JP3937678B2 - 電子スチルカメラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、撮像素子を備える機器に関し、たとえば、被写体の測距をより確実に行える電子スチルカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子技術の向上に伴い、撮像した画像をデジタルデータに変換して記憶する電子スチルカメラが開発され、既に市販されている。ユーザーは、電子スチルカメラにより撮像した画像を、たとえば自分のパソコンのディスプレイに表示でき、またプリンタを介してプリントできるため、その応用範囲は広いものとなっている。
【0003】
ところで、通常の銀塩カメラは、赤外線や超音波を用いた測距装置を備えており、かかる測距装置により被写体までの距離を測定し、それに基づき撮影レンズを合焦位置へと移動させることができるようになっている。これに対し、一般的な電子スチルカメラにおいては、この測距装置とは別に、或いはそれに加えて、撮像素子を用いて撮影レンズの合焦位置を求める装置(以下、撮像合焦装置とする)が設けられている。
【0004】
撮像合焦装置は、撮影レンズを合焦駆動しながら実際に被写体を撮像し、得られた画像信号に基づき、最もピントのあったところを合焦位置として探索するものである。本明細書においては、このために撮影レンズを駆動することを走査というものとする。撮像合焦装置の利点としては、電子スチルカメラに本来備えられている機能を用いて合焦動作が行えるため、銀塩カメラに採用されているごとき測距装置を用いなくても、ピントを合わせることができ、又、実際に撮像を行って合焦位置を求めることから、投射した赤外線が有効に反射されないこともあり得る前述の測距装置よりも、一般的には高い合焦精度を確保できることがあげられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、撮像合焦装置を用いた場合における合焦精度を低下させる理由の一つに、被写体の輝度が低いことがある。撮像素子としてのCCDが受光した被写体画像の光量が低いと、CCDの各画素が元々持っているノイズ成分と、光電変換により得られた画像信号との差が少なくなってしまう。このようにノイズ成分と明確な差がない画像信号に基づいて、合焦位置を求めることは困難である。
【0012】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み、高い精度で測距を行うことができる電子スチルカメラを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成すべく、本発明の電子スチルカメラは、被写体までの距離を測定する測距手段と、前記測距手段が測定した距離に合焦する撮影レンズの位置を含む所定の範囲内で前記撮影レンズを走査して、前記撮影レンズを介した撮像素子の出力信号に基づいて、前記撮影レンズの合焦位置を検出する撮像合焦手段と、前記被写体の輝度を測定する測光手段と、を有し、前記測光手段が測定した前記被写体の輝度が低い場合には、前記被写体の輝度が高い場合より、狭い範囲で前記撮影レンズを走査させることを特徴とする。
【0021】
【作用】
本発明の電子スチルカメラは、被写体までの距離を測定する測距手段と、前記測距手段が測定した距離に合焦する撮影レンズの位置を含む所定の範囲内で前記撮影レンズを走査して、前記撮影レンズを介した撮像素子の出力信号に基づいて、前記撮影レンズの合焦位置を検出する撮像合焦手段と、前記被写体の輝度を測定する測光手段と、を有し、前記測光手段が測定した前記被写体の輝度が低い場合には、前記被写体の輝度が高い場合より、狭い範囲で前記撮影レンズを走査させるものである。すなわち、被写界輝度が低い場合には、前記撮像合焦手段の検出精度は低いと考えられるため、例えば前記撮影レンズの走査範囲を狭めることにより、前記撮像合焦手段が検出する合焦位置が誤っていたとしても、前記測距装置の測定した距離に基づく合焦位置から大きく離れることを抑制して、合焦精度を維持することが出来る。一方、被写界輝度が高い場合には、前記撮像合焦手段の検出精度は高いと考えられるため、前記撮影レンズの走査範囲を狭める必要はないといえる。尚、測距装置としては、アクティブの測距装置又はパッシブの測距装置のいずれでも良い。
【0022】
さらに、前記測光手段が測定した前記被写体の輝度が、所定値以下である場合には、前記撮像合焦手段の動作を行うことなく、前記測距手段の測定結果に基づいて、前記撮影レンズの合焦位置を決定すれば、合焦位置の決定に当たって、検出精度が低いと考えられる前記撮像合焦手段の検出は考慮されず、それにより適切にピントを合わせることが出来ると共に迅速な合焦駆動を行える。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態にかかるデジタルスチルカメラの構成を示すブロック図である。図1において、ズームレンズである撮影レンズ1及び絞り11aを介して受光面に光学像を結像された撮像素子であるCCD2は、光学像に対応したアナログ信号を出力する、いわゆる光電変換を行うものであり、A/D変換装置3は、CCD2から入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して出力するものである。尚、本実施の形態にかかるA/D変換回路3においては、CCD2に入射した光の強度が高いほど、大きな値のデジタル信号に変換されるものとする。かかるA/D変換回路3を介して得られた画像データは、一旦、画像用メモリ4に記憶される。
【0037】
画像用メモリ4に記憶された画像データは、制御手段であるMPU5によって各種の画像処理が施され、最終的には、MPU5に接続されたメモリカード等の不揮発性メモリ6に記憶される。尚、MPU5は、内蔵電池等の電源7から電力供給を受け、インタフェース装置8を介してIrDA(赤外線通信)やシリアル通信等を利用して、外部と通信できるようになっている。又、MPU5は、パワースイッチ16のオン操作により動作を開始し、レリーズボタン10からのレリーズ信号を受信して、図示しないシャッタ装置を駆動して撮影を行うようになっている。更に、MPU5は、液晶モニタ等の画像表示装置9を駆動制御して、画像の表示を行わせるようになっている。又、MPU5は、電源7からストロボ装置13への充電を開始したり、その発光タイミングを制御するようになっている。ストロボ装置13は、ストロボ発光モードが設定されている場合に発光動作する。
【0038】
尚、MPU5は、光学式ファインダ15(図2)に近接する物体を検知可能なセンサ14に接続されて、また測光装置21に接続されて、それらから検出信号を受けるようになっている。
【0039】
又、図1に示す電子スチルカメラは、アクテイブな測距装置20を有している。かかる測距装置20は、検出波としての赤外線を照射し、更に被写体から反射した赤外線を検出し、その時間差に基づいて被写体までの距離を測定する機能を有する。しかしながら、たとえば超音波を用いて測距を行う測距装置を使用することもできる。
【0040】
更に、本実施の形態の電子スチルカメラは、撮像合焦装置を有しているが、これは、CCD2とMPU5の機能を利用して合焦動作を行うものである。撮像合焦手段としての撮像合焦装置(2,5)によれば、撮影レンズ1を移動(走査)しながら漸次CCD2において画像データに変換し、かかる画像データをMPU5において処理することにより、最も画像がシャープとなった位置を合焦位置として検出するものである。具体的な処理内容については後述する。尚、撮影レンズ1を移動させながら合焦位置を求める動作を、位置探索という。
【0041】
MPU5は、位置探索により求めた合焦位置に対応する駆動信号を、モータ12に出力する。モータ12は、その駆動信号に応じて、求められた合焦位置へと撮影レンズ1を移動させることにより合焦動作を完了する。
【0042】
図2は、本実施の形態の電子スチルカメラの斜視図である。電子スチルカメラ100は、上面にレリーズボタン10と、メインスイッチ16とを備え、背面に画像表示装置である液晶モニタ9を配置している。液晶モニタ9の側方には、モニタ表示ボタン9aと、駒送りボタン9bとが備えられている。レリーズボタン10は、半押しと全押しの2段階操作に応じて異なる信号をMPU5に出力できるようになっている。
【0043】
液晶モニタ9の上方には、光学式ファインダ15が設けられており、光学式ファインダ15に隣接してセンサ14が配置されている。尚、電子カメラ100の左側面には、電池ケースの蓋101が配置されており、かかる蓋101を開放することにより電池交換が可能となっている。
【0044】
尚、本実施の形態においては、合焦精度を維持しつつ合焦駆動時間をより短縮するために、測距装置20と撮像合焦装置(2,5)とを連係させて、合焦駆動を行っている。より具体的には、まず測距装置20を動作させて被写体までの距離を求め、測定した距離を、MPU5の内部に記憶されているテーブルに照らし合わせて、撮影レンズ1の合焦位置を求め、更に撮像合焦装置(2,5)によって、かかる合焦位置の前後における一定範囲で、モータ12の駆動により撮影レンズ1を走査することによって、最適な合焦位置を求めるようにしている。ところが、このような合焦駆動により必ずしも正しい合焦位置を求めることが出来ない場合がある。
【0045】
図3は、被写体距離と撮影レンズの走査範囲との関係を示した図である。通常、測距装置20により、被写体距離が2mと測定されれば、例えばその前後1mに対応する範囲(A)内で撮影レンズ1を走査することによって、最適な合焦位置を求めることが出来る。
【0046】
ところが、上述したように被写体輝度が低い場合には、撮像合焦装置(2,5)の検出精度は低いと考えられる。そこで、測光装置11の測光値に基づいて、被写体輝度がある程度低いと判断した場合には、MPU5は、撮影レンズ1の走査範囲を(Bの如く)例えば2mの前後0.5mに狭めるようになっている。それにより、たとえ撮像合焦装置(2,5)が検出する合焦位置が誤っていたとしても、測距装置20の測定した距離2mに基づく合焦位置から大きく離れることを抑制でき、従って合焦精度をある程度維持することが出来る。
【0047】
さらに、測光装置11が測定した被写体の輝度が、限界値以下であるため、撮像合焦装置(2,5)の検出精度に殆ど信用がおけないような場合には、撮像合焦装置(2,5)の動作を行うことなく、測距装置20の測定結果に基づいて、撮影レンズ1の合焦位置を決定すれば、合焦位置の決定に当たって、検出精度が信用できない撮像合焦装置(2,5)の検出が関与する余地がなくなり、それにより合焦精度を維持することが出来る。
【0048】
更に、夜間や屋内の撮影において、ストロボ装置13からのストロボ光の到達範囲外(例えば5m)に主要被写体が存在する場合がある。このような場合において、ストロボ発光モードが選択されているとMPU5が判断したときは、撮影レンズ1の走査範囲における遠方側を、被写体距離5mに対応する位置(C)までとし、ストロボ光到達範囲外に存在する主要被写体にピントを合わせることを回避して、より現実的にストロボ光の有効到達範囲内の被写体に対してピントを合わせることによって、全体としてぼけの少ない画像を得ることが出来る。
【0049】
更に、本実施の形態においては、撮像合焦装置(2,5)の検出動作に時間がかかるという問題を緩和するために、撮影画面より小さい測距エリアを、例えば主要被写体が存在すると推測される撮影画面の中央に設定し、かかる測距エリアに対応するCCD2からの画像信号に基づいて合焦位置を求めている。ところが、測距エリアを設定したがため、被写体画像を捉え損なった結果、合焦位置を誤る恐れがある。
【0050】
より具体的に説明すると、本実施の形態の電子スチルカメラ100は、光学式ファインダ15を有しているので、撮影者が光学式ファインダ15を覗きながら撮影を行った場合に、撮影レンズ1と光学式ファインダ15との位置の違いに起因して本来的にパララックスが生じる。
【0051】
図4は、本実施の形態電子スチルカメラ100を正面側から見た斜視図である。図4において撮影レンズ1の上方には、測距装置20(図1)の赤外線投光窓20aと、赤外線受光窓20bとが配置され、赤外線投光窓20aの左方には光学式ファインダ15の対物レンズが配置され、赤外線受光窓20bの右方にはストロボ13の発光窓が配置されている。
【0052】
図5は、撮影画面と測距エリアとの配置関係を示す図である。光学式ファインダ15を介して被写体を狙ったときに、遠くの被写体の場合には大きな違いはないが、近くの被写体の場合には、パララックスに基づいて、撮像素子の受光面に結像された被写体の範囲すなわち撮影画面(G1)と、光学式ファインダ15を介して見える被写体の範囲(G2)とで、ズレが生じる。かかる場合に、撮影者の目から見れば、光学式ファインダ15の視野枠10の中央に主要被写体が配置されていることから、かかる主要被写体に対してピントが合うものと思っていたところ、実際は主要被写体の右上の領域にピントが合ってしまい、それにより誤った合焦位置が求められる恐れがある。
【0053】
一方、かかるパララックスの量(ズレ量Δ)は、被写体までの距離及びレンズの焦点距離(ズーム比)に応じて変化する。より具体的には、被写体までの距離が長いとズレ量Δは小さいが、被写体までの距離が短いとズレ量Δは大きくなり、更に焦点距離が短い場合にはズレ量Δは小さいが、焦点距離が長い場合にはズレ量Δは大きくなる。
【0054】
そこで、本実施の形態においては、測距手段20の測距結果及びそのときの焦点距離に基づいて、MPU5がパララックスの量を演算し、光学式ファインダ15の視野枠内の中央に位置する被写体が測距エリアR1に含まれるように、測距エリアR1を撮影画面G1に対して、図5で右上にズレ量Δに対応する量だけ変位させれば、被写体距離に関わらず、撮像が所望される主要被写体に対してピントを合わせることが出来る。
【0055】
すなわち、撮影画面G1に対する測距エリアR1の位置は、測距装置20の測定した被写体距離と、撮影画面G1に対する光学式ファインダの設けられている(カメラ前方より見て左上)方向と、撮影レンズ1とファインダ光学系15の光軸間の距離に基づいて変更されるようになっているのである。尚、ズレ量Δは、パララックスの量と一致させても良いが、撮影者が経験からパララックスについて知っており、撮影時にそれを考慮して被写体を狙うこともあり得るため、パララックスの量より少なくすることが望ましい。
【0056】
ただし、撮影者が撮影時に、必ずしも撮影者が光学式ファインダを覗いているとは限らない。本実施の形態の電子スチルカメラ100は、レリーズボタンの操作に関わらず、CCD2からの画像信号に基づいて被写体画像を画像表示装置9に直接表示することが出来るようになっており、表示された画像を見ながら撮影を行うことは可能だからである。
【0057】
そこで、電子スチルカメラ100のセンサ14の検出結果に基づいて、MPU5は、撮影者が光学式ファインダ15を覗いていると判断したときに、撮影画面G1に対する測距エリアA1の位置が変更されるようにすれば、パララックスに基づく不適切な合焦を防止することが出来る。
【0058】
これとは逆に、CCD2からの出力信号に基づいて、被写体画像を表示する画像表示装置9が被写体画像を表示しているときは、撮影者が表示された画像を見ながら撮影をしていると考えられるので、測距装置20の測定結果に関わらず、測距エリアR1の位置を変更しないようにすれば、撮影者が合焦を所望する被写体に対して、ピントを合わせることが出来ると考えられる。
【0059】
更に、撮影レンズ1はズームレンズであるので、そのズーム位置と、測距装置20の測定した被写体距離とに基づいて、撮影画面G1に対する測距エリアR1の面積を変更することも考えられる。例えば、像倍率が小さくて、撮影画面上で被写体画像の占める割合が小さいときは、測距エリアR1を広げると、背景にピントが合ってしまい好ましくない。そこで、このような場合には、求められたズーム位置と被写体距離とに基づいて像倍率が小さいと判断した場合には、MPU5が撮影画面G1に対する測距エリアR1の面積を小さくすることにより、撮影画面G1に対する被写体画像の大きさに対して、適切な測距エリアR1を設定できるため、より適切な合焦動作を行うことができる。
【0060】
又、撮影レンズ1はズームレンズであるので、そのズーム位置と、測距装置20の測定した被写体距離とに基づいて、撮像合焦装置(2,5)における撮影レンズ1の走査範囲を変更することも考えられる。すなわち、主要被写体が遠く(例えば10m以遠)にある場合など、かかる主要被写体において測距装置20から投射される赤外線が有効に反射せず、適切に測距が成されない場合も起こりうる。そこで、求められたズーム位置と被写体距離とに基づいて像倍率が小さいと判断した場合には、MPU5が、測距装置20の測距結果に頼ることなく、撮像合焦装置(2,5)のみを駆動して、適切にな焦位置を求めることが出来る。
【0061】
更に、例えば一色の壁を撮影したような場合には、CCD2からの画像信号は一様となるが、このような画像信号に基づいて、撮像合焦装置(2,5)は的確な合焦動作を行うことが出来ないという特性上の問題がある。そこで、本実施の形態によれば、CCD2が受光した被写体画像の鮮鋭さに対応するAF評価値を求め、かかるAF評価値を用いて、撮像合焦装置(2,5)の合焦精度が信用できるか否かを判定する。
【0062】
AF評価値の算出は、取り込んだCCD2からの画像データを、周波数分析することにより行われる。周波数分析では、ソフト的に帯域通過フィルタ(BPF)を構成し、このBPFを通過した信号強度の積分値を算出し、それをAF評価値とする。すなわち、その画像に含まれる特定周波数の強度を求める演算を行なう。実際の演算にはFFT(Fast Fourier Ttansform)を使用している。FFTは、測距エリア内のFFT演算エリア内の画像データに対して行うものである。FFTでは画像データのデジタル信号を周波数領域の信号に変換し、ある帯域の高周波のみを取り出してその強度を積分し、さらに各FFT演算エリアの合計値を求めることで評価値データとしている。
【0063】
かかるAF評価値が所定の閾値以下の場合には、CCD2の検出した合焦位置の信用度は低いと判断して、例えば撮影レンズ1の走査範囲を狭めることにより、撮像合焦装置(2,5)が検出する合焦位置が誤っていたとしても、より確からしい測距装置20の測定した距離に基づく合焦位置から大きく離れることを抑制して、合焦精度を維持することが出来る。一方、AF評価値が高い場合には、撮像合焦装置(2,5)の検出精度は高いと考えられるため、撮影レンズ1の走査範囲を狭める必要はないといえる。
【0064】
尚、AF評価値が下限値以下の場合には、CCD2の検出した合焦位置の信用度は相当に低いと考えられるので、測距装置20の測定結果のみに基づいて、撮影レンズ1の合焦位置を決定することが好ましい。
【0065】
本実施の形態における電子スチルカメラ100の測距装置20は、いわゆるアクティブ測距装置であり、赤外光(又は超音波)を被写体に向かって投射して、反射した赤外光を受けることによって、被写体までの距離を求めているが、撮影環境によっては、反射した赤外光の光量がその他の赤外光や超音波などの影響から相対的に小さくなる恐れがある。そうしたときに、測距装置20の測距結果は不適切なものとなり、その結果撮影レンズ1の走査範囲が不適切となって、誤った合焦位置が求められる恐れがある。そこで、本実施の形態においては、測距装置20より赤外光を投射していないにも関わらず、異常な赤外光を受光したとか、測距装置20の測距値が、撮像合焦装置(2,5)の検出結果と大きくずれており、しかも撮像合焦装置(2,5)の検出結果はある程度信用できるというような場合には、撮影レンズ1の走査範囲を広げることによって、撮像合焦装置(2,5)により適切な合焦位置を求めることが出来る。
【0066】
更に、CCDの特性から、露光量が過剰である場合には、光電変換を行う画素が飽和するため、飽和した画素からは一定の画素信号のみが出力され、画像を形成することが困難となる。従って、電子スチルカメラにおいては、露出オーバーとなることを防止しなくてはならない。ここで、自然光を用いた撮影では、露出オーバーを避けることは比較的容易であるが、ストロボ光を用いた撮影では、撮影前にいかなる階調の被写体が存在するか判断することは困難である。
【0067】
そこで、本実施の形態においては、ストロボ手段としてのストロボ装置13が、測距装置20の測定結果に基づく被写体距離と、撮像合焦装置(2,5)の検出した合焦位置に基づく被写体距離のうち、短い方の被写体距離に応じて発光量を決定するので、たとえ発光量を決定するために用いる被写体距離が誤っていたとしても、必ず近い方に誤るため、ストロボの発光量は低くなり、それにより露出オーバーを抑制することが出来る。
【0068】
以上、本発明を実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。
【0069】
【発明の効果】
本発明のデジタルスチルカメラによれば、高い精度で測距を行うことができる電子スチルカメラを提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態にかかる電子スチルカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態にかかる電子スチルカメラの斜視図である。
【図3】被写体距離と撮影レンズの走査範囲との関係を示した図である。
【図4】本実施の形態電子スチルカメラ100を正面側から見た斜視図である。
【図5】撮影画面と測距エリアとの配置関係を示す図である。
【符号の説明】
1 撮影レンズ
2 CCD
3 A/D変換装置
4 画像用メモリ
5 MPU
6 不揮発性メモリ
7 電源(電池)
8 インタフェース装置
9 画像表示装置(LCD)
10 レリーズボタン
11 測光装置
11a 絞り
12 モータ
13 ストロボ
14 センサ
15 光学式ファインダ
16 パワースイッチ
20 測距装置
Claims (2)
- 被写体までの距離を測定する測距手段と、
前記測距手段が測定した距離に合焦する撮影レンズの位置を含む所定の範囲内で前記撮影レンズを走査して、前記撮影レンズを介した撮像素子の出力信号に基づいて、前記撮影レンズの合焦位置を検出する撮像合焦手段と、
前記被写体の輝度を測定する測光手段と、を有し、
前記測光手段が測定した前記被写体の輝度が低い場合には、前記被写体の輝度が高い場合より、狭い範囲で前記撮影レンズを走査させることを特徴とする電子スチルカメラ。 - 前記測光手段が測定した前記被写体の輝度が、所定値以下である場合には、前記撮像合焦手段の動作を行うことなく、前記測距手段の測定結果に基づいて、前記撮影レンズの合焦位置を決定することを特徴とする請求項1に記載の電子スチルカメラ。
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