されたテラヘルツエコーパルスに対してフーリエ変換及び対数計算等を行って振幅スペクトル及び吸収スペクトルを計算してCRTディスプレイ46に表示する。
【0046】
また、コンピュータ45によりXYステージ移動機構52を制御することにより、サンプル50が載置されたXYステージ51を1次元又は2次元で移動させながら、図8の塗装膜厚測定及び乾燥状態測定処理を実行することにより、サンプル50の塗装膜の位置を1次元又は2次元で移動させて塗装膜厚のイメージング測定を実行して膜厚分布を測定できるとともに、また、サンプル50の塗装膜の位置を1次元又は2次元で移動させて乾燥状態を測定して塗装膜の位置に依存した乾燥状態を測定できる。
【0047】
【実施例】
本発明者らは、図1の測定システムを用いて塗装膜の膜厚や乾燥状態などの測定について実験を以下のごとく行いその結果を得た。
【0048】
図9は、図1の塗装膜厚測定及び乾燥状態測定システムによって測定された基本特性の実施例であって、図9(a)は測定されたテラヘルツパルスエコー光を示す時間波形図であり、図9(b)は図9(a)に図示されたテラヘルツパルスエコー光に基づいて計算された振幅スペクトルを示すグラフである。すなわち、図9(a)は測定したテラヘルツ電磁波パルスの電界強度の時間波形を示しており、パルス幅は0.4psecであった。ここでの測定サンプルは自動車ボディーの素地に用いられるような金属粗面(アルミ板)である。従来可視光では散乱により金属粗面の測定は困難とされたが、テラヘルツ電磁波パルスの散乱効果が小さいという特徴により、ターゲットがミラーのときとほぼ同様の測定SN比が得られている。この時間波形をフーリエ変換して得られた振幅スペクトルが図9(b)であり、0から3THzの広帯域にスペクトル分布していることが分かる。
【0049】
図10は、図1の塗装膜厚測定及び乾燥状態測定システムの実施例であって、接触型膜厚計で測定された塗装膜厚と遅延時間との関係を示すグラフである。すなわち、図10は塗装膜の厚さと、パルス間の時間遅延の関係を示す実験結果であり、塗装膜厚は、接触型膜厚計(渦電流式、精度=±3%)で測定した。また、縦軸には時間遅延用自動ステージの変位量も併せて示してある。ここで、自動ステージは交差ミラー23のステージであり、その分解能サブマイクロメートル乃至マイクロメートルの範囲であり、右側縦軸の遅延時間は、上記ステージの変位量を光速で除算して、遅延時間に変換した値である。また、Rは測定値を回帰分析した時、回帰曲線からの測定値のばらつきを表すパラメータであり、回帰曲線の妥当性を評価するもので、R=1に近いほどよくフィットできている。さらに、SDは回帰曲線からの計算値と実測値のばらつきを標準偏差で評価した評価値であり、膜厚計の値が十分に信頼できるならば、本手法による膜厚測定の精度に対応すると考えられる。
【0050】
図10の膜厚とステージ変位量の関係(傾き)から、塗装膜の群屈折率が決定される。逆に言うと、膜厚が未知でも群屈折率が分かっていれば、時間遅延(ステージ変位量)から膜厚を逆算できる。塗装膜サンプルは第1の塗装膜のアクリル塗料(黒)(具体的には、ニトルセルロース、アクリル樹脂、顔料、有機溶剤を含む。)と、第2の塗装膜のエナメル塗料(白)(具体的には、アルキド、顔料、有機溶剤などを含む。)との2種類であり、第1の塗装膜の群屈折率は1.812であり、第2の塗装膜の群屈折率は2.612であり、群屈折率に差が見られた。また、回帰曲線からのばらつきは、第1の塗装膜で4μmであった。
【0051】
図11乃至図18は図1の塗装膜厚測定及び乾燥状態測定システムによって測定されたウェット膜におけるテラヘルツパルスエコー光の実施例であって、図11はウェット膜の塗装前の素地剥き出しサンプルに対する時間波形図であり、図12はウェット膜の塗装直後のサンプルに対する時間波形図であり、図13乃至図18はウェット膜の塗装後2分、4分、6分、8分、10分、12分経過時のサンプルに対する時間波形図である。すなわち、未乾燥の塗装膜であるウェット膜の膜厚を示すエコー波形の時間的変化(2分毎)の測定結果を示している。
【0052】
図12において、下側のピークが塗装膜表面と裏面からの2つのエコーに分割しており、これがウェット膜の膜厚に対応している。またそのピークレベルも溶媒の吸収によりかなり小さくなっている。その後、図13乃至図18に示すように、時間の経過と共に溶媒が揮発し、信号レベルが回復していくのと同時に、スプリットしている2つのエコーパルスの間隔が狭くなっているのが分かる。これは、乾燥過程において(すなわちドライ膜からウェット膜に変化していく過程において)、膜厚(あるいは群屈折率)も変化していっているということを意味する。10分以降はそのような変化はほぼ見られず、乾燥がほぼ終了していることが分かる。
【0053】
図19は、図1の塗装膜厚測定及び乾燥状態測定システムによって測定された多層塗装膜の実施例を示す断面図であり、図20は、図19の多層塗装膜におけるテラヘルツパルスエコー光のインパルス応答を示す時間波形図である。すなわち、図20は多層膜における膜厚測定の可能性を評価したものであり、サンプルは、図19に示すように、素地のアルミ板70上に、アクリル塗料にてなる第1の塗装膜71と、エナメル塗料にてなる第2の塗装膜72を重ね塗りしたものである。
【0054】
図19に示すように、第1の塗装膜71の膜厚及び重ね塗りしたときの2層の全膜厚はそれぞれ、接触式膜厚計による計測から200μm及び365μmであり、第2の塗装膜72のみの膜厚はその差から165μmと見積もられる。先程の群屈折率の結果から、2つの塗装膜71,72には約0.8の群屈折率差があり、これらの界面ではエコーパルスが反射すると考えられる。図20は、時間波形を信号処理(デコンボリューション)してエコーパルスのインパルス応答を求めた計算結果である。図20から明らかなように、まず、最初に空気と第2の塗装膜7との間の境界面IP11からのエコーパルスが上側に観測されており、約5ピコ秒後に、今度は下側に第2の塗装膜72と第1の塗装膜71との間の境界面IP12からの小さなエコーが見られる。エコーの上下の向きは境界面前後での屈折率差の正負に対応しており、その高さは屈折率差の大きさに対応している。例えば、空気と第2の塗装膜72の間の境界面IP11では、屈折率差は−1.6であるのに対して、第2の塗装膜72と第1の塗装膜71との間の境界面IP12では0.8である。その後、第1の塗装膜71と下地のアルミ板70との間の境界面IP13のエコーが現れ、さらに、第1の塗装膜71と下地のアルミ板70の2回反射のエコーが見られる。これらのエコー間の時間差に先程の群屈折率を用いて膜厚を求めると、第1の塗装膜71の膜厚が158μm、第2の塗装膜72が230μmとなった。これらの値は、測定前に接触式膜厚計で測定した値とオーダー的に一致しており、本実施形態に係る手法によって多層膜の測定が可能であると言うことが分かる。膜厚計との誤差の要因としては、膜厚計の精度、膜厚ムラ(面内)、塗装膜の不均質性等が考えられる。
【0055】
図21は、図1の塗装膜厚測定及び乾燥状態測定システムによって測定された膜厚ムラを有する塗装膜の実施例を示す断面図であり、図22は、図21の膜厚ムラを有する塗装膜におけるテラヘルツパルスエコー光のインパルス応答を示す時間波形図である。すなわち、膜厚ムラの測定の評価を行うため、図21に示すような段差があり、面内で膜厚ムラを有する塗装膜サンプルを作成した。このサンプルでは、下地のアルミ板70上に膜厚ムラを有する第1の塗装膜71を形成している。そして、テラヘルツ電磁波パルスの照射位置に対してサンプルを矢印75で示す一方向に動かすことにより、膜厚の1次元イメージング測定を行った。図22は、そのときの測定結果(インパルス列応答)を示しており、位置=0−10mmは1段目(厚さ240−250μm)の塗装膜面を走査、15mmは1段目と2段目(厚さ50−100μm)の境界付近、20−50mmは2段目を走査し、55mmは素地に対応していることが、エコーパルス間の時間遅延から分かる。
【0056】
図23は図21の膜厚ムラを有する塗装膜における位置に対する塗装膜厚を示すグラフである。図22のエコーパルスの間隔と群屈折率から膜厚を見積もり、走査位置に関してプロットしたのが図23である。図23から明らかなように、各段差の膜厚は、接触式膜厚計の値とオーダー的に一致しており、一次元的な膜厚ムラが測定できていることが分かる。このときのテラヘルツ電磁波パルスの集光ビーム径は3mm程度であり、これが空間分解能となっている。
【0057】
図24は図1の塗装膜厚測定及び乾燥状態測定システムによって測定された吸収スペクトルの実施例であって、ドライ膜、ウェット膜及び溶媒(ペイントシンナー)の各吸収スペクトルを示す図である。ドライ膜とウェット膜の吸収スペクトルの違いは、溶媒であるペイント・シンナーによる影響が大きいと考えられるが、図24から明らかなように、ドライ膜と溶媒の吸収スペクトル和とウェット膜の吸収スペクトルが必ずしも一致しないことから、塗料と溶媒の混合による独自の吸収スペクトルになっていると考えられる。ウェット膜の吸収スペクトルは、溶媒の揮発によって乾燥が進むと、ドライ膜方向にシフトしていくと考えられる。また、1.75THz付近や2THz付近に見られる吸収スペクトルの落ち込みはウェット膜及び溶媒に特徴的なものであり、これらの周波数における吸光度を用いるとウェット膜の乾燥状態を高感度にモニターできると考えられる。
【0058】
図25は図1の塗装膜厚測定及び乾燥状態測定システムによって測定されたウェット膜の実施例であって、吸光度の時間的変化を示すグラフである。すなわち、図25はある周波数における吸光度の時間変化を塗装直後からモニターした結果である。塗装終了後、時間の経過と共に溶媒の揮発が進行し、ウェット膜からドライ膜へと変化が進んでいく。そして、22.5分後以降はほぼ吸収スペクトルの変化が無くなったことから、ほぼこの時点で乾燥が終了したと考えられ、このような手法によって乾燥状態のモニタリングが可能だと考えられる。
【0059】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明に係る塗装膜測定方法又は装置によれば、所定の繰り返し周期に比較して実質的に十分に短い持続時間を有するレーザ光を上記繰り返し周期で繰り返し発生し、
所定の周波数を有する参照高周波信号を発生し、
上記発生されたレーザ光をポンプパルス光として用いて、上記ポンプパルス光による光伝導効果を用いてテラヘルツ電磁波パルスを発生しかつ上記参照高周波信号に従って変調して所定の塗装膜に対して放射し、
上記発生されたレーザ光であるプローブパルス光を所定の遅延時間量だけ遅延させて出力し、
上記塗装膜から反射されてくるテラヘルツエコーパルスと、上記光遅延手段から出力されるプローブパルス光とを入射し、電気光学効果を用いて、上記テラヘルツエコーパルスの強度に従って上記プローブパルス光に複屈折量を与えて出力し、
上記複屈折量を受けて出力されるプローブパルス光を電気信号に光電変換して出力し、
上記発生された参照高周波信号に基づいて、上記電気信号を同期検出することにより、上記プローブパルス光の複屈折量に実質的に比例する測定信号を発生して出力し、
上記測定信号に基づいて、上記遅延時間量を変化させながら、上記テラヘルツエコーパルスを時分割して上記テラヘルツエコーパルスの信号波形を測定する。
従って、本発明によれば、塗装中において塗装膜厚を測定し又は塗装されたウェット膜の乾燥状態を測定するための信号波形を、従来技術に比較して高精度で測定できる。
【0060】
また、上記塗装膜測定方法又は装置において、上記塗装膜に対して上記テラヘルツ電磁波パルス光を放射したときに測定された複数のテラヘルツエコーパルス間の時間差を計算し、
上記計算された複数のテラヘルツエコーパルス間の時間差に基づいて、上記塗装膜の膜厚を計算する。
従って、本発明によれば、塗装中において塗装膜厚を非接触でかつ従来技術に比較して高精度で測定することができ、しかもウェット膜や多層膜の膜厚を測定でき、膜厚分布をも測定可能である。
【0061】
さらに、上記塗装膜測定方法又は装置において、上記塗装膜に対して上記テラヘルツ電磁波パルス光を放射したときに測定された複数のテラヘルツエコーパルスの信号波形をフーリエ変換して複数のテラヘルツエコーパルスに対する振幅スペクトルを計算し、
上記計算された複数のテラヘルツエコーパルスに対する振幅スペクトルに基づいて、当該複数のテラヘルツエコーパルスに対する振幅スペクトルの比の対数を計算することにより、上記塗装膜の乾燥状態を示す吸光度の周波数特性である吸収スペクトルを計算する。
従って、本発明によれば、塗装されたウェット膜の乾燥状態について、非接触で、かつ従来技術に比較して高精度で測定することができる。
【0062】
さらに、上記塗装膜測定方法又は装置において、上記塗装膜を1次元又は2次元で移動させる。従って、本発明によれば、上記塗装膜の位置を1次元又は2次元で移動させて塗装膜厚の測定を実行して膜厚分布を測定でき、また、上記塗装膜の位置を1次元又は2次元で移動させて乾燥状態を測定して塗装膜の位置に依存した乾燥状態を測定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る塗装膜厚測定及び乾燥状態測定システムの構成を示すブロック図である。
【図2】 (a)は図1の光伝導スイッチ14の概略構成を示す断面図であり、(b)は図1の光伝導スイッチ14の動作を示すエネルギー準位図である。
【図3】 図1のロックイン増幅器42の構成を示すブロック図である。
【図4】 図1の塗装膜厚測定及び乾燥状態測定システムにおいて用いるテラヘルツ電磁波パルスの時間波形を測定する測定方法を示す図であって、(a)は測定されるテラヘルツ電磁波パルスを示す時間波形図であり、(b)は当該測定方法により測定されたテラヘルツ電磁波パルスの時間波形図である。
【図5】 図1の塗装膜厚測定及び乾燥状態測定システムの動作を示すタイミングチャートであり、(a)はポンプパルス光を示すタイミングチャートであり、(b)はテラヘルツ電磁波パルスを示すタイミングチャートであり、(c)はプローブパルス光を示すタイミングチャートであり、(d)はコンピュータ45への測定信号を示すタイミングチャートであり、(e)はロックイン測定期間を示すタイミングチャートである。
【図6】 図1の塗装膜厚測定及び乾燥状態測定システムの測定原理を示す図であって、(a)は自動車ボディー塗装における多層塗装膜の一例を示す断面図であり、(b)は(a)において測定されたテラヘルツパルスエコー光を示す時間波形図である。
【図7】 (a)は図6の測定結果に基づいて計算された振幅スペクトルを示すグラフであり、(b)は(a)の振幅スペクトルに基づいて計算された吸収スペクトルを示すグラフである。
【図8】 図1のコンピュータ45によって実行される塗装膜厚測定及び乾燥状態測定処理を示すフローチャートである。
【図9】 図1の塗装膜厚測定及び乾燥状態測定システムによって測定された基本特性の実施例であって、(a)は測定されたテラヘルツパルスエコー光を示す時間波形図であり、(b)は(a)に図示されたテラヘルツパルスエコー光に基づいて計算された振幅スペクトルを示すグラフである。
【図10】 図1の塗装膜厚測定及び乾燥状態測定システムの実施例であって、接触型膜厚計で測定された塗装膜厚と遅延時間との関係を示すグラフである。
【図11】 図1の塗装膜厚測定及び乾燥状態測定システムによって測定されたウェット膜におけるテラヘルツパルスエコー光の実施例であって、ウェット膜の塗装前の素地剥き出しサンプルに対する時間波形図である。
【図12】 図1の塗装膜厚測定及び乾燥状態測定システムによって測定されたウェット膜におけるテラヘルツパルスエコー光の実施例であって、ウェット膜の塗装直後のサンプルに対する時間波形図である。
【図13】 図1の塗装膜厚測定及び乾燥状態測定システムによって測定されたウェット膜におけるテラヘルツパルスエコー光の実施例であって、ウェット膜の塗装後2分経過時のサンプルに対する時間波形図である。
【図14】 図1の塗装膜厚測定及び乾燥状態測定システムによって測定されたウェット膜におけるテラヘルツパルスエコー光の実施例であって、ウェット膜の塗装後4分経過時のサンプルに対する時間波形図である。
【図15】 図1の塗装膜厚測定及び乾燥状態測定システムによって測定されたウェット膜におけるテラヘルツパルスエコー光の実施例であって、ウェット膜の塗装後6分経過時のサンプルに対する時間波形図である。
【図16】 図1の塗装膜厚測定及び乾燥状態測定システムによって測定されたウェット膜におけるテラヘルツパルスエコー光の実施例であって、ウェット膜の塗装後8分経過時のサンプルに対する時間波形図である。
【図17】 図1の塗装膜厚測定及び乾燥状態測定システムによって測定されたウェット膜におけるテラヘルツパルスエコー光の実施例であって、ウェット膜の塗装後10分経過時のサンプルに対する時間波形図である。
【図18】 図1の塗装膜厚測定及び乾燥状態測定システムによって測定されたウェット膜におけるテラヘルツパルスエコー光の実施例であって、ウェット膜の塗装後12分経過時のサンプルに対する時間波形図である。
【図19】 図1の塗装膜厚測定及び乾燥状態測定システムによって測定された多層塗装膜の実施例を示す断面図である。
【図20】 図19の多層塗装膜におけるテラヘルツパルスエコー光のインパルス応答を示す時間波形図である。
【図21】 図1の塗装膜厚測定及び乾燥状態測定システムによって測定された膜厚ムラを有する塗装膜の実施例を示す断面図である。
【図22】 図21の膜厚ムラを有する塗装膜におけるテラヘルツパルスエコー光のインパルス応答を示す時間波形図である。
【図23】 図21の膜厚ムラを有する塗装膜における位置に対する塗装膜厚を示すグラフである。
【図24】 図1の塗装膜厚測定及び乾燥状態測定システムによって測定された吸収スペクトルの実施例であって、ドライ膜、ウェット膜及び溶媒の各吸収スペクトルを示す図である。
【図25】 図1の塗装膜厚測定及び乾燥状態測定システムによって測定されたウェット膜の実施例であって、吸光度の時間的変化を示すグラフである。
【符号の説明】
10…フェムト秒パルスレーザ装置、
11…平面ミラー、
12…ビームスプリッタ、
13…集光レンズ、
14…光伝導スイッチ、
15…超半球型シリコンレンズ、
16,18,19…放物面ミラー、
17,21,22,25…平面ミラー、
23…交差ミラー、
24…ステッピング型一方向移動機構、
26…偏光子、
27…ビームスプリッタ、
28…電気光学結晶板、
29…平面ミラー、
30…1/4波長板、
31…検光子、
32…バランス検出型フォトダイオード装置、
40…高周波信号発振器、
41…増幅器、
42…ロックイン増幅器、
45…コンピュータ、
46…CRTディスプレイ、
50…サンプル、
51…XYステージ、
52…XYステージ移動機構、
60…鋼板、
61…電着塗装膜、
62…チョッピングプライマー塗装膜、
63…中塗り塗装膜、
64…ベース塗装膜、
65…クリヤ塗装膜、
70…アルミ板、
71…第1の塗装膜、
72…第2の塗装膜、
IP1,IP2,IP3,IP4,IP5,IP11,IP12,IP13…境界面。
Claims (8)
- 所定の繰り返し周期に比較して実質的に十分に短い持続時間を有するレーザ光を上記繰り返し周期で繰り返し発生するステップと、
所定の周波数を有する参照高周波信号を発生するステップと、
上記発生されたレーザ光をポンプパルス光として用いて、上記ポンプパルス光による光伝導効果を用いてテラヘルツ電磁波パルスを発生しかつ上記参照高周波信号に従って変調して所定の塗装膜に対して放射するステップと、
上記発生されたレーザ光であるプローブパルス光を所定の遅延時間量だけ遅延させて出力するステップと、
上記塗装膜から反射されてくるテラヘルツエコーパルスと、上記光遅延手段から出力されるプローブパルス光とを入射し、電気光学効果を用いて、上記テラヘルツエコーパルスの強度に従って上記プローブパルス光に複屈折量を与えて出力するステップと、
上記複屈折量を受けて出力されるプローブパルス光を電気信号に光電変換して出力するステップと、
上記発生された参照高周波信号に基づいて、上記電気信号を同期検出することにより、上記プローブパルス光の複屈折量に実質的に比例する測定信号を発生して出力するステップと、
上記測定信号に基づいて、上記遅延時間量を変化させながら、上記テラヘルツエコーパルスを時分割して上記テラヘルツエコーパルスの信号波形を測定するステップとを含むことを特徴とする塗装膜測定方法。 - 上記塗装膜に対して上記テラヘルツ電磁波パルス光を放射したときに測定された複数のテラヘルツエコーパルス間の時間差を計算するステップと、
上記計算された複数のテラヘルツエコーパルス間の時間差に基づいて、上記塗装膜の膜厚を計算するステップとをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の塗装膜測定方法。 - 上記塗装膜に対して上記テラヘルツ電磁波パルス光を放射したときに測定された複数のテラヘルツエコーパルスの信号波形をフーリエ変換して複数のテラヘルツエコーパルスに対する振幅スペクトルを計算するステップと、
上記計算された複数のテラヘルツエコーパルスに対する振幅スペクトルに基づいて、当該複数のテラヘルツエコーパルスに対する振幅スペクトルの比の対数を計算することにより、上記塗装膜の乾燥状態を示す吸光度の周波数特性である吸収スペクトルを計算するステップとをさらに含むことを特徴とする請求項1又は2記載の塗装膜測定方法。 - 上記塗装膜を1次元又は2次元で移動させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至3のうちのいずれか1つに記載の塗装膜測定方法。
- 所定の繰り返し周期に比較して実質的に十分に短い持続時間を有するレーザ光を上記繰り返し周期で繰り返し発生するレーザ手段と、
所定の周波数を有する参照高周波信号を発生する信号発生手段と、
上記発生されたレーザ光をポンプパルス光として用いて、上記ポンプパルス光による光伝導効果を用いてテラヘルツ電磁波パルスを発生しかつ上記参照高周波信号に従って変調して所定の塗装膜に対して放射する光伝導スイッチ手段と、
上記発生されたレーザ光であるプローブパルス光を所定の遅延時間量だけ遅延させて出力する光遅延手段と、
上記塗装膜から反射されてくるテラヘルツエコーパルスと、上記光遅延手段から出力されるプローブパルス光とを入射し、電気光学効果を用いて、上記テラヘルツエコーパルスの強度に従って上記プローブパルス光に複屈折量を与えて出力する電気光学手段と、
上記電気光学手段から複屈折量を受けて出力されるプローブパルス光を電気信号に光電変換して出力する光電変換手段と、
上記発生された参照高周波信号に基づいて、上記電気信号を同期検出することにより、上記プローブパルス光の複屈折量に実質的に比例する測定信号を発生して出力する同期検出手段と、
上記測定信号に基づいて、上記遅延時間量を変化させながら、上記テラヘルツエコーパルスを時分割して上記テラヘルツエコーパルスの信号波形を測定する信号波形測定手段とを備えたことを特徴とする塗装膜測定装置。 - 上記塗装膜に対して上記テラヘルツ電磁波パルス光を放射したときに測定された複数のテラヘルツエコーパルス間の時間差を測定する時間差測定手段と、
上記計算された複数のテラヘルツエコーパルス間の時間差に基づいて、上記塗装膜の膜厚を計算する第1の計算手段とをさらに備えたことを特徴とする請求項5記載の塗装膜測定装置。 - 上記塗装膜に対して上記テラヘルツ電磁波パルス光を放射したときに測定された複数のテラヘルツエコーパルスの信号波形をフーリエ変換して複数のテラヘルツエコーパルスに対する振幅スペクトルを計算する第2の計算手段と、
上記計算された複数のテラヘルツエコーパルスに対する振幅スペクトルに基づいて、当該複数のテラヘルツエコーパルスに対する振幅スペクトルの比の対数を計算することにより、上記塗装膜の乾燥状態を示す吸光度の周波数特性である吸収スペクトルを計算する第3の計算手段とをさらに備えたことを特徴とする請求項5又は6記載の塗装膜測定装置。 - 上記塗装膜を1次元又は2次元で移動させる移動手段をさらに備えたことを特徴とする請求項5乃至7のうちのいずれか1つに記載の塗装膜測定装置。
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