JP4044291B2 - 水膨潤性高分子ゲルおよびその製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水膨潤性高分子ゲルおよびその製造法に関する。さらに詳しくは、人体に対する安全性、吸水性、透明性および機械的特性に優れた水膨潤性高分子ゲルに関する。
【0002】
【従来の技術】
多糖類を化学的に架橋して得られる水膨潤性のヒドロゲルは、工業、農業、食品、医療などの分野で広範に利用されている。医療分野における用途としては、例えば、創傷被覆材料、癒着防止材料、透析膜、止血材、接着材、シーラント、コンタクトレンズ、組織再生材料、マイクロカプセル素材、薬物伝達システム(DDS)などが挙げられる。
【0003】
多糖類の化学的な架橋は、化学反応による架橋(多官能性試薬によるゲル化)、配位結合による架橋(アルギン酸のカルシウムイオンによるゲル化)、疎水結合による架橋(メチルセルロースやヒドロキシプロピルセルロースなどの加熱によるゲル化)および分子間会合による架橋(寒天やカラギーナンなどの冷却ゲル化)などによって行われている。これらの中では、化学反応による架橋には、得られる多糖類ゲルの吸水性、強度などをその目的に応じて容易に調整することができるという利点がある。
【0004】
化学反応による多糖類の架橋は、多糖類溶液に2以上の官能基を有する架橋試薬を作用させることによって行なうことができる。しかしながら、多糖類の多くは水にしか実質的に溶解しないため、水中で効率よく架橋を進行させることができない。
【0005】
化学反応による多糖類の架橋方法として、低分子量の二官能性試薬を用い、水系溶媒中で架橋を行う方法(以下、「低分子架橋剤法」と略称する)が知られている。その中で、化学反応による水溶性多糖類の架橋方法としては、エポキシ化合物を用い、酸性またはアルカリ性水溶液中で架橋を行う方法(特公平6−69490号公報、特表平11−509256号公報)、ジビニルスルホンを用い、アルカリ性水溶液中で架橋を行う方法(特開平2−138346公報)などが知られている。
【0006】
しかしながら、低分子架橋剤法には、得られるゲルは比較的高い吸水量を示す傾向がある反面、きわめて脆弱であるという欠点があるのみならず、製造後には、ゲル内部に大量に残留している架橋剤や触媒を除去するために、高分子ゲル自体を徹底的に洗浄するという煩雑な操作を要するという欠点がある。
【0007】
このように低分子架橋剤法は、ヒドロゲルの物性および生産性の面で、必ずしも有用な方法であるとはいえない。
【0008】
近年、多官能性の高分子架橋剤を用いる方法(以下、「高分子架橋剤法」と略称する)が開発されている。
【0009】
高分子架橋剤法としては、エステル化されたカルボキシル基含有多糖類、例えば、アルギン酸プロピレングリコールエステル(以下、「PGA」と略称する)を、ゼラチンなどのアミノ基を有する水溶性高分子化合物で架橋し、不溶化する方法が知られている〔英国特許第962483号明細書;特表平8−508933号公報;S.B.モハメドら、フード・ケミストリー、第13巻、241頁、1984年(S.B.Mohamed,G.Stainsby,Food Chemistry,13,241(1984));J.E.マッケイら、カルボハイドレート・ポリマーズ、第5巻、223頁、1985年(J.E.McKay,G.Stainsby,E.L.Wilson,Carbohyd.Polym., 5,223(1985))など〕。
【0010】
上記の方法によれば、ポリアミノ酸(タンパク質)のリジン残基に由来するε−アミノ基とPGAのエステル部位が、水中でアミノリシス(アミド化)反応を起こす機構を経由してゲル化するものと考えられている。
【0011】
しかしながら、PGAとゼラチンなどのタンパク質からなるゲルには、その製造の際に高濃度のタンパク質溶液が必要なことから、必然的にタンパク質が大量に含まれるため、吸水性が低いという欠点がある。また、このゲルは、医用材料として好適な中性の水溶液中で形成させることができないという欠点もある。
【0012】
また、ポリエチレンイミンなどのアミノ基を繰り返し単位に含む合成高分子化合物をPGAの架橋剤として利用することも考えられているが(英国特許第962483号明細書)、ゲルの形成にはアルカリ性物質による処理が必要であるため、ゲルに小孔などの欠陥が生じやすいという欠点があるのみならず、ゲルの吸水性や強度がきわめて低いという実用上の問題がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、吸水性およびゲル強度の高い天然由来の成分を構成要素とした水膨潤性高分子ゲル、およびそれからなる水膨潤性高分子ゲル発泡体を提供することを目的とする。
【0014】
さらに、本発明は、生産性および人体に対する安全性が高く、水系溶媒中で容易に製造することができる水膨潤性高分子ゲルの製造法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討した結果、エステル化されたカルボキシル基含有多糖類と、天然アミノ酸に由来するα−アミノ基を2つ以上有する化合物から形成された水膨潤性高分子ゲルが前記目的を達成することを見出し、本発明に到達した。
【0016】
すなわち、本発明は、エステル化されたカルボキシル基含有多糖類と、天然アミノ酸に由来するα−アミノ基を2つ以上有する化合物とを反応させてなる水膨潤性高分子ゲルおよびそれからなる水膨潤性高分子ゲル発泡体に関する。
【0017】
また、もう1つの本発明は、エステル化されたカルボキシル基含有多糖類と、天然アミノ酸に由来するα−アミノ基を2つ以上有する化合物とを反応させることを特徴とする水膨潤性高分子ゲルの製造法に関する。
【0018】
【発明の実施の形態】
エステル化されたカルボキシル基含有多糖類(以下、「エステル化多糖類」と略称する)とは、カルボキシル基含有多糖類のカルボキシル基のうち、少なくとも1つがアルコール類の水酸基とエステル結合しているものをいい、該カルボキシル基のうち少なくとも2つがエステル結合しているものが好ましい。エステル化多糖類の中では、実質的に水溶性であるものが好ましい。
【0019】
アルコール類としては、脂肪族アルコール、芳香性脂肪族アルコール、環状脂肪族アルコールおよび複素環式アルコールが挙げられる。これらの中では、エステル化多糖類の水溶性を考慮すれば、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなどの炭素数が1〜16の脂肪族アルコール、およびエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの2つ以上の水酸基を有する炭素数が2〜16の多価アルコールが挙げられる。なお、多価アルコールの場合には、1つの水酸基のみがカルボキシル基含有多糖類のカルボキシル基とエステル結合している必要がある。
【0020】
カルボキシル基含有多糖類としては、アルギン酸、キサンタンガム、ジェランガム、ヒアルロン酸などのカルボキシル基含有多糖類およびこれらの生理学的に許容される人工的な誘導体、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデキストラン、カルボキシメチルプルランなどの通常ではカルボキシル基を含有しない多糖類の人工的な誘導体、部分マレイル化キトサン、部分スクシニル化キトサン、カルボキシメチルキトサン、カルボキシメチルキチンなどのカルボキシル基が導入されたキチンまたはキトサンの誘導体などが例示される。これらの中では、アルギン酸およびヒアルロン酸は、人体に対する安全性および人体内での分解性の観点から好ましい。
【0021】
エステル化多糖類を製造する方法としては、例えば、日本化学会編「実験化学講座22 有機合成IV −酸・アミノ酸・ペプチド−」第4版、丸善、1992年、43〜83頁などに記載された一般的な方法や、例えば、M.ヤルパニ、テトラヘドロン、第41巻、2957頁、1985年〔M.Yalpani,Tetrahedron,41,2957(1985)〕などに記載されている方法が挙げられる。特に好ましい方法は、例えば、米国特許2494912号明細書、A.B.スタイナー、W.H.マクニーリー、インダストリアル・アンド・エンジニアリング・ケミストリー、第43巻、2073頁、1951年(A.B.Steiner,W.H.McNeely,Ind.Eng.Chem.,43,2073(1951))、または特開昭52−36177号公報に記載されているように、エチレンオキシドやプロピレンオキシドなどの1,2−エポキシドや、トリメチレンオキシドなどの1,3−エポキシド類をカルボキシル基含有多糖類に作用させる方法である。以上の方法によって製造されるエステル化多糖類の種類には特に限定がなく、前記の概念の範疇にあるものであれば何れも使用することができる。
【0022】
カルボキシル基含有多糖類がアルギン酸である場合、エステル化多糖類としては、PGA、アルギン酸エチレングリコールエステル、アルギン酸トリメチレングリコールエステル、アルギン酸ブチレングリコールエステル、アルギン酸ペンチレングリコールエステルなどが挙げられる。
【0023】
カルボキシル基含有多糖類がヒアルロン酸である場合、エステル化多糖類としては、ヒアルロン酸プロピレングリコールエステル、ヒアルロン酸エチレングリコールエステル、ヒアルロン酸トリメチレングリコールエステル、ヒアルロン酸ブチレングリコールエステル、ヒアルロン酸ペンチレングリコールエステルなどが挙げられる。
【0024】
エステル化多糖類の中では、PGAおよびヒアルロン酸プロピレングリコールエステルは、人体に対する安全性および人体内での分解性の観点から好ましい。
【0025】
本発明の水膨潤性高分子ゲルを構成するもう1つの成分である、天然アミノ酸に由来するα−アミノ基を2つ以上有する化合物(以下、「ポリアミン」と略称する)とは、第1級または第2級アミノ基を2つ以上有する化合物であって、該アミノ基が天然に見出されるアミノ酸であるアラニン、グリシン、フェニルアラニン、セリン、バリン、リジン、グルタミン酸などのα−アミノ基であるものをいう。
【0026】
本発明に使用しうるポリアミンの種類には特に限定がないが、多糖類、ポリアミノ酸またはこれらの誘導体が好ましい。ポリアミンは、最適に官能基が保護された天然アミノ酸誘導体を多糖類、ポリアミノ酸などに化学修飾により導入した後、脱保護する方法により製造することができる。
【0027】
ポリアミンの中では、入手の容易さおよび人体に対する安全性の観点から、ε−ポリリジンが好ましい。ε−ポリリジンは、式:
H-[NH-CH2CH2CH2CH2-CH(NH2)-CO]n -OH
(式中、nは2〜500の整数を示す)
で表されるように、リジンのε位のアミノ基とα位のカルボキシル基とがアミド結合により縮合した水溶性高分子化合物であり、その高分子鎖にはリジンのα−アミノ基が存在している。
【0028】
本発明の水膨潤性高分子ゲルには、エステル化多糖類およびポリアミン以外に、第三成分として他の水溶性高分子化合物(以下、「他の水溶性高分子化合物」という)の1種類以上が構成成分として含有されていてもよい。
【0029】
他の水溶性高分子化合物の種類には特に限定がない。他の水溶性高分子化合物としては、アガロース、アルギン酸ナトリウム、寒天、カラギーナン、キサンタンガム、ジェランガム、デキストラン、ヒアルロン酸、プルラン、ヘパリンなどの水溶性多糖類およびこれらの生理学的に許容される人工的な誘導体、部分脱アセチル化キチン、キトサン、部分マレイル化キトサン、部分スクシニル化キトサン、カルボキシメチル化キトサンなどのキチンまたはキトサンの誘導体、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、コラーゲン、アテロコラーゲン、ゼラチン、カゼインなどのポリアミノ酸(タンパク質)およびこれらの生理学的に許容される人工的な誘導体などが例示される。
【0030】
2以上の他の水溶性高分子化合物の分子間には、エステル化多糖類とポリアミンとの間で形成される架橋結合以外の架橋が存在していてもよい。その架橋方法としては、長田および梶原編、「ゲルハンドブック」(エヌ・ティー・エス、1997年)などに記載されている方法、すなわちアルデヒド化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物などによる水溶性高分子化合物の官能基同士の架橋、光二量化性基や重合性基を用いた光架橋、多価金属イオンによる配位結合による架橋などが例示されるが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0031】
本発明の水膨潤性高分子ゲルには、さらに水膨潤性高分子ゲルのゲル強度の向上、エステル化多糖類およびポリアミンを含む混合溶液の分散安定性の向上の観点から、無機塩類、有機塩類などの塩類が含まれていてもよい。塩類の例としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウムなどの無機塩類、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウムなどの有機塩類が挙げられる。
【0032】
本発明の水膨潤性高分子ゲルは、エステル化多糖類とポリアミンとを反応させることによって得られる。この反応は、先に示したPGAとゼラチンから形成されるゲルと同様に、エステル化多糖類のエステル化されたカルボキシル基部位とポリアミンのα−アミノ基とのアミノリシス反応、すなわちアミド化による架橋反応である。
【0033】
エステル化多糖類とポリアミンとを反応させる際の両者の混合比は、ゲル化時間、高分子ゲルの力学的強度および吸水性に応じて任意に設定することができる。なお、本発明の水膨潤性高分子ゲルを実質的に水不溶性とし、高い吸水性を発現させるためには、エステル基とα−アミノ基のモル比〔エステル基(mol)/α−アミノ基(mol)〕は、1〜100であることが望ましい。このモル比は、高いほど水膨潤性高分子ゲルの吸水性が向上する。
【0034】
エステル化多糖類とポリアミンとを反応させてゲル化させる方法としては、両者を溶液状態で混合して反応させてゲル化させる方法、エステル化多糖類をポリアミンの溶液に浸漬、含浸させて反応させてゲル化させる方法、ポリアミンを、エステル化多糖類の溶液に浸漬、含浸して反応させてゲル化させる方法などが挙げられる。反応時の温度は、特に限定されるものではなく、自由に設定することができる。
【0035】
エステル化多糖類およびポリアミンを溶解する溶媒としては、水が好ましい。なお、ゲル化速度の制御などの目的のために、有機溶媒が添加された水系溶媒を用いてもよい。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、ジメチルスルホキシドなどを例示することができる。水と有機溶媒との混合比は、特に限定されず、任意に選択することができる。
【0036】
また、エステル化多糖類およびポリアミンの溶液のpHを適宜調整することにより、穏和な条件下でのゲル化や、迅速なゲル化を行うことができる。かかるpHの調整の際には、例えば、塩酸や酢酸などの酸性物質、水酸化ナトリウムなどのアルカリ性物質、リン酸系緩衝液やホウ酸系緩衝液などの緩衝液をpH調整剤として用いることができる。
【0037】
以上のようにしてエステル化多糖類とポリアミンとを反応させることにより、水膨潤性高分子ゲルを得ることができる。
【0038】
本発明の水膨潤性高分子ゲルは、その用途に応じた形状に適宜、調整することができる。かかる形状としては、例えば、糸状、膜状、管状(中空糸、チューブ)、粒状(マイクロカプセル)、不織布状、塊状、ハニカム状、発泡体(スポンジ)状などが挙げられる。なお、本発明の水膨潤性高分子ゲルは、柔軟性、空隙への充填性および高い吸水性などが要求される用途に使用する場合には、発泡体であることが好ましい。この発泡体は、さらに糸状、膜状、管状、粒状、不織布状、塊状、ハニカム状などに成形したり、他の基材や部位に塗布、コーティング、含浸、付着または埋没することも可能である。
【0039】
さらに、本発明の水膨潤性高分子ゲルは、他の基材や部位に塗布、コーティング、含浸、付着または埋没することによって使用することができる。他の基材や部位としては、例えば、ガーゼ、編織布、不織布、綿状体、糸状体、フィルム、メッシュ、多孔性スポンジ、ゴム、プラスチック、金属、人工臓器、生体組織の表面、切断面、傷口などが挙げられる。なお、他の基材や部材の大きさ、厚さ、長さ、直径などは、特に限定されない。
【0040】
成形された水膨潤性高分子ゲルは、例えば、エステル化多糖類溶液またはポリアミン溶液をノズルやダイから押出したり、成形型内に注入することにより、前述したような形状に成形した後、得られた成形体をそれぞれポリアミン溶液またはエステル化多糖類溶液と接触させてゲル化を行う方法;エステル化多糖類とポリアミンとの混合溶液を調製し、得られた溶液をノズルやダイから押出したり、成形型内に注入することにより、前述したような形状に成形すると同時に、ゲル化を行う方法などによって製造することができる。
【0041】
本発明の水膨潤性高分子ゲル発泡体は、水で膨潤しているゲルを凍結乾燥する一般的な方法や、ゲル内部に気泡を導入する方法によって製造することができる。
【0042】
ゲル内部に気泡を導入して発泡体を製造する方法としては、例えば、英国特許第574,382号明細書、特開平5−254029号公報、特開平8−208868号公報、特開平8−337674号公報、特表平6−510330号公報などに記載されている方法などが挙げられる。かかる方法で本発明の水膨潤性高分子ゲル発泡体を製造した場合には、これらの文献に記載された発泡体と対比して、より高い吸水性および安定性を有する水膨潤性高分子ゲル発泡体が得られる。
【0043】
ゲル内部に気泡を導入して発泡体を製造する方法の具体例としては、エステル化多糖類溶液またはポリアミン溶液に気泡を導入して発泡させた後に、それぞれポリアミン溶液またはエステル化多糖類溶液と接触させてゲル化させる方法、エステル化多糖類とポリアミンとの混合溶液に気泡を導入して発泡させた後に、ゲル化を完了する方法などが挙げられる。
【0044】
溶液に気泡を導入して発泡させる方法としては、加熱または反応によって水不溶性気体を発生する発泡剤、例えば、炭酸アンモニウム、アゾジカルボンアミド、p−トルエンスルホニルヒドラジドなどの分解型発泡剤、ブタン、ヘキサン、エーテルなどの蒸発型発泡剤を添加して発泡させる方法、機械的に攪拌して供給される気体を水溶液内に拡散させて発泡させる方法などが挙げられる。
【0045】
なお、前記溶液には、発泡を安定して行うために、必要に応じて、気泡形成剤であるイオン性または非イオン性界面活性剤を含有させてもよい。
【0046】
イオン性界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸塩、スルホアルキルアミドなどのアニオン性界面活性剤;アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩などのカチオン性界面活性剤;およびイミダゾリン型活性剤などの両性界面活性剤が挙げられる。
【0047】
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリエチレンオキシドアルキルエーテル類、ポリエチレンオキシドアルキルフェニルエーテル類、グリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸エステル類などが挙げられる。
【0048】
前述した界面活性剤のうち、低分子量のものには、生体組織や生理活性物質(酵素など)に対して刺激性や変性作用を呈するものがある。したがって、本発明の水膨潤性高分子ゲル発泡体を医用材料に用いる場合には、かかる界面活性剤の使用を回避することが好ましい。
【0049】
なお、エステル化多糖類は、それ自体が両親媒性を示し、気−液界面を安定化させる気泡形成剤として機能する。したがって、発泡させる際に、エステル化多糖類は、安定して気泡を導入(発泡)させる性質を有するため、界面活性剤をあえて使用しなくてもよい。また、このエステル化多糖類は、両親媒性に加えて反応性を有することから、「反応性界面活性多糖類」と称することができる。
【0050】
なお、界面活性剤には、必要に応じて、卵白、ゼラチン、アルブミンなどのタンパク質、レシチンなどを使用してもよい。
【0051】
ところで、前記溶液を発泡させた際には、泡の安定性が十分でない場合がある。例えば、架橋が完了する前に泡が消失する場合には、泡の安定化剤として、ドデシルアルコール、テトラデカノール、ヘキサデカノールなどの高級アルコール、エタノールアミンなどのアミノアルコール、カルボキシメチルセルロースなどの水溶性高分子化合物をこの溶液に添加することができる。
【0052】
また、エステル化多糖類の水溶液にゲル化多糖類を添加し、溶液全体を一旦ゲル化させることにより、泡を安定化させることもできる。ゲル化多糖類としては、アガロース、アガロペクチン、アミロース、アミロペクチン、アラビナン、イソリケナン、カードラン、寒天、カラゲナン、ジェランガム、ニゲラン、ラミナランなどの加熱すると水に溶解し、冷却するとゲル化する天然多糖類が例示される。
【0053】
以上のようにして本発明の水膨潤性高分子ゲルは発泡体へと成形されるが、成形の方法は、前述の方法に限定されるものではない。
【0054】
ところで、本発明の水膨潤性高分子ゲルには、アミド結合に関与しなかったエステル化多糖類に由来する未反応のエステル基およびポリアミンに由来する未反応のα−アミノ基が含まれている。従って、水膨潤性高分子ゲルの機能化および吸水性の向上の観点から、エステル化多糖類とポリアミンとを反応させて水膨潤性高分子ゲルを形成させた後には、エステル基またはα−アミノ基と反応する化合物を該水膨潤性高分子ゲルに含浸させ、該化合物と未反応のエステル基またはα−アミノ基を有する水膨潤性高分子ゲルとを反応させてもよい。
【0055】
水膨潤性高分子ゲルは、そのα−アミノ基が各種化合物に対する反応性に富むので、例えば、アシル化、アルキル化、イミノ(シッフ塩基)化、還元アルキル化反応などを行うことができる。α−アミノ基と反応させることができる化合物としては、無水酢酸、無水コハク酸などの酸無水物、アセトアルデヒド、グリオキシル酸などのアルデヒド類、ハロゲン化アルキル、ジメチル硫酸などのアルキル化剤などが例示されるが、本発明はかかる例示のみに限定されるものではない。
【0056】
また、水膨潤性高分子ゲルのエステル基と、アミノ基を有する化合物とを反応させて、アミド結合を形成することができる。アミノ基を有する化合物としては、例えば、エタノールアミン、ホスホリルエタノールアミン、タウリン、アミノ酸、タンパク質、オリゴペプチドなどを挙げることができる。水膨潤性高分子ゲルとアミノ基を有する化合物との反応は、pHが7以上のアルカリ性条件下で行うことが好ましい。
【0057】
本発明の水膨潤性高分子ゲルは、そのままの状態で使用することができるが、水系溶媒に浸漬するなどして洗浄した後に使用することもできる。また、本発明の水膨潤性高分子ゲルを加熱乾燥、減圧乾燥または凍結乾燥によって一部分ないし全部の水系溶媒が除去された状態で使用してもよい。
【0058】
水膨潤性高分子ゲルを洗浄することは、その内部に有毒な添加物や副生成物が存在しているときに、これらを除去するのに有効な手段である。
【0059】
本発明の水膨潤性高分子ゲルを乾燥させる方法は、特に限定がなく、水膨潤性高分子ゲルの用途などに応じて適宜選択すればよい。水膨潤性高分子ゲルは、水混和性有機溶媒、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール系溶媒やアセトン溶媒中に水膨潤性高分子ゲルを浸漬し、水膨潤性高分子ゲルに含まれている水系溶媒の少なくとも一部分を該水混和性有機溶媒と置換した後に乾燥させてもよい。なお、水膨潤性高分子ゲルを乾燥させる際の温度は、特に限定されず、本発明の目的が阻害されない範囲内で適宜選択することができる。
【0060】
なお、乾燥された本発明の水膨潤性高分子ゲルの柔軟性を高めるために、軟化剤を使用することができる。軟化剤としては、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの多価アルコール、ジメチルスルホキシド、水などが挙げられる。軟化剤は、ゲル化する前の溶液に添加するか、ゲル化後の水膨潤性高分子ゲル内部に含浸させるか、あるいは水膨潤性高分子ゲルを乾燥させた後に付与することにより、水膨潤性高分子ゲル中に含有させることができる。
【0061】
また、前記軟化剤を使用する方法に加えて、本発明の水膨潤性高分子ゲル発泡体を柔軟化させる方法として、水膨潤性高分子ゲル発泡体を圧縮して比較的薄いシート状にする方法も挙げられる。このように水膨潤性高分子ゲル発泡体を圧縮した場合には、水膨潤性高分子ゲル発泡体の三次元的な支持構造が部分的に崩壊するため、柔軟性が得られるものと考えられる。圧縮は、プレス機、ローラーなどを用いて行うことができる。また、そのスペーサーやギャップなどを調整することにより、水膨潤性高分子ゲル発泡体の厚さを制御することもできる。圧縮後の水膨潤性高分子ゲル発泡体の厚さには特に限定がなく、本発明の水膨潤性高分子ゲルの用途などに応じて適宜選択すればよい。
【0062】
本発明の水膨潤性高分子ゲルは、高いゲル強度と吸水性を兼ね備えたヒドロゲル材料である。したがって、本発明の水膨潤性高分子ゲルは、例えば、工業、農業、食品、医療など広範囲の分野で応用することができる。その中でも、吸水性、安全性および機械的特性の観点から、本発明の水膨潤性高分子ゲルは、特に医用材料に好適に応用することができる。
【0063】
医用材料としては、例えば、創傷被覆材料、癒着防止材料、透析膜、止血材、接着材、シーラント、コンタクトレンズ、組織再生材料、細胞外マトリクス、マイクロカプセル素材、薬物伝達システム(DDS)などが挙げられる。かかる医用材料は、生理活性物質(例えば、ヘパリン、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、サイトカイン、抗炎症剤、成長因子類、酵素類など)、抗菌剤、生体細胞などを包含していてもよい。
【0064】
創傷被覆材を外傷、熱傷、潰瘍などの創傷の治療に用いる場合には、本発明の水膨潤性高分子ゲルを創傷部位に貼付することにより、創傷部位からの滲出液中の治癒促進因子を良好に保持して治癒することができる。創傷部位からの滲出液量が比較的多い場合には、皮膚欠損部への充填、余剰滲出液の吸収、保持およびドレナージを行うために、水膨潤性高分子ゲル発泡体を用いることが好ましい。
【0065】
本発明の水膨潤性高分子ゲルには、創傷治癒の促進、細菌感染の防止などの目的で、消毒剤、抗生剤、抗菌剤、増殖因子〔例えば、繊維芽細胞増殖因子(FGF)、上皮細胞成長因子(EGF)など〕、構造タンパク質(例えばフィブリン、コラーゲンなど)、各種アミノ酸、ビタミン類の1種以上が含有されていてもよく、あるいは結合していてもよい。
【0066】
以上の用途に本発明の水膨潤性高分子ゲル発泡体を用いる場合には、少なくとも一部分の水分が除かれた状態で使用することが望ましい。乾燥された発泡体を圧縮処理によって柔軟化させた場合には、該発泡体を容易に創傷に沿わせることができるので、軟化剤などの溶出性のある低分子化合物を必ずしも該発泡体に含有させる必要がない。従って、生体本来の状態に近い創傷の湿潤環境を保つことができるので、治癒を阻害するおそれが小さい。
【0067】
また、滲出液量が比較的少ない創傷に対しては、含水した水膨潤性高分子ゲルまたは乾燥された膜状の水膨潤性高分子ゲルをその患部に貼付してもよく、あるいはその患部で本発明の水膨潤性高分子ゲルまたはその発泡体を形成させてもよい。
【0068】
癒着防止材は、外科手術の際に手術痕の癒着を防止し、回復を早める材料である。本発明の水膨潤性高分子ゲルは、このような癒着防止材として使用することもできる。この場合、水膨潤性高分子ゲルを癒着を防止させるべき場所(腹壁または腹腔内臓器)に貼付するか、あるいはその場所(インサイツ)で形成させ、その箇所を被覆、保護することにより、癒着を防止することができる。水膨潤性高分子ゲルは、例えば、フィルム、被膜、発泡体などの形態で使用することができる。その場所(インサイツ)で水膨潤性高分子ゲルを形成させる場合には、水膨潤性高分子ゲルを液状で供給することにより、その被膜を容易に形成させることができる。従って、かかる方法は、内視鏡下での手術などにおいて特に有用である。
【0069】
本発明の水膨潤性高分子ゲルは、また組織再生材料、つまり皮膚、粘膜、骨、軟骨、血管、弁、神経や角膜などを再生するための細胞外マトリクスとして使用してもよい。この場合、水膨潤性高分子ゲルには、細胞増殖因子(例えばFGF、BMPなど)、構造タンパク質(例えばフィブリン、コラーゲンなど)、細胞接着性リガンド(例えばRGDペプチドなど)、生体細胞(例えば肝細胞、繊維芽細胞、骨芽細胞、軟骨細胞、肝細胞など)が含有されているか、あるいは結合されていてもよい。水膨潤性高分子ゲルを組織再生材料として使用する場合には、水膨潤性高分子ゲルは、組織を再生する場所に貼付するか、あるいはその場(インサイツ)で形成することもできる。また、欠損した生体組織は、欠損部位への線維性組織の侵入を防ぐことができれば、自然に治癒することもあるので、本発明の水膨潤性高分子ゲルを、繊維性組織の侵入を防ぐバリアーとして使用することもできる。
【0070】
本発明の水膨潤性高分子ゲルを癒着防止材料、止血材、接着材、シーラント、組織再生材料などの体内に埋め込まれる用途に使用する場合には、該水膨潤性高分子ゲルは、各機能を発揮した後に速やかに生分解し、吸収されることが望ましい。従って、本発明の水膨潤性高分子ゲルに使用されているエステル化多糖類は、生体内で低分子量化するものが好ましい。この用途に好適に使用しうるエステル化多糖類としては、例えば、エステル化アルギン酸、エステル化ヒアルロン酸などが挙げられる。
【0071】
なお、本発明の水膨潤性高分子ゲルからなる医用材料は、滅菌して使用することが好ましい。かかる滅菌方法には、特に限定がなく、その医用材料の種類などに応じて適宜選択すればよい。かかる滅菌としては、例えば、オートクレーブ滅菌(例えば121℃、20分間)、エチレンオキサイドガス滅菌、γ線滅菌、電子線滅菌などが挙げられる。
【0072】
以上説明したように、本発明の水膨潤性高分子ゲルは、エステル化多糖類とポリアミンとを反応させることによって得られるものであるので、中性付近の水系溶媒中でも効率よく形成することができる。また、その原料化合物として、天然由来の成分が用いられているので、生分解性や安全性に優れ、さらにゲル化時間、吸水性およびゲル強度などの特性の調整が容易である。これは、ポリアミンのα−アミノ基の塩基性が、従来技術におけるリジンのε−アミノ基やアルキルアミンと比べてかなり低いことに起因しているものと考えられる。すなわち、低いpH条件下でも、α−アミノ基の場合では架橋に関与しうる遊離のアミノ基濃度が、ε−アミノ基やアルキルアミンと比べて高いことに起因するものと推察される。
【0073】
【実施例】
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0074】
なお、各実施例および比較例において、膨潤度、粘度およびゲル強度は、以下の方法に従って測定した。
【0075】
A.膨潤度
水膨潤性高分子ゲルの膨潤度は、式:
〔膨潤度〕
=〔Wg1(水膨潤ゲル)−Wg2(乾燥ゲル)〕/Wg2(乾燥ゲル)
(式中、Wg1(水膨潤ゲル)は乾燥高分子ゲルまたは水系溶媒を含む高分子ゲルを4時間以上水または生理的食塩水に浸漬した後の重量、Wg2(乾燥ゲル)は乾燥した高分子ゲルの重量を示す)
に従って求めた。
【0076】
B.粘度
粘度は、ブルックフィールド型粘度計を用いて測定した。粘度の単位はmPa・sであり、粘度は1重量%水溶液、20℃の条件下における値である。
【0077】
C.ゲル強度
幅1cm、長さ2cmのメッシュ〔アドバンテック、メッシュシート(MESH SHEETS、76mm)〕2枚を1cm×1cmのフッ素樹脂製プレート上に約1mmの間隙を設けて置いた。ゲルの原料溶液0.3mLをプレート全体に広くのばし、以下の実施例または比較例の方法によりゲルを生成させた。フッ素樹脂製プレートを外し、オートグラフ〔(株)(島津製作所製、商品名:EZ−test〕の治具にメッシュ部分を挟み、破断するまでの最大応力(破断強度)を測定し、これをゲル強度とした。
【0078】
実施例1〔PGA−ε−ポリリジンゲルの調製〕
2重量%PGA〔和光純薬工業(株)製、粘度:100mPa・s〕水溶液30gに、10重量%のε−ポリリジン水溶液〔チッソ(株)製〕2.4mLを添加してよく混合した。
【0079】
得られた混合溶液を試料ビンに入れたまま室温で静置し、徐々に溶液全体をゲル化させた。このとき、ゲル化時間(PGA水溶液とε−ポリリジン水溶液とを混合したときから混合溶液が試料ビンを傾けても流れ出さなくなったときまでの時間)を調べたところ、約9分間であった。
【0080】
次に、生成したゲルを16時間室温で放置した後、イオン交換水300mLに24時間浸漬したところ、膨潤度が5.2の透明な高分子ゲルが得られた。
【0081】
実施例2〜4〔吸水性が制御されたPGA−ε−ポリリジンゲルの調製〕
実施例1と同様にして、2重量%PGA〔和光純薬工業(株)製、粘度100mPa・s〕水溶液30gに、10重量%のε−ポリリジン水溶液〔チッソ(株)製〕4.8mL、0.8mLまたは0.4mLを添加してよく混合した。
【0082】
得られた混合溶液を試料ビンに入れたまま室温で静置し、徐々に溶液全体をゲル化させた。このときにゲル化時間を実施例1と同様にして測定した。その結果を表1に示す。
【0083】
次に、生成したゲルを16時間室温で放置した後、イオン交換水300mLに24時間浸漬したところ、水で膨潤した高分子ゲルが得られた。得られた高分子ゲルの膨潤度を表1に示す。
【0084】
【表1】
【0085】
表1に示された結果から、ε−ポリリジンの添加量を調整することにより、ゲル化時間および膨潤度を精密に制御することができることがわかる。
【0086】
実施例5〜8〔PGA−ε−ポリリジンゲルの調製〕
酢酸でpHを7.5、8.0、8.5または9.0に調整した10重量%のε−ポリリジン水溶液を調製した。
【0087】
次に、2重量%PGA〔フナコシ(株)製、粘度:100〜150mPa・s〕水溶液10gに、先に予め調製しておいた各pHのε−ポリリジン水溶液をそれぞれ1mLずつ添加してよく混合した。
【0088】
得られた混合溶液を試料ビンに入れたまま室温で静置し、徐々に溶液全体をゲル化させた。このときにゲル化時間を実施例1と同様にして測定した。その結果を表2に示す。
【0089】
次に、生成したゲルを5時間室温で放置した後、イオン交換水300mLに24時間浸漬したところ、水で膨潤した透明性の高い高分子ゲルが得られた。得られた高分子ゲルの膨潤度を表2に示す。
【0090】
【表2】
【0091】
表2に示された結果から、ε−ポリリジン水溶液のpHを調整することにより、ゲル化時間および膨潤度を精密に制御することができることがわかる。
【0092】
実施例9〔PGA−ε−ポリリジンゲルの調製〕
2重量%PGA〔紀文フードケミファ(株)製、粘度:約200mPa・s〕水溶液50gに、酢酸でpHを7.5に調整した24重量%のε−ポリリジン水溶液〔チッソ(株)製〕0.22mLを加えた(α−アミノ基の量は0.5mmol)。
【0093】
得られた混合溶液を5時間室温で放置した後、ゲル強度を測定したところ、13.7mNであった。また生成したゲルをイオン交換水300mLに24時間浸漬したところ、膨潤度142.9の形状が保持されたヒドロゲルが得られた。
【0094】
比較例1〔アルギン酸−ブタンジオールジグリシジルエーテルゲルの調製〕
アルギン酸〔君津化学工業(株)製、粘度:約500mPa・s〕2.5gを0.5%水酸化ナトリウム水溶液19mL中に16時間かけて溶解させた。これに、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル0.95mLを添加して混合し、その混合溶液を50℃で2時間保持して硬化させた。その後、2時間イオン交換水中で洗浄し、得られたゲルのゲル強度を測定したところ、0mNであった。得られたゲルをイオン交換水に浸漬したところ、その形状を全く保持することができなかった。
【0095】
比較例2〔PGA−ゼラチンゲルの調製〕
0.1Mリン酸バッファーでpHを7.5に調整した6重量%ゼラチン〔和光純薬工業(株)製、牛骨由来〕水溶液を調製した。
【0096】
次に、3重量%PGA〔紀文フードケミファ(株)製、粘度:約80mPa・s〕水溶液10gに、先に予め調製しておいたゼラチン水溶液10mLを添加してよく混合した。その混合溶液を5時間硬化させた後、得られたゲルのゲル強度を測定したところ、0mNであった。このゲルをイオン交換水に浸漬したところ、その形状を全く保持することができなかった。
【0097】
比較例3〔PGA−ポリエチレンイミンゲルの調製〕
酢酸でpHを7.5に調整した18重量%のポリエチレンイミン水溶液(アルドリッチ社製、分子量:約75000)水溶液を調製した。
【0098】
次に、2重量%PGA〔紀文フードケミファ(株)製、粘度:約200mPa・s〕水溶液50gに、先に予め調製しておいたポリエチレンイミン水溶液0.1mL(アミノ基の量は0.5mmol)を添加したところ白濁した。その混合溶液を5時間室温で放置した後に生成したゲルのゲル強度を測定したところ、6.9mNであった。このゲルをイオン交換水に浸漬したところ、その形状を全く保持することができなかった。
【0099】
実施例9および比較例1〜3におけるゲル強度(5時間硬化後のゲル強度)および膨潤度(5時間硬化後、室温で24時間イオン交換水に浸漬した後の膨潤度)の測定結果を表3に示す。
【0100】
【表3】
【0101】
表3に示された結果から、実施例9で得られた水膨潤性高分子ゲルは、含水状態でも従来技術である比較例1〜3で得られたゲルと対比して、高いゲル強度を有するものであることがわかる。
【0102】
実施例10〔PGA−ε−ポリリジンゲルフィルムの調製〕
2重量%PGA〔紀文フードケミファ(株)製、粘度:約200mPa・s〕水溶液50gに、酢酸でpHを9.5に調整した24重量%のε−ポリリジン水溶液〔チッソ(株)製〕を添加してよく混合した。得られた混合溶液30gを10cm×10cmのフッ素樹脂製トレーに流延し、5時間硬化させた。その後、更にこのトレーを70℃に設定した乾燥機で4時間乾燥し、フィルムを得た。
【0103】
得られた乾燥ゲルフィルムを生理食塩水〔大塚製薬(株)製〕に4時間浸漬したところ、膨潤度は34.6、ゲル強度は186.3mNであった。
【0104】
比較例4〔PGA−ゼラチンゲルフィルムの調製〕
リン酸緩衝液でpHを9.5とした6重量%ゼラチン〔和光純薬工業(株)製、牛骨由来〕水溶液を調製した。
【0105】
次に、3重量%PGA〔紀文フードケミファ(株)製、粘度:約80mPa・s〕水溶液10gに、先に調製しておいたゼラチン水溶液2.5mL添加してよく混合した。得られた混合溶液を室温で静置したところ、透明で柔らかいゲルが得られた。この溶液30gを10cm×10cmのフッ素樹脂製トレーに流延し、70℃に設定した乾燥機により4時間乾燥した。得られたフィルム0.3gを5重量%水酸化カリウム水溶液100mLに15秒間浸漬して、その後イオン交換水で洗浄した。その後、このフィルムを70℃で2時間乾燥し、PGA−ゼラチンゲルフィルムを得た。得られた乾燥ゲルフィルムを生理食塩水に4時間浸漬したところ、膨潤度は6.0、ゲル強度は120.6mNであった。
【0106】
比較例5〔PGA−ポリエチレンイミンゲルフィルムの調製〕
酢酸でpHを7.5に調整した19重量%のポリエチレンイミン(アルドリッチ社製、分子量:約75000)水溶液を調製した。
【0107】
次に、2重量%PGA〔紀文フードケミファ(株)製、粘度:約200mPa・s〕水溶液50gに、先に調製しておいたポリエチレンイミン水溶液(アミノ基の量は0.5mmol)0.09mLを添加したところ白濁した。この溶液30gを10cm×10cmのフッ素樹脂製トレーに流延し、70℃に設定した乾燥機で2時間乾燥した。得られたフィルム0.3gを5重量%水酸化カリウム水溶液100mLに15秒間浸漬し、次いでイオン交換水で洗浄した。その後、70℃で2時間乾燥してPGA−ポリエチレンイミンゲルフィルムを得た。得られた乾燥ゲルフィルムを生理的食塩水〔大塚製薬(株)製〕に4時間浸漬したところ、膨潤度は5.7、ゲル強度は36.3mNであった。
【0108】
実施例10および比較例4〜5で得られたゲルのゲル強度(生理食塩水に37℃で4時間浸漬した後のゲル強度)および膨潤度(生理食塩水に37℃で4時間浸漬した後の膨潤度)の測定結果を表4に示す。
【0109】
【表4】
【0110】
表4に示された結果から、実施例10で得られた水膨潤性高分子ゲルは、比較例4〜5で得られた従来のゲルフィルムと対比して、著しく高い膨潤度を有しながら、高いゲル強度を有するものであることがわかる。
【0111】
実施例11〔κ−カラゲナンを混合したPGA−ε−ポリリジンゲルフィルムの調製〕
κ−カラゲナン〔和光純薬工業(株)製〕2gをイオン交換水98gに60℃で溶解し、2重量%のκ−カラゲナン水溶液を調製した。
【0112】
次に、2重量%PGA〔フナコシ(株)製、粘度:100〜150mPa・s〕水溶液20gを、先に予め調製しておいたκ−カラゲナン水溶液と60℃で混合した。その後、得られた混合溶液に26.9重量%のε−ポリリジン水溶液〔チッソ(株)製〕0.1mLを添加し、得られた混合溶液25gを10cm×10cmのフッ素樹脂製トレーに流延し、2時間室温で硬化させた。次に、70℃に温度調節した乾燥機で2時間乾燥し、乾燥ゲルフィルムを得た。得られた乾燥ゲルフィルムを生理食塩水に24時間浸漬したところ、吸水し、膨潤度は21.3となった。
【0113】
実施例12〔PGA−ε−ポリリジンゲルフィルムの調製〕
2重量%PGA〔フナコシ(株)製、粘度:100〜150mPa・s〕水溶液30gに26.9重量%のε−ポリリジン水溶液〔チッソ(株)製〕0.3mLを添加し、得られた混合溶液25gを10cm×10cmのフッ素樹脂製トレーに流延し、2時間室温で硬化させた。得られたゲルを、無水酢酸〔関東化学(株)製〕1.5mLを含有する50%エタノール水溶液50mLに2時間浸漬した。このゲルをイオン交換水で徹底的に洗浄し、70℃に温度調節された乾燥機で2時間乾燥し、乾燥ゲルフィルムを得た。得られた乾燥ゲルフィルムを生理食塩水に24時間浸漬したところ、吸水し、膨潤度は16.3となった。
【0114】
実施例13〔PGA−ε−ポリリジンゲル発泡体の調製〕
1.5重量%PGA〔和光純薬工業(株)製、粘度:80〜120mPa・s〕水溶液100gをビーター(キッチンエイドミキサー)により、10分間程度空気を混入させながら攪拌して発泡させた。得られた発泡溶液に26.9重量%のε−ポリリジン水溶液〔チッソ(株)製〕1mLを添加し、さらにビーターで5分間程度攪拌した。この時点での溶液の密度は0.29g/cm3 であった。
【0115】
次に、得られた発泡溶液30gを10cm×10cmのフッ素樹脂被覆トレーに入れ、2時間室温で放置した。生成した発泡含水ゲルを70℃で3時間乾燥して、10cm×10cm×0.7cmのスポンジ状の柔軟な発泡体を得た。
【0116】
吸水性を評価するために、得られた乾燥発泡体を生理的食塩水を十分に含ませたポリウレタンスポンジ上に置き、37℃の恒温槽中に静置して吸水させたところ、24時間後の膨潤度は約38となった。また、25kGyのγ線照射により滅菌された乾燥発泡体の吸水性を評価したところ、24時間後の膨潤度は約25となった。γ線照射された発泡体は、吸水してもその形状を十分に保持しており、崩壊または溶解などは観測されなかった。
【0117】
実施例14〔PGA−ε−ポリリジンゲル発泡体の調製〕
2重量%PGA〔和光純薬工業(株)製、粘度:80〜120mPa・s〕水溶液100gをビーターにより10分程度空気を混入させながら攪拌して発泡させた。この発泡溶液に26.9重量%のε−ポリリジン水溶液〔チッソ(株)製〕0.5mLを添加し、さらにビーターで5分間程度攪拌した。この時点での溶液の密度は0.31g/cm3 であった。
【0118】
次に、得られた発泡溶液30gを10cm×10cmのフッ素樹脂被覆トレーに入れ、2時間室温で放置した。生成した発泡含水ゲルを70℃で3時間乾燥し、10cm×10cm×0.7cmのスポンジ状の柔軟な発泡体を得た。
【0119】
吸水性を評価するために、実施例13と同様にして37℃で生理的食塩水を吸水させたところ、24時間後の膨潤度は約45となった。また、25kGyのγ線照射により滅菌された乾燥発泡体の吸水性を評価したところ、24時間後の膨潤度は38となった。スポンジは吸水してもその形状を十分に保持しており、崩壊や溶解などは観測されなかった。
【0120】
比較例6〔PGA−ポリエチレンイミンゲル発泡体の調製〕
酢酸でpHを7.5に調整した19重量%のポリエチレンイミン(アルドリッチ社製、分子量:約75000)水溶液を調製した。
【0121】
他方、2重量%PGA〔紀文フードケミファ(株)製、粘度:約200mPa・s〕水溶液500gをビーターにより10分間程度空気を混入させながら攪拌して発泡させた。この発泡溶液に、先に予め調製しておいたポリエチレンイミン水溶液0.9mLを添加したところ、発泡溶液が急激に収縮し、溶液の密度は0.67g/cm3 となった。この溶液30gを10cm×10cmのフッ素樹脂製トレーに流延し、70℃に設定した乾燥機で2時間乾燥した。
【0122】
得られた乾燥ゲル0.5gを5重量%水酸化カリウム水溶液100mLに15秒間浸漬し、その後、イオン交換水で洗浄した。このゲルを70℃で2時間乾燥したが、得られたのは10cm×10cm×0.3cmの嵩高さのない堅いフィルム状のものであった。得られた乾燥ゲルに実施例13と同様にして37℃で生理的食塩水を吸収させたところ、膨潤度は4.3となり、ほとんど吸収しなかった。
【0123】
比較例7〔カルシウムイオンにより架橋されたアルギン酸ゲル発泡体の調製〕
2重量%アルギン酸ナトリウム水溶液〔和光純薬工業(株)製、粘度:500〜600mPa・s〕100gに、界面活性剤〔ナカライ(株)製、商品名:トリトンX−100〕0.1mLを加え、ビーターで攪拌した。攪拌後の密度は0.29g/cm3 であった。
【0124】
次に、発泡溶液30gを10cm×10cmのフッ素樹脂製トレーに入れ、5重量%塩化カルシウム水溶液100mLに12時間浸漬し、硬化させた。得られたスポンジ状のゲルを70℃に温度調節した乾燥器で2時間乾燥させたところ、6cm×6cm×0.5cm程度に収縮し、堅くなったスポンジが得られた。このスポンジに実施例13と同様にして37℃で生理的食塩水を吸収させたところ、膨潤度は0.7であった。また、25kGyのγ線照射により滅菌された乾燥発泡体の吸水性を評価したところ、24時間後の膨潤度は1.5であった。
【0125】
比較例8〔カルシウムイオンにより架橋されたアルギン酸ゲル発泡体の調製〕
アルギン酸ナトリウム〔和光純薬工業(株)製、粘度:100〜150mPa・s〕3.8gおよび炭酸ナトリウム1.9gをイオン交換水84gに完全に溶解し、この溶液に炭酸カルシウム0.5gを添加して十分に攪拌した。
【0126】
一方、アルギン酸ナトリウム〔和光純薬工業(株)製、粘度:100〜150mPa・s〕3.8gをイオン交換水80gに完全に溶解させた後、酢酸3.6gを添加して十分に攪拌した溶液を調製した。
【0127】
このように調製した2つのアルギン酸ナトリウム溶液を20gずつ混合したところ、急激に発泡した。次に、この発泡溶液を10cm×10cmのフッ素樹脂製トレーに入れ、室温で0.5時間硬化させた後、70℃に温度調節した乾燥器で2時間乾燥した。その結果、10cm×10cm×0.2cmの、嵩高さがなく、堅いフィルムが得られた。得られたフィルムに実施例13と同様にして37℃で生理的食塩水を吸収させたところ、3時間後にはフィルムが溶解し、その形状が保持されなかった。
【0128】
実施例15〔PGA−ε−ポリリジンゲル発泡体の調製〕
2.5重量%PGA〔紀文フードケミファ(株)製、粘度:約200mPa・s〕水溶液500gに塩化ナトリウム2.5gを添加して溶解させた後、得られた溶液を40℃まで昇温した。ビーター(キッチンエイドミキサー)で5分間程度空気を混入させながら攪拌して発泡させた。
【0129】
得られた発泡溶液に、25重量%のε−ポリリジン水溶液〔チッソ(株)製〕1.95mLを添加し、さらにビーターで1分間程度攪拌した。この時点での溶液の密度は0.35g/cm3 であった。次に、この発泡溶液30gを10cm×10cmのフッ素樹脂被覆トレーに入れ、1時間室温で放置した。生成した発泡含水ゲルを70℃で4時間乾燥し、10cm×10cm×0.8cmのスポンジ状の発泡体を得た。得られた発泡体を0.5mmのスペーサーを挟んだプレス機で圧縮し、柔軟な圧縮発泡シートを得た。
【0130】
得られた圧縮発泡シートの吸水性を評価するために、この圧縮発泡シートに実施例13と同様にして37℃で生理的食塩水を吸収させたところ、膨潤度は約38であった。また、エチレンオキサイドガスにより滅菌された乾燥発泡体の吸水性を評価したところ、24時間後の膨潤度は約35であった。発泡体は、吸水してもその形状を十分に保持しており、崩壊または溶解などは観測されなかった。
【0131】
試験例1
日本白色家兎( 約3.5kg) の耳に直径6mmの皮膚欠損創をそれぞれ2個つくった。この際、軟骨膜までの組織は完全に除去した。前記欠損創に、一辺が約2cmの実施例14で得られた発泡体、対照として比較例7の発泡体を貼付し、両者ともポリウレタンフィルム(ジョンソン・アンド・ジョンソン製、商品名:バイオクルーシブ)で全体をカバーしてフィルムを縫合固定した。恒温下、十分な量の水と餌を与えて飼育後、貼付7日目に兎を犠牲死させ、創部を採取した。
【0132】
創部の組織を固定染色後に顕微鏡で観察したところ、実施例14で得られた発泡体を貼付した箇所では、上皮間距離が1.8mmであった。これに対して、比較例7で得られた発泡体の上皮間距離は3mm程度であった。
【0133】
また、実施例14で得られた発泡体を貼付した創では、組織内部に異物の残存、異物反応は顕著ではなかった。
【0134】
【発明の効果】
本発明の水膨潤性高分子ゲルの製造法によれば、高分子ゲルを安価に、しかも効率的に製造することができる。
【0135】
本発明の水膨潤性高分子ゲルは、中性付近の水系溶媒中でも効率よく形成され、天然由来の成分が構成要素であるため、人体に対する安全性が高いものである。更に、本発明の水膨潤性高分子ゲルは、吸水性、機械的強度などの物性にも優れているので、工業、農業、食品、医療などの広範囲の分野で好適に使用することができる。
Claims (7)
- エステル化されたカルボキシル基含有多糖類と、天然アミノ酸に由来するα−アミノ基を2つ以上有する化合物とを反応させてなる水膨潤性高分子ゲルであって、該カルボキシル基含有多糖類が、アルギン酸またはヒアルロン酸であり、天然アミノ酸に由来するα−アミノ基を2つ以上有する化合物がε−ポリリジンである、水膨潤性高分子ゲル。
- エステル化されたカルボキシル基含有多糖類が、アルギン酸プロピレングリコールエステルまたはヒアルロン酸プロピレングリコールエステルである請求項1記載の水膨潤性高分子ゲル。
- 請求項1又は2記載の水膨潤性高分子ゲルからなる医用材料。
- 請求項1又は2記載の水膨潤性高分子ゲルを発泡させてなる水膨潤性高分子ゲル発泡体。
- 請求項4記載の水膨潤性高分子ゲル発泡体からなる医用材料。
- 創傷被覆材、癒着防止材または組織再生材料である請求項3または5記載の医用材料。
- エステル化されたカルボキシル基含有多糖類と、天然アミノ酸に由来するα−アミノ基を2つ以上有する化合物とを反応させることを特徴とする水膨潤性高分子ゲルの製造法であって、該カルボキシル基含有多糖類が、アルギン酸またはヒアルロン酸であり、天然アミノ酸に由来するα−アミノ基を2つ以上有する化合物がε−ポリリジンである、水膨潤性高分子ゲルの製造法。
Priority Applications (1)
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