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JP4043910B2 - 応力測定装置および応力測定方法およびプログラム - Google Patents

応力測定装置および応力測定方法およびプログラム Download PDF

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JP4043910B2 JP2002300355A JP2002300355A JP4043910B2 JP 4043910 B2 JP4043910 B2 JP 4043910B2 JP 2002300355 A JP2002300355 A JP 2002300355A JP 2002300355 A JP2002300355 A JP 2002300355A JP 4043910 B2 JP4043910 B2 JP 4043910B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばX線等の電磁波の測定対象物における回折によって、測定対象物に発生した応力を測定する応力測定装置および応力測定方法およびプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば多結晶体材料に発生した応力をX線の回折現象を利用して測定する方法として、例えば単色化したX線を試料に入射した際に、試料中の回折条件を満たす結晶格子面を有する複数の結晶粒によって回折されるX線の強度を、回折を起こした結晶格子面の法線と試料表面の法線とのなす角(ψ角)ψを所定値に固定した状態で散乱角2θを走査しつつ測定し、さらに、ψ角を変更して散乱角2θの走査およびX線強度測定を繰り返すことで、散乱角2θに応じたX線の散乱強度分布のψ角に対する依存性を測定し、試料に発生した応力の試料表面に平行な成分を測定する方法が知られている。
そして、このような測定において、ψ角を変更する方法として、例えばX線の入射方向および出射方向を含む平面に平行な平面内にてψ角が設定されるようにする並傾法や、例えばX線の入射方向および出射方向を含む平面に直交すると共に散乱ベクトルを含む平面内にてψ角が設定されるようにする側傾法等が知られている。
ここで、試料表面上における適宜のX線照射位置を含むと共に試料表面に直交する軸をφ回転軸とし、X線照射位置を含むと共にφ回転軸に直交し、かつ、X線の入射方向および出射方向を含む2θ走査面内に含まれる軸をχ回転軸とし、X線照射位置を含み、2θ走査面に直交する軸をω回転軸とし、2θ走査面とφ回転軸とのなす角(χ)をχ角とし、X線の入射方向に沿った入射軸とχ回転軸とのなす角(ω)をω角とすれば、並傾法ではχ=0すなわちψ=θ−ωとなり、側傾法ではω=θすなわちψ=χとなる。
【0003】
ところで、上述したような並傾法や側傾法によってψ角を変更する場合には、単に、ω角またはχ角のみを変更するだけであって、この場合には、X線の入射方向と試料表面とのなす角(入射角)αが変更されることで、試料中におけるX線の到達深さに変化が生じる。
ここで、試料によって回折されるX線の強度を測定する際には、いわば試料表面からX線の到達深さまでの範囲内において回折されるX線(回折X線)が検出される。すなわち、各ψ角における2θ走査によって得られる散乱強度分布の測定結果は、試料表面からX線の到達深さまでの範囲内に存在する多数の結晶粒からの回折X線に、試料中でのX線吸収による強度の減衰率が重みとして作用した平均的な情報により構成される。
【0004】
このため、試料の深さ方向において応力の大きさが変化する場合、つまり試料の深さ方向に応力勾配が存在する場合に、ψ角の変更に伴ってX線の到達深さが変化してしまうと、試料に発生した応力を適切に検出することが困難になるという問題が生じる。
このような問題に対して、従来、例えば入射角αを所定値に固定した状態でψ角を変化させるX線応力測定方法が知られており(例えば、特許文献1参照)、このX線応力測定方法においては、sinα=cosχ・sinωを所定の値に固定した状態で、cosψ=cosχ・cos(θ―ω)を変化させるように設定されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−336992号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術の一例に係るX線応力測定方法においては、単に、入射角αを所定値に維持してψ角を変化させるだけであり、入射されるX線の試料中での光路長のみを制御しているだけである。ここで、X線の到達深さは、入射角αのみに限らず、回折されるX線の出射方向つまり回折されるX線の試料中での光路長にも依存することから、入射角αのみを制御するだけではX線の到達深さを変化させずにψ角を変化させることはできない。このため、試料の深さ方向に応力勾配が存在する場合には、試料に発生した応力を適切に検出することが困難になるという問題が生じる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、確実にX線の到達深さを変化させずにψ角および散乱角2θを制御することによって、試料に発生した応力の検出精度を向上させることが可能な応力測定装置および応力測定方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の応力測定装置は、所定エネルギーのX線を被測定物に照射する入射装置(例えば、実施の形態でのX線光源11および単色化装置12および入射側スリット13)と、前記X線のうち前記被測定物にて散乱される散乱X線の強度を検出する検出装置(例えば、実施の形態での検出装置18)と、前記X線の入射方向と前記検出装置により検出される前記散乱X線の散乱方向とのなす角である散乱角を変更可能な散乱角変更装置(例えば、実施の形態での2θ駆動装置16)と、前記入射方向および前記散乱方向を含む散乱角走査平面内において前記散乱角の補角の2等分線に沿った方向に伸びる散乱ベクトルと前記被測定物の表面に対する法線方向とのなす角であるψ角を変更可能なψ角変更装置(例えば、実施の形態での試料位置調整部15)と、前記ψ角変更装置により前記ψ角を変更させる毎に、前記散乱角変更装置により前記散乱角を変更させると共に前記検出装置により前記散乱X線の強度を測定させ、前記散乱角の変化に応じた前記散乱X線の散乱強度分布のψ角依存性のデータを取得し、該データに基づき、前記被測定物に発生した応力の前記表面に平行な応力成分を検出する制御装置(例えば、実施の形態での制御装置19)とを備える応力測定装置であって、前記表面と前記入射方向とのなす角である入射角および前記表面と前記散乱方向とのなす角である出射角に係る第1の角および第2の角と、前記X線の波長と、前記被測定物のX線吸収係数とに基づいて算出可能なX線侵入深さに、所定値を設定するX線侵入深さ設定手段(例えば、実施の形態でのステップS04およびステップS17)と、前記X線侵入深さ設定手段により設定される前記X線侵入深さの値を固定した状態で、前記散乱角および前記ψ角を各所望の値に設定するための、前記第1の角および前記第2の角を設定するパラメータ設定手段(例えば、実施の形態でのχω算出部41)と、前記パラメータ設定手段により設定される前記第1の角および前記第2の角に応じて、前記散乱角変更装置を駆動制御することにより前記散乱角を所望の値に設定する散乱角駆動制御手段(例えば、実施の形態での駆動制御部43)および前記ψ角変更装置を駆動制御することにより前記ψ角を所望の値に設定するψ角駆動制御手段(例えば、実施の形態での駆動制御部43)とを備えることを特徴としている。
【0008】
上記構成の応力測定装置によれば、パラメータ設定手段により設定される入射角および出射角に係る第1の角および第2の角に応じて、散乱角変更装置およびψ角変更装置を駆動制御することにより、被測定物にて散乱されるX線の散乱位置の深さに係る情報つまり被測定物に対するX線侵入深さが変化してしまうことを確実に防止しつつ、例えば散乱角変更装置またはψ角変更装置の駆動に係る運動誤差の範囲内において、散乱角およびψ角を所望の値に変更することができる。
これにより、ψ角を所定値に固定した状態で散乱角を走査しつつ散乱X線の強度を測定し、さらに、ψ角を変更して散乱角2θの走査およびX線強度測定を繰り返すことで、散乱角に応じたX線の散乱強度分布のψ角に対する依存性を測定し、得られたデータに対して、例えば、横軸を(sinψ)とし、縦軸を散乱強度分布が極大となるときの散乱角とするsinψプロットを作成した際に、このsinψプロットから、被測定物に発生した応力の被測定物の表面に平行な成分(面内応力成分)を精度良く検出することができる。つまり、一連の散乱角の走査時において、X線侵入深さが所定の値に固定され、維持されることから、測定により得られる各データにおいて、散乱位置の深さに係る情報の作用が同等となり、(sinψ)と散乱角との比例関係性が向上し、直線状のsinψプロットの勾配から算出可能な面内応力成分の精度を向上させることができる。
【0009】
さらに、請求項2に記載の本発明の応力測定装置は、前記X線侵入深さ設定手段により複数の異なる前記X線侵入深さを設定させ、各前記複数の異なる前記X線侵入深さ毎に対して、前記制御装置により前記被測定物に発生した前記応力の前記表面に平行な前記応力成分を検出させ、前記X線侵入深さの変化に応じた前記応力成分の変化を検出する応力深さ分布検出手段(例えば、実施の形態でのステップS15〜ステップS17)を備えることを特徴としている。
【0010】
上記構成の応力測定装置によれば、X線侵入深さに対して複数の異なる値を設定し、X線侵入深さを各値に固定した状態毎に面内応力成分を検出することによって、面内応力成分の深さ依存性の検出精度を向上させることができる。
【0011】
さらに、請求項3に記載の本発明の応力測定装置では、前記ψ角変更装置は、前記被測定物の前記表面の法線に直交すると共に前記散乱角走査平面内に含まれるχ回転軸周りに前記法線を回転させるχ回転装置(例えば、実施の形態でのχクレードル32およびχ移動部33)と、前記散乱角走査平面に直交するω回転軸周りに前記χ回転軸を回転させるω回転装置(例えば、実施の形態でのχクレードル回転部34)とを備え、前記パラメータ設定手段は、前記第1の角として前記散乱角走査平面と前記法線とのなす角であるχ角を設定するχ角設定手段(例えば、実施の形態でのステップS07またはステップS21)と、前記第2の角として前記散乱角走査平面内における前記入射方向と前記χ回転軸とのなす角であるω角を設定するω角設定手段(例えば、実施の形態でのステップS07またはステップS21が兼ねる)とを備え、前記ψ角駆動制御手段は、前記χ角設定手段にて設定される前記χ角に応じて前記χ回転装置を駆動制御するχ角駆動制御手段(例えば、実施の形態でのステップS08またはステップS22)と、前記ω角設定手段にて設定される前記ω角に応じて前記ω回転装置を駆動制御するω角駆動制御手段(例えば、実施の形態でのステップS08またはステップS22が兼ねる)とを備えることを特徴としている。
【0012】
上記構成の応力測定装置によれば、ψ角は散乱角およびω角およびχ角により記述可能であり、散乱角の走査時に、例えばω角またはχ角のみだけを変更するのではなく、ω角およびχ角を変更することによって、被測定物に対するX線侵入深さを所定の値に固定した状態で、散乱角およびψ角を所望の値に変更することができる。
【0013】
さらに、請求項4に記載の本発明の応力測定装置は、前記X線の波長と前記X線吸収係数とに基づいてX線侵入長を設定するX線侵入長設定手段(例えば、実施の形態でのステップS02)を備え、前記表面が前記入射方向と平行かつ前記散乱角走査平面に直交する状態において、前記χ角設定手段は前記χ角をゼロに設定し、かつ、前記ω角設定手段は前記ω角をゼロに設定しており、前記散乱角変更装置により変更される前記散乱角の正方向と、前記ω回転装置により変更される前記ω角の正方向とを同等に設定した状態において、
2θ:前記散乱角
ψ:前記ψ角
:前記X線侵入深さ
:前記X線侵入長
としたとき、前記χ角設定手段は、下記数式(10)によって前記χ角を設定し、前記ω角設定手段は、下記数式(11)または(12)によって前記ω角を設定することを特徴としている。
【0014】
【数10】
Figure 0004043910
【0015】
【数11】
Figure 0004043910
【0016】
【数12】
Figure 0004043910
【0017】
上記構成の応力測定装置によれば、被測定物に入射されるX線の被測定物中での光路長と、被測定物にて散乱される散乱X線の被測定物中での光路長との和とされる全光路長は、X線の散乱位置の深さおよび散乱角およびχ角およびω角に基づき算出される。ここで、被測定物中でのX線および散乱X線の強度の減衰率が所定値(例えば、1/e;eは自然対数)となるときの全光路長の値をX線侵入長Lとすれば、X線侵入長LはX線の波長とX線吸収係数とに基づいて算出可能である。そして、このX線侵入長Lに対するX線の散乱位置の深さの値をX線侵入深さDとし、このX線侵入深さDに所定値を設定すると、散乱角2θの走査時に、所望の散乱角2θおよびψ角を得るためのχ角を上記数式(10)により算出することができ、さらに、所望の散乱角およびψ角を得るためのω角を上記数式(11)または(12)により算出することができる。
すなわち、例えば被測定物に入射されるX線の被測定物中での光路長のみだけではなく、入射されるX線の光路長と散乱X線の光路長との和とされる全光路長によって、X線の散乱位置の深さに係る情報を精度良く制御することができ、全光路長がX線侵入長Lと一致するようにしてχ角およびω角を変更して散乱角およびψ角を所望の値に設定することにより、X線の散乱位置の深さに係る情報が変化することに伴って散乱強度分布の検出精度が劣化してしまうことを確実に防止することができる。
【0018】
また、請求項5に記載の本発明の応力測定方法は、所定エネルギーのX線を被測定物に照射し、前記X線のうち前記被測定物にて散乱される散乱X線の強度を検出する検出ステップ(例えば、実施の形態でのステップS01およびステップS09)と、前記X線の入射方向と前記検出ステップにて検出される前記散乱X線の散乱方向とのなす角である散乱角を変更する散乱角変更ステップ(例えば、実施の形態でのステップS08またはステップS22)と、前記入射方向および前記散乱方向を含む散乱角走査平面内において前記散乱角の補角の2等分線に沿った方向に伸びる散乱ベクトルと前記被測定物の表面に対する法線方向とのなす角であるψ角を変更するψ角変更ステップ(例えば、実施の形態でのステップS08またはステップS22が兼ねる)と、前記ψ角変更ステップにより前記ψ角を変更する毎に、前記散乱角変更ステップにより前記散乱角を変更すると共に前記検出ステップにより前記散乱X線の強度を測定し、前記散乱角の変化に応じた前記散乱X線の散乱強度分布のψ角依存性のデータを取得し、該データに基づき、前記被測定物に発生した応力の前記表面に平行な応力成分を検出する制御ステップ(例えば、実施の形態でのステップS15)とを含む応力測定方法であって、前記表面と前記入射方向とのなす角である入射角および前記表面と前記散乱方向とのなす角である出射角に係る第1の角および第2の角と、前記X線の波長と、前記被測定物のX線吸収係数とに基づいて算出可能なX線侵入深さに、所定値を設定するX線侵入深さ設定ステップ(例えば、実施の形態でのステップS04)と、前記X線侵入深さ設定ステップにより設定される前記X線侵入深さの値を固定した状態で、前記散乱角および前記ψ角を各所望の値に設定するための、前記第1の角および前記第2の角を設定するパラメータ設定ステップ(例えば、実施の形態でのステップS07またはステップS21)とを含み、前記散乱角変更ステップは、前記パラメータ設定ステップにより設定される前記第1の角および前記第2の角に応じて前記散乱角を所望の値に変更し、前記ψ角変更ステップは、前記パラメータ設定ステップにより設定される前記第1の角および前記第2の角に応じて前記ψ角を所望の値に変更することを特徴としている。
【0019】
上記の応力測定方法によれば、パラメータ設定ステップにより設定される入射角および出射角に係る第1の角および第2の角に応じて、散乱角およびψ角を所望の値に変更することにより、被測定物にて散乱されるX線の散乱位置の深さに係る情報つまり被測定物に対するX線侵入深さが変化してしまうことを確実に防止することができる。
これにより、ψ角を所定値に固定した状態で散乱角を走査しつつ散乱X線の強度を測定し、さらに、ψ角を変更して散乱角の走査およびX線強度測定を繰り返すことで、散乱角に応じたX線の散乱強度分布のψ角に対する依存性を測定し、得られたデータに対して、例えば、横軸を(sinψ)とし、縦軸を散乱強度分布が極大となるときの散乱角とするsinψプロットを作成した際に、このsinψプロットから、被測定物に発生した応力の被測定物の表面に平行な成分(面内応力成分)を精度良く検出することができる。つまり、一連の散乱角の走査時において、X線侵入深さが所定の値に固定され、維持されることから、測定により得られる各データにおいて、散乱位置の深さに係る情報の作用が同等となり、(sinψ)と散乱角との比例関係性が向上し、直線状のsinψプロットの勾配から算出可能な面内応力成分の精度を向上させることができる。
【0020】
さらに、請求項6に記載の本発明の応力測定方法は、前記X線侵入深さ設定ステップにより複数の異なる前記X線侵入深さを設定し、各前記複数の異なる前記X線侵入深さ毎に対して、前記制御ステップにより前記被測定物に発生した前記応力の前記表面に平行な前記応力成分を検出し、前記X線侵入深さの変化に応じた前記応力成分の変化を検出する応力深さ分布検出ステップ(例えば、実施の形態でのステップS15〜ステップS17)を含むことを特徴としている。
【0021】
上記の応力測定方法によれば、X線侵入深さに対して複数の異なる値を設定し、X線侵入深さを各値に固定した状態毎に面内応力成分を検出することによって、面内応力成分の深さ依存性の検出精度を向上させることができる。
【0022】
さらに、請求項7に記載の本発明の応力測定方法では、前記パラメータ設定ステップは、前記第1の角として前記散乱角走査平面と前記被測定物の前記表面の法線とのなす角であるχ角を設定するχ角設定ステップ(例えば、実施の形態でのステップS07またはステップS21が兼ねる)と、前記第2の角として前記法線に直交すると共に前記散乱角走査平面内に含まれるχ回転軸と前記散乱角走査平面内における前記入射方向とのなす角であるω角を設定するω角設定ステップ(例えば、実施の形態でのステップS07またはステップS21が兼ねる)とを含むことを特徴としている。
【0023】
上記の応力測定方法によれば、ψ角は散乱角およびω角およびχ角により記述可能であり、散乱角の走査時に、例えばω角またはχ角のみだけを変更するのではなく、ω角およびχ角を変更することによって、被測定物に対するX線侵入深さを所定の値に固定した状態で、散乱角およびψ角を所望の値に変更することができる。
【0024】
さらに、請求項8に記載の本発明の応力測定方法は、前記X線の波長と前記X線吸収係数とに基づいてX線侵入長を設定するX線侵入長設定ステップ(例えば、実施の形態でのステップS02)を含み、前記表面が前記入射方向と平行かつ前記散乱角走査平面に直交する状態において、前記χ角設定ステップは前記χ角をゼロに設定し、かつ、前記ω角設定ステップは前記ω角をゼロに設定しており、前記散乱角変更ステップにより変更される前記散乱角の正方向と、前記ω回転ステップにより変更される前記ω角の正方向とを同等に設定した状態において、2θ:前記散乱角
ψ:前記ψ角
:前記X線侵入深さ
:前記X線侵入長
としたとき、前記χ角設定ステップは、下記数式(13)によって前記χ角を設定し、前記ω角設定ステップは、下記数式(14)または(15)によって前記ω角を設定することを特徴としている。
【0025】
【数13】
Figure 0004043910
【0026】
【数14】
Figure 0004043910
【0027】
【数15】
Figure 0004043910
【0028】
上記の応力測定方法によれば、被測定物に入射されるX線の被測定物中での光路長と、被測定物にて散乱される散乱X線の被測定物中での光路長との和とされる全光路長は、X線の散乱位置の深さおよび散乱角およびχ角およびω角に基づき算出される。ここで、被測定物中でのX線および散乱X線の強度の減衰率が所定値(例えば、1/e;eは自然対数)となるときの全光路長の値をX線侵入長Lとすれば、X線侵入長LはX線の波長とX線吸収係数とに基づいて算出可能である。そして、このX線侵入長Lに対するX線の散乱位置の深さの値をX線侵入深さDとし、このX線侵入深さDに所定値を設定すると、散乱角の走査時に、所望の散乱角およびψ角を得るためのχ角を上記数式(13)により算出することができ、さらに、所望の散乱角およびψ角を得るためのω角を上記数式(14)または(15)により算出することができる。
すなわち、例えば被測定物に入射されるX線の被測定物中での光路長のみだけではなく、入射されるX線の光路長と散乱X線の光路長との和とされる全光路長によって、X線の散乱位置の深さに係る情報を精度良く制御することができ、全光路長がX線侵入長Lと一致するようにしてχ角およびω角を変更して散乱角およびψ角を所望の値に設定することにより、X線の散乱位置の深さに係る情報が変化することに伴って散乱強度分布の検出精度が劣化してしまうことを確実に防止することができる。
【0029】
また、請求項9に記載の本発明のプログラムは、コンピュータを、所定エネルギーのX線を入射装置(例えば、実施の形態でのX線光源11および単色化装置12および入射側スリット13)によって被測定物に照射させる照射制御手段(例えば、実施の形態でのステップS01)と、前記X線のうち前記被測定物にて散乱される散乱X線の強度を検出装置(例えば、実施の形態での検出装置18)によって検出させる検出制御手段(例えば、実施の形態でのステップS09)と、前記X線の入射方向と前記検出装置により検出される前記散乱X線の散乱方向とのなす角である散乱角を散乱角変更装置(例えば、実施の形態での2θ駆動装置16)により変更させる散乱角変更制御手段(例えば、実施の形態でのステップS08またはステップS22)と、前記入射方向および前記散乱方向を含む散乱角走査平面内において前記散乱角の補角の2等分線に沿った方向に伸びる散乱ベクトルと前記被測定物の表面に対する法線方向とのなす角であるψ角をψ角変更装置(例えば、実施の形態での試料位置調整部15)により変更させるψ角変更制御手段(例えば、実施の形態でのステップS08またはステップS22が兼ねる)と、前記ψ角変更制御手段により前記ψ角を変更させる毎に、前記散乱角変更制御手段により前記散乱角を変更させると共に前記検出制御手段により前記散乱X線の強度を測定させ、前記散乱角の変化に応じた前記散乱X線の散乱強度分布のψ角依存性のデータを取得し、該データに基づき、前記被測定物に発生した応力の前記表面に平行な応力成分を検出する制御手段(例えば、実施の形態でのステップS15)として機能させるためのプログラムであって、コンピュータを、前記表面と前記入射方向とのなす角である入射角および前記表面と前記散乱方向とのなす角である出射角に係る第1の角および第2の角と、前記X線の波長と、前記被測定物のX線吸収係数とに基づいて算出可能なX線侵入深さに、所定値を設定するX線侵入深さ設定手段(例えば、実施の形態でのステップS04)と、前記X線侵入深さ設定手段により設定される前記X線侵入深さの値を固定した状態で、前記散乱角および前記ψ角を各所望の値に設定するための、前記第1の角および前記第2の角を設定するパラメータ設定手段(例えば、実施の形態でのステップS07またはステップS21)として機能させ、前記散乱角変更制御手段は、前記パラメータ設定手段により設定される前記第1の角および前記第2の角に応じて、前記散乱角変更装置を制御することにより前記散乱角を所望の値に設定し、前記ψ角変更制御手段は、前記パラメータ設定手段により設定される前記第1の角および前記第2の角に応じて、前記ψ角変更装置を制御することにより前記ψ角を所望の値に設定することを特徴としている。
【0030】
上記のプログラムによれば、パラメータ設定手段により設定される入射角および出射角に係る第1の角および第2の角に応じて、散乱角変更装置およびψ角変更装置を駆動制御することにより、被測定物にて散乱されるX線の散乱位置の深さに係る情報つまり被測定物に対するX線侵入深さが変化してしまうことを確実に防止しつつ、例えば散乱角変更装置またはψ角変更装置の駆動に係る運動誤差の範囲内において、散乱角およびψ角を所望の値に変更することができる。
これにより、ψ角を所定値に固定した状態で散乱角を走査しつつ散乱X線の強度を測定し、さらに、ψ角を変更して散乱角の走査およびX線強度測定を繰り返すことで、散乱角に応じたX線の散乱強度分布のψ角に対する依存性を測定し、得られたデータに対して、例えば、横軸を(sinψ)とし、縦軸を散乱強度分布が極大となるときの散乱角とするsinψプロットを作成した際に、このsinψプロットから、被測定物に発生した応力の被測定物の表面に平行な成分(面内応力成分)を精度良く検出することができる。つまり、一連の散乱角の走査時において、X線侵入深さが所定の値に固定され、維持されることから、測定により得られる各データにおいて、散乱位置の深さに係る情報の作用が同等となり、(sinψ)と散乱角との比例関係性が向上し、直線状のsinψプロットの勾配から算出可能な面内応力成分の精度を向上させることができる。
【0031】
さらに、請求項10に記載の本発明のプログラムは、コンピュータを、前記X線侵入深さ設定手段により複数の異なる前記X線侵入深さを設定させ、各前記複数の異なる前記X線侵入深さ毎に対して、前記制御手段により前記被測定物に発生した前記応力の前記表面に平行な前記応力成分を検出させ、前記X線侵入深さの変化に応じた前記応力成分の変化を検出する応力深さ分布検出手段(例えば、実施の形態でのステップS15〜ステップS17)として機能させることを特徴としている。
【0032】
上記のプログラムによれば、X線侵入深さに対して複数の異なる値を設定し、X線侵入深さを各値に固定した状態毎に面内応力成分を検出することによって、面内応力成分の深さ依存性の検出精度を向上させることができる。
【0033】
さらに、請求項11に記載の本発明のプログラムでは、前記ψ角変更制御手段は、前記被測定物の前記表面の法線に直交すると共に前記散乱角走査平面内に含まれるχ回転軸周りに前記法線を回転させるχ回転装置(例えば、実施の形態でのχクレードル32およびχ移動部33)を制御するχ回転制御手段(例えば、実施の形態でのステップS08またはステップS22が兼ねる)と、前記散乱角走査平面に直交するω回転軸周りに前記χ回転軸を回転させるω回転装置(例えば、実施の形態でのχクレードル回転部34)を制御するω回転制御手段(例えば、実施の形態でのステップS08またはステップS22が兼ねる)とを備え、前記パラメータ設定手段は、前記第1の角として前記散乱角走査平面と前記法線とのなす角であるχ角を設定するχ角設定手段(例えば、実施の形態でのステップS07またはステップS21が兼ねる)と、前記第2の角として前記散乱角走査平面内における前記入射方向と前記χ回転軸とのなす角であるω角を設定するω角設定手段(例えば、実施の形態でのステップS07またはステップS21が兼ねる)とを備え、前記χ回転制御手段は、前記χ角設定手段にて設定される前記χ角に応じて前記χ回転装置を制御し、前記ω回転制御手段は、前記ω角設定手段にて設定される前記ω角に応じて前記ω回転装置を制御することを特徴としている。
【0034】
上記のプログラムによれば、ψ角は散乱角およびω角およびχ角により記述可能であり、散乱角の走査時に、例えばω角またはχ角のみだけを変更するのではなく、ω角およびχ角を変更することによって、被測定物に対するX線侵入深さを所定の値に固定した状態で、散乱角およびψ角を所望の値に変更することができる。
【0035】
さらに、請求項12に記載の本発明のプログラムは、コンピュータを、前記X線の波長と前記X線吸収係数とに基づいてX線侵入長を設定するX線侵入長設定手段(例えば、実施の形態でのステップS02)として機能させ、前記表面が前記入射方向と平行かつ前記散乱角走査平面に直交する状態において、前記χ角設定手段は前記χ角をゼロに設定し、かつ、前記ω角設定手段は前記ω角をゼロに設定しており、前記散乱角変更装置により変更される前記散乱角の正方向と、前記ω回転装置により変更される前記ω角の正方向とを同等に設定した状態において、
2θ:前記散乱角
ψ:前記ψ角
:前記X線侵入深さ
:前記X線侵入長
としたとき、前記χ角設定手段は、下記数式(16)によって前記χ角を設定し、前記ω角設定手段は、下記数式(17)または(18)によって前記ω角を設定することを特徴としている。
【0036】
【数16】
Figure 0004043910
【0037】
【数17】
Figure 0004043910
【0038】
【数18】
Figure 0004043910
【0039】
上記のプログラムによれば、被測定物に入射されるX線の被測定物中での光路長と、被測定物にて散乱される散乱X線の被測定物中での光路長との和とされる全光路長は、X線の散乱位置の深さおよび散乱角およびχ角およびω角に基づき算出される。ここで、被測定物中でのX線および散乱X線の強度の減衰率が所定値(例えば、1/e;eは自然対数)となるときの全光路長の値をX線侵入長Lとすれば、X線侵入長LはX線の波長とX線吸収係数とに基づいて算出可能である。そして、このX線侵入長Lに対するX線の散乱位置の深さの値をX線侵入深さDとし、このX線侵入深さDに所定値を設定すると、散乱角の走査時に、所望の散乱角およびψ角を得るためのχ角を上記数式(16)により算出することができ、さらに、所望の散乱角およびψ角を得るためのω角を上記数式(17)または(18)により算出することができる。
すなわち、例えば被測定物に入射されるX線の被測定物中での光路長のみだけではなく、入射されるX線の光路長と散乱X線の光路長との和とされる全光路長によって、X線の散乱位置の深さに係る情報を精度良く制御することができ、全光路長がX線侵入長Lと一致するようにしてχ角およびω角を変更して散乱角およびψ角を所望の値に設定することにより、X線の散乱位置の深さに係る情報が変化することに伴って散乱強度分布の検出精度が劣化してしまうことを確実に防止することができる。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の応力測定装置および応力測定方法およびプログラムの一実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
本実施の形態に係る応力測定装置10は、測定対象である試料を構成する結晶粒の結晶格子面間隔をX線回折によって測定することにより、試料に発生した応力に起因する原子配列のひずみを検出する装置であって、例えば図1に示すように、X線光源11と、単色化装置12と、入射側スリット13と、イオンチェンバー14と、試料位置調整部15と、2θ駆動装置16と、散乱側スリット17と、検出装置18と、制御装置19と、入力装置20とを備えて構成されている。
【0041】
X線光源11は、例えば電子ビームを偏向電磁石等により偏向させた際に発生する放射光によって、所定のエネルギー領域に亘る連続スペクトルのX線を発生させる。
単色化装置12は、X線光源11から入射されるX線から所定エネルギーのX線を抽出するものであって、例えば平行に配置された2つのSiの単結晶からなる2結晶モノクロメータ等を備えて構成されている。ここで、例えば第1および第2の結晶を具備する2結晶モノクロメータでは、連続した複数の波長のX線からなる白色X線が入射ビームとして第1の結晶に入射されると、この第1の結晶における回折によって、所定エネルギーのX線が抽出される。次に、このX線は、第2の結晶に入射され、この第2の結晶における回折によって、入射ビームと平行な方向に散乱されるようになっている。
さらに、単色化装置12は、例えばX線ミラーを備え、2結晶モノクロメータから出射される散乱X線を全反射させることで、散乱X線から高次光(つまり、所望のエネルギーの回折成分に対して回折次数がより高次の成分)を除去するようになっている。
なお、単色化装置12にて抽出されるエネルギーの値は、例えば測定対象物とされる試料21のX線吸収端前後の値に設定される。
【0042】
入射側スリット13は、単色化装置12によって単色化されたX線の進行方向に対する断面形状を適宜の形状に整形するものであって、例えば鉛直方向の上下および水平方向の左右の4象限方向でのX線ビームの広がりを、モータ駆動によるスリットの移動で自動的に調整可能な自動4象限スリット等とされている。
イオンチェンバー14は、入射側スリット13によって整形されたX線の強度を測定するものであって、このイオンチェンバー14内を通過したX線は、入射X線Xinとして、後述する試料位置調整部15へ入射される。そして、試料位置調整部15によって支持される試料21の試料表面S上における適宜の照射位置Pが、入射X線Xinにより照射されるようになっている。
【0043】
2θ駆動装置16は、例えば、アーム部16aと、2θ駆動モータ16bとを備えて構成されており、2θ駆動モータ16bは、後述する制御装置19から入力される駆動指令に応じて、試料21の試料表面S上における照射位置Pを含むと共に入射X線Xinの入射方向に沿った入射軸と直交する2θ回転軸周りに、アーム部16aを回転させる。すなわち、2θ駆動装置16は所望の散乱角2θを設定する。
散乱側スリット17は、アーム部16aに設けられ、試料20に入射された入射X線Xinに対する回折X線(散乱X線Xout)の発散角を制御するものであって、例えば平行に配置された複数の板状のブレードからなるソーラースリット等とされている。
【0044】
検出装置18は、散乱側スリット17内を通過することによって発散角が適宜の値に設定された散乱X線Xoutの強度を検出し、検出結果を出力するものであって、アーム部16aに設けられた、例えばNaIシンチレーションカウンター等のX線検出器18aと、X線検出器18aからの出力信号を増幅する増幅器18bと、増幅器にて増幅された出力信号から所望レベルの出力信号以外の信号を取り除くための波高分析器18cと、波高分析器にて抽出された所望レベルの出力信号を計数する計数器18dとを備えて構成されている。この検出装置18の検出動作は、後述する制御装置19によって制御され、検出データは制御装置19へ出力されるようになっている。
入力装置20は、例えば操作者による操作入力等に応じて、後述する各種のパラメータを制御装置19へ入力する。
【0045】
なお、入射X線Xinの入射方向に沿った入射軸と散乱X線Xoutの散乱方向に沿った散乱軸と試料21の試料表面S上における照射位置Pとを含む平面は2θ走査面とされ、2θ回転軸と直交している。
【0046】
試料位置調整部15は、測定対象とされる試料21の配置状態を適宜に設定可能であり、さらに、試料21を回転状態等の適宜の運動状態に設定可能であり、例えば試料位置調整部15を2θ回転軸および試料21の試料表面Sの法線に直交する方向から見た図2に示すように、例えば、スピナー31と、χクレードル32と、χ移動部33と、χクレードル回転部34とを備えて構成されている。
【0047】
スピナー31は、試料21の試料表面S上における照射位置Pを含むと共に試料表面Sに直交するφ回転軸周りに、試料21を所定回転数で回転させるものであって、例えば、試料21を固定する試料ホルダー31aと、試料ホルダー31aをφ回転軸周りに回転駆動するモータ31bとを備えて構成され、モータ31bの回転軸は、試料21の試料表面Sの法線と平行になるように設定されている。
例えば、試料21の結晶粒に配向異方性が存在する場合には、このスピナー31によって、試料21を所定回転数で回転させた状態で後述する散乱X線Xoutの強度測定を行うことにより、測定結果に対する配向異方性の寄与をいわば平均化することができる。
【0048】
χクレードル32は、例えば円環状に形成されたレール等とされ、内周部にχ移動部33が配置されている。
χ移動部33は、制御装置19から入力される駆動指令に応じて、χクレードル32の内周部を周方向に移動するものであって、このχ移動部33にスピナー31が配置されている。
ここで、χクレードル32の中心は試料21の試料表面S上における照射位置Pと一致するように配置され、χ移動部33は、照射位置Pを含むと共にφ回転軸に直交し、かつ、2θ走査面内に含まれるχクレードル32の中心軸つまりχ回転軸周りに、回転移動可能とされている。
つまり、制御装置19から入力される駆動指令に応じてχ移動部33がχクレードル32の内周部を移動することによって、χ回転軸周りにφ回転軸が回転させられ、例えば図3に示すように、2θ走査面とφ回転軸とのなす角(χ角)χが変更されるようになっている。
【0049】
χクレードル回転部34は、制御装置19から入力される駆動指令に応じて、照射位置Pを含み、2θ走査面に直交するω回転軸周りに、χクレードル32を回転させる。
つまり、制御装置19から入力される駆動指令に応じてχクレードル回転部34がχクレードル32を回転させることによって、ω回転軸周りにχ回転軸が回転させられ、例えば図3に示すように、2θ走査面内における、例えば入射X線Xinの入射軸とχ回転軸とのなす角(ω角)ωが変更されるようになっている。
【0050】
制御装置19は、例えば図4に示すように、χω算出部41と、作動指令出力部42と、駆動制御部43と、検出制御部44と、データ解析部45とを備えて構成されている。
【0051】
χω算出部41は、後述するように、入力装置20から入力される各種のパラメータに基づきχ角およびω角を算出する。
ここで、入力装置20から入力されるパラメータは、例えば、散乱角2θに対する走査範囲と、散乱角2θに対する走査ステップと、各走査ステップ毎の測定時間と、散乱ベクトルとφ回転軸とのなす角(ψ角)ψと、所望の回折を起こす結晶格子面の結晶表面Sからの深さDに係るパラメータ(例えば、後述するX線侵入深さD)と、試料21内における入射X線Xinおよび散乱X線Xoutの光路長L(D)に係るパラメータ(例えば、後述するX線侵入長L)等とされている。
【0052】
作動指令出力部42は、例えば、χω算出部41から出力されるχ角およびω角の算出結果と、散乱角2θに対する走査範囲と、散乱角2θに対する走査ステップとに基づき、各2θ駆動装置16およびχ移動部33およびχクレードル回転部34の駆動量の目標値を算出すると共に、スピナー31の回転速度を設定し、駆動指令として駆動制御部43へ出力する。
また、作動指令出力部42は、例えば各走査ステップ毎の測定時間等に基づき、検出装置18の作動状態を制御する作動指令を検出制御部44へ出力する。
【0053】
駆動制御部43は、作動指令出力部42から入力される駆動指令に応じて、各2θ駆動装置16およびχ移動部33およびχクレードル回転部34およびスピナー31を駆動させる。
検出制御部44は、作動指令出力部42から入力される作動指令に応じて検出装置18を作動させ、検出データを取得する。
データ解析部45は、検出装置18から取得した検出データに基づき、試料21内に発生した応力を算出する。
【0054】
例えば、制御装置19は、後述するX線侵入長LおよびX線侵入深さDおよびψ角に対して、それぞれ所定の値を設定し、後述するX線侵入長LおよびX線侵入深さDおよびψ角が、設定された各所定の値になるようにして、試料位置調整部15のχ移動部33およびχクレードル回転部34を駆動させると共に散乱角2θに対する走査範囲内を所定の走査ステップで走査するようにして2θ駆動装置16を駆動させ、各走査ステップ毎に散乱X線Xoutの強度に係る検出データを取得する。そして、取得した一連の検出データから、散乱角度に応じた散乱強度分布を作成し、散乱X線Xoutの強度が極大となるときの散乱角2θの値を抽出する。
さらに、制御装置19は、この散乱角2θを抽出する一連の処理を、後述するX線侵入長Lが所定の値となるように設定した状態で、ψ角を適宜に変更する毎に繰り返して実行し、ψ角の変化に応じた散乱角2θの変化を示すデータを取得する。そして、(sinψ)を変数として、散乱角2θの変化を示すsinψプロットに基づき、所望の回折を起こす結晶格子面に作用する応力σを算出する。
さらに、制御装置19は、この応力σを算出する一連の処理を、X線侵入深さDを適宜に変更する毎に繰り返して実行し、結晶表面Sからの深さDに応じた応力σの変化を示すデータを取得する。
【0055】
すなわち、試料21の所望の結晶格子面に対して入射X線Xinが入射したときに、この結晶格子面に対する入射X線Xinの入射角θが、結晶格子面間隔dおよび入射X線Xinの波長λによる下記数式(19)に示すブラッグの回折条件を満たす角度θと一致する場合に、入射X線Xinの入射方向に対して角度(回折角)2θで交差する角度方向に入射X線Xinが回折される。
【0056】
【数19】
Figure 0004043910
【0057】
従って、2θ駆動装置16によって、適宜の走査ステップで散乱角2θを変化させることによって散乱角2θを走査し、検出装置18により散乱X線Xoutの強度を測定すると、例えば試料21の結晶粒の大きさや、2θ駆動装置16および試料位置調整部15の角度分解能等に起因する適宜の散乱角度巾を有する、散乱角度に応じた散乱強度分布が得られる。そして、この散乱強度分布において、散乱強度が極大値となる散乱角2θが回折角2θとされる。
これにより、例えば回折角2θの回折X線が検出された場合、回折角2θとX線の波長λとから、回折を起こす結晶格子面の結晶格子面間隔dを検出することができ、さらに、回折角2θの補角の2等分線に沿った方向に伸びる散乱ベクトルの方向から、回折を起こす結晶格子面の向きを検出することができる。
【0058】
ここで、この結晶格子面に対して角度ζ方向に引張(もしくは圧縮)の応力σが発生した場合、試料21の弾性限界未満の領域内であれば、結晶格子面間隔dは無応力状態での結晶格子面間隔dに対し、例えば下記数式(20)に示すようにして変化する。
なお、Eは、この結晶格子面に対する縦弾性定数(ヤング率)であり、νはポアソン比である。
【0059】
【数20】
Figure 0004043910
【0060】
そして、無応力状態での結晶格子面間隔dが応力σにより、結晶格子面間隔dに変化した場合、回折角2θは、例えば下記数式(21)に示すようして変化する。なお、2θB0は無応力状態での回折角である。
【0061】
【数21】
Figure 0004043910
【0062】
そして、上記数式(20)および(21)から、下記数式(22)が導き出される。
【0063】
【数22】
Figure 0004043910
【0064】
ところで、多結晶体材料は複数の単結晶粒の集合体であり、これらの各単結晶粒の結晶格子面の方向(例えば、結晶格子面の法線方向等)は、複数の方向に分布していると考えられる。ここで、各単結晶粒の所望の結晶格子面の法線と試料21の試料表面Sの法線とのなす角をψ’とし、散乱ベクトルと試料表面Sの法線とのなす角(ψ角)ψを所定の値に設定した状態で、散乱角2θを走査すると、ψ’とψとが一致する単結晶粒からの回折X線を検出することができ、この回折X線の回折角2θから、この単結晶粒の結晶格子面間隔dを算出することができる。
【0065】
ここで、例えば、多結晶体材料とされる試料21に応力が発生している状態で、この応力の試料表面Sに平行な成分(面内応力成分)σを測定する場合において、各単結晶粒には同等の方向に均等の面内応力成分σが作用しており、面内応力成分σと所望の結晶格子面とのなす角が角度ζであれば、各単結晶粒からの回折X線の回折角2θは、上記数式(22)に示すように変化する。
従って、上記数式(22)における角度ζとψ角とが一致するようにして、所望の面内応力成分σの発生方向と試料表面Sの法線とを含む面内でψ角を変更しながら所望の結晶格子面からの回折X線を検出し、縦軸を検出した回折X線の回折角2θ(radian)とし、横軸を(sinψ)としてsinψプロットを作成すると、(sinψ)に比例するようにして変化する回折角2θのグラフ図が得られ、この比例関係に対する比例定数、つまり直線状のグラフ図における直線の勾配は、例えば下記数式(23)によって記述される。
【0066】
【数23】
Figure 0004043910
【0067】
つまり、直線状のsinψプロットから勾配を算出し、上記数式(23)に適用することによって、面内応力成分σを算出することができる。
【0068】
本実施の形態による応力測定装置10は上記構成を備えており、以下に、この応力測定装置10による応力測定方法について説明する。
【0069】
以下に、制御装置19のχω算出部41の動作、つまりχ角およびω角の算出方法について説明する。
なお、χクレードル回転部34によるω回転軸周りの正回転方向を、2θ駆動装置16による2θ回転軸周りの正回転方向と同等とし、χ移動部33によるχ回転軸周りの正回転方向を、ω=0としたときのχ回転軸と同等の入射X線Xinの入射軸において、入射方向に沿って見た場合の反時計回転方向とする。
ここで、ψ角は、χとωとθ(散乱角2θの1/2)とにより、下記数式(24)によって記述される。
【0070】
【数24】
Figure 0004043910
【0071】
また、入射X線Xinと試料表面Sとのなす角(入射角)αの正弦は、下記数式(25)によって記述され、散乱X線Xoutと試料表面Sとのなす角(出射角)βの正弦は、下記数式(26)によって記述される。
【0072】
【数25】
Figure 0004043910
【0073】
【数26】
Figure 0004043910
【0074】
ここで、試料表面Sからの深さ(散乱深さ)Dの位置における散乱について、入射X線Xinが試料21中を通過する際の光路長L(D)は、下記数式(27)によって記述され、散乱X線Xoutが試料21中を通過する際の光路長L(D)は、下記数式(28)によって記述される。
【0075】
【数27】
Figure 0004043910
【0076】
【数28】
Figure 0004043910
【0077】
また、試料21中における入射X線Xinおよび散乱X線Xoutの全光路長L(D)は、下記数式(29)に示すように、各光路長L(D),L(D)の和によって記述される。
【0078】
【数29】
Figure 0004043910
【0079】
ここで、上記数式(29)に上記数式(25)〜(28)を適用すると、全光路長L(D)はD,θ,χ,ωの関数として、下記数式(30)によって記述される。
【0080】
【数30】
Figure 0004043910
【0081】
ここで、例えば波長λのX線が試料21に入射し、散乱深さDにて散乱した場合において、試料21中でのX線の全光路長L(D)に対するX線の強度の減衰率A(D,θ,χ,ω)はD,θ,χ,ωの関数であって、試料21のX線吸収係数μ(λ)により、下記数式(31)によって記述される。なお、以下において、A(D)はA(D,θ,χ,ω)と同等である。
【0082】
【数31】
Figure 0004043910
【0083】
そして、散乱角2θを走査した際に検出されるX線の散乱強度分布Iexp(2θ,ψ)は2θ,ψの関数であって、例えば下記数式(32)に示すように、2θ,ψ,Dの関数とされる各散乱深さDに対する散乱強度分布I(2θ,ψ,D)を、減衰率A(D)の重み付きで、散乱深さDにより積分したものとして記述される。
【0084】
【数32】
Figure 0004043910
【0085】
すなわち、試料21に発生した応力σの大きさが結晶表面Sからの深さに応じて変化する場合、つまり試料21の深さ方向に応力勾配が生じている場合には、上記数式(30)および(31)に示すように、全光路長L(D)および減衰率A(D)はD,θ,χ,ωの関数であるから、散乱角2θの走査時における散乱角2θの変更や、散乱強度分布I(2θ,ψ,D)のψ角に対する依存性を測定する際におけるψ角の変更に伴い、たとえ散乱深さDが不変であっても、全光路長L(D)および減衰率A(D)の値が変化してしまう場合がある。つまり、この場合は、例えば散乱角2θの走査時等において、所定の値に設定すべき散乱深さDを、いわば適宜に変更した状態と同等の状態であるとみなすことができ、検出される散乱強度分布Iexp(2θ,ψ)の極大点が、適切な値とならない場合がある。
【0086】
なお、例えば試料21中で応力σが均一に発生している場合には、試料21の深さ方向において応力σの大きさは変化しないため、散乱強度分布I(2θ,ψ,D)は散乱深さDに対して変化せず、2θ,ψの関数として、I(2θ,ψ,D)=I(2θ,ψ)として記述することができる。この場合には、上記数式(32)は下記数式(33)のように記述され、検出される散乱強度分布Iexp(2θ,ψ)の極大点と、散乱強度分布I(2θ,ψ)の極大点とが、同等の値となる。
【0087】
【数33】
Figure 0004043910
【0088】
ここで、例えば図3に示すように、χ回転軸に直交するχ軸回転面と散乱ベクトルとのなす角をδとすれば、ω角と、ψ角と、全光路長L(D)とは、順次、下記数式(34)、(35)、(36)によって記述される。
【0089】
【数34】
Figure 0004043910
【0090】
【数35】
Figure 0004043910
【0091】
【数36】
Figure 0004043910
【0092】
ここで、上記数式(31)において、減衰率A(D)が所定値に等しくなるとき、例えば減衰率A(D)=1/eとなるときの全光路長L(D)の値をX線侵入長Lとすれば、このX線侵入長Lは、例えば下記数式(37)によって記述される。なお、eは自然対数である。
【0093】
【数37】
Figure 0004043910
【0094】
さらに、減衰率A(D)が所定値に等しくなるとき、例えば減衰率A(D)=1/eとなるときの散乱深さDの値をX線侵入深さDとすれば、このX線侵入深さDは、上記数式(36)および(37)に基づき、下記数式(38)のように記述される。
【0095】
【数38】
Figure 0004043910
【0096】
ここで、X線侵入深さDの最大値Dp_maxは、下記数式(39)によって示される。
【0097】
【数39】
Figure 0004043910
【0098】
そして、減衰率A(D)は、X線侵入深さDによって、下記数式(40)のように記述される。
【0099】
【数40】
Figure 0004043910
【0100】
ここで、例えば、試料21に対して、所定のX線侵入長Lかつ所定の散乱角2θの条件で、任意の値のX線侵入深さDおよびψ角を与えるようなχ角およびω角は、上記数式(34),(35),(38)に基づき、例えば下記数式(41)および(42)および(43)に示すように記述される。
【0101】
【数41】
Figure 0004043910
【0102】
【数42】
Figure 0004043910
【0103】
【数43】
Figure 0004043910
【0104】
なお、散乱角2θおよびX線侵入深さDに対して、上記数式(41)〜(43)の適用可能条件は、例えば下記数式(44)および(45)および(46)に示すように記述される。
【0105】
【数44】
Figure 0004043910
【0106】
【数45】
Figure 0004043910
【0107】
【数46】
Figure 0004043910
【0108】
すなわち、例えば面指数等に応じて設定可能な任意の散乱角2θおよびψ角の値に対し、上記数式(44)〜(46)に示す(sinψ)の値の範囲において、上記数式(41)および(42)および(43)により算出される適切なχ角およびω角の値を用いることにより、X線侵入深さDを適宜の値に制御することができる。
ここで、上記数式(41)〜(43)により、χ角は下記数式(47)に示すように記述され、ω角は下記数式(48)に示すように記述される。なお、ω角は下記数式(49)に示すように記述してもよい。
【0109】
【数47】
Figure 0004043910
【0110】
【数48】
Figure 0004043910
【0111】
【数49】
Figure 0004043910
【0112】
すなわち、上記数式(30)および(31)により、各散乱深さDに対する全光路長L(D)を制御することにより、強度の減衰率A(D)を変化させ、検出される散乱強度分布Iexp(2θ,ψ)に含まれる散乱深さDに係る情報を適宜に調整することが可能である。
例えば、全光路長L(D)を大きくして、減衰率A(D)の深さ方向の変化率を大きくすることにより、相対的に散乱深さDが小さい、試料21の浅い領域での情報のみを得ることが可能であり、一方、全光路長L(D)を小さくして減衰率A(D)の深さ方向の変化率を小さくすることにより、相対的に散乱深さDが大きい、試料21の深い領域での情報を得るように設定することが可能である。
【0113】
これにより、例えば散乱強度分布I(2θ,ψ,D)に含まれる散乱深さDに係る深さ方向の情報を変化させること無しに、X線の侵入深さを所定の値に設定した状態で、ψ角の値を変化させ、散乱角2θの走査による散乱強度分布Iexp(2θ,ψ)の測定を行うことができる。
さらに、散乱強度分布I(2θ,ψ,D)のψ角に対する依存性を精度良く検出することができることから、X線侵入深さDにおける平均的な応力σを測定することができる。
さらに、X線侵入深さDを変更して応力σを測定することにより、試料21の深さ方向における応力勾配を検出することができる。
【0114】
以下に、本実施の形態に係る応力測定装置10の動作について説明する。
先ず、図5に示すステップS01においては、試料21に入射させる入射X線Xinのエネルギーを設定する。
次に、ステップS02においては、例えば試料21の材質および入射X線Xinのエネルギー等に応じて、上記数式(37)に基づき、X線侵入長Lを算出する。
次に、ステップS03においては、散乱角2θの走査条件として、例えば散乱角2θに対する走査範囲と、走査ステップと、各走査ステップでの測定時間等とを取得する。
【0115】
次に、ステップS04においては、X線侵入深さDに適宜の値を設定する。
次に、ステップS05においては、ψ角に適宜の値を設定する。
次に、ステップS06においては、例えば取得した走査条件等に応じて散乱角2θの初期値を設定する。
次に、ステップS07においては、設定した散乱角2θとψ角とX線侵入深さDとX線侵入長Lとを、上記数式(41)〜(43)に代入し、χ角およびω角を算出する。
【0116】
次に、ステップS08においては、算出した散乱角2θを目標値(駆動指令値)として2θ駆動装置16を駆動させると共に、算出したχ角およびω角を目標値(駆動指令値)として試料位置調整部15のχ移動部33およびχクレードル回転部34を駆動させる。さらに、例えば試料21の結晶粒に配向異方性が存在する場合等においては、必要に応じてスピナー31を駆動させる。
そして、ステップS09においては、設定された測定時間に亘って、検出装置18により散乱X線Xoutの強度を検出する。
【0117】
次に、例えば図6に示すステップS10においては、例えば、散乱角2θに走査ステップを加算して得た値を、新たに散乱角2θとして設定することで散乱角2θを更新する。
次に、ステップS11においては、散乱角2θが走査範囲以内の値であるか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、上述したステップS07に戻る。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS12に進む。
【0118】
ステップS12においては、上述したステップS06〜ステップS11の処理によって得られる、散乱角2θに応じた散乱X線Xoutの強度の変化を示す散乱強度分布から、散乱X線Xoutの強度が極大となるときの散乱角2θの値を抽出し、この時点でのψ角の値と共に記憶する。
次に、ステップS13においては、例えば予め設定されたψ角変更用のテーブル等を参照したり、例えば操作者による入力操作等に応じて、ψ角を変更するか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、ステップS14に進み、ψ角を変更して、上述したステップS06に戻る。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS15に進む。
【0119】
ステップS15においては、上述したステップS05〜ステップS14の処理によって得られる、ψ角の値と共に記憶された散乱角2θのデータに基づき、sinψプロットを作成する。そして、例えば直線状のsinψプロットから勾配を算出し、上記数式(23)に適用することによって、試料21に発生した応力の試料表面Sに平行な成分(面内応力成分)を算出し、この時点でのX線侵入深さDの値と共に記憶する。
【0120】
次に、ステップS16においては、例えば予め設定されたX線侵入深さD変更用のテーブル等を参照したり、例えば操作者による入力操作等に応じて、X線侵入深さDを変更するか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、ステップS17に進み、X線侵入深さDを変更して、上述したステップS05に戻る。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS18に進む。
【0121】
ステップS18においては、上述したステップS04〜ステップS17の処理によって得られる、X線侵入深さDの値と共に記憶された面内応力成分のデータに基づき、結晶表面Sからの深さDに応じた面内応力成分の変化を検出し、一連の処理を終了する。
【0122】
以上説明したように、本実施の形態に係る応力測定装置10および応力測定方法によれば、散乱角2θの変化に応じた散乱X線Xoutの散乱強度分布のψ角依存性のデータを測定し、該データに基づき、試料21に発生した応力の試料表面Sに平行な応力成分を検出する際に、入射X線Xinの光路長と散乱X線Xoutの光路長との和とされる全光路長L(D)によって、入射X線Xinの散乱位置の深さに係る情報を精度良く制御することができる。すなわち、全光路長L(D)がX線侵入長Lと一致するようにしてχ角およびω角を変更して散乱角およびψ角を所望の値に設定することにより、入射X線Xinの散乱位置の深さに係る情報が変化することに伴って散乱強度分布の検出精度が劣化してしまうことを確実に防止することができる。
これにより、試料21に発生した応力の試料表面Sに平行な成分(面内応力成分)を精度良く検出することができ、さらに、面内応力成分の試料表面Sからの深さに対する依存性の検出精度を向上させることができる。
【0123】
なお、上述した本実施の形態においては、例えばsinψプロットの作成時等において、散乱角度に応じた散乱強度分布から散乱X線Xoutの強度が極大となるときの散乱角2θの値を抽出するとしたが、これに限定されず、例えば、散乱強度分布の重心位置や散乱強度の極大値近傍での所定領域、例えば散乱強度の値が極大値×n/m(ただし、n,mは任意の自然数、かつ、n<m)以上の値となる領域の分布幅の中点位置等での散乱角2θの値を抽出してもよい。
【0124】
なお、上述した本実施の形態において、X線光源11は、例えばX線管等であってもよい。
【0125】
なお、上述した本実施の形態においては、イオンチェンバー14を備えるとしたが、これに限定されず、例えばX線光源11から発生するX線の強度の時間変化が無視できる場合等においては、イオンチェンバー14を省略してもよい。
【0126】
なお、上述した本実施の形態においては、散乱側スリット17としてソーラースリットを備えるとしたが、これに限定されず、例えば散乱X線Xoutの強度が相対的に大きい場合であって、ソーラースリットよりも高い角度分解能で散乱X線Xoutを分光する場合等においては、例えば図7に示す本実施形態の第1変形例に係る応力測定装置10のように、散乱側スリット17の代わりに、例えばSi、Ge、石英等の単結晶51aを具備し、この単結晶51aにおける回折により散乱X線Xoutを分光する分光装置51を備えてもよい。
また、上述した本実施の形態において、例えば入射X線Xinのエネルギーが相対的に高い場合等であって、散乱X線の迷光を除去する能力を向上させる場合等においては、例えば図8に示す本実施形態の第2変形例に係る応力測定装置10のように、ソーラースリットの代わりに、複数(例えば、2枚)のX線スリット52を、各スリット52の開口部の中心位置が散乱X線Xoutの散乱軸線上に位置するようにして、設置してもよい。
【0127】
なお、上述した本実施の形態においては、X線検出器18aはNaIシンチレーションカウンターであるとしたが、これに限定されず、その他のシンチレーションカウンターや半導体検出器や比例計数管等であってもよい。
【0128】
なお、上述した本実施の形態においては、例えば減衰率A(D)=1/eとなるときの全光路長L(D)をX線侵入長Lとしたが、これに限定されず、減衰率A(D)がその他の所定値に等しくなるときの全光路長L(D)をX線侵入長Lとしてもよい。
また、上述した本実施の形態においては、例えば減衰率A(D)=1/eとなるときの散乱深さDの値をX線侵入深さDとしたが、これに限定されず、減衰率A(D)がその他の所定値に等しくなるときの散乱深さDの値をX線侵入深さDとしてもよい。
【0129】
なお、上述した本実施の形態において、試料位置調整部15はスピナー31を備えるとしたが、これに限定されず、例えば試料21の結晶粒の配向異方性が無視できる場合等においては、スピナー31を省略してもよい。
【0130】
また、上述した本実施の形態において、例えば試料に発生している応力の発生方向が試料21の試料表面Sに平行な面内において面内異方性を持つ場合等であって、測定対象とされる所望の応力成分の発生方向と散乱ベクトルの試料表面Sに対する射影方向とを一致させる必要性がある場合等においては、例えば図9に示す本実施形態の第3変形例に係る応力測定装置10の試料位置調整部15のように、例えば上述した本実施形態におけるスピナー31の代わりに、φ回転部53を備えてもよい。
このφ回転部53は、制御装置19から入力される駆動指令に応じて、φ回転軸周りに試料21を適宜の角(φ角)φだけ回転させるものであって、例えば、試料21を固定する試料ホルダー53aと、試料ホルダー53aをφ回転軸周りに回転させるモータ53bとを備えて構成され、モータ53bの回転軸は、試料21の試料表面Sの法線と平行になるように設定されている。
【0131】
そして、この場合には、例えば図10に示す本実施形態の第3変形例に係る応力測定装置10の制御装置19のように、例えば入力装置20から入力される各種のパラメータに基づきφ角を算出するφ算出部54を備えていればよい。
このφ算出部54は、例えば図3に示すように、散乱ベクトルの試料表面Sに対する射影成分が2θ走査面と試料表面Sとの交線となす角をηとし、このηをθ、ψ、χ、ωにより、下記数式(50)に示すように記述する。
【0132】
【数50】
Figure 0004043910
【0133】
そして、φ算出部54は、測定対象とされる所望の応力成分の発生方向が2θ走査面に平行になるときにφ=0としてφ角の原点を設定し、ηと同等の値のφ角を算出して作動指令出力部42へ出力する。ここで、作動指令出力部42は、φ算出部54から出力されるφ角に基づきφ回転部53の駆動量の目標値を算出する。
すなわち、上記数式(50)により、φ角は下記数式(51)に示すように記述される。なお、φ角は下記数式(52)に示すように記述してもよい。
【0134】
【数51】
Figure 0004043910
【0135】
【数52】
Figure 0004043910
【0136】
さらに、この本実施形態の第3変形例に係る応力測定装置10の動作においては、例えば図11に示すように、上述した本実施形態でのステップS07の代わりにステップS21を実行し、さらに、上述した本実施形態でのステップS08の代わりにステップS22を実行すればよい。
すなわち、ステップS21においては、設定した散乱角2θとψ角とX線侵入深さDとX線侵入長Lとを、上記数式(41)〜(43)に代入し、χ角およびω角を算出すると共に、上記数式(50)に代入してηを算出し、このηと同等の値によってφ角を設定する。
そして、ステップS22においては、算出した散乱角2θを目標値(駆動指令値)として2θ駆動装置16を駆動させると共に、算出したχ角およびω角を目標値(駆動指令値)として試料位置調整部15のχ移動部33およびχクレードル回転部34を駆動させ、さらに、算出したφ角を目標値(駆動指令値)としてφ回転部53を駆動させる。
【0137】
なお、本発明の実施形態および本実施形態の第1〜第3変形例に係る応力測定方法を実現する応力測定装置10は、専用のハードウェアにより実現されるものであっても良く、また、メモリおよびCPUを備えて構成され、応力測定装置10の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現するものであっても良い。
【0138】
また、上述した本発明の実施形態および本実施形態の第1〜第3変形例に係る応力測定方法を実現するためのプログラムをコンピュータ読みとり可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより結晶形状の測定を行っても良い。なお、ここで言うコンピュータシステムとはOSや周辺機器等のハードウェアを含むものであっても良い。
【0139】
また、コンピュータ読みとり可能な記録媒体とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことを言う。さらに、コンピュータ読みとり可能な記録媒体とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記憶されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0140】
以下に、上述した本実施の形態による応力測定装置10を使用して、試料21に発生している残留応力の試料表面Sに平行な成分に対して、試料表面Sからの深さ方向における強度勾配を測定した実施例について説明する。
以下に示す第1実施例および第2実施例において、試料21はタングステンカーバイト鋼の表面上に膜厚15μmのTiCN被膜が被覆されて形成されており、このTiCN被膜に発生している残留応力の測定を行った。
なお、第1実施例および第2実施例においては、測定対象とするTiCNの結晶格子面指数を(331)とし、スピナー31の回転数を1s―1とし、散乱側スリット17をなすソーラースリットの発散角を0.2度とした。
【0141】
第1実施例においては、入射X線Xinのエネルギーを9keVとした。
ここで、エネルギーが9keVのX線に対するTiCNのX線吸収係数は、604.2cm―1であるから、上記数式(37)により、X線侵入長Lは、16.55μmとなる。また、X線侵入深さDの最大値Dp_maxは、12μmである。
先ず、X線侵入深さDを5.9μmとし、(sinψ)の値を、順次、0.3、0.5、0.7に変更して、各(sinψ)の値毎に所定の走査条件によって2θ走査を行った。
【0142】
この2θ走査により得られた、散乱角2θに応じた散乱X線Xoutの強度の変化を示す散乱強度分布の結果を図12に示した。なお、図12において、散乱X線Xoutの強度は、各(sinψ)の値毎の極大値が同等となるように規格化した。
図12に示すグラフ図から、ψ角が大きくなるにつれて極大点での散乱角2θの値が低角側へシフトするようにして変化しており、結晶格子面が試料表面Sに対して傾斜するにつれて、格子面間隔が広がっていることがわかる。すなわち、試料表面Sに平行な方向に引張応力が発生していると判断することができる。
【0143】
さらに、図12に示すグラフ図において、散乱強度分布の分布関数をローレンツ関数を2乗して得た関数であると仮定し、最小二乗法により関数フィティングを行い、得られた関数において極大点を算出し、極大点での散乱角2θと(sinψ)とによってsinψプロットを作成した。
さらに、X線侵入深さDを、順次、2.4μm、1.2μmに変更し、各X線侵入深さD毎に、(sinψ)の値を、0.4〜0.9程度の範囲内での複数の値に順次変更して、各(sinψ)の値毎に所定の走査条件によって2θ走査を行った。そして、各2θ走査から得られた散乱強度分布に基づき、sinψプロットを作成した。作成したsinψプロットを図13に示した。
【0144】
図13に示すグラフ図から、(sinψ)に応じた散乱角2θの変化が良好な直線性を示すことがわかる。
また、X線侵入深さDが浅くなるにつれて、直線の勾配が小さくなるように変化することがわかる。これにより、試料表面Sからの深さが浅くなるにつれて応力の大きさが小さくなっていると判断することができる。
【0145】
また、第2実施例においては、入射X線Xinのエネルギーを11keVとした。
ここで、エネルギーが11keVのX線に対するTiCNのX線吸収係数は、355.5cm―1であるから、上記数式(21)により、X線侵入長Lは、28.13μmとなる。また、X線侵入深さDの最大値Dp_maxは、24μmであり、第1実施例に比べて、より深い位置での応力の情報が得られるようになる。
【0146】
そして、X線侵入深さDを、順次、15μm、5μm、2μmに変更し、各X線侵入深さD毎に、(sinψ)の値を、0、1〜0.8程度の範囲内での複数の値に順次変更して、各(sinψ)の値毎に所定の走査条件によって2θ走査を行った。そして、各2θ走査から得られた散乱強度分布に基づき、sinψプロットを作成した。作成したsinψプロットを図14に示した。
図14に示すグラフ図から、(sinψ)に応じた散乱角2θの変化が良好な直線性を示すことがわかる。
また、X線侵入深さDが浅くなるにつれて、直線の負の勾配が小さくなるように変化することがわかる。これにより、試料表面Sからの深さが浅くなるにつれて、試料表面Sに平行な方向に発生している引張応力の大きさが小さくなっていると判断することができる。
【0147】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の本発明の応力測定装置によれば、X線侵入深さが所定の値に固定された状態で、散乱角およびψ角を各所望の値に設定するための、入射角および出射角に係る第1の角および第2の角が設定されることにより、散乱角に応じたX線の散乱強度分布のψ角に対する依存性を測定して得られる各データにおいて、散乱位置の深さに係る情報の作用を同等とすることができ、sinψプロットから被測定物に発生した応力の被測定物の表面に平行な成分(面内応力成分)を精度良く検出することができる。
さらに、請求項2記載の本発明の応力測定装置によれば、X線侵入深さに対して複数の異なる値を設定し、X線侵入深さを各値に固定した状態毎に面内応力成分を検出することによって、面内応力成分の深さ依存性の検出精度を向上させることができる。
【0148】
さらに、請求項3記載の本発明の応力測定装置によれば、散乱角の走査時に、ω角およびχ角を変更することによって、被測定物に対するX線侵入深さを所定の値に固定した状態で、散乱角およびψ角を所望の値に変更することができる。
さらに、請求項4記載の本発明の応力測定装置によれば、入射されるX線の光路長と散乱X線の光路長との和とされる全光路長によって、X線の散乱位置の深さに係る情報を精度良く制御することができ、全光路長がX線侵入長Lと一致するようにしてχ角およびω角を変更して散乱角およびψ角を所望の値に設定することにより、X線の散乱位置の深さに係る情報が変化することに伴って散乱強度分布の検出精度が劣化してしまうことを確実に防止することができる。
【0149】
また、請求項5記載の本発明の応力測定方法によれば、X線侵入深さが所定の値に固定された状態で、散乱角およびψ角を各所望の値に設定するための、入射角および出射角に係る第1の角および第2の角が設定されることにより、散乱角に応じたX線の散乱強度分布のψ角に対する依存性を測定して得られる各データにおいて、散乱位置の深さに係る情報の作用を同等とすることができ、sinψプロットから被測定物に発生した応力の被測定物の表面に平行な成分(面内応力成分)を精度良く検出することができる。
さらに、請求項6記載の本発明の応力測定方法によれば、X線侵入深さに対して複数の異なる値を設定し、X線侵入深さを各値に固定した状態毎に面内応力成分を検出することによって、面内応力成分の深さ依存性の検出精度を向上させることができる。
【0150】
さらに、請求項7記載の本発明の応力測定方法によれば、散乱角の走査時に、ω角およびχ角を変更することによって、被測定物に対するX線侵入深さを所定の値に固定した状態で、散乱角およびψ角を所望の値に変更することができる。
さらに、請求項8記載の本発明の応力測定方法によれば、入射されるX線の光路長と散乱X線の光路長との和とされる全光路長によって、X線の散乱位置の深さに係る情報を精度良く制御することができ、全光路長がX線侵入長Lと一致するようにしてχ角およびω角を変更して散乱角およびψ角を所望の値に設定することにより、X線の散乱位置の深さに係る情報が変化することに伴って散乱強度分布の検出精度が劣化してしまうことを確実に防止することができる。
【0151】
また、請求項9記載の本発明のプログラムによれば、X線侵入深さが所定の値に固定された状態で、散乱角およびψ角を各所望の値に設定するための、入射角および出射角に係る第1の角および第2の角が設定されることにより、散乱角に応じたX線の散乱強度分布のψ角に対する依存性を測定して得られる各データにおいて、散乱位置の深さに係る情報の作用を同等とすることができ、sinψプロットから被測定物に発生した応力の被測定物の表面に平行な成分(面内応力成分)を精度良く検出することができる。
さらに、請求項10記載の本発明のプログラムによれば、X線侵入深さに対して複数の異なる値を設定し、X線侵入深さを各値に固定した状態毎に面内応力成分を検出することによって、面内応力成分の深さ依存性の検出精度を向上させることができる。
【0152】
さらに、請求項11記載の本発明のプログラムによれば、散乱角の走査時に、ω角およびχ角を変更することによって、被測定物に対するX線侵入深さを所定の値に固定した状態で、散乱角およびψ角を所望の値に変更することができる。
さらに、請求項12記載の本発明のプログラムによれば、入射されるX線の光路長と散乱X線の光路長との和とされる全光路長によって、X線の散乱位置の深さに係る情報を精度良く制御することができ、全光路長がX線侵入長Lと一致するようにしてχ角およびω角を変更して散乱角およびψ角を所望の値に設定することにより、X線の散乱位置の深さに係る情報が変化することに伴って散乱強度分布の検出精度が劣化してしまうことを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係わる応力測定装置の構成を示す模式図である。
【図2】 図1に示す応力測定装置の試料位置調整部15の構成を示す模式図であって、2θ回転軸および試料の試料表面Sの法線に直交する方向から見た図である。
【図3】 各回転軸の空間配置の一例を示す模式図である。
【図4】 図1に示す応力測定装置の制御装置のブロック構成図である。
【図5】 図1に示す応力測定装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】 図1に示す応力測定装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】 本実施形態の第1変形例に係る応力測定装置の構成を示す模式図である。
【図8】 本実施形態の第2変形例に係る応力測定装置の構成を示す模式図である。
【図9】 本実施形態の第3変形例に係る応力測定装置の試料位置調整部の構成を示す模式図である。
【図10】 本実施形態の第3変形例に係る応力測定装置の制御装置のブロック構成図である。
【図11】 本実施形態の第3変形例に係る応力測定装置の動作を示すフローチャートである。
【図12】 第1実施例における散乱強度分布を示すグラフ図である。
【図13】 第1実施例におけるsinψプロットを示すグラフ図である。
【図14】 第2実施例におけるsinψプロットを示すグラフ図である。
【符号の説明】
10 応力測定装置
11 X線光源(入射装置)
12 単色化装置(入射装置)
13 入射側スリット(入射装置)
15 試料位置調整部(ψ角変更装置)
16 2θ駆動装置(散乱角変更装置)
18 検出装置
19 制御装置
32 χクレードル(χ回転装置)
33 χ移動部(χ回転装置)
34 χクレードル回転部(ω回転装置)
41 χω算出部(パラメータ設定手段)
43 駆動制御部(散乱角駆動制御手段、ψ角駆動制御手段)
ステップS02 X線侵入長設定手段
ステップS04およびステップS17 X線侵入深さ設定手段
ステップS15〜ステップS17 応力深さ分布検出手段
ステップS07またはステップS21 χ角設定手段、ω角設定手段
ステップS08またはステップS22 χ角駆動制御手段、ω角駆動制御手段

Claims (12)

  1. 所定エネルギーのX線を被測定物に照射する入射装置と、前記X線のうち前記被測定物にて散乱される散乱X線の強度を検出する検出装置と、前記X線の入射方向と前記検出装置により検出される前記散乱X線の散乱方向とのなす角である散乱角を変更可能な散乱角変更装置と、前記入射方向および前記散乱方向を含む散乱角走査平面内において前記散乱角の補角の2等分線に沿った方向に伸びる散乱ベクトルと前記被測定物の表面に対する法線方向とのなす角であるψ角を変更可能なψ角変更装置と、
    前記ψ角変更装置により前記ψ角を変更させる毎に、前記散乱角変更装置により前記散乱角を変更させると共に前記検出装置により前記散乱X線の強度を測定させ、前記散乱角の変化に応じた前記散乱X線の散乱強度分布のψ角依存性のデータを取得し、該データに基づき、前記被測定物に発生した応力の前記表面に平行な応力成分を検出する制御装置とを備える応力測定装置であって、
    前記表面と前記入射方向とのなす角である入射角および前記表面と前記散乱方向とのなす角である出射角に係る第1の角および第2の角と、前記X線の波長と、前記被測定物のX線吸収係数とに基づいて算出可能なX線侵入深さに、所定値を設定するX線侵入深さ設定手段と、
    前記X線侵入深さ設定手段により設定される前記X線侵入深さの値を固定した状態で、前記散乱角および前記ψ角を各所望の値に設定するための、前記第1の角および前記第2の角を設定するパラメータ設定手段と、
    前記パラメータ設定手段により設定される前記第1の角および前記第2の角に応じて、前記散乱角変更装置を駆動制御することにより前記散乱角を所望の値に設定する散乱角駆動制御手段および前記ψ角変更装置を駆動制御することにより前記ψ角を所望の値に設定するψ角駆動制御手段と
    を備えることを特徴とする応力測定装置。
  2. 前記X線侵入深さ設定手段により複数の異なる前記X線侵入深さを設定させ、各前記複数の異なる前記X線侵入深さ毎に対して、前記制御装置により前記被測定物に発生した前記応力の前記表面に平行な前記応力成分を検出させ、前記X線侵入深さの変化に応じた前記応力成分の変化を検出する応力深さ分布検出手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の応力測定装置。
  3. 前記ψ角変更装置は、前記被測定物の前記表面の法線に直交すると共に前記散乱角走査平面内に含まれるχ回転軸周りに前記法線を回転させるχ回転装置と、前記散乱角走査平面に直交するω回転軸周りに前記χ回転軸を回転させるω回転装置とを備え、
    前記パラメータ設定手段は、前記第1の角として前記散乱角走査平面と前記法線とのなす角であるχ角を設定するχ角設定手段と、前記第2の角として前記散乱角走査平面内における前記入射方向と前記χ回転軸とのなす角であるω角を設定するω角設定手段とを備え、
    前記ψ角駆動制御手段は、前記χ角設定手段にて設定される前記χ角に応じて前記χ回転装置を駆動制御するχ角駆動制御手段と、前記ω角設定手段にて設定される前記ω角に応じて前記ω回転装置を駆動制御するω角駆動制御手段とを備えることを特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載の応力測定装置。
  4. 前記X線の波長と前記X線吸収係数とに基づいてX線侵入長を設定するX線侵入長設定手段を備え、
    前記表面が前記入射方向と平行かつ前記散乱角走査平面に直交する状態において、前記χ角設定手段は前記χ角をゼロに設定し、かつ、前記ω角設定手段は前記ω角をゼロに設定しており、
    前記散乱角変更装置により変更される前記散乱角の正方向と、前記ω回転装置により変更される前記ω角の正方向とを同等に設定した状態において、
    2θ:前記散乱角
    ψ:前記ψ角
    :前記X線侵入深さ
    :前記X線侵入長
    としたとき、
    前記χ角設定手段は、下記数式(1)によって前記χ角を設定し、
    前記ω角設定手段は、下記数式(2)または(3)によって前記ω角を設定することを特徴とする請求項3に記載の応力測定装置。
    Figure 0004043910
    Figure 0004043910
    Figure 0004043910
  5. 所定エネルギーのX線を被測定物に照射し、前記X線のうち前記被測定物にて散乱される散乱X線の強度を検出する検出ステップと、
    前記X線の入射方向と前記検出ステップにて検出される前記散乱X線の散乱方向とのなす角である散乱角を変更する散乱角変更ステップと、
    前記入射方向および前記散乱方向を含む散乱角走査平面内において前記散乱角の補角の2等分線に沿った方向に伸びる散乱ベクトルと前記被測定物の表面に対する法線方向とのなす角であるψ角を変更するψ角変更ステップと、
    前記ψ角変更ステップにより前記ψ角を変更する毎に、前記散乱角変更ステップにより前記散乱角を変更すると共に前記検出ステップにより前記散乱X線の強度を測定し、前記散乱角の変化に応じた前記散乱X線の散乱強度分布のψ角依存性のデータを取得し、該データに基づき、前記被測定物に発生した応力の前記表面に平行な応力成分を検出する制御ステップとを含む応力測定方法であって、
    前記表面と前記入射方向とのなす角である入射角および前記表面と前記散乱方向とのなす角である出射角に係る第1の角および第2の角と、前記X線の波長と、前記被測定物のX線吸収係数とに基づいて算出可能なX線侵入深さに、所定値を設定するX線侵入深さ設定ステップと、
    前記X線侵入深さ設定ステップにより設定される前記X線侵入深さの値を固定した状態で、前記散乱角および前記ψ角を各所望の値に設定するための、前記第1の角および前記第2の角を設定するパラメータ設定ステップとを含み、
    前記散乱角変更ステップは、前記パラメータ設定ステップにより設定される前記第1の角および前記第2の角に応じて前記散乱角を所望の値に変更し、
    前記ψ角変更ステップは、前記パラメータ設定ステップにより設定される前記第1の角および前記第2の角に応じて前記ψ角を所望の値に変更することを特徴とする応力測定方法。
  6. 前記X線侵入深さ設定ステップにより複数の異なる前記X線侵入深さを設定し、各前記複数の異なる前記X線侵入深さ毎に対して、前記制御ステップにより前記被測定物に発生した前記応力の前記表面に平行な前記応力成分を検出し、前記X線侵入深さの変化に応じた前記応力成分の変化を検出する応力深さ分布検出ステップを含むことを特徴とする請求項5に記載の応力測定方法。
  7. 前記パラメータ設定ステップは、前記第1の角として前記散乱角走査平面と前記被測定物の前記表面の法線とのなす角であるχ角を設定するχ角設定ステップと、前記第2の角として前記法線に直交すると共に前記散乱角走査平面内に含まれるχ回転軸と前記散乱角走査平面内における前記入射方向とのなす角であるω角を設定するω角設定ステップとを含むことを特徴とする請求項5または請求項6の何れかに記載の応力測定方法。
  8. 前記X線の波長と前記X線吸収係数とに基づいてX線侵入長を設定するX線侵入長設定ステップを含み、
    前記表面が前記入射方向と平行かつ前記散乱角走査平面に直交する状態において、前記χ角設定ステップは前記χ角をゼロに設定し、かつ、前記ω角設定ステップは前記ω角をゼロに設定しており、
    前記散乱角変更ステップにより変更される前記散乱角の正方向と、前記ω回転ステップにより変更される前記ω角の正方向とを同等に設定した状態において、2θ:前記散乱角
    ψ:前記ψ角
    :前記X線侵入深さ
    :前記X線侵入長
    としたとき、
    前記χ角設定ステップは、下記数式(4)によって前記χ角を設定し、
    前記ω角設定ステップは、下記数式(5)または(6)によって前記ω角を設定することを特徴とする請求項7に記載の応力測定方法。
    Figure 0004043910
    Figure 0004043910
    Figure 0004043910
  9. コンピュータを、
    所定エネルギーのX線を入射装置によって被測定物に照射させる照射制御手段と、前記X線のうち前記被測定物にて散乱される散乱X線の強度を検出装置によって検出させる検出制御手段と、前記X線の入射方向と前記検出装置により検出される前記散乱X線の散乱方向とのなす角である散乱角を散乱角変更装置により変更させる散乱角変更制御手段と、前記入射方向および前記散乱方向を含む散乱角走査平面内において前記散乱角の補角の2等分線に沿った方向に伸びる散乱ベクトルと前記被測定物の表面に対する法線方向とのなす角であるψ角をψ角変更装置により変更させるψ角変更制御手段と、
    前記ψ角変更制御手段により前記ψ角を変更させる毎に、前記散乱角変更制御手段により前記散乱角を変更させると共に前記検出制御手段により前記散乱X線の強度を測定させ、前記散乱角の変化に応じた前記散乱X線の散乱強度分布のψ角依存性のデータを取得し、該データに基づき、前記被測定物に発生した応力の前記表面に平行な応力成分を検出する制御手段として機能させるためのプログラムであって、
    コンピュータを、
    前記表面と前記入射方向とのなす角である入射角および前記表面と前記散乱方向とのなす角である出射角に係る第1の角および第2の角と、前記X線の波長と、前記被測定物のX線吸収係数とに基づいて算出可能なX線侵入深さに、所定値を設定するX線侵入深さ設定手段と、
    前記X線侵入深さ設定手段により設定される前記X線侵入深さの値を固定した状態で、前記散乱角および前記ψ角を各所望の値に設定するための、前記第1の角および前記第2の角を設定するパラメータ設定手段として機能させ、
    前記散乱角変更制御手段は、前記パラメータ設定手段により設定される前記第1の角および前記第2の角に応じて、前記散乱角変更装置を制御することにより前記散乱角を所望の値に設定し、
    前記ψ角変更制御手段は、前記パラメータ設定手段により設定される前記第1の角および前記第2の角に応じて、前記ψ角変更装置を制御することにより前記ψ角を所望の値に設定することを特徴とするプログラム。
  10. コンピュータを、
    前記X線侵入深さ設定手段により複数の異なる前記X線侵入深さを設定させ、各前記複数の異なる前記X線侵入深さ毎に対して、前記制御手段により前記被測定物に発生した前記応力の前記表面に平行な前記応力成分を検出させ、前記X線侵入深さの変化に応じた前記応力成分の変化を検出する応力深さ分布検出手段として機能させることを特徴とする請求項9に記載のプログラム。
  11. 前記ψ角変更制御手段は、前記被測定物の前記表面の法線に直交すると共に前記散乱角走査平面内に含まれるχ回転軸周りに前記法線を回転させるχ回転装置を制御するχ回転制御手段と、前記散乱角走査平面に直交するω回転軸周りに前記χ回転軸を回転させるω回転装置を制御するω回転制御手段とを備え、
    前記パラメータ設定手段は、前記第1の角として前記散乱角走査平面と前記法線とのなす角であるχ角を設定するχ角設定手段と、前記第2の角として前記散乱角走査平面内における前記入射方向と前記χ回転軸とのなす角であるω角を設定するω角設定手段とを備え、
    前記χ回転制御手段は、前記χ角設定手段にて設定される前記χ角に応じて前記χ回転装置を制御し、
    前記ω回転制御手段は、前記ω角設定手段にて設定される前記ω角に応じて前記ω回転装置を制御することを特徴とする請求項9または請求項10の何れかにプログラム。
  12. コンピュータを、前記X線の波長と前記X線吸収係数とに基づいてX線侵入長を設定するX線侵入長設定手段として機能させ、
    前記表面が前記入射方向と平行かつ前記散乱角走査平面に直交する状態において、前記χ角設定手段は前記χ角をゼロに設定し、かつ、前記ω角設定手段は前記ω角をゼロに設定しており、
    前記散乱角変更装置により変更される前記散乱角の正方向と、前記ω回転装置により変更される前記ω角の正方向とを同等に設定した状態において、
    2θ:前記散乱角
    ψ:前記ψ角
    :前記X線侵入深さ
    :前記X線侵入長
    としたとき、
    前記χ角設定手段は、下記数式(7)によって前記χ角を設定し、
    前記ω角設定手段は、下記数式(8)または(9)によって前記ω角を設定することを特徴とする請求項11に記載のプログラム。
    Figure 0004043910
    Figure 0004043910
    Figure 0004043910
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